【底本】
岩波文庫 誹諧武玉川(四) 山澤英雄校訂 岩波書店 1985
【凡例】
通し番号 篇-丁
(本文)
(解説)
【注意】
字・は字が底本通りでないことを示す
☆はコメントや引用
江語辞→江戸語の辞典 国大→国語大辞典(小学館)
10137 16 -1
百度目の 緡は娘か にきりつめ
☆冬嶺之部緡→さし 百文を一本にさす紐 数をとるのに使う百度参り?
10138 16 -1
帷子の 藍は手ぬるし 初松魚
帷子→かたびら 単衣もの☆国大 松魚→かつお 更衣の着物より初鰹の青が鮮やか
10139 16 -1
後藤か判は 地獄極楽
後藤→金座の後藤☆川柳辞彙 金貨に後藤家の極印あり 小判で地獄極楽
10140 16 -1
島田金谷に たそかるゝ顔
たそがる→たそがれる 夕暮れになる☆国大 大井川の川止めで
10141 16 -1
鎧着て見る 虫干の所化
所化→修行中の僧 蔵の宝物の鎧を悪戯で
10142 16 -1
祝ひ日は 後へ廻す 娵の帯
祝い日→一日と十五日と二十八日 小豆飯を炊き子供は服装を改め女は白粉☆江戸文学俗信辞典 前帯を後帯ににしてあらたまる
10143 16 -1
六部の撞木 美しく減る
六部→ろくぶ 廻国の修行者 ☆江語辞 撞木→しゅもく ☆そのまんま
10144 16 -1
染て来て 紺屋の罪の 軽くなり
明後日に本当に染め上がったので嘘にならず
10145 16 -1
魚に中て 寺の湯を呑む
中て→あたって 山桜の内皮を煎じたものが魚の食中毒に効くというが ???
10146 16 -1
なかめ人多く 土産買ふ顔
なかめ人→ながめて 何を買う人が多いか見極めて
10147 16 -1
看病の 毒ハ合点の 顔ひとつ
美人妻で腎虚
10148 16 -1
憎かる顔へ 投る番附
敵役へ芝居番附を あるいは芝居見物をたしなめる家人に?
10149 16 -1
拾ひ人も なけれと世をハ 捨かたし
拾ひ人→ひろいて ☆そのまんま
10150 16 -1
かるたの付て 上る手枕
徹夜で博打 かるたが腕にひっついて
10151 16 -1
腹をたつ やうに揚麩の 面白き
揚麩→油で揚げた麩☆国大 はねる?
10152 16 -1
綻ひとつ 恩のはしまり
綻→ほころび 奉公先のお内儀の恩?
10153 16 -2
蟇 手水の先に かしこまり
蟇→ひきがえる まるで従者のように
10154 16 -2
箱入は 雛と娘の 名に呼れ
箱入→大切にするもの また箱入娘の略☆江語辞
10155 16 -2
美しい 皃てうしろハ ふたつ髷
ふたつ髷→ふたつわげ ふたつまげ 町家で後家の髪型 葬いの髪型☆江語辞 亭主が腎虚で後家に
10156 16 -2
取揚婆〻の 先へ松明
☆そのまんまか
10157 16 -2
浴室から 海老に成ハと 聲を懸
浴室→ゆどの 居風呂が熱すぎて釡焚きに声を 海老になるじゃないか
10158 16 -2
杖の下 廻り課ふせて 重手代
課ふせて→おおせて 重手代→おもてだい 番頭の下の主立った手代 上司の折檻を耐えて出世 「杖の下からも廻る子は可愛」☆諺→叱っても逃げずすがりついてくる子は可愛くて打てぬ意☆俳説ことわざ辞典
10159 16 -2
両方切れる 行平の袖
行平→在原行平 松風と村雨に引っ張られて
10160 16 -2
御寺に一夜 馬を怖かる
厩にでも泊められた? ???
10161 16 -2
糊の利たる 昼顔の花
朝開花して昼になってもしぼまないので?
10162 16 -2
親か出て居る 朝の水茶屋
水茶屋→行人を休ませ茶などを供した小見世☆川柳辞彙 看板娘は遅れて出る
10163 16 -2
藤咲て 古脊松魚に 道か付
古脊松魚→ふるせがつお 古背→鰹の盛りをすぎて大きなもの☆江語辞 藤は四月か五月頃咲く 道が付く→糸口ができる? 初鰹ではないが出番が
10164 16 -2
愛相を 吹なから出す 風車
幼子に廻してみせる
10165 16 -2
通辞か膝に 付て来る蠅
通辞→通訳☆国大 異人に対する偏見か?
10166 16 -2
翠簾を巻く 顔へ夕日の 突当り
翠簾→みす 簾を巻き上げると西日が?
10167 16 -2
作木の 腕を出してハ 引伐れ
作木→つくりぎ 盆栽や庭木の枝を曲げたわめること☆国大 引伐れ→ひききられ 出っ張る枝は切られる
10168 16 -2
一日は 寐ても居られぬ 童病
童病→わらわやみ 間欠熱☆国大 熱が出たり引いたりするので
10169 16 -2
磨立の 鏡へ家内 顔を出し
磨立→とぎたて 家内→家の者 家族や奉公人を含む☆江語辞 日頃鏡を見ない者まで
10170 16 -2
直した医者を 直に仲人
直に→すぐに 医者が娘のぶらぶら病の原因を見つけて? 桂庵という出入り医者が仲人をすることも多かった☆国文学解釈と観賞昭和50年2月臨時増刊号
10171 16 -3
扨こそ塩の 足らぬ強飯
扨→さて 強飯→こわいい 吝嗇な伊勢屋の葬式?
10172 16 -3
いまたなき 小僧の皃に 哥書て
羽根つき?
10173 16 -3
姿鏡に 帯解の子を 抱て見せ
姿鏡→すがたみ 帯解→女児七才の初めて帯を締める祝い 抱き上げて全身を映してみせる
10174 16 -3
遠の人を おもふ神鳴
遠→とおく 遠い雷鳴に
10175 16 -3
鯉をおさへて 口上をいふ
進物の活きが良くて
10176 16 -3
病て居る 枕に母の 遠廻し
病て→やんで 誰か好きな人が
10177 16 -3
腹立の やるせなく灯を 掻立て
亭主の帰りが遅い
10178 16 -3
凱陣の 女房に惚る おかしさは
凱陣→がいじん 長い戦から帰り久しぶりの再会で
10179 16 -3
たま〳〵に 嫁の火傷は 薬鍋
美人嫁が火傷をして結果的に腎虚の薬に?
10180 16 -3
江戸詰に 成て上た おとこふり
江戸勤番で垢抜ける
10181 16 -3
飛〳〵に 謡をうたふ 草履取
草履取→武家などで主人の草履を持ち供をする下僕 ご主人の謡を部分的に聴き覚え
10182 16 -3
弘誓の船に 乗たかる婆〻
弘誓→ぐせい 弘誓の船→彼岸に至らせる仏菩薩の救いを船に例えた表現 ☆国大
10183 16 -3
いつその事と 寐て仕廻ふ雪
吉原居続け
10184 16 -3
里のない たけ美しき 嫁の顔
遊女上がり
10185 16 -3
土用干にも 道の付く本
道が付く→糸口ができる? 土用干の機会に日頃読まぬ本を読む
10186 16 -3
初瀬の道を ひそ〳〵と聞く
初瀬山→歌枕 長谷寺の山 長谷寺は恋の祈願の寺 高貴な婦人がお忍びで参詣
10187 16 -3
女房ハ 熨斗はかり取る 一萬度
一万度の御祓→伊勢の御師が歳末に配るお祓い札☆江語辞 あるいは御払い箱☆川柳辞彙 熨斗をつけて持って来るがお初穂料と引き換え ???
10188 16 -3
おんなし事を 聞にたつ嫁
姑にも気を遣って?
10189 16 -4
梅・咲て 禿の侭の 顔に逢
花魁が梅を見る時営業顔から童顔に
10190 16 -4
極楽は 爰そと寺を 吹ぬかせ
爰→ここ 戸を開け放ち本堂の阿弥陀様を見せる
10191 16 -4
壁に穴 隣同士の おもしろき
☆そのまんま
10192 16 -4
神の贔屓を 役者ほとする
ある神様を役者みたいに贔屓に
10193 16 -4
裾へあたると 美しい風
赤いものが
10194 16 -4
法華に成て 言ほくす公事
言い解す→論じ立てて非難する☆国大 公事→訴訟 堅法華となってますます強硬に
10195 16 -4
低た 女に咳の 礫あり
低た→うなだれた 小言の途中に咳もまじって
10196 16 -4
また精進を ねたむ二度添
二度添→にどぞい 後妻☆国大 亭主が死んだ前妻のために精進するのを
10197 16 -4
笑ふのも 笑ハせるのも こほれ物
こほれ物→あふれたりこぼれたりしやすいもの☆国大 思いがけないことの意? 笑いをとるのは場次第?
10198 16 -4
鷹野を珠数て おかむ正直
鷹野→鷹狩り 高野山の異称 ☆川柳辞彙 珠数→数珠高野山を拝むように鷹狩りまで拝む?
10199 16 -4
惟光か 夢は宿直を かけ廻り
惟光→これみつ 光源氏の乳母の子で夜歩きのお供 宿直→とのい 宮中で宿泊すること☆国大
10200 16 -4
桜て済す 伊勢の八朔
桜→上方の遊女の階級☆国大 八朔→吉原なら白無垢 ???
10201 16 -4
繻子の帯 腹立時の 帯てなし
すぐ解けるのでイライラ
10202 16 -4
病人の 袈裟も衣も 美しき
着ないので?
10203 16 -4
雛て一日 ちかふ出かハり
出替→奉公人の入れ替え 三月四日まで奉公なので雛の出し入れをして貰うには都合が良い
10204 16 -4
廿五に 成ても乳母ハ しかり付
厄年なのにいまだ子供扱い
10205 16 -4
能い返事 とこやら顔も 見へる也
相手の顔が浮かぶよう
10206 16 -4
大勢て 硯をつかふ 天の川
集まって七夕の短冊を書く
10207 16 -5
居風呂か 漏は〳〵と かしこまり
居風呂→すえふろ 風呂桶でわかす風呂 水位が下がってしゃがみこむ
10208 16 -5
糸柳 物をいふなら 京言葉
☆そんな感じ
10209 16 -5
還俗させた 奇異の曲者
光盛こそ奇異のくせ者と組んで首取つて候へ☆謡曲実盛 手塚太郎光盛は髪を染めた斎藤別当実盛の首を取る ???
10210 16 -5
七種に 一日薺も さそふ水
薺→なずな 誘い水?物事のきっかけとなるものの意☆国大 誘う水→小野小町の歌から誘惑の比喩☆雑俳語辞典 ???
10211 16 -5
菜も末に 成となくなる 人来鳥
菜→アブラナか 人来鳥→ひとくどり 鶯の異名☆国大 菜の花の終る頃鶯の季節も
10212 16 -5
唐絵の美人 惚る気ハなし
唐絵→からえ 中国風の絵☆国大 豊満すぎて
10213 16 -5
こつくりと 着て御内儀の 美しき
こっくり→色合などが深みがあるさま☆国大 御内儀→町家の妻の敬称☆国大 ☆そのまんま
10214 16 -5
重荷おろして 対の溜息
対→つい 差し担いを下ろして二人同時に あるいは娘の婚礼を済ませた両親?
10215 16 -5
似ぬ顔を 産た妾も 人の口
旦那に似ない子を産んだ妾も噂の種に
10216 16 -5
世ハ餅に そろ〳〵鰒の 派か利かす
鰒→ふぐ 正月になって河豚の季節がそろそろ終りに
10217 16 -5
天河 男の智恵に 欲ハなし
天河→あまのがわ 七夕で女性のように願い事をしない
10218 16 -5
美しい 手を掛乞の 口へあて
掛乞→かけこい 掛取☆国大 旦那に内緒で簪か何かを?
10219 16 -5
はつきりと 顔の見られぬ 踊の輪
暗いし手拭被っているし
10220 16 -5
髭なてる やうに旭に 麦の霜
麦が揃って倒れた様子?
10221 16 -5
片荷かゝんと 紫陽艸ハ売れ
片荷→天秤棒で一荷になった時の片方の荷☆国大 舁く→担う 紫陽艸→あじさい ???
10222 16 -5
惣模様 尻のあたりへ 橋をかけ
惣模様→女性の衣服全体に描かれた絵柄 その衣服☆国大 尻に橋の絵が
10223 16 -5
産てから 妾の智恵に 庭か出来
男子を産んでからおねだりが増えて
10224 16 -5
鵲も 橋に成夜ハ 通りもの
鵲→かささぎ 通りもの→粋人 物わかりのよい人☆江語辞 牽牛織女の逢瀬の手伝い
10225 16 -6
樒まて 直きれは後家も 人の口
樒→しきみ 枝葉を仏前に供える木 直→ね 仏に供えるものを値切るようになっては噂に
10226 16 -6
顔の淋しき 初瀬の十月
初瀬→はせ 初瀬山→歌枕 長谷寺の山 長谷寺は恋の祈願の寺 紅葉も名所だが? ???
10227 16 -6
平舟から 楼船をそしる 痩かまん
平舟→ひらた 平田舟の略 吃水の浅い細長い川船☆国大 楼船→やかた 屋形船 雨にあったか寒いか
10228 16 -6
月切の 妻に女房の 根を掘られ
月切→つきぎり 月囲 月契約の妾☆江語辞 月極めの妾に妻の座を脅かされ
10229 16 -6
涼しからせに 頭巾取る尼
暑苦しいでしょうから
10230 16 -6
金て済とは ひよんな盗人
済→すむ 間男が示談金で
10231 16 -6
鯣と片を 付し親〳〵
鯣→するめ 片→かた 結納を済ませて
10232 16 -6
家根船の 留守へ来て舞ふ 蝶ひとつ
川遊びの留守居役に踊り子が
10233 16 -6
毛虫に騒く 行水の桃
桃→髪型の桃割れの異称☆川柳辞彙 若い娘の髪型
10234 16 -6
師走女の 女てはなし
女でも慌ただしい
10235 16 -6
あはたに惚て 直す伴頭
直す→遊里で時間延長する☆江語辞 伴頭→ばんとう あばたの遊女に親近感
10236 16 -6
恋衣 啌てかためて 内を出る
恋衣→恋する人の衣服☆国大 心から離れぬ恋のたとえとも 啌→うそ 嘘をついて逢引か登楼に
10237 16 -6
連弾の 唄の間に〳〵 笑ひ合
連弾→つれびき 琴や三味線の合奏
10238 16 -6
罔両の 口と耳とに 名か立て
罔両→かげぼし 影法師 陰口とか空耳とか?
10239 16 -6
白い跟の 歩行伊皿子
跟→かかと 歩行→ありく 伊皿子→いさらご 高輪の地名で麩が名産 足で踏んで作るので
10240 16 -6
壁越しの 喰付そふに 囁て
囁て→ささやいて 間の壁にぴったり寄り添って
10241 16 -6
仲人口の 鳶にする母
仲人口→悪い事はいわず善い事のみ誇大に言うたとえ☆江語辞 鳶が鷹を産んだと娘を誉める
10242 16 -6
哥詠も 水とおもはぬ 瀧の糸
哥詠→うたよみ 瀧の糸→滝の水が筋になって落ちる様子を糸にみたてた語 ☆国大 ☆そのまんまか
10243 16 -7
結納か 来ると娘に 錠か卸
卸→おり 売約済み
10244 16 -7
遠くの棒を 洗ふ生酔
生酔→なまえい 酔っぱらい 酔っぱらいの仕草?
10245 16 -7
鯵の聲 日も精進も 落る頃
精進落ちは暮六ツ 夕鰺売りが来て
10246 16 -7
西のうつらに けふ中の顔
鶉→芝居で高土間の後一帯の座席☆江語辞 宿下が今日迄?
10247 16 -7
筑广の鍋の 火ハ顔て焚く
筑广→つくま 近江筑摩神社鍋祭 関係した男の数の鍋をかぶる 鍋が多くて赤面
10248 16 -7
いくしに袴 着たる船宿
いくし→五十串 いぐし玉串☆国大 新造舟のお祓い?
10249 16 -7
肩車 上にもまハる 風車
肩車されて鬼子母神へお参り 風車は雑司ヶ谷鬼子母神名物 七五三の帯解?
10250 16 -7
親もなく 生れたやうに 美しき
人の子と思えぬ程の美人
10251 16 -7
鵜飼の火 浅妻船を いやからせ
浅妻船→あさづまぶね 琵琶湖の浅妻の遊女が乗る舟 灯りで照らされては困る ☆武一四・20
10252 16 -7
してやつた 気て肝煎ハ 立てゆく
肝煎→きもいり 周旋屋 口入業☆江語辞 商談成立で
10253 16 -7
預る顔に 訳のある顔
事情があって子を預ける?
10254 16 -7
物にもならす 繻子かほとける
結んだ帯が自然にほどけるように一人前にならず
10255 16 -7
鳳凰も 出るくらゐなら 三四月
桐は初夏花が咲くが? ???
10256 16 -7
当分聲の 低い年明
年明→ねんあき 女郎勤めの年季が終わること☆江語辞 当面は静かに暮らす
10257 16 -7
咳か届て 翠簾を洩る顔
翠簾→みす 簾から顔が出る? ???
10258 16 -7
本ンの親仁は 細工貧乏
親仁→おやじ 「細工貧乏人宝」→器用で細工の上手な人は重宝がられるが自分は貧乏という諺☆江語辞 実父は子を作っただけ?
10259 16 -7
物見のひとつ 沙汰のある顔
物見→見物すること 見るに値するもの☆国大 沙汰→たより おとずれ しらせ☆江語辞 ???
10260 16 -7
幮越しに眼を さます青麦
幮→かや 蚊屋 周囲がみな萌黄色なので?
10261 16 -8
白魚は 七月頃に はつ桜
初桜→その年最初に咲く桜の花☆国大 白魚(しらうお)は春の風物だが稚魚にとっては?
10262 16 -8
ふたれたやうな 六月の形
形→なり 暑くてぐったり
10263 16 -8
着替て見せる 娵の当分
娵→嫁 嫁入り当初は客が来ると着替える
10264 16 -8
居風呂の 礼いふ時は 素顔にて
居風呂→すえふろ 風呂桶でわかす風呂 風呂上がりなので
10265 16 -8
風呂の咄に 水をさす嫁
風呂→家庭に設けた浴場・浴槽☆江語辞 風呂だけに ???
10266 16 -8
美しく 通辞ハ啌を 取廻し
通辞→通訳☆国大 啌→うそ 取廻す→うまく処置する☆国大 通訳がごまかしても誰もわからない?
10267 16 -8
煤掃に 手をもし〳〵と 美しき
嫁入りしたばかりのお嫁さん 大掃除で何をしてよいかわからず
10268 16 -8
袖留を 着たかる娘 おもしろし
袖留→そでとめ 袖を留めること☆江語辞 ここではその着物か 普通の娘は振袖を着たがるのに
10269 16 -8
立とゝまれは あちら向く顔
立ちとどまる→立ち止まる☆ 国大 嫌われた
10270 16 -8
我侭の いハれる奉公 むつかしき
妾か旦那の手がついた下女 家のごたごたの原因に
10271 16 -8
皿の最期も 念佛聞へる
念佛→ねぶつ 割れた時のうなる音?
10272 16 -8
女房を凄く おもふ酔醒
凄い→気味が悪い ここでは恐ろしい意か 酔醒→えいざめ 昨日はどこへ
10273 16 -8
思案の顔を 蝶になふられ
☆そのまんまか
10274 16 -8
すねる娘の おもしろく寐る
娘のふて寝
10275 16 -8
憎い座頭を 雪打の敵
雪打→ゆきうち 雪合戦 金貸し座頭に意趣返し
10276 16 -8
木枕て 脊中をたゝく 罸あたり
木枕→箱枕☆国大 罸あたり→ばちあたり ???
10277 16 -8
高い敷居に 顔は捨もの
捨物→医者がさじを投げた病人☆江語辞 困難が大きくて重病人の顔に
10278 16 -8
看病に 大啌付を 連て来る
大啌付→おおうそつき 大丈夫ですよ すぐ治りますよ
10279 16 -9
いちらしく 他人か咄す 梓弓
いじらしい→けなげでいたわしい☆国大 梓弓→巫女の口寄せ 無理してる感じ
10280 16 -9
帯かけて 這入屏風に 咳ひとつ
這入→はいる 屏風に解いた帯を掛け?
10281 16 -9
前髪取ると すハる魂
若衆から野郎に
10282 16 -9
来た翌日の 娵は人形
娵→嫁 嫁いだ翌日
10283 16 -9
勧化の銭を 懐てよむ
勧化→かんげ 衆人に勧めて仏法僧に浄財を寄付させること☆江語辞 寺院への一般の寄付☆国大 懐で集まった銭を数える
10284 16 -9
油断な形リて かつく太刀持
形リ→なり 太刀持→武家で主人の刀を持ってそば近く仕える役☆国大 隙だらけの姿勢ではある
10285 16 -9
母は晦日に 千早引かけ
晦日→みそか 千早→巫女の着物 多忙で神子の母親が娘の代役 あるいは釜払いか
10286 16 -9
うき名の窻に 闇い罔両
窻→まど 窓 闇い→くらい 罔両→かげぼし 影法師 密会
10287 16 -9
泊客 着かへる頃に 火かとほり
とほり→とぼり 点り 旅籠の部屋に案内されて
10288 16 -9
分別を 逆につかふ 病上り
逆→さかさ 人を使うことに慣れてしまい?
10289 16 -9
手まねきて むかふの顔へ 呑込せ
花魁の貰い引きの合図?
10290 16 -9
中のよいのを 母の垣間見
垣間見→かいまみ 隙間からこっそり見ること☆国大 娘と筒井筒の男友達の様子を
10291 16 -9
女房に成て 遠いさかつき
☆武十一・17 「女房に成て遠い酒もり」 前は呑めた口だが結婚してからは機会が
10292 16 -9
雛店へ 雛におとらぬ 顔の来て
お人形のような可愛いお客
10293 16 -9
遣手か来ると 何喰はぬ顔
禿か新造がこっそり何か食べていた?
10294 16 -9
何所か淋しき 石女の雛
石女→うまずめ ☆そのまんま
10295 16 -9
衣更 人肌ほとな ぬれ佛
衣更→ころもがえ 四月朔日 濡仏→戸外に安置されている仏像☆国大 暑くも寒くもなく露仏も温まる季節
10296 16 -9
休む内 太鼓て仰く 盆踊
団扇のような盆太鼓というものあり☆嬉遊笑覧
10297 16 -10
盧生か梦に 獏の食傷
梦→ゆめ 食傷→食べ過ぎて嫌になること 盧生の夢は大長編なので
10298 16 -10
年の市 若やく物の 種おろし
若やぐ→新年のものとなる☆ 国大 種おろし→たねまき☆国大 年の市で新年の準備
10299 16 -10
下女を脚達に 梅を折る妻
脚達→きゃたつ 下女の背に乗って つわり?
10300 16 -10
火を吹く息の 細長い顔
火吹き竹を吹く表情
10301 16 -10
銕漿付てから 本の相談
銕漿→かね おはぐろ 先ずいつもの身支度をしてからゆっくり話しを聞く
10302 16 -10
女房ハ 西瓜切るにも 工風して
工風→くふう 子供が喧嘩しないよう同じ大きさに
10303 16 -10
来るほとな子の 年を聞く娵
娵→嫁 来る子ごとに年を訊く? 子供好きの若いお嫁さん
10304 16 -10
里披から 客椀て喰ふ
里披→さとびらき 結婚数日後に里帰りすること 嫁に行った後はお客扱い
10305 16 -10
江戸て見た 顔にけふ逢ふ 二見潟
二見潟→ふたみがた 二見浦 夫婦岩あり 名所なので偶然行き会う?
10306 16 -10
妾ハ智恵の ない方かよし
悪知恵があっては大変
10307 16 -10
出来分限 石に根継の 聟をとり
出来分限→できぶげん にわか成金☆江語辞 根継→ねつぎ 柱の根の腐った部分を他材で補強すること あとつぎ☆江語辞 石に根継→極めて丈夫なこと☆俳説ことわざ辞典 万全の後継体制
10308 16 -10
呪に 智職の杖を かりて来る
呪→まじない 智職→智識 徳の高い僧☆国大 ???
10309 16 -10
翌元服の 顔に落着
翌→あす ☆そのまんま
10310 16 -10
薬につかふ 媒の咳
媒→なかだち 仲人 婚礼で忌むべき言葉が出そうになった時注意する?
10311 16 -10
帯をかゝへて 笑ふ腰元
殿様の悪戯 あるいはお手がついて嬉しい?
10312 16 -10
紙子の似合ふ 顔の光陰
紙子→かみこ 紙の衣服 光陰→年月 「四十の紙子十日着て倦 」☆武十三・23 年輩者が着るものらしい
10313 16 -10
梦のはなしを ちくはくに聞く
梦→ゆめ ちぐはぐ→くいちがっているさま☆国大 いい加減な夢の話をいい加減に聞く
10314 16 -10
旅の手本に つかふ池上
池上→池上本門寺 ちょっと遠いので旅の練習になる
10315 16 -11
互に智恵を かりて書く文
恋文? 書く方も返事する方も友達が入れ知恵
10316 16 -11
笑ふさへ 対に笑へは 拍子あり
対→つい 二人で笑えばリズムが出来る
10317 16 -11
急度居て ぬかるふり袖
急度→きっと きちんと 居て→すわって ぬかる→抜かる うっかりして失敗する 油断する☆国大 警戒しても所詮小娘
10318 16 -11
出替の いくたひ顔の 照くもり
出替→でがわり 奉公人の交替 幾度も出会いと別れが
10319 16 -11
江戸て尋る 古郷の顔
同郷の人を訪ねる あるいは雑踏で似た顔を探す ?
10320 16 -11
恋の外にも 凄い夏痩
凄い→気味が悪い 恋煩いでなくても
10321 16 -11
霍下リて 質に取る田の 面白し
霍→つる 吉兆でもなかろうに
10322 16 -11
垣間見ハ おのれか咳に ふたをする
垣間見→かいまみ 隙間からこっそり見ること☆国大 物音をたてられぬ
10323 16 -11
暦を投て 逃る相談
借金の期限が迫る? 夜逃げの引越の吉方を決める?
10324 16 -11
凄く咄せは すこくなる夢
凄い→気味が悪い 話し方によって
10325 16 -11
灯か消へて から怖しい 智恵か出る
寝ながら出る悪い考え
10326 16 -11
衣更 姿に噂 ある日にて
衣更→ころもがえ 質から着物を出せず更衣できなかったとか?
10327 16 -11
夜の咄を 聞ほして見る
聞き干す→すっかり聞きつくす意か? 昨夜の話をあらためてじっくりきく?
10328 16 -11
釡拂 のさ〳〵と来て かしこまり
釡拂→かまばらい 巫女の類いで月末に台所で火をたき鈴を持って舞いへっついのお祓いをする
10329 16 -11
毒になる 顔を湯てすり 紅てすり
紅→もみ 紅色で無地に染めた絹布☆国大 妾の入浴
10330 16 -11
出家堅固に すハる白粥
意志が強く頑強な僧の姿?
10331 16 -11
豆腐売 木戸の封切る 組屋敷
組屋敷→御家人の集団住宅 ☆江語辞 豆腐売りが朝一番に木戸を開いてもらう
10332 16 -11
煎薬の たえぬ姿と ふりかへり
煎薬→せんやく 煎じ薬☆国大 病の絶えぬように見える人 腎虚の相か美人妻か
10333 16 -12
年忘から 覚し邯鄲
覚し→さめし 邯鄲→かんたん 邯鄲の夢 忘年会で騒いで一夜の栄華
10334 16 -12
寺の窓 とふした訳か・ 顔ひとつ
後家の来訪?
10335 16 -12
麦の丈 暦のすゑも 二三寸
末→ある期間の終り☆国大 越冬前の麦と暦の残り?
10336 16 -12
縞を着た 日ハあたゝかな 草リ取
草履取→武家などで主人の草履を持ち供をする下僕 私服の日は尻も端折らず?
10337 16 -12
傍輩は 其筈といふ 物着星
傍輩→ほうばい 同僚☆国大 物着星→爪に白斑点が出ると衣類が新調できるという 同僚の遊女が言うには
10338 16 -12
見せに来る 雛さえ顔か 大事也
いわんや?
10339 16 -12
中宿の 火を焚過す 草履取
中宿→奉公人宿 廓遊びの際着替えたりする家☆国大 草履取→武家等で主人の草履を持ち供をする下僕 ご主人を待ちくたびれて?
10340 16 -12
言訳は 母に極て 天の川
天の川→七夕 逢引の意か 母が厳しいからもう帰ります
10341 16 -12
逃込んて 柱かくしの 顔を出し
柱隠→柱の表面に掛け装飾とする細長い板や紙に書いた書画☆江語辞 柱に隠れて顔だけ出す娘
10342 16 -12
一生歯には あはぬ大判
小判みたいに噛んで真贋を試されることはない
10343 16 -12
無理にほとけは 帯も盤石
盤石→ばんじゃく 非常に堅固なこと☆国大 女性の帯を無理矢理解こうとしても
10344 16 -12
艸芳しき 中に飛神
飛神→とびがみ 他の土地から飛んで来てその土地に祭られる神☆江戸文学俗信辞典 叢の中に祠
10345 16 -12
座頭も数に 入れる目隠シ
宴席か花見の鬼ごっこで
10346 16 -12
御鷹も泊て 星のふる寺
御鷹狩の一行が寺に宿泊?
10347 16 -12
終顔の かはる四條の 借座敷
終→つい 最後に 結局☆国大 四條→京の四条通 祇園あり 借座敷→貸座敷 かしざしき 逢引きや博打のために貸す座敷 涼みに来て? ???
10348 16 -12
佛の場へ 後の身揚
仏の場→ほとけのにわ 仏事をおこなう場? 身揚→みあがり 芸娼妓が自分の揚代を払って勤めを休むこと☆江語辞 後世を願って寺参り
10349 16 -12
赤子の顔へ 絵馬の金箔
お宮参りの時いたずらで
10350 16 -12
聟ほとに 入院の和尚 覗るゝ
入院→じゅいん 僧が住職になってその寺院にはいること☆国大 覗るゝ→のぞかるる どんな住職が来たのかと
10351 16 -13
捨物にして やつて見る文
捨物→医者がさじを投げた病人 役に立たぬとして路上に捨ててある物☆江語辞 玉砕覚悟の恋文を
10352 16 -13
鐘氷る頃 物の怪の膳
妖怪の食事は深夜
10353 16 -13
髪結の 元結喰へて いそかしき
元結→もとい 髪の根元を束ねる紙や糸 喰へて→くわえて 口で引っ張りながら
10354 16 -13
聞馴て 聞ぬも淋し 鹿の聲
居ながら鹿聞ができる山奥の家で聞き飽きて
10355 16 -13
舞おさめたる 十徳の袖
舞い納める→事をうまくおさめる 場をうまく取り繕う☆ 国大 十徳→じっとく 儒者や医者や俳諧師などの外出着 ☆国大 もめ事の仲裁?
10356 16 -13
終済む事を やかましい関
終→つい 結局☆国大 あるいは すぐの意? 結局は通すのにうるさく詮議
10357 16 -13
鼻うこかして 通る鳥辺野
鳥辺野→とりべの 墓場の例え 土葬もあるので
10358 16 -13
とんすの夜着に 蔵の移リ香
緞子→練糸で製し地が厚く光沢の強い絹織物☆国大 質に入っていた嫁入り蒲団? あるいは蔵の客蒲団?
10359 16 -13
半分は日の あたる魂・棚
魂・棚→たまだな 盂蘭盆に精霊を迎えるために設ける棚 ☆江語辞 仮設なので
10360 16 -13
近付を もとへ戻して 法の道
近付→知人 親しい人☆国大 法の道→仏道☆国大 遊び仲間と袂を分かって
10361 16 -13
錦木の 少しかたふく 土竜
錦木→男が女の家の門に立てる求愛の標で取り込むと受諾 土竜→もぐらもち モグラのトンネルで
10362 16 -13
うわの空とも いはん釣夜着
うわの空→根拠のないさま☆ 国大 釣夜着→つりよぎ 夜具の重みを減らすため夜具の中央を紐で天井から吊るす☆国大 これが本当のうわの空かと
10363 16 -13
妼の かゆい所へ 手かとゝき
妼→こしもと 殿様の悪戯
10364 16 -13
土鍋の尻の われる留守㕝
留守㕝→留守事 るすごと 主人等の留守に飲食等をすること☆国大 尻を割る→悪事や秘密を暴露する☆江語辞 旦那が急に帰って来て露見?
10365 16 -13
塩断も名 代の新造
塩断→しおだち 名代→みょうだい 客の重なった花魁が新造を代理に出す 願掛けの断物まで新造を代理に
10366 16 -13
うたかひの 闇い所へ 付こまれ
闇い→くらい 疑心暗鬼のところへつけこまれ?
10367 16 -13
女は顔へ 見へる腹立
女は怒りが顔に出やすい
10368 16 -13
吉日の 飛蟻の中を 宮まいり
飛蟻→はあり 夏交尾期になって羽の生じた蟻やシロアリ☆国大 ???
10369 16 -14
五月雨 時計崩して もてあまし
退屈で時計を分解し収拾が
10370 16 -14
跟に恋の さめる出女
跟→かかと 出女→宿場遊女 他の仕事もするのであかぎれが興ざめ
10371 16 -14
鯛は素袍を 着たやうな形
素袍→すおう 直垂の一種儀礼用☆国大 形→なり 侍烏帽子とともに似ている
10372 16 -14
腹立て さす傘の ひらき過
力が入ってお猪口に
10373 16 -14
雫して居る 神子も入智恵
いんちきな湯立て? 道鏡の一件か?
10374 16 -14
旨い事 妹に言も 口ふさげ
口ふさげ→口どめ料☆江語辞 何か買ってやるから親父やお袋に言うなよ
10375 16 -14
草庵の 咄は滝に とられけり
滝の音で会話が途切れる
10376 16 -14
丸かれと おもへは長し 丸額
丸額→まるびたい 額の上の生え際を丸の上半分の形に剃ること☆江語辞 少年の髪型という 若衆が成長してしまい?
10377 16 -14
はね元結の ゆるむ湯上リ
はね元結→はねもとゆい 江戸中期に流行した女性用の元結で若い女性が好む☆国大 ☆そのまんまか
10378 16 -14
包丁も むさとつかはぬ 興津鯛
むざと→軽はずみに☆国大 興津鯛→東海道興津宿の名物 小振りという ふさわしい料理の仕方がある ?
10379 16 -14
鬘着ぬ日は 埒もない顔
鬘→かつら 埒もない→しまりがない☆国大 休日の歌舞伎役者
10380 16 -14
掛人 けふの役目は 鰹ふし
掛人→かかりうど 居候 鰹節を削らされたり
10381 16 -14
昼明て 音のせぬ戸に 腹か立
夜這の時あんなに気をつけたのに
10382 16 -14
古雛の 一年ましに 憎かられ
新しい雛人形が欲しいなと 宝暦迄は次郎左エ門雛が人気だったが次第にすたれる
10383 16 -14
琵琶の弟子 天にも地にも 只一人
蝉丸と源博雅の故事?
10384 16 -14
甘酒はなる 下戸の片腕
甘酒でさえ嫌? ???
10385 16 -14
佛力ハ もふ釣上て 鐘の聲
三井寺の鐘は弁慶が比叡山に引きずっていった後淵に沈められたが両寺和解後引き上げられたという☆江戸文学俗信辞典
10386 16 -14
寝たふりするも 遅いつら当
花魁がやっと来たので狸寝入り
10387 16 -15
唐崎へ 来ると傘屋ハ 鼻にかけ
近江八景唐崎の夜雨
10388 16 -15
薮入に 穴を明たる 春の雨
陰暦一月十六日 奉公人はせっかくの休暇なのに
10389 16 -15
帳前に かゝると娵も 飛鳥川
帳前→買手と価を呼ぶ係☆雑俳語辞典 娵→嫁 飛鳥川→心変わりの象徴☆謡曲飛鳥川 呉服店で思案?
10390 16 -15
留守ともかゝす 假名の請取
仮名→平仮名や片仮名 平易の意☆江語辞 請取→引き受け 担当☆江語辞 受け取ること 受取証書 ☆国大 ???
10391 16 -15
玉子の内は 鶏もわれ物
われ物→割れ物 ☆そのまんま
10392 16 -15
言訳の 出来ぬ所て 反かへり
開き直って胸を張る
10393 16 -15
涼の連も 雪を見た連
連→つれ 夏の夕涼みも冬の雪見も同じ仲間で
10394 16 -15
人の気を 穴へ引込む 秋の雨
気鬱になる 蛇が秋の彼岸に穴に入るように☆江戸文学俗信辞典
10395 16 -15
手桶を見ると 聟の尻込
水祝いに懲りて ☆武六・29 ☆武十四・7
10396 16 -15
江戸を一目に 香せんを呑む
香せん→香煎 薬湯の一種 茶店でも出したという 江戸見坂近くの茶店か何か?
10397 16 -15
二度に庭見る 婚禮の雪
白無垢と何か関係? ???
10398 16 -15
誰に見せても 親ハない顔
絶世の美人?
10399 16 -15
坊主に成て 見たい六月
夏は涼しそう
10400 16 -15
霜に栄たる 義士の装・束
栄たる→はえたる 装・束→しょうぞく 討入り後早朝に行進する赤穂義士
10401 16 -15
窮屈な 物にして置く 緋の袴
緋の袴→官女 神楽巫女? 脱ぎ着しにくいので貞操が堅いのよ
10402 16 -15
鱠を寒く おもふ酔醒
鱠→なます 酔い醒めに温かいものが欲しい?
10403 16 -15
御室の文字を 茶碗から知る
御室→おむろ 仁和寺の異称 ☆国大 御室焼という仁清がはじめた陶器あり こんな字を書くのか
10404 16 -15
日を受て 隣へほうる 雪の竹
雪の重みでたわんでいた竹 日が昇ると跳ね返る
10405 16 -16
表徳て呼ふ 闇の中よし
表徳→ひょうとく 表徳号の略 雅号 あだ名☆国大 悪友があだ名で呼び合い夜遊びへ
10406 16 -16
熨斗目仕立る 側に切張
熨斗目→のしめ 麻上下の下に着る武士の小袖☆国大 切張→障子等の破れた部分を切り取りはりかえること☆国大 貧乏武士も装束が大切
10407 16 -16
除夜元日ハ 年の唇
合わせ目?
10408 16 -16
針妙の 智恵のくたつく 積リ物
針妙→一般家庭の裁縫師 ぐたつく→態度がきちっとせずよろよろしている☆大辞林 積リ物→見積もって注文を受けたもの☆国大
10409 16 -16
秋を五衰と おもふ囲ハれ
五衰→天人の五衰 囲ハれ→僧の隠し妾 仏事多く和尚が多忙で
10410 16 -16
音頭取 臼にあふなく かしこまり
臼の上に乗って音頭を取っていたがバランスを崩してすわりこむ?
10411 16 -16
八卦の銭の 二くたり半
八卦銭→八卦が刻まれた銭で護符か何からしい ???
10412 16 -16
黒牡丹とハ しらぬ小原女
黒牡丹→牛の異名 唐の劉訓の牡丹を賞美した時水牛を黒牡丹といった故事から☆国大 黒木売りの小原女も牛を連れているが
10413 16 -16
新地の大屋 蒼朮をたく
新地→新開地 蒼朮→そうじゅつ 焚いて湿気を払う薬草 埋立地で湿気が多いので
10414 16 -16
年波も おもへハ盆も 浅瀬川
浅瀬川→宇佐八幡付近の川? ???
10415 16 -16
牡丹ほと着て 肖柏か旅
肖柏→しょうはく 牡丹花肖柏 室町の連歌師 ☆国大 牡丹の花のように着重ねて
10416 16 -16
橋からハ 船の喧嘩を 涼しかり
両国橋から夕涼みがてら屋形船か屋根舟の喧嘩を眺める 橋の上の方が涼しいってもんだ
10417 16 -16
貧乏によく 生た八十
生た→いきた 生涯金に無縁だった
10418 16 -16
世の盛衰を 洗ふ帋漉
帋漉→紙漉 かみすき 反故を浅草紙に漉き直す 古い手紙とか流行の草紙とか
10419 16 -16
出来立の日の あたる礼服
正月の登城か年礼に新年の日の光が
10420 16 -16
関の持薬の 陶て来る
陶→とっくり ストレスで薬も多用? あるいは暇な関所でこっそり昼酒?
10421 16 -16
橋奉行 先甲子の 上座にて
先→まず 甲子→きのえね 大黒の縁日 橋板の三枚目に大黒の像を刻み祭れば富貴になるという☆江戸文学俗信辞典 橋普請のお奉行に板を貰い
10422 16 -16
鼻にかけたる 姉分の顔
新造が姉分の花魁の自慢をする?
10423 16 -17
古ひ物 とてハ新地の 蓮斗
新地→新開地 斗→ばかり 池の蓮以外は近頃できたもの
10424 16 -17
喜連川 四も五も喰ぬ 渡し守
喜連川→きつれがわ 下野国塩谷郡の宿場 奥州の大名が通る時藩主が待っていて泊まらせる? 四も五も喰ぬ→煮ても焼いても食えぬ
10425 16 -17
夫婦の六部 よく〳〵の罪
六部→ろくぶ 廻国の修行者 ☆江語辞 夫婦揃ってとは
10426 16 -17
三人寄れハ 悪智恵な妾
文殊の知恵ならぬ
10427 16 -17
見せ馬も 三度に成れハ 面白し
見せ馬→別の馬を売りつけるために見せる替え玉の馬 見合いの替え玉になるのも最初は嫌だがだんだん面白く ?
10428 16 -17
分別も 近道行ハ 屑たらけ
楽をする智恵が働く人間にろくな者はおらん
10429 16 -17
山帰来 とう〳〵江戸の 水に飽
山帰来→梅毒の薬という 花柳病に懲りて江戸が嫌に
10430 16 -17
娵の田唄の 細長い聲
田唄→田植え唄 若くてよく通る声?
10431 16 -17
里問へは しらぬ女房の 美しき
遊女上がりか
10432 16 -17
並木の枩に 歯のたゝぬ秋
枩→松 松並木は紅葉せず
10433 16 -17
女の奢 私てなし
奢→おごり ぜいたく 私→自分一人に関係あること それも家のため夫のため
10434 16 -17
隠居へ娵を 仕廻ふ結納
虫がつかぬよう隠居所に入れるような扱い?
10435 16 -17
木母寺へ 片付て置く 江戸の秋
木母寺→もくぼじ 梅若忌は三月十五日だが? ???
10436 16 -17
妹の 先へ嫁入るも 逆の峯
嫁入る→よめる 逆の峯→ここでは逆の意 姉より先に嫁に行く
10437 16 -17
何里にむかふ 鞠の草臥
向かう→匹敵する 蹴鞠で走りまわって何里も走ったのと同じくらい
10438 16 -17
我家の敷居 高い蕣
蕣→あさがお 遊廓から朝帰りで家に入りにくい
10439 16 -17
踊子に 振廻う膳も 輪に居へて
輪踊りの後で膳も輪に
10440 16 -17
杣は子を 猿よ〳〵と 呼子鳥
杣→そま きこり 呼子鳥→ここでは呼ぶの意か ☆そのまんまか
10441 16 -18
夏の四條の 夜ハ夜てなし
四條→祇園町あり 夜も賑やか
10442 16 -18
座頭の媒 見たやうにいふ
媒→なこど 仲人 見てはいないが
10443 16 -18
腹のたつ のも因まての 懸リ人
因→咽 のど 懸リ人→かかりうど 居候 不満を声に出すことはできず
10444 16 -18
本復に 髪を抓て 笑ふ也
抓て→つまんで 病で伸び放題
10445 16 -18
一夜つゝ 夜寒からせる きり〳〵す
きりぎりすの声でひとしお寒く感じる
10446 16 -18
牛ともに 添て小原の 丙午
添て→そえて 丙午の大原女の黒木売りが牛とともに来る?
10447 16 -18
あつらへに降る 八朔の雪
誂え→注文して作らせること ☆江語辞 吉原の八朔の白無垢
10448 16 -18
夫とも 兄ともしれぬ 掛リ人
掛リ人→かかりうど 居候 外から見ると誰なのか
10449 16 -18
病上リ 工風して置く 紺屋形
紺屋形→こんやかた 紺屋の染め模様の見本帳 そろそろ外出着を拵えようと
10450 16 -18
甲子に 戴て踏む 橋涼
甲子→大黒の縁日 橋涼→はしすずみ 将来橋板の三枚目に大黒様が刻まれるかもしれないので
10451 16 -18
朔日か 有て晦日ハ 結ひ髪
朔日→ついたち 結ひ髪→結わずに巻きつけただけの髪☆江語辞 朔日は祝日でちゃんと結うので?
10452 16 -18
寐に戻る 戸ハからくりの 音頭取
からくり→計略 夜通しの踊りが終り朝帰り音をたてずに戸を開け入る
10453 16 -18
異見としらて 大把に来る
大把→おおたば はでに異見されるとも知らないで
10454 16 -18
俎板の 裏も色付く 番椒
俎板→まないた 四脚の調理板☆江語辞 番椒→蕃椒 とうがらし 裏へ染み通りそうに赤い?
10455 16 -18
新地の無尽 蛙ほと寄る
新地→新開地 無尽講にそこらの池の蛙のように人が集まる
10456 16 -18
頃たつ娘 疵てない疵
頃立つ→ころだつ 相応に成人する 相応に仕事や境遇に馴れる☆江語辞 少しは噂もあって当然
10457 16 -18
陶かくす 娵の袖笠
陶→とっくり 袖笠→袖を笠がわりにする 飲ん兵衛亭主が見つけぬよう
10458 16 -18
楼船 皆空蝉の 秋の川
楼船→やかたぶね 空蝉→うつせみ 蝉の抜け殻 夕涼みの季節が終わり閑散
10459 16 -19
鉢たゝき 旨い咄を 聞て来る
鉢たたき→年末に鉦や瓢箪を叩き勧進する空也僧 あちこち廻るので噂咄を?
10460 16 -19
揚屋に家老 よく〳〵の事
殿様を諌めに国家老が廓へ
10461 16 -19
地黄と聞て 笑ふ三十
地黄→地黄丸 強精剤 三十にして立つので不要
10462 16 -19
蚊屋の外 夜伽の夢の かけ廻リ
病人についているのが退屈で
10463 16 -19
相傘ハ まし〳〵とした 道具也
相傘→相会傘 一本の傘を男女両人でさすこと☆江語辞 まじまじ→平然たるさま☆江語辞 この時代ではいい度胸
10464 16 -19
小尻に疵の 付し蓬生
小尻→鐺? 垂木の端☆国大 蓬生→よもぎう 草深い荒れた地の家軒が低いので物がぶつかる?
10465 16 -19
ほや〳〵ハ 牡丹餅てさへ 面白き
牡丹餅→見目麗しくない女性 搗きたてあるいは新婚ならば ?
10466 16 -19
送て出れハ 低くいふ医者
これは予断を許さぬ容態です
10467 16 -19
調市も狢 穴の言訳
調市→でっち 狢→むじな 若旦那も丁稚も一つ穴の狢
10468 16 -19
盧生か梦の 覚て書出し
梦→ゆめ 書出し→勘定書☆江語辞 黄粱飯のお勘定お願いします
10469 16 -19
美濃帋ほとな 六月の滝
美濃帋→美濃紙 みのがみ 障子紙などに使う薄い紙 水量が少なくて透けて見えそう
10470 16 -19
庵の佛の 光る十月
十月は仏事多し 仏様もよく磨かれて
10471 16 -19
佛にも 指をさゝれる 郭公
郭公→ほととぎす 灌仏会の仏様が空の時鳥を指さす
10472 16 -19
咳ひとつ 二階の闇に 突当り
そこで何しとるんだ
10473 16 -19
女房と紋の しれる傘
女房が家の傘もって迎えに
10474 16 -19
三人寄ると 智恵の大詰
文殊の知恵ならぬ吉原行き
10475 16 -19
四十の妻の ちんまりと寐る
いろいろ苦労して
10476 16 -19
鵲の 橋を見て居る 物案し
鵲→かささぎ 鵲の橋→天の川 物案し→ものあんじ 逢われぬ恋を?
10477 16 -20
最ふ年の 極意とおもふ 九十の賀
最ふ→もう 長寿の奥義を極めた
10478 16 -20
妾の異見 終り初物
終り初物→季節の終り頃にできる野菜や果物を初物同様珍重していう☆俳説ことわざ辞典 最後に妾にまで異見されてとうとう反省?
10479 16 -20
亦唇へ もとるしつけ苧
しつけ苧→しつけそ 新調の衣服の仕立が狂わぬように縁を粗く縫っておく麻糸 ☆江語辞 縫う時も外す時も口で
10480 16 -20
下戸の建たる 蔵も分散
分散→破産 下戸の先代の身上を上戸の息子が潰す あるいは上戸でなくても破産する時はする 「下戸の建てた蔵もなし」☆諺 をきかす☆俳説ことわざ辞典
10481 16 -20
白粉も 紅粉もおもへハ 怖いやつ
白粉→おしろい 紅粉→べに 皆これで迷う
10482 16 -20
出替に 妻のなみたの 美しき
出替→でがわり 奉公人をねぎらって送り出す奥様
10483 16 -20
雨しんと みんなやかたハ 死て居る
しんと→静まりかえっているさま☆国大 雨で川遊びの屋形船がひま
10484 16 -20
十二月 人のこゝろも 短くて
掛取で短気に
10485 16 -20
門松建て 売蔵の札
年末に破産
10486 16 -20
玉棚へ来て かしこまる瞽女
かしこまる→しゃがみこむ? 瞽女→ごぜ 日頃は無いのでびっくりして
10487 16 -20
毒断と おもへハ顔も おそろしき
毒断→どくだて 病気に毒となる飲食物を一切飲食しないこと☆江語辞 美人の女房
10488 16 -20
能分別も 持たす切鍛冶
能→よい 切鍛冶→刀鍛冶☆雑俳語辞典 刀の使い方も教える?
10489 16 -20
寒い端午に 寒い侍
五月五日袷から単衣へ 寒くても替える
10490 16 -20
夫婦とも 他人ともなる 従弟中
従弟中→いとこなか 従兄弟同士の間
10491 16 -20
初松魚 女の料る 魚てなし
初松魚→はつがつお 料る→りょうる 料理をする ☆江語辞 高い初鰹を買うのは大抵男
10492 16 -20
悋気を乳母か 口て助太刀
乳母がお内儀に加勢
10493 16 -20
あつま下りに 馬の草臥
☆そのまんまか? 東下りの絵は馬上に狩衣・冠 ☆川柳辞彙
10494 16 -20
一理屈ある 横笛の肘
ただ張っているのではない 肘をしめると操作しにくい?
10495 16 -21
誰差図 するともなしに 踊の輪
誰差図→たがさしず 自然発生する踊りの輪
10496 16 -21
幮釣れば 座敷の内も 廻リ道
幮→かや ☆そのまんま
10497 16 -21
欲深くなる 年ハ八十
ここまで来たら米寿を目指す
10498 16 -21
毒かあるとは 言にくい医者
側に腎虚の毒が
10499 16 -21
恋衣 目口かわきか 縫て居る
恋衣→恋する人の衣服☆国大 心から離れぬ恋のたとえとも 目口乾き→他人のあらさがしばかりしたがる性癖☆江語辞
10500 16 -21
出替や おもへは春の 銀河
出替→でがわり 三月四日五日の奉公人の交替 銀河→あまのがわ 牛を連れた故郷の兄が下女を迎えに来る
10501 16 -21
従弟もちよつと 障るわる口
従弟も遊び仲間で?
10502 16 -21
早乙女の子の 笊て見る夢
笊→ざる 田植えの間子を笊の中に寝かせておく
10503 16 -21
香せんの ぬけからへ入る 番椒
香煎→こうせん 薬湯の一種 番椒→とうがらし ???
10504 16 -21
唄にうたハれ そうな掛人
掛人→かかりと かかりうど 居候☆江語辞 何故か暢気に暮らしている
10505 16 -21
疱瘡神の 惚そうなかほ
赤い顔? 疱瘡の時は赤い物を揃える俗信あり
10506 16 -21
女房の呵る 浅草の無理
浅草寺参りか年の市を名目に吉原へ行こうとして
10507 16 -21
尾長鳥 かし三弦に いやかられ
尾長鳥→なくと雨が降るという かし三弦→かしさみせん 花見で雨にあうと痛むので
10508 16 -21
涼台 毒と薬の 中に居へ
居へ→すえ ???
10509 16 -21
顔つくて済む 奉公の無理
顔ずく→信用や体面を有効に使うこと☆国大 人宿の主人に常連客が無理を頼む?
10510 16 -21
毒断に 尻やけ猿の 名を取て
毒断→どくだて 病気に毒となる飲食物を一切飲食しないこと☆江語辞 尻焼猿→物事に飽き易く仕遂げない人☆江語辞 長続きせず
10511 16 -21
結ふの神に そつとあやまる
結ふの神→ 男女の縁を取り結ぶという神 無理な縁談をまとめた仲人
10512 16 -21
鬼灯の 根を出して居る 雨舎
鬼灯→ほうずき 雨舎→あまやどり 誰かが前に雨宿りしていた時に捨てた種から根が あるいは鬼灯に夢中で長居
10513 16 -22
織姫の かさねたんすも 恥しき
重箪笥→二つ以上重ねて一棹になる箪笥☆国大 借し小袖といって七夕様に着物を飾ってお貸しすると衣装持ちになるという 欲張りなようで?
10514 16 -22
鍵さきをして 帰る蓬生
鍵さき→かぎざき 蓬生→よもぎう 草深い荒れた地の家 枝が出ていたりして
10515 16 -22
五人となれは むつかしい智恵
四人の鞠足と幇間の鞠崩れ?
10516 16 -22
百姓の 汗は稲葉の 露と消へ
お年貢で
10517 16 -22
分別も 其日〳〵の 掛リ人
掛リ人→かかりうど 居候 その日暮らし
10518 16 -22
てんほに建た 錦木か咲
天歩→てんぽ 一か八か運任せにすること☆江語辞 だめもとで立てた錦木で恋が成就
10519 16 -22
なくさみに 四五間游く 垢離の跡
游く→およぐ 垢離→こり 隅田川で千垢離のついでに水泳
10520 16 -22
何所ては 唇うこく 空寝入
何所→どこぞ 狸寝入り
10521 16 -22
無沙汰した 門を尋る 俄雨
傘を借りようと
10522 16 -22
奇麗に淋し 参宮の留守
伊勢参宮の留守は浮気厳禁
10523 16 -22
みいらもとらす 大雪の宿
宿→利用者に密かに便宜を与える家☆江語辞 木乃伊取りが木乃伊になるような遊び仲間も雪で来れない? ???
10524 16 -22
師走の町に 魚の罔両
罔両→かげぼし 節分に門口に挿す鰯の頭? ???
10525 16 -22
くつと〆て 怖しい京
〆て→しまって 京は吝嗇
10526 16 -22
油を次に 妓有の大跨
妓有→ぎゅう 妓夫? 跨→また 遊廓で若い者が無遠慮に行灯の油を注ぎに来る
10527 16 -22
追人の内に 交る媒
追人→おって 媒→なこうど ☆武十・10 娘の駆け落ちは仲人にも責任問題
10528 16 -22
直きりころすか 旅のなくさみ
直きり→ねぎり 旅籠や出女と価格交渉するのも旅の醍醐味
10529 16 -22
白雨に 夜の四條を あやまらせ
白雨→ゆうだち 雨宿りから祇園町へ
10530 16 -22
いろ〳〵になる 立聞の顔
聞き耳を立てたり笑いをこらえたり
10531 16 -23
神代より 柳桜は 言名附
言名附→いいなずけ 「みわたせば柳桜をこきまぜて都ぞ春の錦なりける」☆素性法師 同じ季節に見頃
10532 16 -23
箸帋も くる〳〵巻の 掛リ人
箸帋→箸紙 箸を包む紙☆雑俳語辞典 掛リ人→かかりうど 居候 ☆武十七・7 紙で適当に
10533 16 -23
咳ひとつ 娘の為の 鳴子にて
虫がつきそうになったら畑の鳴子のように
10534 16 -23
飛やうに 見へる蘇銕の 罔両
蘇銕→そてつ 罔両→かげぼうし 嵐で揺れる蘇鉄の影
10535 16 -23
棚経の 物さわかしき いとま乞
はやく次の檀家へ行かねばと慌ただしい盆の棚経の僧
10536 16 -23
撫子の 上へ落ても はつかしき
撫子→なでしこ なでるようにかわいがっている子 ???
10537 16 -23
煤掃を 仕廻ふと冬の 気てもなし
煤掃→十二月十三日の大掃除 終わればもう春が近い
10538 16 -23
鑓にゆるしを やつて浪人
鑓→やり 許→ゆるし 免許☆江語辞 弟子に免許を与えて辞す?
10539 16 -23
夕部尋た 針は行燈
夕部→ゆうべ 行燈→あんどん 無くした針は行燈の紙に刺してあった
10540 16 -23
世の中の 小言を聞に 栗の花
せっかく咲いたのに匂いとかでいろいろ言われる?
10541 16 -23
面白く 吊ふ物は 鯨にて
吊ふ→とぶらう とむらう 解体が見もの いろんな材料になる
10542 16 -23
年中に 草蛙のたえぬ 馬喰町
草蛙→わらじ 馬喰町→ばくろちょう 田舎の訴訟人が宿泊
10543 16 -23
勘当の 蓼も茗荷も 間に合す
高級料理も無縁の身の上になってしまえば
10544 16 -23
親のつくした 椀箱の文
尽す→ばかな事を言う 愚かな事をする☆江語辞 余計な助言が記されて? ???
10545 16 -23
顔の直段の もめる三月
直段→値段 奉公先を決めるのに
10546 16 -23
松風の 方かよつほと いくしなし
行平が村雨に手を出した時点で怒るべき?
10547 16 -23
癪も痞も みんな岩はし
癪→しゃく 痞→つかえ 病気や精神的悩みで胸が苦しいこと 岩橋→葛城の神の伝説から夜の意?「絶え」の縁語で中断の意?
10548 16 -23
仲人の 口癖にいふ 石の上
☆武二・34 「石の上にも三年」☆俳説ことわざ辞典 辛抱が大切と
10549 16 -24
むかふへ音の すたる高輪
すたる→面目や名誉が失われる 捨てられる すたれる ☆国大 座敷が海に面しているので?
10550 16 -24
軒号て 仕ハれて居る 掛リ人
軒号→けんごう 雅号で何々軒☆国大 任う→つかう 仕える☆国大 掛リ人→かかりうど 居候 本名も呼んで貰えず
10551 16 -24
葛城の 道は合点の 草リ取
草履取→武家などで主人の草履を持ち供をする下僕 「岩橋も手前てかけるそうり取」☆武十四・2 葛城の神の岩橋伝説から夜道を熟知?
10552 16 -24
江戸中の手の うこく七種
七草粥 一月六日の夜と七日の朝薺を俎板におき打ち唄いはやす☆江戸文学俗信辞典
10553 16 -24
母を定規に つかふ裁物
裁物→たちもの 布や紙などをたち切ること☆国大 母親の身体で大体の寸法を
10554 16 -24
居続の 隣に繪師の 咳拂
居続→いつづけ 咳拂→せきばらい 浮世絵描きが花魁の絵の仕事をしたいので
10555 16 -24
冬の月 みんな手のない 罔両
罔両→かげぼうし 寒いので懐手で眺める
10556 16 -24
毒断の 内はふた間に 蚊屋を釣
毒断→どくだて 病気に毒となる飲食物を一切飲食しないこと☆江語辞 房事禁止で別々に寝る
10557 16 -24
口留をして 二挺借る駕
吉原行き 連れて行ってやるから内緒だぞ
10558 16 -24
看病に ある夜さんけを 仕過して
さんけ→さんげ 懺悔 過去の罪悪を仏や人に告げ悔い改めること☆江語辞 弱気になりうっかり看病人に秘密を
10559 16 -24
寒いこたつに 捨たるふり袖
捨たる→すたる 面目や名誉が失われる 捨てられる☆国大 炬燵の色事が不首尾?
10560 16 -24
雛店へ来る 箱入の顔
箱入り娘が箱入りの雛を
10561 16 -24
鰒よりも 枕のこわい うき世也
鰒→ふぐ 女のほうが怖い 鉄砲見世とか? 河豚も鉄砲というが
10562 16 -24
井の端の 桐にひかへし 瓜の網
???
10563 16 -24
紅毛の 登城に蝿の 付て来て
紅毛→阿蘭陀人の異称☆国大 三月一日頃阿蘭陀人江戸城登城 「通辞か膝に付て来る蠅」 ☆武十六・2 異人蔑視?
10564 16 -24
行燈て 髪結内に また今年
今年も正月用の髪を結っているうちに年を越して?
10565 16 -24
虚無僧の 顔へこまかに 日かあたり
虚無僧→こもそう こむそう 編笠を漏れる光
10566 16 -24
吉原は 寝に行所 寝ぬ所
花魁に振られたりもてたり
10567 16 -25
奉加帳出す すゑのまつ山
末の松山→契り変らぬ意 経済的な保証を要求?
10568 16 -25
子の顔を 顔て撫るも いとま乞
離婚か旅立ちか 子に頬ずり
10569 16 -25
淋しく居る 尼の上客
居る→すわる 上客といっても接待されるわけでもなし
10570 16 -25
木櫛に留守を 遣ハせる智恵
留守を使う→居留守を使う 黄楊の櫛とか持っていても痛むのが嫌で人に貸さない?
10571 16 -25
くらい所て 梦のせんたく
梦→夢 洗濯する→調べる☆江語辞 ☆武十七・6 目が覚めて夢を思い出してみる
10572 16 -25
消るあかりも 仲人の内
新郎新婦を屏風に入れて灯りを消すのも仲人の仕事 あるいは灯りが消えて男女の仲が急接近
10573 16 -25
金魚銀魚の 中に銭亀
金と銀と銭
10574 16 -25
憎ひと言ふ字 舅から出る
聟の芋田楽が発覚? ☆武十七・15
10575 16 -25
艸履取 綻ひ縫つて 衣かへ
草履取→武家などで主人の草履を持ち供をする下僕 綻ひ→ほころび 袷や単衣を自分で繕う ☆武十七・4
10576 16 -25
たま〳〵妻の 出懸ツて降
珍しく妻が外出しようとすると雨が ☆武十七・4
10577 16 -25
紺屋の嘘も 誉らるゝ出来
紺屋の嘘→紺屋の明後日 待った甲斐があった染め上がり ☆武十七・6
10578 16 -25
鷹狩の野に かたまらぬ竈
竈→くど かまど へっつい移動するので? ☆武十七・14
10579 16 -25
祝ひ日の 気を引立る 酢の匂ひ
祝い日→一日と十五日と二十八日 小豆飯を炊き子供は服装を改め女は白粉☆江戸文学俗信辞典 単にめでたい日の料理? ☆武十七・14
10580 16 -25
赤ひ信女の 又ひとり産
赤ひ信女→後家 ☆そのまんま
10581 16 -25
白雨も 御祓を降るか おん詰リ
白雨→ゆうだち 御祓→みそぎ 六月晦日の夏越の祓頃が夕立の降り終い
10582 16 -25
利久か誉て 匁の軽い水
利久→利休 匁→め 銀貨の単位匁の略☆国大 目→秤や升で計る量☆国大 利休が誉めたので値上りした湧き水 同じ代価では以前より少量しか買えない
10583 16 -25
笹に四手 青いうちにハ うたかハれ
四手→しで 注連縄や玉串の紙☆国大 青い→未熟だ 拙い☆江語辞 湯立ての巫女が下手だとご託宣が信用されない?
10584 16 -25
跡にねかひの 寺に逗留
代参の奥女中の密通? 後世を願うべき寺参りを名目に
10585 16 -26
能ひ思案 黒羽二重の 切る時
能ひ→よい 黒羽二重→通人が好んだ着物 遊び卒業を決意?
10586 16 -26
渡し場て聞く 三所の鐘
石町・寛永寺・浅草寺の時の鐘 江戸全体で九カ所あり☆江戸名所図会
10587 16 -26
はたちに成ツて 怖くない闇
女の厄年十九が過ぎて
10588 16 -26
帋燭てハ 足らぬ女の いとま乞
帋燭→紙燭 紙縒製の照明具 別れの挨拶が長びいて行灯が要りそう
10589 16 -26
仲人ハ たとへる皃に 皺をよせ
縁談の相手は誰に似た顔かと問われて
10590 16 -26
家中に 突出されても 物着星
物着星→ものきぼし 爪に白斑点が出ると衣類が新 調できるという 家族から愛想を尽かされかかっているのに?
10591 16 -26
紅閨を 踏んてハ笑ふ 最上川
紅閨→婦人の寝室☆国大 最上川→さかさことばの意? ☆雑俳語辞典 ???
10592 16 -26
有明も きせるの届ク 程に置
有明→有明行灯の略☆江語辞 夜明けまで灯しておく行灯 行灯から煙草の火を
10593 16 -26
朝皃の 垣ハ女房の 気に任せ
朝顔は女房の自由に
10594 16 -26
八景の かなめもぬけて 帰る厂
厂→がん 近江八景堅田の落雁
10595 16 -26
落鮎に 鵜飼か妻の 顔さひて
錆びる→秋に鮎の背の色が赤茶けた色になる さびれる ☆江語辞 鵜匠の妻の顔色も
10596 16 -26
衣紋坂 帰りに付た 名てハなし
吉原に入る時にこのあたりで衣紋をつくろったからという ☆江戸文学地名辞典
10597 16 -26
娵の手の はしめて知れる 銀川
娵→嫁 手→筆跡 銀川→あまのがわ 七夕の短冊で 能書でも見る機会がなかった
10598 16 -26
綻を 縫すに置も 下こゝろ
綻→ほころび 縫す→ぬわず 縫って貰うのを口説く機会にしようと
10599 16 -26
酢の過て居る 梅沢の嫁
酢が過ぎる→度がすぎる☆江語辞 梅沢→大磯と小田原の間の間の宿 梅多し☆川柳辞彙
10600 16 -26
寒念仏 昼ハすかたを 竿にかけ
寒念仏→かんねぶつ 寒中三十日間夜中に念仏を唱えて歩く行 格好をすっぽり脱いで掛ける
10601 16 -26
遣ひ出のある 閏極月
遣ひ出→つかいで 閏極月→うるうごくげつ 閏十二月があれば掛取の来るのが遅くなる?
10602 16 -26
貰ひ切るまて 押入の皃
嫁入りの支度金が全額貰えるまで顔を見せない?
10603 16 -27
看病を ゆるされる日の あちき無キ
許す→解放する 許可する ☆国大 もう看病につかなくてもよくなって少し淋しい
10604 16 -27
薄着して居る うすひ唇
唇の薄い者は多弁という 蓮っ葉でおしゃべりな女
10605 16 -27
骨牌の手にも 扣く手か有
骨牌→かるた 扣く→たたく だます☆江語辞
10606 16 -27
腮を突出す 舟のあいさつ
腮→あご 船上で体勢を崩さぬよう あるいは舟同士の挨拶?
10607 16 -27
八卦しろりと 十九二十五
厄年の人を占う易者
10608 16 -27
百夜の小町 素人てなし
深草少将の百夜通い 花魁の手練手管に近い
10609 16 -27
出口から 秋の由断を 散て見せ
由断→油断? 遊廓の出口か? ???
10610 16 -27
米の祝ひも ひねに成婆〻
米の祝い→米寿☆国大 ひね→古くなったもの☆国大 意地悪婆さんで
10611 16 -27
喰足らぬ 庵へ四五日 芥川
女を連れて行く?
10612 16 -27
後の水鶏の 傘さして来る
水鶏→くいな 鳴き声が戸を叩く音に似ているという☆国大 客人が傘をさして訪問?
10613 16 -27
七景に 留守を預て 帰る厂
堅田の落雁が近江八景の残りに
10614 16 -27
学寮の 外ハ氷柱の 折る音
学寮→寺院で僧侶が修学する所☆国大 氷柱→つらら ☆そのまんまか
10615 16 -27
帰依僧の 手なら足なら きり〳〵す
帰依僧→きえそう ある人が帰依している僧☆国大 檀家の僧が痩せているさま?
10616 16 -27
温泉の戻リ 谷へ骨牌を 投捨て
温泉→ゆ 骨牌→かるた 湯治場の暇つぶしはもう不要
10617 16 -27
ふつ付る 鼠の罠に 夜か更て
驚いて鼠に投げつける
10618 16 -27
目出度さの 口もとをする 小豆飯
口元→一番手前 とっかかり ☆江語辞 娘の初花は将来の目出たい事の始まり
10619 16 -27
座頭の騒き 真直に立ツ
騒ぎ→騒ぎ唄の略☆江語辞 宴会で騒ぎ唄になった時の座頭の仕草 あるいは騒動の時の仕草?
10620 16 -27
恋の深みの 高か首たけ
高→量 総計☆江語辞 首っ丈→深く惚れ込んでいること☆江語辞 文字通り首のとこまで深みにはまる
10621 16 -28
島原の 子にすこさるゝ 鉢たゝき
☆東岳之部 島原→京の遊廓 子→芸娼妓☆江語辞 すごす→養う☆国大 鉢たたき→年末瓢を叩いて勧進する空也僧 洛中を廻る
10622 16 -28
女房の 崩しはしめハ むすひ髪
結び髪→結わずにくるくると巻きつけただけの髪☆江語辞 嫁入りした頃は髪もしっかり結っていたが次第にだらしなく
10623 16 -28
是ほとの 春にうるさき 伊勢乞食
伊勢乞食→伊勢神宮参拝者に物乞いする乞食 倹約な伊勢商人を江戸者がねたんでいう語☆国大 遊ぶべき時の吝嗇を非難?
10624 16 -28
生キたほと出す 祐乗か馬
祐乗→ゆうじょう 目貫など金工の名人後藤祐乗 細工の馬に本物の馬と同じ位の値が
10625 16 -28
袖を留れハ 腰かたましゐ
留袖を来た時のスタイルの要所?
10626 16 -28
長閑さに 妙義の御詫 聞人なし
長閑さ→のどかさ 御詫→御託 ごたく 聞人→ききて 亀戸天神妙義社の正月初卯? 髷に挟む雷除の神符の話を?
10627 16 -28
短く成て 届く言伝
伝言ゲーム
10628 16 -28
肩衣て 娵を見立る 本願寺
肩衣→かたぎぬ 十一月真宗本願寺の報恩講 男は肩衣女は帽子でお見合いの場でもあった
10629 16 -28
相傘の 丈もこゝろも 同とし
相傘→相会傘 一本の傘を男女両人でさすこと☆江語辞 同とし→おないどし 相思相愛の似合いのカップル
10630 16 -28
毛見の鎗 稲葉の雲の 中を行
毛見の鎗→けみのやり 稲葉の雲→田一面の稲穂が揺れるさま 検見役人一行が田の中をいく
10631 16 -28
乳母の暇は 夜の内に出す
暇→いとま 坊っちゃんが寝ているうちに
10632 16 -28
夫婦けんくわの 中へ斎僧
斎僧→ときそう 仏事に来る僧? 斎→仏事☆国大 取り込み中に法事の坊さんが
10633 16 -28
女狸に 気遣はなし
女狐は要注意だが
10634 16 -28
手代の伊達は 余所へ預ケる
中宿という遊所通い途中の休み場所に黒羽二重の着物を預けておく
10635 16 -28
足袋をうつちやる 寺の近道
うっちゃる→捨てる 放り出す☆国大 田の中を行く? ???
10636 16 -28
鼻斗 隙な三井の としの暮
斗→ばかり 呉服店の奉公人は目も口も手足も大忙し
10637 16 -29
未塵つもれは 鐘になる神
未塵→みじん 「微塵積れば山と成る」☆諺 神→幇間 紙花を貰いながら朝迄つきあう幇間?
10638 16 -29
たま〳〵ぬれる 庵の俎板
たまたま→たま まれ☆江語辞 滅多に料理などしない
10639 16 -29
紺屋つらめと ちれる五月雨
づら→人名について罵る語 ☆国大 長雨で紺屋の明後日の連続
10640 16 -29
互にわらふ 𧝒の綻
𧝒→よぎ 夜着? 夜着→掛け布団にする着物型のもの 綻→ほころび 何で破れたか
10641 16 -29
焼塩に 成てもやはり 浪の色
やっぱり白い
10642 16 -29
美し過て にくい傘
にくい→気がひける☆国大 「うつくし過て入れにくい傘」☆武五・10 傘に入れてあげたいが美人で気後れ
10643 16 -29
十九と九十 面白い年
女の厄年と卒寿
10644 16 -29
呵られにたつ 船の真中
三十石夜船の混雑 足を踏むなよ
10645 16 -29
籔へ枕を はこふ六月
暑いから? 二十四孝か? ???
10646 16 -29
薬か利て 来ると六十
利て→きいて 「六十にして耳順う」☆論語 異なる意見を素直に聞ける意 世間という薬が効いてきて
10647 16 -29
枕にもめの 出来る庚申
もめ→もめごと☆江語辞 庚申の夜は房事禁だが
10648 16 -29
他人の眼にも 苔のない墓
よく世話されている墓?
10649 16 -29
持て来たほと 置て来た娵
娵→娵 訳ありの持参嫁 「持て来た聟置て来た物」☆武十一・20
10650 16 -29
わすれた意趣を 受る煤掃
意趣→恨み 煤掃→十二月十三日の大掃除 振った下女とかが恒例の胴上げで
10651 16 -29
枯野の果に 島原を吐く
島原→京の遊廓 ???
10652 16 -29
土蔵の中ハ またしらぬ娵
実は夫の兄が放蕩で座敷牢に あるいは蔵の管理は姑の権限 ?
10653 16 -29
砂を摺る 牧の毛付の 硯石
牧の毛付→まきのけづけ 毛付→陸奥国などの牧場から馬を奉る時毛色を書き留めること☆国大 硯石→硯☆国大 屋外で書くので硯に砂が
10654 16 -29
すへた物 鼻て聾に いやからせ
すえる→食物が腐って酸っぱくなる☆江語辞 聾→つんぼ 鼻聾→匂いのわからない人☆雑俳語辞典 ☆そのまんま
10655 16 -30
昼踏て 見れハ敷居も おとなしき
夜這の時は大きな音がした気が
10656 16 -30
名と喰ちかふ 雪の黒谷
喰ちかふ→くいちがう 黒谷→京の新黒谷☆川柳辞彙 新黒谷→金戒光明寺 法然の専修念仏の道場 熊谷直実が出家 名は黒だが白一色
10657 16 -30
駕舁に 出入も出来る 忍ふ山
駕舁→かごかき 出入→出費 得意先☆江語辞 忍ぶ山→夜這など忍ぶ逢引 夜這で駕篭の常連
10658 16 -30
美しい 顔は土蔵に 煤拂
煤拂→十二月十三日の大掃除 お内儀は恒例の胴上げを逃げて蔵に隠れる
10659 16 -30
顔ほと明て 産所伺ふ
襖を少し明けて様子を窺う
10660 16 -30
十五てあかす 啌のかゝさま・
啌→うそ 実はお前の本当のおっ母さんは
10661 16 -30
風聲て 戻る音頭も おもしろし
風聲→かざごえ 夜通し音頭を取って風邪をひいたようなかすれ声で帰る
10662 16 -30
見に来る筈て 横皃て居る
拗ねてみせ
10663 16 -30
大師の側に すハる仲人
大師→だいし 弘法大師 両大師☆雑俳語辞典 ご両人の側に? ???
10664 16 -30
釣上て 女の逃る 手長海老
手長海老→てながえび 鋏の脚が長い淡水の海老 ☆そのまんま
10665 16 -30
踊の𥶡の はねるふり袖
𥶡→たが 輪踊りから箍がはねるように娘が元気よく踊る
10666 16 -30
五分ほとの 暦の中を とし忘
年忘→忘年会 残り少ない今年の憂さを
10667 16 -30
餅の取粉に 娵のむた書
取粉→とりこ 搗いた餅が手などに粘りつかぬよう付ける米の粉☆国大 餅搗きの時粉に指で落書き
10668 16 -30
牽頭かうたひ たつた一口
牽頭→たいこ 幇間 謡のさわりの一節しか知らぬ
10669 16 -30
何やら足らぬ やうな精進
食物は精進しているが
10670 16 -30
男へし 女郎花より 派か利かす
男へし→おとこえし 女郎花は遊女や女の意があるが
10671 16 -30
旅の涙は 降ものゝ内
降物→雨雪など空から降る物 ☆国大 故郷を思う涙は天気と同じ旅のつきもの
10672 16 -30
愛敬の もとハ顔から 綻ひて
綻ひて→ほころびて 顔がほころびる→笑いだす☆ 国大
10673 16 -31
恨め〳〵と 涙からいふ
泣けば泣く程恨みがつのる?
10674 16 -31
言葉を清く つかふ朔日
朔日は祝い日の一つ あらたまって
10675 16 -31
五分引て聞く 仲人の口
そのままには信用できぬ
10676 16 -31
大小に 蓑とは今の 世てハなし
泰平の世の姿ではない
10677 16 -31
名代も 芍薬ほとは 美しき
花魁の名代の新造 牡丹たる花魁には負けるが
10678 16 -31
分別を 問へハ村にも 口かなし
口→就職や嫁入の対象となるところ☆国大 分別がなく村でも厄介者?
10679 16 -31
物書ぬ 女淋しき 天の川
無筆で七夕の短冊が書けない
10680 16 -31
娘の年に 近き後添
☆そのまんま
10681 16 -31
手を揉音の 高い百姓
野良仕事で掌が厚く
10682 16 -31
何となく 気の高くなる ゑほし折
気の高くなる→気位が高くなる意味か? ゑほし折→烏帽子職人 身分の高い人が商売相手で
10683 16 -31
初瀬を祈るは 足まめな内
初瀬→はせ 足まめ→よく歩く☆雑俳語辞典 初瀬の長谷寺は恋の祈願の寺 長谷寺は初瀬山にある
10684 16 -31
買て来て 不審のはれぬ 惚薬
本当に効くのか?
10685 16 -31
洗ひ髪 我顔なから 面白し
髪を結った顔を見慣れているので
10686 16 -31
二階から 知た座頭を まよハせる
声をかけて
10687 16 -31
当分顔の 広い元服
前髪を剃ったので
10688 16 -31
仲人の 尻のわれたる 鍋の数
尻が割れる→隠し事が発覚する☆江語辞 近江筑摩神社鍋祭では関係した男の数の鍋をかぶる 仲人の嘘がばれる
10689 16 -31
業平は いつも少き 供廻り
供廻り→供の人々 お忍びが多いので 伊勢物語の挿絵などでも
10690 16 -31
佛師に顔を 見せて入定
入定→僧が経文を唱えながら地中に埋まり死ぬこと☆江戸文学俗信辞典 死後に像を彫るので
10691 16 -32
二三寸日の 足らぬ仕立屋
ぎりぎりで納期に間にあわない?
10692 16 -32
秋もはや 菊から人を うつふかせ
菊の香をかぐ?
10693 16 -32
つゝかれた 跡の明るき はつ幟
初幟→男児の初節句の幟☆国大 男の子を急かされてなんとか
10694 16 -32
日も吉原へ 這入るまつさき
真崎→真崎稲荷 日も傾いたし田楽喰って吉原へ 真崎稲荷から吉原は西
10695 16 -32
初旅なから 不二は近付
江戸から日頃見ているので
10696 16 -32
いそかしく 建る障子に 痛い音
たてる→しめる☆国大 痛い→つらい 情けない☆国大 振られた?
10697 16 -32
里と小指を 隠す女房
心中立てした遊女上がり
10698 16 -32
幮へ来る 風も柳の 受かけん
幮→かや 風に蚊屋がそよぐ
10699 16 -32
疝気とハ いはて只にや 女形
疝気→男の下腹部の病 只→何もせずそのまま☆国大 女形は日常も女性のように暮らすので
10700 16 -32
娵一人 踊る家内の 盆しらす
盆知らず→両親存命の子は魂棚の際の精進をしなくてよいこと☆絵本江戸風俗往来 お嫁さんはせめて盆踊りに?
10701 16 -32
一つかみ 旭のほうる 竹の雪
夜が明けて寒さが弛み雪で曲がった竹が戻る
10702 16 -32
頼まるゝ 顔を見て居る ゑほし折
ゑほし折→烏帽子職人 頭や顔の形を観察
10703 16 -32
寺へ祭を 入る夕たち
入る→いれる? 神輿が寺へ緊急避難
10704 16 -32
糸の来る内 たゝく三弦
三弦→さみせん 三味線の糸が切れ買ってきて貰う間胴を叩いて拍子を
10705 16 -32
鸚鵡も首を 曲るさゝやき
鸚鵡が首をかしげて小さな声を出すさま
10706 16 -32
柊も いわしもいはゝ 嗅い中
柊→ひいらぎ 嗅い中→くさいなか 節分に柊と鰯の頭を門口にさす 生臭いが当分一緒に
10707 16 -32
咳拂ひ 少し座頭の 取〆り
取〆り→とりしまり 言行を慎むこと☆江語辞 宴会でおふざけがすぎて注意
10708 16 -32
大屋の顔も 晦日朔日
晦日朔日→みそかついたち 店賃の関係? ???
10709 16 -33
紅裏を 着るにも白い 物着星
紅裏→もみうら 紅色に染めた絹製の裏地 物着星→爪に白斑点が出ると衣類が新調できるという 赤いものでも白い星
10710 16 -33
鳥を逃して うこく唇
放生会の放し鳥で祈念
10711 16 -33
鶺鴒の 椀から下駄へ 飛移り
鶺鴒→せきれい ???
10712 16 -33
雨まて誉て 帰る仲人
☆武三・21 なんでも誉める 婚礼の日の雨は吉兆 あるいは雨降って地固まるの仲裁?
10713 16 -33
光琳の絵に 寒いふり袖
光琳→尾形光琳 水の流れの光琳紋様の着物? 琳派の意匠的文様が淋しい?
10714 16 -33
勝た喧嘩に 詫をする乳母
子供同士の喧嘩だが相手が悪いか怪我をさせたか
10715 16 -33
絲瓜の水を 大事かる娵
絲瓜→へちま へちまの水→化粧水☆国大 へちま→役に立たぬこと☆江語辞 娵→嫁
10716 16 -33
かんこ鳥 此秋啼は 人ころし
啼は→なけば 閑古鳥が鳴く→商売がはやらないさま☆江語辞 芝居が当たらない?
10717 16 -33
汲真似を して直を付る 竹柄杓
汲→くむ 直→ね 値買う時に水を汲む仕草をして
10718 16 -33
鵲の 橋は言葉の はしとなり
鵲の橋→七夕に牽牛織女が天の川を渡るかささぎの橋 言葉の端→ことばじり ちょっとした言葉☆国大 夕涼みで口説くきっかけに?
10719 16 -33
奥へ来て もみくちやに成る 年男
大奥の豆撒 城内部分の節分の年男には年配の御留守居役が選ばれ豆撒の式のあと女中に胴上げをくらったという☆川柳年中行事
10720 16 -33
かき立る灯に かき立る智恵
☆武十七・33 夜遅くまで考えごと
10721 16 -33
あかりか消えて 岩はしの昼
岩橋は夜這の意か 暗くなってからが本番
10722 16 -33
おもへハ此鐘 うらめしの六ツ
「思へば此鐘恨めしやとて」☆謡曲道成寺 吉原の明け六ツ後朝の別れ
10723 16 -33
未タ殿の 扇をつかふ 艸の庵
未タ→まだ? 捨て扶持を貰っている御妾
10724 16 -33
捨子の顔を 誉る棒突
棒突→辻番所の番人など六尺棒をつきながら警戒する人 ☆国大 こんな可愛い子なら将来なんとか
10725 16 -33
幸若村は 替る子育
幸若村→こうわかむら 越前丹生郡に代々幸若舞を伝える村あり☆川柳辞彙 英才教育?
10726 16 -33
鳳巾 贔屓な紋を 買て行
鳳巾→いかのぼり 凧 端午の節句などに使う家紋凧というのもあるらしい 贔屓の役者の紋の凧を買う?
10727 16 -34
眼薬に きれはし貰ふ 緋の衣
緋の衣→僧正 眼病の時紅絹で目を押さえた
10728 16 -34
掛人 芥子粒ほとの 物着星
掛人→かかりうど 居候 物着星→爪に白斑点が出ると衣類が新調できるという 見込みは薄い
10729 16 -34
もりを置く 乕かなみたの 怖しき
乕→虎 とら 虎が涙→虎が雨 曽我仇討の五月二十八日に降る雨 ???
10730 16 -34
涼台 辛子の中へ 手を突て
刺身の皿にうっかり
10731 16 -34
子を寝せる 片手は蝿に つかハれて
片手で蝿を追う
10732 16 -34
水も火も 枕に近き 網代守
網代守→夜篝火を焚いて氷魚を取る網代の番人 ☆そのまんま
10733 16 -34
言訳を 直にして行く 音頭取
直に→すぐにもう声が嗄れてね
10734 16 -34
三ツの智恵 内にてひとつ さや走り
三ツの智恵→? 鞘走る→刀身が鞘から抜け出る さきばしる☆国大 ???
10735 16 -34
懸硯 伴頭の手の 置所
懸硯→かけすずり 掛子のある硯箱☆国大 引き出しなどがついた硯箱 ☆そのまんま
10736 16 -34
うたかひも なくて淋しき 昼の蚊屋
色っぽいことではない
10737 16 -34
二十余年は 美しい夢
美人の早世?
10738 16 -34
のしと書のハ 手短な義理
熨斗を貼るかわりに字で書く
10739 16 -34
いつれあやめの 中に引鬮
引→ひく? 鬮→くじ いづれがあやめかかきつばたで区別がつかぬ 「いずれ菖蒲と引きぞ煩う」☆太平記の頼政の故事
10740 16 -34
坐頭には 退て置たる 客きせる
退く→距離をおく☆国大 間違って使わないように
10741 16 -34
貰ハれた 座敷は雨の 天の川
吉原で貰い引きされて 花魁に遭えぬ夜になった
10742 16 -34
ねらひすまして 点滴を飛ふ
点滴→あまだれ 雨だれを避け走って帰る
10743 16 -34
りくついふ 座頭に顔を 曲て見せ
無言の抗議
10744 16 -34
へん〳〵と おとこゑらみの 見上皺
べんべん→ながなが☆江語辞 見上皺→みあげじわ 男選びにだらだら時間をかけるうち皺が寄る年に
10745 16 -35
うか〳〵と 能夢も見す なすひ売
☆西岳之部 廿五点 うかうかと→ぼんやりして☆国大 能夢→よいゆめ せっかく一富士二鷹三茄子なのに
10746 16 -35
十日もたゝす 田へおろす娵
娵→嫁 嫁入りしてすぐ労働力に
10747 16 -35
御内儀に 誉る所は 台所
御内儀→町家の妻の敬称☆国大 台所を誉めるのは御内儀を誉めることに
10748 16 -35
長持の 錠に女房の 手を喰れ
亭主がこっそり長持を開けて嫁入りの着物を質に 「手飼の犬に手食わるる」☆諺☆俳説ことわざ辞典
10749 16 -35
間違の 襖明れハ 小夜ちとり
襖→ふすま 花魁の廻し関係か?
10750 16 -35
新宅の 汚れはしめハ 火打箱
火打箱→火打道具を入れておく箱 狭く小さい家の意も☆国大 ☆そのまんまか
10751 16 -35
宇治と嵯峨とハ 気をころす里
気をころす→? 宇治八の宮とか仏御前とか隠遁系の土地? ???
10752 16 -35
留守つかふ 女房の顔の 留守てなし
掛取が来て亭主の居留守を遣う女房 真剣な顔でかえってばれる
10753 16 -35
正月の 気を〆直す 店おろし
店卸→在庫調査で正月上旬と七月に行った☆国大 正月四日が多かったという ☆そのまんま
10754 16 -35
わすれた智恵を たき付る鹿
鹿聞で恋の手管を思い出す?
10755 16 -35
丸合羽 手は和かに 提て来る
丸合羽→袖のない合羽☆江語辞 和か→やわらか
10756 16 -35
悋気も朝寝 してハ気かぬけ
起きて亭主を待っていてこそ
10757 16 -35
竹馬と おもへハ軽き 鳩の杖
鳩の杖→八十以上の老人に宮廷から賜る鳩形のついた鐘木杖☆川柳辞彙 童心に戻って
10758 16 -35
戸迷ひに して済す気の 忍ふ山
戸迷ひ→とまどい 寝ぼけて方角がわからなくなること 入るべき家がわからずまごつくこと☆国大 夜這がばれて
10759 16 -35
眼か覚て 扇子の明かぬ 涼台
寒くなった
10760 16 -35
追人は恋の 訳も鵜て居る
追人→おって 鵜で居る→呑み込んでいる 熟知している☆江語辞 事情は全て知った上で
10761 16 -36
海か見えるて 欲のある寺
眺めが良いので参詣人を増やしたいと
10762 16 -36
くゝり枕も 人の和らき
くくり枕→そばがらなどを入れ両端をくくりとめて作った枕☆国大 二人寝用の長枕もこれ
10763 16 -36
閙しい時 呵る針箱
閙しい→いそがしい 呵る→しかる あの糸は何処?まだるっこしいったら
10764 16 -36
聞えぬやうに 関の口真似
旅人が関守の口まね
10765 16 -36
片〳〵とめて 着て見せる袖
片〳〵→片一方 袖を留める仕立ての途中 こんな感じになるけどどう?
10766 16 -36
きり〳〵す 鳴とおさへる 哥かるた
百人一首の歌かるた 「きりぎりすなくや霜夜のさむしろに衣かたしきひとりかも寝む」 下の句が「き」で始まるのは三首だけ 「きり」ですぐ取る
10767 16 -36
かなしい聲て 雨たれを飛ふ
女性が着物がぬれるのが嫌で悲鳴を上げ
10768 16 -36
先神棚へ 朔日の顔
☆南岳之部 三十点 先→まず 祝い日で改まって あるいは朔日参りのように?
10769 16 -36
味方にも 敵にも禿 成やすし
禿→かぶろ 客の味方にも花魁の手先にも
10770 16 -36
燈篭消えて 白い吉原
七月晦日吉原玉菊灯籠が終り翌日は八朔の白無垢 なお七月十五日以降は後の燈籠という
10771 16 -36
翌の佛の 顔も牡丹餅
☆北岳之部 四十点 翌→あす 牡丹餅→見目麗しくない女性 朝帰りで女房を拝む?
10772 16 -37
異見いふ 片〳〵ひくき 影法師
片〳〵→片一方 片方は平謝り
10773 16 -37
そは掻と 評儀極る 千鳥聞
そは掻→そばがき 千鳥聞→ちどりきき 千鳥を聞く風流らしいが? 夜食に
10774 16 -37
神鳴て縫ふ 幮の綻
☆中岳之部 五十点 神鳴て→かみなって 幮→かや 蚊屋 蚊屋は落雷を避ける迷信あり☆川柳辞彙
10775 16 -37
青海苔を もめはこほるゝ 名なし貝
海苔に小さい貝が付いていた
10776 16 -38
鶯や 身を色〳〵に 駿河竹
☆四季 ☆湖十 「鶯の身をさかさまに初音かな」☆其角 駿河は虫籠など竹細工が発達 駿河竹の鳥籠の中でで身を色々にするの洒落か
10777 16 -38
蹉く 石を名残や ほとゝきす
蹉く→けつまずく ???
10778 16 -38
人の手の 仕廻にさハる 躍かな
仕廻→しまい 障る→邪魔になる☆国大 躍→おどり 踊り手が多くなると混んで
10779 16 -38
風の日や 小菜の畑に 啼千鳥
小菜→こな 貝割菜など芽を出したばかりの菜☆国大 ☆そのまんまか?
10780 16 -38
あら海の 引息つよき 汐干哉
☆一漁 汐が沖に引き込まれていく
10781 16 -38
むら雲に 気の付く空の 暑哉
群雲→にわかに群がり集まる雲☆国大 夕立が来そう
10782 16 -38
名月や こゝろの旅の 幾千里
もの思う心ははるか彼方に
10783 16 -38
としの瀬に ぬからぬ皃や 鰤松魚
ぬかる→うっかり失敗する ☆国大 鰤松魚→ぶりかつお 鰤は歳末の贈答品だったらしいが ???
10784 16 -38
啼つれて 月をうこかす 蛙かな
☆晋阿 沢山の蛙の声が月を動かすよう あるいは三日月上人了誉が蛙の声を封じた故事?
10785 16 -38
見わたせは 空にとなれる 青田哉
青田→あおた 苗が成長し葉が青々と見える田☆国大 空と青田が地平線で接する
10786 16 -38
名月や 忘れて欤啼ぬ 虫もあり
欤→歟 か 虫も名月に見とれて
10787 16 -38
淋しさも 音ある物そ 鉢たゝき
鉢たたき→年末に鉦や瓢箪を叩き勧進する半僧半俗の空也僧 音が淋しい
10788 16 -38
菜の花や 寐て行船の 着け所
☆長隠 三十石夜舟が菜の花の咲く岸に
10789 16 -39
昼かほや 鮎焼く石の 鼻の先
鮎の石焼の香りを嗅ぐような
10790 16 -39
何豆人 蛸船はしる 月の海
何豆人→なにとうじん? 蛸船→たこぶね 殻を持つ浮遊性の小型の蛸☆国大 ???
10791 16 -39
雪車に倦く 国さえあるに 雪見哉
雪車→そり 江戸では酔狂に雪見に行く
10792 16 -39
青柳や 道〳〵むすふ 後帯
☆萬英 青柳→葉が茂って青々とした柳☆国大 後帯→素人女 柳腰? ???
10793 16 -39
五月雨や 秋におとらぬ 夕間暮
夕間暮→ゆうまぐれ 夕暮れ ☆国大 五月雨の頃の夕暮れも趣きが
10794 16 -39
おもひきや 旅寐の腰を 砧とハ
思いきや→思いもしなかった ☆国大 凝った腰を砧のように叩いて貰うとは?
10795 16 -39
兵の 手に覚へなき 寒かな
兵→つわもの 覚えなし→思いがけない 思いもよらない☆国大 ☆そのまんまか?
10796 16 -39
日の限 ありておとなし 猫の闇
☆晋如 猫の恋の季節も終りがあり静かになった
10797 16 -39
祇園會や よく答へたる 面の内
祇園會→ぎおんえ 祇園祭 お面をかぶった踊り手? ???
10798 16 -39
名月や 水の下ゆく 船の影
水面に映る月が船の影に
10799 16 -39
水鳥の 寐るとも見せす 流けり
流けり→ながれけり 水鳥が浮いたまま寝る浮寝のさま
10800 16 -39
夜はもとの 雪となるかも 初桜
☆秋色 桜の花が積もった雪のよう
10801 16 -39
初松魚 飛ふや江戸橋 日本橋
新鮮さが勝負の初鰹売りが金のありそうな町を飛んでいく
10802 16 -39
姨捨に 明残りたる 案山子哉
姨捨→おばすて うばすて 明け残る→月や星が夜が明けても空に残っている☆国大 稲刈りが済んだ田に残る案山子が姥捨山のよう
10803 16 -39
うか〳〵と 夜に入客や 初しくれ
うかうか→心の落ち着かぬさま☆江語辞 入→いる 登楼して雨で居続けすることに
10804 16 -40
愛敬ハ 葉うらに見せる 椿かな
☆花千 愛敬→あいきょう 葉の裏に椿の花が覗く
10805 16 -40
其夜降る 山を見て居る 暑哉
雲の峯?
10806 16 -40
名月や 折〳〵酌の 手くらかり
月明かりでお酌する手の影がくっきり
10807 16 -40
雪打や 風の童の 腕まくり
雪打→ゆきうち 雪合戦 風→風邪☆国大 雪合戦となると風邪をひいていた子も元気に
10808 16 -40
鳥ふたつ よみつくされぬ 霞かな
☆巽籬 読む→数をかぞえる☆国大 よみつくす→数え尽くす たった二羽の鳥もよくわからぬ
10809 16 -40
筍や 夜明て見れは 夜も長し
一夜のうちに育った
10810 16 -40
灸すへた 脊中手向ん 魂祭
手向ん→たむけん 魂祭→盂蘭盆に先祖の霊を招きまつる 暑くて肌脱ぎ
10811 16 -40
手に取れハ また脈の有 海鼠哉
海鼠→なまこ 生きた海鼠を掴んで
10812 16 -40
春雨や 頭巾を猫に かふせけり
☆秦川 長雨の退屈しのぎに猫をからかう
10813 16 -40
出女の 立つくしてや 雲の峯
出女→宿場遊女 真夏の街道に立つ宿場の留女
10814 16 -40
門口に 母は更たり 盆の月
更たり→ふけたり 七月十三日の迎火 亡き夫を偲び夜が更ける
10815 16 -40
花娵も 浴衣着て来る 十夜哉
お十夜→十月六日からの浄土宗の寺の念仏行事 ???
10816 16 -40
雛の日や 母に押へる 小さかつき
☆玉十 押さえる→杯をさされた時押しとめてもう一度飲ませる ☆江語辞 雛祭りで母に甘酒を飲ませる
10817 16 -40
六月の またも動くハ 柳かな
まだも→まだしも? 暑くて何もかも止まっている中で柳だけは
10818 16 -41
名月や 五百羅漢の 内も扨
扨→さて 確認のまあ☆国大 本所五ツ目羅漢寺の五百羅漢 差し込む月光で頭が光る?
10819 16 -41
ともかくも 大根買日や 冬籠
大根買日→だいこかうひ 保存食料に
10820 16 -41
花の春 燕都のしをりや 武玉川
☆四時四十句 ☆紀逸 ☆春之部 燕都→えど ☆武玉川のこと
10821 16 -41
水色の 空開く井の 鏡より
井→せい? 井戸を覗き込むと丸い空が
10822 16 -41
陽の息に 開くや梅も 東より
☆聖廟に詣て 聖廟→菅原道真をまつった廟 ☆国大 東風吹いて天神様の梅が
10823 16 -41
紅梅も 天津菅苧の すハえ哉
天津菅苧→あまつすがそ 大祓祝詞の一節 天の菅麻 すハえ→楚 すわえ 木の枝や幹からまっすぐ細く長く伸びた若い小枝☆国大
10824 16 -41
しら梅や 皆啼嗄す 猫の聲
啼嗄す→なきからす 猫も恋の季節で
10825 16 -41
駒下駄に きせるを鞭の 梅見哉
駒下駄履いて煙管片手に遠出 駒と鞭の縁語
10826 16 -41
今やひく 餅の鏡に 娵か君
☆旭に駒牽大黒の画に 駒牽→こまひく 嫁が君→鼠の異称 正月三が日の忌詞☆国大 鼠は大黒の使わしめ 鼠は鏡餅を引き込む
10827 16 -41
浜の家の 猫もあやしや 百千鳥
百千鳥→ももちどり 数多くの小鳥 千鳥☆国大 鳥がたくさんいるのに猫は家で何を
10828 16 -41
人嗅き 橋や山路の 花盛
嗅き→くさき いつもは淋しい山間の橋も桜の季節には
10829 16 -41
僧脇の 袖かき合す さくら哉
散った桜の花弁が袂に入るので
10830 16 -42
花にくれし 眼の暁や ほとゝきす
☆夏之部 暁→あかつき 桜の季節が終り時鳥の季節が
10831 16 -42
水際や 月も牡丹の 十五日
水辺の満月が満開の牡丹の花のよう
10832 16 -42
子の為の 垣に折るゝや 竹の親
筍を守る竹垣
10833 16 -42
御膝元の 水は尊し 松魚時
☆水藩にて 水藩→水戸藩? 松魚時→かつおどき 季語 青葉の頃を言う? 水戸は鰹好きという
10834 16 -42
涼しくも 秋の来ぬ間そ みな莚
☆同留別 留別→留まる人への暇乞☆国大 みな莚→水筵 みなむしろ 水底に筵を敷いたようにある石 水面☆国大 まだ水面に波はたたない
10835 16 -42
霖雨晴て 不二や浅黄の 裾模様
霖雨→りんう 幾日も降り続く雨☆国大 浅黄→緑がかった薄い藍色☆ 国大 ☆そのまんま
10836 16 -42
聲ハ皆 蟬にとられつ 裸虫
裸虫→羽や毛のない虫 人類 貧しくて衣服のない人☆国大 蟬がうるさくて声が聞こえぬ 裸の川遊びの子供らか?
10837 16 -42
我も聲 からす柏や 蟬時雨
☆悼長宇 前書略 蟬が鳴くように泣き嗄らす?
10838 16 -42
一口ハ 馬に掬する 清水哉
掬する→きくする 水を手ですくいとる☆国大 馬にも水を
10839 16 -42
すゝしさや 岸に水馬の 鼻あらし
水馬→すいば 乗馬で水を渡る術☆江語辞 隅田川で六月におこなわれた水馬訓練の馬の鼻息が荒い
10840 16 -42
月ハ二夜 あるをとほしき 星一夜
☆秋の部 八月十五日の月見と九月十三日の後の月 星は七夕だけ?
10841 16 -42
夢に見し 胡蝶やいつれ 秋の蝶
荘周の胡蝶の夢 ひらひら飛ぶ蝶もいずれは哀れな秋の蝶に 人生もいずれは秋に
10842 16 -42
茸狩や かなてし主馬か 夢の跡
茸狩→たけがり 主馬判官盛久 重盛の北山の茸狩で舞う
10843 16 -42
逃水の 白く増穂の 薄かな
逃水→武蔵野の根なし水☆川柳辞彙 増穂→ますお まそお 徒然草一八八段 「ますほの薄まそほの薄など言ふ事あり」
10844 16 -43
はたち程 またうら若し 松の月
☆八十の賀 松の月→ここでは正月の意? またひとつ年をとったが気持ちはまだ二十歳
10845 16 -43
よしハらに すたく萑や 夜蛤
萑→雀 すだく→集まって鳴く☆国大 夜蛤売り? 大晦日吉原に蛤売りが来る 「雀大水に入り蛤となる」☆七十二候 をきかす
10846 16 -43
艸の名の 月にきハまる 一夜哉
月見の紋日と女郎花? ☆月見草は幕末渡来
10847 16 -43
月見して 明方やさも 花のくれ
月見の終りの夜明けは花見の終りの夕暮と同じ
10848 16 -43
蕣の かはねさらすや 後の月
蕣→あさがお かばね→屍 後の月→九月十三日の月
10849 16 -43
生壁の 乾かぬうらや きり〳〵す
生壁→なまかべ 塗りたてでまだよく乾いていない壁☆国大 うら→後ろ側 家の裏 裏通り☆国大 湿気が多い所で
10850 16 -43
夕栄や 雪の中ゆく 月毛馬
☆冬の部 夕映→夕日の光をうけて美しくはえること☆国大 月毛→つきげ 葦毛でやや赤みを帯びて見える馬の毛色☆国大 ☆そのまんま
10851 16 -43
虎の尾の 花のおもさや 雪の枝
虎の尾桜→枝に密着して球状で淡紅色の花を開く☆国大 虎の尾桜のような雪の積もった枝
10852 16 -43
鱐の 目はかり光る 時雨哉
鱐→このしろ 秋が旬 焼くと死人に匂いがすると忌まれた
10853 16 -43
たらちめの 後を見する 巨燵哉
たらちめ→母親☆国大 巨燵→こたつ 炬燵で悪さしないか母親が見張る
10854 16 -43
鷹の目の 我ハ皃なる 枯野哉
枯野見で鷹になった気分?
10855 16 -43
昼誉し 川瀬に配る 千鳥哉
川瀬→川底が浅く流れの速い所 昼見た川に夜千鳥がぱらぱらと
10856 16 -43
初雪や 酒て活せし 松の色
活せし→いかせし 雪見の酒で松も映える?
10857 16 -43
夜な〳〵の 池に蓋する 氷かな
池に夜ごと氷が張る
10858 16 -43
惜むとし いそくや遊ふ 人の欲
まだ日もあるに忘年会
10859 16 -43
春をまつ むまやの鈴や 飾杭
廐の正月飾り?