ノスタルジック少女マンガ パート13
「アップルどりぃむ」(著・あさぎり夕 「なかよし」掲載/昭和59年〜60年 KCなかよし全3巻)
日記コーナーにマンガの感想はたまに載せているものの、マンガ系サイトを名乗りながらこのコーナーの更新をサボり続けていてただただ謝ることしかできません。
大変おまたせいたしましたが、あさぎり夕先生の「なかよし」時代の作品の単行本が手に入りこれがまたいろんな意味で面白い!作品なので紹介したいと思います。時系列的には「こっちむいてラブ!」と「あこがれ冒険者」の間あたりの作品。タイトルはなんかエッチなマンガ?(「くりぃむレモン」、とかそんな感じが…)のようにも見えますが(考えすぎ)、いつも通りの明るいあさぎり流学園ラブコメなのでご安心を。ただし主人公の部活は「漫画研究会」。これがまたなんともいえない味わいです。
◇ストーリー&キャラクター
男の子が苦手で、泣き虫で赤面症なヒロイン、いつみはマンガが大好きな中学3年生。親の再婚で血のつながらない兄、由紀(長髪にメガネで、スカしてます)と一緒に暮らしていて、この兄ちゃんがあまりにカッコいい為にブラコン気味でもある。いつみはもちろん将来はマンガ家を目指しているんですが、お友達からは「男の子の絵がヘタ」→「男の子がかけなくちゃマンガ家になれない」と脅されてしまう。そんなわけでいつみ達は志望高校の見学とカッコイイ男性の観察をかねて、マン研のレベルが非常に高いと評判の秋葉高校へ向かう。果たしていつみのマンガの中での理想のヒーロー「青竹のようにまっすぐにさわやかな男の子」のモデルにふさわしい男子は見つかるのか?と思っていたら現れました、無口でロンリーウルフタイプ(お約束でバイク好き)の一色さん。いきなりバックに青竹をしょって登場(笑)、そして次のシーンでは笑顔で子猫と2ショット…なにもそこまでやらなくても、と思ってしまうくらいのベタさがたまりません。当然いつみは一色さんに一目惚れ。やがて秋葉高校に合格したいつみたちは早速マン研に入会、偶然にもマン研の部長、望月さんと一色さんが親友ということでうれしい再会を果たすのですが、一色さんはそっけないしおまけに親友の桐子(美人で武道の達人でバイク好き。かっこいい。)が恋のライバル宣言!さらに何故かお兄ちゃんが一色さんのことをよく思わないみたいで前途多難の模様…。いつみの恋、マンガ家への夢、一色さんの過去、お兄ちゃん→いつみへの複雑な気持ち、などが絡まりあってストーリーは進んでゆきます。
◇みどころ
・これってあさぎり先生?
学園モノで欠かせない「主人公のクラブ活動」が漫画研究会ということで、ヒロインはマンガに打ち込んでいます。まあそれはいいんですが、マン研の女の先輩のキャラクターがなかなか興味深い(笑)。
「不良とホモはいまや少女まんがの必須条件」
「男がいまいちだな 色気がない」
などというセリフが出てきて、作者のあさぎり先生の心の声が炸裂。いつみちゃんの描く男性キャラはホントにちょっと…って感じですがたしかにあさぎり先生の男性キャラは上の条件を満たしすぎています(苦笑)。余談ですが一色さん&望月さんの過去のエピソードはその筋の方にもかなり満足できると思われます。この部分だけで短編が1作作れそう。
いつみのマンガへの熱い思いもなかなか素晴らしく(何かに打ち込む事が大切、ということを教える教材に十分なりえると思いました)、これもあさぎり先生の心の声なのかも。
マン研周りの小ネタが妙に細かいのも(夏の即売会がどうした、とか)面白い。・おいしいところ総取り。
基本的に天然ドジ子のいつみ。かなり思い込みが激しくて、良かれと思って行動することが全て裏目に出る(そしてもれなく周りに迷惑をかける)タイプで、実際にまわりにいたらちょっとウザイ…という感じなんですがマンガなのでうまいこといきます。無謀にも番長グループに絡まれそうになったり、マン研の合宿に行けば道に迷ったり海で溺れたり(この後はもちろん人工呼吸(フフフ…)に流れます。そういや「ときめきトゥナイト」でもあったな)一色さん、これじゃ一生苦労しそうですが頑張ってください。
ラストはかなりバタバタで、お兄ちゃんや桐子さんの扱いにやや不満も残りますが、ぶっきらぼうでつれなかった一色さんの変貌ぶりなどがほほえましくて好感が持てます。ストーリー中に番長グループ(苦笑)関係のネタがけっこうあって、今読むとさすがに時代を感じさせられますがそれもまた良し。夢の実現に邁進するヒロイン&ヒーローの姿が、なにか元気を与えてくれる作品だと思います。