うつ病圏の疾患


 うつ病とはどんな病気か?

うつ病は現在、気分障害の中に分類されています。脳の中のセロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の代謝異常がその発病に関係しているということが最近の研究で明らかになってきました。

うつ病の症状として、はっきりとした原因がないのに気分がゆううつである、疲れやすい、何もする気が起こらない、朝は調子が悪いが午後から夕方にかけて調子がよくなる、考えがまとまらない、不眠、食欲不振などの症状をあげることができます。

西洋医学的治療としてSSRI、SNRI、三環系抗うつ薬に、必要に応じて抗不安薬、睡眠薬、抗精神病薬などが用いられます。


 うつ病圏の疾患への漢方によるアプローチについて

うつ病圏の疾患の中には、大うつ病性障害、気分変調性障害、特定不能のうつ病性障害などといったさまざまな疾患があります。当院には、漢方治療を希望されて来院されることが多く、軽症から中等度のうつ状態(躁状態を伴わない単極性の気分障害)に対して、漢方治療が有効なことは結構多いように感じています。特に気分変調性障害の方を漢方で治療する機会が多いと思います。気分変調性障害は従来、「抑うつ神経症」、「神経症性うつ病」と呼ばれていた疾患で、慢性で病相をなさない抑うつ症状によって特徴づけられます。

さて、うつ病圏の疾患に対する漢方治療では、体質・病状・環境によってさらに5つの東洋医学的なタイプ(これらのタイプのことを我々は「証」と呼んでいますが)に分けて、それぞれの証に対応した処方をよく使っています。逍遙散(しょうようさん)、ケップチクオ湯(けっぷちくおとう)、温胆湯(うんたんとう)、加味帰脾湯(かみきひとう)、天王補心丹(てんのうほしんたん)などの加減法をよく使っています。また、最近ではエキス剤として抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)をよく使用しています。ただ、臨床的には複数の証を同時に認めることが多いと思います。また、病気の経過や治療の過程で証は変遷していきますので、処方も変わっていくということになります。

西洋医学の治療、漢方治療に限らず、うつ病の治療で大事なことは、焦らずゆっくりと休息をとってもらうことが重要です。また、ご家族に対して、「これらの症状は病気によるものであって怠けではない、叱咤激励するのは禁物」ということを説明することも重要です。温かく見守ってあげることが大事であるということです。


 

 漢方ナビ・今月の先生第4回
「うつ病圏の疾患への漢方治療」について院長へのインタビュー記事が掲載されています.


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