2.売るとき 媒介契約

・時代の今昔を問わず、売るということはさまざまな事情があると思います。

・土地の場合には、自由に土地を作り出すことはできません。地表のある特定部分であるその土地を・・・
・そして、206条にもあるように法令の制限内において自由に使用収益処分できます。そのひとつとして何らかの目的のために所有している不動産を換価する、つまり売却するということになります。

・ただし、法令の制限内においてということわりがあるように、所有権の行使は第三者の権利を害することなく又その土地の属する地域によって利用・用途が法令により制限されていたり或いは緩和されている場合がありますのでこれに従います。いずれにしても、地表の特定部分であることと、自由に生産と移動ができないことから、土地はその土地ごとに個性を持っており一つとして同じものはない特定物です。

・建物も法律上は別個の不動産です(民法第86条)。土地と同様に登記所には通常その建物の登記簿があると推定されます。そしてその建物は土地を利用する正当な権原に基づいて建っている必要があります。そうでなければ、その土地上に適法に建物を所有することができません。通常は、その土地の所有者と建物所有者が同一であるか、建物所有者が違っても土地所有者と何らかの合意の上に建てられているものです。

・そして建物も所有権の及ぶ範囲ですから、土地と同様に法令の制限内においてということわりがあるように、 所有権の行使は第三者の権利を害することなく又その土地の属する地域によって、また建物の利用・用途が法令 により制限されていたり或いは緩和されている場合がありますのでこれに従います。建物も土地と同様に自由に 移動ができないことから、建物はその建物ごとに個性を持っており一つとして同じものはない特定物です。

・以上の考え方が、土地・建物である不動産であると思います。その特定物、つまりはその不動産の個性に着目して売主と買主の間で売ります、買いますという不動産売買契約が成立すると思います。

「1.売るとき・買うとき 不動産業者の選択」を参考にしていただき、不動産業者を選択します。買主にとって良好な業者は売主にとっても良好です。

以下は、売却までの手順と概要です。
1.売却についての相談
先ずここで、電話やネット或いは直接業者に赴くなどして、売却についての相談をしましょう。
ここで、その業者の担当者とよく話してみてください。
しっくりこない場合や、売却の目的と実情が合致しない場合もあるでしょうし、それを把握できない業者もあるでしょう。
その場合には、他業者へアプローチしましょう。業者は安易に選定してはなりません。
納得のいく業者に当るまで何社かアプローチしましょう。概ね5社程度当って、そのうち売却の目的と業者の見解の一致が3社を超える迄になった場合には、売却の目的等が実情にそぐわないまでもないということが分かります。
逆に一致しない場合には売却の目的等が実情にそぐわないということではないでしょうか。
その際には業者と再度相談して売却の目的等の修正を図ります。
2.売却の依頼
概ね売却の目的と合致する業者と接触することができ、売却物件の調査と査定に入ることとなります。この際、業者は予備的な調査に入ると思います。
その際に先ず必要なことは、

・権利書
・建物の建築確認通知書などで建物の正確な資料

などから(渡す必要はありません。この段階では伝えるだけです)、物件の正確な所在地を業者に伝えます。

なお、注意していただきたい点としては、売却について正当な権限を有する人からの依頼でなくてはならないことを申し添えます。
例えば、共有者がいてその共有者と物件の売却について合意していない場合などは、そもそも売却の依頼をなさらないほうがよいと思います。
この場合、後で売却の依頼を撤回した場合にはそれまでに要した費用を請求される場合があります。
3.予備調査
そもそも、売却の依頼をする物件が商品化できるかどうか。予備調査があります。

つまり、不動産商品として流通させて引合があり、依頼者の目的に添って確実に売却されうるかどうかを調査します。

例えば、相場から著しく高値での売却を希望する場合には、売却には困難が予想されます。
次に、明らかに法令などに違反している物件で、購入者が将来再建築不可であるなどです。
この予備調査の段階で不可能であると判断された場合には、業者が売却の依頼を受けないという場合もあり得るでしょう。
予備調査で概ね売却が可能であると判断された場合には、物件化に向けた調査に入る旨の報告と相談があります。
4.物件化に向けた調査
調査項目は、宅地建物取引業法35条に該当する事項全てです。

大別すると・・・

現地調査(土地)
地勢・地盤・過去の災害(洪水・崖崩れ・陥没など)隣地高低差日照・日照遮蔽物とその予定道路全般
道路以外の公共用地との接面法地擁壁等の構造物の瑕疵境界標の有無と種類境界を巡る紛争の有無
生活関連施設設置埋設使用状況眺望景観騒音
臭気最寄商店医療・教育・役所等の利便施設火葬場・ごみ焼却場・汚水処理場などの嫌悪施設
高圧線下及びその制限電波障害地中埋設物事件事故の有無・その他住宅環境全般
鉄道最寄駅バス最寄停留所鉄道・バス運行数その他の交通手段
大規模開発行為の計画の有無大規模施設の計画の有無その他生活に影響を及ぼしうる施設等の計画その他地域特有の事情(例:道路通行に関する協定など)


現地調査(建物)
種類構造屋根階数
床面積実測建築時期車庫・カーポート・門柱門扉・外構など増改築
現実の用途利用占有の状況雨漏り傾斜
白あり被害水漏れ腐食その他の損壊部分
構造物の第三者敷地への越境空調・給湯・水道・排水設備などの状況建物様式建築工法
外壁基礎柱材質内装(床・天井・壁)
事件事故の有無付属建物


現地調査(マンション)
床面積実測(内法)方位利用占有の状況保守管理状況
専用使用できる共用部分(バルコニー・専用庭・駐車場・自転車置場・倉庫等)非専用駐車スペース規約共用部分(管理人室等・集会室等)管理状況(管理人駐在及び管理の形態)
清掃状況道路全般エレベーター空調設備
給湯設備警備保守設備生活関連施設使用状況日照・日照遮蔽物とその予定
建物外観外部の仕上げ内部の仕上げ最寄商店等
周辺住環境医療・教育・役所等の利便施設火葬場・ごみ焼却場・汚水処理場などの嫌悪施設BS・CS・CATV・インターネットインフラの有無
鉄道最寄駅バス最寄停留所鉄道・バス運行数その他の交通手段
事件事故の有無同一マンション内における事件事故の有無電波障害その他住宅環境全般
大規模開発行為の計画の有無大規模施設の計画の有無その他生活に影響を及ぼしうる施設等の計画その他地域特有の事情(取壊し撤去を求めた訴訟の有無や、マンションそのものと周辺住民などとの紛争、マンション所有者全員に係るマンションの構造欠陥などの紛争)


公簿調査(土地・建物=マンションは建物に準じる)管轄法務局・同地方法務局・同支局・同出張所及び所在地市区町村役場
公図或いは地図地積測量図建物図面土地登記簿表題部(所在・地番・地目・地積・原因・登記年月日)
土地登記簿甲区(所有権登記名義人と売主の相違・共有者・所有権に係る権利に関する登記の有無=差押・予告登記・所有権移転仮登記・所有権移転請求権仮登記・仮処分・破産・代物弁済予約)土地登記簿乙区(抵当権及び根抵当権・賃借権・地役権・永小作権・先取特権・質権・仮登記を含む)共同担保目録隣接地全ての登記簿表題部と甲区から隣接地の概要と所有者の調査
建物登記の有無建物登記簿表題部(所在・家屋番号・種類・構造・床面積・原因及び登記年月日)建物登記簿甲区(土地登記簿甲区に準じる)建物登記簿乙区(土地登記簿乙区に準じる)
借地人の建物登記の有無と登記名義人所有者及び取引先が法人の場合の法人登記簿・商業登記簿の確認(法的整理にともなう代表権の制限による不動産売買の制限を確認。破産法・会社更生法・民事再生法等の破産管財人・監督委員などの選任の有無)市区町村役場固定資産課税部門においての公図・現況図・固定資産課税台帳及び評価証明書取得による最新年度の固定資産評価額の確認所有者が個人の場合の住民票及び身分証明書及び成年被後見人登記確認の証明書
所有者が相続の場合において戸籍謄抄本・除籍謄抄本・改製原戸籍謄抄本(必要な場合)所有者が相続の場合において遺産分割協議書(必要な場合)所有者が相続の場合において家庭裁判所の相続放棄受理証明書(必要な場合)


公法制限調査{都市計画法(都)土地区画整理法(土)宅地造成等規制法(宅)建築基準法(建)}都道府県都市計画或いは土木事務所・市区町村役場
区域区分(都)市街化・市街化調整・未線引区域の別(都)用途地域(都)特別用途地区(都)
その他の地域地区(都)都市計画施設(都)市街地再開発事業(都)市街地再開発事業等予定区域
開発行為対象面積(都)開発行為の許可の有無(都)開発登録簿(都)既存宅地(都)
都市計画道路(都)近隣地での都市計画事業の有無(都)土地区画整理事業の有無(土)宅地造成工事の規制(宅)
用途規制(建)用途地域における敷地等の制限(建)地区計画等区域内敷地等制限(建)建ぺい率・容積率(建)
外壁の後退距離(建)日影制限(建)建築協定(建)壁面線の指定(建)
敷地・構造・設備(単体規定)条例による制限の付加或いは緩和等(建)災害危険区域(建)屋根不燃区域(建)敷地の前面道路(建)
敷地の前面以外の道路(建)近隣地での都市計画事業の有無(都)土地区画整理事業の有無(土)宅地造成工事の規制(宅)


公法制限調査(その他の法令)
古都保存法都市緑地保全法特定空港周辺航空機騒音特別措置法(空港法)大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法(大都市法)
地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置に関する法律(地方都市整備法)被災市街地復興特別措置法(被災市街地法)新住宅市街地開発法 新都市基盤整備法
旧公共施設の整備に関する市街地の改造に関する法律(市街地改造法)首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律(首都圏等整備法)近畿圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律(近畿圏等整備法)流通業務市街地の整備に関する法律(流通業務市街地整備法)
都市再開発法 幹線道路の沿道の整備に関する法律(沿道整備法)集落地域整備法密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律(密集市街地法)
港湾法住宅地区改良法公有地の拡大の促進に関する法律(公有地拡大推進法)農地法
自然公園法河川法海岸法砂防法
地すべり等防止法急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(急傾斜地法)土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(土砂災害防止法)森林法
道路法全国新幹線鉄道整備法(新幹線整備法)土地収用法文化財保護法
航空法国土利用計画法(国土法)生産緑地法都道府県市区町村該当条例


生活関連施設設備調査(供給事業者・上下水道関係官庁)
項目調査内容
水道(公営・私営)・井戸調査先:上水道事業公企業或いは私営水道事業管理者
1.前面道路配管の有無と埋設位置
2.口径
3.無い場合の整備計画
4.整備計画がある場合の完成予定年月
1.敷地内引込の有無
2.口径
3.無い場合の引込整備計画
4.整備計画がある場合の完成予定年月と負担金の有無
5.水道利用に係る負担金の有無とその額
1.私設管の有無
2.負担金の有無とその額
ガス(都市ガス・プロパンガス・・・個別プロパン・集中プロパン)調査先:ガス供給事業者
1.前面道路配管の有無と埋設位置
2.口径
3.無い場合の整備計画
4.整備計画がある場合の完成予定年月
1.敷地内引込の有無
2.口径
3.無い場合の引込整備計画
4.整備計画がある場合の完成予定年月と負担金の有無
5.ガス利用に係る負担金の有無とその額
電気調査先:電力供給事業者
高圧線下の場合の制限の有無
汚水(本下水等・汲取・浄化槽・・・個別単独・個別合併・集中)調査先:下水道関係官庁或いは施設管理者
1.前面道路配管の有無と埋設位置
2.口径
3.無い場合の整備計画
4.整備計画がある場合の完成予定年月
1.敷地内引込の有無
2.口径
3.無い場合の引込整備計画
4.整備計画がある場合の完成予定年月と負担金の有無
5.下水道利用に係る負担金の有無とその額
1.私設管の有無
2.負担金の有無とその額
個別合併浄化槽の設置の要の有無
雑排水(本下水等・側溝・浄化槽・・・個別合併・集中)調査先:下水道関係官庁或いは施設管理者
1.前面道路配管の有無と埋設位置
2.口径
3.無い場合の整備計画
4.整備計画がある場合の完成予定年月
1.敷地内引込の有無
2.口径
3.無い場合の引込整備計画
4.整備計画がある場合の完成予定年月と負担金の有無
5.下水道利用に係る負担金の有無とその額
1.私設管の有無
2.負担金の有無とその額
個別合併浄化槽の設置の要の有無
雨水(側溝・本下水・地下涵養・浸透)調査先:下水道関係官庁或いは施設管理者
1.前面道路配管の有無と埋設位置
2.口径
3.無い場合の整備計画
4.整備計画がある場合の完成予定年月
1.敷地内引込の有無
2.口径
3.無い場合の引込整備計画
4.整備計画がある場合の完成予定年月と負担金の有無
5.下水道利用に係る負担金の有無とその額
1.私設管の有無
2.負担金の有無とその額
1.側溝の有無
2.負担金の有無とその額
1.地下涵養の施工方法
2.浸透の施工方法


その他の調査(マンション・或いは大規模住宅団地などの場合で管理会社等に照会)
マンション名称施主名施工会社名管理会社
当棟戸数総棟数主な間取り付属建物
建築確認対象面積管理規約管理費修繕積立金
管理費修繕積立金等値上げの予定当該物件の滞納管理費修繕積立金等の額管理費修繕積立金以外の負担金修繕積立金の支払い方法(前払・一時金・積立・併用)
修繕積立金の累計額直近で終了した修繕修繕計画BS・CS・CATV等の負担金
駐車場の空きと料金自転車置場の空きと料金その他の利用施設の空きと料金特にそのマンション・大規模住宅団地固有の事情等


以上の調査と依頼者からの聞取り及び必要な場合の周辺住民からの聞取り等によって、致命的な障害などが発見され且つその障害の克服或いは修正に多大な費用がかかることが容易に予想できる場合で且つその費用を支出することによって売却の目的が達せられないときには、売却を取りやめるか或いは業者が売却の依頼を受けない場合があります。
5.価額査定
昭和57年5月13日 建設省計動発第65号 建設省計画局長から各都道府県知事あて通達(抄)
第2 媒介価額に関する意見の根拠の明示について
不動産は、個々にその特性があり、その価額の査定にはある程度の知識と経験が必要である。このため、媒介価額の決定に際しては、依頼者は宅地建物取引業者の意見を求めるのが通常であるが、従来査定方式不統一から、宅地建物取引業者によって意見価額が分かれ、依頼者の不満を招く例が見受けられたので、宅地建物取引業者が媒介価額に関して意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないこととしたものである。この点に関しては、意見の根拠として価格査定マニュアル等の合理的手段を用いるよう宅地建物取引業者を指導すること。

また、価額の査定を適正に行なうには、豊富に取引事例を収集し、最も適切な取引事例を利用することが必要である。この点に関しては、取引事例は顧客の秘密に関わる問題であるが、改正法(以下「法」という。)第34条の2第2項の規定による義務を履行するため必要な限度において、法第45条及び第75条の2の「正当な理由」があるものと解されるものである。従って、その趣旨を十分踏まえた上でなおその取り扱いには慎重を期するよう業界を指導すること。
昭和57年5月13日 建設省計動発第68号 建設省計画局長不動産課長から各関係業界団体あて通知(抄)
第4媒介価額に関する意見の根拠の明示義務について(法第34条の2第2項)
1.意見の根拠
意見の根拠としては、価格査定マニュアル(財団法人不動産流通近代化センターが作成した価格査定マニュアル又はこれに準じた価格査定マニュアル)や、同種の取引事例等他に合理的な説明がつくものがあれば、それによってもよいこと。 なお、その他次の点にも留意することとする。

(1)依頼者に示すべき根拠は、宅地建物取引業者の意見を説明するものであるので、必ずしも依頼者の納得を得ることは必要ではないが、合理的なものでなければならないこと。

(2)根拠の明示は、口頭でも書面を用いてもよいが、書面を用いるときは、不動産の鑑定評価に関する法律に基づく鑑定評価書でないことを明記するとともに、みだりに他の目的に利用することのないよう依頼者に要請すること。

(3)根拠の明示は、法律上の義務であるので、そのために行った価額の査定等に要した費用は、依頼者に請求できないものであること。

2.取引事例の取り扱い
媒介価額の評価を行うには豊富な取引事例の収集を行い同種、類似の取引事例を使用することが必要であるが、その場合には取引事例の中に顧客の秘密に関わるものが含まれていることを考慮し、収集及び管理は、次の点に留意し、特に慎重を期することとする。

(1)取引事例を顧客や他の宅地建物取引業者に提示したり、その収集及び管理を行う指定流通機構に報告する行為は、宅地建物取引業者が法第34条の2第2項の規定による義務を果たすため必要な限度において法第45条及び第75条の2の「正当な理由」があると解されるものであること。

(2)収集する情報は、価額の査定を行うために必要な成約価額、成約の時期、物件に関する情報とし、取引の当事者の氏名等の情報については、収集をしないこと。

(3)営利を目的として取引事例の伝達の事業を営むこと及びこれを行う者に取引事例を漏らすことは、「正当な理由」があるとはいえないので、許されないこと。

(4)取引事例のデータを利用できるのは宅地建物取引業者に限定すること。

(5)宅地建物取引業者は、媒介価額に関する意見の根拠として適当な取引事例について説明する場合には、依頼者にその取引事例をみだりに口外しないよう要請すること。また価格査定マニュアルの評価内容を書面で渡すときはその旨を説明すること。

(6)売り急ぎ、買い急ぎなど特殊な事情のある取引事例は、収集等の対象としないこと。


以上の通達に基づき、「4.物件化に向けた調査」によって得られた各調査結果に基づき、当社の場合においては査定の基準は上記通達及び通知に記載のある価格査定マニュアル(財団法人不動産流通近代化センター)を用いつつ適切に媒介価額の査定を行ないます。・・・

価格査定マニュアルの基本的な価格査定の方法(土地の場合;概略)
1適切な事例地の選定
1.取引事例は売り急ぎ買い進み(買い急ぎ)などの特殊事情による地域の価格水準と乖離するものは排除し、可能な限り多く事例を収集すること。2.取引された時期が直近のもの(過去一年程度が限度)3.査定地と可能な限り同品等、同規模の事例地を選定すること。4.中心街(大都市圏に置いては最寄駅)から徒歩20分以内(10分800メートルとして1600メートル)までを徒歩圏、これを超える場合にはバス圏とし、査定地と同じ圏内にある事例地を選定すること。

2事例地の単価の把握(事例地の取引価格を実測面積{公簿売買の場合には公簿面積)で割り、1u単価を求める)
1.事例地が私道を含む場合には、私道にかかる面積を除いて事例地の単価を求める。2.事例地は更地があれば好適であるが、ない場合には家の建っている建て付き地の取引事例を選定することが可能。3.後述の建物の場合のマニュアルを参考に建物価格を算出し、その価格を取引価格から差し引き、残った金額を事例地の面積で割り、単価を求める。4.求めた事例の単価が周辺の相場(価格水準)と照合して妥当とされた場合のみ、その価格を事例地の単価とする。

3住宅地としての条件比較(事例地と査定地の其々につき、条件を比較し「4.物件化に向けた調査」等の項目等について格差を判定して評点を求める)
1.大都市圏とそれ以外では条件格差基準につき相違がある。2.より精度を高めるため、複数事例を採用し、比較すること。3.条件格差基準がその地域の実情にそぐわない場合には、適宜修正すること。

4査定価格の算出
事例地の単価×査定地評点÷事例地評点×査定地の面積×流通性比率=査定地の価格(総額)1.市場性の優劣により必要と認められる場合には「流通性比率」を用いて査定価格の調整ができる。2.査定物件に戸建住宅が建設されている場合「流通性比率」は土地建物一体として用いるため、土地建物価格の算出時に行なう。※流通性比率:査定地が流通させる市場において売りやすいか売りにくいかという観点から求める。

(1)単価と総額の関係(単価が妥当でも面積が大きく、総額が大きくなって売りにくい場合など)

(2)査定地周辺の住宅地域の需給動向(需要の極端に弱い地域で売りにくい、供給のめったにない地域で売りやすいなど)

(3)査定地周辺の住宅地域における新築物件の需給動向(新築物件の供給が多く、中古物件が売りにくいなど)

(4)駐車スペースがなく売りにくいなど

以上の他に・・・物件の存在する場所の地域特性 ・販売動向 を加味して、その地域により検討・判断の材料を加減して査定します。

なお、建物(土地付・戸建住宅)の場合も考え方は基本的に同じですが、建物独自として次のとおりとなります。
建物の査定法の考え方
屋根・外壁・天井・壁・床・開口部・設備等に使用している建築材料および状況等調査
住宅の性能、付加価値として考えられる設備、あるいは工事関連図書の保有の状況等調査
以上の調査から・・・

部位別現価率;建築後の経過年数に比例して減少した建物の価格が、新築価格に対し、査定時点でどの程度あるのかを示す比率。

「住宅性能」率;建物はその性能(仕様)によっても経済的価値が増減することから、高性能な住宅の場合、標準的な住宅に比べ建築費も高価になる。「住宅性能」率は建物の性能に応じて、査定価格の割増を行うための比率。

「付加価値」率;建物の付加価値的な要素を評価し、査定価格の加減を行うための比率。付加価値と認める設備の保有、重要な設計・工事関連図書を保有する場合は経済的価値を考慮し、建物の価格を補正するための比率。

「補正」率;建物の外観、施工、外構等を評価し、その状況に応じて建物の価格を加減するための比率。

流通性比率;査定する戸建住宅が中古流通市場に売り出された場合、「売りやすいか、売りにくい物件か」を判断して、マニュアルによって算出された結果を増減するための比率。流通性比率は土地建物マンション共に考え方は同じ。
1.新築価格(単価)の算出査定する建物と同じ建物を査定時に新築すると、いくらで新築できるかを考え、新築価格(単価)を求める。 『標準建築費』に『標準建築費部位別価格構成比』を乗じて、部位ごとの標準建築費を求める。 部位ごとの標準建築費に『部位別品等格差率』を乗じ、次に建物の規模に応じて規模修正する。 以上により、部位ごとの新築価格が算出される。
2.現在価格(単価)の算出建築後の年月の経過によって減少した建物の価格を差し引いた建物の残存価格、すなわち『現 在価格』(単価)を次のような考え方を基にして求める。 ※部位別の現在価格は『部位別新築価格』に『部位別現価率』を乗じて求める。
3.査定建物現在価格(単価)の算出査定建物の現在価格(単価)を次のような考え方を基にして求める。 ※『査定建物現在価格(単価)』は部位ごとに算出された現在価格を合算・集計して求める。
4.建物価格の算出建物価格を次のような考え方を基にして求める。 ※建物の現在価格は『査定建物現在価格(単価)』に『総延床面積』を乗じて求める。 ※ 『「住宅性能」率』、『「付加価値」率』、『「補正」率』によって建物の価格を調整する。
5.土地部分の価格の算出別途、土地の価格を求める(土地の価格査定マニュアルを併用し同時に算出)。
6.戸建住宅価格の算出建物の価格と土地の価格を合算する。これが戸建住宅価格となる。
7.戸建住宅価格の調整最後に、必要に応じて、戸建住宅価格を『流通性比率』によって調整する。


※マンションの場合にも、土地の考え方と同じで(建物のような査定する建物と同じ建物を査定時に新築すると、いくらで新築できるかという考え方は採りません。何故ならばマンションの建替えは法定事項で個人の所有者の意向には沿わないからです)、他に「4.物件化に向けた調査」によって得られた各調査結果に基づき、マンションのグレードや保守管理状況等が査定要因となります。

以上の方法により査定した結果を、価額として提示します。以上の査定結果と詳細を法律上の義務である「媒介価額」の意見根拠として明示します。

※但し根拠の明示というのは、あくまでも媒介契約を締結した場合に当って明示することが法律上の義務であると解する事ができますし、法律上の義務であるからこそ「昭和57年5月13日 建設省計動発第68号 建設省計画局長不動産課長から各関係業界団体あて通知(抄)」によって費用を請求してはならないこととなっています。この場合、媒介契約の締結に至らない場合には調査料として請求があっても止むを得ないのではないかと思いますが、媒介価額のおおかたの推定は予備調査の段階で把握できます。この段階で、希望値に近づかない或いは近づきそうにもないという感触や、業者からそのような示唆があった場合には、媒介契約を前提とする本調査を依頼しないことと、また依頼するにしても別の売却の方法の提案を受けて且つそれが希望値に近似し、売却に至る蓋然性が高まらない限りは媒介契約を締結することを諦める必要があると思います。
6.媒介契約
媒介契約の種類
一般媒介 依頼者は他の宅地建物取引業者への依頼が制限されないため、取引の機会が増える可能性がある。
宅地建物取引業者は成功報酬を得られる保証がないため、積極的な媒介及び販売を行わない可能性がある。
重ねて媒介や代理を依頼した宅地建物取引業者を明らかにする明示型とこれを明らかにしない非明示型とがある。
専任媒介 依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて媒介や代理を依頼することが禁止される。
宅地建物取引業者は他の宅地建物取引業者が媒介をすることがないため、取引の相手方を積極的に見つける努力が期待でき、依頼者としても成約までの期間が短縮できる可能性がある。
宅地建物取引業法により専任媒介契約の期間は3か月を超えることができないこと、依頼者の申し出によりこれを更新するときも更新のときから3か月を超えないこと。
宅地建物取引業法により宅地建物取引業者は2週間に1回以上依頼者に業務の処理状況を報告すること。
宅地建物取引業法により宅地建物取引業者は媒介契約締結の日から7日以内に指定流通機構(レインズ)に当該物件に関する情報を登録すること。に当該物件に関する情報を登録すること。
専属専任媒介 依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて媒介や代理を依頼することが禁止され、自己発見取引の禁止の特約(依頼者は、媒介を依頼した宅建業者が探索した相手方以外の者と、売買または交換の契約を締結することができない)としたもの。
宅地建物取引業者は他の宅地建物取引業者が媒介をすることがないため、取引の相手方を積極的に見つける努力が期待でき、依頼者としても成約までの期間が短縮できる可能性がある。
宅地建物取引業法により専任媒介契約の期間は3か月を以内とし、依頼者の申し出がなければ期間の更新ができない。
宅地建物取引業法により宅地建物取引業者は1週間に1回以上依頼者に業務の処理状況を報告すること。
宅地建物取引業法により宅地建物取引業者は媒介契約締結の日から5日以内に指定流通機構(レインズ)に当該物件に関する情報を登録すること。

以上媒介契約の根拠法令

国土交通大臣指定不動産流通機構・通称レインズ根拠法令

なお、上記何れの契約も、締結するときは、国土交通大臣の定める標準媒介契約書によることが望ましいとされています。これは、法律上記載が要求されること以外に、消費者保護の観点から条項が盛り込まれているためです。標準媒介契約書の書式(弊社使用)については、そのサンプルを用意してありますので、TOPページから参照していただくか、下記から参照してください。

きめ細かい報告と連絡調整が期待できるのは、専属専任媒介契約と言えます。業務の処理状況報告に関しては必ず書面で行なうことを約定すれば万全ではないでしょうか。

なお、弊社に関しては一般或いは専任・専属専任の別なく業務の処理状況報告に関しては書面で行い、可能な限り直接赴いてご報告と併せて状況説明と今後採りうる媒介や販売の方法についてご提案しています。なお、標準的な業務処理状況報告書の書式(弊社使用)は、そのサンプルが用意してありますので、TOPページから参照していただくか、下記から参照してください。

あまりお勧めできないのは、一般媒介です。熱心に媒介を進めていったとしても、他業者の動きが見えないと既に売却されている場合には、取引の相手方に対する信用が損なわれる可能性があるからです。

また、専属専任の自己発見取引禁止特約について宅地建物取引業者に報酬を払うか、否かの点で専任媒介契約に傾くところではありますが、ここは専属専任にすることをお勧めします。重要事項説明の項等で後述しますが、円滑円満に取引を完遂させるのに当り、宅地建物取引業者の介在は欠かせないと思います。

不動産紛争事例研究(工事中)などでも後述しますが、以上のような調査項目全てを網羅しつつ、物件の個々の特性は正にひとつとして同じものがないといえる中で、高度な調査能力とその分析能力はやはりスキルのある宅地建物取引業者以外にはなしえないのではないかと思えるからです。
媒介契約書等書式
一般媒介契約書(pdf)専任媒介契約書(pdf)専属専任媒介契約書(pdf)業務処理状況報告書(pdf)


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