十四篇


誹諧武玉川私考ホームへ

【底本】 
  岩波文庫  誹諧武玉川(三) 山澤英雄校訂 岩波書店 1985

【凡例】
  通し番号 篇-丁
  (本文)
  (解説)

【注意】
  字・は字が底本通りでないことを示す
  ☆はコメントや引用
  江語辞→江戸語の辞典  国大→国語大辞典(小学館)

9031 14 -序3
   薄雲の 笑ひそもれて 郭公
   ☆歌仙 ☆国孚子歌仙→三十六句の連句の形式 郭公→ほととぎす 雲間?
9032 14 -序3
   いつか青葉に 葺・きかへる山
   葺・きかへる→ふきかえる 屋根の葺き替えのように
9033 14 -序3
   焼飯も 五里行旅の ちからにて
   焼飯→焼きむすび☆国大 五里行く旅→江戸からなら川崎大師あたりへの旅
9034 14 -序3
   嘶く時ハ 駒もやつはら
   嘶く→いななく やつばら→やつら 連中☆国大 扱いに困る?
9035 14 -序3
   いさよひハ きのふの月の うしろ付キ
   いざよい→十六夜の月の略 ☆国大 後付く→楊弓で矢が左へ寄る ☆江語辞 満月より遅れて昇る
9036 14 -序3
   酒と露とを 分る夕風
   ???
9037 14 -序3
   女良花 留た袂て なかりけり
   女良花→おみなえし 女や遊女の意 振袖の娘?新造?踊り子?
9038 14 -序3
   二口きいて 三ツめに逃け
   思わせぶりな娘を口説き
9039 14 -序3
   おもひ出し 〳〵降る 五月雨
   降ったり止んだり
9040 14 -序3
   奥歯にかゝる 名所旧跡
   まだ何か曰くがありそうですっきりしない
9041 14 -序3
   帆懸舟 見る間に雲と あちらこち
   あちらこちら→反対☆江語辞 舟と雲が反対に速く進む
9042 14 -序3
   うらの笘屋の 遅い夕飯
   笘屋→苫屋 とまや 苫葺きの粗末な小屋☆国大 浦の苫屋→定家の歌から淋しく見える意 遅くまで働いて
9043 14 -序3
   娵入て あたりの皃か 近くなり
   娵入て→よめいって 娘時代よりも近所付き合いが深くなる
9044 14 -序3
   半ハ結たる 櫛て櫛占
   半ハ結たる→なかばゆいたる 櫛占→くしうら 黄楊の櫛を持って辻に立ち通行人の言葉で吉凶を占う占い☆国大
9045 14 -序3
   商の とう〳〵たらり とうふうり
   商→あきない とう〳〵たらり→謡曲翁の冒頭の詞句 三番叟の異称 朝最初に現れる行商人 顔見世でも三番叟は早朝最初
9046 14 -序4
   三百石も もとハ竹斎
   竹斎→ちくさい 元和頃の仮名草子で薮医竹斎の道中記  やぶ医者の意☆国大 藪医者から立身?
9047 14 -序4
   両の手に 月と花とハ うまい物
   俳諧連句の月の常座と花の定座にも関係?
9048 14 -序4
   籔の一夜に 入るを楽しみ
   薮入りが楽しみ?
9049 14 -序4
   物いへは 人来〳〵と おとされて
   ☆折替り ☆紀逸 人来〳〵→ひとくひとく そんなこと云って誰かきますよ
9050 14 -序4
   六ツ折る指の 半分ハあや
   あや→表現上の技巧☆国大
9051 14 -序4
   いつの間に 三十日の闇を 喰覚え
   三十日→みそか 晦日は闇夜で夜這に好適
9052 14 -序4
   大和生れの 京を鵜て居る
   鵜で居る→呑み込んでいる 熟知している☆江語辞 奈良と京は近いので?
9053 14 -序4
   半衿か 少こゝろの とり〆り
   半衿→はんえり 襦袢の襟に重ねて掛ける襟汚れ防止のため毎回縫付ける 気持ちが締まる?
9054 14 -序4
   さゝのひとよハ 出女かもと
   ささ→酒? 出女→宿場遊女 出女を呼んで深酒?
9055 14 -序4
   たはこ入 胸の煙を ひねり分ケ
   心のもやもやを煙草で
9056 14 -序4
   異見の度に あつくなる耳
   耳が厚くなって効きにくく
9057 14 -序4
   若竹の 風をそらさぬ あいしらい
   あいしらい→あしらい 風になびかず真っ直ぐ育つ?
9058 14 -序4
   曲るとさひし 広徳寺前
   下谷広徳寺前の道 広徳寺前は門前町屋がなく生垣ばかりで淋しかった☆江戸文学地名辞典 あるいはまっすぐいけば上野山下で賑やかだが? ☆東都下谷絵図
9059 14 -序4
   あれ〳〵と 朔日ころの 薄月夜
   薄月夜→うすづきよ 薄月の出ている夜☆国大 薄月→薄雲にさえぎられてほのかに照らす月☆国大 指されても全然わからぬ
9060 14 -序4
   誉れは誉る 方へ向く稲
   刈る迄豊凶はわからないので青田を誉めるなというが
9061 14 -序4
   夕べ・気と 見へたる鹿の うつら〳〵
   夕べ・気→ゆうべけ残っている前夜の気分 情事の疲れや深酒の酔いなど☆国大 鹿聞の翌朝の鹿
9062 14 -序4
   今に机の 先に丸窓
   閑寂な庵を構えたい?
9063 14 -序5
   取る年に 手間隙入らす 老にけり
   年を取るのに努力は要らず
9064 14 -序5
   それにも狂哥 米の借合
   借合→かしあい曽呂利新左衛門? ???
9065 14 -序5
   咲花も 雪と見る日ハ 物淋し
   眺める人の気分によって
9066 14 -序5
   一折分けて 百にとり〳〵
   花見の折詰を大勢で分ける?
9067 14 -1
   跨く程 日陰ハ出来て 鰺の声
   ☆知美之為美 跨ぐ→またぐ 新鮮さが生命の夕鰺売り 売り歩くにつれ日が傾いていく
9068 14 -1
   かつかれて 爰にも十日 二十日艸
   かつぐ→誘拐する 爰→ここ 二十日艸→牡丹 見せにまわる
9069 14 -1
   鼠につかふ 関守の棒
   暇な関守
9070 14 -1
   若党連れて 尼なれぬ尼
   若党→武家屋敷の雑用をする身分の低い家来 中間の上 ☆江語辞 若侍出家したばかりの奥方?
9071 14 -1
   隠居所を ゑひす紙程 継足て
   恵比須紙→紙を重ねて裁つ時角が折れ込んで裁ち残しになったもの☆国大 継足て→つぎたしてそんな形
9072 14 -1
   年忘 さらに師走を よせつけす
   年忘→忘年会 さらに→まったく☆国大 全然歳末の雰囲気でない
9073 14 -1
   ある時ハ さし味へかける まくら蚊屋
   さし味→刺身 まくら蚊屋→小児用の蚊屋蝿除け
9074 14 -1
   荒し志賀に 昔なからの 掃部様
   荒い→荒れはてている☆国大 志賀→志賀の都 掃部→かもん宮中の掃除や設営を司る掃部寮の職員☆国大 忠度の山桜の歌? ???
9075 14 -1
   籔入の 少し笑て 物を喰ひ
   籔入→薮入 久しぶりの実家でぎこちない
9076 14 -1
   三日居て 都に倦る 露しくれ
   倦る→あきる 露時雨→晩秋の時雨のような雨 時雨のように露がおりること☆国大 雨で京見物できず?
9077 14 -1
   ひとり行 焔广参か ほんの事
   焔广→閻魔 薮入の斎日の本来の過し方
9078 14 -1
   旦那の留守ハ 物の入る留守
   入る→要る 旦那の留守に妻が贅沢?
9079 14 -1
   公事工む 人の見て居る 雲の峰
   公事→くじ 訴訟 工む→たくみ 雲の峰→入道雲 よしやるぞ あるいは故郷の天候を気にかける?
9080 14 -1
   仕付て遣るに 売やうに泣
   仕付け糸を付けているだけなのにまるで売られるかのように泣く
9081 14 -1
   紺屋丁 きのふの虹に なふらるゝ
   紺屋町→神田鍛冶町一丁目の東 紺屋が集まっていた 俄雨で大騒ぎして干した布を取り込む
9082 14 -1
   一畳釣リと 取かへる蚊屋
   独り身になって小さい蚊屋に ?
9083 14 -1
   世をしら箸て 喰か本望
   しらはし→白木の箸☆江語辞 喰か→くうが 食事に招待された時のようにあるいは 神様へのお供えのように?
9084 14 -2
   椎の木を 夕べ・ハ右に 見し物を
   猪牙舟で吉原から帰る 隅田川沿いの椎の木屋敷は左側に見える
9085 14 -2
   きれ〳〵に 息をつくはの 山おろし
   息を筑波の
9086 14 -2
   朝皃の 二ツ咲く日ハ 欲かなし
   自己主張が少ない 利休の朝顔は一輪だったが
9087 14 -2
   人の子を 吸かうやくに 借て行
   吸膏薬→すいごうやく 吸出膏薬 腫物の膿を吸い出すためにはる膏薬☆国大 借て行→かりていく? 話しの種に赤ん坊を?
9088 14 -2
   二度添ハ 口を明せぬ 雪の事
   二度添→にどぞい 後妻 ☆国大 口を開かす→相手にものを言わせる☆国大 雪の登楼に文句を云わせない?
9089 14 -2
   はづす夜の はしめ也けり 御祓川
   外す→その場を離れる 約束を違える すっぽかす ☆江語辞 御祓川→みそぎがわ 六月晦日の夏越の祓い 橋場神明参詣後に吉原へ?
9090 14 -2
   蔵と〳〵に はさむ売蔵
   商売に最適の盛業中の物件
9091 14 -2
   銀杏を拾ふ 片意地な皃
   銀杏→いちょう 臭いのを我慢してぎんなんを拾う
9092 14 -2
   升かなかれて しろい住吉
   摂津住吉大社の九月十三日の神事宝の市 升市ともいい升が売られた 雨で市が中止になって淋しい?
9093 14 -2
   異見言ふ 人の来るにも 鳥の陰
   鳥影→鳥の飛ぶ影 鳥の姿 ☆国大 障子の鳥影は来客の前兆☆江戸文学俗信辞典
9094 14 -2
   極楽へ 行くとあはたの 明らめて
   明らめて→あきらめて? 尼さんになる?
9095 14 -2
   旅衣 夜な〳〵白き わらそうり
   明日履く新しい草履を毎夜準備する? あるいは出女が来る?
9096 14 -2
   木からしに 浴油の僧の おそろしき
   浴油→よくゆ 待乳山聖天 聖天像に香油をかけ供養 熱した油が飛んで危ない
9097 14 -2
   岩橋も 手前てかける そうり取
   岩橋→一言主神が夜造る? 草履取→武家などで主人の草履を持ち供をする下僕 ???
9098 14 -2
   紙燭さへ 腹の立時 かたく出来
   紙燭→紙縒製の照明具 こよりすぎて
9099 14 -2
   悋気する 女房の前へ かたつふり
   殻にこもってるなよ あるいは角出したもの同士
9100 14 -2
   かけ込んた日ハ 咳をこらへる
   松ヶ岡東慶寺へ駆け込み 追っ手にみつかるかと
9101 14 -2
   気を兼て 人に言せる 紺屋形
   気を兼ねる→気がねをする ☆国大 紺屋形→こんやかた  紺屋の染め模様の見本帳 好みを自分の口で言えず
9102 14 -3
   浅草て 口過にする さよ衣
   口過→くちすぎ なりわい ☆国大 小夜衣→さよごろも 女性の不倫の意☆寂然法師の歌から 浅草寺の二十軒茶屋か楊枝見世か
9103 14 -3
   よみさして 真皃に成し 若旦那
   真皃→まがお 遊廓居続けの所へ手紙が 勘当か大旦那が危篤か
9104 14 -3
   淋しさを 拾ひ集て 口小言
   淋しいから小言が多くなる姑
9105 14 -3
   借れは取られ 借せはよこさす 冬籠
   冬籠→冬の寒い間活動をやめ家にこもること☆国大 借りた金は徴収され貸した金は返って来ず嫌になって
9106 14 -3
   筒井筒 申合セて 声替り
   幼馴染みが同時に変声期を迎える
9107 14 -3
   去られて見れは 負て居る筈
   去られる→離縁される ???
9108 14 -3
   添ふ迄に あたらぬ物欤 神の罪
   添う→夫婦になる☆国大 欤→歟 か 過去の悪行がばれぬかと
9109 14 -3
   聟へ譲て 伊勢て元日
   大旦那が隠居して伊勢へ戻る
9110 14 -3
   とこやらか くやしそうなる 大鼓
   大鼓→おおつづみ そんな感じ? ???
9111 14 -3
   独子ハ 馬鹿て育て 仕廻けり
   独子→ひとりご  ☆そのまんま
9112 14 -3
   入相に 質を置く日の 面白キ
   入相→いりあい 日没の鐘 質屋へ寄ってから吉原へ
9113 14 -3
   桐一葉 やりても握る 天の川
   桐→小判か二朱判の意 七夕の紋日を仕舞った客から貰った
9114 14 -3
   後の追人に 女房の声
   追人→おって 亭主が女と駆け落ち?
9115 14 -3
   来る人か 来ぬと見へたる 針仕事
   待ち人が来ず手持ち無沙汰で針仕事を あるいは縫い方が荒っぽい?
9116 14 -3
   須广のさくらの 今にうしろ手
   須广→須磨 うしろ手→両手を背中にまわすこと☆国大 須磨寺の若木の桜? 一枝を伐らば一指を剪るべしと弁慶の制札が今でも怖い
9117 14 -3
   精進日 七ツハ人に うまからせ
   七ツ→ここは午後四時頃 うまい→快い☆江語辞 精進落ちは暮六ツなのでもう少しの辛抱
9118 14 -3
   駕て来て 見ても淋しき 幼顔
   幼顔→おさながお 幼い時の顔つき 幼児の顔☆国大 女衒に買われた娘?
9119 14 -3
   女房の 事の發りハ 役者附
   發り→おこり 役者附→芝居番附の一種で座附役者の半身像を並べ一枚摺にしたもの☆川柳辞彙 芝居狂いのきっかけ
9120 14 -4
   次第に膳の 高くなる妾
   男の子を産んで出世
9121 14 -4
   一夜寐て 見れハ尊き かさり藁
   飾藁→正月門口などに飾る藁の作り物☆国大 飾った時はさほどでもないが翌朝見るとなかなか立派
9122 14 -4
   見せる度 娘の顔に 疵かつき
   箱入り娘の父親の言?
9123 14 -4
   五十を越スと 殖る毒断
   毒断→どくだて 病気に毒となる飲食物を一切飲食しないこと☆江語辞 何かと避けたいことが殖え
9124 14 -4
   薄〳〵ハ 母も合点て 夕紅葉
   妊娠が知れて頬を赤らめる?
9125 14 -4
   内儀か横に なると日飪
   内儀→町家の妻の敬称☆国大 日飪→日蝕? 働き者の内儀には滅多に無いこと あるいは家の中が暗くなる?
9126 14 -4
   医者の口 からも折〳〵 毒か出る
   医者の言葉でも病状が悪化
9127 14 -4
   女房の切て 廻るほた餅
   ???
9128 14 -4
   そう〳〵ハ うそも付れぬ 山帰来
   山帰来→さんきらい 梅毒の薬 自分が使うとは知られたくないが鼻声で知れる
9129 14 -4
   星の降る 夜ハ辛崎も 松はかり
   近江八景の唐崎名物 夜雨はなし 一つ松だけ
9130 14 -4
   芝居見た 日から形気か 軽く也
   形気→かたぎ 性質 気だて ☆国大 芝居に感化されて
9131 14 -4
   かさゝきや 地にある橋ハ 今戸橋
   天上には七夕の鵲の橋 地上には吉原行きの今戸橋
9132 14 -4
   城下から来る 翌の献立
   翌→あす 江戸城の献立が河岸から?
9133 14 -4
   ほの〳〵と しらめは消る 音頭取
   夜通しの踊りが終わり
9134 14 -4
   酒になる 事のはしめハ 都鳥
   墨田川は浅草並木町山屋の酒の銘柄 都鳥は隅田川の故事
9135 14 -4
   京の水ても あのやうな皃
   優雅な京の育ちでも
9136 14 -4
   矢橋てくれて 三里行僧
   矢橋→やばせ 近江八景矢橋の帰帆 大津の石場まで陸路二里 矢橋舟に乗れず陸路瀬田廻りを?
9137 14 -4
   女気の 心にかゝる 水浅黄
   女気→おんなぎ 女が自然にもっている女らしい気持ち ☆国大 水浅黄→薄い浅葱色囚人の仕着せの色☆江語辞 かわいそうにと?
9138 14 -5
   ちかつきを 戻すも一ツ 計事
   近付→親しくなること☆国大 計事→はかりごと 人間関係修復に一計
9139 14 -5
   面白い 蓋を明れは 伝受事
   蓋を開ける→物事を開始する ☆江語辞 伝受事→でんじゅごと 遊びの指南?
9140 14 -5
   屏風から 覗た皃ハ はつれ雪
   はずれ雪→雪紋の一つまん丸に六ヶ所少し切れが入っている 期待の男の子でなかった?
9141 14 -5
   関の小まんハ 馬もあやまる
   関の小万→人形浄瑠璃恋女房染分手綱に出る遊女 仇討ちの関の小万はもっと後 ???
9142 14 -5
   囲れの 手を初に見る 放し鳥
   囲れ→僧の隠し妾 放し鳥→放生の鳥☆江語辞 僧が死んで僧の飼っていた鳥を供養に放つ
9143 14 -5
   ものゝふさむく 上野下来
   侍が上野山下のけころ通い? あるいは下谷稲荷あたりか?
9144 14 -5
   女房も 此頃齅て 火焚鳥
   齅て→嗅いで 嗅ぐ→察知する☆江語辞 火焚鳥→ひたきどり 背や翅が赤い小禽 悋気の火を燃やす?
9145 14 -5
   真實の 異見雨夜を ねらひ来
   家に居るところをとっくりと説教
9146 14 -5
   夕立や 鳥居洗へは 久米之介
   久米之介→心中萬年草の成田久米之介☆川柳辞彙 高野山の寺小性が女人堂で心中 ???
9147 14 -5
   八重むくら 茂れる宿へ 日を算
   八重葎→繁茂している雑草☆ 国大 算→かぞえ 八重むぐらしげれる宿のさびしきに人こそ見えね秋は来にけり☆百人一首 借金取りが来る?
9148 14 -5
   辛崎へ 舟路て行ハ 遺恨なれ
   辛崎→唐崎の夜雨 一つ松行ハ→ゆくは 陸路でこそ情緒が
9149 14 -5
   絶景に 金遣ふへき 所なし
   そこに遊廓があるでもなし
9150 14 -5
   帯に似た 雲さへ解て いもせ山
   解て→とけて 妹背山→歌枕 妹山と背山 男女の道の比喩☆雑俳語辞典 山にかかる横雲が帯のよう
9151 14 -5
   魦釣に 拝れ給ふ 海晏寺
   魦釣→はぜつり 海晏寺→かいあんじ 品川の紅葉の名所 海上から遥拝
9152 14 -5
   献立を 咄してはかり うまからせ
   話すだけ
9153 14 -5
   うかれ女の ねせ物になる 糸切歯
   うかれ女→娼妓 ねせ物→使わないでしまっておくもの☆国大 針仕事はお針にまかせて
9154 14 -5
   川岸ハ 利口過たる 風かふき
   隅田川まで来て吉原へ行かずに帰るとか?
9155 14 -5
   かうやく張て 壱人淋しき
   独りでは背中に貼れぬ
9156 14 -6
   古寺や 歩行ハうこく 仏達
   歩行ハ→ありけば 床が揺れる
9157 14 -6
   山帰来 その科人を 恋しかり
   山帰来→さんきらい 梅毒の薬 科人→とがにん 罪人☆国大 病気のもとの女郎は恋しい
9158 14 -6
   頃日の 藝て向を 煩せ
   頃日→このごろ 下手な三味線か義太夫で近所迷惑
9159 14 -6
   人宿に 撰残さるゝ 干大根
   人宿→ひとやど 口入屋 ☆江語辞 撰残さるゝ→えりのこさるる 干大根→老人の異称☆川柳辞彙 若い女はすぐ奉公が決まるが
9160 14 -6
   二度めとハ 仲人くるみ しらま弓
   しらま弓→知らないの洒落 再婚とは仲人も知らなんだ
9161 14 -6
   かいとりの 了簡二ツ 袖畳
   かいとり→掻取 どてらの類や小袖の上に打ちかけて着る長い小袖様のもの☆江語辞 袖畳→そでだたみ 和服の略式の畳み方 ???
9162 14 -6
   去られた跡へ 届く染物
   去られた→離縁された 離縁された女房が頼んでおいた染物が離縁後に届く
9163 14 -6
   きのふ迄 化したやつを 薬喰
   狸汁
9164 14 -6
   うしろ帯 つゝき出されて 通夜静
   うしろ帯→若い女 素人女 通夜静→つやしずか 騒ぐ娘達は追い出されて 役者の通夜か?
9165 14 -6
   蚊屋のうちにて 重い娵の目
   娵→嫁 疲れて蚊屋に入ると眠くなる
9166 14 -6
   暖簾を 舌へ巻込む 八瀬の牛
   暖簾→のうれん 八瀬の牛→大原の黒木売りの牛? ???
9167 14 -6
   百性の 我年なから 馬鹿らしき
   百性→ひゃくしょう 苦労ばかりで年をとった
9168 14 -6
   御異見の 舌か長くて 鹿の声
   舌が長い→過言を吐く 大言壮語する☆江語辞 多弁である☆国大 説教が長くて鹿聞するような夜更けになってしまった
9169 14 -6
   気違を 引立て行 鳥羽縄手
   鳥羽縄手→とばなわて 京と伏見の間にある地名 徒然草第百九十五段の久我縄手の地蔵洗いか? 久我縄手は鳥羽作り道と山崎を結ぶ道
9170 14 -6
   八幡の使 仰向て立
   八幡→やわた 京都の石清水八幡宮 男山の上にあり坂を上がらねばならない
9171 14 -6
   念仏も 十日過てハ さよ千鳥
   小夜千鳥→夜中に鳴く千鳥 ☆国大 声が小さくなる?
9172 14 -6
   温石を焼く 老の院参
   温石→おんじゃく 焼き石を布に包んだ懐炉 院参→いんざん 院の御所へ参上すること☆国大 ☆そのまんまか
9173 14 -6
   釣リ方も 芦の丸屋へ 柏餅
   丸屋→まろや 芦の丸屋→葦で屋根をふいた粗末な小屋☆国大 ???
9174 14 -7
   道芝に 袖の引ツ付く 名代者
   道芝→道案内をする者☆国大 袖→富くじ等の当たり籤の前後の番号 舞台の両脇☆国大 名代者→なだいもの 有名人 ? 役者に取り巻きが付く
9175 14 -7
   朝湯に洗ひ 落す吉原
   吉原からの朝帰り 湯へ寄って白粉の匂いを落とす
9176 14 -7
   質屋の憎く なる雲の峰
   雲の峰→入道雲 暑くなったのに単衣も蚊屋も質蔵の中
9177 14 -7
   反古斗 先てハためる いはて山
   反古斗→ほごばかり いはて山→歌では言わでを掛ける 言えぬ思いの反故の山
9178 14 -7
   手桶を見ると 聟の逃尻
   水祝い以来手桶が怖い
9179 14 -7
   梓弓 泣せた程ハ とれぬ也
   梓弓→巫女の口寄せ 遺族をどれだけ泣かせてもお礼は同じ
9180 14 -7
   くゝり戸へ 来て傘も しほれ草
   潜戸→門の脇の低く小さい戸 口傘をすぼめてくぐる
9181 14 -7
   うまい事 丁子頭へ 言ふくめ
   丁子頭→ちょうじがしら 灯心の燃えさしの塊 儲かる吉兆で丁子丁子吉丁子と唱える
9182 14 -7
   出ると惣身の 光る丸山
   ☆武十一・14 丸山→長崎の遊郭 異人が登楼 異人の服か?
9183 14 -7
   従弟とハ 続けと二人 置にくし
   親類とはいえ二人も居候は置けぬ?
9184 14 -7
   放し鳥 子の事はかり 言ふくめ
   放し鳥→放生の鳥☆江語辞 追善に放す鳥 親よりも亡くなった子の追善
9185 14 -7
   三人寄れは 三分入る智恵
   入る→要る 三人寄れば吉原行き
9186 14 -7
   若衆にハ 少摺れ合ふ 草り取
   若衆→男色の弟分 草履取→武家で主人の草履を持つ供 若衆と念者の侍の草履取の仲が悪い
9187 14 -7
   入相に 後家ハ淋しい 物を買ふ
   入相→いりあい 日没の鐘 前は二人分の食材を
9188 14 -7
   さつと見て 禿の飽る 感応寺
   禿→かむろ 感応寺→谷中感応寺 いろは茶屋や笠森稲荷も禿には興味なし
9189 14 -7
   御妾の 手形流るゝ 御祓河
   手形→契約書 筆跡☆国大 御祓河→みそぎがわ 下賀茂神社六月祓 糺川に五十串の御幣を立て取り合う ???
9190 14 -7
   投付る やうに淡路へ 友千鳥
   友千鳥→群れ集まっている千鳥☆国大 淡路島通う千鳥の鳴く声に幾夜寝覚めぬ須磨の関守☆百人一首 小石をばらまくように
9191 14 -7
   追ふと又来る 金色の蝿
   ☆そのまんま 五月蝿い
9192 14 -8
   姑ハ 蚊やりの中を 又いふし
   煙の中で煙たい小言を云う 煙ったい→けぶったい うるさいと思う☆江語辞
9193 14 -8
   恋風ハ 面の皮迄 むいて行
   恋風→恋の切なさが身にしみわたるのを風にたとえた語 ☆国大 厚い面の皮すなわち図々しさも影をひそめ
9194 14 -8
   蜂の巣へ 友遠方ゟ 指図して
   ゟ→より そっちに蜂の巣!
9195 14 -8
   諸ともに きゆへき人の うつくしき
   逢ことも露の命ももろともにこよひばかりやかぎりなるらむ☆平家物語 三位中将平重衡 民部卿入道親範の娘へ
9196 14 -8
   心して 見れはおかしき 十二月
   心する→気をつける☆国大 金策に走る様子を仔細に眺めれば
9197 14 -8
   似たといふ 皃を見たかる 言名付
   会ったことのない言名付 どんな顔か知りたい
9198 14 -8
   僧正の 御意に入る物 皆淋し
   色気のある物ではない
9199 14 -8
   人の女房も 誉にくい物
   気があると思われても困るし
9200 14 -8
   口惜しく 十日ハ留守の 廿日艸
   廿日艸→はつかぐさ 牡丹花開花落二十日☆白楽天 牡丹は二十日間の寿命という
9201 14 -8
   朔日ハ あまり律義な 初しくれ
   十月は神無月とも時雨月ともいう 時雨月になった途端に
9202 14 -8
   芝居の留守に 日のあたる尼
   留守→留守番☆江語辞 尼さんに留守番を頼む?
9203 14 -8
   おとり子か 寐れは日待も うつの山
   日待→ひまち 徹夜して日の出を待って拝む行事 後に娯楽本位となる うつの山→ 東海道宇津山 人に逢わぬ意☆雑俳語辞典 人が減る
9204 14 -8
   五月雨 雨戸のこゝろ 替りけり
   同じ雨音でも趣きがある
9205 14 -8
   母かあまさに 筒井筒也
   筒井筒→伊勢物語から男女の幼な友達の意☆川柳辞彙 その幼な友達が長じて恋仲に 母の監視が甘かった
9206 14 -8
   うは玉に 風のさゝやく 枯柏
   うは玉→ぬばたま ぬばたまのは黒などの枕詞 柏は枯葉が落ちずに残るので夜風に音がする
9207 14 -8
   垂尼の 撫てハ我を 淋しかり
   垂尼→たれあま 髪を肩のあたりで切り揃えて垂らしておく尼☆江語辞 自慢の長い髪を惜しむ
9208 14 -8
   仕付苧ハ 又唇へ 立かへり
   仕付苧→しつけそ 新調の衣服の仕立が狂わぬように縁を粗く縫っておく麻糸☆江語辞 縫う時も外す時も口で
9209 14 -8
   十二段 めつたにうまく 夜か更る
   十二段→浄瑠璃十二段の略語り物で後に義太夫などに発展☆川柳辞彙 滅多に→やたらと☆江語辞 浄瑠璃姫と牛若丸の一夜?
9210 14 -9
   公事の相手に 凄い山伏
   公事→訴訟 凄い→気味悪い 相手に怪しい助っ人が
9211 14 -9
   了簡の ひつくり返る 東山
   京の東山は眼下に祇園が
9212 14 -9
   衣の礼に ありく狼
   狼→転んだら喰おうという送り狼?☆川柳辞彙 狼藉者が出家で許して貰えた礼に廻る? 「狼に衣」☆諺 残忍無慈悲な人間がうわべだけ柔和らしく装うこと☆俳説ことわざ辞典
9213 14 -9
   赤坂と 御油の落馬も 女良花
   御油赤坂→東海道の宿 女良花→遊女 旅で失敗するのも
9214 14 -9
   姉に迄 切れて帰た わりくとき
   割口説→こまごまと訳を説きのべること☆江語辞 さんざん訳を話した挙句
9215 14 -9
   五六年 立は小指も 哀也
   心中立てに指を切ったが年月が経ってみると
9216 14 -9
   分別ハ 替へて見程 廻り遠
   分別→物事の善悪損得を考えること 見程→みるほど 廻り遠い→遠回りである☆国大 損得をあれこれ迷っても結局遠回りなだけ
9217 14 -9
   めくら馬 売付た夜の 面白さ
   悪徳馬喰?
9218 14 -9
   残所 なけれハ先か 法華にて
   残所→のこるとこ 縁談に全く支障がないと思ったら宗旨違い
9219 14 -9
   山鳥と あきらめて寐 伊勢の留守
   あしひきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む☆百人一首 伊勢詣りの留守の長々し夜を
9220 14 -9
   母の気を ちいさく思ふ しら拍子
   踊り子は付き添う母の気持を軽くみる?
9221 14 -9
   捨きらぬ 青い庇に 種ふくへ
   庇→ひさし 種ふくべ→種瓢種子をとるために残しておく瓢箪の実☆国大 ???
9222 14 -9
   くる〳〵と 我尾に廻る 風の鶏
   鶏が自分の尾を追いかける?
9223 14 -9
   女房の 喰ふ気に成と 秋鰹
   初鰹どころか安く成り果ててから買う
9224 14 -9
   振袖の 袖たけ立て 真を切
   真を切る→芯を切る意か? 袖の長さだけ膝立ちして照明具の芯を切り明るくする 「振袖の帯たけ立て真を切」☆武十一・11
9225 14 -9
   留守かと問へは 口へ手のひら
   居るのよ 黙って!
9226 14 -9
   有ふれた 節を植行 早苗唄
   植行→うえゆく 早苗唄→さなえうた 田植唄 毎年同じ唄を唄いながら田植を
9227 14 -9
   妾を陽気て 包む吉日
   妾→しょう? 男の子を産んでお祝い?
9228 14 -10
   隙そうな 人の立舞ふ 神無月
   神楽巫女も暇
9229 14 -10
   茶碗にハ 追立らるゝ 八重かすみ
   八重霞→幾重にもたちこめる霞☆国大 ???
9230 14 -10
   分ンといふ 字か蓋をして いはて山
   分→身の程 力量☆国大 岩手山→いはでにかかる枕詞☆国大 身の程を考えて言わなかった
9231 14 -10
   一恥かいて 加田へよめ入
   加田→かだ 紀州加太? 軒先に櫂が立っていると家に入らない☆川柳辞彙
9232 14 -10
   ゑり出ス反古に けふも泣せる
   反古→ほご 書き損じて不要となった紙☆国大 死んだ娘の書き損じの手紙とか
9233 14 -10
   ぢれる妾の 高く釣蚊屋
   旦那が這入りやすいように?
9234 14 -10
   骨の供して 黒谷の露
   黒谷→京の新黒谷☆川柳辞彙 新黒谷→しんくろだに 金戒光明寺 法然の専修念仏の道場 熊谷直実が出家 ???
9235 14 -10
   師走さハかす 楽の弟子入
   楽→がく 歌舞伎下座音楽の一つ☆江語辞 あるいは楽の伴奏の三味線の手☆江語辞 人が忙しい時に
9236 14 -10
   金をころして 遣ふ伴頭
   伴頭→ばんとう 番頭 遊ばない番頭
9237 14 -10
   くりよく瀬多を わたる夕くれ
   くり→繰 察し☆国大 瀬多→瀬田 近江八景の一つ 瀬田の夕照 首尾よく瀬田の唐橋を渡って
9238 14 -10
   詫言に 来そうな人か 二三人
   両親と伯父?
9239 14 -10
   狂言師 人を呵るに 損な皃
   ひょうきんな顔なので?
9240 14 -10
   喰懸を 無理にとられて 面白き
c 9240 14 -10
   喰懸を 無理にとられて 面白き
   喰懸→くいかけ 吉原で貰い引きされて強がり ?
9241 14 -10
   筆に成 ても棹鹿の 只ハ居す
   棹鹿→さおしか さ牡鹿? 牡鹿☆国大 居す→いず 鹿毛の筆は毛が折れやすい? 筆に成ても鹿のいたつら☆武四・21
9242 14 -10
   分か来て 楔に這入る しのふ山
   分→ぶん 楔→くさび 信夫山→夜這関係 ???
9243 14 -10
   戸まとひと いふ言訳も 古いやつ
   戸惑→寝ぼけて方角がわからなくなること 入るべき家がわからずまごつくこと☆国大 夜這か空き巣の失敗の言い訳
9244 14 -10
   口も口 手も手と言れ さよ衣
   小夜衣→女性の不倫の意 口が可愛い手が素敵などと口説かれて
9245 14 -10
   きのふの中を 直ス元日
   中→仲 大晦日までは借金の仇同士
9246 14 -11
   躍から 夜を着くつ すみなの川
   躍→おどり 着くつす→きくずす みなの川→恋の意 踊りの輪から抜け出し?
9247 14 -11
   憎まれる 程聞ケかしの ほくゑ経
   聞ケかし→きけがし かし→念押し強調の意☆国大 ほくゑ経→法華経 ほっけきょう お題目が賑やか過ぎて
9248 14 -11
   似た皃を 見たかる皃へ 焚付る
   焚付る→そそのかす けしかける☆江語辞 結婚相手が誰に似ているのか知りたい娘を冷やかす
9249 14 -11
   まよひ子と いふ年てない 娘也
   まよひ子→迷子 逃げて来た娘
9250 14 -11
   心ない 枕の多い 松ヶ岡
   心ない→俗世から離れ喜怒哀楽の情を持たないさま☆国大 情趣を解しない☆国大 駆け込み寺なので
9251 14 -11
   淋しい指て 年忌算る
   年忌→ねんき 人の死後年毎にまわってくる当月当日☆江語辞 算る→かぞえる 指折り数えるのも物淋しい
9252 14 -11
   せしめんとこそ 立るにし木ゝ
   にし木ゝ→錦木 嫁に貰いたければこそ何本でも
9253 14 -11
   京の異見て 手代さひしき
   京の本店から懲戒指示が来てつけのぼせになる
9254 14 -11
   松風の かゆい所へ しはく吹
   かゆい→皮膚を掻きたくなる物足りない☆江語辞 吹いて欲しい場面でちょっとしか吹かない?
9255 14 -11
   袖留て 四五日せまい かゝみ山
   鏡山→近江国の歌枕 鏡の意 振袖と違って慣れぬ間は袖口が狭く感じて?
9256 14 -11
   女気の 常にして居る 尾長鳥
   女気→おんなぎ 女が自然にもっている女らしい気持ち ☆国大 尾長鳥→鳴くと雨が降る 女性は涙もろい?
9257 14 -11
   引汐に 江口の君の 気かもめる
   昔の江口の遊女は舟で出る ☆謡曲江口
9258 14 -11
   上ミ十五日 ほんの御妾
   上→かみ 一ヶ月の初めの ☆国大 ほんの→本当の☆江語辞 他の十五日は本妻のところへ
9259 14 -11
   おとこ坂から つめりはしめる
   男坂→神仏参道の二筋の道のうち表の急な坂道 つめる→つねる☆江語辞 男から女への求愛でつねる
9260 14 -11
   とぢ蓋さかす かつらきの神
   葛城の神→一言主の神 見目麗しくない 割れ鍋に綴じ蓋の似合いの相手が居ないかと
9261 14 -11
   当座ハ声の 低い元ふく
   元ふく→元服 気が緩むとまだ子供の声
9262 14 -11
   二度ひつくりも 金のした事
   二度びっくり 持参嫁を貰って?
9263 14 -11
   空を見上て養生をする
   ???
9264 14 -12
   九十の賀迄 医者の恩なし
   医者いらずで長生き
9265 14 -12
   隠して恋と 知れる精進
   恋の願掛け?
9266 14 -12
   折〳〵ハ 他人の知れる 垣隣
   垣隣→かきどなり 垣根をへだてた隣り☆国大 よその家の内情が知れる?
9267 14 -12
   錦木ハ 女衒に買れ 鼻をあく
   女衒→ぜげん 鼻を明く→だしぬかれる 失望する☆江語辞 求婚していた娘が売られてしまい
9268 14 -12
   赤合羽 三人寄れハ 銭の音
   赤合羽→武家の下僕が雨中に着用 中間の異称☆江語辞 博打
9269 14 -12
   与所の起請を きたなけに見
   与所→よそ 他の遊里の起請文 余所の起請のきたなかられる ☆武五・12
9270 14 -12
   二筋息の 届くともし火
   二人で明かりを消して
9271 14 -12
   観音も 二人寐のハ 御好キにて
   寐のハ→ねるのは ???
9272 14 -12
   皃つくて 借た物さへ 延たかり
   顔ずく→世間に対する信用を有効に使うこと☆国大 延たかり→のべたがり 延べる→期日を先にする☆国大 返せぬものは返せぬ
9273 14 -12
   妾に里か 出来て様付け
   様付け→さまづけ 様という敬称を付けて呼ぶこと☆江語辞 出所不明の御妾をしかるべき家の養女にして?
9274 14 -12
   振向は 笑ふ捨子の 哀にて
   振向は→ふりむけば ☆そのまんま
9275 14 -12
   虎かなみたに もりをあてかふ
   虎が雨? 家康?
9276 14 -12
   にくし〳〵も 又見たくなる
   憎いが逢いたい
9277 14 -12
   何事か 山伏はかり さくら狩
   三月の順の峯入 熊野から吉野へ抜ける 吉野の桜から山伏が大挙出現
9278 14 -12
   仏の鼻の 光る十月
   神無月で仏の天下だが時雨月で濡れる
9279 14 -12
   妹ハ 手向の水を あらく向ケ
   手向→たむけ 水を手向ける→だます☆江語辞
9280 14 -12
   おとり子の 駕先に付く 母者人
   母者人→ははじゃひと 母 ☆江語辞 踊り子のマネージャーとして母が付き添う
9281 14 -12
   蟬丸の よまれた坂に 息か切れ
   これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関 ☆蟬丸
9282 14 -13
   遺言の 壺へ泪の こほれ萩
   遺産の金銭の入った壺?
9283 14 -13
   怠らす 膳の向に 緋ちりめん
   緋縮緬→玄人女の腰巻 女房になっても色気を失わず ?
9284 14 -13
   待わひの 夜ハもへくさい 風かふき
   もへくさい→燃え臭い? 亭主を待って悋気の炎が
9285 14 -13
   器量にハ 望なきとの うそはかり
   仲人の話 問題なのは器量だけでない
9286 14 -13
   むす子の智恵に 肥る御袋
   肥る→ふとる 放蕩息子の悪智恵のストレスで?
9287 14 -13
   半分ハ 百度参を 供にさせ
   自分では半分だけ
9288 14 -13
   這入るハ肴 出るハ赤飯
   何かのお祝い 魚を貰い赤飯を配る
9289 14 -13
   夜搗臼も かつらきの神
   夜搗臼→よるつくうす 葛城の神→役の行者に岩橋を造らされるが醜いので夜活動した☆江戸文学俗信辞典 見目麗しくない女房 バレ
9290 14 -13
   隣へ物の 知れる六月
   土用干で財産の詳細が近所に
9291 14 -13
   三十日の風ハ 小間割にふく
   三十日→みそか 小間割→こまわり 小間→こまかいさま☆国大 掛取が小額ずつ何人も来る?
9292 14 -13
   椀て呑む うらの笘屋の 風薬
   笘屋→苫屋 とまや 浦の苫屋→ 定家の歌から淋しく見える意 風薬→酒の異称☆国大 茶碗酒
9293 14 -13
   いはて山 いく度袖を 皃へ当
   岩手山→いわでの意 口に出さず忍耐
9294 14 -13
   大しんへ とう〳〵たゝる 物着星
   大しん→大尽 だいじん 物着星→ものきぼし 爪に白斑点が出ると衣類が新調できるという 花魁にねだられて
9295 14 -13
   人の善悪 我身の欲を かゝみ山
   善悪→さが 鏡山→ここでは鏡の意か 欲を反映して行動する
9296 14 -13
   ねりさんこ珠に 毒のない人
   珊瑚珠→さんごじゅ 毒気に触れると砕けるという☆江戸文学俗信辞典 練り物のまがい珊瑚と毒にも薬にもならぬ人
9297 14 -13
   あやまり有か 低い口上
   小声で話し出すので謝り事か
9298 14 -13
   送り別れて 旅に實か入
   實か入→みがいる 一心になる☆江語辞 旅送りの人達と別れてからが本当の旅
9299 14 -13
   異見をハ 人に言せて 譲り物
   ???
9300 14 -14
   餅を〳〵と 母の正直
   牡丹餅を嫁に貰えば持参金が
9301 14 -14
   遠くて近い 妾の分別
   遠くて近きは男女の中☆諺をきかす 分別が無いようで案外ある?
9302 14 -14
   しら紙の つんとして居 三寸の口
   三寸→みき お神酒徳利のさまか
9303 14 -14
   盃を 鶏のくハへる 春の岸
   隅田川河畔の花見? ???
9304 14 -14
   太刀持はかり 廻る反橋
   向こうから見ると太刀持の太刀だけが見える?
9305 14 -14
   二三日 惣身のかゆい 柏の葉
   柏餅用の葉を取りに木登りして虫が?
9306 14 -14
   おもしろく 酔程妻の つたなくて
   つたない→劣っている☆国大 玄人女には及ばぬ
9307 14 -14
   音頭ぬからす 突袖て来
   突袖→つきそで 袖の中に手を入れて袂の先を前方に突き出すこと 音頭取りが? ???
9308 14 -14
   尾長鳥 五月の空に せりを付ケ
   尾長鳥→鳴くと雨が降る 迫り付く→迫り近づく☆国大 五月雨を誘うように鳴く?
9309 14 -14
   一思案して ひらく草の戸
   草の戸→粗末なわびしい住まい☆国大 中で博打でもと?
9310 14 -14
   千とりと中の わるい関守
   淡路島かよふ千鳥のなく声にいく夜寝ざめぬ須磨の関守 ☆源兼昌 百人一首安眠妨害
9311 14 -14
   行〳〵ハ ほた餅くさく うつくしき
   牡丹餅→見目麗しくない女性 可愛い子供だが娘に成長した姿を想像するとどうも
9312 14 -14
   供ハ向ふへ 廻る程ヶ谷
   程ヶ谷→東海道保土ヶ谷宿 留め女 足弱の一泊目 ご主人の横には留め女が
9313 14 -14
   梛の葉に 今玉虫の うしろ向
   梛→なぎ 梛の葉→鏡の裏や守り袋に入れ魔除けとする ☆国大 夫婦中にもよいと 伊豆権現の梛の神木が有名☆江戸文学俗信辞典 玉虫→白粉匣に入れると人に愛されるという☆江語辞 ???
9314 14 -14
   雪折も 千鳥も寐入 はなの物
   雪折の音も千鳥の声も床に入ってすぐの風流
9315 14 -14
   がてんする気・の 膝に前髪
   前髪→少年や婦人の額の上の髪を別に束ねたもの☆国大 口説かれた若衆?
9316 14 -14
   朝皃の 實の喰れぬて 哀也
   喰れぬて→くわれぬで 夕顔の実は食べられるが
9317 14 -14
   肩一ツ すへる気・もなし 鉢たゝき
   すべる→退出する?☆国大 鉢たたき→年末に鉦や瓢箪を叩き勧進する空也僧 ???
9318 14 -15
   酒くさい 人を誉れは 突あたり
   よろけ掛かって
9319 14 -15
   仲人の 命限りに うそをつき
   持参金の一割貰えるので縁談をまとめようと必死
9320 14 -15
   後添の 仏いぢりも こはい奴
   仏いぢり→たえず寺参りをしたり香華を供えたりして仏を拝むのを嘲っていう語☆江語辞 先妻を拝むのも下心がありそうで
9321 14 -15
   程ヶ谷ハ 戸塚の夜を 抱留ル
   戸塚宿の前で保土ヶ谷宿の留め女に捕まる 東海道は通常戸塚が一泊目だが
9322 14 -15
   買て庵主の 笑れる棒
   貧乏で戸締まりも不要 使い道がない
9323 14 -15
   娘自慢て ほうる錦木
   錦木→男が女の家の門に立てる求愛の標で取り込むと受諾 可愛い娘を嫁になんぞやれぬ
9324 14 -15
   引かふとすれハ 笠に着ル袖
   袖を引かれそうになって袖笠にして防御 袖笠→袖を笠がわりにする
9325 14 -15
   青梅の かたまる頃に 引はつし
   引っぱずす→はずすの強め☆ 江語辞 夜食の固まりすなわち子が出来て酸っぱい物が欲しくなり青梅を取る?
9326 14 -15
   初雪か ふれは妾の あてこすり
   吉原へいくんでしょ
9327 14 -15
   出女の 僧に脊中て 請こたへ
   出女→宿場女郎☆江語辞 こっそり商談成立?
9328 14 -15
   気をかへて ゑひすに刻む 三枚目
   橋板の三枚目に大黒の像を刻み祭れば富貴になるという ☆江戸文学俗信辞典 たまには恵比寿に
9329 14 -15
   摺鉢の われた喧嘩・も 根なし草
   摺鉢→大盃? 根無草→根拠の無い物事☆国大 酒の上の喧嘩? あるいは摺鉢を濡れ雑巾をひいて固定せずに使い?
9330 14 -15
   僧に火を 焚せて上る 最上川
   ???
9331 14 -15
   庵崎へ 煙の通ふ くすり鍋
   庵崎→いおざき 向島の秋葉権現の辺という☆江戸名所図会 料亭多し 薬鍋→薬を煎じる鍋☆江語辞 はやく本復して向島の料亭に行きたい
9332 14 -15
   鎰裂の 詮義か事の 破れ口
   鎰裂→かぎざき 誰に繕って貰ったの?という話しから浮気がばれる
9333 14 -15
   その原や 伏屋に質を 置上て
   その原→吉原のことか? 伏屋→ふせや 地面に伏せたように軒が低く小さな家☆国大 貧乏人が質入れ尽くして通う?
9334 14 -15
   うそのない 人と成けり 鳥部山
   鳥部山→鳥辺山京の火葬場 墓地 鳥辺山最う嘘のない人に成 ☆武一・33 死んでしまえば
9335 14 -15
   籔入ハ 親子の中に かさる也
   籔入→薮入 飾る→外観をとりつくろう ☆国大 親子の間だが少し見栄を
9336 14 -16
   春もまた 蓑輪の雨の 御意に入
   何かにつけ吉原へ
9337 14 -16
   元服の 日ハ一門に 立て見せ
   裃姿を披露
9338 14 -16
   くらい所を ねめ廻ス婆〻
   くらい→筋が通らずあやしい ☆国大 遣手の詮議
9339 14 -16
   七夕を よく言ふ娘 おもしろし
   牽牛織女のロマンス
9340 14 -16
   縫ふにさへ うまい音する しゆすの帯
   うまい→情欲をそそられる☆ 江語辞 しゅす→繻子 なめらかな絹織物の一種☆国大 帯が解ける色っぽい音に似て
9341 14 -16
   東方朔に 習ふ焼物
   東方朔→前漢の文人 謡曲 焼物→焼魚 武帝との会食で食べ残しを袂に入れて持ち帰ったという
9342 14 -16
   聟入も 松明て来 いさハ川
   いさハ川→石和川 謡曲鵜飼 暗いと鵜飼の亡霊に遭うのが怖い?
9343 14 -16
   仲人か 通て先へ 皃をみせ
   縁談の相手を見せる合図
9344 14 -16
   物前に 油断のならぬ 鳥の影
   物前→ものまえ 盆暮五節句など贈答諸支払で忙しい日の二三日前☆江語辞 障子の鳥影は来客の前兆☆江戸文学俗信辞典 借金取りが来るかも
9345 14 -16
   親分の 皃と〳〵に かゝみ山
   親分→博徒の頭☆江語辞 挨拶でかがむ?
9346 14 -16
   傘を さす日ハさむし 柳原
   柳原→神田川南岸で土手を背に古着などの床見世が出る 柳原傘をさす日ハ淋しくて ☆武 十二・7  雨の日は客が少なくて?
9347 14 -16
   うかりし人を うまく詠る
   詠る→ながめる 観賞的に見る 何ごとにつけてか世をば厭はましうかりし人ぞ今はうれしき☆西行
9348 14 -16
   鎌くらて 物の見事に 年か寄
   松ヶ岡東慶寺に居る間に?
9349 14 -16
   金を喰ふ 町へ鳥居の 影かさし
   吉原の黒助稲荷とか?
9350 14 -16
   むすめの小言 半分ハ乳母
   小言→不平をいうこと☆国大 娘としては乳母が邪魔で
9351 14 -16
   神子の名か 神の名よりも 広かりて
   神子→みこ 評判の美人神楽巫女
9352 14 -16
   上人の 伽ハ上〻 吉三良
   上〻→じょうじょう 吉三良→きちさぶろ 吉三郎駒込吉祥寺の寺小姓で八百屋お七の情人という 寺小姓なので上人の伽に
9353 14 -16
   紫に 言まくられて 水自慢
   紫→江戸☆川柳辞彙 江戸っ子と上方の人のお国自慢
9354 14 -17
   恋の山 峠に着て 吝くなり
   ☆衆妙之門 見通しがついたら倹約
9355 14 -17
   十二一重の あまい分別
   伊勢物語の芥川の二条の后?
9356 14 -17
   松の葉ハ 少なからに 添ことは
   添ことは→添詞 力添えにいうことば 助言☆国大 落ち葉のアクセント
9357 14 -17
   九十九の 人ハ大かた 口はかり
   口は達者
9358 14 -17
   仲人の 口よりはやく 孕せて
   縁談がまとまる前に妊娠
9359 14 -17
   切迎 真葛の風に ふところ手
   切迎→きりむかえ 芸娼妓の座敷の時間が切れ男衆が迎えにいく☆国大 真葛→まくず葛の美称☆国大 葉裏が翻ると白く目立つ ???
9360 14 -17
   花たちはなに 所化の前帯
   花橘→花の咲いている橘 橘の花☆国大 所化→修行中の僧 謡曲通小町?
9361 14 -17
   火を摺る皃の よもきふて逢
   火を摺る→互いに仲が悪い ☆江語辞 よもきふ→蓬生 妓王と仏御前?
9362 14 -17
   京九重に 売れぬ胴声
   胴声→どうごえ 胴間声太くて下卑た調子の声☆国大 京には合わない
9363 14 -17
   火の物断を 問落ス乳母
   物断→ものたち 娘の願掛けを乳母が訊き出す
9364 14 -17
   さけふ千鳥に ふろ吹の湯気
   風呂吹→風呂吹大根? 蒸風呂の息を吹きかける垢擦り? ???
9365 14 -17
   ほとけたる 帯をかゝへて 上廊下
   芝居小屋? 腰元?
9366 14 -17
   うしろ合せの 中に生れ子
   うしろ合せ→仲が悪くなること☆国大 夫婦仲が悪い時に子が生まれ ?
9367 14 -17
   前歯を潜る 母の大聲
   潜る→くぐる ???
9368 14 -17
   はつかしい 気を漕抜て すこくなり
   漕抜て→こぎぬいて 漕ぎ抜ける→困難な状態をきりぬける☆国大 凄い→気味が悪い 恥ずかしさを克服してかえって図々しくなり
9369 14 -17
   年か明ると 畜生てなし
   年→ねん 年季の略☆江語辞 苦界の年季明け?
9370 14 -17
   堺の町を 尼の引出し
   堺? 中村座の日本橋堺町? 尼が芝居見物の留守番で小遣い稼ぎ?
9371 14 -18
   ふらり病に 海士か干て居
   海士→あま 恋煩いのぶらぶら病で休業? 海に入らないので
9372 14 -18
   法華か寄て 公事の相談
   公事→訴訟 結束が堅い?
9373 14 -18
   はちたゝき 我より人を 寒からせ
   鉢たたき→年末に鉦や瓢箪を叩き勧進する空也僧 見て居る方が寒い?
9374 14 -18
   灯火に 身をしほらるゝ 初しくれ
   灯火→ともしび ???
9375 14 -18
   鳴渡乗る 日をけふにして 立尽
   鳴渡→なると 立尽→たちつくし 瀬戸を行く船に乗るのが怖い ?
9376 14 -18
   おとこに鍋を 着せて見たかる
   四月朔日の近江筑摩神社祭礼 鍋祭ともいい関係した男の数だけ女が鍋をかぶるという
9377 14 -18
   折れたかと 思へは起て 筏さし
   筏乗りの棹を突くさま
9378 14 -18
   さくらを逃て 敷始を脊負
   敷始→しきぞめ 吉原で花見の仕廻を逃げたがかわりに三蒲団を買わされた
9379 14 -18
   かよひか黒く なると内損
   通い→飲食物を持ち運ぶ人☆ 江語辞 酒屋の小僧等が日焼けする程繁く来ると
9380 14 -18
   緋の衣 着ルを狸の 化おさめ
   最後は僧正に化ける?
9381 14 -18
   合歓の花 馬にもいれの 来ル時分
   合歓の花→初夏咲く いれが来る→いらいらしはじめる☆江語辞 盛りが?
9382 14 -18
   朝皃も いまたねちれて せうか味噌
   せうか→生姜 ???
9383 14 -18
   松を上手に 遣ふ行平
   松風村雨を
9384 14 -18
   風を曳 種に成とも 帆懸舟
   バレか
9385 14 -18
   いなはの雲の 上に御二階
   稲葉の雲→田一面の稲穂が揺れるさま 因幡の出雲大社?
9386 14 -18
   憎れ婆〻の 明六ツを聞
   明六ツ→日の出の少し前 暗いうちから起き出す
9387 14 -18
   絹紅の 裾はつかしき 秋の山
   絹紅→きぬもみ 紅葉が腰巻の裾が出ているようで
9388 14 -18
   あたまへ恥の 降かゝる鍋
   四月朔日の近江筑摩神社祭礼鍋祭
9389 14 -19
   毒断の 中に一ツハ むつかしき
   毒断→どくだて 病気に毒となる飲食物を一切飲食しないこと☆江語辞 美人の女房
9390 14 -19
   都うつして 高くなる銭
   都遷し→遷都 人夫の日当に消費され?
9391 14 -19
   隠居の朝寐 只事てなし
   いつも朝早い隠居が ひょっとすると
9392 14 -19
   物さしとても 雪の挨拶
   雪の深さを測って話題に
9393 14 -19
   むかしの女 女てハなし
   引目鉤鼻では色っぽくない?
9394 14 -19
   三日逢ねは 恐しい人
   吉原居続けの客の女房
9395 14 -19
   むらさめと 寐た翌ル日ハ つめらるゝ
   行平が松風に抓られる
9396 14 -19
   みやけを持て 呵られに来
   下女が妊娠して帰郷? あるいは手土産など持って来るなんて水くさいじゃないかと?
9397 14 -19
   忘れんと 立はよく似た 子か通り
   立は→たてば 死んだ子を忘れようと旅に出ようとすると
9398 14 -19
   湯殿帰りの 死て見たかる
   湯殿山の即身仏? 天和三年の本明海上人が最古
9399 14 -19
   草の戸て 書付て遣る はゝそはら
   はゝそはら→柞原 ははそ→コナラ等の雑木の称 和歌の字がわからん?
9400 14 -19
   湯気か出止んて 恥かしい神子
   湯立の途中で釜の火が消えて
9401 14 -19
   酒屋もましる 馬の煩ひ
   日頃使っている馬で感情移入
9402 14 -19
   とれも派のきく 十月の餅
   玄猪の餅 御会式の小枕餅
9403 14 -19
   紙漉の 近道通る 手の雫
   雫が腕を伝わる道筋?
9404 14 -19
   しかられた夜ハ 着たまゝて寐
   ふて寝
9405 14 -19
   大工の誉る 殿のうつり気
   すぐ飽きて造作に手を入れる 仕事が多くなってありがたい
9406 14 -19
   盃も 護符の手元 しつか也
   護符→ごふう 堀の内妙法寺の張御符貰いを新宿に遊びに行く名目にした ?
9407 14 -20
   産着の火伸 酢のかざかする
   火伸→ひのし 衣類の皺を除く道具で炭火を入れる容器に柄をつけたもの かざ→香 産婦の気付に酢を蒸発させた
9408 14 -20
   口まめな 人の仕あてる いもせ山
   仕あてる→成功する 妹背は夫婦や恋人の意口まめな人が恋に有利? 饒舌な官女が出る浄瑠璃妹背山婦女庭訓を洒落る?
9409 14 -20
   跨かねは ならぬ所に うらみ寐て
   邪魔な場所にふて寝
9410 14 -20
   火串とほせは 立て居ル尼
   火串→ほぐし篝などの灯火を固定させるための串☆国大 尼さんが篝火に見入る?
9411 14 -20
   惣〳〵しんと 神子の口元
   惣〳〵→そうぞう その場にいる者すべて☆国大 神託に聞き入る?
9412 14 -20
   半分打て いやになる札
   読みカルタかめくりカルタで手札が悪く
9413 14 -20
   身になる皃を 淋しかる聟
   身になる→栄養になる☆国大 腎虚にならせない顔の嫁
9414 14 -20
   鵜飼の火 朝妻舟を いやからせ
   朝妻舟→琵琶湖東岸の朝妻と大津の渡し船 遊女もいた 照らすので
9415 14 -20
   辛崎ハ 雪駄の音の 有かなし
   唐崎の夜雨 雪駄→竹皮草履の裏に革をはった草履☆国大 かかとに打った尻鉄が鳴らぬ
9416 14 -20
   合点て死ぬ 雨の逗留
   合点→がってん 川止め? ???
9417 14 -20
   師走の御師の 配る神風
   御師→おし 伊勢の御師 伊勢神宮の下級神職☆江語辞 年末に伊勢暦と御祓箱を配る 風邪もうつして廻る?
9418 14 -20
   なむあみた 積は高き 堂と成
   積は→つもれば お布施が積もり積もって
9419 14 -20
   祈りあふせて 主を姑
   下女が若旦那を手中に?
9420 14 -20
   呪ひきかぬ 次男三男
   呪ひ→まじない 惣領なら異見のしかたもあるが
9421 14 -20
   僧の聞干す そも〳〵の訳
   聞干す→根掘り葉掘り聞く☆ 江語辞
9422 14 -20
   萩の風 最う松風を かき廻し
   最う→もう 萩寺見物を名目に吉原行きで奥様が怒る?
9423 14 -20
   物前の 女良のあやも 都鳥
   物前→ものまえ 遊廓の紋日の前☆国大 女良→女郎 あや→言葉のいいまわし☆国大 いざ言問はむ
9424 14 -20
   狐の剃を 狸見て居る
   剃→そる 女に化けるので?
9425 14 -21
   夜食ハ内て くわぬ二十五
   夜食→房事の意☆江語辞 二十五→男の厄年の一つ まだ遊び盛り?
9426 14 -21
   三とせハ爰に 妾同然
   爰→ここ 松ヶ岡東慶寺に籠る?
9427 14 -21
   牛の御前も 雨の相伴
   牛の御前→向島墨堤下の神社 相伴→しょうばん 三囲稲荷の雨乞で
9428 14 -21
   朝飯か 茶漬に成と うつの山
   うつの山→東海道宇津山 人に逢わぬ意☆雑俳語辞典 ???
9429 14 -21
   勝とそのまゝ 庭鳥を抱く
   勝→かつ 闘鶏?
9430 14 -21
   舞子の果の 高慢て居
   舞子→踊り子の旧名☆江語辞 御妾になり?
9431 14 -21
   また年も 四十て居れハ 面白し
   まだ老いてはいない ☆武十一・23 武十二・32
9432 14 -21
   女智恵 三人寄て 一二合
   男だと三分で吉原行き
9433 14 -21
   あつま屋へ来る 風の横平
   横平→横柄 どうせなら蔵の壁へ
9434 14 -21
   三筋の帯に 扱ひか入る
   扱い→示談 調停 ☆江語辞 帯を三本締めて調整が要る?
9435 14 -21
   衣着て 通るむかしの しのふ山
   信夫山→歌枕 今は夜這の意なので半裸で
9436 14 -21
   めうかと蓼の 垣になる母
   めうか→茗荷 物忘れするといい馬鹿の異称☆江語辞 蓼→たで 魚類の生臭消し 母が男女の間を隔てる? ???
9437 14 -21
   逃水と 誘ふ水との 突あたり
   逃水→武蔵野の叢の根なし水 ☆川柳辞彙 誘ふ水→小野小町が三河へ落ちる時の歌の句 誘惑の比喩☆雑俳語辞典 業平と小町?
9438 14 -21
   竹の伏見へ 曲る寐勝手
   伏見の竹は謡曲花軍にも出る 伏見は小栗栖など竹薮で有名 寝勝手→寝る時身体の向き等の癖や好み☆江語辞 竹も本場へ向けて
9439 14 -21
   帳場に乳母の すハる食時
   食時→めしどき 手代が食事中ちょっと留守番
9440 14 -21
   御下屋敷に 蛇になる人
   忘れられたお妾?
9441 14 -21
   ことは数 すくなふ言か 奉幣使
   言か→いうが 奉幣使→ほうへいし 神事に幣帛を捧げるため随伴する侍 寒いので口数が少ない?
9442 14 -21
   節句五ツに 若い世の中
   五節句→人日の七草・上巳の雛祭り・端午・七夕・重陽 若い→生気に満ちあふれている☆国大 節句ごとにお祭り
9443 14 -22
   味な願ひの 叶ふ本復
   味な→色っぽい やっと夜のお許しが
9444 14 -22
   くらい所か 迁宮の骨
   迁宮→遷宮 骨→最も重要な所 中心☆江語辞 伊勢遷宮は闇の中で挙行
9445 14 -22
   降られてもめの 出来るかさゝき
   もめ→揉め事☆江語辞 鵲→七夕に牽牛織女が逢う時天の川に鵲が橋を架ける 約束が果たせず
9446 14 -22
   出家から夜の 明る洛外
   僧が托鉢に出る?
9447 14 -22
   妻の智恵 しらぬ振にて 出代らせ
   出代る→奉公人の交替 主人と下女の密通を知らぬ振りして穏便に
9448 14 -22
   編笠ハ 慈悲にもたれる 姿也
   虚無僧? 喜捨を乞い行脚
9449 14 -22
   みそ萩も 水へ結へは 法の声
   みそ萩→禊萩 初夏咲き盆に仏前に供える☆国大 結ぶ→ 両手で水を掬う☆国大 法の声→のりのこえ 読経念仏等の音声☆国大 盂蘭盆の光景?
9450 14 -22
   四の五のと まきらかしたる 沖の石
   わが袖は潮干に見えぬ沖の石の人こそ知らねかわくまもなし☆二条院讃岐 百人一首いろいろごまかす
9451 14 -22
   腹立や 三国か見へて 風かハり
   三国→越前の港で西回り航路の寄港地 風向きが変って船足が遅く?
9452 14 -22
   我か家へ廻り 切らぬ梛の葉
   梛→なぎ 梛の葉→魔除けに鏡台等に入れたり厠に吊る☆川柳辞彙 伊豆権現の梛の神木が有名☆江戸文学俗信辞典 持ち帰る途中で人に分けて
9453 14 -22
   橋にわりなき 中の大黒
   わりない→切っても切れぬ ☆国大 中→仲☆江語辞 橋板の三枚目に大黒の像を刻み祭れば富貴になるという ☆江戸文学俗信辞典
9454 14 -22
   帰りを見れは 直のならぬ顔
   直→ね 値商談が成立しなかった様子 見合いの失敗?
9455 14 -22
   根を押は 押ほと怖い 拂物
   押は押ほと→おせばおすほど 根を押す→根本を明らかにする もとを調べる☆江語辞 拂物→はらいもの 売る不用品 因縁付きの物件
9456 14 -22
   井出の夜も 喰ひ立らるゝ 春と成
   井出→山城井出の里は山吹の名所で井出の玉川あり☆川柳辞彙 山吹は晩春咲く
9457 14 -22
   一荒あれて 名代と呑む
   花魁の代理に新造が来て いったんは腹を立てたが
9458 14 -22
   麦ハくさつて 金谷豊年
   金谷→東海道金谷宿 雨が多いと麦は不作になり金谷宿は川止めで儲かる
9459 14 -22
   詰る所か 鎌倉の食
   食→めし 結局東慶寺に逃げ込んだ?
9460 14 -22
   千鳥聞日に 舟の傘
   ??? お茶の水行く舟?
9461 14 -23
   縫物に はるか男の 皃遠き
   縁遠くてお針を?
9462 14 -23
   娵ハ明りを 二口に消す
   娵→嫁 おちょぼ口で一度に吹き消せない
9463 14 -23
   馬の咄に あきる馬役
   馬役→芝居の馬の足の役者 ☆国大 別の役がしたい
9464 14 -23
   八十七ハ 欲の出る年
   あと一年長生きすれば米寿
9465 14 -23
   冨士も着くつす 望の曙
   着くつす→着崩す? 望の曙→もちのあけぼの望→望月 満月☆国大 富士山にかかる雲が着崩れた着物のよう?
9466 14 -23
   啼物ハ 十日〳〵の 雨蛙
   啼物→なきもの 五風十雨 五日に一度風が吹き十日に一度雨が降る天下太平の意 十日に一度雨蛙が鳴く
9467 14 -23
   恨言ふ 時ハいつもの 口てなし
   口調が違う
9468 14 -23
   顔をちいさく 思ふ本復
   痩せたなあ
9469 14 -23
   杜若 つめられた手も から衣
   京で妻以外の女に言い寄って抓られた手も思い出
9470 14 -23
   鵲に 連の引合ふ 袖たもと
   鵲→かささぎ連→つれ 伴う人☆国大 袖たもと→袖の意味か? 袖を引くは恋をしかける意 七夕の夜には恋が
9471 14 -23
   九重を 一足飛の 八重むくら
   九重→宮中 一足飛→いっそくとび 八重葎→雑草が生い茂った草庵 祇王祇女と仏御前
9472 14 -23
   腎虚した 人を我身の かゝみ山
   鏡山→歌枕 ここでは鏡の意 他山の石
9473 14 -23
   湯殿に少し 尼の女気
   女気→おんなけ ☆そのまんま
9474 14 -23
   我身に鼻を あてるさみたれ
   梅雨時で着物も黴びる
9475 14 -23
   あなめ〳〵ハ 恋の仕たをれ
   小町の髑髏の目に芒が☆謡曲通小町などの小野小町の末路 たおれ→そのものに溺れて身上をつぶすこと☆大辞泉 恋のしすぎで成就せず?
9476 14 -23
   百夜のうちに 度〳〵の世話
   世話→庶民的 くだけた雰囲気☆江語辞 深草少将の百夜通い時にはお供と世間話しながら通う?
9477 14 -23
   錦木を 立てとちらも 風を曳
   錦木→女の家に男が立てる求婚のしるしで取り込むと受諾 立て→たてて 曳→ひき 錦木立てる男も気を揉む女も
9478 14 -23
   とうふ屋斗 古き腰越
   斗→ばかり 腰越→鎌倉の入り口の漁村義経の腰越状で有名 豆腐屋以外は新しい? ???
9479 14 -24
   烏帽子てハ 横に向ねはを ふハれす
   業平が二条の后をおぶって芥川を越す
9480 14 -24
   一筆書て 志賀へ傘
   志賀に近い唐崎の夜雨のため
9481 14 -24
   野暮に仕立て をく夜の鶴
   仕立て→したてて 夜の鶴→親が子をおもう愛情のたとえ☆川柳辞彙 粋に育っては将来が心配
9482 14 -24
   懸鉄ハ 風の道なる きり〳〵す
   懸鉄→かけがね ???
9483 14 -24
   八十八ハ うま過た年
   米寿でみな大事にしてくれる
9484 14 -24
   突袖の やうに出て行 帆懸舟
   突袖→つきそで 袖の中に手を入れて袂の先を前方に突き出すこと 傾いた帆が突き出した袖のよう?
9485 14 -24
   すかた見へ 朝日こほれて 皃痒き
   姿見→全身を写せる鏡 痒い→物足りない☆江語辞
9486 14 -24
   我斗 着ふくれて居る 廿日艸
   斗→ばかり 廿日艸→はつかぐさ 牡丹 牡丹の花弁が重ね着のよう?
9487 14 -24
   物かハの 角の折れたる 五百疋
   ものかは→物かはの蔵人の略 ☆川柳辞彙 物の数でない☆国大 五百疋→五千文 約一両一分 ???
9488 14 -24
   日にやける 覚悟て宇治の 奉公人
   茶摘みに動員される
9489 14 -24
   銭にさへ 見限られたる 世捨人
   ☆そのまんま
9490 14 -24
   四火すへる 人に進める 東山
   四火→ぶらぶら病を治す灸点 ☆江語辞 東山→祇園が近い もっと遊びに行け
9491 14 -24
   若さかり 腹も立れぬ 損をして
   若盛り→若くて血気盛んな頃 自分でも馬鹿馬鹿しいことをしでかして
9492 14 -24
   坊主かへりの 狭い袖口
   坊主還→坊主が堕落して還俗すること☆江語辞 袖狭し→不遇の身であること ☆国大 確かに墨衣と違って
9493 14 -24
   毒断の うちハ行燈も 二ツにて
   毒断→どくだて 病気に毒となる飲食物を一切飲食しないこと☆江語辞 行燈→あんど 共寝しない
9494 14 -24
   麩うりより 男気・のある とうふうり
   男気・→おとこぎ 伊達綱宗が浮世渡平に襲撃された時京橋辺の豆腐屋が助けた☆川柳辞彙
9495 14 -24
   霜に聲 ある夜いり付く 油皿
   煎り付く→煮詰まる 焦げつく☆国大 寒声修行を聞きながら夜なべ ?
9496 14 -24
   我髪も 剃気になれハ 恐しき
   剃るとなればひどく多く感じる
9497 14 -25
   目口かハきを 恋の関守
   目口乾き→他人のあらさがしばかりしたがる性癖☆江語辞 恋仲に難癖をつけたがる人が
9498 14 -25
   めてたさハ 三度越行 うつの山
   うつの山→東海道宇津山 宇津谷峠あり 丸子と岡部間の難所  京の本店から江戸に奉公し辛抱して本店へ初上り後江戸に戻ると手代に
9499 14 -25
   鶴斗 人を人とも 鶴か岡
   斗→ばかり 鶴か岡→鶴岡八幡宮 頼朝は鶴に金の札をつけて放し鳥
9500 14 -25
   芦の丸屋に 御所の重箱
   ☆天長地久 芦の丸屋→あしのまろや 葦で屋根をふいた粗末な小屋 ☆国大 ???
9501 14 -25
   幟を産て 直に女房
   幟→端午の節句の幟 直に→すぐに 妾が男の子を産んで
9502 14 -25
   夫か抱けは 赤子大きし
   ☆武十一・21 時々しか抱かないので育ちに驚く
9503 14 -25
   佐渡も鵜てゐる 日蓮の顔
   鵜で居る→呑み込んでいる 熟知しているの意☆江語辞 龍口法難で佐渡に二年配流
9504 14 -25
   二ツめの 鍋を隠して 髪を切
   本当はもう一人関係した男が居るが 近江筑摩神社鍋祭をきかす
9505 14 -25
   追人のくさく 思ふ山寺
   追人→おって 逃げた女か駆落の男女をかくまっていないかと
9506 14 -25
   三保にこりてか おりぬ天人
   謡曲羽衣で懲りたのかその後天人の降りた話は聞かぬ
9507 14 -25
   役の行者の 杖に芽か出る
   弘法大師や聖徳太子の杖から芽が出るという話はあるが?
9508 14 -25
   ふたり助ケて 母の物入
   物入→ものいり 費用のかかること☆国大 心中しかかった仲を許し金がかかることに
9509 14 -26
   門松や 代〻に久しき 食と汁
   ☆発句百章四季混雑 十明庵紀逸述 ☆立春代〻→よよ 代々 久しい→あたりまえで陳腐な☆ 国大 食→めし 昔から変わらず
9510 14 -26
   豆うてハ 人に鬼なし むつみ月
   むつびづきは睦月つまり正月 立春前日の節分の豆まき みんな仲良し?
9511 14 -26
   沙汰なしに 師走千鳥や 妹か許
   ☆歳暮 妹か許→いもがもと ???
9512 14 -26
   了俊の 子に解く口や 小三十日
   了俊→りょうしゅん 今川了俊は寺子屋の習字の手本かつ道徳の教材の今川状の作者 小三十日→こつごもり 大晦日の前日☆国大 ???
9513 14 -26
   子を呵る 時もあろうに 雉子の声
   焼け野の雉→夜の鶴と同様巣のある野を焼かれた雉子が自分の身を忘れて子を救うという親の子を思う情のたとえ
9514 14 -26
   大吉に 寺も寄りよし 門柳
   門柳→門のあたりの柳☆国大 立春に禅寺で立春大吉と鎮火防燭の札を貼る 何となく親しみが
9515 14 -26
   二階から 招く吉田の 柳かな
   東海道吉田宿 吉田通れば二階から招く 柳のように招く
9516 14 -26
   雨露を 秤にかける 柳かな
   天秤のように雨だれを分ける ?
9517 14 -26
   教ねと 蝶も智る菜や 小松川
   ☆小松川琴風名改 教ねと→ おしえねど 智る→しる 小松川→南葛飾郡の中川東岸鶴の御狩場☆川柳辞彙 蝶が多かった☆柳八十・26
9518 14 -26
   撫て見て きのふを捨ん 青あらし
   ☆道院剃髪 青嵐→初夏の青葉を吹き渡る風☆国大 出家して剃った頭を撫でてみる
9519 14 -26
   光陰の 矢をくハへてそ 郭公
   郭公→ほととぎす 光陰矢の如く今年もほととぎすを聞く季節に
9520 14 -27
   さゝけはや 弓につかひて 五寸鮎
   ☆矢口奉納 さゝけはや→捧げばや 捧げたい つがう→ つがえる 矢筈を弓の弦にかける 安芸の矢口神社? 広島太田川の鮎は江戸で有名
9521 14 -27
   子の沙汰の なくてそ若し 天の河
   ☆七夕沙汰→たより しらせ☆江語辞 牽牛織女に子がいるとは聞かぬ
9522 14 -27
   顔も見ぬ 人にむつまし 橋すゝみ
   両国橋の夕涼み 知らぬ人とも話しがはずむ
9523 14 -27
   玉にくむ 水のこたへや 粒小椒
   玉→たもあみ?☆国大 粒小椒→つぶこしょう ???
9524 14 -27
   甘艸の 引ちからなき 鳴子かな
   ☆医師をいたむ 甘艸→かんぞう 漢方薬咳や腹痛に使う☆国大 ???
9525 14 -27
   新酒出て 床しく成ぬ 谷中道
   谷中道→やなかみち 険悪な道路の異称☆川柳辞彙 酒屋に三里の田舎でも
9526 14 -27
   大根に くさめさせてそ 牛房引
   牛房引→ごぼうひき 牛蒡の旬は冬 大根足の農婦が寒い中牛蒡を引く?
9527 14 -27
   菊の香に 袖を通さん かさね衣
   ☆重陽 かさね衣→衣を重ねて着ることか? 菊の香りを衣一枚として
9528 14 -27
   鴫立て 落した珠数を 拾ひけり
   鴫→しぎ 珠数→数珠 心なき身にも哀れは知られけり鴫立つ澤の秋の夕暮☆西行
9529 14 -27
   三四代 申せは親し 菊の宿
   ☆麗来宅にて 菊の宿→ 菊の咲いている宿や寺や庭 秋の季語 先祖の話しをしてみると
9530 14 -27
   集成就 みそなハしてそ 神送
   ☆春来東風流披露 集成就→ しゅうじょうじゅ みそなわす→ご覧になる 神送→かみおくり 九月末日から十月朔日の神事☆国大 集ができ?
9531 14 -27
   水仙や 親類書に 梅の兄
   親類書→親類一門の縁故関係を記した調査書で仕官や婚姻の際に使う☆川柳辞彙 梅も水仙も早春に咲く
9532 14 -27
   朝起や 笑ふ家にハ 福寿艸
   笑う門には福来る
9533 14 -28
   影法師も 短き冬の 別れ哉
   ☆巴静か尾州へ帰るを送る 影法師→かげぼし 日脚短く
9534 14 -28
   薺売はやむさほるや蕗のとう
   薺売→なずなうりむさぼる→貪欲に自分のものとする☆国大貧しい薺売の子供が蕗のとうも採集
9535 14 -28
   あふみのや 買ふて着せよ物 薺笠
   近江野? 着せよ物→きしょもの ???
9536 14 -28
   短夜も 箱根迄行 夢路かな
   ☆石霜庵三回忌 短夜→みじかよ 明けやすい夏の夜☆国大 箱根の夢?
9537 14 -28
   うくひすに 年こそかくれ 屏風山
   屏風山→岐阜にある山? あるいは垂直にそびえる山????
9538 14 -28
   仙に入れ 年も十日の うとん踏
   仙→才芸にひいでた人☆国大 年→その年☆国大 一月十日の十日戎の何かか?
9539 14 -28
   初雪に 坊主て出逢ふ さくら哉
   ☆そのまんまか?
9540 14 -28
   他ハすへて 仏の光 けふの月
   ☆八月十五夜 世の中が仏様の後光に包まれたよう?
9541 14 -28
   糸ゆふや ほとく雀の 口と口
   糸遊→陽炎 空飛ぶ蜘蛛の糸 糸遊結びという衣類等の色糸の緒の飾り結びをかける? 陽炎の糸遊結びを雀が解く?
9542 14 -28
   風に御す 旅の往来や 凧
   ☆青路子餞別 ☆烈子か乗物を送るへし 御す→ぎょす あやつる☆国大 往来→ゆきき 凧→いかのぼり たこ 風まかせの旅?
9543 14 -28
   子日する 松に付けはや 寿饅頭
   ☆七十賀題子日 子日→ねのひ 初子の小松引き? ばや→したい 寿饅頭→じゅまんじゅう 寿と印字した饅頭?
9544 14 -28
   けふの午 狐の子にも 初のほり
   初幟→男児の生後初の五月節句を祝って立てる幟☆国大 初午の神社の幟が子狐の初幟
9545 14 -29
   終に行く 土をうらみや 親燕
   ☆吐綾愛子をうしなひけるに 終に→ついに 雛を失った親燕
9546 14 -29
   希ふ 所や新花 分根菊
   ☆田社万句興行三月廿一日 希ふ→こいねがう 新花→しんか 菊の新しい品種? 分根菊→わけねぎく 根分けは菊の殖やし方の一つ
9547 14 -29
   空にさす 仏の指や ほとゝきす
   ☆灌仏 灌仏会のお釈迦様の像の指さす空に
9548 14 -29
   降雨に 三粒ハ星の なみたかな
   降雨→ふるあめ 雨の七夕?
9549 14 -29
   百艸を 取得て薫る 硯かな
   ☆臺簫君芳席百会を祝して 百艸→ひゃくそう 多くの草 ☆国大 俳諧の席を多く催して?
9550 14 -29
   海棠を 寐かさぬ鳥の くせつかな
   ☆画讃二句 海棠→かいどう 初夏の花咲くバラ科の落葉低木 口舌→くぜつ 痴話喧嘩 ☆江語辞 鳥がうるさい
9551 14 -29
   鯉に瀧 まさに見る日の 幟かな
   端午の節句の幟の絵
9552 14 -29
   初午や いの字に稲を おしへ草
   初午は寺子屋入門の日 いねのいと字を教える
9553 14 -29
   かはつ子の 奥歯で鳴や 初さくら
   出たばかりの蛙のくぐもった鳴き声?
9554 14 -29
   郭公 橋場へわたる 竿の先
   郭公→ほととぎす 橋場→浅草隅田川河畔今戸上流の地名 橋場の渡しあり ☆江戸文学地名辞典等 向島から吉原行きか
9555 14 -29
   天の戸や 夜すから扣く 郭公
   郭公→ほととぎす 扣く→たたく ほととぎすが夜も絶えず鳴くのが天の扉を叩くよう
9556 14 -29
   うき名ほと 雨とよい中 郭公
   郭公→ほととぎす 五月雨とほととぎすは浮き名が立ちそうなくらい付き物
9557 14 -29
   うき艸や うこかすに居る ひやし馬
   うき艸→うきくさ 水で涼む馬がじっとしているので浮き草も動かず
9558 14 -30
   うき艸の 下ハ日和そ 五月雨
   ☆病る人を訪ひて 水面に映る晴れ間の空
9559 14 -30
   咲くからハ のほるもはやし 花葵
   ☆暁里公御役蒙られし時 花葵→立葵の異名☆国大 花咲けば育つのも速い 出世祝いか
9560 14 -30
   八の字も 末広かりの あふきかな
   ☆八幡宮へ参詣の時扇を拾ひて 八も扇も末広がり
9561 14 -30
   きり〳〵す 鳴ぬ捨子や そのむかし
   ☆拾得賛 唐の豊干禅師は捨て子の拾得を拾った きりぎりすなくや霜夜のさむしろに衣かたしきひとりかも寝む☆百人一首
9562 14 -30
   彦星ハ 今宵に古き 名なりけり
   七夕は万葉集にもある 今も昔も
9563 14 -30
   礫うつ 星のまくらや 明烏
   礫→つぶて ???
9564 14 -30
   なき魂・や 我宿へ来て 草枕
   ☆生灵会 魂・→たま 草の庵だが泊っていってくれ
9565 14 -30
   夜か長く なるを朝寐の はしめ哉
   長き夜→長い秋の夜☆国大 夜明けが遅くなり
9566 14 -30
   麻からハ その日限也 箸包
   ☆逸子室を悼 麻から→麻殻 あさがら 皮をはいだ麻の茎 盂蘭盆の箸 限→ぎり
9567 14 -30
   名月や 蓼の下葉の から衣
   蓼→たで ???
9568 14 -30
   敷ほとを 神の機嫌や 稲むしろ
   ☆稲荷奉納二句 稲むしろ→稲わらで編んだ筵 稲が田全面に植わっている状態☆国大 豊作
9569 14 -31
   積ませて 宝珠の鉢の 木の実哉
   積ませて→つみまぜて 様々な木の実が宝珠のよう?
9570 14 -31
   屋ね板を 鳶のくハへる 野分哉
   ☆武二・47 野分→台風 台風で壊れた
9571 14 -31
   銭金の 利口過たる 師走哉
   もう少し抜けていてもよいのに節季の掛取は厳格
9572 14 -31
   穂薄の 手もふところや 後の月
   穂薄→穂の出ている薄☆国大 後の月→九月十三日の月見 肌寒い季節となり
9573 14 -31
   七曜の 釼のうら研く 時雨哉
   七曜→七曜星 北斗七星☆国大 釼→けん 北斗の柄杓の柄の先を剣に例えその指す方向は不吉という☆江戸文学俗信辞典破軍の項 時雨が当り
9574 14 -31
   菩提樹の をのれから剃る 落葉哉
   自ら剃髪して出家するように
9575 14 -31
   五尺の身 包み〳〵て 頭巾哉
   寒いのですっぽり着込む
9576 14 -31
   大部屋の 薬配りや 菊の水
   ☆はやり風 菊の水→菊水菊の露が入り飲むと長命するという中国河南省の川の水 それから作った酒☆国大 風邪のはやる仲間部屋で酒を
9577 14 -31
   樽買の 廿日めに来る 牡丹哉
   ☆武二・44 樽買→たるかい 酒や醤油の空樽を買い歩く業者☆江語辞 牡丹を二十日草ともいう それくらいで酒一樽空く?
9578 14 -31
   春蒔た 始末の種を 岡見哉
   岡見→岡目 傍目 おかめ他人の行為を脇から見ていること☆国大 誰かが下女を妊娠させ?
9579 14 -31
   年寄を 誉て戻るや 年忘
   年忘→忘年会 いやまだまだお若い
9580 14 -31
   駕籠舁の 肥りにあハぬ 牡丹哉
   牡丹を膝に乗せ駕篭で行く 重い客を乗せると駕篭舁は損
9581 14 -31
   昼鳴も 夜明からすや 五月雨
   梅雨で昼でも夜明けのように薄暗い
9582 14 -31
   さつき雨 覚悟して居る 三十日哉
   三十日→みそか 明日は五月朔日 五月雨も降ろう
9583 14 -31
   夏帯の 結ひ心も 茅輪哉
   夏帯→夏期に用いる帯☆国大 茅輪→ちのわ 六月晦日の夏越の祓の茅の輪潜り 麻の帯しめ今年も半分過ぎた
9584 14 -31
   逆鉾に 平目のあたる 汐干哉
   ☆奉納逆鉾→さかほこ 勃起した男性の陰茎☆国大 汐干狩でしゃがんでいると
9585 14 -32
   とうからし こかるゝ鹿の なみた哉
   鹿聞の鹿だが? 唐辛子が涙形? ???
9586 14 -32
   秋高し 梺から手を つくは山
   ☆諸侯へ初て召れて 梺→ふもと 手をついて平伏
9587 14 -32
   垣間見や 夕顔の實を 脇へよせ
   垣間見→かいまみ 隙間からこっそり見ること☆国大 源氏の夕顔か単なる貧家か
9588 14 -32
   割膝を あくらに直す 巨燵哉
   ☆竹本肥前隠居せし時 割膝→わりひざ 膝頭を離してすわる男子の礼儀正しい座り方 巨燵→こたつ くつろいで膝をくずす
9589 14 -32
   鳴子曳 御耳にとまる 事もなし
   ☆蝦明公にて 田舎の畑の鳴子引きはお殿様には縁がない
9590 14 -32
   紫ハ 江戸の雫そ 萩の月
   萩の花の色 紫は江戸の粋
9591 14 -32
   ふたり迄 空によい子や 十三夜
   十三夜→九月十三日の夜 後の月☆国大 ???
9592 14 -32
   明星の つかまへ所 菊の花
   つかまえ所→証拠としてとらえるべき手がかり☆国大 金星と菊の対比? ???
9593 14 -32
   傘さして 憎れに出る 落葉哉
   憎れ→にくまれ 枯野見と称して吉原行き?
9594 14 -32
   ゐんきんに 親の育てし かはつ哉
   ゐんきんに→慇懃に 蛙はお辞儀が上手
9595 14 -32
   掬すれは 目高も一ツ 清水哉
   目高→めだか 清水をすくうとメダカも
9596 14 -32
   五十から 夜を盗むや 遠碪
   遠碪→とおぎぬた 碪→きぬた 木槌で布を打って柔らかくする 年をとると眠りが浅く
9597 14 -32
   初雪や 他人の袖も ふり合せ
   袖振り合うも多生の縁☆諺 同じ初雪に遭うのも縁
9598 14 -32
   替る度 我身につもる 雑煮哉
   ☆元旦 おかわりするたび年をとる?
9599 14 -33
   大聲の 鐘を押えつ 梅の花
   鐘の音が花に吸われるよう?
9600 14 -33
   梅かゝや 闇におゐてハ 大三十日
   梅かゝ→うめがか 大三十日→おおみそか ???
9601 14 -33
   文台の 隅も明るし 雀の子
   ☆臺簫君初言 文台→ぶんだい 書籍や硯箱をのせる台 俳諧などの会では短冊や懐紙をのせ会の象徴 ☆国大 座敷に春の日がさす
9602 14 -33
   しら魚の 火に化さるゝ 狐哉
   ☆探題 くじ引きの題で詠む 隅田川河口佃島の白魚漁 篝火で魚を集める 狐も狐火と間違えて集まる?
9603 14 -33
   初午や 年月〳〵に 午ハあれと
   月〳〵→つきづき 午の日は沢山あるが 月々に月見る月は多けれど月見る月はこの月の月
9604 14 -33
   人五十 天から着せる 頭巾哉
   ☆五十賀 ここまで生きられたのも天命
9605 14 -33
   よい恋を して来た人に 水鶏哉
   水鶏→くいな 鳴き声が戸を叩く音に似ているという☆国大
9606 14 -33
   橋になるハ 日頃に似さる 烏かな
   七夕に橋をつくるかささぎを烏鵲うじゃくともいう そのへんの烏ではない
9607 14 -33
   つむ年の 面目もなし さよ衣
   ☆歳暮又一ツかさねけれは さよ衣→夜着 さらぬだに重きが上のさよ衣わがつまならぬつまな重ねそ☆寂然法師 夜着の褄のように年が重なり


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