ハングリーハート

(高橋陽一・秋田書店/少年チャンピオン掲載・2002年)

単行本オビの宣伝文句は
『あの高橋陽一が贈る 高校サッカー青春グラフィティー』
とありまして、そういわれたらもうこれは読むしかないでしょう!と思って購入。期待を外すことなく、やはりいつものようなどこか踏み外した陽一先生ワールドがそこには繰り広げられておりました。読み始めて最初の5分間の展開についてこられるかがカギかな(苦笑)。

・ストーリー&キャラクター

天才サッカー選手(セリエAで活躍してるそうです)の兄を持つ主人公、叶 恭介(なんか微妙なネーミング…)。恭介は子供の頃から兄のようになりたい、兄とプレイしたい、と願いサッカーをしてきたが、ある事件をきっかけにサッカーと訣別、今では髪の毛をオレンジ色に染めてケンカ三昧のやさぐれた日々を送っていた。高校でも兄のことは隠し、サッカー部とも関わらないようにしていたが、ひょんな事から女子サッカー部のコーチを依頼されることになる。で、この女子たちや男子サッカー部のマネージャー(事故で足を悪くしてしまいプレイできないという設定)と関わるうちに次第にサッカーへの気持ちが戻ってきて、兄へのコンプレックスなども乗り越えてやがて全国大会出場を目指してチーム強化中のサッカー部に入部をする、というような流れ。展開だけ考えるとなかなかまともでいいお話なんですが。

・みどころ

上のように基本のストーリーはなかなかいいのですが、どうも読んでいると個人的には「感動<笑い」の感情になってしまうんだなこれが。特に第1話のドタバタは、シリアスなお話を若干期待しつつ読んでいたのでなんだかだまされたような気もしないでもない(まあ面白いんですけどね)。いきなり街角で歌いだすし、出てくる女の子はあきれるほどミーハーでおバカだし、この期におよんでもサッカーテクニックは相変わらずの物理法則を無視したようなやつだったり、と「誰か止める人はいなかったのか…」と思ってしまうくらいの悪ノリ…というか、陽一先生はマジでこれがいいと思ってやってそうなところがなんとも言えない味わいです。笑うべきところではないところで自分は笑っているのではないかという不安が少し胸をよぎることも。

女の子キャラクターのパターンの少なさ(おてんば娘or控えめで家事得意系、という感じ)も、いくらラヴがメインのお話じゃないとはいえちょっとどうかと思うんだけどな。苦手ならいっそのことラヴ要素抜きでやればいいのに…とも思いますが、個人的には高橋先生のお話の中で繰り広げられる蛇足のような不器用ラブストーリーはイヤだイヤだといいながらもつい見てしまったりする(笑)。

最初は基本のシリアスストーリーとギャグ(のような描写)のミックス加減がなんだか妙なあんばいで、どっちのモードで読めばいいのかたまに戸惑いますが、第2話以降はわりと一気に引き込まれてすんなり読めると思います。感動シーンへの持っていき方の独特のリズム(やりすぎてギャグに感じられるときもありますが)もさすがという感じ。サッカー部のメンツも個性的で、これからいろいろありそうなので今後も単行本チェックをしていきたいと思ってます。


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