| 謎のビーチ・ギャル/シオガマギク1 君は葉まで美しい! |
シオガマギクの仲間は、いずれも綺麗な花を咲かせます。
(^^;)なのにな〜ぜ♪園芸シーンには登場しないのか、その解明は後で行うとして、もっと不思議なのはその名前です。キク科でもないし、葉も花もちっともキクに似てないのに、何故シオガマギクなのでしょうか。また山に生えるのに、何故、海にゆかりのシオガマなのか。この通り、謎だらけです。
シオガマについては、「この植物は花も美しいが、葉まで美しい。そう言えば、浜で美しいのは塩釜。だからシオガマギクなのだ!(`◇´)どうだ文句あっか!」と言う説が昔から有名です。私も少々駄洒落をたしなみますが、さすがに(^^;)ここまで無理にこじつけようとは思いません。こんな説を最初に唱えたのは、いったい誰でしょう(一説では有名なM博士との説もありますが)。(^^;)まあ由来はどうであれ、一旦その名が定着してしまった以上、今更どうしようもありません。
それでは、学名のPedicularis はどうかと申しますと、こちらの意味はなんと(^o^;)・・・シラミだそうです。洋の東西を問わず、この花、名前については奇妙なことばかり・・。
文句ばかり言っててもしょうがないので、今まで私が出会ったシオガマギクの仲間を幾つかご紹介します。
ミヤマシオガマ Pedicularis apodochia
ミヤマシオガマ 1990/06/23 焼石岳にて。
キバナシオガマ 1991/07/18 大雪山にて。
日本に生えるシオガマの仲間では最も綺麗な花と葉の持ち主ではないかと思ってます。それなのにあまり知られていません。たぶん花の咲くのが早すぎるせいでしょうか。東北では月山、焼石、早池峰などの高山帯で見られます。特に月山のものは目を射るような濃いマゼンタでした。反面、北アルプスの白馬のそれは同じ花とは思えないほど地味でした(たぶんそのせいでミヤマはタカネに劣る評価がなされた可能性もあります)。
キバナシオガマ Pedicularis oederi
世界的には北半球の高山や極地に広く分布しますが、日本では大雪山だけと聞きます。
私は大雪山には一度だけ、しかも黒岳から旭岳にかけてちょろっと掠めたにすぎませんが、幸運なことに途中の2箇所でこの花に巡り遭えました。丈はわずか十センチ程度と小さいのですが、そのイエローは眩いオーラを放ち、草姿には高貴な威風と貫禄がありました。コマクサが高山植物の女王ならこちらは紛れもなく殿様キングです。
タカネシオガマ Pedicularis verticillata
こちらも北半球に広く分布しますが、日本では本州中部と北海道の限られた高山でしか見られません。既存の解説書によると、日本のシオガマ類では最も綺麗だと書いてあります((^^;)個人的には東北のミヤマ嬢もなかなかだと思いますが・・・)。葉の付き方は後述のヨツバシオガマによく似ていますが、丈はとても小さく、また花に鳥のくちばし状の突起がありません。
ところで高山植物にはタカネ・・・とか、ミヤマ・・・が付くものがやたらと多いですが、どちらも意味はほとんど同じ。従って同じ属に両方があると、間違って覚えてしまう人も多く、何度教えても山を降りれば、(^o^;)ご破算で願いましては・・・なので、植物の命名の際は十分注意して欲しいものです。なおタカネシオガマにはユキワリシオガマと言う別名があります。
タカネシオガマ(左の多肉はイワベンケイ) 1990/07/28 白馬岳にて。 ヨツバシオガマ(右のお供はハクサンチドリ)
1987/07/05 早池峰山にて。
ヨツバシオガマ Pedicularis chamissonis var. japonica
シオガマの仲間では、最もポピュラーな種類でしょう。高山の湿った草地でよく見かけます。葉がきっちり4枚ずつ輪生し、鋭いくちばしを持ったピンク(濃淡はありますが)の花は印象的です。普通、草丈は20〜40センチ程度ですが、北日本に行くと、それよりずっと背が高く、場合によっては1メートルを超す巨人も居るそうです。当然ですが、花も十段以上にも重なって、長期間にわたって咲き続けます。そのようなタイプはハッコウダシオガマ P. chamissonis var. japonica f.fauriaei 、或いはキタヨツバシオガマ、レブンシオガマと言って区別する場合もありますが、中間的なものも多く、厳密に区別することは困難です。下左の鳥海山のものは丈が80センチくらいありました。遠目にはリヤトリス(キク科)のようです。
ヨツバシオガマ 1990/07/21 鳥海山にて。 トモエシオガマ 1993/08/24 焼石岳にて。
シオガマギク Pedicularis resupinata
属を代表するシオガマギクですが、実は私、まだ見たことがないのです。しかしその変種のトモエシオガマ Pedicularis resupinata var. caespitosa は山(意外に低い山から高山まで)の草地や湿原などでよく出会います。上から見ると、花が時計廻りに捻れているので、確かに「巴」のように見えます(シオガマギクの方は花序が伸びて巴状にならない)。
エゾシオガマ Pedicularis yezoensis
巴投げを打つのは、トモエシオガマに限りません。下のエゾシオガマや中部山岳に特産するセリバシオガマ P. keiskei(写真なし)もなかなかみごとな巴投げを決めています。わざわざこのような形態をとるのは、受粉する蜂さんに「お停まり場所」を提供するサービス精神の表われとも聞きました。
エゾシオガマ 1987/08/02 月山にて。 エゾシオガマ
1990/08/04 秋田駒ケ岳にて。
なのにな〜ぜ♪園芸シーンには登場しないのか。
これについては、半寄生植物なので単独では生育が困難だとい説が一般的です。ところが、後述の千葉光穂氏(秋田県大館市)によると、必ずしも他の植物の根に寄生している風でもなく、生長こそ遅いがタネからでも育てられますとのこと。営利栽培には向きませんが、プライベートな園芸利用は全く不可能と言うわけではないようです。でも私ならシオガマの仲間は迷わず「野に置け蓮華草」です。
シオガマの仲間はこれだけではありません。その2/君は歯まで・・・!もご覧下さい。
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(本頁は2002/01/06に初アップしました。)