
MPC-MU1
It runs quiet as a mouse on the Crystal

─ その俊敏さこそが、大画面時代の標準 ─
近年、17インチ以上の大画面モニタの低価格化が進み、一般的な存在になるにつれ、Macintoshユーザたちは本体に標準装備されるApple ADBマウス (II) の操作性に疑問を抱き始めていた。
初期のモニタ一体型Macintosh(128K〜Classic)は、9インチモノクロモニタを内蔵し、解像度は512x342(固定)。カラー表示を果たしたMacintosh IIシリーズの登場から数年前まで、解像度は640x480(13インチモード)が標準であったため、Apple ADBマウスの操作性はそれほど問題視されてはいなかった。
だが、第1世代Power Macintoshの登場を契機として、時代は確実に変わっていったのである。
漢字Talk 7.5以降のMacOSが、マルチスキャンモニタのOn the Fly機能をサポートしたことで、Macintoshユーザ達もマルチスキャンモニタを、実際のサイズ以上に広く使うことが一般的になった。それが意味するところはまた、MacOSのデスクトップ上でのマウスカーソルの絶対移動距離の増大に他ならない。もはや、「マウス」コントロールパネルで速度を最大値に設定しても、根本的な解決とはならなかった。
ユーザたちは切望した「──欲しい、もっと速いマウスが...」。
時は流れ、1997年春、そんなユーザたちの願いを叶えるべく、パイオニア(株)より小さなADBマウスが登場した。型番はMPC-MU1。一見するとかなり小ぶりであるが、手のひらに心地よくフィットするデザインと、テフロン製の4点式の支持部に加え、低重心構造と32gという重めのボールを用いたことによる小気味の良い滑りが最大の特徴だ。他のサードパーティ製マウスとは異なり、クリックボタンは1つ。これは、Macintosh用マウスとしての伝統のデザインである。
またMPC-MU1は、PCP-AP2“クリスタルパッド”とのコンビネーションで、さらにその真価を発揮する。その滑らかな操作性は、誕生から1年余り経過した今もなお、他メーカー製マウスの追随を許さない。やや硬質なクリック感もまた新鮮であり、使い込めば使い込むほど、もはや他のADBマウスには戻れない。その独特のデザインが故、体がそのシェイプを覚えるのが極めて速いのだ。その快適さは、セール品のマウスや貰い物のマウスパッドでは決して味わえない。コンピューティング時に堪能することができる贅の極みである。
そして400CPIという解像度の高さはApple ADBマウスの比ではなく、手首を一捻りするだけで、マウスカーソルは21インチモニタの対角線上を音もなく一気に駆け抜ける。通常の作業は手首のスナップだけで済むようになり、大画面モニタユーザ達の腕部の疲労は過去のものとなった。
その後、MPCユーザグループ“パイオニア党”リーダーにより「あっというマウス」という愛称を与えられたMPC-MU1は、大画面時代の要求に応える新・標準として、徐々にではあるが、本体と同時購入するユーザが増えているという。その価値は今や、ショップ店頭からも欠くことのできないポジションへと高められたのである。
マウスパッドとしては大型のPCP-AP2“クリスタルパッド”上を音もなく滑走するMPC-MU1。
17インチモニタ上での作業であれば、通常はこの程度の移動距離で充分である。
また、大画面液晶を装備するPowerBook G3シリーズに最適なブラックモデル(MPC-MU1K)も存在する。そして、このMU1も、今は亡きGX2のためにデザインされた哀しい過去を背負うモデルである。