《 楽園の魔女たち9 》

課外授業のその後で

作者:樹川さとみ

表紙・挿絵:むっちりむうにい

コバルト文庫 き5-15  1999年4月10日初版

ISBN:4-08-614572-3


  今回はサラの独壇場でしたね。秀才で、人一倍知識に飢えていて、そのくせ感情の機微には疎いサラの、ずれまくった言動にはなかなか微笑ましいものがあるのですが、学院時代の委員長ティルトの要請で、学内暴力の嵐が吹き荒れる全寮制男子校(ぷぷ)に臨時教師として乗り込むサラというのは、展開が予測されるだけにページをめくる前から笑みがこぼれるというものではありませんか。いや実際、サラの活躍は予測通り、しかも「眼鏡をはずすとめちゃくちゃ美人」というお約束までしっかりおさえてくれて、ナイスではあるんですが、今回の目玉は実のところ、ティルトではないか、と思われます。かつてチョイ役として登場した彼は、21歳の身空で潰れる寸前の学校を押しつけられた元優等生(今でも、か?)の悲哀を背負い、持ち味をいかんなく発揮してくれます。八つ当たりしたいのにできない彼というのが最高に……まぁその。暖かい目で見守りながら、どんどん読み進めてしまうエンタテイメントである事は間違いありません。

〈1999/04/10〉