十一篇


誹諧武玉川私考ホームへ

【底本】 
  岩波文庫  誹諧武玉川(三) 山澤英雄校訂 岩波書店 1985

【凡例】
  通し番号 篇-丁
  (本文)
  (解説)

【注意】
  字・は字が底本通りでないことを示す
  ☆はコメントや引用
  江語辞→江戸語の辞典  国大→国語大辞典(小学館)

7095 11-3
  石丁の 鐘ハさくらに 憎れす
  ☆敲窓萬玉聲 石丁→こくちょう 寛永寺の暮六つの鐘は花見客を追い出す
7096 11-3
  口まめな 乳母か仕当 みなの河
  口まめ→口数が多い☆江語辞仕当→しあてる 思い通りにする☆国大 みなの河→男女川 筑波山の歌枕 見ないの洒落☆江語辞 皆の洒落か
7097 11-3
  麻の葉の 入相一ツ いとま乞
  麻の葉→産着の模様 入相→いりあい 日没の鐘 赤ちゃんを連れての外出?
7098 11-3
  松風ハ 老行坂の 這入口
  老行→おいゆく 松風のよさがわかるようになると
7099 11-3
  草り取 痒い所を 知て居
  草履取→主人のお供をする雇い人 隠さねばならぬご主人の秘密を知っている
7100 11-3
  化猫の 十二単を 着たかりて
  十二単→じゅうにひとえ ☆そのまんまか?
7101 11-3
  梅見月 寐て居龍を ゆり起し
  梅見月→陰暦二月☆国大  亀戸梅屋敷の臥竜梅 見物人が増えて また吉原行きの虫が目をさます?
7102 11-3
  縫上を おろして心 長くなる
  縫上→ぬいあげ 子供の和服の肩や腰の上げ 心長い→安心している☆国大 ここまで無事に育って一安心 丈も長く心も長く
7103 11-3
  大キな異見 如意てたゝかれ
  如意→僧が説教の時持つ孫の手様のもの 旦那寺の和尚に放蕩息子を異見して貰う
7104 11-3
  親椀へ火を 入る遁世
  親椀→大型の飯椀 遁世→世をのがれ仏道修行すること☆国大 一つのお椀を何にでも使う
7105 11-3
  こつさ質とる 木犀・の奥
  こっさ→少量 些細☆国大 木犀・→もくせい 銀木犀や金木犀 路地裏の小さな質屋?
7106 11-3
  去年迄 只の寺也 泉岳寺
  討ち入りではじめて有名に
7107 11-3
  女房ハ 清明ほとに あてる也
  清明→晴明 安倍晴明 陰陽師なみの超能力で亭主の嘘を
7108 11-3
  塔の沢 ふんとしをして いとま乞
  塔の沢→とうのさわ 箱根七湯の一つ 湯治が終り
7109 11-3
  めつたにこゝむ 瞽女の行水
  滅多に→しきりに☆江語辞 覗きを警戒して
7110 11-3
  糸遊に 繋ぬ鰒と 成にけり
  糸遊→いとゆう 陽炎 繋ぬ→つながぬ 鰒→ふぐ 糸遊に結びつきたる煙かな☆芭蕉 ???
7111 11-3
  かんこ鳥 みんな内所を 知て居
  かんこ鳥→閑古鳥 呼子鳥のこと☆川柳辞彙 内所→ないしょ 内証☆国大 古今集三鳥の伝授で秘密と云うが皆知っている
7112 11-4
  階子て段の 違ふさゝやき
  階子→はしご 男女が違う段に立って耳うち
7113 11-4
  まくら紙 頬へ来て居 蝉しくれ
  枕紙→木枕を覆う紙 夏の昼寝の寝乱れ
7114 11-4
  行過女 関の目さまし
  行過→ゆきすぐ 美人が通って関守も目をさます
7115 11-4
  利口にありく 雨降の路次
  水溜まりをよけて
7116 11-4
  行末も しらてつれなき 種茄子
  しらて→知らで? つれない→そしらぬさま☆国大 種茄子→たねなすび 種子を採るため残しておく茄子の実☆国大 いずれ自分も
7117 11-4
  黄粉にかハく 老の唇
  黄粉→きなこ 老齢で唾液分泌減少
7118 11-4
  家内ひそひそ・ 御悋気の伽
  御悋気→おりんき 伽→とぎ 傍について看護や話相手をすること ここでは寝室での相手をすることか 家の者が奥様の焼き餅に神経を遣う
7119 11-4
  去ル方へ かなた買れて 春静
  ???
7120 11-4
  自前若衆の 年もくれ行
  自前若衆→じまえわかしゅ 自前→芸娼妓が自力で営業すること☆江語辞 若衆→男色の弟分 自営の陰間?
7121 11-4
  御局の 銭をいしると 手を洗
  御局→御殿女中取締り役の老女 潔癖性? 下々の銭など汚ら わしい?
7122 11-4
  右へ御されと 大根曳せく
  御され→ござれ 大根曳→だいこひき せく→せかす あせる☆国大 仕事中に道案内を乞われて?
7123 11-4
  女房の異見 酒はかり止め
  何かというと酒を悪者に
7124 11-4
  子の事を おもにふくめて 放し鳥
  亡くなった子の追善?
7125 11-4
  庵室の 薬せんしる 黒木うり
  黒木売り→いぶした薪を売り にくる大原女 サービスに焚き付けを?
7126 11-4
  乞食共 さへつる春と 成にけり
  暖かくなって活動しやすく
7127 11-4
  旅芝居 あはたて埋む 草の中
  旅芝居の小屋の只見? ☆川柳江戸歌舞伎では「青田で埋む」とあり青田は只見の意と
7128 11-4
  孔雀の尾 見事に腹を 立せけり
  花魁に贈った何かの柄か ついに勘当
7129 11-4
  河竹の 神奈川へ来て 年かなし
  河竹→川竹の流れの身 遊女 神奈川→東海道宿 飯盛女郎 年齢をごまかす
7130 11-5
  わつかな瀧へ 這入る鉢巻
  せこい滝修行
7131 11-5
  鹿鳴て 利口な皃を あやまらせ
  皃→顔 秦の趙高の馬鹿の故事? 群臣が鹿を馬と云わされる
7132 11-5
  初厂や 文をくハへた 声てなし
  初厂→はつかり 蘇武の雁書と雁風呂の話が混ざっているような?
7133 11-5
  ほた餅に 成ハやりても 哀也
  成ハ→なれば 因業な遣手も死んでしまって四十九日の牡丹餅となれば
7134 11-5
  狭い原 にハたゝ広き 結ひ下
  結ひ下→むすびさげ ???
7135 11-5
  一重ハ 持て立たる 小間物屋
  白粉や紅など小間物を入れた浅い引き出しを何重にも重ね風呂敷に包み背負って行商 ☆江戸商売図絵 一重は背中に背負わずに
7136 11-5
  下帯か 赤いて風に 手も当す
  下帯→褌や湯文字☆江語辞 伊達な緋縮緬の褌なので
7137 11-5
  うき世小路に あたり合傘
  浮世小路→室町三丁目の新道 昔 湯女という遊女あり☆川柳辞彙 合傘→相傘?相合傘 一本の傘を男女でさすこと ☆江語辞 ???
7138 11-5
  物思ひ 粒々・の有 そくい糊
  そくい→続飯 飯粒を練りつぶして作った糊 うわのそらで練ったので飯粒が残っている
7139 11-5
  駕から片身 草り取呼
  草履取→武家などで主人の草履を持ち供をする下僕 走ってついてくるお供にここで降りるぞと
7140 11-5
  銭箱へ はやく日の出る 江戸見坂
  江戸見坂→赤坂にあり江戸下 町の大部分を眺望できた 芝居町にはやく朝日が射す?
7141 11-5
  子を誉られて 子の皃を見
  皃→顔 我が子ながら成長したもんだ
7142 11-5
  うたゝ寐の 足へ燃付く 緋ちりめん
  緋縮緬の腰巻が色っぼい
7143 11-5
  利そうな 祈祷・と云ハ 大槃若
  大槃若→だいはんにゃ 大般若経転読の法要 大般若経六百巻を複数の僧侶で転読する
7144 11-5
  八重むくら 鼠と共に 棚か落
  八重葎→雑草が生い茂った草庵 ☆そのまんま
7145 11-5
  惣様の 目鼻のうこく 大三十日
  惣様→そうよう 総様? そこに居合わせる人々すべて☆国大 目鼻→物事のおおよその様子☆国大 大三十日→ おおみそか 全員の総決算
7146 11-5
  文を隠して 筋の立顔
  立→たつ 筋を立てる→脚本の仕組みの土台を定める 計画を立てる ☆江語辞 花魁からの文を隠 して言い訳?
7147 11-5
  さよ更て うき物に成 うとん桶
  更て→ふけて 食べた後は邪魔?
7148 11-6
  一切ハ 薄刃にすかる 大根漬
  包丁に漬け物が一切れひっつ く
7149 11-6
  階子をたゝく 囲れの食
  階子→はしご 囲れ→僧侶の妾 食→めし 二階に隠棲している妾に下女が食事を知らせる
7150 11-6
  大名を 近く見て居 木戸の際
  木戸→市内要所に設けられた門☆江語辞 際→きわ 狭いところを通るので
7151 11-6
  金にして 見れハ淋しき 親心
  やむなく娘を女衒に売り後悔
7152 11-6
  雛の馳走に 乳母の高声
  高声→こわだか 声が大きいさま☆国大 雛祭りを乳母が仕切る
7153 11-6
  和尚のむかし 咄ス台所
  昔はいろいろあった和尚
7154 11-6
  後家に間のなさ そうな女房
  美人妻 亭主は腎虚で早めに
7155 11-6
  古御所や 何かへかした 跡はかり
  古御所→貴人が昔住んでいた住居☆国大 へがした→剥がした 昔は立派な絵とかが
7156 11-6
  関の戸も 棒ほと明て 嵐の日
  関所の戸も少しだけすかして
7157 11-6
  夜着の上 先押て見て 寄懸り
  夜着→掛け布団にする着物型のもの 先→まず 中に寝てないことを確かめて
7158 11-6
  年明の 哀見て居る 針仕事
  年明→ねんあけ 遊女勤めの年季終り 遊廓の裁縫師のお針が内情をよく知っている
7159 11-6
  間の宿 一把の銭か 年を取リ
  間の宿→あいのしゅく 宿場と宿場の間の茶店・立場 ・宿屋等のある村☆江語辞 客が少ないので銭の動きも少ない?
7160 11-6
  蛤に 成ての不自由 いかはかり
  雀海中に入って蛤となる☆諺
7161 11-6
  百と聞てハ 凄くなる年
  凄い→気味が悪い 長生きすぎて
7162 11-6
  闇を誉々・ 過る年の夜
  誉々・→ほめほめ 年の夜→大晦日の夜☆国大 晦日は闇夜なので掛取に見つかりにくい
7163 11-6
  鳥影ハ 貰ふ事から 先に立
  鳥影→鳥の飛ぶ影 鳥の姿 ☆国大 障子の鳥影は来客の前兆☆江戸文学俗信辞典 借金取りが来てしまった 「鳥影が烏で憎ひ日なしくる」☆柳一二五・8
7164 11-6
  生酔の 七ツに見たる 一ツ松
  生酔→なまえい 酔っばらい一本松が七本に見える
7165 11-6
  うき世の金の 居付く元日
  年末の支払いは終り元日は家に居るので出費もなし
7166 11-7
  女房も 薄々・知て 火たき鳥
  火たき鳥→ひたき 鳥の名 火打石を打つような鳴声 火打の音に悋気が感じられる? 声が尖っている?
7167 11-7
  若衆の年の 底くらて明
  若衆→男色の弟分 底くら→底倉温泉 箱根七湯の一つで痔に効験あり ☆川柳辞彙 正月から痔の湯治
7168 11-7
  女犬の乳に 六ツ首かせ
  女犬→めいぬ 子犬が六匹
7169 11-7
  針仕事 行燈へ寄ルと 女房じみ
  行燈→あんど 目が薄くなって?
7170 11-7
  隣て明かす 乳母のふところ
  雇い主には知られたくない
7171 11-7
  よしや実 木瓜も人も 青い内
  よしや→まあいい よしんば☆国大 実→げに 本当に☆国大 木瓜→もっか 常磐津の意☆川柳辞彙 ???
7172 11-7
  水かへは 馬の口吸う 蝸牛
  水替→井戸がえ☆国大 蝸牛→かたつぶり 馬が水たまりで水を飲む?
7173 11-7
  十て三文 ほとの念頃
  念頃→ねんごろ 安い懇意 土弓は十本で三文だったというから矢取女と懇ろ?
7174 11-7
  やけどに馴し 大鼓うち
  馴し→なれし 大鼓→おおつづみ 組み立てる前に皮を炭火で乾燥させるので?
7175 11-7
  明六を 枕へ畳む 宝舟
  明六→あけむつ 夜明け頃 宝舟→吉夢をみるため宝船の絵を元日の夜に枕の下に敷く☆江戸文学俗信辞典 絵に書いてある廻文は夜明け?
7176 11-7
  握られた手を 抱て来る尼
  女ですもの
7177 11-7
  我恋ハ 人に構ぬ 一夜鮓
  構ぬ→かまわぬ 一夜鮓→いちやずし 苞に入れ重石をかけたり締めつけたりして一夜で作る鮓☆江語辞 ひたすらアタック
7178 11-7
  草り取 少若衆に 楯を突
  少→すこし 若衆→男色の弟分 念者のお供が生意気な若衆に
7179 11-7
  返し所を 云ぬ傘
  吉原の茶屋で借りたとか
7180 11-7
  真裸 くらい所を 味に行
  味に→色っぼく 裸で移動する事情が?
7181 11-7
  草の庵 孫にちびちび・ むしらるゝ
  草の庵→くさのいお 隠居が孫に金をせびられる?
7182 11-7
  椀久も 舟に乗時 静也
  椀久→椀屋久兵衛 大坂の豪商放蕩し座敷牢に入れられ新町の傾城松山を追って狂乱 大坂の新町遊廓へ舟で
7183 11-7
  弟ハ 喰勝て寐る 天の河
  喰勝て→くいかって 七夕の短冊の字は姉の方が上手だが素麺は弟が?
7184 11-8
  小指から むこい所を 尋出し
  むごい→悲惨な 薄情な ☆国大 遊女の心中立ての指切り 間夫を問いただす?
7185 11-8
  耄た娘の 片付て寐
  耄た→ふけた 片付て→かたづけて? 堅い娘ではあるが縁遠い
7186 11-8
  名代の乳母へ 当る棟上
  当る→あてる? 祝儀の餅撒き
7187 11-8
  女房の 曲てありく 一手桶
  曲て→まがって 片手に重い手桶を提げて
7188 11-8
  内へ来て 身のいたく成 四手駕
  乗っているだけでも運動に
7189 11-8
  元日の 塵ハつまんて 投出され
  元日は掃除をしないので
7190 11-8
  敷金に 連理の枝ハ 作り付ケ
  敷金→しきがね 持参金 ☆江語辞 連理の枝→他の木の枝と枝の木目が通じること 夫婦仲の睦まじいさま☆国大 水引が持参金で縛られる
7191 11-8
  泣せすまして 前髪を撫
  子供の月代剃り? さんざん泣かせてから
7192 11-8
  銭の音して 凄い草の戸
  凄い→気味が悪い 草の戸→粗末なわびしい住ま い☆国大 博打か?泥棒の隠れ家か?
7193 11-8
  親の代の 大黒斗 残りけり
  斗→ばかり 商家が傾いて
7194 11-8
  十能て人を 払ふ餅つき
  十能→じゅうの 金属の容器に木の柄をつけた炭火を持ち運ぶ道具 どいたどいた
7195 11-8
  干大根 はたなの側に 恥かしき
  干大根→ほしだいこ 老人の異称☆川柳辞彙 老人の陽物☆川柳末摘花詳解下巻 はだな→葉多菜大根 相州産の大根 細く白い手足の異称☆川柳辞彙 老人と若い女
7196 11-8
  暮六を 我物にする 通り者
  暮六→くれむつ 日没頃 通り者→博打打ち 暗くなって活動開始
7197 11-8
  松風の 裾かさハつて こほれ萩
  松風が吹いて萩が散る?
7198 11-8
  挙家て咄す 親類の無理
  挙家→あげや 揚屋?遊里で高級遊女を呼んで遊興する店 あるいは家を挙げてか
7199 11-8
  線香も 恋に遣へは せハしなき
  線香一本の時間でいくら
7200 11-8
  呑ねは淋し 二日めの腹
  迎え酒? あるいは神田祭や山王祭の二日目?
7201 11-8
  立派な駕の ぬれる清水
  高貴な方の音羽の滝見物?
7202 11-9
  歯へ当て見る 師走山雀
  山雀→山陵鳥ともいう 掛取が三両が本物か確かめる
7203 11-9
  神奈河て見る 付ケ登せ者
  神奈河→神奈川 付ケ登せ→つけのぼせ 江戸の支店で使い込み等不始末をした奉公人を上方の故郷に戻すこと
7204 11-9
  茅の輪から 出て躍の 輪へ抜る
  茅の輪→六月晦日の夏越の祓 出て躍の→いでておどりの 六月が終わり盆踊りの七月に
7205 11-9
  生酔に 乳母ハちいさく 成て行
  生酔→なまえい 酔っばらい 大きい乳母もからまれたら嫌なので
7206 11-9
  尾長も数に 這入る雨乞・
  尾長→尾長鳥☆川柳辞彙 雨乞・→あまごい 尾長鳥がなくと雨が降るというので
7207 11-9
  錦木に とふとふ・丸て してやられ
  丸で→残らず☆江語辞 根気に負けた?
7208 11-9
  燃立は 前を合せる 蚊やり艸
  燃立は→もえたてば 頑張って燃え上がらせ さて
7209 11-9
  干からひて居る 瀬田の傘
  近江八景のうち瀬田の夕照 唐崎なら夜雨だが
7210 11-9
  聟山伏へ 夕日こほるゝ
  ???
7211 11-9
  五ツめも また我内と 思ハれす
  六阿弥陀詣か? 六つ目は下谷か亀戸だが 五つめが亀戸だとまだ江戸へ戻ったとは思えぬ
7212 11-9
  白粉ハ 我を苦にする 始メ也
  化粧をする年頃になり自分の容姿が気になりだす
7213 11-9
  牙婆の欲の 湯殿迄来
  牙婆→すあい 物品売買の仲介業 湯殿の人にまで声をかける
7214 11-9
  髪か光ると 憎れる乳母
  憎れる→にくまれる 江戸で髪油をくれる恋人が出来たか
7215 11-9
  おん出され 数鳴る鐘か 耳に付
  九つ?
7216 11-9
  くさめ一ツも いなの笹はら
  猪名の笹原→伊丹有馬山の旧蹟 猪名と否を掛けて 否は不承知の意 くしゃみも振る気の表れ?
7217 11-9
  安い男か 出ると夕くれ
  安い→安っぼい☆江語辞 軽々しい男が遊びに出る時刻
7218 11-9
  凩の 口からくねる 松の風
  凩→こがらし 尾を引く風の音?
7219 11-9
  先丸薬て 請つ流しつ
  先→まず 請つ→うけつ 丸薬で軽く受け流す? 癪でなどという遊女に
7220 11-10
  うなつき合も 四十七人
  赤穂浪士の討ち入り
7221 11-10
  薄霜ハ 毒にもならす きりきり・す
  薄霜→朝方うっすら降りた霜 少し寒くなってもまだ元気
7222 11-10
  来そうな人の 知れる侘事
  侘事→わびごと 親父が息子の借金を支払いに?
7223 11-10
  はなす瓜 つれなくも酢ハ 煮返り
  ??? 酢は気付けか?
7224 11-10
  御屋敷と いへは娘ハ なみたくみ
  本当は変なところへ売られて
7225 11-10
  勾当の 心て笑ふ 白うるり
  勾当→検校に次ぐ盲官の高官 白うるり→徒然草に出る正体不明の語 生白い男☆川柳辞彙 ???
7226 11-10
  脊中をかいて 貰ふ蠏喰
  蠏喰→蟹喰 手がべたべたで自分で掻けぬ
7227 11-10
  又せしめんと 佐渡へ旅立
  山師?
7228 11-10
  杜若 蛙の面へ 酒をかけ
  杜若を盗むのに蛙を黙らせる?
7229 11-10
  夜寐ぬ鳥に あきる河留
  河留→かわどめ 川止めの宿で水鳥の音にも飽き飽き
7230 11-10
  春雨も しつほりと聞 院の御所
  ???
7231 11-10
  いまうとの 皃て長者と 也にけり
  いまうと→妹 皃→顔 美人の妹がお妾になって兄が出世
7232 11-10
  大聲に よい分別ハ なかりけり
  大声を出している者に智恵はなし
7233 11-10
  泪から 久しい尼の 顔か出る
  久しい→しばらくぶり☆国大 泣いた時に出家前の面影が
7234 11-10
  節季の昼寐 只事てなし
  節季→盆暮れの決算期 掛取が来るのに寝て居るとは死んでいるのでは
7235 11-10
  湯嶋から 黒く時雨る 柳原
  神田川南岸の柳原から北を見た光景
7236 11-10
  伯父か来て 踏付て行 恋の山
  伯父が正式な縁談を持って来て小さな恋が皆お終いに
7237 11-10
  からひた皃の 並ふ辻番
  からびる→乾いて水分がなく なった状態になる☆国大 辻番→武家地の警備番所の番人 経費削減で老人が多い
7238 11-11
  かつかれて 鼻を明たる こふするめ
  かつぐ→誘拐する☆江語辞 こふするめ→結納の昆布鯣 嫌な縁談が決まった娘が好いた男に合意の上でさらわれる
7239 11-11
  部屋子に成て ますくなる皃
  部屋子→へやこ 芳町陰間で芝居にも出て将来女形になる舞台子のことか☆川柳江戸歌舞伎 前髪を取って野郎となったので
7240 11-11
  鵜遣ひの 直す心を たゝき鉦
  直す→汚れを取り除く 性格を改める☆国大 叩鉦→念仏にあわせてたたきならす鉦☆国大 殺生を悔いて念仏
7241 11-11
  おとなしく たゝすみ給ふ 最明寺
  たゝすみ→佇み 最明寺→北条時頼 謡曲鉢木 佐野源左衛門常世の妻に常世が帰るまで雪の中で待たされた
7242 11-11
  なまこか腹を 立は笑れ
  なまこ→海鼠? ぐにゃぐにゃしたものの例え 立は→たてば 日頃はっきりしない人が立腹 しても
7243 11-11
  黄昏近く 下りるやねふき
  日中は屋根の上に上がったまま
7244 11-11
  赤坂の 恋ハ御油へも 廻る也
  赤坂→東海道赤坂宿 御油→東海道御油宿 すぐ近くでどちらも飯盛女で有名 殆ど同じ宿だが両方で泊る?
7245 11-11
  囁・を 聞て居る身ハ 雪の鷺
  囁・→ささやき 雪の鷺→目立たないこと☆国大 見つからぬように
7246 11-11
  継母ハ 人参の入る 皃てなし
  腎虚になるような美人ではない
7247 11-11
  淋しさの また気に入らぬ 石燈籠
  せっかく買ったが日が経ってもどうしても気に入らぬ
7248 11-11
  銭か自由て 下卑る草の戸
  草の戸→粗末なわびしい住ま い☆国大 貧乏でこそ風流
7249 11-11
  唇の 墨を目当に あらしふく
  八朔の紋日に花魁が笹紅?
7250 11-11
  折た手を 前髪てふく 唐辛子
  前髪→元服前の男子 ☆川柳辞彙 ???
7251 11-11
  塩竈も 横に煙れハ 詠なし
  詠→ながめ 見やるべき価値 ☆国大 縦に煙ってこそ情緒が
7252 11-11
  姿から 人のすかれの 日かくれて
  すがれ→末枯 末期症状 なれの果て☆江語辞 老いが姿勢に出る
7253 11-11
  かたみも届 兼る極月
  かたみ→片身?物事の半分? 届兼る→とどきかねる 極月→ごくげつ 十二月 借金の半分も返せぬ?
7254 11-11
  夕皃に 来て昼皃に いとま乞
  夕皃→夕顔 昼皃→昼顔 夕方来て昼帰る
7255 11-11
  振袖の 帯たけ立て 真を切
  真を切る→芯を切る意か? 帯の高さだけ膝立ちして照明具の芯を切り明るくする 「振袖の袖たけ立て真を切」☆武十四・9
7256 11-12
  編笠て 面目もなき 又従弟
  又従弟→またいとこ 放浪の身で遠い親戚に会い無心
7257 11-12
  男かと 問へは夫婦の 見合て
  また女
7258 11-12
  いけまじまじ・と 仲條を出る
  いけまじまじと→いかにも平気で いやに真面目面をして☆江語辞 仲條→堕胎専門の女医者
7259 11-12
  旅役者 丸寐して居 栗の花
  丸寝→着物を着たまま寝る事 ☆国大 栗の花→初夏咲く ☆そのまんま
7260 11-12
  長キ日に 茶碗と茶碗 くらし兼
  長き日→春分後日が長くなること☆国大 貧乏夫婦?
7261 11-12
  むす子に毒な 京の六月
  祇園祭で祇園の遊女が断髪男装の奴になる
7262 11-12
  朝皃ハ 金を好ぬ 垣に咲
  貧乏な家に多い?
7263 11-12
  気違の 手に葉せうかハ 目に立す
  葉せうか→葉生薑 はしょうが 飯倉神明宮の生姜市 ぬかるみで泥がついても目立たない
7264 11-12
  仰向て とちらへも逢 口をきゝ
  誰へともつかず話す
7265 11-12
  釈迦より丈イの 高く成る銭
  丈イ→せい 移動式灌仏会のとうきたり お釈迦様の桶に銭が多く集ま って
7266 11-12
  かこハれの 世間て引ぬ 風を引
  囲れ→僧の隠し妾 風邪と称して引きこもる?
7267 11-12
  かうやくを 張かへて居 興津河
  興津は清見寺の膏薬で有名
7268 11-12
  てつちを呵る 声も極月
  てつち→丁稚 呵る→しかる 極月→ごくげつ 十二月 番頭も節季で慌ただしく
7269 11-12
  新造の はや胸くらを 取覚
  取覚→とりおぼえ 手練手管を少しずつ
7270 11-12
  天人も 衣返せは 凧
  凧→いかのぼり たこ 謡曲羽衣の天人が去っていく
7271 11-12
  神託直に 医者の仕合
  直に→すぐに 神託のおかげで医者の責任が問われず
7272 11-12
  越した向に 去た女房
  向→むかい 去た→去った 離縁した 引っ越して見れば向かいに
7273 11-12
  蓬生に 取〆もなき 道か付キ
  蓬生→よもぎう 草深い荒れた地の家 取〆→とりしめ 整理 管理 ☆江語辞 荒家にふさわしい適当な道が
7274 11-13
  寒たけ立は 綿ほうし買
  寒たけ→かんだけ 立は→たてば 綿帽子→真綿で作った女の被り物で婚礼の花嫁や外出の奥女中が被る☆江語辞 ???
7275 11-13
  化した狐 土手に手まくら
  してやったり
7276 11-13
  草を焚く 篝・へ長い 馬のつら
  篝・→篝 かがり 馬の顔だけ照らされて?
7277 11-13
  籔入に 母の落付く 御紋付
  籔入→薮入 お屋敷から何か貰って来た?
7278 11-13
  京のことはに 馴れた底くら
  底倉→底倉温泉 箱根七湯の一つで痔に効験あり ☆川柳辞彙 陰間は上方出身が多い
7279 11-13
  雛のやうても 口ハ剃刀
  剃刀→かみそり 可愛いが辛辣な娘
7280 11-13
  ともし火を かき立なくす 縫習
  縫習→ぬいならい 裁縫の練習で夜更かし
7281 11-13
  御肴と 喰ふやうに云 舞の袖
  酒席に興を添えるような歌や踊りなどの行為を肴という☆国大
7282 11-13
  飛ふ鳥も皆 落るもみ上ケ
  もみ上ケ→揉上 もみあげ 耳の前に下がっている髪 鍾馗髭のような頬髭か?
7283 11-13
  帰る帆を 母ハ覚の 夕煙
  覚→おぼえ 夕煙→ゆうけぶり 夕暮れ食事の支度などで立ちのぼる煙 漁師の母が帆を見て食事の支度に取りかかる
7284 11-13
  山伏の 終の道にも 着かさりて
  終の道→ついのみち あの世への道☆国大
7285 11-13
  大門を 出ると昔の 咄して
  昨夜はもてなかったので
7286 11-13
  うれしさの 木に突当る 放し鳥
  放し鳥→追善に放す鳥 ☆そのまんま
7287 11-13
  から鮭も 夜更て聞ハ 薪の音
  から鮭→乾鮭 切る音が薪の様
7288 11-13
  あさり厂木に 坐頭つくはふ
  あざる→あざれる 腐る☆国大 厂木→雁木 桟橋の階段 ☆川柳辞彙 腐った桟橋の階段で難儀
7289 11-13
  舞留くらふ 後家すると也
  舞留→まいとめ 煙草の銘柄☆国大 するど→鋭 態度や顔つきがきびしく取りつきにくいさま☆国大
7290 11-13
  八重むくら 折々・見へる 鳥甲
  八重葎→雑草が生い茂った草庵 折々→機会があるごとに 時々☆国大 鳥甲→舞楽の被り物 元は楽人?
7291 11-13
  日蓮と 婆との中に 垣ハなし
  法華宗の婆 まるで知り合いのように云う?
7292 11-14
  角落て 一ツ隠れる ならの京
  角→つの 鹿が隠れる?
7293 11-14
  菊の露 五月五日と 従弟にて
  重陽の節句は九月九日
7294 11-14
  四条から 糺へ足を 踏のはし
  糺→ただす 糺森は下賀茂神社の元境内 泉川や瀬見の小川など清流あり
7295 11-14
  鎌くらに 牛のうつまる 稲葉雲
  稲葉の雲→田一面の稲穂が揺れるさま 鎌倉といえば牛が多く詠まれる 牛の背が稲穂のよう
7296 11-14
  半分ハ 鋏にかゝる 物着星
  物着星→爪に白斑点が出ると衣類が新調できるという ねだっても買ってもらえない
7297 11-14
  出ると惣身の 光る丸山
  丸山→長崎の遊郭 異人が登楼 異人の服が
7298 11-14
  物前に行く さよの中山
  物前→紋日前 佐夜の中山→東海道金谷宿と日坂宿の間の峠 東海道の難所 紋日の登楼を迫られる
7299 11-14
  江戸の弥生に 武士の売買
  四月の参勤交代前に家財整理
7300 11-14
  年号も 新造迄に 二度替り
  禿と新造の間に源氏名も年号も二度変った
7301 11-14
  けいせいの 句も追善に 入佐山
  入佐山→いるさやま 出石の歌枕 入るさにかける 追善句会に花魁の作った句も
7302 11-14
  五節句の 外に二度ある 小豆飯
  大黒の縁日? 初午と初花?
7303 11-14
  藁の中から 辻番の首
  内職の草蛙作り
7304 11-14
  はつとした 内藤様の とうからし
  ばっとする→派手で目立つ ☆国大 内藤様→内藤新宿は内藤大和守の屋敷跡が由来 内藤新宿八つ房が焼き唐辛子と七味売りの口上にある
7305 11-14
  跡に立 事か嫌て 渡り歩行
  嫌て→きらいで 渡り歩行→わたりかち 他人の手本に従うのが嫌で仕事を転々
7306 11-14
  人か覚て 瘤も外聞
  外聞→世間への聞え 面目名誉にかかわること☆江語辞 喧嘩か何かでたんこぶを作っ たのが知れ?
7307 11-14
  銭てめつらを つかむ武蔵野
  めづら→目面 目と顔☆国大 目面を掴む→忙しい様子 武蔵野→荒川と多摩川の間あたりをいう☆江戸文学地名辞典 江戸も郊外も商売繁盛
7308 11-14
  婚礼に 先立物ハ 異見也
  先立物→さきだつもの まずあの女と手を切れ
7309 11-14
  端シ折を 西の禿に 見付られ
  端シ折→はしおり 着物の裾を折ってからげること☆国大 西→吉原の西河岸? 安女郎多く田圃が見える 客が田圃道を帰る姿?
7310 11-15
  印籠を 明れハ急に 年か寄
  持病持ち
7311 11-15
  稲つまや 女良の植た 田へ通ふ
  女良→女郎 大坂住吉大社の御田植神事 乳守遊郭の遊女が田植 稲妻も他の田よりは
7312 11-15
  こんな腹しやと 見せる日光
  日光責 日光東照宮で四月の祭礼に山法師が人に強飯を勧める ☆川柳辞彙
7313 11-15
  手附のうちハ 松風て置
  手附→てつけ 手附金の略 ☆川柳辞彙 松を買ったが全額払うまでは伐採しない?
7314 11-15
  新地の意地に 赤い物干
  深川新地の踊り子の緋縮緬の腰巻
7315 11-15
  曾我へ片身の 届く六月
  曾我兄弟の形見が母のもとへ
7316 11-15
  三度飛脚に 去状か着く
  三度飛脚→江戸大坂間を月三度定期往復した町飛脚 ☆江語辞 単身赴任中の浮気?
7317 11-15
  頼政に 添てハ入らぬ 緋の袴
  添て→そうて 菖蒲前 頼政の所へ行けば官女ではないので不要
7318 11-15
  女房の 売気を付る 石とうろ
  売気→うるき こんなもの売っちゃいなさい
7319 11-15
  うかむせや 水にしてさへ 恐しき
  大酒の店「浮瀬」 酒でなくても凄い量
7320 11-15
  俄分限の 親類にあく
  金持ちになると急に親戚が
7321 11-15
  とこやらか 音の淋しい 秋袷
  秋袷→あきあわせ 秋になって着る袷
7322 11-15
  思ふにしてハ 長い寐すかた
  物思いで寝ているにしては随分長く寝ている
7323 11-15
  やよひハ人の 真中を着
  衣更えの前なので?
7324 11-15
  葉さくらに 成てハ鐘を 尻に敷
  寛永寺の暮六の鐘 花見の時は追い出しの嫌な鐘だが その時以外は只の鐘
7325 11-15
  海に千年 女房に成
  海千山千の女房 芸者上がりとか
7326 11-15
  五分五分・にして 二人店替
  店替→たながえ 引越し ☆江語辞 喧嘩両成敗で二人とも長屋を追い出される
7327 11-15
  初に旦那と 呼て吹出す
  新婚
7328 11-16
  山さへ笑ふ 山の金元
  山→山師の略☆江語辞 金元→かねもと 資本主 ☆江語辞 季語で山笑うというが山師にだまされている人のことも
7329 11-16
  青梅に 鳴うくひすの 袖をとめ
  鶯→金持ちの異称☆川柳辞彙 袖を留める→新造が部屋持ち等になる儀式 吉原名物の酔覚まし袖の梅をきかす? お大尽が新造を部屋持ちに?
7330 11-16
  弓矢を捨て 甥のやつかい
  ???
7331 11-16
  云ぬかハりに 鰒ハふくれる
  鰒→ふぐ ☆そのまんま
7332 11-16
  人先へ 乳母ハ出て見る 天の河
  おんぶした坊っちゃんに七夕飾りを見せようと?
7333 11-16
  今にあからぬ 神主の哥
  神主の歌人は多いが名歌は 少ない?
7334 11-16
  とふした文歟・ 来ると口笛
  歟・→歟 か 色っぼい知らせ
7335 11-16
  母親の あるひハおとし 手を合せ
  放蕩息子を脅したり拝んだり
7336 11-16
  たわら藤太の うそハ出次第
  俵藤太藤原秀郷 むかで退治とか竜宮へ行ったとか
7337 11-16
  二三丁 我子に似たる 子に引れ
  ☆そのまんま
7338 11-16
  つれなくあたる 豕とこんにやく
  つれなく→そしらぬさまで ☆国大 豕→ぶた ???
7339 11-16
  弓ハ袋に 狂ふ米の直
  直→値 ね 「弓は袋を出ださず」→天下太平で兵器の用がなくなること ☆国大 平和になって米相場が変動?
7340 11-16
  籔入に 灸をすへたハ ほんの事
  籔入→薮入 例え話ではなくて
7341 11-16
  ふんとしに 棒突の入る 佐渡の山
  棒突→辻番所などの番人 入る→要る 金山の鉱夫が金を持ち出さないようあらためる
7342 11-16
  鹿聞の ある夜狐の 供をして
  山中で狐に化かされ
7343 11-16
  三人寄れは 三分入る智恵
  入る→要る 一人一分で吉原行き
7344 11-16
  親仁もぬかる 吉田岡崎
  ぬかる→うっかり失敗する ☆国大 吉田も岡崎も女郎で有名な東海道の宿場 堅い親父も引っかかる
7345 11-16
  相傘の 跡から毒か 降て来
  相傘→相合い傘 ひやかしが
7346 11-17
  隣の乳母と うはのかさゝき
  ☆庭含明月光 鵲の橋は牽牛と織女を結ぶ橋 乳母同士の仲間付き合い?
7347 11-17
  坊主かへりの 口か利き過
  坊主還→坊主が堕落して還俗すること☆江語辞 僧の悪口をいう
7348 11-17
  ふたりに成て 鼠さハがす
  さハがす→騒がず? 女房を貰ったら家が賑やかで鼠が天井を走らなくなった
7349 11-17
  代参に 来て我恋も ふし拝ミ
  奥女中の代参 自分の恋の成就もついでに
7350 11-17
  早乙女に 悋気云るゝ 小松原
  小松原→松原 旅役者の一行?
7351 11-17
  坐頭ものせる 京の書出し
  書出し→請求書☆江語辞 払った筈の坐頭の代金も 京は吝嗇という
7352 11-17
  庵につうつう・ 御扶持盗人
  ずうずう→ずうずうしいさま☆江語辞 捨て扶持を食む古い御妾?
7353 11-17
  七月の 夜ハ仏さへ 門に立
  盂蘭盆のご先祖様? まだ暑いので
7354 11-17
  赤いあたまの 揃ふ小ゆるき
  小ゆるぎ→小余綾の磯 大磯あたりの海岸 歌枕 急ぐや五十にかかる ???
7355 11-17
  茶碗て呑むも 口のいたつら
  徒→わるさ 奔放☆江語辞 茶碗酒
7356 11-17
  さみたれや 味な音する やかた船
  味な→色っぼい 雨で閉め切った屋形船
7357 11-17
  信濃なる 仏も元ハ あくた河
  芥川→業平が二条の后を背負って渡る 善光寺の本尊は本田善光が難波の堀江から拾い上げて信濃まで背負って来たという
7358 11-17
  女房に成て 遠い酒もり
  前は呑めた口だが結婚してからは機会が
7359 11-17
  遠寺の鐘に 手を洗ふ尼
  遠寺→えんじ 遠方にある寺 瀟湘八景遠寺の晩鐘を踏まえる☆国大 手を合わすために
7360 11-17
  茶の木いなりへ うつふいた皃
  市ヶ谷八幡の茶の木稲荷 眼病に効くという
7361 11-17
  むかしの急度 見へる蓬生
  急度→きっと 確かに 蓬生→よもぎう 草深い荒れた地の家 どこか落ちぶれる前の名残が
7362 11-17
  十月中に 借しなくす傘
  時雨月だが紅葉見物や仏教行事で出歩くこと多し
7363 11-18
  根太から 噺の続く 清見寺
  根太→ねぶと 脂肪の多い部分に生ずる腫れ物☆江語辞 東海道興津の清見寺の名物は膏薬 道中に腫れ物の話題が出て
7364 11-18
  きけんのわるい 枝折戸を蹴
  枝折戸→しおりど 小枝などを並べて作った簡単な開き戸 壊れたので蹴って開閉する
7365 11-18
  隠居の垣根 馬の目に付く
  手入れが悪く餌に見える
7366 11-18
  こゝろの角を かくす洗粉
  洗粉→あらいこ 米ぬかなど入浴などに用いる化粧用の粉☆国大 入浴で気分転換
7367 11-18
  中居か脊中 うてハひゝくや
  中居→遊女屋や料理屋で客を接待し世話をする女中☆国大魚心あれば水心?
7368 11-18
  雲水ハ 出す度に茶を いたゝひて
  ☆そのまんま
7369 11-18
  木枕の香の 只ものてなし
  前に泊った旅人の高級な髪油
7370 11-18
  合羽を着ると いそかしい僧
  雨の檀家廻り?
7371 11-18
  茅の輪を抜て 頼む綻
  茅の輪→夏越の祓 綻→ほころび 茅の輪くぐりで引っかけ
7372 11-18
  乳母の袂へ 這入る草鞋
  草鞋→わらんじ 子を背負う時履物を袂へ
7373 11-18
  物思ふ 形へ抱付く 風の神
  形→なり? 病は気からで鬱な人が風邪を
7374 11-18
  ほた餅も 荒うち程の 手か入て
  荒打→土蔵の壁塗りの最初に荒木田土を木舞に塗り付けて壁の下地を作ること☆国大 壁塗りと牡丹餅作りが似ている
7375 11-18
  禁酒して 壱人淋しく 畏り
  することがない
7376 11-18
  乗れぬと見へて 歩行て行使者
  歩行→かち 取り立てられた御妾の兄とか 乗馬が苦手な武士
7377 11-18
  南無あみた仏 立役に成
  立役→たちやく 歌舞伎の幹部俳優☆国大 南無阿弥陀仏は歌舞伎の台詞か?
7378 11-18
  味な所に 様の付く母
  味な→色っぼい 上品に云う?
7379 11-18
  鶏も四方を 覗く新宅
  鶏→とり 鶏も見物
7380 11-18
  前帯に 成て覚る いもせ山
  前帯→老女か商売女 覚る→おぼえる 妹背山→妹背山婦女庭訓の略 饒舌な官女が出る浄瑠璃☆川柳辞彙 饒舌の意か
7381 11-19
  鎰裂迄か 俤にたつ
  鎰裂→かぎざき 俤→おもかげ 心に思い浮かべる顔や姿 繕ってあげたこともあったに 亡くした子か?
7382 11-19
  捨子のふとり 母に見せたき
  こんなに元気に育ったよ
7383 11-19
  長く寐る 子のない女房 うつくしき
  うつくしい→きれいである いさぎよい ☆江語辞
7384 11-19
  金かかたきの さハへなす神
  さハへ→五月蠅 さばえ さばえなす→陰暦五月の蠅のように騒がしく煩わしいさま 神→幇間 金が仇のように口では云うが
7385 11-19
  尼も平家の 喰さかし物
  喰さかし→くいさがし 食いさがす→食い散らす 男が女をもてあそぶ☆国大 出家した祇王祇女と仏御前か
7386 11-19
  短夜なから さかやきのあし
  短夜→みじかよ 明けやすい夏の夜☆国大 足→利息☆江語辞 短い夜でも少しは生える
7387 11-19
  また金山に こりぬ乗懸
  乗懸→のりかけ 馬の両側に明荷を渡し布団を敷いて乗る 山師?
7388 11-19
  袖から袖に 余ることつて
  袖から袖→こっそりの意か? 秘密の伝言が漏れた
7389 11-19
  狸か持て 入らぬ剃刀
  入らぬ→要らぬ? 狐女郎なら剃刀で心中を迫っ たりするが
7390 11-19
  表太を知て 後家はつす也
  表太→ひょうだ ? ???
7391 11-19
  投る小判に 向ふ敵なし
  ☆そのまんま
7392 11-19
  馬方の 一大事也 女良花
  女良花→おみなえし 遊女の異称☆川柳辞彙
7393 11-19
  仲人か来て 逃る手のくほ
  手のくぼ→掌の中央の窪んだ部分 掌に飯をのせて食うこと☆江語辞 短時間の性行為☆川柳末摘花詳解上 手淫☆雑俳語辞典
7394 11-19
  女房の前ハ 侍て出る
  吉原へ行く前に中宿で町人に化ける 武士よりもてるので
7395 11-19
  異見かすむと 伯母の手枕
  放蕩息子を伯父が説教するのにつきそい 終わってほっと
7396 11-19
  馬に見られて 怖い行水
  行水中に馬が
7397 11-19
  夜ハしんしん・と つづ・らから出る
  掛取のがれに隠れていた?
7398 11-19
  うき世のあらを 京に寐て見ル
  旅の空で江戸での生活を思い起こしてみると
7399 11-20
  おもひ寐の 手を投て置 蝿の中
  思寝→物を思いながら寝ること☆国大 投げやり
7400 11-20
  朝から鱠 只事てなし
  鱠→なます 刺身 金もないのにやけくそか気がふれたか
7401 11-20
  棒を上手に 遣ふ兄分
  男色?
7402 11-20
  冷た物喰ふ 唐の三月
  冷た→ひえた 陰暦三月清明節の寒食 炊事に火を使わない
7403 11-20
  いくぢなく 公家侍の 三ヶの原
  意気地無く→だらしなく☆江語辞 公家侍→公家に仕える侍☆国大 三ヶの原→みかのはら☆百人一首 ???
7404 11-20
  片足て こハこハ・なふる 捨小舟
  捨小舟→すておぶね 捨てられた小舟 重みをかけると沈みそう
7405 11-20
  逃る時にも 鶴の横平
  横平→横柄 鶴は禁猟なので捕られないのを知っている
7406 11-20
  翌のくすりの 売る晦日
  翌→あす 売る→うれる 晦日→つごもり お屠蘇
7407 11-20
  長い名を 一字書れて うれしかり
  手紙の名 親しみのしるし
7408 11-20
  起ると聲の 高い還俗
  朝の勤行の習慣が
7409 11-20
  いなはの露に 老のうしろ手
  稲葉→刈り取る前の田の稲☆国大 老農夫の感慨
7410 11-20
  石切の 腹の立日ハ 目へ這入
  泣きっ面に蜂
7411 11-20
  九りんハ知れた 物を算える
  九つあるに決まっているが 塔の九輪を数えてみる
7412 11-20
  寺の払を 誉るうとん屋
  御得意?
7413 11-20
  あらしに錆る 枚方の銭
  食らわんか船が営業できず 釣り銭が痛む
7414 11-20
  偽の しくれに路次へ つゝと立
  偽→いつわり 誰か立ち小便?
7415 11-20
  持て来た聟 置て来た物
  持参婿 訳ありで
7416 11-20
  うまく寐て立 吉田岡崎
  吉田も岡崎も女郎で有名な東海道の宿場 少しは眠って出発
7417 11-21
  米屋へちなむ 鶏の発明
  ちなむ→親しい間柄になる ☆江語辞 発明→利口☆国大
7418 11-21
  蓬か宿へ 灸すへに行
  蓬は艾の原料
7419 11-21
  十二単を 脱は妹
  十二単→じゅうにひとえ 脱は→ぬげば 馬子にも衣装?
7420 11-21
  生贄の 強飯と迄 納りて
  仔細ある娘の初花祝い?
7421 11-21
  かけろふの ちび?燃る 下屋敷
  御妾の悋気
7422 11-21
  夫か抱は 赤子大きし
  抱は→だけば 時々しか抱かないので育ちに驚く
7423 11-21
  山崎や 目を見合て おとこ山
  山崎→秀吉と光秀の合戦場 見合て→みあわせて 男山→男山八幡 岩清水八幡 山崎から見て淀川の向い
7424 11-21
  よむほと書けは 世に男良花
  男良花→おとこえし 男の意か? ???
7425 11-21
  はたかて京を 出ても京者
  京言葉
7426 11-21
  吉原さして 法躰に行
  法躰→ほったい 僧形になること 念仏☆国大 ???
7427 11-21
  南ばん療冶 きつく聞える
  療冶→療治 西洋医学は怖そう
7428 11-21
  鰒て育て 鰒しらぬ皃
  鰒→ふぐ 育て→そだって 悪い環境で素直に育つ?
7429 11-21
  たからの山を 痩て出る聟
  呵られ蔵に籠められた?
7430 11-21
  一ツある 心のうこく 秋のくれ
  秋の暮れ→秋の夕暮れ 何となく淋しく人恋しく?
7431 11-21
  邪广に成手の 多い看病
  邪广→じゃま 看病人が多すぎても
7432 11-21
  番附て 見れハ夫も にくゝなり
  番附→ばんづけ 芝居番附 役者狂いの女房?
7433 11-21
  風に喰残 されしあつま屋
  四阿は吹き抜けなので壊れずに残った
7434 11-21
  年忘れ 夜ハほのほの・と 角かつら
  角かつら→すみかずら 歌舞伎の角を入れた前髪の鬘 荒事に用いる☆江語辞 明け方に喧嘩沙汰?
7435 11-22
  松風も 最う十月ハ 怖く成
  最う→もう 寒さを感じるように?
7436 11-22
  夜の火のしの 立身へ当
  取り立てられて裃の準備
7437 11-22
  辛崎ハ 捨子の皃も 朧にて
  辛崎→唐崎 唐崎の夜雨 皃→顔
7438 11-22
  後添に それと云れて 精進日
  先妻の命日 後妻の方が気にかけて
7439 11-22
  天の河 袂のうちに 蝸牛
  蝸牛→式守蝸牛☆川柳辞彙 打ち身などに使う角力膏薬 七夕の笹竹で怪我?
7440 11-22
  女の皃の 替る関の戸
  皃→顔 箱根は出女の改めがあるので緊張
7441 11-22
  銭青々・と かまくらの穴
  鎌倉の銭洗い弁天 洞窟の湧き水で銭を洗い清める
7442 11-22
  婚礼の日に 肩のはる尼
  松ヶ岡や後家を連想させてはいけないと気をつかう?
7443 11-22
  鏡つたなく 有たけの息
  つたない→能力が劣る☆国大 有たけ→ありたけ 鏡が曇って
7444 11-22
  抱へて通る 質に梶の葉
  七夕の時そなえた着物? 借し小袖といって七夕様に着物をお貸しすると衣装持ちになるといわれた また七夕に梶の葉に詩歌を書く
7445 11-22
  飼鳥一羽 妾のわたくし
  私→秘密☆国大 妾→しょう ささやかな秘密
7446 11-22
  金箱と 云れた果の さよ千鳥
  小夜千鳥→夜中に鳴く千鳥 ☆国大 花魁関係か?
7447 11-22
  淀の家中を たをす哥よみ
  淀→淀君? ???
7448 11-22
  さむしろに ある夕暮を 咄出し
  さむしろ→狭筵 むしろ☆国大 夜鷹の昔語り? 「きりぎりすなくや霜夜のさむ しろに・・」☆百人一首
7449 11-22
  寐にも娵の いとま乞して
  寐→寝る 娵→よめ 嫁いで来たばかりの嫁 姑に遠慮
7450 11-22
  また此町も 売る白粉
  また→まだ? 売る→うれる 白粉→おしろい 手入れ前の私娼窟?
7451 11-22
  かふろを消して 廻る拍子木
  引け四つで禿は眠る
7452 11-22
  皆出払て 庭にあんとん
  出払て→ではらって 暗い庭が不用心な気がして?
7453 11-23
  うれしい森へ 駕のやくそく
  嬉しの森→本所松浦邸内の椎の木 吉原通いの猪牙舟が通る
7454 11-23
  長者の金の 剃てから減
  自分は隠居して出家 跡継ぎの息子は浪費
7455 11-23
  しのふ山 しのハぬ山ハ よい日和
  信夫山→歌枕 忍ぶ意か 日和→天候 事のなりゆき ☆国大 夜這に行っていた所へ堂々と 行けるようになったのは
7456 11-23
  枕直しに 廿日艸ちる
  枕直し→産後二十一日目の祝 廿日艸→はつかぐさ 牡丹 二十一日目なので
7457 11-23
  誰をたよりに 敦盛の馬
  敦盛は馬から下りて討死 味方は船で逃げたし
7458 11-23
  小原御幸て こりる太刀持
  小原御幸→おはらごこう 平家物語の最後の巻 謡曲の一つだが謡が主で舞が入らず動きが少ない
7459 11-23
  はつかしい名の きへて子か出来
  浮き名が消えた頃には堅気に
7460 11-23
  二分借て 狐川より 引返し
  二分→にぶ 借て→かりで 狐川→山城の地名で西へ落ち る平忠度がここから引き返して俊成を訪れ家集を託した☆川柳辞彙 吉原行きか?
7461 11-23
  朔日の をもしろい日を 寐ころして
  朔日→ついたち 八朔の紋日を仕舞えず?
7462 11-23
  着そめるやうな 十月の笠
  着初→新しい着物を初めて着ること☆国大 時雨で今年初めて笠をつける
7463 11-23
  鉦に黄粉の かゝる夕くれ
  黄粉→きなこ ???
7464 11-23
  また年も 四十て居れハ 面白キ
  若くもないがまだ年寄りでもない
7465 11-23
  此山を こへて火を打 みそさゝい
  山伏の峯入り? みそさざいは夏は山地渓流に住む
7466 11-23
  取付にくい 皃へ横笛
  皃→顔 弁慶と牛若?
7467 11-23
  坐頭のこゝろ ふれる晴天
  ふれる→普通でなくなる ☆国大 日射しに心浮き立つ?
7468 11-23
  夕べ・の皃を かくす桧扇
  夕べ・→ゆうべ 宮中の官女の後朝?
7469 11-23
  髪結てから 痩る江戸入
  結て→ゆって 江戸に入るにあたり髪を整えたら痩せてみえる?
7470 11-23
  によきによき・と 甲を脱は 皆坊主
  甲→かぶと 脱は→ぬげば 宇治橋の戦いで宮方に筒井の浄妙一来法師☆謡曲頼政 かぶとをぬぐと宮かたは坊主なり☆柳十三・41
7471 11-24
  松風に ふつと気の付く 三十九
  若い時代も終わりが近い
7472 11-24
  生酔の歯の 立ぬ反橋
  生酔→なまえい 酔っばらい ふらついてはとても渡れぬ
7473 11-24
  しころハ切れて 五十間道
  五十間道→日本堤と吉原大門の間の道 景清が屋島で三保谷四郎の錣を素手で引きちぎった故事をきかす 誘惑に負け?
7474 11-24
  壱文餅に 口を明く馬
  くれ
7475 11-24
  小萩かもとへ 寄る重箱
  小萩→小さい萩 萩☆国大 寄る→よせる
7476 11-24
  また行水の 怖い七ツめ
  七つ目→七つ目の干支? ???
7477 11-24
  乳母を暦て たゝく霜月
  顔見世狂言に連れて行くと口説く
7478 11-24
  なこやから なふられて来 干大根
  来→くる 十二月尾州から幕府へ干大根の献上があった 干大根はなぶると美味くなる ☆武初24
7479 11-24
  辛子のために 取て置の婆
  辛子は意地悪い者が練ると辛みが利くという☆川柳辞彙 遣手か
7480 11-24
  狐川より 暮て挑灯
  狐川→山城の地名で西へ落ち る平忠度がここから引き返して俊成を訪れ家集を託した☆川柳辞彙 「行き暮れて木の下蔭を宿とせば」☆忠度
7481 11-24
  ころんた所か 生酔の宿
  生酔→なまえい 酔っばらい 転んだところで寝てしまう
7482 11-24
  かふろの返辞 袂迄来
  返辞→へんじ 何か隠したものを出す? ???
7483 11-24
  くすり喰して 人に嫌ハれ
  薬喰→病人が獣肉を薬として喰う事☆川柳辞彙 他の人からは忌み嫌われた
7484 11-24
  今そ異見の しみる雨もり
  親の異見もきかず零落して
7485 11-24
  また何か 出そうな名也 伊吹山
  大江山ではないが
7486 11-24
  公事をする子へ 伯母の付声
  公事→くじ 訴訟 付声→つけごえ 物陰などから他人に代わって声だけを付けたすこと☆国大 伯母が操る
7487 11-24
  翌ル日ハ 拝む気のない ぬれ仏
  雨に濡れた石仏は有り難く感 じる
7488 11-24
  藤十良に 似た人も死
  藤十良→とうじゅうろう 元禄の上方歌舞伎の立役 坂田藤十郎?
7489 11-25
  袖留になる たそかれの鐘
  袖留→袖を留めること 振袖をやめる女子の元服 または吉原で新造が部屋持ちになること☆江語辞
7490 11-25
  うそを教へる 十年の親
  遣手婆 年季明けまでほぼ十年
7491 11-25
  一首つらねて 金借りに遣
  つらねる→ことばをならべて詩歌をよむ☆国大 遣→やる 美辞麗句を教え込んで
7492 11-25
  うら若み いふ程の事 おかしかり
  み→なので☆国大 何でも可笑しい年頃
7493 11-25
  かこち皃なる 口へくろ髪
  「なげけとて月やはものを思はするかこち顔なるわが涙かな」☆西行 出家する前はいろいろ
7494 11-25
  火のしにも しなへる腰の 朝みとり
  しなえる→しなう 人の姿などがしなやかな曲線をなす ☆国大 みどり→見取 歌舞伎の見所を集めた上演☆国大
7495 11-25
  関守に きたない皃を 見直され
  抜け参りの小僧? きたない男に化けた女?
7496 11-25
  谷丁ハ うつらの声を 上へ啼
  谷丁→たにまち 溜池の南の麻布谷町? 斜面地で遊女屋もあったという 朝鶉の鳴き声が上に聞こえる?
7497 11-25
  死たいといふ 口へ初物
  初物は七十五日長生きするぞ 元気だせよ
7498 11-25
  十月晦日 若い夕くれ
  明日は江戸三座顔見世狂言 老いも若きも支度にはしゃいで
7499 11-25
  椀になみたの 溜る迷子
  泣きに泣いて
7500 11-25
  けいせい買の 母ハ空にて
  空→心☆江語辞 嘘をつかれてもわかっている
7501 11-25
  寺の異見に 遣ふ傘
  不祥事で寺を追い出される時最初は傘一本
7502 11-25
  行水に 借た盥・に 蝸牛
  借た→かしだ 盥・→盥 乾かす間に蝸牛が
7503 11-25
  とうからしにも 角文字の陰
  角文字→い あるいは角をはやすこと 嫉妬すること ☆江語辞
7504 11-25
  殊勝になると 和尚代られ
  落ち着いた頃に転勤
7505 11-25
  千両入るハ きつい物の怪
  入る→要る? 物の怪→もののけ 人にとりついて悩ます死霊生霊妖怪☆国大 スーパー持参嫁か
7506 11-25
  日傘 七ツの鐘に 細く成
  日傘→ひがらかさ 七ツ→午後四時頃 ようやく日射しも弱くなり傘をすぼめる
7507 11-26
  天の河 流るゝ下ハ 草り道
  夜空を見上げ地上は草履で
7508 11-26
  きのふの娘 斎に呼ふ尼
  斎→とき 僧家で食事のこと ☆国大
7509 11-26
  広けた文の たけに寐ころふ
  たけ→丈? 花魁の催促の長い文を寝て読む
7510 11-26
  何某の 雨も節句の うしろ前
  何某→なにがし 五月雨
7511 11-26
  九十の夫婦 凡夫てハなし
  夫婦長生きは徳あればこそ
7512 11-26
  金箱通る 関のうら枯
  金箱→かねばこ 現金を納めておく箱 財源になる人物☆江語辞 うら枯→草木の先のほうが枯れること☆国大 ???
7513 11-26
  内儀の膳の 分る塗箸
  内儀→町家の妻の敬称☆国大 ???
7514 11-26
  凩の うちへ這入ハ 平元結
  凩→こがらし 平元結→ひらもとい 幅広のたけ長の元結☆国大 風で髪が乱れそうになった女性
7515 11-26
  井筒に寄て 鳴らす鬼灯
  鬼灯→ほおずき 筒井筒の子供の姿
7516 11-26
  したれさくらへ 入れて見る皃
  皃→顔 かつらみたいに
7517 11-26
  来年の 大小知れて 薄もみち
  大小→大小暦 薄紅葉→紅葉し始めの木の葉 翌年の暦は十一月一日から売られたという☆川柳年中行事 ???
7518 11-26
  亭主にも 戸を明兼る 横時雨
  横時雨→横から吹きつけるように降るしぐれ☆国大 亭主が帰って戸を開けてやり たいが吹き込んでも困るし
7519 11-26
  二十四日も 鵺ほとな雲
  鵺→ぬえ ???
7520 11-26
  只有れハ 少うらみの 鮓の蓼
  蓼は辛子と同様魚類の生臭消し 蓼だけあっても
7521 11-26
  野分して 猶うつくしき 墓参
  嵐のあとの爽やかさ
7522 11-26
  六十一て はたく分別
  はたく→つかい果たす ☆江語辞 還暦を過ぎて放蕩?
7523 11-26
  松風かふく はつれ開帳
  参拝客の集まらない出開帳?
7524 11-26
  長崎の 帰りハ我を 振かへり
  自分も変わったなあと
7525 11-27
  人の身の うしろへ向ぬ 冬の雨
  向ぬ→むかぬ 背を丸めてただ前へ
7526 11-27
  百夜の傘の かはく松風
  百夜→ももよ 九十九夜で挫折
7527 11-27
  夜更てをろす 筆にうたかひ
  急に疑念が湧いて文を
7528 11-27
  ふいと気か 付ておかしき 柏餅
  自分の寝姿?
7529 11-27
  子を抱て こそはゆがりし 白拍子
  慣れておらず
7530 11-27
  忘れ草 根のない事か 面白し
  忘れ草→憂さを忘れる材料 ☆江語辞 たわいもないことの方が
7531 11-27
  むす子の耳に 鐘ハ上野か
  花の雲鐘は上野か浅草か☆芭蕉 吉原で聞く鐘
7532 11-27
  死んた跡にて 誉る晴天
  故人の行いが良いから葬式が晴れ
7533 11-27
  音羽の瀧に 白人の駕
  音羽の瀧→京都清水寺の滝 白人→はくじん 祇園の私娼 ☆国大 ???
7534 11-27
  久しい物を ねたむ六月
  久しい→日が経っている☆江語辞 あたりまえで陳腐な☆国大 氷室の氷?
7535 11-27
  入替に 来る人質の うつくしき
  名代で出た新造が思わず手を出したくなるような美人で?
7536 11-27
  田を付て遣る かつらきの神
  葛城の一言主神は見目麗しく ない☆江戸文学俗信辞典 沽券付き嫁
7537 11-27
  ほくちに骨の 折るこり須广
  ほくち→火口 火打石の火を移しとるもの 折る→おれる こり須广→こり須磨 こりずま 懲りないままの意で須磨をかける
7538 11-27
  十人並と おとなしい皃
  十人並→容貌や技芸が人並みであること☆江語辞 出しゃばらず
7539 11-27
  うれしい髪を 行燈て結
  行燈→あんどん 明日は芝居見物
7540 11-27
  たつ鳥跡を 置付て出る
  置付→おきつけ いつもきまった場所にすえておくこと 手をつけずそのままにしておくこと☆国大 巣は放ったらかし
7541 11-27
  硯の海を 巻上る文
  長い文を書いて
7542 11-27
  陰膳に 匂ふ斗の 青山椒
  斗→ばかり 青山椒→あおざんしょ 食べる人はなく
7543 11-28
  溜た上を 撫るはちの子
  溜た→たまった はちの子→鉢 僧の托鉢の器☆国大 もう少しほしい
7544 11-28
  蓑と酒とか 馬子の寐道具
  寐道具→寝具
7545 11-28
  あくらに穴を 明る百両
  穴を明ける→損失を生じさせる☆国大 百両→持参金 鼻があぐらをかいている持参嫁?
7546 11-28
  意地の引張る 十月の餅
  亥の子の牡丹餅? 炬燵を出す日で寒くてもこの日まで我慢?
7547 11-28
  住吉へ 来れハ時雨ハ また青し
  青い→未熟だ☆江語辞 佃島の時雨?
7548 11-28
  うしろへ智恵の 廻る看経
  看経→かんきん 仏壇の勤行 姑がお経をあげている間も後ろの若夫婦を監視
7549 11-28
  子か買て 親の寐覚の きりきり・す
  寝覚→眠りの途中で目をさますこと☆国大 子の買った虫の音で親が目覚める 子は眠っている
7550 11-28
  請取も 共に流るゝ 御祓河
  請取→引き受け☆江語辞 受取り証文?☆国大 御祓河→みそぎがわ
7551 11-28
  三年ぬれて 帰る梅若
  誘拐されてから三年?
7552 11-28
  水をさゝれて 烏犬死
  烏犬死→からすいぬじに 起請文を書くと熊野で烏が三羽づつ死ぬという☆心中天網島☆江戸文学俗信辞典 せっかく起請文を書いたが
7553 11-28
  うつくし過て 寺へよめ入
  亭主が早死にして和尚の手がつき
7554 11-28
  横向に 別れの鶏の 哀也
  別れるも何も知らず
7555 11-28
  六月も 夜ハうき世へ 入れて置
  昼は暑くてこの世でない
7556 11-28
  柳原行 蜘の振廻
  柳原→夜は夜鷹多し 蜘→くも 振廻→ふるまい 蜘蛛は待人の来る前兆 夜鷹の客の様子?
7557 11-28
  つくはをろしに 吹上る飯
  筑波颪→関東で冬吹き続く北風☆国大 北風も強いが飯も炊ける
7558 11-28
  師走の風に 正月の音
  餅搗きとか
7559 11-28
  似た皃を 見ても淋しき 精進日
  皃→顔 故人に似た顔
7560 11-28
  明たての戸も 定まらぬ加田
  加田→かだ 紀州加太? 軒先に櫂が立っていると家に入らない☆川柳辞彙
7561 11-29
  烏さへ こゝろの替る 天の河
  ???
7562 11-29
  今ハ壱分て かてんせぬ海士
  かてん→合点 海士→あま 謡曲海士の関連? 海女と契ろうと思っても?
7563 11-29
  柏の葉 葉守の神の 意地か知レ
  葉守の神→はもりのかみ 樹木の葉を守る神で柏木に宿るという☆国大 柏は枯葉が落ちずに残る
7564 11-29
  たね馬の 年もかそへす 老にけり
  業務に専念しているうちに
7565 11-29
  をろせ来て居る かさゝきの橋
  をろせ→おろせ駕篭 注文でまわす駕篭☆江語辞 鵲の橋→牽牛と織女をつなぐ 遊廓行きの駕篭が来て
7566 11-29
  出家の心 足らぬほころひ
  心足る→注意がいきとどく ☆国大 外見には気が廻らない
7567 11-29
  たまされ安い 前の僧正
  破戒で追い出された?
7568 11-29
  腰元を 吹折る程に 野分して
  野分→のわき 台風☆国大 殿様の強引な口説き?
7569 11-29
  関守の 皃ハ向へ 年か寄
  皃→顔 前を向いたまま老いる
7570 11-29
  柴の戸も 我喰ほとの いなは雲
  稲葉の雲→田一面の稲穂が揺れるさま 小さな田圃を持っている
7571 11-29
  蚊屋をはつせは 替る主従
  蚊屋の内と外で立場逆転
7572 11-29
  銭つくほとに 君も旅なれ
  銭を突く→銭を数えつつ出す ☆江語辞 ご主人も自分で茶店の支払いをするくらいに旅慣れて
7573 11-29
  笠を袂と 思ふ腰元
  笠の下に何でも入れる
7574 11-29
  をちびちび・ つまみ込庵
  →秋 庵→いお すきま風とかで秋の気配が早く来る
7575 11-29
  秋の夜に 罪もあたらす 長枕
  罪→罰 ばち 長枕→二人寝用の長い枕 秋の夜長を
7576 11-29
  草鞋ハ 斯う召ス物と 泪くみ
  草鞋→わらんじ 斯う→こう 若様の落ちのび
7577 11-29
  寐てまつ帯へ 夜半の松風
  夜更けて花魁がやっと来た?
7578 11-29
  能因ほとの 川留もなし
  能因は奥州まで行かずに白河の関の歌を詠み家に籠って日焼けしてから披露したという 日に焼けるくらい長い川留はさすがにない
7579 11-30
  砂利場通れハ 知た看経
  ☆蟋蟀入牀語 砂利場→吉原近くで遣手など関係者が住む 知た→しった 看経→かんきん 仏壇の勤行 吉原で聞いたような
7580 11-30
  木からしや 奥歯に残る 柏の葉
  柏は枯葉が落ちずに残る 木枯からすれば噛み残した感 じ
7581 11-30
  平等院へ 負ほたる飛ふ
  源三位頼政平等院の扇の芝で切腹 宇治は蛍が名物
7582 11-30
  験者の側に 匂ふ白むく
  験者→げんざ 修験道の行者 ☆国大 白無垢→葬式の時縁者の女性が着る? 死装束? 憑き物落としか?
7583 11-30
  碪を聞に 公家の夜歩行
  碪→砧 きぬた 夜歩行→よありき 源氏の夕顔や謡曲砧にも出る砧を聞いてみようと?
7584 11-30
  柳か浦の 蠏ハ歴々・
  柳が浦→平清経が入水☆謡曲 清経 蠏→かに 豊前に落ちた平家の公達
7585 11-30
  早乙女ハ 人の命を 提て行
  米は命
7586 11-30
  斯う死にたいと 松虫を出し
  いつのまにか死んでいた
7587 11-30
  門から海の 口を吸ふ寺
  築地の西本願寺か?
7588 11-30
  夜ハしんしん・と 須广の婚礼
  須广→須磨 ???
7589 11-30
  異見の皃を 舐て居る蝿
  説教される側も聞いてるふり
7590 11-30
  その翌日も 庵ハ寒食
  寒食→かんしょく 冬至から百五日目で風雨の激 しい日という 火断ちして煮炊きせず食事する☆国大 もともと貧乏で喰うものなし
7591 11-30
  水無月をふく 秋風の欲
  早すぎ
7592 11-30
  東枕に 遣唐使寐る
  日本恋し
7593 11-31
  三十を 越ると縞か 眠ふ成
  ☆江戸枝折 附録 風窗湖十撰点 十五点 縞→伊勢縞のお仕着せ? 眠ふ成→ねむうなり 奉公の中だるみ?
7594 11-31
  米つきの 休む間に 鶏・を抱
  鶏・→とり こぼれた米を喰われぬように
7595 11-31
  古渓より 出しこゝろよ 思案橋
  古渓→虎渓? 東晋の慧遠は日頃渡らぬ虎渓の橋を話に夢中で渡った 出し→いでし 思案橋→日本橋小網町の橋で元吉原へ行こうか思案
7596 11-31
  赤子も数に 入る乞食
  乞食→こつじき ちゃんと人数分くだされ
7597 11-31
  己か田を とられし水に わたし守
  洪水で田を奪った川で渡し守 をして生活する
7598 11-31
  日本晴に 冨士ハちいさき
  ☆そのまんま
7599 11-31
  睾丸の重みに 狐老たり
  睾丸→きん 下垂
7600 11-31
  古御所の 跡なつかしき 雲の峰
  古御所→貴人が昔住んでいた住居☆国大 雲の峰→入道雲 今は荒れ果てているが
7601 11-31
  二疋三疋 這子行く春
  這子→ほうこ 這うほどになった赤子☆国大 日向で幼子が
7602 11-31
  鍛冶屋の弟子の 稲妻を追ふ
  鉄を打つ相槌の様子 火花が飛んで
7603 11-31
  刀きす 御影て京を 見て廻り
  刀きす→刀傷? 御影→おかげ 剣豪と思われ?
7604 11-31
  剃て後 思ふ昔の をそろしき
  出家する前の所業
7605 11-31
  うつ蝉・の 抜た跡から 蚤かとひ
  うつ蝉・→蝉の抜け殻 もぬけの空☆国大 脱いだ着物から
7606 11-31
  五里乗れは 三里と咄す 旅の癖
  駕篭や馬に乗った距離をなるべく少なく云いたい
7607 11-31
  神風はらむ 巫女のふところ
  神楽巫女の水干の様子
7608 11-32
  一夜泊の 筋違に寐
  ☆十八点 一夜泊→? 急に泊ることか 筋違→すじかい 斜め
7609 11-32
  祈た神の 前へ越す筈
  太鼓持ちの願いにお大尽が訪れる? ???
7610 11-32
  近付に 一人も逢す 暮遅き
  逢す→あわず 人出は多いのに知らぬ人ばかり
7611 11-32
  化物咄し 子を思ふ鶴
  子を思う鶴→鶴は子への愛が強いと云われるところから子を大事に思う母の愛のたとえ☆国大 鶴が本当に思っている訳でもなかろう
7612 11-32
  当御台 馬も勝れて 召と也
  当御台→とうみだい 御台→御台所 将軍の妻の意だが一般の妻を戯れて云う ☆江語辞 馬→月経や月経帯☆江語辞
7613 11-32
  下山した 児ハ女を 怖かりて
  山→比叡山延暦寺☆国大 児→ちご 男ばっかりのとこに居たので
7614 11-32
  ゆすふれハ 子ハ寝る物と 合点して
  慣れない子守り?
7615 11-32
  思ひ出してハ 曲る籔入
  籔入→薮入 思いつく所へ久しぶりに
7616 11-32
  白髪に成て 戻る松坂
  ☆蓬莱・廿点 長い奉公を勤め上げ故郷に
7617 11-32
  萱寺へ 是そと思ふ 人も来す
  萱寺→かやでら 榧寺? 浅草黒船町の寺で住職が山伏に榧の木を望まれやると言ったら翌朝本当に無くなった
7618 11-32
  行 に 御経の息も 見ゆる也
  →秋 息が白い
7619 11-32
  狩人の 梺へ下る 盆の内
  梺→ふもと 盆の間は殺生せず
7620 11-32
  あざをとかむる 面白い中
  この痣知らなかった?
7621 11-32
  死た噂も をのか養生
  ☆半面美人極点 不養生仲間の某が死んだという噂を反面教師に
7622 11-32
  待乳山 是から先か 伝受事
  待乳山→待乳山聖天 浅草今戸橋南 吉原に近い
7623 11-33
  二階から けいせいも田を 植たかり
  ☆越入道よし門選点 書抜 吉原から田圃が見える
7624 11-33
  断食の屁の 音も香もなし
  ☆そのまんま
7625 11-33
  菊の節句に 消る浪人
  九月九日は重陽の節句で袷から綿入れへ衣更えの日 綿入れが質に入っている?
7626 11-33
  極楽へ 氷のやうな 足か来る
  やっと花魁が来た
7627 11-33
  をのれか足に 繋るゝ馬
  役に立つ足のために不自由 あるいは手綱で足を縛る?
7628 11-33
  盗人の 活て折々・ 礼に来
  活て→いきて 見逃して貰って
7629 11-33
  夜か明て 戻れハ内ハ 地獄也
  朝帰り
7630 11-33
  一むかし 経ても土産ハ 無事はかり
  長年義理を欠いて
7631 11-33
  舟宿迄ハ つまむ綻ひ
  舟宿で着替えてあるいは繕って貰って吉原へ?
7632 11-33
  寺隣 御客の音に こまる也
  和尚が庫裏に後家を?
7633 11-33
  耳俵 清政よりの おくり状
  清政→加藤清正 文禄慶長の役の耳塚
7634 11-33
  機嫌直しに 足の毛をぬく
  遅くなってご免て言ってるで しょ
7635 11-33
  辻切を 見ておハします 石地蔵
  助けてくれないが見てはおられる
7636 11-33
  客を仕廻へは 白い僧正
  仕廻へは→しまえば 客が帰ればいつも緋の衣ではない
7637 11-33
  傘借に 沙汰のかきりな 皃か来
  俄雨で無沙汰な奴が訪ねてく る
7638 11-33
  覗かれて 酒盛に成 くすり喰
  薬喰→養生のため獣肉を食べ る こっそり食べていたのがばれて皆で宴会に
7639 11-34
  冨士ほとな 嘘も作て 遣唐使
  唐土で日本のホラ話を
7640 11-34
  水車 あたりへ夏を よせ付ぬ
  ☆そのまんま
7641 11-34
  角文字や 御師の土産も 鰹節
  角文字→い 角を生やすこと ☆江語辞 御師→おし 伊勢の御師 年末に伊勢暦と御祓箱を持っ てくる
7642 11-34
  蚊を焼て さへ殺生ハ 面白き
  蚊屋の中の蚊を紙燭で焼く
7643 11-34
  十月の 中の十日に 口舌して
  口舌→くぜつ 痴話喧嘩☆江語辞 御会式で女と知り合って?
7644 11-34
  大判の 急度した場ハ 丸はたか
  急度→きっと 確かに きち んと 大判は包まれずに披露?
7645 11-34
  仲人の 口くせにいふ 石の上
  石の上にも三年と
7646 11-34
  鳴ルほと鳴て けいせいを娵
  娵→嫁 一騒動あって花魁を身請け
7647 11-34
  人のわかれを 踏はつて撞
  踏はつて→ふんばって 七ツの鐘で後朝の別れ
7648 11-34
  大文字 雪も残りハ よい詠
  詠→ながめ 眺め☆国大 大文字焼の所に雪で模様が
7649 11-34
  鎌くらの 秋の哀ハ なまりふし
  鎌倉は漁村 初夏なら初鰹になれた鰹も今はなまりぶしに
7650 11-34
  分別も 男に近き 母の年
  ☆そのまんま
7651 11-34
  関の戸を 櫛をくハへて 立別れ
  関所で女の髪の中を検査するその準備
7652 11-34
  大工に損を 懸て御遷・化
  御遷・化→御遷化 高僧が死ぬこと☆国大 凝った本堂を建てて?
7653 11-34
  男を釣て まかる横町
  神田多町などの私娼比丘尼にひっかかって?
7654 11-34
  ひとりハ色の 白い落人
  義経
7655 11-34
  対の娘を さかす祇園會
  対→つい 一組として対応するもの☆国大 祇園會→ぎおんえ 祇園祭 人混みで似合いの娘を探す?
7656 11-34
  母かぬるくて 鍋の数見る
  ぬるい→頼りない☆国大 近江筑摩神社鍋祭 関係した男の数の鍋を被る
7657 11-35
  掛リも出来ぬ 先に紫
  掛リ→経費 手掛り☆江語辞 ???
7658 11-35
  手と身て寒い 須广の正月
  手と身→身ひとつ 無一物の意☆国大 須广→須磨 須磨配流の在原行平?
7659 11-35
  我か年に 禿を見れハ 矢のことし
  禿の成長は速い
7660 11-35
  石女も 石を孕て 田植うた
  石女→うまずめ 孕て→はらんで 笠が孕み石すなわち子持石のように集まって皆で田植え?
7661 11-35
  吉原も 冨士の日からハ ほんの夏
  冨士の日→富士の山開きの六月朔日? ???
7662 11-35
  来ぬに極て いろいろ・に寐
  極て→きまって 花魁に振られて 狸寝入りの必要もない
7663 11-35
  化物屋敷 おしろいか咲
  厚化粧の安い見世か
7664 11-35
  俄分限の 女房に倦
  ☆そのまんま
7665 11-35
  うそつき帰る 向から春
  大晦日の掛取を騙しおおせて元日を迎える
7666 11-35
  息ついて 我も我を折る 蟇
  我を折る→がをおる 意地はりをやめ他に従う 恐れ入る☆国大 蟇→ひきがえる 恐れ入りましたと平伏
7667 11-35
  地獄へ落す 舟の小刀
  ☆柳尾撰点 書抜 板子一枚下は地獄
7668 11-35
  蠏うりか来て 物具の音
  蠏→かに 物具→もののぐ 武具☆国大 茹でる準備?
7669 11-35
  雪の傘 突のめされて 軽く也
  積もった雪が落ちて
7670 11-35
  泣く場を笑ふ 友立の墓
  友立→ともだち 親しければこそ
7671 11-35
  こつちの飯て 庫裏のふきかへ
  職人の食事は精進ではない?
7672 11-35
  今少 狭くともあれ 音羽町
  護国寺門前の音羽町 九丁目まである
7673 11-36
  哥かるた 人と云ふ字に 目かくらみ
  百人一首 人で始まる下の句多し 九首ありお手つきしやすい
7674 11-36
  法印の 瀧をほしかる 薬研掘
  法印→山伏☆江語辞 薬研掘→薬研掘不動の略 ☆川柳辞彙
7675 11-36
  めんるいの 恥と成たる 心太
  心太→ところてん 麺類のようではあるが
7676 11-36
  禿か小指 まつたくの怪我
  心中立ての指切ではない
7677 11-36
  立はそれほと くらい墨染
  立は→たてば それほど→それ相応☆国大 黒衣なので
7678 11-36
  海鼠にハ 過た名所の 金花山
  金花山→きんかざん 宮城県牡鹿半島の東側の島 歌枕で海鼠の名産地
7679 11-36
  中間の 喧嘩・にしてハ 光リけり
  中間→ちゅうげん 武家の下僕 普通は竹光だろうに
7680 11-36
  寒さらし 弱い日影を 追廻し
  寒ざらし→ここでは寒気に吹きさらされている奴などか ☆国大 日の当たるところへ移動
7681 11-36
  泪にも 少間のある 百ヶ日
  少→すこし 百ヶ日→死後百日目の法要 ☆国大 悲しみも少し軽くなりお経が始まってもすぐには泣かない
7682 11-36
  制札に 無筆も同し 立姿
  制札→せいさつ 布告などを書いて辻などに立てた札☆国大 読める人も読めない人も
7683 11-36
  伸をする手に 逃る腰元・
  腰元・→こしもと お殿様の悪戯な手が
7684 11-36
  片小鬢 年の寄たる 椶梠箒
  片小鬢→かたこびん 廓の制裁で男の片方の小鬢を剃りおとすこと☆国大 椶梠箒→しゅろぼうき 棕櫚毛を束ねた箒☆国大
7685 11-36
  小便しても かき廻す鑓
  男性器?
7686 11-36
  樟・脳くさき 大塔の宮
  樟・脳→樟脳 大塔の宮→護良親王 大塔の宮は経櫃に隠された
7687 11-36
  いろはのうへを 歩行棟上
  歩行→ありく いろはの順を打った分限者の蔵の棟上? あるいは手習い子に餅撒き?
7688 11-36
  銅の鳥井に やけとする蝉・
  銅→あか ☆そのまんま
7689 11-36
  投られて 狭刀の心 かハりけり
  狭刀→はさみ 使えば利器 投げれば凶器
7690 11-36
  椽頬て 何ない飯も 面白し
  椽頬→えんがわ いつもと同じ食事も縁側で食べると一味ちがう
7691 11-37
  籔入の 仕舞の指ハ 木挽丁
  籔入→薮入 薮入りの最後に森田座の芝居へ
7692 11-37
  人間解る 不二の初雪
  解る→わける? 駿河町は富士をはさんで両側が越後屋 道の両脇から富士を眺める
7693 11-37
  壱分捨たと 引かふる夜着
  素一分の吉原行きで振られる
7694 11-37
  呵られて 親仁のよめぬ 本を出し
  放蕩息子だが親父より学問はある
7695 11-37
  琴に禿の ふたりつゐへる
  つゐへる→費える 琴を質屋から出すのに禿の着物を質入?
7696 11-37
  仲人の なんと見たかと 咳はらい
  水茶屋での見合い どうだ気に入ったか?
7697 11-37
  非時の給仕に 遣ふ新造
  非時→ひじ 会葬者に出す食事☆国大 花魁の代理の名代で不機嫌な客の話し相手
7698 11-37
  蝉・一ツ 家内に舞を 舞せけり
  家内→家の者 家族☆江語辞 蝉が飛び込んで大騒ぎ
7699 11-37
  里子帰して 寒いふところ
  懐に入れるように可愛がっていたので淋しい上に養育費も入らなくなった?
7700 11-37
  よなよな・大工 太子建立
  建立→こんりゅう 太子建立→聖徳太子が建てた? ???
7701 11-37
  わすれかたみの 覗く魂・棚
  魂・棚→魂棚 たまだな 盂蘭盆に精霊を迎えるために設ける棚☆江語辞 新盆
7702 11-37
  なみたの中へ 乳母の引越
  産んだ母親が亡くなって急に乳母が雇われた
7703 11-37
  鳴ほと鳴て 伯父ハ出て行
  鳴ほと鳴て→なるほどなって放蕩息子を伯父が説教
7704 11-37
  聖天町へ 邪广な親類
  邪广→じゃま 親類が居ては待乳山から吉原へ流れにくい
7705 11-37
  釘を吐出す 屋ねふきの咳
  釘を銜えているので
7706 11-37
  きりきり・す 脊中の上に 膝かしら
  ☆そのまんま
7707 11-37
  泣と笑ふと ふたり呑乳
  兄弟に授乳?
7708 11-37
  瘤の上にて 休む剃刀
  髪結床で ここが難所
7709 11-38
  買にも精の こわいまんたら
  精→細かくいきわたっていること☆国大 細部に念が入っていて怖い?あるいは絵の精が怖い?
7710 11-38
  今も名の 松風瀬平 散うせす
  松風瀬平→行司で行司木村瀬平の親? 松風のようには散らない
7711 11-38
  よい男 運のつよさハ 金かなし
  ☆米花庵田杜撰点 十五点 金があったら放蕩で破滅
7712 11-38
  ひちりきの 舌へ一露 稲の雨
  ひちりき→雅楽の縦笛 稲の雨→秋の季語? ???
7713 11-38
  我か名の 河に角力の とめられて
  醜名の河で相撲取りが川留にあう
7714 11-38
  さつくさつく・と 霜の野々・宮
  野々・宮→野宮 謡曲あるいは伊勢の斎王の潔斎所 女の怒りの意か
7715 11-38
  札うては あみたもけふハ 六玉川
  札をうつ→巡礼でお寺をお参りしていくこと 六玉川→歌枕の六つの玉川 六阿弥陀詣?
7716 11-38
  異見の耳を 洗ふ深川
  汚らわしい話を聞いた 「潁水に耳を洗う」☆諺 異見されても深川の岡場所へ
7717 11-38
  目て懸る 橋をあふない 恋か行
  目と目があって恋が
7718 11-38
  二度にしくれる 祇園清水
  同じ京都でも祇園と清水では別々に時雨が降る?
7719 11-38
  姫路の太鼓 松にこほるゝ
  姫路→酒井雅楽頭の異称 ☆川柳辞彙 屋敷が大手門下馬先にあり 松→松平の略で 徳川家の意☆川柳辞彙 屋敷の太鼓が江戸城まで?
7720 11-38
  久かたの 楽屋へ這入る 駿河舞
  久方の→天にかかる枕詞 久しぶりの 駿河舞→雅楽東遊の中の一つ 駿河有度浜に天人が下り舞っ た伝説による☆国大
7721 11-38
  燈そふと すれハむす子か 遣ひかけ
  燈そふ→とぼそう 息子が提灯を使ってこっそりどこかへ行ったらしい
7722 11-38
  穴の明く 家老か御意に 入にけり
  しっかり者でない家老の方が放蕩する殿にはありがたい
7723 11-38
  山の神 気に入る女 おこせにて
  おこせ→おこぜ 見目麗しくない女性のたとえ☆国大 女房の選んだ下女
7724 11-38
  瓜小屋の 鼾のうちの 足の跡
  昼寝中に瓜盗人が
7725 11-39
  松ほとに 絵師もうねつて 正うつし
  正うつし→本物そっくり ☆江語辞 原寸大の松を描くため
7726 11-39
  祭馬 とうふのやうな 汗をかき
  水から上げた豆腐のように汗びっしょり
7727 11-39
  又から鮭て おとすみとり子
  乾鮭→老婆の意☆国大 赤子をあやそうとして泣かす
7728 11-39
  合羽とり出す 阿野々・松原
  阿野々・→あのの 阿野→東海道の阿野一里塚 豊明にある
7729 11-39
  盃に 夜の祇園を 黒蒔絵
  ☆二十点 黒蒔絵→金粉などを使わず漆だけで文様をあらわした蒔絵 ☆国大 おしのびの祇園遊び?
7730 11-39
  馬市を 樗から見る 墨の袖
  樗→楝 おうち センダン 徒然草四十一段で賀茂の競馬を楝の木に登って見物しながら眠っている法師あり
7731 11-39
  夏の柳の 中に古鍔
  ???
7732 11-39
  さくらの中へ 鵜を売に来
  ???
7733 11-39
  砂利場て待と 掌へ書
  砂利場→山谷堀の三谷橋南 待ち合わせて吉原へ
7734 11-39
  曲水の 盃拾ふ 谷の寺
  曲水の宴の盃が流れで 谷→美濃谷汲華厳寺? ???
7735 11-39
  追剥の 嗅々・戻る 恋衣
  嗅々・→かぎかぎ 恋衣→恋をしている人の着ている衣 アベックから剥いだ
7736 11-39
  口切も 十夜も同し あみた堂
  口切→十月初めの炉開きに新茶の壷を開ける茶会 十夜→じゅうや 十月六日から十五日浄土宗の寺で十夜念仏
7737 11-39
  片々・ハ 入日の残る 矢大臣
  片々・→片方? かたかた 片一方☆江語辞 矢大臣→浅草寺随身門の神像 二神が左右に一神ずつ
7738 11-39
  日枝からも 土器投る 二日灸
  日枝→ひえ 比叡? 土器→かわらけ 二日灸→二月二日の灸 一年健康に暮らせるという☆国大 ???
7739 11-39
  うき艸に 年も流るゝ 女形
  年齢不詳でいつまでも若い
7740 11-39
  馬の喰出す 草川の笛
  ???
7741 11-39
  袖乞の 子を寐せ付る さいたつま
  袖乞→そでごい 乞食 ☆江語辞 寐せ付る→ねせつける さいたづま→いたどり 春もえ出た若草☆国大
7742 11-40
  鴛の序に 薬玉を書く
  鴛の序→おしのついで 薬玉→くすだま 端午の節句に掛ける香料の入った錦の袋☆国大 鴛鴦も薬玉も着物の模様か?
7743 11-40
  初瀬を近く 拝む十月
  初瀬山→歌枕 長谷寺の山 長谷寺は恋の祈願の寺 万葉集から求婚の意? 御会式で見合い?
7744 11-40
  初しくれ 過し恋艸 かこち草
  恋草→恋心のつのることのたとえ☆国大 かこち草→託種 恨んだり嘆いたりするもと☆国大 時雨に終わった恋を嘆く
7745 11-40
  又者の ものとハ見へぬ 淡路島
  ☆二十五点 又者→またもの 大名の家臣☆国大 淡路島は阿波徳島藩家老稲田九郎兵衛の領地☆江戸川柳で読む百人一首
7746 11-40
  狐の穴に 錆た剃刀
  狐→遊女の異称☆川柳辞彙 狐の穴→遊女の部屋? 手管で心中を迫る
7747 11-40
  道成寺 ふらぬも上手 花さかり
  三月上旬恒例の町入能で道成寺が演じられると雨が降るという 花見の季節に降らせないのも芸?
7748 11-40
  和琴に足の 玉たれへ向く
  ☆三十点 和琴→わごん 日本で上代から用いられた大和琴☆川柳辞彙 玉垂→玉簾 美しいすだれ☆国大 源氏物語の源氏と玉鬘か


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