※超個人的レビューです。ノスタルジックどころの話じゃない。大和和紀自選集1「あい色神話」(講談社コミックス・1999年・KCDX1213)より
「あい色神話」(初出/週刊少女フレンド・1980年)
約20年前、私はこの作品と出会った。
たしか親戚のひとから、もう要らないということで当時流行っていた「はいからさんが通る」の単行本と一緒に頂いたのだと思う。
マンガも普通の本も家にあるものは何でも読んでいた私は、「はいからさん」を読んだ後で当然この「あい色神話」を読むべく手を伸ばした。
…なにこれわかんないよ・・・。
当然の感想である。この作品のジャンルはいわゆる『十年愛』モノといえばいいのだろうか。
舞台は1970年から80年の10年間。ひかれあうもなかなか思いを伝えることのできない二人を当時の流行、風俗(学生運動とその終焉、アングラ劇団、貧乏同棲生活、女性の社会参加などなど)をたっぷりとからめながら描く。
頭脳明晰、優等生のクラス委員であるヒロイン桂子のクラスに転校してきた長髪の問題児、コウスケ。彼は前の高校を学生運動が原因でやめさせられたとの噂もある。桂子は一つ年上の生徒会長の倉田さんと公認の仲であったが、コウスケを知るうちにしだいに興味を持つ。桂子の親友、響子は女優志望のいわゆる「進んでいる」女で、彼女もまた映画監督志望のコウスケに好意を抱くのであった。
文化祭で上映する映画を製作していたコウスケだがトラブルが発生。桂子が協力しなんとか成功に終わり、彼女の中でコウスケの存在が大きくなるが、響子とコウスケのキスシーンを目撃してしまい身を引く。
・・・とここまでが第一章。
この後の第二章は4年後、桂子20歳。
桂子と倉田さんは名門T大学に通い、響子はアングラ劇団の女優、そしてコウスケは映画関係の大学に通いながらバイトで撮影の助手を、とそれぞれの道を歩んでいた。響子、コウスケと偶然に再会した桂子はまだ2人の交際が続いていたことを知る。しかし人間いつまでも変わらないということはありえないもので、やがてコウスケと響子は別れることとなる。(BGMはもちろん「神田川」だね。)そして複雑な心境の桂子は、倉田さんからプロポーズされるのであった・・・。
第三章、桂子22歳。
桂子は自分の気持ちがはっきりしないまま、大学卒業後すぐに周囲に流されて倉田さんと結婚しようとする(この辺りの展開が子供心に結婚の怖さを植え付けられてしまったような・・・)。コウスケのメッセージで我に返る桂子だが時すでに遅し、コウスケは映画の勉強の為に日本を離れていたのであった。
第四章、桂子26歳。
いろいろあって映画雑誌の記者の仕事をすることになった桂子。
そして念願かない映画祭の特別賞を受賞したコウスケ。もう都合良すぎるんですが、運命の二人だったらこういうことってあるんでしょうか?
凱旋上映に帰国したコウスケのもとに取材にいく桂子。四年ぶりの再会で時間が戻る。映画もかくやの盛り上がりぶり。そして二人は・・・。
まあ、とても小学生にわかる内容ではありませぬ。
作中にでてくる『活動家』『闘士』という言葉も自分でものすごい勝手な解釈していたと思うし・・・。
それでもなぜかこのストーリーを理解したく何回かチャレンジして、小学校卒業するくらいにはなんとか理解できるようになった。
それから何年かたったある時、あの名曲『いちご白書をもう一度』を耳にした時に、このマンガのもやもやっとしていたストーリーがバババッと頭の中に形となって蘇った。映画を作っていたコウスケの仲間やコウスケが、マジメに就職活動をすると言って長髪をこれ見よがしに切っていたのには意味があったのね!というような感じである。
ああもう一度あのマンガを読みたい・・・。しかし表紙カバーもついていないようなマンガなんておそらく処分されてしまったのだろうか、この単行本を見つけることが出来なかった。
近年マンガ文庫がさかんに発行されるようになり、有名な先生の作品だからもしかして・・・という望みをかけて探したらみつかったのがこの『大和和紀自選集』(全5巻)。
その中の第1巻、しかも巻のタイトルがそのものだったのでかなりうれしかった。
現在、私は最終章での桂子と同じ年齢になってしまった。10年以上ぶりにこの作品を読み返したが、ありきたりだけれどもこのテーマが色あせていなくて、当時は幼すぎて年をとらないとわからなかったことがさらさらと理解できた。まるで私をモデルにしているようだなどとは言わないが、反面かなりこの作品に自分が影響を受けていたんだな、と思わざるを得ない面も2、3点・・・。
ストーリーの印象は決して「ジェットコースター」ではなく、あえて言えば地方都市の遊園地に昔よくあった「自分で歩いて先に進まないといけないお化け屋敷」のように、ここで多分こうなるんだよなとほとんど判りながらも恐々と前に進みつつ、やっぱりその通りの展開になりながらも心から怖がってみたりするような感じですかな。実にストレートで期待通りの展開の物語がここにあります。あとラストはトレンディードラマなんて目じゃないぜ、というくらいでなかなか来るものがあります。
作中ではっきりと年代と年齢を設定しているので、つい今彼女たちはいくつなのかと想像して(2001年現在、桂子は47歳か・・・)となんともいえない感情を抱かせてくれるのもまたよろしい。
そんなわけで大和先生といったら「はいからさん」「あさきゆめみし」等が有名ですが、私はこの作品が一番印象強いです。