【底本】
岩波文庫 誹諧武玉川(一) 山澤英雄校訂 岩波書店 1984
【凡例】
通し番号 篇-丁
(本文)
(解説)
【注意】
字・は字が底本通りでないことを示す
☆はコメントや引用
1 1-1
納豆に 抱れて寐たる 梅の花
☆冬嶺之部 正月用の梅を納豆室へ入れて早咲きさせる
2 1-1
夕立に 思ひ切たる 舟のうち
思ひ切る→あきらめる 夕立に遭った渡し舟の客 観念してずぶ濡れ
3 1-1
嘘をつけとの 大三十日来
大三十日→おおみそか 大晦日は掛取りのくる日 言訳の嘘はお約束
4 1-1
祭か済て もとの明店
明店→あきだな 空いた貸家 祭の間はお神酒所で賑やか 祭りが終わればもとの空家
5 1-1
冬籠 独口利く 唐本屋
冬籠→冬に家や巣にこもって過ごすこと 独→ひとり 唐本屋→漢籍書店 親父が本を読んで独り言
6 1-1
取分て 鞠ハ男の よいか能
能→よい 蹴鞠には美男子がふさわしい
7 1-1
雫の伝ふ さほ鹿の角
さほ鹿→牡鹿 ☆そのまんま
8 1-1
放れ馬 跡の女に 桜の香
放れ馬→綱を切り暴走する馬 散った桜が女に降りかかる
9 1-1
二人して たけた娘を 打詠
たけた→長けた 成長した 打詠→うちながめ ながめている二人は両親 立派に育ったねえ はやく嫁にいってくれ?
10 1-1
四谷から 目黒の間を 哥枕
哥枕→歌枕の名所を見物する 四谷と目黒の間は渋谷 渋谷は武蔵野の農山村地帯で吟行には良かったかも 千代が崎という佳景の地あり☆江戸名所図会
11 1-1
犬張子 二見にわかれ 雲の峰
犬張子→蓋と身に分れる枕元の犬形の箱で産屋でも用いた☆嬉遊笑覧 二見→二身 雲の峰→入道雲 お産が無事すんだ?
12 1-1
取付安い 顔へ相談
気安そうな人にまず相談
13 1-1
梦て居る子を 入れる誓文
梦→夢 誓文→せいもん 神かけて誓約する文書 起請文☆国大 何も知らずに眠っている娘の側で貧乏な親がその子を売る証文を書く
14 1-1
入もせぬ 声の能く成 寒念仏
入もせぬ→要りもせぬ? 寒念仏→かんねぶつ 寒中三十日間夜中に念仏を唱えて歩く行 音曲の稽古でもないのだが
15 1-1
取揚婆〻を しらぬ追分
追分→道の二つにわかれる所☆国大 あるいは中山道軽井沢の追分? 道が二つに別れるのに産婆は不要? 田舎では自分で産む?
16 1-1
物忘れ あしな所を 横に見
味な→色っぽい 横に見→よこにみる 色っぽい光景を横目に見てその拍子に物忘れ
17 1-1
神輿洗つて 辷る拝殿
祭の準備 洗い立ての神輿が拝殿に入り
18 1-2
関二ツ 有ともしらす 出来心
関は東海道の箱根と新居 駆け落ちか抜け参りか
19 1-2
目へ乳をさす 引越の中
中→うち 目にゴミが入った時の治療法
20 1-2
夜ハ蛍に とほされる艸
草に蛍の灯が点ったよう
21 1-2
正直に 大工の通ふ 寶寺
寶寺→たからでら 京都天王山の宝積寺 打出の小槌を納める☆川柳辞彙 お宝があるのに盗みもせず
22 1-2
舞台から 飛を傘屋ハ 觸歩行
觸歩行→ふれありき 清水の舞台から傘を持って飛び降りると恋が叶うとさ
23 1-2
丈イくらへ 手を和らかに 提て居
丈イ→せい 背比べの子 頭上に気持ちがいって指先が自然に伸びる
24 1-2
昼ハたはけな 陸奥の玉河
陸奥の玉河→六玉川の一つ 野田の玉川 「夕されば汐風こしてみちのく の野田の玉川千鳥なくなり」 ☆能因☆新古今 昼だとあほうな
25 1-2
宵の謡の 通る寒聲
寒聲→かんごえ 冬の夜や早朝戸外でする音曲の稽古 寒声修行で謡も上手に?
26 1-2
皿砂鉢 欲ハなけれと あふなかり
皿砂鉢→さらさばち 砂鉢→さはち 皿形の大鉢 もったいないという訳ではないが運ぶのを見て居ると つい
27 1-2
毛見の艸履に 二人取つく
毛見→検見 お代官さまー
28 1-2
説教の 上手か嶋に 生キて居
説教節の流行は去ったが 島流しになっている昔の名人が島ではまだ現役
29 1-2
相図にするを しらぬ看経
看経→かんきん 仏壇の勤行 姑のお経が始まったら安全な若夫婦
30 1-2
柏もらいの 下手な木登リ
柏餅を作るのに他の家の柏の葉を貰う
31 1-2
智恵のない 顔か揃て 扣キ鉦
扣キ→たたき 信心も傍から見ると
32 1-2
家内の留守を ねろう鶏飯
女房は鶏嫌い
33 1-2
売喰の 丁字頭ハ 無念なり
売喰→凋落し財産を売る 丁字頭→灯心の燃えさしの塊 儲かる吉兆というが
34 1-2
尋て歩行 穴蔵の声
歩行→ありく 呼べば穴蔵の中から返事
35 1-2
記念届けて 元の奉公
記念→かたみ 夫に死に別れて元の奉公先へ戻る
36 1-3
古骨買の 辛崎へゆく
古骨買→古傘買 辛崎→近江八景の唐崎の夜雨
37 1-3
低く言 高く笑ハ おもしろき
内緒話
38 1-3
勘当させた 挑灯の施主
挑灯の施主→全盛の花魁 浅草寺の提灯の奉納
39 1-3
朝皃の 思ひ直して 二ツ三ツ
朝顔の季節の終り もう咲かないと思ったが
40 1-3
四月の紺屋 立波にあく
立波→たつなみ 波文様 端午の節句の幟の注文が多くて飽きた 幟には定紋と波文様
41 1-3
不食の給仕 飛石を行
不食→ふしょく 離れに籠る食欲のない人に給仕?
42 1-3
鳶まてハ見る 浪人の夢
一富士二鷹までいかない悲しさ
43 1-3
貴人の方へ 曲る罔両
罔両→かげぼし 影法師 うつった影の一方が偉い人の影へお辞儀
44 1-3
鰒ハいやかと たつた一筆
鰒→ふぐ 道楽仲間の危険なお誘い
45 1-3
六月しれる 娵の身代
娵→嫁 虫干で嫁の財産の全貌が明らかに
46 1-3
恥かしい 目に嶋台を 能覚
嶋台→飾り台 能覚→よくおぼえ 婚礼の日の花嫁の視点
47 1-3
三めくりハ 蛙の聲に 煙立
三めくり→向島三囲稲荷 其角の雨乞いの句で知られる 蛙が鳴き雨に煙る? 今戸の窯の煙?☆HP「武玉川を歩む」
48 1-3
掃下を 段〳〵逃て 棚の下
掃下を→はくしたを 掃除の邪魔? 部屋のすみに追いやられる
49 1-3
合羽に尖る 舟の若党
尖る→感情的になる 若党→若侍 狭い舟中で合羽が邪魔?
50 1-3
夜討の跡に けいせいの帯
曾我兄弟の仇討ちの時 工藤祐経は遊女と寝ていた
51 1-3
羽衣を 鮮い手て 皺にする
鮮い→なまぐさい 謡曲羽衣の天人と漁師伯良
52 1-3
雪駄てハ 通りかねたる 三日の原
三日の原→甕原 百人一首の 「みかのはらわきてながるるいづみ川・・」 雪の吉原 居続けで三日目 雪が積もって雪駄では歩けぬ
53 1-3
門松の 穴も心の 置所
正月は冥土の旅の一里塚 ものは考えよう
54 1-4
眼薬の 貝も淋しき 置ところ
目薬の練り薬を貝に入れた 抽出薬だったので水屋の周囲か?
55 1-4
後家て 目を突く 今の角丁
後家→お茶挽きの意? 目を突く→多い状態(類例)小判で目を突く→小判が多く散らばっている形容☆江語辞 「笊で目をつくは八日のゆしま也」☆柳十六・40(事納) 角丁→すみちょう 吉原角丁
56 1-4
夜のめかりに 借金を逃
めかり→機転 闇にまぎれて逃げる
57 1-4
利口になって 飛ぬ清水
清水の舞台から飛び降りるような真似はしなくなった
58 1-4
梟に 昼中くらき 十二神
十二神将のおわす薬師堂へ梟が飛込む
59 1-4
一日の 機嫌も帯の 〆こゝろ
きゅっとしめれば気持ちもしまる
60 1-4
峠の宿の 浅い居風呂
居風呂→すえふろ 風呂桶でわかす風呂 峠は水の便が悪いので水が貴重
61 1-4
おとりか済て 人くさい風
盆踊りのあと 白粉の匂い
62 1-4
白鷺の ひたるいうちハ 水鏡
ひだるい→ひもじい 水面でじっとして餌を狙う
63 1-4
宿下の 侭て雪駄ハ 干からひる
宿下→やどおり 武家屋敷等の薮入り または薮入り 侭→まま 雪駄は薮入以外は履けない 薮入の時履いたきり
64 1-4
面打を呼ふ 一世一代
一世一代→能役者引退の舞台納め 面を特注
65 1-4
台笠振つて 這入る出女
台笠→大名行列のお供が持つ棒についた被笠 出女→宿場遊女 客の杖と笠を持って?
66 1-4
淋しい舟の 五十嵐へ着く
五十嵐→両国の五十嵐兵庫髪油店☆川柳辞彙 船比丘尼が白粉を買いに? (☆HP「武玉川を歩む」様ご指摘ありがとうございました)
67 1-4
正直に 独つゝ寐る たから船
初夢に吉夢を見るため 各自の枕に宝船の絵を敷く
68 1-4
今出た海士の あらい鼻息
海士→あま ☆そのまんま
69 1-4
能い頃を 鶉の起す 艸枕
鶉→うずら 旅寝の朝ほどよい頃に鳴いて目覚まし
70 1-4
間夫の 命拾ふて 蚊に喰れ
間夫→まおとこ 裸で隠れる あるいは説教?
71 1-4
棒を潜つて 供へ茶を出す
門前で主を待っている駕篭の棒の下からお伴にお茶を
72 1-5
夜のしまいも はやい斎日
斎日→さいにち 正月と盆の十六日 薮入で小僧がいないから店も早じまい
73 1-5
草も輪に 成て涼しき 御祓川
御祓→みそぎ 六月祓の茅の輪くぐり
74 1-5
旅衣 脊中へ蝶を 浴て行
野辺を行く旅人の背に蝶が何匹も
75 1-5
枩脂匂ふ 清見寺前
枩→松 清見寺→せいけんじ 門前に万能膏等膏薬屋が多い 膏薬に松脂を使う
76 1-5
ちら〳〵と 池の蛙の うしろ紐
うしろ紐→子供の着物の紐 まだ尾のある蛙
77 1-5
子をまたくらへ はさむ中剃
頭を小判型に剃る
78 1-5
盃出して 伯父をしつめる
まあまあ伯父さん
79 1-5
薮入の 物あり皃な 銭を買
物あり顔な→訳ありげな 給金を銭に両替する
80 1-5
我一生と おもふ河越
河越→かわごし 大井川や安倍川など 人足の肩車などで大河を渡る
81 1-5
牡丹に馬鹿の 狂ふ身代
牡丹マニアが身上潰す? 普通牡丹に狂うのは唐獅子 また白楽天の詩「牡丹芳」に「開花花落二十日一城之皆若狂」
82 1-5
十九か過て やりはなし也
十九→女の厄年 やりはなし→ほったらかし 厄年迄は心配したが
83 1-5
湯立をうめて 通るむら雨
湯立→ゆだて 釜に湯をわかし巫女が湯をふり神託を告げる うめる→ぬるめる
84 1-5
順見の もたれ懸ハ まつの風
順見→巡見役人 まつの風→琴の音をあらわす 庄屋の娘が琴で接待?
85 1-5
買人を 突付て見る いもり売
買人→かいにん 突付て→つっついて いもり→惚れ薬 こりゃあ効くよー
86 1-5
四月八日 ありかたい日ハ 暮にけり
四月八日→灌仏会
87 1-5
鳴らして捨る 葉に残る月
葉を鳴らした後の葉の穴を月にみたてる
88 1-5
黒木のうへの 初雪を喰ふ
黒木→いぶした薪 小原女が山から売りに来る
89 1-5
飛騨の工も やはり切筆
切筆→きれふで 毛先のすり切れた筆 ちび筆 字や文は下手? 大工は字が下手ということになっている
90 1-6
たはこ入 家内へ隠す 松の内
家人に見られたらまずいものが入れてある? 文?
91 1-6
柴の戸を 大根て扣く 霜の花
柴の戸→粗末な住居 扣く→たたく 謡曲雷電の文句取り? 真冬の農家の情景
92 1-6
足の淋しき 下馬の六尺
六尺→駕篭かき 下馬先の供奴のすねがあらわ
93 1-6
御端下まてハ 行ぬからかさ
御端下→おはした 武家の下女 傘からはみ出る
94 1-6
呑喰も 四十と言ふか 先へ立
もう年で暴飲暴食はどうも
95 1-6
雪ころはしへ 登る垣間見
雪ころはし→雪を大きな玉にしたもの 垣間見→かいまみ 隙間からのぞく
96 1-6
うき世ハあしに 着なす上下
あしに→味に 色っぼく 葬式帰りの大一座か?
97 1-6
鴛の 除け物になる 雲のみね
鴛→おしどり 雲のみね→入道雲 雲は鴛より雄大?
98 1-6
衣紋坂 出家の提る 土大根
衣紋坂は吉原の入口 出家は吉原には入らないので
99 1-6
湯舟の煙 黒い六月
湯舟→風呂付きの舟 五月迄の雨で薪が湿って
100 1-6
付さしを 渡すと直に あちら向
付さし→盃や煙草の廻しのみ 直に→すぐに 吉原の花魁?
101 1-6
夜の雪駄の ひゝく木からし
音が冴える
102 1-6
秋風に 山伏のうつ 火かこほれ
山伏の逆の峯入といって秋に吉野から大峯を経て熊野に出る修行 切り火を打つ
103 1-6
薬にも 毒にもならす 年男
無難な人が年男に? 年男は豆まきをしたりするが 精進が要ったりして面倒
104 1-6
情しらすの 筑波見て居
筑波山は歌垣の名所 不粋な奴は独りで山を
105 1-6
ひつしやりと 被つふれる 山颪
被→かぶり 山颪→やまおろし 女人の山詣?
106 1-6
三人寄れハ 毒な夕くれ
吉原へ
107 1-6
合点て 居てもあふない 暖メ鳥
合点→がってん 暖メ鳥→ぬくめどり 鷹は小鳥を炬燵がわりにしてから解放するという 殺されないとわかっていても
108 1-7
安弔ヒの 蓮の明ほの
安弔は早朝出す 不忍池の蓮
109 1-7
雀子の 可愛かられて 逃て行
可愛がっても逃げてしまう
110 1-7
折ふしハ 棒も降也 さくら狩
さくら狩→花見 騒いで警備役人に棒で小突かれる 「喧嘩は降り物」☆諺→喧嘩はどこで始まるかわからない☆俳説ことわざ辞典 をきかす
111 1-7
淋しい茶屋の しれるかやり火
蚊遣火で茶屋があるのが旅人にわかる
112 1-7
志賀ハ小言の 種にそ有ける
志賀寺の上人の恋の故事?
113 1-7
捨ものにして 抱ついて見る
捨物→医者がさじを投げた病人☆江語辞 振られるのを覚悟で捨て身の求愛
114 1-7
居風呂へ 明てハかへる 松の風
居風呂→すえふろ 風呂桶でわかす風呂 風呂場へ松風が?
115 1-7
銭ほとに 盛あてかふ さくら艸
あてかふ→適当に見積もって与える 桜草売がお代の銭に見合う程目分量で量って
116 1-7
うまい事 書た文見る 鼠の巣
恋文を鼠に引かれた
117 1-7
山帰来干す 辻番のうら
山帰来→さんきらい 梅毒の薬 辻番→武家屋敷町の辻の見張り番所
118 1-7
狐に恋を 見せて化され
吉原の白狐に?
119 1-7
鎧を着ると 側の巻物
鎧櫃に虫害を防ぐという枕絵を入れておく習慣あり いたずらで虫干の鎧を着ると側に巻物が
120 1-7
千鳥をハ 鷺にして置 遠めかね
ありゃあ鷺だななどといい加減なことを
121 1-7
水かねを 吝く振出す 鏡研
水かね→水銀 吝く→しわく 鏡研→かがみとぎ 鏡研に水銀を少量づつ使う
122 1-7
前巾着に 枕する猫
前巾着→印鑑などを入れて腰に下げる巾着 ☆そのまんまか
123 1-7
蛍の先へ 間に合ぬ傘
雨夜の蛍を傘で捕えようと
124 1-7
湯立の通リ はやる振出し
振出し薬→湯の中で振り動かして煎じ出す薬 風邪薬 湯立の占いで出た通り風邪が流行 湯立の釜と煎じる鍋との関連
125 1-7
声きへて 笠を名残の 桧原
桧原→ひのきはら 別れて笠だけがちらちら見える
126 1-8
世ハからくりの 福寿草咲く
正月用に室で人工的に咲かせる
127 1-8
凡夫さかむに 猪牙へすハしり
すばしり→ボラの幼魚 「凡夫盛んなる時は神も祟りなし」 吉原通いの猪牙舟に走って飛び乗る
128 1-8
住居の智恵ハ 越てから出
実際住んでみてわかる
129 1-8
外科ハその名も 付す別るゝ
性病の治療か性器の外傷か
130 1-8
首さへ出れハ 窓の通い路
外出禁止の若旦那が窓から首を出して花魁への言伝を頼む
131 1-8
暑き日に 娘ひとりの 置所
虫干しの箱入り娘 だらしない格好もできず
132 1-8
青い葉ハ 律儀にしらぬ 立田姫
立田姫→秋を司る神 残らず紅葉
133 1-8
鐘つきに 引はなさるゝ うしろ神
吉原明け六ツの後朝の別れ
134 1-8
張合の なき盃ハ さし向ひ
吉原のほうがいいや
135 1-8
土産の一駄 前の日に着
旅戻りの本人より先に土産が帰着
136 1-8
子を誉て居る 舟の真中
渡し船で危ない船端に子供を近寄らせない
137 1-8
師走の猪牙に 裏白か舞
裏白の葉 舟にも松飾り
138 1-8
雀へ酒の かゝる鳥さし
鳥刺→鷹の餌にする雀を取る 居酒屋で呑む鳥刺の腰には雀が入った籠が
139 1-8
夜着の栄花の 眼か明て居
吉原の馴染女郎に贈った高価な三蒲団 嬉しさと後悔で眠れぬ
140 1-8
ひよんな字を 問て家内に うたかわれ
家内→家の者 花魁の文? あるいは 旦那様は案外学がないねと?
141 1-8
廿チの思案 聞に及ハす
廿チ→はたち 悩みは決まっている 女は婚期 男は吉原
142 1-8
わさひおろしに 寒い袖口
わさびおろし→ 足軽や中間またはその着る袴
143 1-8
高く聞へる 闇の口上
夜の口上は大きく響く
144 1-9
麻刈の 一鎌つゝに 笠か鳴
麻を刈る度に笠に触れる
145 1-9
物書ハ 寺中て憎む 掛人
物書ハ→ものかけば 掛人→かかりうど 居候 能書な居候が寺に 居候のくせに
146 1-9
塔を見て 思へハ人も 怖い物
ブロジェクトX
147 1-9
行水廻す 根夫川のうへ
根夫川→ねぶかわ 根夫川石 石碑や沓脱石にする 石の上に行水の盥を置く
148 1-9
切れ盃を 供か見て居る
男女縁別れの盃
149 1-9
取扱いも 寒いから鮭
から鮭→乾鮭 手触りも枯木のよう
150 1-9
悋気の屋根を 廻る夕立
夕立の如き夫婦喧嘩
151 1-9
面白く反る 四ツ手引かな
四ツ手網を引き上げる人 身体を後ろに反らす
152 1-9
主のない 扇を遣ふ 渡し守
渡し船の忘れ物を借用
153 1-9
煩ふ馬を 沢瀉へひく
沢瀉→本郷の薬種店 沢瀉屋市兵衛
154 1-9
けふいもの喰ふ 木からしの月
落葉焚きの煙が月にかかる
155 1-9
仕送リを うまくたまして 足拍子
仕送り→大名などの財政再建担当者 無駄使いを切る役 接待費の削減をまぬがれて
156 1-9
泥のつく 物とハ見へぬ 御所車
☆そのまんま
157 1-9
二階から 心の人へ 咳はらい
心の人→意中の人 ☆武四・14
158 1-9
若衆ハ声に 出るうら枯
若衆→男色の弟分 出る→いづる うら枯→草木の先が枯れる 若衆声変りで陰間としては盛りを過ぎた
159 1-9
六月キはたらく 霊・山の柚子
六月キ→むつき 霊・山→りょうぜん 霊山 東山の正法寺 精進料理に柚子を使う?
160 1-9
元結紙も 粘の世の中
粘→もち?のり? 元結紙でも糊口をしのぐ手段になる太平の世?
161 1-9
湯女の情も 一まわりつゝ
一まわり→七日間 湯治は七日で一単位 七日で湯女との関係も一区切り
162 1-10
おかしからるゝ 衛士の有明
有明→まだ月のある夜が明けかかるころ 衛士のねぼけ顔?
163 1-10
双六の 戻る箱根に 櫛か落
道中双六で箱根で止まるのは「御関所手形を忘れ江戸へ帰る」という振り出しに戻る目なのでショック☆解釈と観賞臨時増刊号「川柳江戸の遊び」
164 1-10
白粉も 袂につけハ たゝかれる
白粉→おしろい ☆そのまんま
165 1-10
時鳥 近く見られて いとま乞
時鳥→ほととぎす 近くで見られた途端一声鳴いて飛去った
166 1-10
柳と路次へ 這入節季候
節季候→せきぞろ 年末に来る騒がしい門付け 年末の門付けが餅花に使う柳を持った人と共に路地へ
167 1-10
水ものにして 田を質に取
水もの→運に左右されやすいもの 不安定な収穫ではなく田そのものを担保に
168 1-10
食傷ハ 覚悟のまへの 遣唐使
食傷→食べ過ぎていやになること 食中毒 毎日中華 あるいは船中で食中毒
169 1-10
蓋明て あいその尽る 御菜籠
御菜籠→ごさいかご 奥女中の下男が使う買い物籠 その中に怪しいものが
170 1-10
三下リ ころせ〳〵と 人通リ
三下リ→さんさがり 三味線の調弦の一つで曲により軽妙な感じや沈んだ感じになるという 大立ち回りの効果音楽
171 1-10
蒸籠の 湯気を抱へて 奥へ行
湯気の立つ蒸篭を湯気ごと抱えるように運ぶ
172 1-10
馬の尾の ふり負て居る 水車
馬の尾も水車も絶えず動いて
173 1-10
廿日亥中に 上を行うそ
亥中→いなか 亥の刻の中頃(22時頃) その頃出る陰暦二十日の月を亥中月(二十日亥中)という 行→ゆく 十五夜十三夜はおろか亥中月にも登楼するぞとうまいことをいって
174 1-10
足跡ハ 親子と見へる かきつハた
花盗人は杜若が多い 水辺の足跡を見ると大きいのと小さいのが
175 1-10
口留を しても忘れる めうかの子
めうか→茗荷 茗荷の子→愚かな子☆雑俳語辞典 茗荷を食べると物忘れするという
176 1-10
上り馬乗る 寺の若党
上り馬→あがりうま 故人の愛馬を寺に納める 若党→若侍
177 1-10
祭もなくて 人近い神
お祭りも縁日もないけれどかえって身近な小さなお社
178 1-10
転んた跡の 青い淡雪
すぐ下は草?
179 1-10
出入坐頭の 誉る新道
新道→町家の間にある狭い路☆江語辞 こちらは歩き易い結構な道ですな
180 1-11
見しらぬものを 拾ふ左義長
語源の打毬の毬杖(ぎちょう)? 柱に付ける扇の焼けたの?
181 1-11
常世か馬の 畳まて喰ふ
常世→つねよ 鉢の木の佐野源左衛門常世 貧乏で
182 1-11
相談の しまらぬ所 ひかし山
しまらぬ→決まらぬ 京都の東山 眼下に遊ぶ町が多い
183 1-11
かな谷泊の 一日の運
東海道金谷宿 大井川越え 一日違いで川止め
184 1-11
人目の隙に 妻の行水
隙→すき ☆そのまんま
185 1-11
緋おとしに 惚れて戻リし 白拍子
緋おとし→ひおどし 義経と静御前とか
186 1-11
捨物に して遣る文に 花か咲
捨物→医者がさじを投げた病人☆江語辞 一か八かの恋文で大成功
187 1-11
乳母か在所の 赤蛙来る
赤蛙は疳の薬
188 1-11
鑓か降ても 武士の衣〳〵
鑓→やり 衣〳〵→きぬぎぬ 吉原の遊女との別れ 屋敷勤めの武士は門限厳守 鑓が降っても昼遊びから戻らねば
189 1-11
小松曵 あふない所て 手を握り
小松曵→初子の遊び 志賀寺上人が初子に御殿に忍んで御息所の手を握った故事
190 1-11
かふろへ親の 通ふ疱瘡
禿の親が看病に
191 1-11
蛍ハ空に 闇ハ梺に
梺→ふもと 蛍は逃げて辺りは闇
192 1-11
紫蘇漬にして 戻す引臼
紫蘇の葉を借りた臼で挽いたら色がついて
193 1-11
下戸独 恋の證拠に 頼れる
独→ひとり 頼れる→たのまれる 「今の言葉覚えておいてくれよ しらふのお前が証人だぞ」
194 1-11
気違を見に 物干か込む
☆そのまんま
195 1-11
山伏も 木の端ならす 梳あふら
梳→すき 山伏の恋
196 1-11
牛一つ 花野ゝ中の 沖の石
花野に牛一匹の風景 「わが袖は潮干に見えぬ沖の石の人こそ知らねかわくまもなし」☆二条院讃岐
197 1-11
醤油にも 気侭ハさせす 杉の口
気侭→きまま 杉の口→醤油徳利の口に杉の葉を挿して少しづつ出るようにしてある
198 1-12
吉田を乗つた 聟にくり言
東海道吉田宿は遊女多し くり言→ぐち 同行の人が聟なので遊ばず乗り過ごす
199 1-12
帰リにハ 疝気の発る くすり掘
くすり掘→野山に薬草の根を採りにいく 冷えたので疝気の発作が
200 1-12
入歯のくハひ かみしめて見る
くハひ→具合 出来具合
201 1-12
連哥師の 江戸へ下れハ 花の春
花の春→新年 正月十一日徳川家連歌の式に京の宗匠が呼ばれる
202 1-12
色茶屋ハ つふれて寒き 広小路
上野広小路 けころ茶屋の取払い
203 1-12
助太刀ハ 念者と中の よい男
念者→衆道の兄分 男色関係の敵討ち
204 1-12
金剛杖に 立並ふうそ
大山詣りの懺悔か あるいは 謡曲安宅か
205 1-12
行平の 寐所替る 月二夜
在原行平は須磨で松風村雨姉妹と深い仲に 十五夜と十三夜には違う寝所
206 1-12
寐て出る智恵に 世も捨リ行
捨リ行→すたりゆく そうか 世も末ということだ! ???
207 1-12
後生気か 出て極のつく 女形
極→ごく 役者評判記の等級 後生を願う年齢になってやっと
208 1-12
命とハ あたりまかせな 言葉也
誰々命とか 命はいらねえとか
209 1-12
這ふ子の口に 人形の丹
丹→たん 人形を舐めた?
210 1-12
艸履取 面白がらぬ 数寄屋河岸
羅生門河岸とは違うから?
211 1-12
隙かして 拍子の揃ふ 紙きぬた
隙→ひま 紙きぬた→紙の原料のこうぞを木槌で叩く ここは浅草紙の製造工程か 暇人がすると拍子を揃えて打つ
212 1-12
用に立たを 聞ぬ突棒
突棒→つくぼう T字形の召捕道具
213 1-12
初鰹 死た隣て そつと呼ふ
隣の不幸に遠慮して それでも食べたい
214 1-12
息・杖のうち 掃かけて待ツ
息・杖→いきづえ 駕篭かきの杖 駕篭の棒の下に息杖を入れ休む格好が掃き掃除みたい
215 1-12
哥ていかねハ へつたりと文
求愛の和歌でだめなら一面書き埋めた恋文で勝負
216 1-13
御符もらいの 行あたる駕
御符→ごふう 堀の内妙法寺の張御符 貴賎の御符取りで混雑
217 1-13
貰いさかなの さがるうたゝ寐
さがる→腐る 昼寝している間に貰った魚が
218 1-13
身のうちハ 眼斗出して 玉霰
眼斗→めばかり 玉霰↓霰の美称 頭巾をかぶって
219 1-13
何かにつけて おとこ兄弟
☆そのまんま
220 1-13
深くはいれハ 法の吉原
法→のり 仏の教え 吉原も極めると悟りの道に通じる
221 1-13
財布てぶつて 直に勘当
ぶつて→打って 直→すぐ 勘当はするものの親心で金を
222 1-13
安い薬の まわる木食
木食→木の実や草を食べて修行する人☆国大 日頃から粗食なので安薬でも効きがよい
223 1-13
傘をさす手ハ 持ぬけいせい
花魁道中 傘は若い者が持つ
224 1-13
祈か利て 宮芝居隙
宮芝居→神社祭礼時など境内に小屋掛けする芝居☆江語辞 隙→ひま 雨乞いが効いて雨が降り芝居小屋は不入り
225 1-13
季吟にたかる 人も月花
季吟→北村季吟 江戸前期の古典学者・俳人・歌人 幕府に仕えた たかる→集る 月花→つきはな 風雅な物事☆国大
226 1-13
小つゝみに ほつ〳〵降ハ 淋しけれ
小雨の日の小鼓の稽古?
227 1-13
此反リ橋に ほしき牛若
梅に鶯みたいに
228 1-13
松茸も 喰ぬ物なら 小間物屋
小間物屋が密かに売る品物
229 1-13
筏さし 畳の上へ 世をのかれ
筏乗りの引退
230 1-13
牛に乗る日ハ 遠い鎌くら
鎌倉といえば牛? 「馬に仕立る鎌倉の牛」☆武六・7 馬で行く時は近いが
231 1-13
駕から水を 貰ふ六月
炎天下 駕篭から降りずに水を
232 1-13
海士の子の 頬を舐れハ 塩はゆき
海士→あま 舐れハ→ねぶれば 塩はゆき→塩からい 裸の海女から乳を呑むので
233 1-13
坊主と中の わるい煩い
加持祈祷 坊主と仲の悪い憑物?
234 1-14
はけしい親の 呵そこない
呵→しかり 叱りすぎて悪い結果に
235 1-14
禁酒して 何を頼の 夕しくれ
頼→たのみ 味気ない
236 1-14
烏も二つ 雪のぬり下駄
雪の上の二羽の烏が塗下駄のよう?
237 1-14
かもしを抜て かゝる関の戸
かもじ→婦人用の入れ髪 関の戸→関所の門☆国大 関所で髪の中に何か隠していないか調べるので準備
238 1-14
大神楽 男日照の 下へ来る
大名屋敷の大神楽見物 奥女中達も一緒に
239 1-14
婆ゝか昔ハ 指折の海士
海士→あま ☆そのまんま
240 1-14
主従か 裸にされて 雉子の聲
山中で追剥にあい
241 1-14
みな仇事の ほた餅か来
仇事→あだごと 手をつくして看病したが四十九日の牡丹餅ということに あるいは暮れの算段ができずついに持参嫁が?
242 1-14
ふり付の 心の届く 衣かへ
振付ける→振るの強調☆江語辞 振る→嫌って相手にせぬ☆江語辞 あるいは振付師の振付? ???
243 1-14
長刀て こしもと・くるみ 弟子に取
長刀→なぎなた こしもと・→こしもと お嬢さんと腰元を弟子に
244 1-14
手を握られて 皃ハ見ぬ物
皃→顔 初心な娘
245 1-14
更行春に 禿苦になる
更行→ふけゆく 禿→かぶろ いずれは新造に
246 1-14
都のうつけ 赤貝に泣く
銚子へ行っている勘当息子が浜の赤貝を見て昔を思い出し
247 1-14
砂糖のやうな 京へ縁組
砂糖のやうな→京の人は口がうまい?
248 1-14
笠の雪 崩れぬやうに 脱て見
随分重いがどれ程積もった?
249 1-14
そう笑つてハ 辷る反り橋
娘たちの宮参り 箸が転んでも
250 1-14
仕着の不足 下に着て出る
仕着→しきせ お仕着せの下には気に入った着物を
251 1-14
朝寐する 町ハ鳥居の 右左
門前の土産物屋 縁日の夜は遅く迄賑わい
252 1-15
母ハとり込む 雨の錦木
錦木→男が女の家の門に立てる求愛の標で取り込むと受諾 薪になるので濡れるともったいない?
253 1-15
時雨と雪と 二度に逢ふ瀬田
瀬田の橋が長いので近江八景の唐崎の夜雨と比良の暮雪が両方見られる
254 1-15
醫者の口から 洩れる隠れ家
医者を呼んでばれる
255 1-15
金掘の 佐渡へふり向 天の川
「荒海や佐渡によこたふ天の川」 の文句取り
256 1-15
のれんの外へ 口上の尻
顔だけ突っ込んで
257 1-15
正客を つふす積リに ずつと立
つぶす→酔い潰す 酒に自信のある者が我こそはと立ち上がる
258 1-15
揚屋九軒て 可愛かる馬鹿
大坂新町遊郭 九軒町の揚屋 放蕩息子が喰いものに?
259 1-15
あわれ也 狂ふ時にハ 男声
陰間か女形の錯乱?
260 1-15
琵琶かなるとハ 親類の花
琵琶が弾ける娘 弁天様のようで親類中の自慢
261 1-15
升て喧嘩・を 分る住吉
摂津住吉大社の九月十三日の神事 宝の市 升市ともいい升が売られた
262 1-15
むかし〳〵の 聟に高札
高札を立てて条件にかなう聟を募集 狂言に類例あり
263 1-15
呑やうに 水のなくなる ちらし書
水→ここでは墨汁 散書→女文の書法☆雑俳語辞典 長い文で
264 1-15
日にやけた 娘を誉る 宇治の春
茶摘み娘
265 1-15
異見の側を 通るぬき足
とばっちりをうけないよう
266 1-15
鳴子曵 恋にハ売れぬ おとこ也
鳴子曵→なるこひき 田畑の鳴子をひく人 まあ色男はいない
267 1-15
うらやまれたる 山人の脈
山人→やまびと きこり 鍛え方が違う
268 1-15
一日の 奉公納に 床をとり
奉公納→ほうこおさめ 下女か下男の一日の最後の仕事にご主人の蒲団を敷く
269 1-15
新造の 恨に骨ハ なかり鳧
骨→意志を貫く気力☆国大 鳧→けり 花魁よりは
270 1-16
薮入の 顔ハ濃くなり 薄く成
☆望楼之部 行先で白粉の濃さが違う 芝居と墓参りでは
271 1-16
三世相にも 水ハつめたき
三世相→さんぜそう 江戸時代の運勢判断本の一種 なんにせよ水は冷たいものさ
272 1-16
下闇に 火の恩ふかき うつの山
下闇→したやみ 木陰 東海道宇津山の蔦の細道 松明なしには
273 1-16
吉原に 實か有て 運の尽
實→まこと 本気のほうが怖い
274 1-16
文か届て 替る夕くれ
思う人からの手紙ひとつで気持ちが明るく? あるいは 花魁から手紙がきて浮き足立つ?
275 1-16
から鮭の眼へ 節分の豆
から鮭→乾鮭 眼の凹みに豆が
276 1-16
弘法の 惜しい事にハ 細工過キ
井戸は掘るわ 仏像は彫るわ
277 1-16
うそつきに 来た傾城ハ 寄掛リ
ねえ旦那
278 1-16
鰹売 呼て家内の 顔を見せ
家内→家の者 みんな腹壊してげっそり
279 1-16
誓文に 立る刀ハ まくら元
誓文→せいもん 起請文 拙者枕元の刀にかけても嘘は言わぬと寝物語で
280 1-16
西瓜の水も 遠いたしなみ
???
281 1-16
無理なまくらて 大坂へ着く
淀川の三十石船 荷物を枕に
282 1-16
冬籠 我も昔ハ 尻しらす
尻知らず→戸を開けて閉めない者☆江語辞 後始末をしない 若い頃を思い起こせば
283 1-16
おとこの眼にも 凄い子おろし
凄い→気味が悪い 中条流
284 1-16
ひよくの鳥も 顔か見らるゝ
仲が良すぎるとネタにされる
285 1-16
世の誉事の 晴天に死
誉事→ほめごと 晴天に葬いとは生前の行いが良いと
286 1-16
真四角に 突出し物の 神楽堂
突出者→仲間はずし 邪魔者☆江語辞 四角四面で周囲からも見られる神楽堂?☆国文学解釈と観賞昭和50年2月臨時増刊号
287 1-17
幾度か 盗れ死なれ 歌枕
歌枕の書物の遍歴? あるいは女に逃げられたり死なれたりするのが歌のもとに?
288 1-17
孕む稲 かわつた物を 夫に持
夫→つま 稲妻は稲の夫の意 稲が稲妻によって霊的なものと結合し穂を実らせると信じられた☆国大
289 1-17
ひよこの咽の 乾く若竹
同じ歳なのに何故こんなに育ちが違うのかとひよこが鳴く
290 1-17
呵られた夜の 夜着ハきせ捨
叱られた女房?
291 1-17
二の替リ 台所から 口を利
二の替リ→歌舞伎興行の一つ 芝居見物にいく相談を下女が聞きつけ連れて行って貰う
292 1-17
踏れる恋も おとこ一疋
泣いてたまるか
293 1-17
両隣 娘の咎を 知て居る
咎→とが 長屋の壁に耳あり
294 1-17
捨鐘聞いて 跡ハ推量
時鐘ははじめに捨鐘三つ 後は見当で何ツかわかる
295 1-17
後の追人に 二親の聲
追人→おって 男女の欠落 結婚を許すから早まるな
296 1-17
袖留て 師走の闇に 突放し
師走に金に困って娘を無理に嫁入りさせる? 持参嫁の逆の支度金嫁?
297 1-17
旦那の髪か 出来て騒動
旦那がきれいに髪を結ったので女房に疑われる
298 1-17
気違も はやされてから 藝か殖
☆そのまんま
299 1-17
検校ハ手を 敲く産聲
敲く→たたく 喜びを音で体現
300 1-17
うき世の下卑に 揚屋丁さび
揚屋丁→あげやまち 金のかかる揚屋遊びがさびれ引手茶屋経由で登楼するようになった
301 1-17
明る戸へ つめたく障る 氷室守
☆そのまんま
302 1-17
日比の意趣を はらす芋虫
日比→ひごろ 芋虫で仕返し
303 1-17
散る花を 乗物の戸へ あふき込
乗物→引き戸付きの駕篭 お供が駕篭の中へ桜の花びらを扇ぎ込む
304 1-17
隣の耳へ あたる言訳
俺のせいかよ?
305 1-18
目いしやの皃か 見えて手を打
皃→顔 包帯が取れると目医者の顔が
306 1-18
紅葉の中へ 幅な入相
幅↓威勢 わがもの顔☆江語辞 入相→いりあい 日没の鐘 豪気な感じ
307 1-18
土産買 傘へ時雨の 音かする
子に土産を? 鬼子母神等の御会式の帰りか
308 1-18
錦木立て 菜のうへを行
錦木を立てて菜の花の上を飛ぶような恋心?
309 1-18
命しらすの 戻る岩はし
岩橋→一言主神が夜造る橋 危ない夜這から戻る
310 1-18
持碁に作て 顔の見合
持碁→じご 引き分け 見合→みあわせ ☆そのまんま
311 1-18
しのふ艸 夜着を幾つか 跨越
忍ぶ艸↓ここは偲ぶより忍ぶの意味か 跨越→またぎこし 下女の大部屋へ夜這い
312 1-18
當させて 心のうこく 袴腰
袴腰を当てる→袴の後の台形部分を正しく当てる 正装して葬式帰りに吉原へ行く胸算用
313 1-18
高尾か出来て よみ売か出
高尾太夫が襲名されて かわら版が出る
314 1-18
様〳〵な 人か通つて 日か暮る
☆そのまんま
315 1-18
子守のもたれ かゝる裏門
☆そのまんま
316 1-18
翌ル日足の 立ぬ池上
池上→日蓮宗池上本門寺 江戸から三里と遠い
317 1-18
異見した日の 戸が早くたつ
立つ→戸がとざされる☆国大 その日ばかりは夜遊びせず
318 1-18
七ツハ人の 耳につく鐘
午前午後四時ころ
319 1-18
駿河の町の 吝い初雪
吝い→しわい けちな 富士の雪に比べれば 駿河町から富士がよく見えた
320 1-18
関守の 淋しい日には 物とかめ
退屈しのぎにきびしく詮議
321 1-18
その時を 見事に武士の 衣かへ
四月一日に見事に揃って衣替え
322 1-18
ちとこたわつて 返す羽衣
謡曲羽衣 伯良が国宝だとか舞楽を見せろとか
323 1-19
夜伽の客の かた付て居
夜伽→夜付き添っての看病 退屈でその辺を
324 1-19
うそか溜て 本堂かたつ
和尚が口八丁でお布施を集め
325 1-19
我髪と 思ふ時なき 女かた
歌舞伎の女形は舞台の外でも女髷☆川柳江戸歌舞伎
326 1-19
四月八日ハ 葬礼の花
灌仏会に葬式とは極楽往生間違いなし あるいは 誕生日に仏花とは縁起でもない☆HP「武玉川を歩む」
327 1-19
蜀漆の虫に 親の霍乱
蜀漆→くさぎ 臭木虫→糞虫 驚風疳症の薬☆雑俳語辞典 霍乱→激しい吐き下し 日射病とも 子の疳の薬の芋虫を見て親の方が吐き気を
328 1-19
障子越 引たい袖ハ かけほうし
障子の向こうに思う人の影が
329 1-19
時雨する 出雲の空ハ 表向
十月は神無月とも時雨月ともいう 神無月と違って時雨月は出雲でもそのまんま
330 1-19
松ケ岡 男をしらぬ 唐からし
松ヶ岡→駆込寺の東慶寺 ???
331 1-19
舟岡を 戻る薪屋も 五十年
京都舟岡山の舟形の火に使う薪を納める薪屋も人生五十年でいずれは送られる側に
332 1-19
不断桜ハ 観音の伊達
不断桜→伊勢白子観音の桜 一年中どこかの枝が咲くという 伊達→派手に装い飾ること
333 1-19
迄と言ふ 心の反リの 不奉公
迄→そんなら辞める迄だ 不奉公→ぶほうこう 奉公に励まないこと☆江語辞
334 1-19
あみ笠の 赤く成時 おもひ知
赤く成→変色する? 勘当息子が親の恩を思い知る
335 1-19
買水をうつ いやなやつ哉
買った水を打ち水に使うとは
336 1-19
鬼門の方の ふとん折込
下女の夜這よけ?
337 1-19
六月の つめたい物に 損ハなし
暑い盛りで
338 1-19
道心者 我も覚て おとこ山
道心者→どうしんしゃ 在家の仏道修行者 「今こそあれ我も昔は男山」☆古今集
339 1-19
反かへる のを見るやうに 鐘の声
鐘撞きが反り返る様が目に浮かぶ
340 1-19
不破の大工の 一生の恥
不破の関は破損ばかり詠まれる
341 1-20
雪折も 千鳥も枕 してのもの
寝て聞いてこその風流
342 1-20
正直な 方かやつるゝ 飛鳥川
飛鳥川は心変わりの象徴 恋でも正直なほうがやつれる
343 1-20
かいどりに 隠れて居たる 不孝者
かいどり→打掛の小袖 花魁が用いた 放蕩息子が居続け
344 1-20
歯の抜た子の 屋根を見て居
下の歯が抜けたら屋根に投げると次の歯が早く生えるという
345 1-20
黒雲の 晴る筑波ハ 有の侭
江戸から眺めた筑波山のさま
346 1-20
あふない道て 熊野節買
紀州特産鰹節 熊野古道で紀州土産を買う
347 1-20
帳屋の笹に 二度雪か降
帳面屋は店頭に笹竹を立てて看板とする 生えていた時と看板になってからと二度雪にあう?
348 1-20
唐から渡る 繻子も空解
繻子→しゅす 空解→そらどけ 帯が自然にとける 繻子の帯は滑って解けやすい たとえ舶来の繻子でも
349 1-20
五月雨 袂の下に 付木の火
袂で覆って火を付ける
350 1-20
寐起に分て 光る金屏
分けて→とりわけ 金屏→きんびょう 婚礼の金屏風 ああ持参嫁を貰ったのだとか?
351 1-20
けむい所へ 這入袖笠
這入→はいる 袖笠→袖を笠代わりにする 都合の悪い所へ袖で顔を隠して入る?
352 1-20
豆腐にむかい 是からの智恵
二日酔いの湯豆腐? 朝帰りの言い訳? 料理人の工夫?
353 1-20
胡葱ハ 初奉公の 新まくら
胡葱→あさつき 三月四日雛をしまう時浅葱膾を供える 初奉公→ういぼうこう 三月五日は奉公人の出替り日
354 1-20
晦日のうそに 男ぎれなし
男切→男っ気☆雑俳語辞典 男ぎれなし→男が全くいない すみませんねえ 女ばかりで事情がわからないもんで などと借金取りを帰らせる
355 1-20
なふり殺すを 居代てやる
居代て→いかわって 交替して座る? きつい奉公先をかわってやる?
356 1-20
金にする 声ハあわれな 寒の内
仕事でする音曲の寒稽古は厳しい
357 1-20
拍子に乗て 長崎の嘘
知らぬと思って調子に乗ってあることないことを
358 1-20
仲人の 及ぬ所へ たすけ舟
及ぬ→およばぬ 夫婦になった後のもめ事?
359 1-21
覗かれる気て 瞽女ハ寐に行
瞽女→ごぜ ☆そんまんま
360 1-21
笛の上手に 身を捨る鹿
狩人が鹿を誘い出すのに使う鹿笛
361 1-21
傘の 初荷か着て 郭公
傘→からかさ 郭公→ほととぎす 五月雨の季節になり需要が
362 1-21
悪女へ早く 届く手招
違うって
363 1-21
津浪の町の 揃ふ命日
合掌
364 1-21
涼しさは 男に多き 糺川
下賀茂神社の六月祓 六月晦日糺川に五十串の御幣を立てる 川に飛び入り御幣を取り合う
365 1-21
萌し物出て 生る駒込
萌し物→もやしもの 温床などで促成栽培した茄子など☆HP「武玉川を歩む」 生る→いきる もやし物が駒込の土物店(青物市場)に出て活気が☆江戸切絵図を読む
366 1-21
内に居て 顔の淋しき 一月寺
一月寺→下総小金の虚無僧寺 寺の中では編笠なし
367 1-21
奈良漬の 一舟残る 病上り
一舟→一皿? 箱形の容器に入れたものの単位☆国大 食欲はもうひとつ
368 1-21
恨もなくて 我畳む夜着
夜着→掛け布団にする着物型のもの 独り者なので当然
369 1-21
幟かふへて なふられる妻
幟→のぼり 端午の節句用 男児誕生 子沢山の妻
370 1-21
銭金の おもしろく減る 旅衣
旅では財布のヒモが緩む
371 1-21
少しつゝ 灯のふとく成 新枕
新婚 寝室の行灯の明るさが
372 1-21
御茶の水行 舟にからかさ
お茶の水は小赤壁といわれた神田川の景勝地 舟遊山を上から見られるのが嫌で
373 1-21
舞も恨も 初而ハ立膝
初而→しょて 初手 最初☆江語辞 まず片膝を立てる
374 1-21
憎そふに 手曳ハ日向 通りけり
手曳→てびき 手を引く人 日向→ひなた ご主人の検校に日陰を通らせるので
375 1-21
子の手を曳いて 姿崩れる
母親になると格好はかまえず
376 1-21
我炭に かじけて歩行 八王子
かじけて→冷え縮んで 歩行→ありく 八王子は炭の名産地 八王子の炭売りは自分で作った炭なのに
377 1-22
鷹の頭巾を 拾ふ買出し
鷹狩の鷹を静めるために頭巾をかぶせておく? 隼の調教用とも? 駒込には土物市と鷹匠屋敷がある
378 1-22
煮あかる湯を たます茶袋
煮→にえ 番茶の袋が入ると湯が治まる
379 1-22
辛崎や あたりの松ハ 気も付す
付す→つかず 唐崎の一つ松が有名なので
380 1-22
近星を 佛御前ハ 知らぬふり
近星→月に近くあらわれた星 時の大臣に災いありという☆川柳辞彙 ☆耳袋 清盛の運命
381 1-22
淋しい時に 蔵を詠る
詠る→ながめる 吉原に行けなくても土蔵の座敷牢よりはましだと?
382 1-22
油のはねる 忠盛の袖
平忠盛は妖怪と間違えて油瓶を持った坊主を捕えた
383 1-22
落る事 なくて淋しき 牛の角
☆そのまんま
384 1-22
百取うちに 濡くさる釈迦
百→百文 濡→ぬれ くさる→びしょぬれになる☆国大 「とうきたり」という物乞い 一文あげて甘茶をかける移動式灌仏会 百文たまる頃にはお釈迦様はずぶ濡れ
385 1-22
朝皃の 開キ仕廻へハ ほんの帯
ほんの→本当の 朝顔が開ききる頃には細帯の寝巻から普通の着物へ着替え
386 1-22
死た妾に 絵師の骨折
故人の姿絵を注文通りに描く
387 1-22
勘当の 長崎者に 成かゝり
勘当されて長崎へいく?
388 1-22
一夜明ると 馬鹿て目を突
一夜明ると→年が明けると 目を突く→多い状態 類例小判で目を突く→小判が多く散らばっている☆江語辞
389 1-22
殿の禁酒に 夜ハ捨り行
捨り行→すたりゆく 取り巻きもお妾も不景気
390 1-22
浪人ハ 娘ひとりを 智恵の奥
奥→心の底 最後の頼り
391 1-22
後家しほ〳〵と 青物の礼
四十九日の精進明け 忌中の法要には野菜物を贈る
392 1-22
明六ツわたる 鵲のはし
鵲→かささぎ 鵲の橋→牽牛と織女を結ぶ橋 朝帰りで戻る
393 1-22
鳥にさへ 相言葉ある そとの浜
そとの浜→外ヶ浜 謡曲善知鳥にでてくる 「うとう やすかた」
394 1-22
顔て死ぬ蚊の 兼而合点
兼而→かねて 叩かれる覚悟の上
395 1-23
節季の息子 算盤に乗
節季→盆暮の決算期 算盤に乗→当てにする? 商家が持参嫁を計算に入れる? 花魁が放蕩息子に暮れの無心を?
396 1-23
脊中から寄る 人の光陰
背中に年齢が出る
397 1-23
百性の身に 稀な手枕
百性→百姓 横になる暇もなく
398 1-23
温飩の誠 初雪か降
寒いのでうどんを食べるとつきづきしくも雪が
399 1-23
吉原の 屋根かと聞て 伸上リ
屋根の上の天水桶が有名 江戸見物で
400 1-23
覚へる事ハ 女房か勝
言ったじゃないの
401 1-23
ぬるい湯舟へ 這入早乙女
湯舟→湯桶☆雑俳語辞典 泥田へ入る
402 1-23
編笠を着て ほんの眼か覚
勘当され放浪して初めて
403 1-23
口上も 二人へあてゝ 千団子
千団子→せんだんご 鬼子母神に団子千個そなえる三井寺の行事 鬼子母神の千人の子へではなく自分の二人の子へ あるいは謡曲三井寺の再会した母と子へ?
404 1-23
精出して 売皃てなし 唐物屋
皃→顔 唐物屋→とうぶつや 輸入品を商う 無愛想
405 1-23
逃ると聞て 水かさしたい
駆落ちすると聞いて仲の邪魔をしたい
406 1-23
子ともの色の わるひ筑しま
筑しま→筑島 つきしま 埋め立て地 日焼け?
407 1-23
浅間ハもへて 里の朝食
朝食→あさめし 浅間の煙とかまどの煙?
408 1-23
十年まへハ 独おかしき
あの頃は若かったなあ
409 1-23
袖笠ハ しのひに成らぬ 紋所
袖笠→袖を笠にする しのひ→忍び 袖の紋が見えては
410 1-23
番神堂を 廻る薙刀
番神堂→ばんしんどう 天台宗等で三十番神を祀る? 僧兵? 三十番神は法華守護の神
411 1-23
庭鳥の鳴 ころか奉公
鶏が鳴くと起きて働く
412 1-23
子に持せても 桔梗淋しき
桔梗→お盆の飾り花に使う お盆前の草市で売られた 親の新盆? 「草市にきゝやうの切れる中の町」☆柳四3
413 1-24
志賀の寺 傘畳む 音かする
傘→からかさ 夜雨の唐崎に近い?
414 1-24
きり〳〵す 顔の重たき 院の御所
???
415 1-24
生酔の 心ハ直に 道を行
生酔→なまえい 酔っばらい 直→すぐ 真っ直ぐ歩いているつもり
416 1-24
さくらか咲て 奥の前たれ
奥→大名旗本等の妻☆江語辞 前垂→まえだれ 前掛 花見の仕度で奥様も台所に
417 1-24
寒の水 棒の師匠に 誉らるゝ
寒の水→小寒から節分の間に汲み置いた水 薬になる? 棒→棒術
418 1-24
杜若 坊主の手から 色かさめ
杜若→かきつばた 和尚が後家に下心あって
419 1-24
雨雲の 時〳〵見世へ 茶を運ひ
空模様が怪しいので茶店の客がなかなか出発しない
420 1-24
名古屋から なふられて来 干大根
十二月 尾州から幕府へ干大根の献上があった 干大根はなぶると美味くなる ☆武十一・24
421 1-24
神無月 仏の御代に 成にけり
神無月は神様が留守な上にお十夜や御会式など仏事多し
422 1-24
台所から 影ほしに惚れ
☆そのまんま
423 1-24
うらむ比丘尼の 髪をほしかる
髪があれば還俗しても負けないのに
424 1-24
闇を躍て 帰る屋敷衆
屋敷衆→侍衆 門限あり
425 1-24
御神酒ハあれと 青い庚申
庚申待で青い青面金剛を本尊として祀る 酒があっても赤くならない
426 1-24
白眼廻して 妾の出代り
白眼→にらみ 妾奉公の交替 恨みあり
427 1-24
宿下の 土産に咄す 紋所
宿下→やどおり 御殿や武家屋敷の薮入り 主人の紋所の自慢?
428 1-24
奉幣のうち 氷る侍
奉幣→ほうへい 冬の神事に随伴する侍 直立不動
429 1-24
度〳〵智恵の 戻る筑嶌
筑嶌→つきしま 埋め立て地 様々に工夫して難工事を
430 1-24
葵か咲て うくひすハ闇
立葵が咲く頃鶯の季節は終わり木陰へ
431 1-25
縫ふ人を 空からなふる 時明リ
時明リ→雨天の雲が薄らいで時々明るくなること 空の明暗で針の手元も
432 1-25
大工とさしに 引越の椽
椽→縁 新築引っ越し先の縁側で一献
433 1-25
旅人立て くらく成る家
早朝の出立の時は灯も多く見送りも賑やかだったが
434 1-25
日本の裾ハ 風ほとに明く
和服?
435 1-25
桟敷へ居る 母の中垣
居る→すわる 中垣→隣との隔ての垣根 芝居見物で母親が男女の垣根になる
436 1-25
腕をさすつて 狸煮て居
狸捕えて狸汁
437 1-25
生酔の 後ロ通れハ 寄かゝり
生酔→なまえい 酔っばらい ☆そのまんま
438 1-25
榊の穴に 鍬の投やり
鍬→くわ 祭礼の行列に使う榊を掘った跡で鍬が放ったらかし
439 1-25
寐て居た前を 合す稲妻
寝乱れに気づいて身づくろい
440 1-25
女房は 簾の内て 直をこたへ
簾→すだれ 直→ね 値段 家事をしながら店番
441 1-25
垢離取の 見ぬ振しても 楼舟
垢離取→こりとり 水垢離する人 楼舟→やかたぶね うらやましくても見て見ぬ振り
442 1-25
浪人に また息の有 松囃子
松囃子→正月の謡い初め☆川柳辞彙 腐っても鯛
443 1-25
おもひ直して 三弦を弾
三弦→さみせん 三味線 気をとりなおして
444 1-25
手うつしの 闇をいたゝく 寒念仏
寒念仏→かんねぶつ 寒中三十日間夜中に念仏を唱えて歩く行 暗い中お布施を受け取る
445 1-25
くほみの家へ 蚊遣り艸売レ
低地で蚊が多い
446 1-25
是迄と 思ひ極めて 惣仕廻
惣仕廻→妓楼一軒貸し切り 道楽納め?
447 1-25
都鳥 けふハきのふの 銭を売
隅田川の渡し守が梅若忌で儲かった渡銭を金貨に両替?
448 1-25
先てわかるゝ 判取の声
判取→はんとり 呉服屋で代金と売上帳を持って番頭に判を貰う丁稚 「あ いー」と長い返事
449 1-26
返す時 機嫌の悪い 御鬮本
御鬮本→みくじぼん おみくじの注解書 悪いことが書いてあって
450 1-26
うき事の ためにちび〳〵 呑習い
☆自分のことだ
451 1-26
又振袖へ 戻る孝行
離婚して実家へ戻るのも親孝行
452 1-26
一ツても 義理の届た 蛍狩
一匹だけでもお土産に
453 1-26
六郷きりで 分る相傘
六郷の渡しまで旅送り?
454 1-26
中間の名の ある甲斐もなし
中間→ちゅうげん 武家の下僕 武家屋敷の中間は実名で呼んでもらえなかった?
455 1-26
病い程 療治尽して 捨小舟
手を尽くして修繕したがとうとう廃船に
456 1-26
鳥甲見て 帰る弟子入
鳥甲→とりかぶと 舞楽の冠 こんなもの被るのは嫌
457 1-26
恋か叶ふと 分散に逢
分散→破産 花魁に入れあげて
458 1-26
音頭か付て 軽い言訳
取りなしてくれる人がいて言い訳が楽
459 1-26
我からに 覗く気に成 蔵開キ
我からに→自分から 蔵開き→吉日に蔵を開く 自分の家の蔵でも興味が
460 1-26
かつらへも 賀茂へも遣らぬ 仏の日
精進の日は桂川にも加茂川へも釣りにいかせない
461 1-26
むかしも今も 同し本膳
本膳→一番目に出す膳 昔から似たような献立 飯 汁 膾 煮物
462 1-26
小野照岬を さしの弔い
小野照岬→おのてるざき 下谷坂本町の神社 さし→さし担い 箕輪の先の火葬場へ向かう
463 1-26
落着皃の 堀て三味線
皃→顔 堀→山谷堀 山谷堀まで来ればすぐ吉原 まあ落ち着いて
464 1-26
約束たをれ さらされて居
吉原の張見世 馴染み客に登楼の約束を破られ紋日にお茶を挽きそう
465 1-26
燈籠の 売れた夢みる 小道工屋
小道工屋→こどうぐや 石燈籠は不良在庫の代表
466 1-26
五月雨や 仕廻の日にハ 横へ降
梅雨明けの名残に強く降った
467 1-27
松風の 和らかに来る ひとへ物
衣更したひとえ物に初夏の松風が
468 1-27
墨染の ちからつくにハ 写し物
坊さんの力仕事は写経
469 1-27
猫の二階へ 上る晴天
小春日和?
470 1-27
此世も闇の 鵜を連て出
謡曲鵜飼の通り現実でも月のない夜が鵜飼に都合よい
471 1-27
棒を馳走に 遣ふ神取
神取→楫取 かんどり 即ち かじとり の当て字? あるいはかみとり? 船の舵取りが棒も使う?
472 1-27
宇津の山 捨たいやうな 鑓に逢
鑓→やり 逢→あい 東海道宇津の山で行列と遭遇 木が茂る山道で鑓が邪魔そう
473 1-27
遠く日のさす 横笛の肘
神楽堂? 張った肘にだけ日が当たっている?
474 1-27
六角堂を 乳母かしこなし
六角堂→京都の頂法寺? 経堂? 子供が集まる かしこなし→畏れない?
475 1-27
つまめハ淋し 金襴のうら
金襴→織物の一種 表は硬いが裏は
476 1-27
惚たとハ 短い事の 言にくき
女からは言い出しにくい
477 1-27
ひよこの付て 這入灌佛
灌仏会参詣の人にひよこが付いて来る? 子連れの参詣の様子?
478 1-27
烏の歩行 瀬多の元日
歩行→ありく 人出のない瀬多の長橋に烏が
479 1-27
閏五月の いたつらに降ル
いたつらに→無駄無価値に 五月の五月雨だけで十分
480 1-27
火の入た 酒出盛て ほとゝきす
出盛て→でさかって 夏 新酒に火入れをする
481 1-27
西日の宿の 目を細く呼
逆光になる客引き
482 1-27
鶯に 突放されて 寶とゝきす
寶とゝきす→ほとゝきす 時鳥は鶯の巣に託卵する 鶯として育ち巣立てば時鳥
483 1-27
中気に成て 亭かつふれる
中気→中風 亭→ちん 庭園のあずまや 庭の散策不如意で
484 1-27
泊客 最う隣から 人の口
最う→もう あれは嫁さんになる人かねえ
485 1-28
涼しくも 男を立る 三ツかなわ
三鉄輪→みつがなわ 三人集まって話し合うこと☆江語辞 三角関係の話し合い いいよ 俺が泣くさ
486 1-28
大屋に成つて 負る六月
負る→まける 値段を引く☆江語辞 新大屋の新任祝いで暑い長屋の家賃を割り引く?
487 1-28
蝶〳〵の 種を蒔せる 貝わり菜
蒔せる→まかせる 貝わり菜→アブラナ科の発芽 蝶が集まる菜の花の種を播くのは蝶の種を播くよう
488 1-28
窓明た 大工を誉る 丸はたか
湯殿に窓を作ったら良い具合
489 1-28
雪を喰ふ 女の顔へ 日のうつり
雪のあとの晴天 女の顔に白い雪の反射が
490 1-28
硯の膝を 廻るおし鳥
曲水の宴にて 鴛の形をした舟が盃を載せて流れつく前に歌を詠む
491 1-28
取揚婆〻の 供も飛〻
迎えにいった者も産婆の駕篭と一緒に飛んで戻る
492 1-28
雪ころはしの 盛かへか出る
雪ころはし→大きい雪玉 盛りかへ→おかわり 大雪で次々に新しいのが
493 1-28
役者の艸鞋 葉の落る比
艸鞋→わらじ 比→ころ 十一月の顔見世興行に旅立つ
494 1-28
たけの揃わぬ 加多の洗濯
加多→紀州の地名? かだ→横着☆国大
495 1-28
きんか天窓を 撫る若君
天窓→あたま 家老のハゲ頭
496 1-28
紙燭して遣る 恩のはしまり
紙燭→紙縒製の照明具 主人の恩?
497 1-28
咡ハ うしろの見たい 駕の内
咡ハ→ささやけば 後ろの駕篭かきが何か言ったのが気になる
498 1-28
木枕を 都から来て 匂ハせる
宿の木枕に都人の髪の移香が
499 1-28
半年の 埃を見て居る 硯箱
埃→ちり 筆無精で書初めと七夕にしか使わない
500 1-28
捨子の棒の つつかいもなし
つっかい棒となる人もない?
501 1-28
子にゆるひ 頭巾かふせて 網代守
網代守→あじろもり 冬に氷魚をとる網代の番人 寒いので自分の頭巾を子にかぶせる
502 1-28
歯の若さ 茶漬の中に 石の音
折れなかった
503 1-29
朝日を供の ふさく干物
干物→洗濯物 行列の供の影が延々と続く
504 1-29
娵入となしに 抱取て行
娵入→よめり 許嫁の赤子を一寸連れて行く
505 1-29
消炭を 人と思ハぬ 八王子
人→他人 八王子は炭の名産地なので そこでは仲間あつかい
506 1-29
あほう拂の 摂待へ来る
あほう拂→追放 摂待→せったい 寺などの茶サービス
507 1-29
取持皃て 宴のめど
取持顔て→とりもちがおで 宴→さかもり めど→目的 接待するのに何か目当てが
508 1-29
蔵造 夏の噺の 怖しき
蔵造→くらづくり 土蔵みたいな所で百物語?
509 1-29
二心 内の淋しき ゑひす講
ゑひす講→商家で恵比寿を祭り祝宴をする 夫婦の意見が合わずせっかくのゑひす講が淋しく
510 1-29
雀眼も欲に ありく棚経
雀眼→とりめ 棚経→たなぎょう 盂蘭盆の読経に僧が檀家を廻る 鳥目の僧でも多く廻らねば
511 1-29
一網つゝに 亭へ挨拶
亭→ちん 庭園のあずまや 川端のお屋敷の亭で投網見物
512 1-29
脱て女に 戻る水干
白拍子
513 1-29
松の風 少しかたまる 置巨燵
置巨燵→おきごたつ 寒さに身を寄せる?
514 1-29
放馬 抱た男に 智恵ハなし
放馬→はなれうま この荒技は智恵より度胸? あるいは抱きついたはいいがすがりついているだけ?
515 1-29
死たいと 言ふた師走の 恥しき
借金逃れ 一夜明けて新年になればもう安心
516 1-29
先の家内を あてる進物
貰ったもので先様の事情が
517 1-29
不機嫌な 日ハ音のない 台所
ご主人が不機嫌なのか 奥様が不機嫌なのか
518 1-29
青田に成つて 乳の見える人
青田→経産婦
519 1-29
何所へ行とも 言ハぬ雨性
何所→どこ 雨性→あめしょう 雨男 行き先が同じ人に嫌がられる
520 1-29
淀屋かたいこ 長崎て死
大坂の淀屋辰五郎は外国の品を入手するため幇間を長崎に派遣した
521 1-30
鳴戸を越て 紅絵さめ行
紅絵→べにえ 彩色した浮世絵版画の一種 阿波の鳴門の潮風で色あせ あるいは船中賭博のかるたの赤絵(赤札)か?
522 1-30
下〻に 見らるゝ皃も 初幟
皃→顔 初幟→はつのぼり 若様が端午の節句でデビュー
523 1-30
壮子の梦の 山吹へ来
梦→ゆめ 荘周の胡蝶の夢→蝶になったのは夢かうつつか 人生のはかない譬えだが? 山吹色に寄るとはどうも
524 1-30
嘘をつく 顔へ時雨の 降かゝり
時雨月に紅葉見物と称して遊廓行き
525 1-30
飛ふ傘ハ くらい買もの
くらい→おろかな 清水の舞台から持って飛び降りるために傘を
526 1-30
内に寐て 独おかしき 夜着ふとん
夜着→掛け布団にする着物様のもの 吉原の三蒲団を思い出し?
527 1-30
死際ハ 人形に似て きり〳〵す
虫の死に際が? ???
528 1-30
浪人たけハ すたる言伝
すたる→失われる? 言伝→ことづて 浪人したことだけは内緒?
529 1-30
願叶て 怖しい町
念願叶って遊郭から抜けた遊女 思いおこせば
530 1-30
細工か成つて はやい還俗
駆け込み寺 工作が成功し三年待たず離婚成立
531 1-30
袴着させて 乳母の大口
袴着→七五三の祝いの一つ 育てた乳母も自慢顔
532 1-30
傘に 寐鳥のさハく 切通し
寐鳥→ねとり ☆そのまんま
533 1-30
勘当ハ 蛙に水の かけ納め
「蛙の面へ水」☆諺
534 1-30
腹のたつ時 見るための海
☆そのまんま
535 1-30
蛍から 連に成たる 恋の闇
連→つれ 蛍狩りが恋のはじまり
536 1-30
女にも 心〳〵の 誉ところ
贔屓は人それぞれ
537 1-30
淋しい宮に 穴一の音
穴一→あないち はなれた穴に貝や銭などを投げ込む遊び
538 1-30
嵐の川に 朝皃か咲く
嵐で飛んだ朝顔が流れてくる?
539 1-31
派の利く手代 面白くなし
☆主寿昌之部 真面目な手代は融通がきかぬ
540 1-31
撞か見えるて 伽な入相
伽な→とぎな 興が増す? ☆誹諧武玉川初編輪講 入相→日没の鐘
541 1-31
百性ハ 嵐にうその 道か付キ
百性→百姓 嵐を言訳にお年貢を軽く
542 1-31
死た家老に しからるゝゆめ
うるさい国家老は死んでしまったが 殿の心の中に
543 1-31
目につく乳母へ 舞て来獅子
ふざけて咬みにくる
544 1-31
辛崎ハ 商賣しみた 雨か降
近江八景唐崎の夜雨 わざとらしく観光用の雨が
545 1-31
文珠の智恵も 三人の分
文珠→文殊 三人寄れば文殊の智恵 逆算すると案外大したことはない
546 1-31
衣て礼に 歩行蜜夫
歩行→ありく 蜜夫→まおとこ 間男が助命され出家で勘弁
547 1-31
親指に 折らるゝ人ハ 手から也
第一人者の誉れ
548 1-31
死た手際を 誉る棒突
棒突→辻番所などの番人 自殺死体の死に様を褒める
549 1-31
念者と人の 知るを待かね
評判の美少年を掌中にしてはやく噂になりたい男色の兄貴分の気持ち
550 1-31
二百十日の 屋根に浪人
雨漏りの修理も自分で
551 1-31
そろ〳〵見える 後家のからくり
からくり→計略 たくらみ 四十九日も過ぎてみると 遺産目当てだったか
552 1-31
折〳〵損を するも養生
損→内損 飲酒などで胃腸をこわすこと かえって養生になる?
553 1-31
大つゝみとハ 公家の荒事
荒事→あらごと 立ち回り 笏より重いものを持たないお公家が大鼓を持てば
554 1-31
我か田を 取られた川て 渡し守
洪水で田が流され 仇の川で渡し守をして生活 ☆武十一・31
555 1-31
賤しく老て あつい湯に入
老いてなお意気盛ん 老職人の熱湯好き
556 1-32
要はかりを 下戸の言伝
要→かなめ 酔っばらいのくどくどしい伝言を下戸が要領よく伝える
557 1-32
丹誠に 桃を咲せて 追出され
桃を植えたお嫁さんが子が出来ず三年で離縁?
558 1-32
美しい 娘の供の 反り返り
お供まで自慢顔
559 1-32
枝からこほす 琴の似セ物
琴の音を松風という
560 1-32
負公事の 方へ娘ハ 行たかり
公事→くじ 訴訟 婚姻に関する訴訟? 娘は負けた方の男を贔屓
561 1-32
立並ふ 木ゝとハ言す 松の風
言す→いわず 風は松以外から吹くこともあろうに
562 1-32
うこんハさめて 井出の夏川
うこん→鬱金色 鮮濃黄色 井出→井出の玉川 山吹が目立つ川にも新緑が
563 1-32
振袖に 薬の湯気を 曵て行
娘が薬湯を盆にのせて運ぶ? あるいは労咳の娘?
564 1-32
寒い噂に 赤く成る笠
長く放浪する勘当息子 跡継ぎ養子が決まったとか?
565 1-32
今度の硯 文にふさわす
今度→今戸 いまど 今戸の瓦硯は手習い用で色気がない 「初午に今戸の硯よく賣れる」☆安五松2
566 1-32
女房の望 岸を漕せる
岸から遠くなるのを怖がる 舟が嫌いかトイレの心配か
567 1-32
遊行の供の 口か利過
遊行→遊行上人 遊行寺住職 利過→ききすぎ
568 1-32
喰切て 驚れぬる とうからし
全部喰ったよ なんて奴だ
569 1-32
春のあさちの 飯粒を踏
あさち→朝事 朝事参り 真宗の寺の早朝の勤行に参ること 早朝昨日の行楽の人の残り飯を踏んだ? 男女のくされ縁の離れにくい意の「足の裏の飯粒」☆諺をきかす?
570 1-32
後家ハ嫌いと 後家か言せる
後家の母親が息子に後家の嫁が来るのを嫌がる?
571 1-32
廿五の 暁またぬ 五間口
「男は二十五の暁まで丈がのびる」☆諺☆俳説ことわざ辞典 放蕩息子の成長が終る前に五間口の店が潰れる あるいは勘当してしまう
572 1-32
馬の姿も 出ると戻ると
仕事の前と後では
573 1-32
抹香とても 爪はつれ物
爪はつれ→つまはずれ 身のこなしのこと 抹香をつまむにも流儀が
574 1-33
夫の惚れた 顔を見に行
どこぞの後家?師匠? あるいは玉菊燈籠の時の吉原は一般の女性も入れたので?
575 1-33
師匠への 旅の土産ハ 物覚
物覚→ものおぼえ 寺子屋の師匠への土産は見聞談
576 1-33
鳥辺山 最う嘘のない 人に成
鳥辺山→京の火葬場 墓地 最う→もう いろいろあったが死んでしまえば
577 1-33
牛王の灰と 聞て欠落
牛王→ごおう 欠落→かけおち 逃亡 起請文の灰を呑ますと聞いて
578 1-33
女房の鏡 見た迄て済
世帯じみると化粧の暇も
579 1-33
口か辷つて 二度起請書
つまらぬことを言って起請文を書き直すはめに
580 1-33
氷室を開く 鍬の手廻
鍬→くわ 手廻→てまわし 開く前にまずかぶっている土や草を除ける もたもたしていると融ける?
581 1-33
松戸の顔ハ 雲やりの先
??? 松戸は日光街道の要衝で江戸川に臨み舟番所あり あるいは下総小金一月寺の虚無僧関係?
582 1-33
国替の 皃ハ降也 かゝみ山
国替→くにがえ 領地替え 皃→顔 鏡山→近江国の歌枕 顔を映してみれば涙の雨?
583 1-33
物云へハ 柄杓を遣ふ 水鏡
女が水鏡に見入っている時 声をかけられあわてて
584 1-33
追分へ来て 下戸を育る
育る→眷る みかえる の誤写か? 上戸が分れ道の茶屋で一杯と連れの下戸を待つ
585 1-33
遣り手の噺 立浪かひく
遣り手が話し出すと浪が引くように座が
586 1-33
赤子の声の のらぬ吉原
のらぬ→なじまない ☆そのまんま
587 1-33
楽屋みたかる 翠簾の正客
翠簾→みす 正客→しょうきゃく 特等席のお客が楽屋を 絵島か
588 1-33
越後屋の灯を 供かかそへる
日本一の大店を見て
589 1-33
あまつて足らぬ 女房の知恵
問題によって賢すぎたり逆だったり
590 1-33
化物屋敷 誉る虫うり
草が茫々で虫採り放題
591 1-33
いさよいハ 少しおとりて 小紫
十五夜と十六夜 三浦屋の花魁 高尾と小紫 を例える
592 1-34
盗てくれた 人を正客
合意での誘拐すなわちかつぐのに協力してくれた人を婚礼の正客に
593 1-34
餞別貰ふ 初の勘当
勘当も初回は甘い
594 1-34
妾かとつて 廻す祝い日
祝い日→一日と十五日と二十八日 小豆飯を炊き子供は服装を改め女は白粉☆江戸文学俗信辞典 男の子を産んだので仕切る
595 1-34
当坐のかれの 顔へ風呂敷
まだ蚊帳を出していないので風呂敷をかぶって寝る
596 1-34
あくらの側に 上下の恥
あぐらをかいている奴が隣にいては上下の格好がつかぬ
597 1-34
老のむかしを 咄す台所
老母が下女に昔話を
598 1-34
婆〻ハわすれて 仕廻我皃
仕廻→しまう 皃→顔 鏡を見たのは何年前?
599 1-34
従弟か連れて 帰る桶伏
桶伏→おけぶせ 遊郭で金が足りない時のみせしめ 親兄弟には助けを呼びにくい
600 1-34
紀の関守の 猿にさすまた
紀伊と和泉間にある紀の関 山間の関守が猿を刺股で追い払う?
601 1-34
初會に先の 見える七夕
初會→しょかい 初回の登楼 七夕に初会で登楼した客 七夕様は一夜限り 裏に来てくれそうもない
602 1-34
いかた便りに 帰る小舅
筏の便があると小舅が帰る? ???
603 1-34
靍ハ龜より 人をさわかし
靍→つる 鶴のほうが亀より世事の題材になることが多い?
604 1-34
鰯かとれて 闇の人声
夜明け前の浜の喧噪
605 1-34
急く小早の 反かへるこゑ
小早→こばや 小型飛脚船 漕ぎ手が反り返る時声を
606 1-34
隣をハ 人と思ハす 年忘れ
近所迷惑な忘年会の馬鹿騒ぎ
607 1-34
追分へ出て 薬まて分け
追分→道が二つに分れる所 行く先が違う旅人が互いの持ち物を分ける
608 1-34
奢尽して 鶴龜を飼ふ
奢→おごり 後のない贅沢
609 1-34
気違の 一日置に 通りけり
他者にはわからぬ理由が
610 1-35
浪人の 編笠斗 むかし物
斗→ばかり むかし物→古風なもの 昔のよすがは編み笠ばかり
611 1-35
心に無理の 残る道心
出家しても執着が
612 1-35
よい男来る 分散の礼
分散→破産 美男子で放蕩し親の身上を
613 1-35
恥かしい 所を湯舟の 摺はらい
湯舟→風呂付きの舟? 摺はらい→すりはらい 同一線上? 一文無し?
614 1-35
暮にちらりと 後家の積物
積物→つみもの 開店や興行の際贈物の酒樽や蒸籠を表に積むこと 後家なので目立たぬよう贔屓の役者に
615 1-35
五月五日も 毒の玉川
五月五日→薬降る日という 毒の玉川→高野の玉川は毒水という
616 1-35
我分別の やうに薬湯
分別顔で薬湯に通う?
617 1-35
踊る時にハ 袖か魂
日本舞踊の極意
618 1-35
雪の寒を 止んて覚
寒→さむさ 覚→おぼえる 雪が降りしきっている時より止んだ後が寒く感じる
619 1-35
新らし過て 凄い売家
凄い→気味が悪い 訳あり物件
620 1-35
橙一つ なわしろへうく
注連縄飾の橙 田の周囲には注連縄を廻すが 橙が浮くと正月みたい
621 1-35
稲葉の雲の 中を鑓持
稲葉の雲→田一面の稲穂が揺れるさま 鑓持→やりもち 検見の光景か?
622 1-35
降初し 日ハ遠い事 五月雨
降初し→ふりそめし 五月雨→さつきあめ まだ降り続いている
623 1-35
町内の 月額青き 死光
月額→さかやき 死光→しにびかり 死花 町内中が月代を剃って葬列に
624 1-35
箸の先から 見える光陰
光陰→年月 箸先も減る
625 1-35
また主の 紋を着て居 艸の庵
落ちぶれてもなお昔拝領した紋付を
626 1-35
曾我の泪を 目黒ても泣
五月二十八日曾我兄弟の仇討ち日に「虎が雨」が降ると同日の目黒不動のご縁日が困る
627 1-35
めてたい役ハ 鶴の預リ
預り→飼育係?
628 1-36
氷のうへに 外科の挑灯
挑灯→ちょうちん 凍った道で怪我人
629 1-36
死ぬと忽 人の金蔵
忽→たちまち 吝嗇で蔵に貯め込んだ金も死んでしまえば人手に
630 1-36
肘枕 我身代ハ はなれもの
「肘枕は楽しみ亦た其の内にあり」 と論語にもある 身代などはかないもの 離物→離れても不思議はないもの☆江語辞
631 1-36
おこりの落ぬ うちハ丸腰
武士のマラリア 驚かすと瘧が落ちるという 帯刀していては危険? 帯刀で瘧がおこれば震えているようで武士の面目がたたぬ?
632 1-36
三ツ櫛の みつれハ欠る 十二月
三ツ櫛→みつぐし 花魁の鬢櫛と水櫛と梳櫛 「盈つれば虧くる」☆史記 栄華の次は衰退が やっと揃えたと思えば質入
633 1-36
菊畑 他人の蔵の 雨雫
雨雫→あめしずく 自分の小さな菊畑に隣の金持の蔵から雨垂れが
634 1-36
寒声も 何そに腹の 立た時
寒声→音曲の寒中の発声練習 腹立ちまぎれにさらに大声を張り上げて
635 1-36
凱陣済んて 後家の捨売
凱陣→がいじん 戦の後には未亡人も大勢
636 1-36
息て重りを 付る羽子のこ
つく前に羽子に息をかけて形をなおす
637 1-36
ゆめの世なから 人ハ寐道工
寐道工→ねどうぐ 寝具 一生の半分は布団と同じ
638 1-36
皃を見て居る 琵琶の始
皃→顔 始→はじまり 演奏の直前は奏者の顔を注視するもの
639 1-36
敷金の 礼も言たき 新まくら
敷金→しきがね 持参金 新婚初夜の挨拶と共に
640 1-36
玉手箱 仕廻ふ時にハ 皺たらけ
浦島太郎
641 1-36
九年の陣へ 見廻ふ女房
見廻ふ→みまう 前九年の役は十二年にわたる長い戦 朝廷軍の慰問に
642 1-36
暦て尻を 扣く仲人
扣く→たたく 吉日だぞ 決心しろ
643 1-36
水干を のれんに掛る 八重葎
白拍子の草庵住まい 清盛の愛人祇王祇女や仏御前は出家して嵯峨の奥に隠棲
644 1-36
結納の済んた 迄の我せこ
結納→ゆいれ せこ→兄子 親しい男性 結婚前の乙女心
645 1-36
寐てか覚てか 民の前帯
覚て→さめて 前帯→帯を前で結ぶ 遊女や老女がする ???
646 1-37
枇杷柊花の 寒を言ひ合
枇杷柊花→びわひいらぎ ともに寒い時の花
647 1-37
不足を隠す 娵の白粉
娵→よめ 白粉→おしろい ☆そのまんまか
648 1-37
立身をして かるい履物
出世するほど軽い履物になる
649 1-37
夜着や枕ハ 恋の下艸
☆そのまんま
650 1-37
哥ぬす人ハ 大からな人
大伴黒主の盗み聴き? ☆謡曲草紙洗小町
651 1-37
あたつて銭の 戻る三弦
三弦→しゃみせん 伊勢間の山の芸人お玉お杉 客の投げる銭を撥ではね返す
652 1-37
伊達過て 小町ハもたぬ 緋縮緬
緋縮緬→ひぢりめん 長襦袢や腰巻に用いる
653 1-37
神楽のうらへ 廻るさむらい
巫女の情夫?
654 1-37
葬礼の 翌へ延て 欲かしれ
翌へ延て→あすへのばして 香典の集まりが悪い?
655 1-37
星二ツ三ツ 雨もりの伊達
風流にも屋根の穴から星が
656 1-37
傾城の 遠い思案も 遠からす
早くから紋日の心配をするが すぐその日が来る
657 1-37
うそ兀て 後ロ合に 夜か明
兀て→はげて ばれて 後ロ合→うしろあわせ 嘘がばれ気まずい共寝
658 1-37
和尚の肝を 咄す末の子
肝→きも 心 考え 末の子の出家をすすめる?
659 1-37
かくらおのこの 細い衿元
かくらおのこ→神楽の楽人 衿元→えりもと ☆そのまんま
660 1-37
千鳥ハ立て 残る赤椀
千鳥→禿? 芝居などに多い禿の名 ☆川柳大辞典 何か貰って食べていた禿が引け四つで退出?
661 1-37
埃リをはたく 儒者の大声
弟子を使って書物の虫干しを
662 1-37
聟へ盃 戻る横雲
横雲→明け方の東方の雲 婚礼の明け方
663 1-37
むかふ近江へ 見せる稲妻
比叡山へ道真の雷電 正面の近江に見せるように
664 1-38
道具屋に逢ふ 若竹の道
竹林の風流人の家財売り食い?
665 1-38
箪・笥の多い 鍛冶の六月
箪・笥→たんす 土用干しの前に箪笥の金具の修繕が増える
666 1-38
明荷の馬へ まわる金剛
明荷→あけに 旅行つづら 金剛→役者の供男 荷物をつけた馬の尻に乗る
667 1-38
生延て 子に呵らるゝ つまみ喰
年寄りのつまみ喰い
668 1-38
百日紅も 通ひ路の数
百日紅→ひゃくじつこう 小町に九十九夜通った深草の少将
669 1-38
傾城に 笑れに行 主おもひ
放蕩主人の忠義の家来が花魁に手切れを頼みに行く
670 1-38
高尾か舌も まわる大年
大年→おおとし 寡黙な高尾太夫でさえ 年末は客への無心で饒舌に
671 1-38
西の河原を 親の足早
西の河原→さいのかわら 子を亡くした親は見るに忍びず足早に
672 1-38
頂戴したる 若殿のうそ
ありがたく若殿にだまされる
673 1-38
毒ハ廻りの 早い借金
借金は廻りの遅い毒
674 1-38
地震の跡の 箸も一本
もう一本は持って逃げた
675 1-38
五人組から 娵を見始
娵→よめ まず五人組の家から挨拶廻り
676 1-38
白禿斗 残る飯台
白禿→しらくも 斗→ばかり 大店の食事 最後はしらくも頭の丁稚が集まって
677 1-38
我ほとの 茂みの下に 八から鉦
八から鉦→やからがね 念仏踊り風の大道芸で鉦を八つ腰に付け両手に鐘木を持って打ち鳴らす 少年の大道芸という
678 1-38
かな聾に 蛇骨掘まけ
かな聾→かなつんぼう 蛇骨→じゃこつ 化石骨 集中力で負けた
679 1-38
反から先へ 習ふ鐘撞
反→そり 撞くより反るが極意?
680 1-38
ぬすみ課せて 初のきのへ子
課せて→おおせて きのへ子→ きのえね 甲子 大黒の縁日 浅草寺歳の市で盗んだ大黒様を祀る
681 1-38
御仕着の 下駄を親父に 盗れる
御仕着→おしきせ 薮入りの小僧の下駄を親父が
682 1-39
鼻を大事に せいと遺言
花柳病
683 1-39
馬も立派に 歩行朔日
歩行→ありく 朔日→ついたち 朔日は大名の総登城 なかでも衣更の四月朔日か
684 1-39
二心 ないと思へハ 足の跡
他に忍んで来る奴がいる
685 1-39
十月の 空を見て居 物貰
小春日和? あるいは時雨で物乞いに出られるか天候を心配する?
686 1-39
罔両にも 蔵ハよいもの
罔両→かげぼうし 同じ影でもなんとなく
687 1-39
鮓桶の きのふにけふハ 投出され
きのふにけふハ→ 一日違いで粗末な扱い
688 1-39
付さしも 七合入ハ ちから業
付さし→酒の廻し呑み 大盃は持つだけでも大変
689 1-39
松明の 手元てもへる 山かつら
松明→たいまつ 山かつら→ 明け方山の端にかかる雲 夜通し歩いて松明が短く
690 1-39
あたりの飯の すへるとふらい
すへる→すえる 腐って酸っばくなる お礼に強飯が出て飯が余る
691 1-39
江戸の余波の 山帰来呑
余波→なごり 山帰来→さんきらい 江戸で貰った梅毒 その薬を故郷で飲む
692 1-39
青山からも 近いよしわら
惚れて通えば千里も一里 青山と吉原は江戸の反対側だが
693 1-39
おとこの中に すたるうたゝ寐
すたる→すたれる 男の中で平気でうたた寝をするようになっては
694 1-39
赤子の鼻を 誉る座のしほ
しほ→しお よい機会
695 1-39
物にかゝりの 突出しを買
物にかゝり→物好き 突出し→初めて客をとる遊女
696 1-39
たいこの顔の 残る墨染
幇間の出家
697 1-39
時あかり 女心を よろこはせ
時あかり→雨天の時に雲が薄らいで明るくなること 縫い物が進む
698 1-39
瘧あけくの 損をした皃
瘧→おこり マラリア 皃→顔 げっそり
699 1-39
垣間見に 美し同士の 湯かこほれ
垣間見→すきまから見る 急いで二人同時に湯に入り
700 1-40
妻の出立に 余所目して居
出立→でたち 旅立ち? 余所目→よそめ 夫の強がり?
701 1-40
兵庫の命 室へ着く船
室→室津 兵庫の瀬戸内海 航路の寄港地
702 1-40
稲妻に その気の付ぬ 門田守
門田守→かどたもり 門田→家の前の田 雷雨によって稲に実りが入る ことを稲はらむという 稲妻は稲を孕ませる訳だが
703 1-40
焦るゝと言ふ 人の夕くれ
☆そのまんまか
704 1-40
看板を 見ても入歯の 哀也
入歯の看板
705 1-40
仮名て書せる 鴛の売上
鴛→おし 売上→うりあげ 領収証 漢字が難しくてかなで書いた方が早い
706 1-40
橘丁に 夜昼の顔
橘丁→たちばなちょう 日本橋橘町 踊子が多く住む 昼は踊りだが夜は売春
707 1-40
国家老 日ハ赤〳〵と 太夫買
真面目な国家老が今生の思い出に殿がお好きの吉原へ昼遊びに 「あかあかと日はつれなくも秋の風」☆芭蕉
708 1-40
惣身を耳と おもふ当言
惣身→そうみ 当言→あてこと あてこすり 悪口に耳をそばだてて
709 1-40
刈人の 丈イも五尺の あやめ艸
刈人→かるひと 丈イ→せい 「ほとときす啼くや五尺のあやめ草」 ☆芭蕉
710 1-40
湯屋の二階ハ 侍の物
銭湯の二階の起源は刀を置くため
711 1-40
鯲を提て 田の中を行
鯲→どじょう ☆そのまんま
712 1-40
蠅をうつして 代る関守
関守が交替しても 頭上の蠅はそのまま
713 1-40
冬の牡丹の 魂て咲く
気迫が感じられる 江戸中期人為的な冬牡丹が流行☆川柳江戸の遊び
714 1-40
きのふけふ 起請の指の 冷て居
まだ昨日のことなのに 切った小指も心も冷える? 花魁の手管の心中立て
715 1-40
無い歯を鳴らす 百日の行
年寄りの水垢離
716 1-40
あふなからるゝ 商人の衆
金を持っていると思われ道中狙われやすい?
717 1-40
真向な顔の 多い入舟
真向→まむき 正面 入港する時はみんな進行方向を向いている