財務金融委員会

2003年5月7日(水曜日)

 証券取引法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇五号)

植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。法案に即して何点か質問させていただきたいと思います。
 まず、証券仲介業者の創設にかかわってでございますが、法案における証券仲介業というのは、金融審の報告「証券市場の改革促進」の中で、投資家の市場アクセスの拡充を図るために、証券会社と顧客の取引の仲介を行う証券代理店制度(仮称)とこの審議会段階ではなっていますが、それにおける基本的考え方が投影されたものだと当然基本的に理解するわけです。
 ちなみに、法案における証券仲介業が、いわゆる法律上の代理権が存しないというのは、金融審がいうところの証券代理店のスキームがそういうふうになっているので、金融審がいうところの代理店制度という言い方をするよりも、証券仲介業という方が実態に即したネーミングだというふうな御判断と、まず初歩的なところですけれども、その点まず確認をさせていただけますか。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 金融審におきまして御検討いただきましたが、部会の下にワーキングというのをつくっておりまして、そのワーキングにおきまして詳細な検討をしていただいたわけでございます。
 そこのワーキングの検討におきましては、確かに証券代理業というようなネーミングを仮称で使っておったわけですが、そのワーキングの報告書の中におきまして、中身の記述におきましては、代理権は有さない、代理権はもともと有すことを予定しておらないというふうな報告書になっております。したがって、名前が適切であったかどうかわかりませんが、証券代理業(仮称)ということは使っておりましたが、意味するところは、もともと代理権は含まないということを念頭に、金融審におきましても御議論いただいたところでございます。
植田委員 質問を続けたいわけですが、気のせいでしょうか、定足数に足りていないように見受けられますが。
小坂委員長 今呼び出しておりますので、質問を続行してください。
植田委員 はい。
 それで、今のところ、まず初歩的なところを確認させていただいた上で幾つか伺いたいんです。
 この金融審の市場仲介者のあり方に関するワーキング・グループの報告の中で、とりわけこの仲介業の制度の「基本的考え方」として、「多様な投資家の幅広い市場参加を促進する」、そのために「証券会社の販売チャネル機能の拡充を図る」、そういう観点でこの仲介業というものを創設するんだという問題意識を持っておられるようです。そして、その結果どうなるか。まず「販売チャネルが量的に拡大」する、そして「顧客の証券会社へのアクセスが容易となる」、そしてそれとともに、「最低資本金の引下げと相まって競争を通じたサービスの多様化が期待できる。」こういうふうにワーキンググループでは報告しているわけです。
 当然この法案もそういう認識に立っておられるということを前提に伺いますが、「競争を通じたサービスの多様化が期待できる。」というのは、期待してはるだけですから、期待しているという以上、以下ではないでしょう。また、「販売チャネルが量的に拡大」するということは、実際にふえれば、物理的に量がふえれば拡大するんでしょうから、それも言えるかもしれない。ただし、「顧客の証券会社へのアクセスが容易となる」というのは、厳密な意味でいえば、アクセスの選択肢がふえるということすなわちアクセスが容易になるということにはならないと思うんですよ。
 もちろん選択肢がふえることもアクセスを容易にするための必要条件の一つかもしれない。しかし、この「基本的考え方」に立つならば、証券仲介業をこしらえて、要するに、アクセスの選択肢がふえるんですよという以上の意味は、このアクセスが容易になるというところには込められていないという理解でいいんでしょうか。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の証券仲介業は、従来のパターンとは違う新たなツールと申しますか、そういうものをつくるものでございますが、特に議論の中でございましたのは、証券業の支店と申しますか本店と申しますか、証券業の国内における分布というのはかなり都市部に偏在しておる。例えば、各県におきましても、県庁所在地とあと一部の都市しかない、郡部の方に行きますとアクセス自体が容易ではないというような事態がかなり指摘されております。
 したがいまして、確かに、今回こういう証券仲介業のようなものが各郡部等地方を中心にもしできますれば、従来アクセスが非常に難しかった方にとりましても、アクセスが容易になり、したがって市場への参加が容易になるというような効果が期待されるところでございます。
植田委員 余り、お役人さんの答弁としてはちょっとねという気がするんですが。
 それは、投資家の立場からすると、顧客の立場からすると、ありていに言えば、従来の証券会社に属する外務員も仲介業者でも、トイメンに立つ相手が仲介業者であろうが仲介業者に属している外務員であろうが従来の証券会社の外務員であろうが、さして変わらないわけですね。確かに、人がふえた分、選択肢の幅がふえるという意味においての利便性というものは私は否定はしませんよ。否定はしませんけれども、現状でも、実際、証券会社が販路の拡大戦略の中で、例えば一人営業所を設置しているとか、顧客のニーズにこたえる体制は整備しているわけですよね。そしてまた、インターネット等普及しているわけですから、私は株はしませんけれども、実際、我がの口座をこしらえれば二、三週間ぐらいでできる。そして二十四時間、要するにパソコンを立ち上げてやればやれるわけですね。山の中におろうがどこにおろうができるわけです。
 そういう意味で、地方に住んでいるからといって、証券の世界に触れるぐらいの利便性というのは、これはそれぞれの証券会社の経営戦略とか販売戦略の中で位置づけられてきて、利便性は向上しているわけですよね。にもかかわらず、こういうチャンネルを拡大しなければならないほど株式投資のニーズがそんなにあるんですかということ。
 それと、都市圏に証券会社が偏在しておりますといっても、普通、外務員が、大名商売で証券会社の本社にでんと座って仕事しておるわけじゃないんですよ。きょうは腰痛いから奈良から大阪まで行くのちょっとしんどいんです、それじゃこっちが行きます、まあ待っといてください、私が行きますと言って外務員さんは普通来るものでしょう。そんな、電車に乗ってちょっと暇がかかるとかそういう話のことで、今回の容易になるということの意味を込められても、ちょっとお粗末ではないかと思うんです。
 こんな仲介業者が必要とされるほどのニーズがまず顧客の側にあるんでしょうか。そしてまた、実際、証券会社の側からすれば、こういうものを必然化しなければならないニーズというものがあるんでしょうか。それぞれいかがですか。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほどの答弁で若干舌足らずのところがございまして、確かにネット取引等であればどこからでもアクセスが可能なんですが、ただ、やはり根強く対面取引のニーズというのはありまして、顧客が外務員なりあるいはそういう方々と話をしながら取引をしていくというのが好まれているところもかなりあるわけでございます。一部のネット取引でやれる方とそういう方々はまた違う客層に属しているんだと思っております。
 そういうこともございまして、一人店舗というのもございますし、やっておるところもあるんですが、なかなかそういうのはコスト的にかなり難しい面は先生よく御案内のとおりだと思っております。そういうものを踏まえまして、今回の証券仲介業というのはいわば兼業としても成り立ち得るというような構成をとっておりますので、必ずしもこれだけで生計を立てなきゃいかぬということでもない。そうなりますと、かなりコスト的にも、従来の外務員、あるいは支店を置いての外務員というよりは可能性が出てくるというようなことも踏まえた上での施策でございます。
竹中国務大臣 植田委員の先ほどからの一連の御質問、そもそもニーズがないところにアクセスの可能性だけがふえていくということにならないのか、そういった意味でのマーケットというのを一体どのように見ているのかという基本的なお問いかけであろうかと思います。
 私は、あえて言えば、これは証券業法的というよりはマクロ的な説明になりますが、やはり掘り起こせるニーズというのはこの社会には非常にあるということなのだと思います。
 このニーズ、今までも、当然のことながら証券会社はさまざまな努力をして、先ほど言ったような一人の出張所のようなものとか、さらにはこちらから出張に出向きます、いろいろな努力は外務員のベースでしているわけであります。にもかかわらず、事後的に見ると、やはり日本の個人投資家というのは掘り起こされていない。
 そういうのを掘り起こすに当たって、例えば証券仲介業等々、これはいろいろな業態の方々に入っていただきたいと思っています。地域に密着して、既に、いろいろな情報、いろいろな人々の信頼感をかち得ているような人々、これは例えば公認会計士のような方が入ってくるかもしれませんし、損保の代理店のようなことかもしれませんし、そういう方々が入ってくることによって、今までとは質の違う、証券会社とは質の違うマーケットの開拓が可能になるのではないだろうか。それがまさに販売チャネルの拡充ということの意味であろうかと思っております。
 したがって、拡充というのは、窓口といいますか数もふえますよ、しかし、それだけではなくて、今までにはないような特色を持った、ニーズを掘り起こせる人たちが市場に入ってきて、さらにその人たちが競争をしていただく、競争をしていただくことによってサービスの質をさらに高めて、その需要を掘り起こしていく、そういうようなメカニズムを期待しているわけであります。
植田委員 今大臣がおっしゃったお話というのがまさに多様な投資家の幅広い市場参加をいかに促進するか、ここは私も決して否定するものではありません。
 ならばということで伺いたいわけなんですけれども、それやったらなおのこと、一番最初に伺ったように、あくまでもこの証券仲介業者というものは証券会社の言ってみれば媒介代理商になるわけですから、要するに、本来、本当に投資家の市場参加を促進するというふうに立てるのであれば、それこそ投資家のサイドに立った、言ってみれば投資家の代理人、括弧つきで代理人と言っておきましょう、例えば相談人、そういう制度設計をそもそも考えるべきではなかったのかと私は思うんですが、その点いかがでしょうか。
藤原政府参考人 今回の証券仲介人の話でございますが、現行の証券取引法のもとでは、対面販売を行う店舗を拡充するには、証券会社は支店を設置して、使用人と個別に雇用契約を結んでいく必要があるということでございますが、この点、証券仲介業制度につきましては、証券会社が証券仲介業者との間で契約を締結すれば、当該仲介業者の店舗やその使用人を活用して証券の対面販売が可能となる、そのために販売チャンネルの拡充が容易になるということで、証券界からも導入を求められて今回作成することにいたしたわけでございます。
 そういう観点からつくった制度でございまして、投資家の立場に配慮して、証券仲介業者を顧客からの委託を受ける制度ということも議論はされたわけでございますが、証券仲介業者は顧客に与えた損害の損害賠償をみずから負うことになる。したがいまして、投資家保護の観点から、営業保証金等一定の財務基盤を必要とせざるを得ない、あるいは証券仲介業者は証券会社の指導監督等のバックアップのない中でみずから法令遵守を確立する必要が出てくるというようなデメリットもあることから、今回そういう、先生の御主張のような制度を採用するには至らなかったところでございます。
植田委員 要するに、逆に証券代理店制度、金融審では仮称でそう呼んでいます、そこが投資家の代理人としての役割を果たすならば、むしろそれの方がリスクが大きい、そういうことなんですね。それの方が投資家保護の観点からすると危険度が高いというふうに判断をされたということですね。そういうことなんですよね、今の話は。
 すると、実際、ではこの証券仲介業というものの存在を考えたときに、とりわけ歩合制の外務員と非常に近似した存在ですね、これ。非常に性格が似ていますよね。それならば、新たに証券仲介業というものの制度を、新たにそういうものを別途こしらえるという選択肢よりは、外務員の制度のあり方というものを改革するということでも別に問題はなかったのではないか。なぜ証券仲介業というものをつくらなければならない、その積極的意義、積極的意義といったら茫漠とした答弁が返ってくるでしょうから、必然性は那辺にあったんですか。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほども私あるいは大臣の方からも御答弁申し上げましたが、現在の証券会社制度、要するに、支店制度、そのもとでの外務員を使ってやる制度につきましては、二つの面から今限界がある。
 一つは、まさしく地方の偏在の問題、それから、先ほど大臣お答えいただきましたが、多様な新しい顧客を掘り起こすための多様な人材といいますか、そういう方々を活用したいという二つの目的があるわけでございます。外務員でありますと、あくまでもその証券会社に所属して、その使用人として、代理でやるわけでございますから、その辺に限界があるということを勘案して今回お願いしているわけでございます。
植田委員 そこのところは幾らお話をしても、それが政府の、提案者のお考えなんでしょうけれども、今の外務員のありようの限界といっても、その限界というものを、要するに、それは本来証券会社が、それぞれの販路を拡大するという戦略を持ってみずからクリアしていくべきものであって、わざわざ証券仲介業というツールを用意して問題を解決するということではないですね。その限界を突破するのは、法律で突破するというよりは、それぞれの民間の証券会社が、また外務員がそれぞれ自力更生でやるという分野に属すると私は思います。
 それだけ申し上げて、この証券仲介業制度が実際にどれぐれい広がるかどうかは別にして、この制度について引き続き伺いたいんですが、一つの証券仲介業者が複数の証券会社と業務委託ができるというふうな事前説明を聞いておりますけれども、そうなると、一社専属の場合よりも、法令遵守ということで、その責任の所在があいまいになりはしないか。この点については、仮に証券仲介業というのをどうしても今回やりたいんだというにしても、少なくとも、当面一社専属体制ということにしておいた方が、法令遵守ということにおいてはあいまいにならぬと思うんですけれども、その点について御所見、またどんなことをお考えですか。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘の点につきましては、金融審議会でもかなり議論のあったところでございまして、一社専属の方がむしろ投資家保護の観点からいいのではないかという意見と、いや、そうではない、保険仲介業のように、幾つもの保険会社から仲介ができるような制度の方がいいという議論がかなりありましたが、結局、要するに、投資家保護がきちっとできておれば、それはやはり複数の選択肢を持たせて競争を促進するという方がよろしいんではないかというようなことになったわけであります。
 したがいまして、それでは投資家保護をどのように図るかということにつきましては、その取引に係る証券会社が責任を持ってそれをやる。もし両方とも、どちらかわからない場合については、あらかじめ、どちらの証券会社が負担するかというようなことについてまで取り決めを行っておくというようなことが確保できれば、そうすれば、むしろ複数の契約をした方が、競争が促進され、あるいはこういう制度が普及していくんじゃないかというようなことでございます。
植田委員 そこの、おっしゃる意味はわかりました。
 もう一つ、ちょっと心配している点、この仲介業制度にかかわって伺います。
 というのは、恐らく、証券仲介業に参入されるというか、実際そういう業をやられる方というのは、一つのパターンは、証券会社のOBとか外務員をやってはった人が自分で起業するケース、それと全く異業種からの参入ということになろうかと思います。それは、税理士さんとかもあるでしょうけれども。
 ただ、そもそも証券会社のOB等が言ってみれば独立して自分で仲介業を営むケースと、実際、異業種というものが参入する場合は、やはりこれは質的に違う面があるだろう。その点のいわばコンプライアンス面の検討はやはり慎重を期さなければならないと思うんです。
 といいますのは、例えば、あってはあかんことですけれども、逆に言うたら、暴力団なんかが、この商いがおいしいと思えば参入をしてくる可能性だってないとは言えないわけです。逆説的に言えば、それぐらい活発な証券仲介業になった方が法の趣旨に合致しているというのかもしれませんけれども、やはりこれを食いとめなきゃならない。
 しかし、今の法の枠組みでは、これは要するに証券会社に対する信頼というものが前提になっているわけですから、恐らくこれから質疑でも明らかにされるんでしょうけれども、その前提が揺らいでいる現状の中で、とりわけ異業種からの参入にかかわって慎重な検討なりが要されると思うんですけれども、その点、簡潔にお願いします。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 異業種からの参入といいますかエントリーにつきましては、今先生が御指摘のように、証券会社が損害賠償の責任を負うわけでございますから、その委託契約をする際に、証券会社においてきちっとチェックをする、あるいは、その後、ちゃんと指導監督を行うということが前提でございますが、そのほかに、証券仲介業につきましては、本人、法人登録をしている場合は役員を含むわけでございますが、本人が過去五年以内に一定の行政処分歴や犯罪歴を有する場合、あるいは、他に営んでいる業務が公益に反する場合には、登録の拒否、取り消し等の対象としておりまして、不適格者の参入を排除する仕組みを考案しているところでございます。
植田委員 実際、善良な市民という建前だけれどもそういう関係者というのはようけいらっしゃるわけですから、見てわかるような人は参入してこないということを前提で考えなきゃだめよということだけ申し上げておきます。
 時間がありません。金曜日にまた十五分立ちますので、そのときにも伺いますけれども、最後に一問だけ、その導入を伺って終わりにしたいんですが、株式会社たる証券取引所の議決権、百三条の条文、これは二〇〇〇年に改正されたわけです。そして、二〇〇〇年に改正されたときに、取引所の公正な運営に支障が生じるリスクを未然に防止するために、何人も議決権の百分の五を超える議決権を取得し保有してはならないとあったわけです。しかし、今回の改正で、これが百分の五十になっている。
 素朴に伺いますが、公正な運営に支障が生じるリスクを未然に防止するためには、百分の五よりも百分の五十に設定した方が公正な運営に資し、そしてまたリスクを未然に防止し得るというのは、どういう理由からでしょう。
 それだけ聞いて、きょうは終わります。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の取引所の株主ルールの変更につきましては、近年の国際的な市場間競争が激しさを増す中で、海外で取引所間の提携が急速に進められている、こういう状況を踏まえまして、我が国取引所の国際競争力の強化と取引の流動性の向上を図る観点から所要の見直しを行ったものでございます。
 具体的には、取引所間の資本提携を可能とするために、現行の、五%超の議決権の保有を一律に禁止する株式保有制限を廃止する一方で、取引所の経営に対する市場のチェックが一層有効に機能するために、過半数の議決権の保有を原則禁止するとともに、さらに、原則二〇%以上を保有している株主でございますが、主要株主に対する認可制度の導入等、新たな株主ルールを導入しているところでございます。
植田委員 引き続きこの点は伺いますので、私、きょうはコメントして終わりますけれども、今の説明は、二〇〇〇年の改正の百分の五にしておったときの使い勝手のよしあしの話を超えていないわけですよ。
 私が聞いているのは、百分の五よりも百分の五十の方が、特定の少数者に経営がゆだねられることなく、公正な運営がされ、リスクを未然に防止する、その理由を教えてくれと申し上げたのであって、金曜日、もう一度それについて答えていただきたいと思います。
 以上できょうは終わります。


植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀でございます。
 本日は、それぞれ三参考人の皆様方、お忙しいところ長時間にわたりまして貴重ないろいろなお話をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。私で最後でございますので、いましばらく御辛抱いただきたいというふうに思います。
 では、早速、午前中も法案の質疑をさせていただいたわけですけれども、私の方からは、今回の証券取引法の一部改正案、法案に即して、それぞれの参考人の方にお伺いをさせていただきます。午前中のお役所との質疑、またこの参考人の質疑でも、証券仲介業者制度の創設、今回の法案の一つの目玉として位置づけられるんだろうと思いますが、やりとりがあったかと思います、私も聞かせていただきました。
 そこで、この点については奥本参考人に伺いたいわけですけれども、午前中の委員会質疑、政府とのやりとり、政府のお考えを聞いても、また先ほどのやりとりを聞いても、確かに、金融審が報告しておるように、実際、販売チャンネルは量的に拡大するということは、それは証券仲介業というのが新たにできれば拡大はするんでしょう。ふえればその分、拡大するんでしょう。ただ、いま一つ見えてこないのが、そもそもそうした販売の拡大等々は、やはりそれぞれの証券会社がそれぞれ創意工夫を凝らしながら、それぞれ自助努力でいろいろな販売戦略、経営戦略でやっているわけだと思うんですよ。
 それが現実に、その中で、当然、先ほど来問題になっているようなこともあるわけですけれども、例えばもう既にIT社会なわけですから、インターネットの取引も拡大普及をしている。ですから、証券会社は大都会にあっても田舎に住んでいても、利便性で地方にいる者と大都会にいる者とでそんなに格差が出ないような、そんな状況もあるわけですし、また、一人営業店舗、これは実際には二、三名いるということですけれども、母店がバックオフィス機能を持つというような、そうしたものも、それぞれ投資家のニーズに応じる、こたえ得る、自主的な努力をしてきていると思うんです。それは、私は経営努力として評価いたします。
 そこで、じゃ、今回証券仲介業制度を、これは私は午前中の質疑でも申し上げたのですが、顧客のニーズに沿った、顧客の代理人、相談人としての制度の構築ということであればわかるけれども、明らかにこれは証券会社に軸足を置いた、証券会社の代理人としての新たな証券仲介業者というものを創設するというわけですけれども、そうした証券仲介業者をこしらえなければ、今の経営努力では限界があるという証券会社の側の特段のニーズまたは要望というのがそもそも根底にあったのかなかったのか。
 結果論として、こういうのができたらお客さんの利便に資する、アクセスが容易になる、それは結果論です。要するに、現状においては、歩合の外務員も含めていらっしゃるわけですね、それでは限界があるので証券仲介業者制度というもの、金融審では証券代理店制度(仮称)となっていますが、それをつくらないことには立ち行かないという一番根本的な、本質的な理由というものはあるのか。それをちょっと伺いたいのです。
奥本参考人 御指摘のように、インターネットの普及も大変顕著でございます。事実、五割を超える商いがインターネットでできているというのが現状でございます。
 ただ、私、やはり証券市場の本当の活性化のためには、証券会社の活力が出てこないとだめだ、あるいは、顧客に対して証券会社自身がもうちょっと親切な応対ができなくちゃだめだというふうに常日ごろ思っているわけです。
 これは何かといいますと、フェース・ツー・フェース、やはり対面営業が一般的な顧客に対しては大変重要な部分だというふうに思っています。特に、新たにマーケットに参加していただくようなお客様にとりまして、証券会社のプロといいますか、そういった知識の豊富な方のいろいろな指導を仰ぐ、あるいはそういった知識を吸収するということは、証券投資にとって大変重要な部分であると思います。これは、インターネットがいかに今後普及しようとも、やはりこの部分というのは消える部分ではない。それから、これが基本的にしっかりしていないと、証券市場の本当の活性化にはならないというふうに思っております。
 先生御指摘のように、証券会社にとりまして、低コストでできるこういった仲介業というのは大変重要な部分だというふうには思っているわけですが、反面、顧客側から見ても、顧客に親切な応対ができる、顧客に対して親切な営業ができるという意味では、こういったチャネルを広げることは大変重要なのかなというふうに私は思っております。
植田委員 ごめんなさい。奥本参考人、しつこいようで申しわけないのですけれども、私が伺いたかったのは、証券仲介業者という制度が創設されることによってのメリットとか意義とかというものを伺ったわけじゃなくて、証券会社の側として、例えば、今いみじくもおっしゃったように、外務員の対面取引、そして顧客のそれぞれのニーズにそれぞれ個々の外務員が適切に対応する、やはりそれが一番基本形だろうと思うわけです。
 そうした今のあり方にもう限界が来ていて、いろいろな工夫をされている、私は評価すると言いました。そのさまざまな経営努力また販売戦略、それをそれぞれやられるのは評価すると申し上げた上で、そうしたものは既に限界点に達していて、新たに証券仲介業者制度というものをつくらなきゃならない必然性は証券会社の側にあったんですかということだけを聞いているんです。メリットの話は構わないんです、それはそれぞれの考え方があると思うので。
 その部分、もう一度、申しわけないですけれども。
奥本参考人 結論から言いますと、ございました。いろいろな形であると思います。
 例えば、証券会社にとりまして、証券会社のベテランの営業マンが定年で退職する後の活力といいますか、そういった仕事でそういったものを活用するとかいうようなことも一面のメリットだとも思いますし、また、現在のような手数料自由化の中で、低コストで運営できる拠点というのはどうしても必要な部分だというふうに思います。
 それでよろしいですか。ちょっと、まだ違いますか。
植田委員 済みません。時間がなかったので、ちょっと消化不良ですが、先に進みます。
 何回も言いますけれども、証券会社から見て、証券仲介業者制度ができることのメリットを聞いているのではなくて、要するに、歩合の外務員さんや外務員さんがいらっしゃる今の、せっかくいろいろな経営努力をしているわけだけれども、それが限界に来ていて、それにはもう限界が見えていて、新たな証券仲介業者制度というものをつくらなければならないところまで、いろいろな経営努力が限界に来ているのですかということを伺っていたわけです。要は、だから、仲介業者ができることは重要だとか、それにはこんなメリットがありますよということは、当然関係者の皆さんも入られて金融審の報告で書かれているわけですから、それを事細かに御説明を聞きたいということではなくて、そこにあったわけです。
 ただ、私の方で申し上げますけれども、実際この法案説明を金融庁さんから伺ったときに、さしてそんなニーズが証券会社の側にあるとかそういうことではなくて、言ってみれば、喫緊、当面する課題というよりは、将来のことを見越してインフラ整備をするんですというような、そんな話を金融庁さんから伺っております。
 だから、少なくともそういう説明からすれば、証券会社として、今にわかに証券仲介業制度というものを創設してもらわなきゃ我々立ち行かないんだという差し迫った問題意識はないのだろうと私は想像、推察しているわけですけれども、そこは、法案の審議に差しさわりがあるような答弁はしづらいと思いますので聞きませんが、私はそういうことを答えてほしかったということです。メリットの話は役所の方が何ぼでもおっしゃいますので。
 そこで、もう一点伺うわけですけれども、これは、株式会社証券取引所の、午前中も伺ったんですけれども、改正の百三条にかかわる部分です。
 これについては、本来的には、法案をつくったのは金融庁ですから政府にただすべきものだとは思いますが、東証さん、大証さんのそれぞれ社長さんにお伺いするわけですが、それぞれのしかるべき方が金融審の第一部会、そしてまたワーキンググループに当然メンバーとして入っておられますので、少なくとも東証なり大証なりの役員の名においてチームに加わっておりますので、この法案自体の政策決定過程に直接関与されたというお立場でお答えいただければと思うわけです。
 私は、非常にひっかかっておるのが、例えば、今申し上げました証券仲介業者の制度についても、要するに、そういうツールをふやして選択肢は広がるでしょうが、その分、顧客にとってみれば選択肢の幅が広がるとかという問題よりは、この間話題に上っております、少なくとも根源的には、いわば証券市場また証券会社等に対する信頼の回復というところが新たな個人投資家をもっと市場に受け入れる第一義だろうと思うわけです。
 にもかかわらず、例えばこの百三条というのは、二〇〇〇年の証券取引法改正に当たって、その当時、証券取引所の株式会社化をやる、その際に、株式会社にしても、公正、中立そして信頼をしっかり担保するために、議決権の百分の五を超える株を何人も所有してはなりませんよということになっていたわけです。これが基本原則です。それが、わずか三年を経て、百分の五が百分の五十を持ってはいけませんという原則の規定になった。
 ここは、二〇%の株主は主要株主にして、それは届け出ることになっていますから、それで大丈夫ですといっても、それでも五%と二〇%の差です。
 そこで、ずばり各参考人にお伺いをいたしますけれども、それぞれ証券会社としての立場、また証券取引所の立場として伺いますけれども、この百分の五のルールというものがあったことが何か、それぞれ株主の立場からも、また実際の株式会社、証券取引所の立場からも不都合な点がおありであったんでしょうか。お三方、それぞれお願いいたします。
土田参考人 現行法が証券取引所に五%を上限とする株式保有制限を課しておるというのは、その当時の御議論の結果、証券取引所の経営が特定少数者にゆだねられるおそれがある、これを封ずるため、それへの対応策として設けられたものであるというふうに了解をしております。
 私ども東京証券取引所は、株式会社に組織変更をしたばかりでございまして、原則として従来の会員に一会員当たり平等の株数を分けておりますので、株主は百名ちょっとでございますが、現在のところ、その五%云々に抵触するしないというような問題を生じたことはございません。この五%というチェックポイントは、ただいまお尋ねにもございましたが、届け出事項として残るわけでございます。
 ところで、それとは別の観点から、国際的な市場間競争が激化するときに、将来的に海外取引所との資本提携や合弁事業がしやすい環境を整備するというのが今度の法律案のねらいではないかと私どもは了解しておるわけでございまして、一例を申しますと、ドイツ取引所、株式会社でございますが、これはその下にスイス取引所と合弁の五〇対五〇でユーレックス・チューリッヒという会社を持っております。このユーレックス・チューリッヒは、それ自体が持ち株会社でございます。それで、その下にユーレックス・フランクフルトという先物取引所と、それからユーロピアン・エナジー・エクスチェンジという、これは他との合同保有ですが、そういう持ち合いの関係でそういう取引所もぶら下げておる。こういう重層的な関係というものは、今後、アジア、それから東京証券取引所の将来を考えるに当たっても、このようなものについての制約を取り除いておくということは非常に意味のあることではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
巽参考人 私は、この持ち株比率規制が緩和されたことは、市場チェック機能が非常にきくということと、連携を可能にするというような点で非常に有効じゃないかというふうに思いますし、海外では、五%というのは何だというような質問をよく受けるわけでありますけれども、株式総数二〇%以上の株主は内閣総理大臣の認可が必要であるとか、それから原則として五〇%以上の株は持てない、こういうチェックで、取引所の公正性とか中立性というような問題が発生することはないというふうに考えています。
奥本参考人 取引所の株主シェアにつきまして、特別、協会として申し上げる立場ではございませんが、それぞれの取引所間の資本提携を円滑にするためには、この改正は適宜なものだというふうに思っております。
植田委員 今それぞれ各参考人にお伺いしたのは、私自身はこの百三条の改正というのは当然納得ができていないわけですけれども、先ほど申し上げましたように、実際に商いをしてはる側からの本音を聞かせていただければいいと。だから、法律の専門家というよりは、実際に現場にいる者としては、今のお話を一通り伺っていますと、証券市場もグローバルスタンダードの中で、やはりそれにたえ得る、使い勝手のいい証券取引法であればありがたい、当座は五%であっても不都合があるというわけではないけれども、将来を見越したときに、今こうして改正してもらえるのは渡りに船の話です、そういうことだろうと思います。
 これが議事録に残りますんで、金曜日、政府とやりとりするわけですが、政府がこれは同じような説明をしたらあかんということで、それは現場の商いをしてはる人の声をそのまま敷衍するような話を午前中局長がやったものだから、それじゃあきませんよという一つの証拠品として今ちょっとそれぞれお手を煩わせたということでございます。
 それで、時間がありませんので、あと一問だけ、これもお三方に端的にお伺いして、終わりたいんですけれども。
 現実に、適正な投資の勧誘であるとか公正取引等の確保といったら、だれしもそんな否定はしない。大前提だと言えば、はい、そのとおりですという話ですが、実際には、犯則事件や検査結果の勧告事案、また勧告に至らへんでも法令違反の事件等々は、年に一回、二回、そんなものじゃないわけですね。佐々木先生が出された資料を見ても明らかなように、毎月のように起こっているわけです。
 その中で、実際この間、証券市場の規制緩和はしてきている。これは証券業の側からすればありがたい話でしょうけれども、その一方で、ルール遵守の監視体制というものがどれだけ拡充されてきたかというと、現状、証券取引等監視委員会があるわけですけれども、本当に公正で透明な、健全な証券市場を構築するためには、この委員会も充実、拡充していかなければならない。私自身、これはほかの各党の方にも同様のお考えがあるかもしれませんけれども、海外のルールに倣うんであれば、例えばアメリカの体制に倣って日本版SECのような、そういうものを設立するということをやはり将来的に展望すべきじゃないかと思うんです。というのは、金融庁から独立したそうした監視機関というものがあってしかるべきだろうと思うわけです。
 これは、東証、大証、証券業界それぞれのお立場でどうだろうかということで、端的にお答えいただければと思います。それをお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
奥本参考人 御指摘のように、トータルとして証券市場全体を見る組織というのは、私どもとしても歓迎するものでございます。今般の組織改正で、金融庁の中に証券市場行政総括官という制度ができました。これは実は、新しくできた横断的に証券行政を見る組織でございますが、私ども、期待以上にいろいろ利用させていただいているというのが実態でございます。
 SECをどうすべきかということは、これからいろいろな議論を積み重ねていく必要があるというふうに思います。
土田参考人 市場の公正性、信頼性を高めていくために市場の監視機能を高い水準に維持する必要がある、まことに申すまでもないことでございまして、そのために、一つはこの証券取引等監視委員会のような行政当局の活動、それからもう一つは、実は私ども証券取引所が持っておりますところの自主規制機能というのがございまして、これは効率的なコストで実効的かつ適切な規制がある、それから現場に近いものですから迅速な対応ができる。何よりも、摘発型ではなくて、未然防止ができるという点で非常にすぐれた機能を持っておると思います。
 両々相まってということでございますが、端的に、このSECの問題については私はよく存じません。存じませんけれども、多少かねてから感じているところを率直に申しますと、よくアメリカの例が引き合いに出されるわけでございますが、アメリカでは、これは課税問題でもそうですけれども、挙証責任が日本の場合には当局側にございます。ところが、アメリカは、どちらかというと当局の調査する相手、調査対象者の方に挙証責任があるという取り扱いになっていることがあるようでございます。
 それからさらに、日本の場合は、実定法のルールがございまして、それに当たるか当たらないかという解釈論でございますが、アメリカの場合は、どちらかというと判例によって、割合チャレンジングな訴訟を提起して、判例の積み重ねによって当局の行動範囲を広げていくという、そういうやり方がアメリカの場合にはとりやすいように思えます。
 さらに、部分的な司法警察権みたいなものをアメリカのSECの職員が持っているように聞いたこともございますので、これは、実は単なる組織とか人員の問題だけではない、もう少し国情の違いみたいなものを考えないといかぬのではないかというふうに感じたことはございます。
 ただ、いずれにしましても、この点についてはなお皆様方で御検討なさるべき問題であろうと思います。
巽参考人 私は、お二方が申し上げたのに加えて、やはり人間の意識改革を徹底的にやらなきゃいかぬというのが証券界の現状だと思います。
 今から四、五年前でしたか、私も証券改革委員会というのをつくりまして、そういう案をどんどん出しましたけれども、それをやっていたら今こうなっていないというようなこともたくさんあるわけです。起こる原因になるのが、そんなかたいこと言うたら商売にならぬでという伝統の精神があるわけですけれども、私たち、私も若くて新世代ですから、そういうことはもう一切だめだと。それで、先ほども嫌みを大分言われましたけれども、先頭を切ってそれをやっております。
 これを言うと、会社の話や何や言われますけれども、私は、一回もそんな処分を受けたことないです。ああいう総会屋事件なんかでも、全部、うちの株を持っていると、断固として排除する。やはりトップがそういうあれをやらないかぬ。そして社員全部やらな。今度の取引所の検査においても、私は、職員に全部申し上げていることは、紙一枚隠すなということであります。
植田委員 どうもありがとうございました。終わります。


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