奥さまはマジ

作者:火浦 功

表紙・口絵・挿絵:花見沢Q太郎

スニーカー文庫58-5  平成11年4月1日初版

ISBN:4-04-162710-9


奥さまはマジ ―――伊藤家の戦争――― (初出「グリフォン」1993年夏号「やまだ家の戦争」改題)

外交官特権とはいえそんな事が可能なのか? などと、野暮な事を聞いてはいけない。現実にはあり得ないはずの不条理な事が起こってしまう。物語の中では、実際に登場人物が困っために遭っている。けれども、「そうか〜、世の中って油断がならないものなんだねえ」と笑って受け容れてしまうのが、火浦功世界というものであろう。たとえ今、あなたが住まいを構えている閑静な(あるいはあまり閑静でもない?)住宅地の一角に、いきなりゲリラの群が出現し、そこへ戦車まで投入されて「他国の」内戦が行われていようと、そこはそれ、温かい目で見守ってあげようではないか。特に、ゲリラを率いているのが、うら若い人妻であれば、それも難しくはないというものだ。ね? 昔から、ごく普通の恋をして、ごく普通の結婚をした奥さんであっても、ぢつは魔女だったり王女さまだったり暗殺者だったり、ゲリラのリーダーだったりする事はよくある事なんだから。

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父カエル だいじょうぶ事件簿(1) (初出「SFマガジン」1995年11月号「ただのバカ一代」改題)

事件簿(1)って事は、続きもあるのか? いや、ほら、火浦功ですし……シリーズが未完になったり、1だけで終わるなんてよくある話じゃないですか。はっはっはっ……ははははははは。主人公の名なしの探偵が、何ともハードボイルドしていて、でも、それでいて「へへへ」と笑ってしまう火浦世界らしいキャラクターなのがいいですねえ。逆に言うと、こういったギャグ調不条理短篇に登場するのであっても、探偵とはかくハードボイルドであるべき……という作者の思い入れが感じられるわけです。ほんとに好きでなければ書けないでしょう。うんうん。……そういや、彼の使う武術については、今では説明が必要になるんじゃなかろうか? 発表当時は大流行してたんだが……。これ、〈ヴァーチャファイター〉という格闘ゲームの主人公的キャラクター、晶が使う八極拳なんですな。いやあ……流行ってたんだけどな〜(^^;

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てなもんや忍法帖
(初出「SFアドベンチャー」1988年2,7,11月号/1989年2,9号/1990年3月号/「ザ・スニーカー」1994年春号)

てなもんや三度笠。違った。てなもんや忍法帖です。え? てなもんや三度笠って何だって? ……それはお父さんに聞こうね(;‥)/ ……ともかく。最初から笑わしてくれるわけです、忍者漫画ファンには。飛騨の忍者ってだけで、うんうんと頷く方もおられましょう。忍者漫画で飛騨の忍者といったら、仮面を被ったあのヒトですから。近年アニメーションでもリメイクされましたが、やっぱり特撮の方がよろしいです(光あるところに影があったりするのは白土三平の方。こっちはアニメーションね)。こういった、時代に隔絶された場所とか、過去から来た人が、とんちんかんな事をする……というシチュエーションは、比較的よく使われるものだけれども、さすがは火浦功。忍者漫画ファン、特撮ファンのツボをずぶずぶつっこみながら、面白く読ませてくれます。どうせなら、隕石が落ちてきてうやむやのうちに……というラストも読みたかったものです。

〈1999/03/30〉