今回は「なかよし」連載の中でも初期の頃の作品を集めてみました。いやぁ、あの頃のマンガ好きの女の子のツボを見事につく展開がいいです。麻薬っぽい。
(昭和55年〜56年「なかよし」掲載)
原作があの「キャンディ・キャンディ」で一大ブームを巻き起こした水木杏子先生。そこにあさぎり先生ですからもう女の子が引き付けられるのは仕方ないって感じの作品ですよこれは。
この作品あたりからあさぎり先生の黄金のパターンってやつが確立していったんじゃないかなぁ、と思う。恋愛をドラマチックに見せるやり方とか登場人物のパターンとか。
◆ストーリー
占い師の両親を持つヒロイン、高倉きららは逆立ち占いの得意な女の子。いつか南の国、トンガに行って幼稚園の先生になるという夢を持っている。ある日初めて自分のことを占ったところ
『ロミオとジュリエット』『運命的な出会い』『二度助けられる』
という結果が…。そしてもちろんその通りに(笑)ステキな男の子、野坂彬彦さんと出会うのだが、実は彬彦はきららの母と対立する占い師、ミスター・カルデアの息子だった!
もちろんお互いの親は猛反対、きららも彬彦がスパイ目的で自分に近づいたのではないかと不安になる。そんなときパリ(!)から彬彦の昔の恋人、麗奈が帰国してくる。積極的な麗奈に圧倒されるきらら。果たしてきららと彬彦の運命はいかに…。
もちろん「いじわるな同級生」「ヒロインに思いを寄せるやんちゃな幼なじみ」「その幼なじみの事が好きなヒロインの友人」等などの脇役も充実。
◆みどころ
当時の風俗がさりげなーく織り交ぜられているのがまた貴重な感じでよろしい。
「イルカ」のコンサートに出かけたり、恋人同士ならこれくらいしなくちゃね、とペアルックのTシャツ着たり、原辰徳が新人王を取れるか占ったり。
私のお気に入りのシーン、台詞は、彬彦と麗奈の良いシーンを見てショックを受けたきららが、幼なじみの光太郎に頼んでバイクで飛ばす(当然無免許!)ところ。
まあよくあるパターンなんだけどさ…。
「おれはきららが好きだ!
ずっと小さいころから大好きだ!」
「おまえもおれを好きだって言え!
いわないともっとスピード上げるぞ!」
と、まあパワフル。
ハラハラアクションシーンとラブラブシーンが融合してるところがさすがあさぎり先生!って感じ。映画的だね。
ラストはさすがマンガだぜ!って感じで、しかもちょっとバタバタしてるんだけど子どもの目にはちょうどいいかもしれない。とにかく見事なあさぎり先生パターンが楽しめるので、他の作品と読み比べてみると味わい深いかもしれない。
(昭和56年〜57年「なかよし」掲載)
文庫表紙見返しのあさぎり先生のお言葉によると「いまだに一番好きな作品はと聞かれると『あいつがHERO』をあげます」とのこと。表紙イラストは女の子1人、男の子3人。いや、だからどうしたってことは無いんですが(笑)…。
文庫になって手に入りやすくなり、しかも番外編3作(脇役のサイドストーリーというか後日談というか)まで収録されている。良い時代になりましたね。
◆ストーリー
ヒロイン、若菜は5つのときに屋根裏部屋で見つけた童話の本に出てくる「ライラックの花の王子様」に恋する夢見る乙女。しかし高校入学早々、突然パパが婚約者を決めてしまう。その婚約者とは乱暴ものの剣道部部長、竜くんであった。無理やりに剣道部のマネージャーにされて、こき使われる若菜。そんな時に「ライラックの王子様」そっくりの男性が目の前に現れる。実は彼は若菜のいとこの一人くんで、彼の両親の仕事の都合で若菜の家に同居することとなる。理想を絵に描いたような一人くんに惹かれる若菜だが、一方乱暴ものの竜くんが時として見せる優しさ、激しさにも次第に惹かれてしまい…。
若菜をめぐって2人の男が決闘(まるで『けんかをやめて』の歌の世界だ)、「ライラックの花の王子様」に隠された若菜の出生の秘密(ここらの展開は非常にデジャヴを感じるんだけど、いたしかたないんだろうなぁ)、竜に惚れてるスケバン「紅バラのお京」(笑)のイヤガラセ、一人の通う高校の美人のマドンナが実は番長の女で性格が悪い、など女の子の憧れる要素、願望が随所盛り込まれているのも見逃せない。
◆みどころ
全編通しておいしい展開で、どこもかしこもみどころ満載な作品なのだが・・・
一応「同居もの」でもあるのでお約束の「お風呂に入っているトコロを覗かれる」というシーンもあったりするよ(覗かれるのは男性、一人くんの方だが)。
お楽しみのラブラブシーンは例によってドラマチック仕立てで、必然的だがどことなく強引で生々しくも憧れる、そんな感じ。
高いところから飛び降りたはずみで、とか降りしきる雨の中で、とか。
あんまり夢見せないでくれ。教育にわるい(ウソ)。
絵に描いたようなあさぎり先生の典型的ヒーロー、竜くんの魅力ときたら大したもので、剣道の試合に勝ってサワヤカに笑ってるところなんかは、当時の女の子にはたまらなかったであろうと思われる。絵柄がちょっと粗削りっぽいところがまた堪らない。
恋のライバル、お京も「実は」すごくいい奴だった!というお約束シーンもなかなか来るものがあって危険。あさぎり先生は「強い女」キャラクターに力入れてるな〜と実感させられる。
同時収録の番外編「あしたからのHERO」は竜と友人のジョー(元暴走族のヘッド)のワルだった中学時代の悲しい恋の物語、「センチメンタルHERO」は一人が若菜に振られてアメリカに留学してからの後日談、「呼ばせてMYヒーロー」は剣道部の仲間、一平くんと幼なじみのまゆ子ちゃんの不器用ラブストーリー、と盛りだくさんで至れり尽くせり。
特に「あしたからのHERO」は本編を読んでから読むと、キャラクターの性格、ストーリーに説得力が感じられてなかなかよいです。
とにかくカッコイイ「HERO」たちの物語を楽しめて、誰でも誰かの「HERO」になれるなんて夢を見つつ、当時の気持に戻ることの出来る作品。冴えない現実に疲れたときに読むといいかもしれません。
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