あさぎり夕作品Vol.3

 

花詩集 こでまりによせて

(KCDX 講談社コミックス 1999年)

 

あさぎり夕先生、デビュー3年目の作品群、ということで
「花詩集 こでまりによせて」「わたしの恋は星まかせ」「秋色ポートレート」
の3作品を収録したもの。昭和50年代最初の頃の作品ということになるのかな、3作品とも少女たちの切ない学園ラブストーリーでかなり「乙女チック」系はいってます。


花詩集 こでまりによせて

ストーリー

病弱なヒロイン、真澄は家の庭に咲くこでまりの花をこよなく愛する夢見る少女。高校入学早々、1枚のポスターがきっかけで児童文化研究会の部長、明と出会う。人形劇に情熱を注ぎ、子供たちを励まそうとする明の姿に惹きつけられていく真澄。しかし明が人形劇に打ち込むのには悲しい過去が影響しているのであった。

真澄は明の心を救うことができるのか、そして想いは通じるのか…。

明に想いを寄せる恋のライバル冴子(もちろん美人)、明のよき理解者で親友の京四郎(長髪にメガネのナイスガイ)など、あさぎり先生の定番キャラクターが話を盛り上げてくれる。

 

みどころ

「病弱なヒロイン」と「トラウマ持ちヒーロー」のラブストーリー、というかなり切ない系のお話。
ヒロイン真澄の成長ぶりももちろん描かれてますが、何といっても力が入っていると思うのはヒーロー、明の悲しい過去(けっこう尋常ではない壊れ方だとおもう)と仲間たちによってそれを乗り越えるところ。っていうか後半はそっちの方がメインみたいな感じ。

苦悩する明と何とかしようとがんばりすぎる真澄(と仲間たち)。しかし病弱なヒロインががんばるとその結果がどうなるのかは自明であって、まあ書くまでもないけどやたらと倒れたり熱を出したりするんですが、そんな状況に女の子というものが憧れを持ってしまうのもまた事実であったりするし。そんなわけでわたしは結構好きだ。

「こでまり」の小道具としての使い方も、かなりキラキラしてて乙女チックで恥ずかしくなってしまう位だけど、そこがまた良い。


わたしの恋は星まかせ

ストーリー

ひっこみじあんな美術部員、秋子には通学電車の中でいつも見掛ける気になる男の子がいる。
偶然にも彼(等くん)が絵のモデルとして秋子の美術部にやってくるという幸運に恵まれるものの、等くんに目をつけた積極的なライバルに圧倒されてしまう。見かねた星占いの得意な親友、泉のアドバイスをもとになんとかアプローチしようとする秋子だが・・・。

 

みどころ

切ないといえば切ないのですが(等くんと秋子の間には幾度か誤解が生じてしまう)、この短編集3作品の中では一番明るく、精神的余裕を持って楽しめる作品。暗い過去一切なし。

悪い占いほど気になってよく当たり、良い占いほど当てにならないというお約束が見事に表現されていて、ちょっとうれしくなってしまう。

現実の空間が、恋の魔法によってステキな夢の世界になってしまうという妄想チックな表現(例えば通学電車が銀河鉄道になってしまうんだよ〜)もまたよろしい。


秋色ポートレート

ストーリー

写真大好きな高校生、千里は過去の交通事故がもとで左足が不自由。幼なじみの薫に連れられて出かけた大学の学園祭でハンサムで心優しい写真部員、翔と出会う。
千里は自分に生きる希望を与えた写真家、池端氏の写真と翔の写真の映し出すものが似ていることが気になり、翔のことも気になっていく。翔もまた千里の過去を知り、千里にひかれるようになっていく。
だが、翔は家庭の事情で写真家になる夢をあきらめるよう説得されていたのであった…。

 

みどころ

こいつは読む前に覚悟しておくのが良いであろう。かなり切ないぞ。

ヒロインの少女にだけでなく、ヒーローにまで容赦なく降りかかる過酷な運命。
それは反則だぜ!といいたくなるような(そうでも言わないとマジで泣けてしまうともいう…)心憎い設定とストーリー展開。あくまで健気なヒロインと夢をあきらめないヒーロー。
いわゆる「いい話」になる要素がふんだんに詰め込まれているが、しかしその中を縫ってバリバリとレンアイも行われる。この短編集を続けて短時間で読むとかなりヘビィである。はっきり言って。
いや、それだけ感動ものということでもあるのです。

それにつけても、この作品中に登場する大学生の大人っぽいこと。イカしてます。憧れる。


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