財務金融委員会 2003年5月7日(水曜日) 証券取引法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇五号) ○植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。法案に即して何点か質問させていただきたいと思います。 まず、証券仲介業者の創設にかかわってでございますが、法案における証券仲介業というのは、金融審の報告「証券市場の改革促進」の中で、投資家の市場アクセスの拡充を図るために、証券会社と顧客の取引の仲介を行う証券代理店制度(仮称)とこの審議会段階ではなっていますが、それにおける基本的考え方が投影されたものだと当然基本的に理解するわけです。 ちなみに、法案における証券仲介業が、いわゆる法律上の代理権が存しないというのは、金融審がいうところの証券代理店のスキームがそういうふうになっているので、金融審がいうところの代理店制度という言い方をするよりも、証券仲介業という方が実態に即したネーミングだというふうな御判断と、まず初歩的なところですけれども、その点まず確認をさせていただけますか。○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 金融審におきまして御検討いただきましたが、部会の下にワーキングというのをつくっておりまして、そのワーキングにおきまして詳細な検討をしていただいたわけでございます。 そこのワーキングの検討におきましては、確かに証券代理業というようなネーミングを仮称で使っておったわけですが、そのワーキングの報告書の中におきまして、中身の記述におきましては、代理権は有さない、代理権はもともと有すことを予定しておらないというふうな報告書になっております。したがって、名前が適切であったかどうかわかりませんが、証券代理業(仮称)ということは使っておりましたが、意味するところは、もともと代理権は含まないということを念頭に、金融審におきましても御議論いただいたところでございます。○植田委員 質問を続けたいわけですが、気のせいでしょうか、定足数に足りていないように見受けられますが。○小坂委員長 今呼び出しておりますので、質問を続行してください。○植田委員 はい。 それで、今のところ、まず初歩的なところを確認させていただいた上で幾つか伺いたいんです。 この金融審の市場仲介者のあり方に関するワーキング・グループの報告の中で、とりわけこの仲介業の制度の「基本的考え方」として、「多様な投資家の幅広い市場参加を促進する」、そのために「証券会社の販売チャネル機能の拡充を図る」、そういう観点でこの仲介業というものを創設するんだという問題意識を持っておられるようです。そして、その結果どうなるか。まず「販売チャネルが量的に拡大」する、そして「顧客の証券会社へのアクセスが容易となる」、そしてそれとともに、「最低資本金の引下げと相まって競争を通じたサービスの多様化が期待できる。」こういうふうにワーキンググループでは報告しているわけです。 当然この法案もそういう認識に立っておられるということを前提に伺いますが、「競争を通じたサービスの多様化が期待できる。」というのは、期待してはるだけですから、期待しているという以上、以下ではないでしょう。また、「販売チャネルが量的に拡大」するということは、実際にふえれば、物理的に量がふえれば拡大するんでしょうから、それも言えるかもしれない。ただし、「顧客の証券会社へのアクセスが容易となる」というのは、厳密な意味でいえば、アクセスの選択肢がふえるということすなわちアクセスが容易になるということにはならないと思うんですよ。 もちろん選択肢がふえることもアクセスを容易にするための必要条件の一つかもしれない。しかし、この「基本的考え方」に立つならば、証券仲介業をこしらえて、要するに、アクセスの選択肢がふえるんですよという以上の意味は、このアクセスが容易になるというところには込められていないという理解でいいんでしょうか。○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 今回の証券仲介業は、従来のパターンとは違う新たなツールと申しますか、そういうものをつくるものでございますが、特に議論の中でございましたのは、証券業の支店と申しますか本店と申しますか、証券業の国内における分布というのはかなり都市部に偏在しておる。例えば、各県におきましても、県庁所在地とあと一部の都市しかない、郡部の方に行きますとアクセス自体が容易ではないというような事態がかなり指摘されております。 したがいまして、確かに、今回こういう証券仲介業のようなものが各郡部等地方を中心にもしできますれば、従来アクセスが非常に難しかった方にとりましても、アクセスが容易になり、したがって市場への参加が容易になるというような効果が期待されるところでございます。○植田委員 余り、お役人さんの答弁としてはちょっとねという気がするんですが。 それは、投資家の立場からすると、顧客の立場からすると、ありていに言えば、従来の証券会社に属する外務員も仲介業者でも、トイメンに立つ相手が仲介業者であろうが仲介業者に属している外務員であろうが従来の証券会社の外務員であろうが、さして変わらないわけですね。確かに、人がふえた分、選択肢の幅がふえるという意味においての利便性というものは私は否定はしませんよ。否定はしませんけれども、現状でも、実際、証券会社が販路の拡大戦略の中で、例えば一人営業所を設置しているとか、顧客のニーズにこたえる体制は整備しているわけですよね。そしてまた、インターネット等普及しているわけですから、私は株はしませんけれども、実際、我がの口座をこしらえれば二、三週間ぐらいでできる。そして二十四時間、要するにパソコンを立ち上げてやればやれるわけですね。山の中におろうがどこにおろうができるわけです。 そういう意味で、地方に住んでいるからといって、証券の世界に触れるぐらいの利便性というのは、これはそれぞれの証券会社の経営戦略とか販売戦略の中で位置づけられてきて、利便性は向上しているわけですよね。にもかかわらず、こういうチャンネルを拡大しなければならないほど株式投資のニーズがそんなにあるんですかということ。 それと、都市圏に証券会社が偏在しておりますといっても、普通、外務員が、大名商売で証券会社の本社にでんと座って仕事しておるわけじゃないんですよ。きょうは腰痛いから奈良から大阪まで行くのちょっとしんどいんです、それじゃこっちが行きます、まあ待っといてください、私が行きますと言って外務員さんは普通来るものでしょう。そんな、電車に乗ってちょっと暇がかかるとかそういう話のことで、今回の容易になるということの意味を込められても、ちょっとお粗末ではないかと思うんです。 こんな仲介業者が必要とされるほどのニーズがまず顧客の側にあるんでしょうか。そしてまた、実際、証券会社の側からすれば、こういうものを必然化しなければならないニーズというものがあるんでしょうか。それぞれいかがですか。○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 先ほどの答弁で若干舌足らずのところがございまして、確かにネット取引等であればどこからでもアクセスが可能なんですが、ただ、やはり根強く対面取引のニーズというのはありまして、顧客が外務員なりあるいはそういう方々と話をしながら取引をしていくというのが好まれているところもかなりあるわけでございます。一部のネット取引でやれる方とそういう方々はまた違う客層に属しているんだと思っております。 そういうこともございまして、一人店舗というのもございますし、やっておるところもあるんですが、なかなかそういうのはコスト的にかなり難しい面は先生よく御案内のとおりだと思っております。そういうものを踏まえまして、今回の証券仲介業というのはいわば兼業としても成り立ち得るというような構成をとっておりますので、必ずしもこれだけで生計を立てなきゃいかぬということでもない。そうなりますと、かなりコスト的にも、従来の外務員、あるいは支店を置いての外務員というよりは可能性が出てくるというようなことも踏まえた上での施策でございます。○竹中国務大臣 植田委員の先ほどからの一連の御質問、そもそもニーズがないところにアクセスの可能性だけがふえていくということにならないのか、そういった意味でのマーケットというのを一体どのように見ているのかという基本的なお問いかけであろうかと思います。 私は、あえて言えば、これは証券業法的というよりはマクロ的な説明になりますが、やはり掘り起こせるニーズというのはこの社会には非常にあるということなのだと思います。 このニーズ、今までも、当然のことながら証券会社はさまざまな努力をして、先ほど言ったような一人の出張所のようなものとか、さらにはこちらから出張に出向きます、いろいろな努力は外務員のベースでしているわけであります。にもかかわらず、事後的に見ると、やはり日本の個人投資家というのは掘り起こされていない。 そういうのを掘り起こすに当たって、例えば証券仲介業等々、これはいろいろな業態の方々に入っていただきたいと思っています。地域に密着して、既に、いろいろな情報、いろいろな人々の信頼感をかち得ているような人々、これは例えば公認会計士のような方が入ってくるかもしれませんし、損保の代理店のようなことかもしれませんし、そういう方々が入ってくることによって、今までとは質の違う、証券会社とは質の違うマーケットの開拓が可能になるのではないだろうか。それがまさに販売チャネルの拡充ということの意味であろうかと思っております。 したがって、拡充というのは、窓口といいますか数もふえますよ、しかし、それだけではなくて、今までにはないような特色を持った、ニーズを掘り起こせる人たちが市場に入ってきて、さらにその人たちが競争をしていただく、競争をしていただくことによってサービスの質をさらに高めて、その需要を掘り起こしていく、そういうようなメカニズムを期待しているわけであります。○植田委員 今大臣がおっしゃったお話というのがまさに多様な投資家の幅広い市場参加をいかに促進するか、ここは私も決して否定するものではありません。 ならばということで伺いたいわけなんですけれども、それやったらなおのこと、一番最初に伺ったように、あくまでもこの証券仲介業者というものは証券会社の言ってみれば媒介代理商になるわけですから、要するに、本来、本当に投資家の市場参加を促進するというふうに立てるのであれば、それこそ投資家のサイドに立った、言ってみれば投資家の代理人、括弧つきで代理人と言っておきましょう、例えば相談人、そういう制度設計をそもそも考えるべきではなかったのかと私は思うんですが、その点いかがでしょうか。○藤原政府参考人 今回の証券仲介人の話でございますが、現行の証券取引法のもとでは、対面販売を行う店舗を拡充するには、証券会社は支店を設置して、使用人と個別に雇用契約を結んでいく必要があるということでございますが、この点、証券仲介業制度につきましては、証券会社が証券仲介業者との間で契約を締結すれば、当該仲介業者の店舗やその使用人を活用して証券の対面販売が可能となる、そのために販売チャンネルの拡充が容易になるということで、証券界からも導入を求められて今回作成することにいたしたわけでございます。 そういう観点からつくった制度でございまして、投資家の立場に配慮して、証券仲介業者を顧客からの委託を受ける制度ということも議論はされたわけでございますが、証券仲介業者は顧客に与えた損害の損害賠償をみずから負うことになる。したがいまして、投資家保護の観点から、営業保証金等一定の財務基盤を必要とせざるを得ない、あるいは証券仲介業者は証券会社の指導監督等のバックアップのない中でみずから法令遵守を確立する必要が出てくるというようなデメリットもあることから、今回そういう、先生の御主張のような制度を採用するには至らなかったところでございます。○植田委員 要するに、逆に証券代理店制度、金融審では仮称でそう呼んでいます、そこが投資家の代理人としての役割を果たすならば、むしろそれの方がリスクが大きい、そういうことなんですね。それの方が投資家保護の観点からすると危険度が高いというふうに判断をされたということですね。そういうことなんですよね、今の話は。 すると、実際、ではこの証券仲介業というものの存在を考えたときに、とりわけ歩合制の外務員と非常に近似した存在ですね、これ。非常に性格が似ていますよね。それならば、新たに証券仲介業というものの制度を、新たにそういうものを別途こしらえるという選択肢よりは、外務員の制度のあり方というものを改革するということでも別に問題はなかったのではないか。なぜ証券仲介業というものをつくらなければならない、その積極的意義、積極的意義といったら茫漠とした答弁が返ってくるでしょうから、必然性は那辺にあったんですか。○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 先ほども私あるいは大臣の方からも御答弁申し上げましたが、現在の証券会社制度、要するに、支店制度、そのもとでの外務員を使ってやる制度につきましては、二つの面から今限界がある。 一つは、まさしく地方の偏在の問題、それから、先ほど大臣お答えいただきましたが、多様な新しい顧客を掘り起こすための多様な人材といいますか、そういう方々を活用したいという二つの目的があるわけでございます。外務員でありますと、あくまでもその証券会社に所属して、その使用人として、代理でやるわけでございますから、その辺に限界があるということを勘案して今回お願いしているわけでございます。○植田委員 そこのところは幾らお話をしても、それが政府の、提案者のお考えなんでしょうけれども、今の外務員のありようの限界といっても、その限界というものを、要するに、それは本来証券会社が、それぞれの販路を拡大するという戦略を持ってみずからクリアしていくべきものであって、わざわざ証券仲介業というツールを用意して問題を解決するということではないですね。その限界を突破するのは、法律で突破するというよりは、それぞれの民間の証券会社が、また外務員がそれぞれ自力更生でやるという分野に属すると私は思います。 それだけ申し上げて、この証券仲介業制度が実際にどれぐれい広がるかどうかは別にして、この制度について引き続き伺いたいんですが、一つの証券仲介業者が複数の証券会社と業務委託ができるというふうな事前説明を聞いておりますけれども、そうなると、一社専属の場合よりも、法令遵守ということで、その責任の所在があいまいになりはしないか。この点については、仮に証券仲介業というのをどうしても今回やりたいんだというにしても、少なくとも、当面一社専属体制ということにしておいた方が、法令遵守ということにおいてはあいまいにならぬと思うんですけれども、その点について御所見、またどんなことをお考えですか。○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 先生御指摘の点につきましては、金融審議会でもかなり議論のあったところでございまして、一社専属の方がむしろ投資家保護の観点からいいのではないかという意見と、いや、そうではない、保険仲介業のように、幾つもの保険会社から仲介ができるような制度の方がいいという議論がかなりありましたが、結局、要するに、投資家保護がきちっとできておれば、それはやはり複数の選択肢を持たせて競争を促進するという方がよろしいんではないかというようなことになったわけであります。 したがいまして、それでは投資家保護をどのように図るかということにつきましては、その取引に係る証券会社が責任を持ってそれをやる。もし両方とも、どちらかわからない場合については、あらかじめ、どちらの証券会社が負担するかというようなことについてまで取り決めを行っておくというようなことが確保できれば、そうすれば、むしろ複数の契約をした方が、競争が促進され、あるいはこういう制度が普及していくんじゃないかというようなことでございます。○植田委員 そこの、おっしゃる意味はわかりました。 もう一つ、ちょっと心配している点、この仲介業制度にかかわって伺います。 というのは、恐らく、証券仲介業に参入されるというか、実際そういう業をやられる方というのは、一つのパターンは、証券会社のOBとか外務員をやってはった人が自分で起業するケース、それと全く異業種からの参入ということになろうかと思います。それは、税理士さんとかもあるでしょうけれども。 ただ、そもそも証券会社のOB等が言ってみれば独立して自分で仲介業を営むケースと、実際、異業種というものが参入する場合は、やはりこれは質的に違う面があるだろう。その点のいわばコンプライアンス面の検討はやはり慎重を期さなければならないと思うんです。 といいますのは、例えば、あってはあかんことですけれども、逆に言うたら、暴力団なんかが、この商いがおいしいと思えば参入をしてくる可能性だってないとは言えないわけです。逆説的に言えば、それぐらい活発な証券仲介業になった方が法の趣旨に合致しているというのかもしれませんけれども、やはりこれを食いとめなきゃならない。 しかし、今の法の枠組みでは、これは要するに証券会社に対する信頼というものが前提になっているわけですから、恐らくこれから質疑でも明らかにされるんでしょうけれども、その前提が揺らいでいる現状の中で、とりわけ異業種からの参入にかかわって慎重な検討なりが要されると思うんですけれども、その点、簡潔にお願いします。○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 異業種からの参入といいますかエントリーにつきましては、今先生が御指摘のように、証券会社が損害賠償の責任を負うわけでございますから、その委託契約をする際に、証券会社においてきちっとチェックをする、あるいは、その後、ちゃんと指導監督を行うということが前提でございますが、そのほかに、証券仲介業につきましては、本人、法人登録をしている場合は役員を含むわけでございますが、本人が過去五年以内に一定の行政処分歴や犯罪歴を有する場合、あるいは、他に営んでいる業務が公益に反する場合には、登録の拒否、取り消し等の対象としておりまして、不適格者の参入を排除する仕組みを考案しているところでございます。○植田委員 実際、善良な市民という建前だけれどもそういう関係者というのはようけいらっしゃるわけですから、見てわかるような人は参入してこないということを前提で考えなきゃだめよということだけ申し上げておきます。 時間がありません。金曜日にまた十五分立ちますので、そのときにも伺いますけれども、最後に一問だけ、その導入を伺って終わりにしたいんですが、株式会社たる証券取引所の議決権、百三条の条文、これは二〇〇〇年に改正されたわけです。そして、二〇〇〇年に改正されたときに、取引所の公正な運営に支障が生じるリスクを未然に防止するために、何人も議決権の百分の五を超える議決権を取得し保有してはならないとあったわけです。しかし、今回の改正で、これが百分の五十になっている。 素朴に伺いますが、公正な運営に支障が生じるリスクを未然に防止するためには、百分の五よりも百分の五十に設定した方が公正な運営に資し、そしてまたリスクを未然に防止し得るというのは、どういう理由からでしょう。 それだけ聞いて、きょうは終わります。○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 今回の取引所の株主ルールの変更につきましては、近年の国際的な市場間競争が激しさを増す中で、海外で取引所間の提携が急速に進められている、こういう状況を踏まえまして、我が国取引所の国際競争力の強化と取引の流動性の向上を図る観点から所要の見直しを行ったものでございます。 具体的には、取引所間の資本提携を可能とするために、現行の、五%超の議決権の保有を一律に禁止する株式保有制限を廃止する一方で、取引所の経営に対する市場のチェックが一層有効に機能するために、過半数の議決権の保有を原則禁止するとともに、さらに、原則二〇%以上を保有している株主でございますが、主要株主に対する認可制度の導入等、新たな株主ルールを導入しているところでございます。○植田委員 引き続きこの点は伺いますので、私、きょうはコメントして終わりますけれども、今の説明は、二〇〇〇年の改正の百分の五にしておったときの使い勝手のよしあしの話を超えていないわけですよ。 私が聞いているのは、百分の五よりも百分の五十の方が、特定の少数者に経営がゆだねられることなく、公正な運営がされ、リスクを未然に防止する、その理由を教えてくれと申し上げたのであって、金曜日、もう一度それについて答えていただきたいと思います。 以上できょうは終わります。