☆長野県東筑摩郡生坂村・差切峡☆
差切峡は、東筑摩郡生坂村から坂北村にかけて、麻績川沿いに堆積岩からなる奇岩絶壁が続く峡谷で、
一部の礫岩露頭から苦土毛礬が産出します。
文献や標本ラペルでは坂北村の名で出ていることが多いのですが
(堀秀道著『楽しい鉱物図鑑2』でも苦土毛礬の代表的産地としてリストアップされています)、
間違いなのか、多産するポイントが変わったのか、現在では生坂村側に良い産地があります。
風化による侵食が進んだ礫岩の岩陰に、厚さ10cmもの苦土毛礬の層ができており、
上を歩くと、霜柱を踏んでいるような感じです。
層の一部を割り採ってみると、画像のような細かい針状結晶がびっしり入っています。
手に持つと、水に浮きそうなくらい軽いものです。
ちなみに苦土毛礬は水で洗うとあっと言う間に跡形もなく溶けてしまうし、保存が厄介な鉱物なのですが、
ここのものは結晶が大きいせいか保存も容易で、部屋に置いておくぐらいなら全く平気です。
またこのあたりの砂岩〜泥岩からは化石も出て、カキの殻が層になっていたりします。
☆長野県東筑摩郡四賀村・穴沢温泉☆
上田市の日向山と同様な、玄能石(イカ石仮晶の方解石)の産地です。
ただ、上田市の産地とは違い、こちらのものは基本的にサイズがみな大きく、
表面もごつごつ、ざらざらしていて無骨な印象があります。
共産する化石も種類が異なるので、生成環境や年代がそもそも違うようです。
画像いちばん左は団塊状の黄鉄鉱で、表面はチカチカと光り、堅くて、持つとズシリと重いものです。
次は、いわゆる“高師小僧”と呼ばれるタイプの褐鉄鉱類で、ほかにも様々な形があります。
残り3点が玄能石で、左は表面の条線が太く深く発達するタイプ、
中は典型的なタイプ、右は2つの結晶が交差しているものです。
元々ここのものはサイズが大きいこともあり、完形品を採集するのも容易でなく、
母岩付きに至っては、いまだに採集できていません。
なおこのあたりは化石も非常に豊富で、新生代第三紀の動植物化石が出ます。
二枚貝類や植物化石をメインに、少し離れた地点からはクジラの全身骨格が発見されています。
☆長野県東筑摩郡四賀村・城山☆
降旗和夫編『長野県地学のガイド』(コロナ社1979/2001改訂)に紹介されている、石膏の産地です。
林道の切り通し面で表れた泥岩の隙間に、最大3cmまでの結晶が出ます。
ただし最近露頭の崩落と風化が激しく、ごく細かいものしか見当たらなくなってしまいました。
画像左は母岩付き、右は分離品です。
石膏は、粉にして焼いたものが美術工芸や医療ギプスとして使われていますが、
その原形がこんな形をしていることを知っている人は、まだ多くありません。
なお、ここからも硬骨魚類の鱗の化石が出るようですが、
自分はまだお目にかかっていません。
☆長野県東筑摩郡波田町・竜島鉱山☆
ここはマンガン鉱山で、良質の菱マンガン鉱の産出で有名です。
木曽福島のIさんに案内していただきました。
沢沿いの斜面の所々に坑道が口を開けていますが、既にめぼしいものはほとんどなくなっています。
菱マンガン鉱のほかに、石英や黄鉄鉱なども見られました。
画像は塊状の菱マンガン鉱で、葡萄状の結晶集合体が一部に見られます。
☆長野県大町市・木崎湖畔☆
蒼くキラリと光る宝石・月長石(ムーンストーン)の産地として有名です。
木崎湖西岸の道路沿いに僅かに顔を出している、通称“木崎岩”と呼ばれる特殊な流紋岩の露頭から出ます。
そのままだと無色透明な粒が見えるだけで、ちょっと分かりにくいんですが、
木崎湖の水で濡らしてから様々な角度から眺めてみると、
ある一定の角度から見たときに青白くギラッと光るので判別できます。
ただしここのムーンストーンは斑晶として含まれるもののため、サイズ的に小さく、
頑張って1cmまでですから、宝石にはなりません。
月長石(ムーンストーン)は鉱物名ではなく、
正長石や曹長石などの鉱物のうち、光の屈折作用により内部が青白く光るものをさします。
ここのものは正長石と曹長石の中間的なものらしいですが、
自分は面倒なので正長石として扱っています。
画像は、分かりにくいですが、中央やや上よりの、やや青みがかった透明な部分がムーンストーンです。
その他の部分にも小さなムーンストーンがポツポツ含まれています。