祝・講談社漫画文庫化記念とくべつ企画
大好評につき、またまた昔のマンガを掘り返します。今回ご紹介する「あこがれ冒険者」(以下、「あこがれ」と表記)は、私が「なかよし」の漫画の中で一番好きだったあさぎり夕先生(今はボーイズラブ作家をやってるみたいですね)の作品で、その中でも特に好きだったもの。
当時は小学生でお金も無くて、月に1冊しか雑誌は買ってもらえなかったため「なかよし」は当時の親友のジンちゃんに毎回見せてもらっていた。お目当てはこの「あこがれ」といがらしゆみこ先生の「ころんでポックル」(?)、松本洋子先生の赤川次郎原作ミステリもの、と言ったところだった。
でもやっぱり「あこがれ」が一番好きで、ジンちゃんと一緒に
「こんな訳あるはずないじゃん」「この女ムカツク〜」
などと突っ込みつつも、普通の本屋より1日早く発売するところまで買いに行ったりして、とにかく楽しんでおりましたとさ。
小松崎美夜(愛称;ミィ)はおてんばで可愛くてスポーツ万能の学園のアイドル。そんな彼女の夢は冒険家になって、大好きな一馬(カズくん:考古学の研究の為にアメリカに留学中)と一緒に世界中を探検して回ること。
ある日一馬が突如、お土産に宝のありかが刻まれた不思議なグリフィン(体が翼のあるライオンで頭が鷲の、伝説上の動物)のメダルを持って帰国してくる。だがそれを手にしたときからミィの周辺では不審なムードが立ち込め、何者かに襲われた一馬は連れ去られて、メダルも奪われてしまう。東京とニューヨークを舞台に、一馬とメダルの謎を追ってミィと大勢の魅力的な男性キャラクターが繰り広げる、ノンストップミステリーアドベンチャー。
単なるラブストーリーでなく、メダルに隠された伝説やミィの出生の秘密などぎっしり詰め込まれていて、ついつい続きが気になってしまう作りに当時は夢中になったものである。
妄想炸裂!逆ハーレム状態。
れんさい当時から思ってたんだけど、登場キャラクターの男女比がアンバランスすぎ。
ヒロインが複数の男性から愛される、という次元を超えて、どうも男性キャラクター同士の何か(笑)を描こうというあさぎり先生の意志すら感じられて、いい。
出てくる男出てくる男、もう様々なタイプを取り揃えていて、友達どうしで「私は○○がスキ!」と盛り上がれることこの上ない。
ミィの初恋の人 一馬(カズくん)は学者肌の年上のお兄さんタイプで優しく、一馬の弟の淳(こいつもミィのことが好き)だって、中学テニスの日本チャンピオンのさわやか君である。
メダルを追ってミィの学校に転校してきて、後にミィと行動を共にすることになる,スペングラー=光児はアメリカの財閥のぼっちゃまで、一見軟派で無計画無鉄砲なんだけれど、いざやるべき時にはやるというタイプ。
光児の部下のシンは良くある「アサシン」的というか、無口で目的の遂行だけを考えるクールなタイプだけれど、それゆえなおさらふとした時の優しさ(誰にでもというわけではなく、ことヒロインに関して)がいい。
更に舞台がニューヨークに移ると、インディオ系超ワイルダー、正義と先祖の誇りをかけて戦う『男が惚れる男』、キングが登場。
その後、ヒロインに運命の相手を騙って近づくニール君なんてのも、まるでどこかの王子様のように気高く優しく美しい。
それでもって無敵のヒロインが
「カズくんが好き、光児くんも好き、キングも好き、でもシンにも側にいてほしいの!」
なんて言ってくれちゃうのである。このひとことに、全てが集約されてしまうよホント。
ふざけんな!ああ、でも解る・・・と絶対ありえない、にもかかわらず自分と同一化する少女たちの姿が目に浮かんでしまう。
ヒロインのキャラクター設定があまりに現実ばなれしていて感情移入なんてできそうもないんだけど、それでもやっぱり夢中にさせられるのはどうしてなのだろう。不思議だ。
そして、この魅力的な男性キャラクター達は、実は男同士でもぐじゃぐじゃっとするんである。
キングには従うくせに俺には駄目なのか、とか・・・。たまらん。
マンガ好きの少女のもうひとつの傾向を巧みに捉えた、まさに一粒で二度おいしい構成であるといえよう。
ザッツエンターテインメント!
「『危ない!』と逃げた瞬間に大爆発」
「何か行動を起こすと必ず裏目に出る」
「なぜか記憶喪失」
「宝物は心の中に」
とか、お約束シーンがこれでもかと連発される。やっぱり、こうじゃなきゃ。
元祖RPGコミック
これは文庫版のキャッチコピーなんだけど、この文句はダテじゃない。
武道のできる女の子(出生の秘密あり)が、伝説と不思議な力に導かれて行方不明の恋人を追い旅をする、という今となってはありがちな話だけれど、なんとこれが昭和60年、今から15年位前の作品なのだ。
時代を先取りしたなじみの無い話ゆえ、あまり「なかよし」読者の一般ウケはしなくて、連載が予定より早く打ちきられたとのことである。私周辺では大人気で、友達のうち70%(概算)はこの話に盛り上がるのだけれど。
でもテレビ朝日の日曜朝8:30分からのアニメで放送すれば、いまでも結構通用するんじゃないかと思う。
そんなわけでこのマンガ、とうとう文庫化(全2巻)されて読めるようになったことを喜びつつ、
次世代に語り継いでいきたいものであります。
また、近々にあさぎり夕先生の他の作品もいくつか文庫化されるそうなので、要チェック。