《 夢の宮3 》

いにしえこうるとり
古恋鳥

作者:今野緒雪

表紙・挿絵:かわみなみ

上巻:コバルト文庫こ7-3 1995年1月10日初刷/1995年3月10日2刷
下巻:コバルト文庫こ7-4 1995年3月10日初刷

ISBN:4-08-614031-4/4-08-614050-0


  この物語はミステリ風に展開される。主人公である萃王女の瑠璃に感情移入して読むなら、サスペンスといっても良い。お互いに好き合っていたはずの婚約者が何故、再会した時から冷たいそぶりを見せているのか、事あるごとに萃に帰らせようとするのか……。それは、鸞王蒼鷹の出生にまつわる疑惑からくるものだった。そして、鸞に落ちる萃の影を、刻々と瑠璃も感じていく事になる。
  一体誰を信じられるのか、何が真実であるのか、なかなかに巧みなミスディレクションによって、蒼鷹同様、避けがたい不幸の予感はどんどん大きくなっていくようにも見える。
  さて、今回夢に囚われている登場人物は、王太后の翡翠である。一人の証人もおらず、また、証を立てられない事情によって、彼女の知る真実は薬でもたらされた夢に封じ込められてしまう。本作の鍵は、まさに翡翠のみている夢にあるともいえる。

〈1998/09/05〉