◇特集・大久保ニューの世界

ごぶさたしております。普段このサイトでは懐かしめのマンガを紹介していることが多いのですが、読んでみてとてもオススメしたくなったので今回はいつもとちょっと目先が変わった作品を取り上げております。

この方は今、わたくし的にイチオシの作家さんです。作品は「Comic Cutie」に掲載されている様子。
まず私が知ったきっかけというのがなんと地元の新聞「信濃毎日新聞」だったりします。この新聞はお世辞にもあまり面白くないというか読むところがない(特にスポーツ面と女性コーナーはヒドイ)のですが、毎週土曜日にマンガ家を1人取り上げてその作品や人となりを紹介するコーナーがあってこれがなかなか面白いので毎回楽しみにしておりました。
で、そのコーナーで「大久保ニュー」が取り上げられ、単行本「薔薇色のみっちゃん」と「ニュー・ワールド」の中のシーンやセリフが掲載されていて「おおっこれは!」と思って本屋にさがしに行ったのですがなかなか売っていない…。まあお近くに「ヴィレッジヴァンガード」があればそこで容易く入手できます(私も行く機会があったのでそこで買いました)。まだこの2冊しか読んでいないのですが、個人的には追いかけていきたいと思っています。

「で、どうゆうお話なわけ?」

「ヴィレッジヴァンガードで売っている」ということで、まあそっち系の…というイメージがありますがそれは半分当たっていて半分外れています。
「薔薇色のみっちゃん」(宝島社)は思い込みが激しくて『透明感のある存在』を自称し緒川たまきを崇拝する女の子のみっちゃんが、そのちょっとずれた妄想パワーで巻き起こすラブコメディーという感じ。どちらかというと「ヴィレッジヴァンガード」的なものを外から眺めてギャグにしている印象です。
そして「ニュー・ワールド」(青林堂)のメインのお話は、ちょっとナマイキな(当然、自分は「人とはちょっと違っている」とか思いがちな)美術専門学校の学生のマミコと友達の花沢さん(いわゆる「言いたがり」な方)が繰り広げる友情と恋と東京ライフ…といったところ。マミコが序盤で自分に自信をなくしてしまうのですが、花沢さんとの精神論っぽい会話を通して少しずつ成長していくというちょっと「いい話」がベースに流れています。でもマミコや花沢さんのキャラクター設定にはやはり「みっちゃん」と同じような視点のギャグが入っていて楽しい。また花沢さんのセリフはかなり痛いところをついてくるんですが、ストーリーの中でも痛そうなことになっていて、読者への痛みはすこし中和されているかなという気がします。

で、なぜ私がこの方の作品にココロ惹かれてオススメするかというとですね、なんというか最近まっとうな女子であるために「ステキな自分」を目指したりそれであることを強要されたりというような風潮がちょっときついかな、とほんのちょっぴり感じていて(いや、ステキな自分を目指すことはもちろん素晴らしいのですが)…。やっぱり基本的には女子というのは男子に選ばれるものだと思われまして(まあ一般的な話としてね)、そこで選んでもらう為には容姿が可愛らしかったり性格が良かったりキラリと光る何かがあったり、とあるわけですが今やメイクやダイエットなどで容姿はみんなそこそこ。美人で性格いいのなんて当たり前、これからは内面からの輝きだ!というわけで常に問題意識を持たなきゃ、自分の世界を広げなきゃ、何か他の人とは違う自分の売りを探さないと、となるわけなんですが(私だってこんなページ作ってますしね)しかしそんなことがどうにも息苦しく感じてしまったりというのが私の場合たまにあります(この時点で負けでしょうか?)。「なんか変わったこと言わなきゃ」とか「ここらへんは押さえとかなきゃ」みたいな時とかありませんか?

…とまあそんな世界を、大久保ニューの作品のキャラクター達も不器用に生きておりまして、その痛さ加減などが非常に心の隙間にフィットしてくるわけです(個人的にですが)。人と違う自分を過剰に求める登場人物たちの姿を笑いつつも、自分を振り返ってみるとたぶん、いや絶対少しは思い当たるフシがあるというか。ある意味自嘲ですが、しかしそれでも笑ってしまうくらいにギャグがさえています。で、ギャグだけじゃなくてちょっと満足できるようなお話もあるんだよな。
絵柄はかなりザックリした感じですが、読んでいるうちに妙に透明感(笑)があるような気がしてきます。無駄な線がなくてスッキリしているからかも。
あまり広めないでこっそり楽しみたい、という気もしますがやっぱり多くの人と分かち合いたい!と思います。見かけたらぜひどうぞ。


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