十篇


誹諧武玉川私考ホームへ

【底本】 
  岩波文庫  誹諧武玉川(二) 山澤英雄校訂 岩波書店 1984

【凡例】
  通し番号 篇-丁
  (本文)
  (解説)

【注意】
  字・は字が底本通りでないことを示す
  ☆はコメントや引用
  江語辞→江戸語の辞典  国大→国語大辞典(小学館)

6446 10-1
  朝皃の 少東を 見合せて
  ☆敲窓万玉聲 少→すこし なんとなく日の出の方角を
6447 10-1
  松風を 琴とハ常の 耳てなし
  琴の音を松風というがとてもそうは聞こえん
6448 10-1
  女嫌らひの 底倉を誉
  底倉→底倉温泉 箱根七湯の一つで痔に効験あり ☆川柳辞彙 男色関係
6449 10-1
  ころはして見て 笑ふほた餅
  ころばす→売春させる ☆江語辞
6450 10-1
  去り状に 書たい所ハ おとこ坂
  書たい→かきたい 男坂→神仏参道の二筋の道のうち表の急な坂道 男の心意気を?
6451 10-1
  子を振付る 乳母の突袖
  突袖→つきそで 袖の中に手を入れて袂の先を前方に突き出すこと ちょっといじわる
6452 10-1
  医者の云ふ 事を守れハ 夜か長し
  酒を呑むなとか房事を慎めとか
6453 10-1
  握り拳の 中て鳴く蠅
  ☆そのまんま
6454 10-1
  不破の関 首にからまる 稲光
  壊れているので稲光があちこちから洩れる
6455 10-1
  俤も まさかの時の 用に立
  俤→おもかげ 記憶に残っている姿☆国大 あるいは連句の面影付?
6456 10-1
  死た咄を 聞も養生
  誰それは酒で死んだとな
6457 10-1
  寄手の陣に 光る乗物
  寄手→よせて 攻め寄せる軍勢 乗物→引き戸付きの駕篭 お大名の吉原行き?
6458 10-1
  足跡ハ 壱人に見せて 芥川
  業平が二条の后をおぶって 芥川を越す
6459 10-1
  面白い 湯に入て来る 朝ほらけ
  朝ぼらけ→夜明け方☆国大 朝帰りの前に熱い朝湯? 揚屋町や角町に銭湯あり ☆江戸吉原図聚
6460 10-1
  兼ていふ 内損斯の ことく也
  内損→酒のため内臓をを損なうこと☆江語辞 斯→かく ???
6461 10-1
  売喰も 商買しみて 面白し
  売喰→零落し財産を売って 食いつなぐ 商買→しょうばい 道具屋の気分
6462 10-1
  くたす筏に 食喰て居
  食→めし 筏乗りが筏の上で炊飯
6463 10-2
  関守の 内へ這入れは ほんの皃
  関守も家に帰れば業務用のしかめ面をやめる
6464 10-2
  懸人に はかゆからせる 山升の芽
  懸人→かかりど 居候☆国大山升→山椒 木の芽なぞ食いでなし
6465 10-2
  生て居かと 殿も御たつね
  忠臣蔵? 師直が生きているかと?
6466 10-2
  胴人形か 口をきかせる
  胴人形→薬店などに飾ってある解剖模型の人形☆江語辞 経絡などが描いてある ???
6467 10-2
  不機嫌な 時につふれる 銀きせる
  泣きっ面に蜂 銀きせるは遊び人の必須アイテム
6468 10-2
  ぞうしヶ谷 時雨の下に 蕗のとう
  時雨→晩秋から初冬の降ったりやんだりする小雨 十月御会式の鬼子母神像の頭が蕗の薹に似ている?
6469 10-2
  惚くすり むかしきいたを くやしかり
  あの時アタックしていれば?
6470 10-2
  明店か 物を云ハひて 御仕合
  明店→あきだな 空いた貸家 御仕合→おしあわせ 部屋は何でも知っている
6471 10-2
  誉なから がてんの行ぬ たから物
  珍しい品ですなと口では
6472 10-2
  家中の子 おつゝら馬に 乗たかり
  家中→大小名の家来☆江語辞おつゝら馬→お葛籠馬 参勤交代等の葛籠を載せた馬
6473 10-2
  盆前に 四十八夜の 中回向
  四十八夜→四十八夜念仏? 浄土宗の四十八夜の念仏法会 中回向→ちゅうえこう 法要の一つらしい ???
6474 10-2
  終丈に なると仕着せの 恥かしき
  終丈→対丈 ついたけ 布を着丈と同じ寸法に裁って仕立てた着物☆国大 縫上や肩上なしの身長丈の着物 背丈が伸びて丁稚の格好が似合わず
6475 10-2
  八朔過て 伊達な稲つま
  八朔→八月朔日 この頃二百十日 嵐もつきづきしい
6476 10-2
  夜の壱分の つかみちからも
  素一分の吉原行き?
6477 10-2
  行燈を 引くと呼屋ハ うつの山
  行燈→あんどん 呼屋→よびや 京坂で囲女郎を呼び迎えた小楼☆国大 うつの山→人に逢わぬ意☆雑俳語辞典 誰もいなくなる
6478 10-2
  孫喰婆の 四谷から出る
  孫喰婆→まごくうばば 甲州街道で信州から北の民話が?
6479 10-2
  立しのふ 障子明るき 緋の袴
  緋の袴→官女 神楽巫女? 照り返して
6480 10-2
  めりやすを やり手か懸て ゆるくなり
  めりやす→伸縮する織物で足袋や手袋に用いた☆江語辞 遣手は太っているので
6481 10-3
  去年のけふも かたられにけり
  かたる→人をだます 大晦日に掛取が言いくるめられる?
6482 10-3
  あくらに手間の とれる関取
  ☆そのまんま
6483 10-3
  みそさゝい 牛房大根の 枕もと
  みそさざい→小鳥の一種 牛房→ごぼう ???
6484 10-3
  歯ぎしりをして 末の松山
  末の松山→契り変らぬ意 裏切られて
6485 10-3
  星と灯の 居かハるやうな 村しくれ
  村時雨→ひとしきり降り過ぎる時雨☆国大 星が見えなくなり灯が点る
6486 10-3
  真中に乗 乗合の欲
  乗→のる 乗合→のりあい 乗合船の略三十石船など☆国大 あるいは芝居の向桟敷前端 引舟の乗合?☆川柳辞彙
6487 10-3
  突出しハ 朔日の気て かしこまり
  突出し→初めて客をとる遊女朔日→ついたち ☆そのまんま
6488 10-3
  ふくれた皃か 紺屋から出る
  皃→顔 まだ染め上がっていない 明後日できますと云われ
6489 10-3
  隣から そろそろ・針か 棒になり
  隣人の噂が針小棒大に
6490 10-3
  大黒も 今の女房も ぬすみ物
  大黒は浅草の年の市で盗み 女房は間男して盗み
6491 10-3
  浪人を して明六と 中たかひ
  明六→あけむつ 日の出頃 勤めがないから早起きも不要
6492 10-3
  出頭も出来 御物見も出来
  出頭→しゅっとう 立身出世 ☆国大 御物見→おものみ 旗本屋敷 等の往来を見る窓☆川柳辞彙
6493 10-3
  蕎麦の友ハ 四十から上ヘ
  蕎麦→すむぎ 上ヘ→うえ 沢山食べる物ではないので
6494 10-3
  蝶かろし 頃ハ入聟 居なしみて
  蝶軽し→秋の季語か? 居なしみて→いなじみて ???
6495 10-3
  きめ所を きめて太夫の 静也
  きっちり座ったら動かない
6496 10-3
  よみちかへりの うそハ出次第
  よみち→黄泉路 よみじ 冥土へいく道☆国大 生き返った人のあの世の話 何を言っても誰もわからん
6497 10-3
  水入に 成て布袋の 派か利す
  水入→みずいれ? 水滴 硯にさす水を入れる陶製の器 利す→きかず 布袋型の水滴?
6498 10-3
  道連に 頼母しいのハ あばたづら
  妙な色男よりも?
6499 10-4
  添れぬ迄も 御しら洲へ出る
  所詮添われぬ縁なれどせめて気持ちを申し述べたい
6500 10-4
  蚊の声の 戻る所ハ かきつはた
  ひそひそ声の花盗人
6501 10-4
  新造の 袖を朝日の 引延し
  振袖が長い影をひく
6502 10-4
  憂事を 習ひあふせて から衣
  習ひあふせて→すっかり習い 終えて から衣→「なれ」にかかる? 慣れてしまった?
6503 10-4
  たいこか腹に 地こく極楽
  お客の行末をすでに承知
6504 10-4
  入定の きろりと一目 峯の松
  入定→僧が経文を唱えながら地中に埋まり死ぬこと☆江戸文学俗信辞典 最期に一目長年慣れ親しんだ眺めを
6505 10-4
  狂乱も 元か器用て 冨士太鼓
  能の冨士太鼓 狂乱して太鼓を打つ
6506 10-4
  浅草て 拾た金の 内を見す
  人が多いので人気の無い所へ行ってからそっと
6507 10-4
  松風ハ 風の中ての 通り物
  通り物→ここでは通人の意か
6508 10-4
  中屋敷 御取はつしの 幟たつ
  中屋敷→上屋敷の控えの屋敷 取り外し→うっかり失敗すること 御妾が男子を産んで五月五日に
6509 10-4
  物に成たか 紗綾か二巻
  紗綾→さや 絹織物の一種 ???
6510 10-4
  灯火の 直クに成ほと 小夜更て
  直クに→すぐに 真っ直ぐに? 動くものとて何もなく
6511 10-4
  食粒の そのまゝ有し 届け文
  食粒→めしつぶ 封に使う? 開いてくれてもいない
6512 10-4
  壱分か薪を 積て諫言
  吉原で使った一分の金で薪がこんなに買えるんだよ
6513 10-4
  呑口を ねちる女房の つゝかれる
  呑口→酒樽の口 ねぢる→木の栓をねじる もっと注いでくれよ あるいはバレな見立てか?
6514 10-4
  なま噛な 事を請取 若さかり
  なまがみな→なまかじりな 若盛り→若くて血気盛んな頃 よく知らんこと迄引き受けて
6515 10-4
  呵られて 妾の顔を よく覚
  旦那が親身に叱ってくれた妾の顔をあらためて見て?
6516 10-4
  寝よとの鐘に 下ケル豆飯
  下ケル→さげる 豆飯→まめめし 大豆などを入れた飯☆国大 豆飯は初夏の季語だが? ???
6517 10-5
  長居して 都のあらの 見ゆる也
  京もしばらく居るうちは良いが
6518 10-5
  金沢も 湯治の内へ 巻込れ
  金沢→武州金沢 箱根湯治のついでに金沢八景を見物☆川柳辞彙
6519 10-5
  六あみた 六番目にハ かしこまり
  彼岸の六阿弥陀詣 一日で巡るので最後はくたびれて座り込む 最後は六番亀戸の常光寺か五番下谷の常楽院が多い あるいは常光寺の像は小さく畳敷きのお堂にあるため?☆江戸文学地名辞典
6520 10-5
  一葉つゝ 散て縫手か 重く成
  縫手か→ぬうてが 寒くなって綿入れの準備
6521 10-5
  病上り 膝を見て居て 笑ひ出し
  我ながらこんなに痩せて
6522 10-5
  見廻して 目医者の呵る とうからし
  見廻して→みまわして 刺激物は良くない?
6523 10-5
  立て居る 娘に咳の 四方から
  芝居の切落席? 立たれては見物の邪魔
6524 10-5
  そこにある 物汁の味と 成にけり
  汁の味→しるのみ ありあわせのものを汁の実に
6525 10-5
  持参千金 あばた千粒
  持参嫁
6526 10-5
  新造の つまんて歩行 虫くすり
  歩行→ありく 虫薬→小児の寄生虫による腹 痛をなおす薬 腹痛止めの薬 ☆国大 禿がばらまいたか 花魁の癪の薬か
6527 10-5
  けふも又 呵られそうな 馬喰丁
  馬喰丁→公事宿多し 田舎から訴訟や江戸見物の客が来る 訴訟で機嫌の悪い客あるいは江戸のことを知らない客にこの宿は風呂もねえかとか
6528 10-5
  笑て居ても 済ぬうハ言
  笑い事ではすまない内容のうわ言
6529 10-5
  居風呂へ みんな飛込む 抜参
  居風呂→すえふろ 風呂桶で わかす風呂 抜参りから帰った汚れた丁稚達?
6530 10-5
  蛤も 一二合ある 裾模様
  貝模様か四海波の着物
6531 10-5
  世を捨て 先さひしさハ 膳の上
  先→まず 出家して精進
6532 10-5
  念仏か 恥かしいとハ 頼母しき
  遊び人になる素質あり
6533 10-5
  藤の花 かつく若衆か 甚之介
  嵐甚之助→元禄の役者で若衆 形☆川柳辞彙 若衆形の先輩の藤娘もどき
6534 10-5
  松明て 人に逢たハ めつらしき
  松明→たいまつ 普通は山の中なので
6535 10-6
  坐中のねふり 琵琶の本望
  聴衆が寝るくらいがよい
6536 10-6
  千躰佛に 指の退屈
  千躰佛→せんたいぶつ いろんな指の印
6537 10-6
  爪立て 見へぬ所ハ 口を明キ
  爪立て→つまだって 伸び上がると口が開く
6538 10-6
  苦労性也 六代の母
  六代→平高清 平維盛の子 六代の母は平家都落ちの際 都に残って後に再婚し平氏の嫡流を残そうとしだ
6539 10-6
  柔とり 兼て大工に 云聞せ
  柔とり→柔術家 この板の間は補強してとか
6540 10-6
  蔵のある 絵に安堵する 御鬮本
  御鬮本→みくじぼん 金運良好
6541 10-6
  縞を着た けいせいハ猶 哀也
  木綿もの?
6542 10-6
  馬上勇々・しく 六原のうそ
  勇々・しく→ゆゆしく 六原→六波羅 平家一門 見かけ倒し?
6543 10-6
  我身を重く おもふ置土
  置土→おきつち 土の少ない田畑に土を加える 覆いかぶさって同化する感じ
6544 10-6
  うつくしい 女房呵るか 自慢にて
  ☆そのまんま
6545 10-6
  いづなの蕎麦も 出入から来
  飯綱→信州水内郡飯綱山 信州の蕎麦を信濃の雇い人から入手?
6546 10-6
  焚付る 度に小原を 恋しかり
  小原女から買った黒木が?
6547 10-6
  軽業か 成て階子を ふところ手
  階子→はしご 軽業の練習が実って?
6548 10-6
  我皃の 面目もなき しやぼんふき
  皃→顔 ふくれつらで
6549 10-6
  武士に 金を持せは 強過ん
  武士→もののふ 貧乏でこそ世の中の釣合が
6550 10-6
  僧正の むかしを語る 足のうら
  今でこそ緋の衣だが若い時の 修行で足の裏は胼胝だらけ
6551 10-6
  こそくり落す 精進のうそ
  こそぐる→くすぐる 踊り子にくすぐられ精進明け ?
6552 10-6
  辛崎ハ 合羽かはやく わるくなり
  唐崎の夜雨で
6553 10-7
  三ツ物を かいとりにして 振かへり
  三ツ物→古着 かいとり→掻取 どてらの類 あるいは小袖の上に打ちかけて着る長い小袖様のもの☆江語辞 世間体を気にして
6554 10-7
  湯屋の聟 煙いめをして 成あふせ
  釜焚きで長年辛抱して
6555 10-7
  よく寐た子をは 脊中から出す
  おぶった子をそっくり出す
6556 10-7
  ほんのくほ 撫てハ尼の 気かしづみ
  ぼんのくぼ→盆の窪 首の後ろの中央のくぼんだ所 尼になる前の癖で
6557 10-7
  追出す母も 只物てなし
  普通は道楽息子をかばうが
6558 10-7
  うつくしい 顔て咄か 細長き
  化粧した女客の長話?
6559 10-7
  のろまつかひも らうそくて喰
  のろま遣い→野呂間人形をあ やつる人 人形浄瑠璃の間狂言の操り人形 楽屋で食事?
6560 10-7
  入唐の 高い物にハ 草履とり
  入唐→にっとう お供にも金がかかる
6561 10-7
  すハや大事 股にかうやく
  すわや→すわの強め さあ 性病で横根が 「内股膏薬」☆諺をきかす
6562 10-7
  さんこ珠ハ 赤い中ての 口を聞
  口を利く→幅を利かせる ☆江語辞 赤い物の中では幅がきく
6563 10-7
  小気味のわるひ 寺の軽石
  湯灌で使ったのでは?
6564 10-7
  愛相に 先押寄せる 仕立物
  先→まず 裁縫しているところへ来客 仕立物を除けて場所を明ける
6565 10-7
  味な事 いふてやり手ハ 床をとり
  味な→色っぼい 三会目で遣手も一分の花を 貰ってお世辞を
6566 10-7
  ふたり来て 寐入咄の 生かへり
  寐入咄→ねいりばなし 曾我兄弟の仇討? 工藤祐経が遊女と寝て居るところへ討ち入る
6567 10-7
  浪もしつかに 御夫婦の釣リ
  年配の武士夫婦の釣り
6568 10-7
  材木も 寐かして見れハ 安い物
  火事で値上がりを待つ?
6569 10-7
  献立に 蛸ハはつれぬ 須广明石
  須广→須磨 明石の蛸は名物
6570 10-7
  土用にちやちや・を 付る夕立
  ちやちや・を付る→ちゃちゃを付ける 邪魔する☆江語辞 土用干しの最中に雨
6571 10-8
  平塚さむく 赤い椀出す
  平塚→東海道七宿目 炭火と思って暖まる? ???
6572 10-8
  九年やつれて 元の地女
  九年→前九年の役? 地女→素人女 白拍子?
6573 10-8
  ちいちい・か 出るそと母の 山をいひ
  ちいちい→小児語で 鼠 虱 頭痛や腹痛☆江語辞 山→詐欺 もくろみ 子供をだます?
6574 10-8
  髪結も さし味か好て 面白し
  さし味→刺身 剃刀を使う商売
6575 10-8
  番太良 人に昼寐を ほめられて
  番太良→番太郎 町内の警備用詰所である自身番の番小屋の番人 しっかり夜廻りをしていると
6576 10-8
  すいかつら 寺へ這入と 売仕廻
  吸葛→五月ころ水に浸け売り 歩く 美髪水を作る 売仕廻→うりしまい 寺では商売にならないのですでに売り切ったとみえる
6577 10-8
  十番切の 跡て弟子入
  十番切→真剣勝負で十人を斬 り倒すこと 特に曽我兄弟の 敵討での十番切やその劇 ☆国大 芝居を見て剣術を志す
6578 10-8
  出代リの 名残を箸の うすけふり
  出代り→奉公人の交替 使わなくなった箸の箸供養? この時代にあったか不明
6579 10-8
  隣の椎を 拾ふ胴突
  胴突→どうづき 建築現場の地固め 振動で椎の実が落ちて
6580 10-8
  ほとほと・と いふ戸の音に 徳ハなし
  夜中の用事に得はない
6581 10-8
  御隠居の 初物毎に いとま乞
  今年が最後かもと
6582 10-8
  物着星 見せる客にハ 寄かゝり
  物着星→爪に白斑点が出ると衣類が新調できるという 花魁が客におねだり
6583 10-8
  そのきさらきの 口ほとに死
  願わくは花の下にて春死なんそのきさらぎの望月のころ ☆西行 そのとおり二月十六日に入寂
6584 10-8
  惣仕廻 意趣返しにハ 寄麗也
  惣仕廻→そうじまい 寄麗→奇麗 振られた仕返しに遊廓一軒 貸し切りに
6585 10-8
  家来泣せの はつ雪か降
  吉原へお供の草履取り ご主人は居続け お供は供部屋に
6586 10-8
  検校の 上ハ目の明く はかりなり
  終に検校になって後の望みは
6587 10-8
  太夫か兄も さハへなす神
  さハへ→さばえ 五月蠅 さばえなす→陰暦五月の蠅のように騒がしく煩わしいさま 神→幇間 花魁の兄が太鼓持ちで?
6588 10-8
  うそ付て居る 門へせきそろ
  うそ付て→嘘ついて せきぞろ→節季候 年末に来る騒がしい門付け 年末で掛取と節季候が一緒に
6589 10-9
  うまい事 いふ女房に 遣れて
  遣れて→つかわれて
6590 10-9
  別れての さむい階子を かけ上り
  遊廓の朝の後朝の別れ 素足で駆け上がる
6591 10-9
  面目もなし 今に出女
  出女→宿場遊女 大分老けてきたが
6592 10-9
  かさゝきに 成ル人連て 夕河原
  かささぎ→七夕の鵲の橋 男女出会いの手引き?
6593 10-9
  死んたかと 思ふた人か 表店
  表店→おもてだな 表通りに面した商店☆江語辞 分散で首でも括ったかと思われていた人が事業に成功
6594 10-9
  茶に合水の 蛍にも合
  茶も蛍も山城宇治の名物
6595 10-9
  六原を 出てから甘い 物喰ハす
  六原→六波羅 平家一門の居宅 都落ちの後は散々
6596 10-9
  むかしの念者 今に横平
  念者→男色の兄分 横平→横柄 今でも兄貴風を吹かす
6597 10-9
  女房の 初手の願ハ 合羽にて
  初手→最初 縁切り寺松ヶ岡へ行く準備かとおどかす?
6598 10-9
  極楽ハ 江戸を去ル事 遠からす
  吉原
6599 10-9
  匕加減 せうかはかりハ 人まかせ
  医者の処方 生姜を一片入れて煎じなさい と指示☆川柳風俗志
6600 10-9
  うき人の 方へ舞寄る しら拍子
  元気のない客に踊り子が寄って来る
6601 10-9
  松風に 蓋をして置 六の花
  六の花→むつのはな 雪の異 称☆川柳辞彙 松に雪が積もり
6602 10-9
  十二月 我皃にさへ 久しふり
  皃→顔 鏡をゆっくり見る暇もなし
6603 10-9
  表向 露の身て居 をもしろさ
  表向→おもてむき 露の身→露のように消えやすくはかない身 初手の勘当?
6604 10-9
  前帯ハ うしろ帯より むつかしき
  前帯→遊女 後帯→素人女
6605 10-9
  懸人 隣へ腹を 立に行
  懸人→かかりうど 居候 居候先では言いたい事も言えず
6606 10-9
  あつもりを まねく扇ハ ぜひもなし
  敵に後ろを見せるなと熊谷直 実は扇で敦盛を呼び返す ☆平家物語
6607 10-10
  冬籠 足ても物を 取習ひ
  炬燵からでられぬ
6608 10-10
  御やしき狭く 突あてるうそ
  狭い世界で嘘は通せない
6609 10-10
  よい男 着殺しにする 癖か付く
  着殺し→きころし 着物をだめになるまで着つぶす どうせまた女から貰えるし
6610 10-10
  しつかりと 裾を踏へる 夏柳
  風に吹かれても根は
6611 10-10
  眼を明る とて身帯を つぶしけり
  身帯→しんだい 身代? 大仏でも造った? ???
6612 10-10
  松風の 都へ引ける 十二月
  ???
6613 10-10
  平家をひとり 誉る船頭
  ☆八篇に同句あり 壇ノ浦で義経は平家の船頭を攻撃させた
6614 10-10
  追人の中に 聟に成る人
  追人→おって 結婚前の娘が駆け落ち
6615 10-10
  仇し野と いへは見らるゝ 前うしろ
  仇し野→あだしの 京の嵯峨の奥の墓地 あるいは墓地や葬場一般 ☆川柳辞彙 葬式帰りの吉原行き?
6616 10-10
  つゝき込んたり 猪牙に六人
  吉原通いの猪牙舟 定員オーバー
6617 10-10
  橋の名の たらぬ所か 中ノ橋
  地名の中橋には橋がない
6618 10-10
  裄丈に 心か付くと さひしかり
  裄丈→ゆきたけ 和服の裄と丈 背中の縫目から袖口迄の裄の長さ 物事の程度☆国大 心が付く→考えるようになる ☆国大 遊びに分別が?
6619 10-10
  かき餅を かこゐかこゐ・て 鹿の声
  火鉢にあたりながら鹿聞
6620 10-10
  女郎の思案 押詰て出る
  押詰て→おしつめて 追い込んで 年末になって ☆国大 暮の文で金の工面
6621 10-10
  その日ハ夢て 仕廻ふ還俗
  還俗した当日は夢のよう
6622 10-10
  出女の 利口に成て あちら向
  出女→宿場の遊女 接近してから客を捕える あるいは 吉原のように振る真似を?
6623 10-10
  鳥さしハ 高見の千話か 邪广に成
  鳥刺→鷹の餌にする雀を取る 千話→ちわ 邪广→邪魔 見物人の話し声が邪魔になる? ???
6624 10-10
  しら浪を 覗く雀の 無分別
  落ちたらどうする
6625 10-11
  松嶋ハ 口へも出さす 灸をすへ
  芭蕉は旅支度をして三里に灸するや松島の名月が気にかかり ☆おくのほそ道
6626 10-11
  尻目か持て ありく盃
  尻目→しりめ 目だけ動かし後方を見やる事流し目☆江語辞 いい女がいたら盃をなどと
6627 10-11
  又留守か 笛吹て居る 草履とり
  また主人だけ外出していて お供の草履取りは暇
6628 10-11
  京をうしろに したひ事する
  京の本店から江戸の支店へ 来た手代? 本店の威光で
6629 10-11
  うんといふ場を 言ぬ厄年
  うんというべき場面だが今年は厄年だからやめておこう
6630 10-11
  女房へ落て 伊達ない勢講
  落ちる→手に入る☆国大 伊達な→意気を示す い勢講→伊勢講 旅費を積み立て籤に当たった者が伊勢 参宮する
6631 10-11
  秋茄子 娵にくハせて 棒か出る
  秋茄子→あきなすび 娵→よめ 「秋茄子は嫁に食わすな」☆諺 棒が出る→苦情が出る☆江戸文学俗信辞典 食わせず文句が出る
6632 10-11
  そは切の 上手と聞ハ 恋しくて
  そは切→蕎麦切 聞ハ→きけば 蕎麦っ喰いが道光庵や深大寺の噂を聞いて?
6633 10-11
  分散の 蔵にねすみの 仏皃
  分散→破産 仏皃→ほとけがお 死人の顔蔵の鼠も飢死寸前
6634 10-11
  うたゝ寐も 恋しい方へ ふちかへり
  寝返りも恋しい人の居る方へ
6635 10-11
  女房ハ 足をいやかる きりきり・す
  何故か足を嫌がる句が多いが???
6636 10-11
  なふり次而に 聟の弟
  次而→ついで 聟を水をかけたりする祝儀にその弟も巻き込まれ あるいは単にからかわれ?
6637 10-11
  網の手からを 取膳て出す
  取膳→とりぜん 夫婦などが二人で一つの膳に向かい合って食事をすること漁師の夫婦?
6638 10-11
  神慮に叶ふ 菜飯てんかく
  菜飯田楽→なめしでんがく 菜飯屋は田楽も売った ☆川柳江戸名物図絵 秋葉権現社の近くに菜飯屋あり 絶妙の取り合わせ?
6639 10-11
  うくひすも 銭程つゝの あいしらい
  あいしらい→あしらい 出した銭に見合った扱い 鶯の曲芸か 美声の芸者か あるいは曲芸の鶯の谷渡りか
6640 10-11
  梓弓 近い他人か 鼻をかみ
  梓弓→巫女の口寄せ 故人の霊の言う事を聞いて恩顧のあった人が涙を
6641 10-11
  門徒宗 何か不足の 出家にて
  門徒→浄土真宗 出家といっても妻帯可なので
6642 10-11
  我よりハ 人に淋しき 寒念仏
  寒念仏→かんねぶつ 寒中三十日間夜中に念仏を唱えて歩く行 家の中で聞いている方が侘しく感じる
6643 10-12
  糸巻を 先手懸りに 取かくし
  糸巻→三味線の部品☆国大 先→まず 親が娘か息子の道楽を妨害
6644 10-12
  無さそうてある 百性の智恵
  無さそうで有る
6645 10-12
  さゝくれを 時々・舌て あいしらい
  あいしらい→あしらい 口の端のささくれを弄ぶ?
6646 10-12
  いもと女良を 追善に買
  いもと女良→妹女郎 馴染みの花魁が死んで
6647 10-12
  かが・りて延る 衛士のかうやく
  かがり火で膏薬を温めて みかきもり衛士のたく火の夜はもえて昼は消えつつ物をこそ思へ☆百人一首
6648 10-12
  女房の皃に 大こんを断ツ
  皃→顔 夫婦和合の聖天様に大根断ちでお願い? 聖天様への捧げ物は二股大根
6649 10-12
  紙子着て 流るゝ河か 飛鳥川
  紙子→かみこ 紙子紙の衣服 貧乏な人が着た 「世の中は何か常なる飛鳥川昨日の淵は今日の瀬となる」 ☆謡曲 飛鳥川
6650 10-12
  からくりハ むす子の方か 上手にて
  からくり→計略 放蕩息子と親のだまし合い
6651 10-12
  新地百石 化物の恩
  沽券持参嫁
6652 10-12
  三月ハ おん出されても をもしろき
  花見も梅若も三社祭もあるし
6653 10-12
  残た銭て 三保のかうやく
  府中安倍川町二丁町遊廓で散財し次の江尻の宿で三保の松原見物 三保で興津の膏薬も販売していたらしい
6654 10-12
  親の闇 只友達か 友達か・
  息子が放蕩しだしたのは
6655 10-12
  物申と 云るゝ迄に 成上り
  物申→ものもう 大きな屋敷に住む身分に
6656 10-12
  玉子酒 扨うつくしき 夫婦中
  扨→さて 夫婦中→ふうふなか 玉子酒は回春効果ありと
6657 10-12
  御祓の留守に 大屋来て居ル
  御祓→みそぎ 川垢離して大山詣りに行く前に家賃を
6658 10-12
  かくしうら迄 まくる若党
  隠裏→衣服で人目につかぬ部分に付ける布 胴裏や袖裏 ☆江語辞 若党→若侍 伊達を見せたい
6659 10-12
  蛤の 持た塩にて 御意に入
  お妾?
6660 10-12
  親のむかしを 他人から聞
  固い親父も若い頃は道楽を
6661 10-13
  曾我兄弟ハ 晴な兄弟
  ☆そのまんまか?
6662 10-13
  箱階子 かてんの行ぬ 上りやう
  箱階子→はこばしご 側面を引き出しにした階段 ☆江語辞 腹を立てて音高に上がる
6663 10-13
  木からしに 口を明せぬ 丸合羽
  丸合羽→マント形の合羽 旅人が口もきけぬ
6664 10-13
  踏切て 思ぬ人に すかり付
  思い切ってすがり付いたら 人違い
6665 10-13
  更科の 蕎麦も久しい 願にて
  蕎麦は疝気に毒
6666 10-13
  だまつて喰ぬ 仕事師の飯
  仕事師→土建業の人 食事中も仕事の指示を
6667 10-13
  嵐に遣ふ 関のさすまた
  捕り物よりはつっかえ棒に
6668 10-13
  光君 めつたにうまく 日かくれて
  光君→ひかるきみ 光源氏 都合良く
6669 10-13
  大根馬 二疋引せて 家老殿
  大根馬→だいこうま ???
6670 10-13
  糸薄 人にしたらハ いくちなし
  糸薄→いとすすき 葉や茎が糸のように細いすすき 風に身をまかせっきり
6671 10-13
  とうからし 何んにも云す ずつと立
  辛くて思わず
6672 10-13
  しのふ戸に てうとにつかむ 蝸牛
  しのぶ戸→人目を避けた家? てうと→丁度 ちょうど につかむ→似付かん? よく似合うであろう 蝸牛→かたつぶり
6673 10-13
  塩売の 舐覚たる 田子のうら
  味で産地がわかる
6674 10-13
  気違も なにはハ芦て 味をやり
  難波の蘆は伊勢の浜荻 所かわれば名や習慣が違う意 味→気がきいていること ☆江語辞 状況に応じて
6675 10-13
  衣かへ 最う松風を 皃へうけ
  最う→もう 皃→顔 九月朔日単衣から袷に もう肌寒く?
6676 10-13
  まんちうハ 世の有さまを 丸くする
  まんちう→饅頭 癒し系の食べ物?
6677 10-13
  狐か落て 元のうそつき
  狐憑きの間は真実を言い当てたりしたが狐が落ちたら元の単なる嘘つきに
6678 10-13
  そのまゝ返す 寺の傘
  別にお礼も添えず?
6679 10-14
  祇園てハ派の 利ぬこんにやく
  庶民のおかずなので?
6680 10-14
  人の問ふ 迄ハ思ひに 蓋をして
  「しのぶれど色に出でにけりわが恋はものや思ふと人のとふまで」☆平兼盛 秘めた恋
6681 10-14
  木枕も 二ツ並へは 口をきゝ
  木枕→木製の箱型の枕 事情を物語る
6682 10-14
  土用干 質屋の前の 怖しき
  質草の展覧会
6683 10-14
  此上の 欲を申さは 柏餅
  男の子が欲しい
6684 10-14
  神主の手ハ 不断もみくちや
  いつも幣を振る?
6685 10-14
  釣鐘ハ 娘を呵る 道具也
  道成寺を例えに
6686 10-14
  本郷ハ 片壁付て わかれ霜
  片壁→片方の壁しかない? わかれ霜→八十八夜のわかれ霜 霜の降る最後の時期 本郷は加賀藩上屋敷で片側町で日光御成道と中仙道の追分
6687 10-14
  十二月 孔子の弟子も うそをつき
  儒者も掛取に嘘を
6688 10-14
  ひとりころひを 浮世から誉
  ひとりころび→自分から転向や改宗をする? 堅苦しい奴が遊び出し?
6689 10-14
  籔入の うまひ咄も 中二日
  籔入→薮入 最終日は墓参りや説教?
6690 10-14
  けいあんも 西八條に こりこり・と
  桂庵→奉公人斡旋業 西八条殿→平清盛の屋敷 行った人が次々出家するので
6691 10-14
  かふろか夢に 高尾たをれる
  花魁に呵られて恨む
6692 10-14
  黒焼に せすと小判ハ 惚くすり
  いもりの黒焼より小判の方が 確実な惚れ薬
6693 10-14
  耳はつかりか 残るさかやき
  月代を剃ると耳が目立つ
6694 10-14
  和哥のうら 知行取也 おんどとり
  名勝和歌浦 知行取也→知行取りなり ???
6695 10-14
  留守に居て知る 女房の恩
  何が何所にあるかもわからず
6696 10-14
  松茸を 何か云たく 披露して
  ☆そのまんま
6697 10-15
  油上の 口て大きな 損をして
  油上→油揚 あぶらげ 鳶に油揚のような横取りで大損を
6698 10-15
  伴頭の 色の白いて 事かかけ
  伴頭→ばんとう 事欠→欠乏 不自由☆江語辞 番頭が真面目で店に籠り過ぎでかえって問題が
6699 10-15
  もらつたと 見へて坐頭の 舞扇
  ☆そのまんま
6700 10-15
  むすめの十五 湯に長く入る
  ☆そのまんま
6701 10-15
  浪人の 楊枝はかりハ 新しき
  浅草寺の楊枝見世の常連 貧乏でもできる道楽
6702 10-15
  あんまとり 咄か過て 憎れる
  按摩取→按摩☆江語辞 噂話のしすぎ
6703 10-15
  隠居の智恵の 妾から出る
  隠居が妾に操縦され
6704 10-15
  鷺てさへ 暮六過ハ ふたつとひ
  夕暮れは人恋しいもの
6705 10-15
  朝皃の 實を持過て 恥かしき
  子沢山で?
6706 10-15
  夫婦して うなきを喰へは おかしかり
  精力がつく
6707 10-15
  八十八の 耳に毛かはへ
  米寿の隠居
6708 10-15
  水仙ハ さくらのやうな 皃をして
  皃→顔 同じ頃咲く
6709 10-15
  かたみの礼を 面白くのべ
  しめっぼくない挨拶
6710 10-15
  柊も 鰯も袖の ふり合せ
  柊→ひいらぎ 節分に門口に柊と鰯の頭をさし四月八日に取り去る 本来は縁のないもの同士だが他生の縁が
6711 10-15
  六ツ六ツ・起て もてあまし婆
  早寝早起きですることもなし
6712 10-15
  白鷺を 振ひ出したる 峯の松
  松が揺れて鷺が飛び立つ
6713 10-15
  若い時 云ぬ事迄 年忘れ
  忘年会で年寄りが羽目をはずし
6714 10-15
  夢のやうなる 雑水を喰
  雑水→ぞうすい 赤貧?
6715 10-16
  二日寝て居る うそのかたまり
  大晦日から元日の早朝までは は掛取りへの嘘で徹夜
6716 10-16
  胸くらの 手と釣合ぬ もめん物
  掴まれているのは色男ではな さそうだが
6717 10-16
  手前の升て 泣て出る乳母
  芝居の土間の枡席を買ったのに坊やが泣いて泣く泣く出る
6718 10-16
  終たけを 着る女房の をそろしき
  終たけ→対丈 ついたけ 布を着丈と同じ寸法に裁つこと☆国大 大女?
6719 10-16
  めくら馬 蓑かさハれは 口を明き
  さハれは→触れば 飼い主の蓑が触れると あるいは餌の藁と思い
6720 10-16
  言訳の 横から素湯を くんてくれ
  素湯→さゆ さぞ口が渇くでしょう
6721 10-16
  めうかの過た やうな神主
  めうか→茗荷 もの忘れがひどい
6722 10-16
  蔵を見てゐる うちか人間
  蔵を建てるようになってはもう人間でない
6723 10-16
  見限て まいらせそろ・の やりはなし
  やりばなし→後始末をせず 放置すること☆江語辞 別れの文
6724 10-16
  呑込て 枯野を通る 松の風
  張り合いなくしかたなく吹く
6725 10-16
  相店中て 誉るほうろく
  相店→あいだな 同じ長屋の借家人同士☆江語辞 焙烙→素焼きの平たい土鍋 無毛の?
6726 10-16
  うき中を 死ぬといふ字か 飛ありき
  自殺念慮?
6727 10-16
  革足袋と出る 足もそろ盤
  高いが長持ち
6728 10-16
  かんたんの 覚る枕に 飯か出来
  邯鄲の夢 一炊の夢
6729 10-16
  出代に 最う唇か うすく成
  出代→でがわり 奉公人の交替 最う→もう 唇の薄い者は多弁という もう遠慮はいらない
6730 10-16
  傘のさゝれぬ 路次に囲れ
  僧の隠し妾が狭い路地裏に
6731 10-16
  初物を 提て我手も おもしろき
  同じ提げるにしても
6732 10-16
  尼の嗅・嗅・ 借りる包丁
  嗅・嗅・→かぎかぎ なまぐさを切っていないか
6733 10-17
  一生家暮て 通る関守
  家暮→やぼ しかめ面で半生 もっとも遊廓がある訳でなし
6734 10-17
  まうけたかハり 蛭に成る食
  蛭→ひる 食→めし 無間の鐘をつくと富を得るが地獄に墜ちて食事が蛭になる
6735 10-17
  言訳か 済むと大きく かしこまり
  云うだけ云ってあとは運命
6736 10-17
  よもきふの 畳ハ馬の 目に付て
  蓬生→草深い荒れた地の家 貧家の馬 畳を食べたい
6737 10-17
  憂時ハ 同し所を 立廻り
  ☆そのまんま
6738 10-17
  押エの声ハ 横へ聞せる
  大名行列の後押さえの声は見物人に聞かせるもの
6739 10-17
  浅茅て妓夫に 逢も悪業
  浅茅→浅草の浅茅ヶ原 梅若丸の母の塚あり 妓夫→ぎゅう 妓楼の若い者 悪業→あくごう 吉原へ誘われる
6740 10-17
  六月の 風に淀屋か 物を入
  淀屋→大坂の豪商淀屋辰五郎 土用干しか?
6741 10-17
  又裸 此人にして 此病イ
  道楽でまたも身上潰す? 「斯の人にして斯の疾あり」☆論語→他の面で立派な人に欠点があるのをいう
6742 10-17
  今度の乳母も 大かくら也
  大かくら→太神楽 獅子鼻☆江語辞
6743 10-17
  よく見れハ 平の五に居る 皃てなし
  平の五→芝居の東西二階桟敷の一つ☆江語辞 皃→顔 絵島? 西の五六に暗い盃☆武十二
6744 10-17
  天の河 両国橋に 反か合
  反が合う→気が合う 夕涼みの両国橋と天の川 似合っている
6745 10-17
  桐の木の 二葉散てハ 派か聞す
  聞す→きかず 一葉散ってこそ重みがある? 一葉落ちて天下の秋を知る☆淮南子
6746 10-17
  能々・な 事か質屋に 鳥甲
  能々・な→よくよくな 鳥甲→とりかぶと 舞楽のかぶり物 舞楽の家が質屋通いしかも商売道具を
6747 10-17
  初午に 壱人つゝ行 道か出来
  初午は寺子屋入門の日 学問の道の始まり
6748 10-17
  呵る親仁も 呵られた果
  親仁→おやじ 今は堅い親父も若い頃は
6749 10-17
  京の咄に 身ふるひかする
  祇園祭で祇園の遊女が断髪すること? 京の本店の噂?
6750 10-17
  銭つくて いかぬ小町を ちくしやうめ
  お金で陥落しない小町娘に 腹を立て
6751 10-18
  たいこ女良ハ うそを見て居
  女良→じょろう 幇間と花魁は客の嘘を
6752 10-18
  去られても 鶴の黒焼 持て行
  去られる→女性が離婚される 鶴の骨の黒焼きは血の道の薬 ☆江戸文学俗信辞典
6753 10-18
  とうからし 起請の指も 青いうち
  指を切って赤くなっては 洒落にならぬ
6754 10-18
  うまみの過た 御所の衣々・
  衣々・→きぬぎぬ 男女の朝の別れ ???
6755 10-18
  尺八て来る 親族の屑
  放蕩息子のなれの果て? 女仇討ちで虚無僧に?
6756 10-18
  飲喰も くるりくるり・と 八庄司
  八庄司→はちしょうじ 太平記に出る熊野八庄司という部族 南朝についたり北朝についたり?
6757 10-18
  地蔵たをれに さハかしい後家
  地蔵倒れ 前向きに直立して倒れる 歌舞伎の役者の動作が
6758 10-18
  杉の枝 横にこゝろハ なかりけり
  周囲に遠慮なく伸びる?
6759 10-18
  勘助も 丸い壱分に 有付れ
  勘助→山本勘助 信玄の軍師 有付れ→ありつかれ 武田氏は甲州金という丸い金貨を鋳造
6760 10-18
  十二銅 あたれと思ふ 肩を過キ
  神楽巫女に投げ銭を当てようとして
6761 10-18
  風の神 先馬下か 十七屋
  先→まず 馬下→うまおり その土地に着いて最初にすること☆国大 十七屋→飛脚 風邪の流行は飛脚から
6762 10-18
  雨舎り 手代の皃に 倦か来る
  雨舎り→あまやどり 皃→顔 倦→あき 店先で雨宿りして店の中を覗いていると
6763 10-18
  祝日を 皆吉原に 遣ひけり
  祝日→いわいび 一日 十五日 二十八日 式日ともいい職人の休み
6764 10-18
  寐姿の うちていやしき 柏餅
  柏餅→蒲団を折り曲げてはさまって寝る 上品ではない
6765 10-18
  金剛杖て 拂ふ蚊はしら
  山伏の姿か
6766 10-18
  丈夫と誉て 帰す悪イ子
  丈夫な良いお子だね
6767 10-18
  うれしさの 蕨へ駕の 手か届き
  駕篭の中から手をのばして
6768 10-18
  金もふらせた 女房なりけり
  もとは全盛の花魁
6769 10-19
  ともし火も 吹消しやうて 恋に成
  状況により
6770 10-19
  夜を売ル町に せちからひ婆ゝ
  遣手婆
6771 10-19
  大山に ぬかつた物ハ 南無阿みた
  抜かる→うっかりして失敗する☆国大 大山詣りの千離垢でさんげさんげというべき所でうっかり念仏を
6772 10-19
  嶋千鳥 なじみか付て 哀也
  嶋千鳥→島に住みついている 千鳥☆国大 ???
6773 10-19
  道の気付の 振袖か来
  気付→気付薬☆江語辞 通行人の目を奪うような
6774 10-19
  いもと女良の 暮のあきらめ
  女良→じょろう 花魁の暮の文が不首尾
6775 10-19
  鼻にかゝるか 松嶋の瑕
  瑕→きず 自慢しすぎ
6776 10-19
  てぶ?の 近付てない 袖もなし
  男の寄って来ない振袖もなし
6777 10-19
  鹿聞の 百て戻りし 百の銭
  ???
6778 10-19
  我物と 聟か思ふと 人の物
  入婿の物は嫁の物
6779 10-19
  陰干にする 浪人の鑓
  鑓→やり 人に見せられぬ
6780 10-19
  若衆の髪に 請付ぬ雨
  若衆→男色の弟分 請付ぬ→うけつけぬ 髪油で
6781 10-19
  投る度 いやとハ云ぬ かくら堂
  投げ銭を神楽巫女に当てる
6782 10-19
  そとは小町の あふなけもなし
  そとは小町→卒塔婆小町 年はとっても
6783 10-19
  うき世の鍋に 光る鮗
  鮗→このしろ 下魚とされた
6784 10-19
  杜若 おさななしみの 蚊かとまり
  ぼうふら時代からの馴染み
6785 10-19
  二十五日 過れハ文に 金と書
  花魁の暮の文
6786 10-19
  酢にこんにやくの まずい新道
  酢の蒟蒻の→なんのかのと☆国大 文句をつける意 新道→町家の間にある狭い路 ☆江語辞 ???
6787 10-20
  やよひ山 下戸を日に当 酒にあて
  弥生山→春の山の意 花見
6788 10-20
  笘屋の鰒に 筏から客
  笘屋→苫屋 とまや 鰒→ふぐ 船比丘尼の鉄砲に当たりに?
6789 10-20
  吉原の また気の抜ぬ いびつ形リ
  抜ぬ→ぬけぬ 形リ→なり いびつ形リ→小判形☆国大 一両あっても安心できぬ
6790 10-20
  去た夜の 押入明て 哀なり
  去た→妻を離縁した 蒲団も自分で敷く
6791 10-20
  となりのやねて くさる羽子のこ
  正月の羽根つきの名残
6792 10-20
  河留の 所の者に 成そうな
  河留→かわどめ 川が渡れず長逗留する内に土地の言葉を覚えて
6793 10-20
  蝸牛 棒遣ふ日ハ 思案かち
  蝸牛の出す棒は生殖器
6794 10-20
  温石くべて 衛士のをとろへ
  温石→おんじゃく 焼き石を布に包んだ懐炉 衛士も年老いて
6795 10-20
  出る皃か 居成の皃へ 当こすり
  皃→顔 居成→いなり 出替りになら ず奉公を続けること 主人のお手つきの下女へ
6796 10-20
  蛤に 節々・すハる 丙午
  蛤→婚礼の吸い物 節々→切々 せつせつ たびたび☆江語辞 丙午→ひのえうま 夫が早死にして再婚
6797 10-20
  馬工良の むさと貰ぬ をみなへし
  馬工良→ばくろう むさと→うっかりと☆国大 をみなへし→女郎花 女の意 妻帯しない方が気楽?
6798 10-20
  櫛か光ると 乳の上る乳母
  奉公が長くなりお金が貯まるころには? あるいは新しく妊娠して?
6799 10-20
  留守と云せて 餅むしろ飛ふ
  餅つきの最中に掛取が来て筵の上を飛んで逃げる
6800 10-20
  湯冶から 病のかハる 若旦那
  湯冶→湯治 湯女に出会って労咳から道楽の病に?
6801 10-20
  老の身の 朝鮮人に いとま乞
  朝鮮通信使 何十年に一回なので見物もこれが最後かと
6802 10-20
  勘当ハ とれも師走の 廿日過
  節季で帳面の穴がばれて あるいは花魁の暮の文に負けて?
6803 10-20
  腹の立 事ハ忘れぬ めうかの子
  めうか→茗荷 愚か者の異名 鈍い子でも腹の立ったことはよく覚えている 茗荷の子→愚かな子☆雑俳語辞典
6804 10-20
  仕合ものと 耳へ喰つき
  仕合もの→しあわせ者 この幸せ者っ
6805 10-21
  料理人 履すに下駄の 上を行
  履すに→はかずに 厨房で散らばった下駄の上を歩いて行く
6806 10-21
  とぶ?鼠 から腹て逃ケ
  から腹→からはら 空腹の意? 鼠も逃げる貧乏
6807 10-21
  孕てハ 君をこまらせ 奉り
  やたら孕みやすいお妾?
6808 10-21
  女房に 角かはへると 不自由也
  ☆そのまんま
6809 10-21
  甘干も 内の烏に してやられ
  甘干→あまぼし 渋柿の皮を剥き日にあて半乾しにしたもの☆江語辞 烏→意地がきたない人☆国大 子供がこっそり取って喰う
6810 10-21
  鐘の三ツハ 咳はらい也
  ☆庭含名月光 時の鐘はまず捨て鐘三つで注意を引く
6811 10-21
  餅好ハ 我石塔に 工夫して
  甘党にふさわしい墓石を
6812 10-21
  御寐間はるかに 腹たちの声
  呼ばれなかったお妾の不満?
6813 10-21
  此盆前も 母のあら事
  盆の節季の掛取対策?
6814 10-21
  我身を抱て 帰るつぶぬれ
  にわか雨で
6815 10-21
  十八年ハ 無事な兄弟
  曾我兄弟 父が死んでから敵討ちまで 足掛け十八年の後二人とも死す
6816 10-21
  朝皃ハ 酒の呑れる 花てなし
  朝皃→朝顔 何しろ朝咲くので
6817 10-21
  手代も嗅・て 居たる遺言
  嗅・て→嗅いで 嗅ぐ→察知する☆江語辞 聟取りの人選
6818 10-21
  母の教た 廻り道行
  朝帰りで親父に逢わないよう
6819 10-22
  武士へ 二百十日を 吹付る
  武士→もののふ 浪人の貧乏長屋へ台風 あるいは勇者へ吉原の八朔の仕舞をねだる?
6820 10-22
  明六を 我物にして たゝき鉦
  明六→明け六つ 夜明け頃 朝っぱらから周りの迷惑かえりみず念仏三昧
6821 10-22
  見世へ来てゐる まよひ子の親
  もしかしたら女衒にさらわれ
6822 10-22
  せんかた尽て 内て呼ふ喰
  喰→めし もういいから家に入って飯を喰え だだっ子に根負け?
6823 10-22
  味に淋しい 時か焼餅
  味に→色っぼく
6824 10-22
  七夕も 年に一度ハ 母の口
  女子が集まり笹竹に五色の短冊を結び梶の葉に詩歌を書き願いの糸を掛けて立て文章や裁縫の上達や恋の成就を願う 母が音頭取り?
6825 10-22
  鰹うり 北条九代 出入けり
  北条九代→北条時政から高時まで 鎌倉は鰹が揚がる 鎌倉幕府のあった頃は景気も良かったろう
6826 10-22
  溜た埃の 出る衛士の眼
  溜た埃→たまったちり 焚火の煤とか
6827 10-22
  唐人の目に 寒い上下
  唐人の服と比べれば薄着
6828 10-22
  無理な使に ありく墨染
  墨染→僧 托鉢にお布施をする義理はなし
6829 10-22
  敷居に置は 伽なさかつき
  伽な→とぎな 興が増ず ☆誹諧武玉川初編輪講 奥の部屋へ誘う?
6830 10-22
  おさまる手にハ 伴頭を聟
  もめた時には番頭を聟に
6831 10-22
  つゝらに付て 柳原行
  柳原→古着屋や古道具屋あり ☆江戸文学地名辞典 ???
6832 10-22
  欠落の夜も 躍る松坂
  欠落→逐電☆江語辞 松坂→ 松坂木綿から丁稚のこと☆川柳辞彙 お仕着せのまま抜け参りへ?
6833 10-22
  一柄杓つゝ 碑の銘をよみ
  墓参り
6834 10-22
  旅の疝気を 棒て押へる
  旅行中の下腹部痛
6835 10-22
  蚊屋を取ても くらい身の上
  蚊屋をはずしても気持ちが暗くて 居候か?
6836 10-22
  ころんてハ 只起られぬ 女良花
  女良花→おみなえし 女の意 転ぶ→ひそかに売春する☆江語辞 踊り子も転べば二分 「転んでもただは起きぬ」☆諺 をきかす
6837 10-23
  目くすりと 鼻のあたりへ 書れたり
  目薬の看板 目の絵の下にくすりと書く
6838 10-23
  嵯峨にあたまの 青い三人
  尼になった祇王祇女と仏御前
6839 10-23
  親椀の 三役つとめる 八重葎
  親椀→大型の飯椀☆江語辞 八重葎→ やえむぐら 雑草が生い茂った草庵 貧乏な家ではみな一つの椀ですます
6840 10-23
  空にもしれす 取れる鮗
  鮗→このしろ 鰯みたいに鰯雲が出るわけでもなく
6841 10-23
  留女 口も鱠の 拍子也
  留女→宿屋の客引女☆江語辞鱠→なます 刺身 トントンと畳み掛けて誘う
6842 10-23
  溜たまゝて 元日の埃
  埃→ちり 元日は掃除もせず
6843 10-23
  湯殿て智恵の 出たためしなし
  ☆そのまんま
6844 10-23
  精進といふ 極楽の疵
  疵→きず 欠点 極楽往生すると精進せねばならぬ
6845 10-23
  七小町 四小町ほとハ うつくしき
  七小町→清水・雨乞・関寺・鸚鵡・草紙洗・通・卒塔婆 少なくとも卒塔婆・鸚鵡・関寺の三小町は老婆
6846 10-23
  見通しに 裸にならせ 給ひけり
  見通し→見通座敷 遊里の家で一番上等の客間☆江語辞 ???
6847 10-23
  髪を仕廻ふと 皃の発明
  発明→初めて道理がわかる ☆江語辞 皃→顔 髪を整えると顔の様子がわかる
6848 10-23
  四十九日に づうづう・と産ム
  づうづう・と→ずうずうしく ☆江語辞
6849 10-23
  夏を利口に 遣ふ屋ね舟
  夏こそ涼み舟として本領発揮
6850 10-23
  踏れた皃を 包むふろ敷
  皃→顔 吉原の不義理で髷を切られて?
6851 10-23
  瀬多辛崎の 一理屈つゝ
  近江八景それぞれの蘊蓄
6852 10-23
  菅笠も 三人行は 三笠山
  行は→ゆけば ☆そのまんまか
6853 10-23
  溜た金の 皃を折々・
  皃→顔 貯めた小金を出してニヤニヤ
6854 10-23
  袂から あられの出る 人の声
  霰が騒々しく降った後の様?
6855 10-24
  さひしいと 母の請取 もよう物
  模様物→模様のある衣装 ☆国大 亡くなった娘の形見?
6856 10-24
  鹿聞の ある夜狐に 振廻れ
  振廻れ→ふるまわれ みみずの蕎麦とか
6857 10-24
  うしろへ咄す 蔦の細道
  東海道蔦の細道 狭い山道
6858 10-24
  独身の 脱ちらかして 淋しかり
  誰も片付けてくれない
6859 10-24
  何ンその時に 腹ハかり物
  何ンそ→なんぞ 腹は借り物☆諺→母親の血統は問わぬ父系中心の考え方
6860 10-24
  はつ袷 うちに居にも かしこまり
  初袷→その年はじめて綿入れを袷に着がえること 衣更で改まった気分
6861 10-24
  遣ツても 溜ても金ハ 面白い
  ☆そのまんま
6862 10-24
  御つゝら馬の 物喰もよし
  御葛籠馬→参勤交代等の葛籠を載せた馬 餌も上品に食べる
6863 10-24
  人か洗て 人にする顔
  人は人により人に育てられる
6864 10-24
  なけきの中へ 食に付く乳母
  食→めし 奉公先では子を産んだ嫁が亡くなったので乳母が必要になった
6865 10-24
  むかし思へは 凄い吉原
  凄い→気味が悪い もとは浅草田圃の淋しい地
6866 10-24
  鶴の死ぬのを 龜か見て居
  鶴は千年亀は万年なので
6867 10-24
  鞠の上手の 女顔也
  蹴鞠は雅な遊戯なので
6868 10-24
  俤か 身柱から来て たそかれる
  俤→おもかげ 心に思い浮かべる顔や姿 幻影 身柱→ちりけ 首筋の灸点 子供の疳の虫の治療に使う 亡くなった子の記憶?
6869 10-24
  羽衣脱て 置所なし
  松に掛けておいたら盗られた☆謡曲羽衣
6870 10-24
  気違の子を 杣か届ける
  杣→そま きこり 子供が山中で行方不明になり母親が半狂乱になっているところへ あるいは狂女物のような場面か
6871 10-24
  玉川や 二ツハ人を 喰たかり
  歌枕の六玉川 高野の玉川は毒水という 武蔵の玉川は由井正雪に毒を入れられそうになった
6872 10-24
  諸行無常に さくら粉にする
  桜を散らす?
6873 10-25
  腹たちを 踏付て行 箱はしこ
  箱階子→側面を引き出しにした階段☆江語辞 喧嘩して音高く二階へ?
6874 10-25
  太刀持の 皃ハいつても 十五六
  皃→顔 太刀持→太刀持ちの小姓 若衆めいた美童?
6875 10-25
  かんこ鳥 まくらをさせて 通る也
  かんこ鳥→かっこう 鳴き声を聞くと眠くなる
6876 10-25
  欠落と また云切らぬ 山かつら
  欠落→かけおち 逐電 山かつら→ 明け方山の端にかかる雲 夜が明ければ帰ってくるかも
6877 10-25
  胸くらを 取ての跡か 女也
  それ以上できない女の悔しさ
6878 10-25
  人参に 乳守へ売ルと 書れたり
  乳守→ちもり 堺の乳守遊郭薬代に娘を売る
6879 10-25
  はきちかへても 牛の角文字
  履違える→勘違いする☆江語辞 牛の角文字→い 初世澤村宗十郎の定紋? ☆川柳江戸歌舞伎 ???
6880 10-25
  山下の灯ハ 昼の片袖
  山下→上野山下 片袖→一方の面☆国大 昼からけころが営業?
6881 10-25
  丸合羽にて 尾長見て居
  丸合羽→袖のない合羽 ☆江語辞 尾長→尾長鳥の略☆川柳辞彙 尾長鳥が鳴くと雨が降るという
6882 10-25
  庭鳥の ひとり時雨るゝ 井戸の上
  ☆そのまんまか
6883 10-25
  捨子を抱て 這入る棒突
  棒突→辻番所などの番人
6884 10-25
  くすりにも成 須广のこと伝
  須广→須磨 こと伝→ことづて ???
6885 10-25
  きりきり・す ない分別を 鳴て居
  あれこれ思案の夜長に
6886 10-25
  めどにとらるゝ 京町の猫
  目処に取る→目標にする ☆江語辞 京町の猫→遊女 あるいは 京町三浦屋の猫好きの薄雲太夫☆川柳辞彙 仙台候に身請けされた
6887 10-25
  一葉つゝ まじ?と成 石燈籠
  照らされた葉を一枚一枚見極 めたくなる?
6888 10-25
  上下を着て しはくはたらく
  しはく→吝く 仲人は持参金の一割貰える
6889 10-25
  留られた日の 鳶を見て居
  川止めで空を眺める
6890 10-25
  開帳の 一柄杓つゝ 皃を分け
  皃→顔 神仏を拝む前に手を浄めるさま?
6891 10-26
  うれしい夢の 昼見たく成
  実現したい
6892 10-26
  四十にて 握拳の ありかたき
  親の恩がこの年になって
6893 10-26
  吝いかたみの 届くはま萩
  浜荻→伊勢の意 伊勢屋は吝嗇の代名詞
6894 10-26
  針さす音の 更る行燈
  夜なべの針仕事 行灯に一寸針を刺す その音が聞こえる静かさ
6895 10-26
  躍る女に 竪な皃なし
  皃→顔 ???
6896 10-26
  届状 雪駄のやうに 成にけり
  届状→手紙が 厚ぼったく
6897 10-26
  龍王湯ハ 悋気にもよし
  龍王湯→りゅうおうとう 堕胎薬らしい☆川柳辞彙 単なる血の道薬とも☆川柳江戸名物図絵
6898 10-26
  たからの山も 夜か半分
  宝の山に入ってもずっと起きてはおられぬ?
6899 10-26
  初日ハ金を 喰た虫干
  高価な物から先に
6900 10-26
  母親に 似ぬか仕合 娘の子
  仕合→しあわせ そういう場合も
6901 10-26
  あふむ小町の 着たまゝて寐
  関寺辺りで物乞いをしている ☆謡曲鸚鵡小町
6902 10-26
  橋て辷るを 神のなくさみ
  亀戸天神の反り橋とか 神様の退屈しのぎ
6903 10-26
  水無月ハ 淋しい所に かしこまり
  水無月→六月 暑さを避けて
6904 10-26
  女房の異見 細長い声
  ☆そのまんま
6905 10-26
  常のまゝなる 女形見る
  芝居小屋の外で女形に出会う女形は舞台の外でも女装
6906 10-26
  出店迄 たよりのほしき 五月雨
  出店→でだな 支店 ???
6907 10-26
  三味線の 物を云夜の 面白さ
  弾き手もまんざらでない
6908 10-26
  すまひ取 千種の中へ 脱ちらし
  千種→ちぐさ いろいろ☆国大
6909 10-27
  鐘撞ハ 撞ての跡て 淋しかり
  撞く前は緊張するが
6910 10-27
  たまたま・て 内へ戻ると 唐からし
  たまに帰宅するとおかずがない?
6911 10-27
  にしき木を蹴て 這入る仲人
  錦木→男が女の家の門に立てる求愛の標で取り込むと受諾 正式の縁談の前には小さな恋など
6912 10-27
  袖もふくさに すると野々・宮
  袱紗→贈り物を覆う絹布 ☆国大 野々・宮→謡曲野宮 女の怒りの意か 袖で顔を覆うと
6913 10-27
  水くさく火の 燃る釣舟
  周囲は水
6914 10-27
  粒の揃ハぬ よもきふの灸
  蓬生→草深い荒れた地の家 蓬は周囲にあるので手製の艾
6915 10-27
  袂ふるへは 松風か出る
  芝居帰りの駄菓子の松風? あるいは松風を浴びて?
6916 10-27
  手を洗ふ ほと早乙女の 植残し
  最後に手を洗う隙間を残して田を植え尽くす
6917 10-27
  子のない女房 二度市へ行
  時間があっで
6918 10-27
  訳ケを聞てハ むこい柴の戸
  むごい→かわいそう 柴の戸→粗末なすみか 零落の理由
6919 10-27
  寺を開た 傘も大黒
  開く→住職が寺を追われて出ていく☆江語辞 大黒→僧の妻 また粗末な番傘の大黒傘の略☆川柳辞彙 破戒僧が追い出される時携行するのは傘一本 大黒が原因で大黒傘一本持って追放
6920 10-27
  とふとふ・妾 長刀を買
  長刀→なぎなた 男の子を産んで端午の節句に玩具の長刀を買う
6921 10-27
  ひとりさひしき 婆々・の精進
  若い者は精進せず
6922 10-27
  うくひすも 十日の雨を うれしかり
  五風十雨→五日に一度風が吹き十日に一度雨が降る 天下太平の意 たまには雨も
6923 10-27
  片々・長い すみそめの箸
  片々・→かたかた 片方 片一方☆江語辞 墨染→僧 拾った箸?
6924 10-27
  うす雲も 五百石とハ 見ゆる也
  高尾なら千石?
6925 10-27
  明よりも さくらハ鐘に してやられ
  暮れの鐘で追い出される上野寛永寺の花見
6926 10-27
  ひとりに成て 新しい皃
  離婚して心機一転?
6927 10-28
  眠て這入る 門の蚊はしら
  目をつぶって入る
6928 10-28
  女房たつねる 角力老にき
  角力→すもう 盛りを過ぎて興行先でもてなくなった?
6929 10-28
  請られた 夜ハ売れたる 心也
  請られた→うけられた 売れたる→うられたる お大尽に身請けされたが金で買われたのは同じ
6930 10-28
  世の中の 風もとかりて 柊さく
  とかりて→尖りて 柊→ひらぎ 秋に開花 寒くなってきて
6931 10-28
  五倍子買ぬ 人も柳の 木の間より
  五倍子→ふし お歯黒用の粉 浅草寺境内の五倍子見世すなわち楊枝店 お歯黒は無用の男性客が店番の女性を目当てに
6932 10-28
  火の気の遠い 所て證文
  面倒をかぶらない事なら証文を書く?
6933 10-28
  派の利く女良 遠い分別
  女良→じょろう 遊女の間では幅が利くが世間的な常識ではない
6934 10-28
  寺町に 捨た草履の 哀也
  浅草か深川の寺町 草履取りをおいて遊里へいく
6935 10-28
  銭か車に 乗ルと極月
  極月→ごくげつ 十二月 両替屋の銭車が師走に活躍? 銭がすぐ出て行く?
6936 10-28
  木からしに 土物店ハ うしろ向
  土物店→つちものだな 駒込の青物市か 道で営業しているので風を避ける
6937 10-28
  手紙を添て 坐頭届ける
  検校の借金催促の使い?
6938 10-28
  餅酒と 立別れても いもせ山
  妹背山→妹背山婦女庭訓の略 饒舌な官女が出る浄瑠璃 ☆川柳辞彙 饒舌の意か おしゃべりだけはやめられぬ
6939 10-28
  炭竈に 先のねしれる 火を焼て
  焼て→たいて 炎が捻れてあがるさま
6940 10-28
  蚊を疵にして 尼の夜ありき
  疵にして→難点として 理由をつけて夜の散歩
6941 10-28
  ひよ子か出来て こはいめん鳥
  ☆そのまんま
6942 10-28
  外トから智恵の 見へる造木
  造木→つくりぎ 盆栽や庭木の枝を曲げたわめること☆国大 見て工夫がわかる
6943 10-28
  紙屑へ 折そこなつて 捨小舟
  捨小舟→すておぶね 捨てられた小舟 舟の折り紙を失敗して屑籠へ
6944 10-28
  たち花の香に 軽い仕立屋
  橘の花は初夏に咲く 単衣ものになって
6945 10-29
  口とめの ほころひて来 冬ほたん
  牡丹の花びらが緩むように
6946 10-29
  なにはの若衆 伊勢て元ふく
  若衆→男色の弟分 元ふく→元服 難波の蘆は伊勢の浜荻の洒落 ???
6947 10-29
  池の蓮 望み叶へは 帯を解キ
  不忍池の出合茶屋での密会?
6948 10-29
  狸つき 狐つきより 器用也
  珍しい
6949 10-29
  旦那を置て 帰る口笛
  ご主人は遊廓に お供はのんびり帰る
6950 10-29
  云てハ負けと 唾にて書
  唾→つばき こっそり智恵を貸す
6951 10-29
  跡へわらびの はへる寒食
  寒食→かんしょく 冬至から百五日目で風雨の激 しい日という☆国大
6952 10-29
  炭を焼く 里にうが? 花薄
  花薄→はなすすき 穂の出た薄☆国大 ???
6953 10-29
  御油ほのほの・と 恥かしの銭
  御油→東海道御油宿 飯盛女の枕金二百文 朝になってちょっと後悔
6954 10-29
  惣身に尖を 持て時借り
  尖→とげ 時借り→一時借りること ☆江語辞 無理矢理借金
6955 10-29
  江の嶋に こゝろつよくも 酔つふれ
  心強い→頼もしい 旅先なのに大胆? 大山詣りの帰りか
6956 10-29
  朝寐させぬか 金の庭鳥
  使用人を早起きさせるのが 財をなす要諦
6957 10-29
  大きい縞に 負る地若衆
  芳町の陰間が 若衆に縞が流行したらしいが 若衆さかりに縞を着尽す ☆武七2
6958 10-29
  秋風ハ 留た袂へ 突あたり
  留た→とめた 袖を留めるのは振袖を止めて結婚した意
6959 10-29
  世の中ハ 味な事から 飛鳥河
  味な→色っぼい 飛鳥川は心変わりの象徴 色恋沙汰が一番移ろいやすい
6960 10-29
  吾妻くたりの 公家の食傷
  食傷→食べ過ぎていやになる こと 業平 色事に食傷して?
6961 10-29
  約束に 二升遣ふ さよ千鳥
  小夜千鳥→夜中に鳴く千鳥 ☆国大 ???
6962 10-29
  雪隠て 恐しく成 人こゝろ
  雪隠で人の話しが耳に入り
6963 10-30
  やかて乗ル 物ともしらす 蓮を切
  極楽往生できれば
6964 10-30
  死にやうを さくらに習へ 菊の花
  散り様を
6965 10-30
  闇を出て行 凄い白粉
  夜鷹の出撃
6966 10-30
  熊坂も ある夜ハ逃た 物かたり
  熊坂長範 牛若丸に退治される前は
6967 10-30
  柿・をむかせて 細工見てゐる
  柿・→柿 細工→細かい工作☆江語辞 手先の器用さを見る
6968 10-30
  嶋原ハ 皆はふたへの ことは也
  嶋原→島原 京の遊郭 はふたへ→羽二重 柔らかい?
6969 10-30
  鎌くらへ 草臥に行 夫婦連
  夫婦連→ふうふづれ 寺社古跡以外はさびれた村落で遊山にはならない ☆江戸文学地名辞典
6970 10-30
  十二ひとへも 皃ハぬり物
  皃→顔 ぬり物→漆器☆国大 素顔はわからぬ
6971 10-30
  そろそろ・欲の 出来る寒声
  寒声→冬の夜や早朝戸外でする音曲の稽古 そろそろ効果が出てきても良い頃と
6972 10-30
  淡路か見へて 合羽捨たき
  ???
6973 10-30
  同し蓮の 遅い朝食
  朝食→あさめし 新婚夫婦の朝寝坊?
6974 10-30
  裾からあたる 曾根の松風
  播磨曽根天満宮西方日笠山 菅原道真手植えの曽根の松
6975 10-30
  年の寄る 人の姿も 我すかた
  いずれは自分も年をとる
6976 10-30
  いらたかて ふたれた皃の うつくしき
  いらたか→山伏などの数珠 皃→顔 山伏の女房?
6977 10-30
  愛相ハ 二ツ三ツめの 階子の子
  階子→はしご ちょっとだけ持ち上げる?
6978 10-30
  緋の袴 踏んて見たひと 罰あたり
  緋の袴→神楽巫女の衣裳 長いので
6979 10-30
  歩てあいしろふ 婆の勘畧
  歩て→ふで あいしらう→応戦する☆国大 勘畧→かんりゃく 倹約 ☆国大 何につけても大駒は使わない対応
6980 10-30
  下り上り かハせの金も 友千鳥
  おりのぼり→京江戸へののぼりくだり かハせ→為替手形 友千鳥→群れ集まっている千鳥☆国大 街道の往来で金が集まっては散っていく
6981 10-31
  野暮といふ 字か今よめて 草枕
  たしかに野で暮らしている
6982 10-31
  二桶汲て 恥かしの尼
  髪も洗わぬに? 尼さんとしては慎ましくない ?
6983 10-31
  その一言か 高い一言
  うっかり紋日の約束?
6984 10-31
  ぬるい雫の 落る夕皃
  夕皃→夕顔 朝露とはいかない
6985 10-31
  陰間の元気 吹降を飛ふ
  吹降→吹き降り 強い風とと もに雨が降ること☆国大 若いので雨風は平気?
6986 10-31
  巻紙細く みたれ鶏鳴く
  みたれ鶏→一番鶏が鳴いた後鶏が入り乱れて時を作ること ☆国大 長い手紙を書いていたら夜が明けた
6987 10-31
  喰物を うつくしく喰ふ 川社
  川社→かわやしろ 夏越の祓に川辺に設ける祠 ☆国大 ???
6988 10-31
  着物の 恥かしく成る 夜着ふとん
  着物→きるもの 夜着ふとん→吉原の三蒲団 立派すぎて
6989 10-31
  旅に死ねとや 千鳥鳴らん
  星崎の闇を見よやと啼く千鳥 ☆芭蕉 旅に病んで夢は枯野をかけめぐる☆芭蕉
6990 10-31
  おとゝひの 時雨を戻す 傘二本
  にわか雨に傘を貸したら濡れて返ってきた
6991 10-31
  海の上まて 御成觸来る
  御成→おなり 将軍の御来訪 浜御殿?
6992 10-31
  餞別たはこ 御油て手か付く
  御油→東海道御油宿 飯盛女相手に格好つけて
6993 10-31
  筆まめな 女房に四月 八日来て
  四月八日は雪隠の壁に虫除け のまじないの歌を逆さまに張る風習あり 札を書くのを頼まれる
6994 10-31
  六十帖ハ 皆つまみ喰
  六十帖→源氏物語☆川柳辞彙 光源氏の浮気話
6995 10-31
  めつたにうその 咄されぬ婆
  信じ易いお婆さん?
6996 10-31
  墨染の手の 時過て出る
  墨染→僧 袖が長いので一寸遅れで
6997 10-31
  いつみ式部・の また売れる寺
  いつみ式部・→和泉式部 多情の末に誓願寺で出家 ☆川柳辞彙 謡曲誓願寺で歌舞の菩薩として現れ芸能系の信仰を集める
6998 10-31
  出雲から 呵られそうな 恋をして
  呵られ→しかられ 縁結びの神様も怒るような 不釣り合いな恋
6999 10-32
  蓮池へ 穴を明たる 尼の客
  池の蓮の花を所望
7000 10-32
  妹へ 風か替て はちもみち
  はじもみじ→黄櫨紅葉 かさねの色目の名☆国大 妹へ縁談が向いて赤くなる?
7001 10-32
  常のねつみに 戻る二代め
  白鼠といわれた忠義な番頭が聟になったらただの鼠に
7002 10-32
  三人詰の よもきふの宿
  蓬生の宿→草深い荒れた地の 家 嵯峨隠棲の祇王祇女と仏御前
7003 10-32
  棒鮫さむき 木くすりの見世
  棒鮫→ぼうざめ 鮫肉? 木くすり→生薬 きぐすり 生薬屋の店先?
7004 10-32
  むすめの橋の たへる出代リ
  親しい下女が交替して恋人への手紙を託せなくなった
7005 10-32
  楽屋口から 吝く出す皃
  上方の役者? 客に見つからぬよう
7006 10-32
  戻る左官の 押て見る蔵
  出来栄えを手で確かめる
7007 10-32
  四十二の子を もみくちやにする
  父が四十二才の時二才になる男児は親を喰うというので仮親に預けたりする
7008 10-32
  吉原も 絵馬に書れた 草の跡
  ???
7009 10-32
  和尚の頓死 評判かよし
  その和尚らしかったか ???
7010 10-32
  去られる日迄 へんへん・と髪
  去られる→離縁される べんべん→ながなが☆江語辞 もう離縁されるというのに髪結いにだらだらと時間を
7011 10-32
  四貫からけに 活る程ヶ谷
  四貫からげ→一両の銭? 活る→いける 程ヶ谷→保土ヶ谷 東海道の 神奈川と戸塚の間の宿 飯盛女 足弱の一泊目 ???
7012 10-32
  さくらに塩を 替る志賀人
  志賀人→しがびと 「桜ニハ、吉野、志賀」☆連歌付合の事 志賀は山桜で有名らしい☆謡曲志賀など ???
7013 10-32
  胴人形の 馬鹿な大年
  胴人形→薬店などに飾ってある解剖模型の人形☆江語辞 大年→おおとし 大晦日☆国大 明日が正月でも関係なし
7014 10-32
  降物に 残らす出逢ふ 寒念仏
  寒念仏→ 寒中三十日間夜中に念仏を唱えて歩く行 雨や霰やみぞれや雪に逢う
7015 10-32
  若衆ハ長く もてぬ誓文
  若衆→男色の弟分 若衆の盛りは短い?
7016 10-32
  いもかり行は 先もからくり
  いもかり→妹がり 妻や恋人のもとへ 行は→ゆけば からくり→計略 やりくり
7017 10-33
  塔ありあり・と 天王寺降
  天王寺→難波の四天王寺の略☆川柳辞彙 雨の四天王寺 五重塔が目立つ?
7018 10-33
  蚊屋にふしんを 立る追分
  不審を立てる→あやしく思う☆国大 蚊が多すぎて効果なし? 田舎なので蚊屋を知らない?
7019 10-33
  中とこたへて 笑う仲人
  中→ちゅう 上中下でいえば
7020 10-33
  うくひすハ 昔のまゝの 感應寺
  谷中感応寺 はじめ日蓮宗の寺で後に廃寺さらに天台宗に改宗と変遷があったが鶯は変らず法華経と啼く
7021 10-33
  十二ひとへを はたく猫の毛
  源氏物語女三の宮の唐猫
7022 10-33
  ほたるを一ツ 池の吸口
  お吸い物の柚のよう
7023 10-33
  振分髪を 乳母か出つかひ
  振分髪→童幼の男女の結い髪で髪を肩で切り揃え左右にかき分けたらしたもの☆国大 文楽人形のように幼子を扱う
7024 10-33
  包丁を さひしく遣ふ くすり喰
  養生のためこっそり肉食
7025 10-33
  小姓廻しの 呑ぬ日もなし
  小姓廻し→小姓たちを指図したり世話をしたりする役 ☆国大 ストレス?
7026 10-33
  人形の泣く やうな浪人
  つらい時も姿は崩せず
7027 10-33
  人中へ 突出す孔雀・ 尾を広け
  孔雀・→孔雀 花魁の張見世?
7028 10-33
  単笥に指を さして臨終
  単笥→たんす 遺書か金か残せない物か
7029 10-33
  鵜遣の 付木持手も 振上る
  鵜遣→うづかい 付木→木の薄片の端に硫黄を塗ったもので薪に火を移すのに使う☆江語辞 持→もつ ???
7030 10-33
  大僧正の 屁に覚へなし
  ご高齢で悟っておられるので
7031 10-33
  口はかり 九つきりの 年忘れ
  九つ→午前零時頃 年忘れ→忘年会 九つでお開きと申し合わせて始めたが
7032 10-33
  うは玉を つかひ覚えて 片仕廻
  うは玉→ぬばたま ぬばたまのは黒などの枕詞 夜や闇の意 片仕廻→遊女を昼夜の一方だけ買うこと☆江語辞 昼夜通しで遊ばず夜だけ
7033 10-33
  例のあふむも 百両と鳴
  あふむ→鸚鵡 御妾?
7034 10-33
  二日居て こつはいに云ふ 鴻の台
  こっばい→さんざん☆江語辞鴻の台→こうのだい 下総東葛飾の真間あたりの丘風景は良いが遊廓がないからか?
7035 10-34
  忘れた足袋へ 戻る年明
  年明→ねんあけ 女郎勤めの年季が終わること☆江語辞 素足の吉原遊女の年季明け
7036 10-34
  軽井沢 ほとほと・に出る 物着星
  軽井沢→中山道の宿場で飯盛女多し 物着星→爪に白斑点が出ると衣類が新調できるという 田舎なので江戸程豪勢には
7037 10-34
  娑婆娑婆・と 佛ハうとみ 給へとも
  娑婆→本来は忍耐を意味し自由のない世界 俗世間 やっばりこの世が捨てがたい
7038 10-34
  鼻先の 思案を隠す 縄簾
  縄簾→なわすだれ 悩むより一寸一杯で憂さ晴らし
7039 10-34
  深み草 人にハ厚く 着せにけり
  深み草→深見草 牡丹☆国大 寒牡丹を囲う覆いのように?
7040 10-34
  くれ竹の くハへてハ吐く 玉あられ
  竹の葉に霰が溜まっては落ち る
7041 10-34
  女房に持て 見れハ皆夢
  花魁を身請けしてみれば
7042 10-34
  我おさな名て 捨子育てる
  幼名→幼少年時の名☆江語辞 他人の気がせず
7043 10-34
  お里へも ほのかに知れる 御腹立
  御腹立→おはらだち 殿様のご立腹
7044 10-34
  うくひすの 惜い事にハ 法花宗
  ホケキョと鳴く
7045 10-34
  去たとはかり 張肘て居る
  去た→去った 離縁した 張肘→はりひじ 手を懐に入れて肘を左右に張った様子 威張った態度☆国大
7046 10-34
  時人を 待す禿の によつきによき
  待す→またず 「時人を待たず」☆諺→時は人の都合にかかわりなく過ぎて人はたちまち老いる意☆俳説ことわざ辞典 吉原の禿の成長が速い
7047 10-34
  浪人をして 近い天竺
  宿無しを天竺浪人という
7048 10-34
  負た子の 覚かよくて 憎かられ
  負た→おうた 乳母の密会を覚えている 「負うた子に教えられて浅瀬を渡る」☆諺をきかす☆俳説ことわざ辞典
7049 10-34
  出代の 遠くて近き 足の音
  出代→でがわり 奉公人の交 替 一年は長くて短い
7050 10-34
  弾たか因果 新地掃れる
  弾たか→ひいたが 新地→深川 新地? 掃れる→はかれる 掃く→断る☆江語辞 三味線が下手で断られた芸者 ?
7051 10-34
  百物かたり 夕へ来た奴
  百物語→百の灯りを一話ごとに一つずつ消していく怪談 最後の闇に幽霊がでるという 夕へ→ゆうべ 夜の始まる頃 早く来て早く帰ろうと
7052 10-34
  湯立の前夜 寐そひれる祢宜
  湯立→ゆだて 巫女が釜の湯を笹で身にふり神託を告げて失神する 祢宜→神職 巫女が家族だったりするので火傷が心配
7053 10-35
  庚申の夜の 目たつ髪持
  庚申の夜は女性は髪を奉書紙 の類いの丈長で結う風習あり ☆江戸文学俗信辞典
7054 10-35
  真赤なうそを 火へくへて居ル
  うまいこと書いてある手紙を 焼く
7055 10-35
  木からしハ 虫の命の おんつまり
  おんづまり→物事のゆきつくところ 終局☆国大 木枯の吹く頃虫の命も絶える
7056 10-35
  やまとことはも 江戸てだいなし
  大和言葉→日本語 江戸語が混ざって
7057 10-35
  七夕つめに 正直に喰ふ
  七夕つめ→棚機津女 機を織る婦人 七夕の織女 ☆国大 ???
7058 10-35
  五両五両・と 三度かんにん
  五両→間男の示談金 浮気な女房 佛の顔も三度
7059 10-35
  蕗のとう 踏付られて 寒に入
  寒の入り→寒の季節に入る冬至から十五日目 土中に隠れる蕗のとうにも春まだ遠く
7060 10-35
  大百姓の くら闇を行
  大百姓→多くの田畑を持って いる百姓☆国大 夜明け前から働く?
7061 10-35
  人形も 皃から先へ 見立られ
  皃→顔 吉原の張見世と同じで
7062 10-35
  中て女房か 始終めて度
  中て→うちで めて度→めでたし 家で女房が家内安全
7063 10-35
  三十て 地黄のあふハ 知れた事
  地黄→地黄丸 強精剤 美人妻で腎虚
7064 10-35
  三度めハ 只の午ても をそろしき
  夫に先立たれ三回目の結婚 丙午ではないが
7065 10-35
  いやといふ 聲ハ松より 淋しくて
  女に振られるのは
7066 10-35
  主従酔て 高い物買ふ
  主従→しゅうじゅう 主人も家来も騙されて?
7067 10-35
  売ル程ハなき 梅沢の銭
  梅沢→大磯と小田原の間の宿 鮟鱇と鰹料理が名物? 金貨に両替するほどは無い? ???
7068 10-35
  九良介ハ 皆出る願て かためたり
  九良介→くろすけ 吉原廓内の九郎助稲荷 早く年季が明けますように
7069 10-35
  異見か済むと 母ハ燗鍋
  燗鍋→酒を燗する器 母の甘さ 燗鍋には銚子の含みあり
7070 10-35
  こそりこそり・と 這入る寒声
  寒声→冬の夜や早朝戸外でする音曲の稽古 終わってもまだ朝早いので
7071 10-36
  牡丹餅も 初ての一ツハ をもしろし
  牡丹餅→見目麗しくない女性 初て→初手 最初☆江語辞
7072 10-36
  正月二日 馬鹿のはしまり
  吉原初買い
7073 10-36
  をつをつ・酒を 免す代脈
  をつをつ・→おずおず 免す→ゆるす 代脈→代診☆江語辞 自信はないが患者にせがまれ
7074 10-36
  秣香と 云るゝ皃も 無念也
  秣香→抹香 皃→顔 抹香くさい? ???
7075 10-36
  木母寺ハ 柳を当に 鉦をうち
  木母寺→梅柳山で柳という 柳の葉を数えながら大念仏? 梅若塚の上に植えた柳の方に念仏を唱える?
7076 10-36
  抜いたといふに 棒屋頼まれ
  棒屋→農具の柄を作る仕事? 侍が刀を抜いたというのに棒を持って来いと云われ?
7077 10-36
  女良ほと あふない物ハ なかりけり
  女良→女郎 ☆そのまんま
7078 10-36
  南天の葉の あれる霜月
  南天の葉→祝儀の赤飯の重箱 に敷く☆川柳辞彙 七五三の祝いで
7079 10-36
  仲間に 餅をくハせて 凄く成
  ☆蟋蟀入牀語 仲間→ちゅうげん 武家下僕 凄い→気味が悪い 酒を呑まさず機嫌が
7080 10-36
  あこきか跡へ 後家入かなし
  阿漕→道ならぬ事を度々行う 後家入→ごけいり 後家の家に婿入りすること または後妻として入ること ☆国大 再婚の相手なし
7081 10-36
  拾た釘を 神主へ見せ
  丑の刻詣りの名残
7082 10-37
  さみたれハ 又正月の くらしかた
  雨に降り込められて
7083 10-37
  一思案して 扨其後の 硯箱
  扨→さて よく考えてから一筆
7084 10-37
  にしき木を 見付て娘 内へ逃け
  錦木→男が女の家の門に立て る求愛の標で取り込むと受諾
7085 10-37
  はちたゝき呼ふ 軽いとふらい
  鉢たたき→年末に鉦や瓢箪を叩き勧進する空也僧 寺の坊さんを呼ばずに
7086 10-37
  陽炎も うき世の食の 出来てから
  陽炎→かげろう 食→めし 早朝には出ない
7087 10-37
  腹のたつ時 曲る寐道具
  寐道具→寝具 さらにイライラ
7088 10-37
  目に見ぬ秋を 萩の付声
  付声→つけごえ 物陰などから他人に代わって声だけを付けたすこと☆国大 萩が秋の訪れを
7089 10-37
  天の岩戸に 神の抜き足
  大力の天手力男命が開く
7090 10-37
  公家の疝気に 橙か利く
  橙皮は疝気に効くというが ???
7091 10-37
  請たこゝろの たつた一日
  登楼すれば一日だけ身請けし た気持
7092 10-37
  呑めはなみたも 腹の強る物
  強る→はる 悲しくて食欲がない
7093 10-37
  女良花 是喰ぬかと 振上て
  女良花→おみなえし 女の意 喰ぬ→くわぬ 女の拳
7094 10-37
  箸に目鼻て 又五十年
  箸に目鼻→やせた男の形容☆俳説ことわざ辞典


ホームへ
九篇へ 十一篇へ