十七篇


誹諧武玉川私考ホームへ

【底本】 
  岩波文庫  誹諧武玉川(四) 山澤英雄校訂 岩波書店 1985

【凡例】
  通し番号 篇-丁
  (本文)
  (解説)

【注意】
  字・は字が底本通りでないことを示す
  ☆はコメントや引用
  江語辞→江戸語の辞典  国大→国語大辞典(小学館)

10860 17 -2
   袖笠に出る ふり袖の肘
   ☆冬嶺秀孤松 十五ヽ 袖笠→袖を笠代わりにする 顔を隠して肘が出る
10861 17 -2
   初旅ハ 灸も支度の 数にいり
   三里にでも据えて
10862 17 -2
   切火は人の 気を洗ふ水
   切火→きりび 火打鎌と火打石で火を打ちかけて浄めること☆江語辞 気をひきしめて
10863 17 -2
   軽い異見も 母は二タ口
   口→意見☆国大 ついでにもう一つ異見を
10864 17 -2
   横顔をして 渡す梛の葉
   梛→なぎ 梛の葉→鏡の裏や守り袋に入れ魔除けとする☆国大 伊豆権現の梛の神木が有名 夫婦中にもよいと☆江戸文学俗信辞典
10865 17 -2
   馬呵る 聲を寐て聞く 宇津の山
   呵る→しかる 丸子と岡部間の東海道の難所宇津谷峠峠の立場で一休み?
10866 17 -2
   冬の閏の つかひ出かなし
   閏→うるう 遊びにいく機会も少なく
10867 17 -2
   草も木も 寐るにまた来ぬ 初會の夜
   初会→客が初めてある女郎を相方とすること☆江語辞 夜更けても花魁は来ず 吉原では振られるのがお約束
10868 17 -2
   日本の智恵と おもふ吸もの
   唐土にはないご馳走
10869 17 -2
   我顔に もとる役者の 夕涼
   白粉も隈も落として
10870 17 -2
   孔萑のきけん 籠につかへる
   孔萑→孔雀 くじゃく籠の中で羽根を拡げて
10871 17 -2
   金てあはたを 埋る仲人
   持参金
10872 17 -2
   何かハしらす 庫裏の鞘鳴
   鞘鳴→さやなり 刀身が鞘に合わず歩くと音をたてること 家がきしみ鳴る家鳴りの意も ☆国大 庫裏がきしむが和尚が後家と?
10873 17 -2
   ていねいな 分て衣の 袖たゝみ
   分→ぶん 仮にする状態 ふり☆国大 衣→僧衣☆国大 袖畳→そでだたみ 和服の略式の畳み方 囲いかいろは茶屋あたりの女が破戒僧に
10874 17 -2
   松魚ハ男 ふりといひたし
   男振→男として風采の良い様子 男まえ☆国大 初鰹の粋な姿
10875 17 -2
   大工の膳に 見ゆる九ツ
   九ツ→正午 大工が食事すれば正午
10876 17 -3
   車引 やすむ所て 反かへり
   前傾姿勢で仕事しているので
10877 17 -3
   灌仏や 世の行水も よい時分
   灌仏会の仏様は甘茶で行水 折しも初夏の四月八日
10878 17 -3
   女のこへの 細なかく立つ
   ☆そのまんまか
10879 17 -3
   段〳〵に 深みへ這入 あくた川
   恋の深みを業平の芥川に例えて
10880 17 -3
   あふない袖の 通る燭台
   火が着きそう?
10881 17 -3
   別荘すこく 杉立る門
   すごい→気味が悪い
10882 17 -3
   筐のぬれて 届く中村
   筐→かたみ 中村→堺町中村座☆川柳辞彙 曽我狂言仇討ちの虎が雨? 「かたみのぬれて届く五月雨」 ☆武七・2
10883 17 -3
   医者の異見の いかぬ母親
   いかぬ→効力がない☆江語辞 このぶらぶら病は好いた男と結婚させると治りましょう
10884 17 -3
   別荘ハ 墨繪のやうな 松飾
   墨絵→質朴な形☆雑俳語辞典 風流人の地味な別荘?
10885 17 -3
   こえ・取か来て たゝく柴の戸
   こえ・取→こえとり 肥取 柴の戸→粗末な住居 人は住んでいるので
10886 17 -3
   気のつかぬ 寺によく啼 きり〳〵す
   淋しい寺にこそ
10887 17 -3
   帆柱を 誉たあかりに 抱て見る
   明→あかり 証拠☆国大 上→あがり 物事の終り☆国大 立派な帆柱ですなあ ほう一抱えもある
10888 17 -3
   茶莚の 蛍はたけは 火の雫
   茶莚→ちゃむしろ 野点の茶会の時敷くもの 蛍がぱらぱらと火の粉のように
10889 17 -3
   うつかりと乗る 京の唇
   京の人の口車に乗る?
10890 17 -3
   沙汰なしに産 子にも氏神
   沙汰なしに→黙って 内密に ☆江語辞 産→うむ 氏神→ 祖先神 救いの神☆国大 内緒の子にも援助者が 「氏神様がついている」→神様が守っていてくださる意☆俳説ことわざ辞典
10891 17 -3
   鴨居の箸を さかす客僧
   鴨居→ふすまなどをはめる溝をつけた上の横材☆国大 客僧→旅僧☆国大 小魚を串に挟み鴨居の上に挿し豊年を祈る風習があり?
10892 17 -3
   また新しく 笛て岩はし
   岩橋→葛城伝説から夜や未完成の意 また長続きせぬ新しい道楽を
10893 17 -3
   厠の口の もめる中入
   中入→なかいり 芝居などの途中休憩☆江語辞 厠が大混雑
10894 17 -4
   呵る旦那も ぬけぬ智恵の輪
   奉公人間の込み入った問題? あるいは 丁稚が知恵の輪をいじっていて?
10895 17 -4
   屏風の闇へ きえる素湯漬
   素湯漬→さゆづけ 湯漬か? 病人の食事?
10896 17 -4
   娘子の 料理して居る きり〳〵す
   娘子→むすめご 娘☆国大 料る→痛めつける 成敗する ☆江語辞
10897 17 -4
   恋病の 始を聞ハ ほんのくほ
   聞ハ→きけば 盆の窪→ぼんのくぼ うなじの中央の窪んだ所☆江語辞 「かてんせぬ文を押込ほんのくほ」☆武五・15 恋文が来て?
10898 17 -4
   一葉の桐に 目を付る秋
   「桐一葉落て天下の秋を知る」 ☆雑俳語辞典
10899 17 -4
   相談の 相手かなくて 膝頭
   独りで膝を抱えて
10900 17 -4
   こゝろの屑を すてる入相
   入相→いりあい 日没の鐘 一日の良くない考えや思いを捨てる?
10901 17 -4
   上り端から 咄す木の端
   上り端→あがりはな 家の上がり口☆国大 木の端→きのはし とるにたりない者☆国大 軽い奴が話しながら入って来る
10902 17 -4
   四日市 喧嘩・の中に 牛ハ寐て
   四日市→江戸橋南詰広小路の町名 果物・青物などの市が立ち繁盛した☆川柳辞彙 喧嘩・→けんか 喧噪の中の静寂
10903 17 -4
   息子に隠す 蔵の燈明
   燈明→神仏に供える灯火☆国大 持ち出されては困る高価なものがある? 金むくの佛様とか
10904 17 -4
   鬼籠る 町も折ふし 小夜鵆
   鬼→吉原羅生門河岸の遊女 ☆川柳辞彙 小夜鵆→さよちどり夜中に鳴く千鳥 ☆国大 夜鷹商売の類いか?
10905 17 -4
   今寐るかやを 筏から見る
   川岸の家の寝間が川から見える
10906 17 -4
   棒のない 箱提燈は 堀の人
   箱提燈→はこぢょうちん 堀→山谷堀☆川柳辞彙 山谷堀の茶屋の吉原送迎 棒のある箱提灯は花魁道中で若い者が持つ☆江戸吉原図聚
10907 17 -4
   悋気おさへる 塩靍の恩
   塩靍→しおづる 鶴の肉を塩漬にしたものやその吸い物で血の道に効くという☆国大
10908 17 -4
   たま〳〵妻の 出掛て降
   出掛て→でかかって 珍しく妻が外出しようとすると雨が降る ☆武十六・25
10909 17 -4
   草り取 綻縫て ころもかへ
   草履取→武家などで主人の草履を持ち供をする下僕 綻→ほころび 袷や単衣を自分で繕う ☆武十六・25
10910 17 -4
   深い思案ハ 額から出る
   皺も寄るのでそんな感じ
10911 17 -4
   時計のうそも 客のもてなし
   まだ早いですよ ごゆっくり
10912 17 -5
   憎まれる 方ハ役者も 面白し
   敵役の方が演技を工夫しやすい?
10913 17 -5
   ふくれた妻の 矢おもてに下女
   旦那が下女に手を出して この女が悪いんだよと言訳
10914 17 -5
   閏五月ハ 名のつかぬ雨
   五月雨でもなし
10915 17 -5
   公家領は 荒にし志賀に 色紙程
   公家領→くげりょう 江戸時代の公家の領地のことらしい 荒にし→あれにし志賀→大津の宮の旧都で和歌で有名 和歌の色紙ほど狭い
10916 17 -5
   分別の 近道へ出て かしこまり
   納得しておとなしくなる
10917 17 -5
   宝引か 済て眼の明く 掛人
   宝引→ほうびき 正月の福引遊び 掛人→かかりうど 居候 家庭内の宝引の紐を持つ役をさせられ目をつぶっていた
10918 17 -5
   忘れてハ行 本腹の杖
   行→ゆく 本腹→本復 ほんぷく 体調が良くてつい杖を置き忘れる
10919 17 -5
   下に見ゆる 物を笠嶋 ゑほし嶋
   笠嶋→奥州名取郡の地名☆川柳辞彙 烏帽子島→塩竈にある 高いところから人混みを眺めて?
10920 17 -5
   隠家の 内を覗は みなの川
   覗は→のぞけば みなの川→恋の意
10921 17 -5
   木曾路の痩の 直る古市
   痩→やせ 古市→伊勢神宮近くの遊廓 岡場所と遊廓の差?
10922 17 -5
   時雨のやうに 千鳥降る城
   千鳥→たくさんの鳥☆大辞泉 城の屋根にたくさん鳥が止まっているさま?
10923 17 -5
   紺屋の聟に なりそふな舌
   嘘が得意で紺屋の明後日にむく
10924 17 -5
   七生まてと いふ方か泣
   七代祟ってやるという女
10925 17 -5
   起請書 後に立て 舌を出し
   起請→起請文 書→かく どうせ反故同然
10926 17 -5
   幮の釣手に 客の印籠
   幮→かや 釣手→蚊屋などをつるのに用いるひも☆国大 宿場女郎への合図?
10927 17 -5
   淋しひといふ 文字は痳病
   痳病→りんびょう 性病の一種 その名の通りで あるいは 行為を中断すると痳病になるという☆江戸文学俗信辞典 恋路の邪魔が入った?
10928 17 -5
   去らせた跡へ 美しい鬼
   去る→離縁する 先妻を離縁させて後釡に
10929 17 -5
   腹立の とはしりかゝる 草り取
   とばしり→しぶき とばっちり☆国大 ご主人の遊びに奥様が立腹そのとばっちりがお供に
10930 17 -6
   元日の 巨燵にハまた 去年の火
   炬燵の火は去年のもの
10931 17 -6
   紺屋のうそも 誉らるゝ出来
   紺屋のうそ→紺屋の明後日 待った甲斐があった染め上がり ☆武十六・25
10932 17 -6
   物思ひ 蓮見のつれへ 水をさし
   不忍池の出合茶屋で一方に悩みがあり盛り上がらない?
10933 17 -6
   泣たかる 子にかつけたる 入梅の空
   泣たかる→なきたがる かずける→無理に理由にづけをする かこつける☆国大 入梅→つゆ 坊やが泣くから雨が降るよ?
10934 17 -6
   お内儀ハ 忘れぬ顔の 年忘
   年忘→忘年会 女房が怒るほどには羽目を外せない
10935 17 -6
   せハしなく たゝき丸めし 火打石
   火打石の減る様子?
10936 17 -6
   松をはなれて 石町の鐘
   石町→こくちょう 石町の鐘→石町の鐘楼で撞いた時の鐘☆川柳辞彙 松尾芭蕉が詠んだ上野や浅草の鐘ではなく?
10937 17 -6
   石女の 居風呂の時 口をきゝ
   石女→うまずめ 居風呂→すえふろ 風呂桶でわかす風呂 近所付き合いが少なめだが風呂に呼ばれた時は
10938 17 -6
   くらい所て 夢のせんたく
   洗濯する→調べる☆江語辞 ふと目が覚めて夢を思い出してみる ☆武十六・25
10939 17 -6
   石女の 手も借りに来る 蚕時
   石女→うまずめ 蚕時→かいこどき 初夏の蚕の世話が大変な時 近所付き合いが少なめだが
10940 17 -6
   段〻に夜の 明る三夫婦
   三夫婦→みみょうと 親子孫三代の夫婦が揃っていること 年寄り夫婦から順番に起きる
10941 17 -6
   狐と従弟 ほとなおしろい
   狐→遊女の異称☆川柳辞彙 従弟→いとこ 狐と白粉は親戚関係
10942 17 -6
   遠くから 見へる蛍の 息つかい
   蛍のゆっくりとした明滅
10943 17 -6
   指て来た 傘に家内の 毒か降
   指て→さして 家内→家の者 家族や奉公人を含む☆江語辞 吉原の茶屋の傘とか
10944 17 -6
   誤て 伯父の片言 聞て居る
   片言→かたこと 意味のよく通じない言葉 片方だけの言い分☆国大 うっかり伯父の異見を聞く羽目に
10945 17 -6
   唐紙に 喰へられたる 妻の裾
   喰へ→くわえ ぴしゃりと閉めた襖に裾が挟まった
10946 17 -6
   十壱人に 借りる膳わん
   膳椀→膳と椀 食器類の総称☆国大 十一月の七五三の祝宴のためとか? ???
10947 17 -6
   遺状を 亦こねかへす 梓弓
   遺状→ゆいじょう 梓弓→巫女の口寄せ 遺言状の内容をひっくりかえす発言
10948 17 -7
   人間に すれは屏風も 通り者
   通り者→物わかりのよい人 粋人☆江語辞 色事をサポート
10949 17 -7
   金魚と共に 煮へる河骨
   河骨→こうほね 水草の一種 水槽が熱くなって?
10950 17 -7
   ふところを 匁に掛て見る 京の町
   匁→め 重量及び銀の単位のもんめの略☆国大 上方は銀が通貨の中心
10951 17 -7
   地をふく風に 比丘尼ねぢれる
   比丘尼→尼僧 歌比丘尼☆江語辞 突風に裾が
10952 17 -7
   馬医にも見せて 仕廻ふ感状
   馬医→ばい 馬を療治する獣医☆国大 仕廻ふ→しまう 感状→戦功のあった者に主家などから与えられる賞状☆国大 戦功は馬のおかげも
10953 17 -7
   同し北にも 嵯峨とよし原
   京と江戸 隠遁場所と遊廓
10954 17 -7
   尖たやうな 霜月の風
   尖た→とがった 霜月→陰暦十一月 刺すように寒く
10955 17 -7
   水無月に もふ先はしる 天の川
   水無月→陰暦六月 七夕の前から夜空に
10956 17 -7
   目出たからせる 娵のわつらひ
   娵→嫁 つわり
10957 17 -7
   掛乞の 鬼ハのかれぬ 柊さし
   掛乞→かけこい 借金取り 柊さし→ひらぎさし 節分に柊と鰯の頭を門口にさす 邪鬼を避ける呪い☆江戸文学俗信辞典 債鬼には効かぬ
10958 17 -7
   火伸の先を はらふ大聲
   火伸→ひのし 衣類の皺を除く道具で炭火を入れる容器に柄をつけたもの 危ないからどいてどいて
10959 17 -7
   入聟の しかられ始 すみれ咲
   春の野遊びから吉原へ誘われ
10960 17 -7
   七りんの 口にあふなき 膝頭
   股火鉢?
10961 17 -7
   恋無常 猪牙とすれ合ふ 施我鬼船
   猪牙→ちょき 吉原行きの小舟 施我鬼船→せがきぶね 川施餓鬼をするために出す舟 ☆江語辞 恋も人生もいつ死ぬかわからず
10962 17 -7
   今つき初の 有つたけ反
   つき初→つきそめ 反→そる 餅搗きの最初でまだ元気あり あるいは新調の釣鐘か?
10963 17 -7
   箸紙を くる〳〵巻の かゝり人
   箸紙→箸を包む紙☆雑俳語辞典 かゝり人→かかりうど 居候紙で適当に ☆武十六・23
10964 17 -7
   鍔買ふて 柏餅ほと 撫て見る
   新粉を捏ね回すように?
10965 17 -7
   代脈は 氷のやうな 手を出して
   代脈→代診☆江語辞 ちゃんとした医者なら手を温めておく
10966 17 -8
   対にきたない 旅の虚無僧
   対→つい 虚無僧→こもそう こむそう 二人揃って汚い?
10967 17 -8
   やつと盗んて 来ると散る蓮
   蓮の花は四日目に散る
10968 17 -8
   笑ふて居るは しらぬ罔両
   罔両→かげぼし 影法師 見られて笑われているとは知らない
10969 17 -8
   買足して あたりへ配る 汐干狩
   近所全てに配るには収穫が足りなかったので
10970 17 -8
   鱸の口を のそく女房
   鱸→すずき 二尺ほどあり口も大きい 「釣り上げし鱸の巨口玉や吐く」☆蕪村
10971 17 -8
   めあハせて 見れは従弟ハ はなれ物
   離物→離れても不思議はないもの おのずから他と異なる所のある物事☆江語辞 いとこ同士も他人のうち うまくいくとは限らぬ
10972 17 -8
   七ころひ目の 起て墨染
   七転び八起きの挙げ句の出家
10973 17 -8
   窖を出て もとの六月
   窖→あなぐら 穴蔵 中は涼しかったが ☆武八・28
10974 17 -8
   芝居のやうに あつちから惚
   芝居のようなうまい話
10975 17 -8
   無理な所へ はいるいたつら
   いたずら→悪戯 不義 密通☆江語辞 狭い所へ入りたがる子供のような無謀な夜這?
10976 17 -8
   魔所にも花の 御手伝小屋
   魔所→悪魔や妖怪が住んでいると考えられる場所☆国大 御手伝小屋→おてつだいごや 幕命普請の管理建物か? ???
10977 17 -8
   小便に 乗おくれたる 渡し舟
   ☆そのまんま
10978 17 -8
   姿鏡に 飼鶯の 身をひねり
   姿鏡→すがたみ お妾が鏡の前で
10979 17 -8
   銀遣ひ 寄麗に京の 上ハ辷り
   銀遣い→銀貨幣を主体に取引が行われる状態☆国大 寄麗→奇麗 上ハ辷り→うわすべり 考えや行動が表面的でいい加減なこと☆国大
10980 17 -8
   五分ハうつちやる 仲人の口
   うっちゃる→捨てる 取り上げない☆江語辞 仲人の言うことの半分は信用できん
10981 17 -8
   気に入過て 気の詰る娵
   娵→嫁 美人すぎて あるいは 良い人すぎて
10982 17 -8
   とうからし 中間部屋の 窓の花
   中間部屋→ちゅうげんべや 中間→ちゅうげん 武家の下僕 唐辛子をおかずにするので
10983 17 -8
   今越して来て 関守の真似
   関所を越してすぐに口真似
10984 17 -9
   口へ力身の 届くかけかね
   力身→りきみ 掛金→顎の関節☆国大 力を入れる時歯をくいしばる
10985 17 -9
   跨いたら砥の 割さうな児
   砥→と 砥石☆国大 児→ちご男色の対象となる少年☆国大 女性が砥石を跨ぐと割れるという☆江戸文学俗信辞典 和尚が寺へ入れたのは?
10986 17 -9
   夜伽目出たく 聟か究る
   夜伽→よとぎ 夜付き添っての看病 究る→きわまる 極まる→きまる☆江語辞 旦那の看病で気に入られ聟に
10987 17 -9
   毒と知つゝ 又見たい京
   ☆そのまんまか
10988 17 -9
   細工はしめに 娵の箸紙
   娵→嫁 箸紙→箸を包む紙☆ 雑俳語辞典 嫁の家事工夫の最初?
10989 17 -9
   腹のたつ 場を水にして 惣仕廻
   水にする→無かったことにする 水に流す☆江語辞 惣仕廻→そうじまい 吉原で振られたのを惣仕廻で意趣返し
10990 17 -9
   世の音は 皆仕廻せて 松の雪
   松→門松の略称☆川柳辞彙 静かな雪の正月?
10991 17 -9
   深田のやうに 歩行虫干
   歩行→ありく 足の踏み場もない ☆武七・27
10992 17 -9
   寐ぬ幮を釣る 中宿の妻
   幮→かや 中宿→男女が密会に利用する家☆江語辞
10993 17 -9
   大晦 巨燵は人を 寄せ付す
   大晦→おおみそか 巨燵→こたつ 皆年越しの準備に忙しく
10994 17 -9
   娵か這入ると 見る目かくはな
   見る目嗅ぐ鼻→閻魔の庁の人頭幢で亡者の善悪を判断する ☆国大 小姑が嫁を監視
10995 17 -9
   星合ハ 又書始の 心して
   星合→ほしあい 七夕の夜に牽牛織女の二星が会うこと☆ 国大 書始→かきぞめ あらたまって筆をとるのは正月以来
10996 17 -9
   秋既 ふとん敷ねは ひえの山
   既→すでに 敷ねは→しかねば ひえの山→ここでは冷える意か? ひえ→比叡山の略☆国大
10997 17 -9
   団扇てハ たゝきたいほと たゝかれす
   好いた男への娘の仕草
10998 17 -9
   新地の客に 壁を断る
   新地→新開地 深川新地 壁→野暮 不粋☆江語辞
10999 17 -9
   身はふり袖の 口は前帯
   前帯→玄人女の意 町娘だが言う事は花魁
11000 17 -9
   座頭を泊る 岩橋の蔓
   蔓→つる 植物のつる つて ☆国大 座頭を夜這のつてにする?
11001 17 -9
   先品川は 江戸の唇
   先→まず まあ大体☆国大 江戸の出入り口
11002 17 -10
   見台の 隅に本屋の 所附
   見台→けんだい 書物をのせて見る台☆国大 所附→ところづけ 所書☆雑俳語辞典 所書→書きつけた住所☆国大
11003 17 -10
   愛相を 奪合ていふ 呉服店
   愛相→あいそう 奪合て→ばいあって 来た客に店員が一斉に声を掛ける
11004 17 -10
   つかふへき 金につかハれ 老にけり
   金に使われた一生
11005 17 -10
   尼の身の 蓮より先に 眼か覚て
   朝早く咲く蓮より早く起きる
11006 17 -10
   女房を若く おもふ元日
   晴れ着で見違える
11007 17 -10
   雪丸け 鞠ほと春へ 残りけり
   雪丸け→ゆきまろげ 雪玉 暮に降った雪の雪玉が年を越しても融け残って
11008 17 -10
   家内を寐せて 𧝒に似せ首
   家内→家の者 家族や奉公人を含む☆江語辞 𧝒→よぎ 夜着? 寝ていると見せかけて夜遊びに
11009 17 -10
   上り藤 おもへは無理な 紋所
   上り藤→あがりふじ 藤の花房が逆上がっている紋 こんな藤はない
11010 17 -10
   わすれたやうに 琵琶の相の手
   琵琶の語り?
11011 17 -10
   わすれても よい人はせぬ とし忘
   年忘→忘年会 このままでは今年の憂さが解消できぬ人がする
11012 17 -10
   蕣や 女房に傘を 聞干され
   蕣→あさがお 朝帰りで茶屋の傘を問いただされ
11013 17 -10
   手紙喰へる 庵の空錠
   喰へる→くわえる 空錠→そらじょう 鍵がかけてあるように見えながら実はかけてない錠☆江語辞 留守に手紙が挟んである
11014 17 -10
   五人目は 巨燵の外に うきね鳥
   浮寝鳥→水に浮いたまま眠る水鳥 炬燵は定員四人
11015 17 -10
   しやかれた聲て 迷ひ子の礼
   声を嗄らして迷子を見つけ近所にお礼まわり
11016 17 -10
   労咳の 裏を流るゝ 芥川
   労咳→肺結核の旧称☆江語辞 芥川→伊勢物語で業平が二条の后を背負って渡る 実は恋煩いで?
11017 17 -10
   かそへる鐘の 邪广をする鐘
   邪广→じゃま 時の鐘を数えていたら別の鐘が重なって
11018 17 -10
   死て仕廻へと 戸を明ぬ母
   放蕩息子の朝帰りに
11019 17 -10
   医者も合点欤 食傷て済
   欤→歟 か 食傷→食中毒 食べ過ぎていやになること☆江語辞 河豚に当たったと思った?
11020 17 -11
   筋違て 居る神楽の 囃子方
   筋違→すじかい 斜め 居る→すわる ☆そのまんまか
11021 17 -11
   水鶏の跡を たゝく廻状
   水鶏→くいな 鳴き声が戸を叩く音に似る☆国大 夜の訪問者の比喩☆雑俳語辞典  廻状→領主が村々へ夫役等の用件を通達する書状☆国大
11022 17 -11
   両馬か間に おろす扶持方
   両馬→りょうば 一組の馬? 間→あい 扶持方→ふちかた 扶持米☆ 江語辞 一人で馬を引いて来て俵を下ろすさま?
11023 17 -11
   風にして 八日延たる 聟の灸
   風→風邪 灸の前三日後七日房事を忌む ☆江戸文学俗信辞典 婚礼の前で
11024 17 -11
   憂き恋を みつちやにしたる 十二月
   みっちゃ→あばた☆江語辞 暮の持参嫁を貰うことに
11025 17 -11
   看経を待て 居るわひ言
   看経→かんきん 仏壇の勤行 居る→すわる 相手の日課が終るのを後ろで待って
11026 17 -11
   刃物のやうに 髱さしを取ル
   髱さし→たぼさし 女髪で髱を後方へ張り出すために髱に入れる具☆江語辞
11027 17 -11
   名乗斗て 繪馬の大名
   斗→ばかり 絵馬に描いてある大名に名前が書き添えてあるが
11028 17 -11
   杣かちゝめて まハる松風
   杣→木こり 松風→松の梢を吹く風☆国大 松の枝を伐るので
11029 17 -11
   地黄丸 女のほめる 薬なり
   地黄丸→強精剤 ☆そのまんま
11030 17 -11
   皺面も 関の掟の 付わたり
   皺面→しわづら しわくちゃな顔☆国大 付わたり→口実 看板☆江語辞 関守はしかめ面がお約束
11031 17 -11
   百合ほとさかる あやまりの顔
   百合は花が下を向いている
11032 17 -11
   婚礼の 跡の祭りに 初瀬山
   初瀬山→歌枕 長谷寺の山 長谷寺は恋の祈願の寺 後の祭→手遅れ☆俳説ことわざ辞典 今さら手遅れ
11033 17 -11
   辛子か利て 一生のこゑ
   利て→きいて 一生の→生涯に一度しかないような☆国大 辛くて悲鳴
11034 17 -11
   遠慮する となりも持す 小夜碪
   小夜碪→さよぎぬた 夜打つ砧☆国大 人家まばらで近所迷惑にもならず
11035 17 -11
   尼寺の せめてしまりハ 男へし
   しまり→戸締まり☆国大 男へし→おとこえし 男子禁制なのでせめて男郎花の花が用心に
11036 17 -11
   耳も歯も 浮世に遠き 嶋戻り
   島流しから戻って聞く事も食べる物も目新しい
11037 17 -11
   子から腹 立せて子から 笑ハせる
   子供が喜怒哀楽のもと
11038 17 -12
   樹〳〵よりハ 先へ染出す 赤とんほ
   紅葉より赤蜻蛉が先
11039 17 -12
   御取はつしの かしハ餅来る
   取外す→粗相する しくじる ☆江語辞 柏餅→端午の節句に作る 殿様が腰元に手をつけ男児誕生
11040 17 -12
   蓮に似て 佛にうとく 牡丹咲
   疎い→親しい間柄でない☆国大 極楽に咲くのは蓮
11041 17 -12
   坂はかり見る 夢のくたひれ
   ☆そのまんま
11042 17 -12
   芳野は雪も 咲やうに降る
   芳野→吉野☆国大 桜の名所だが
11043 17 -12
   塩引の 骨へ女房の 春の礼
   塩引→しおびき 塩引鮭☆国大 女の年礼は年が明けてかなりたってから 塩引鮭も骨ばかりになった頃に
11044 17 -12
   惜む気に なれは牡丹も 吝ひ花
   廿日草というし
11045 17 -12
   乳母か問ふ まてハおもひに 蓋をして
   娘の秘めた恋心
11046 17 -12
   なふつて寐かす 夫婦巡礼
   精進でしょうなあ
11047 17 -12
   寐せぬつもりの 子におしむ乳
   子にちびちび乳をやって亭主を拒む?
11048 17 -12
   医心の 邪广に成たる くすり喰
   医心→いごころ 医術の心得 ☆国大 邪广→邪魔 養生ではなく単に好きで
11049 17 -12
   通辞の寐言 やまと唐土
   通辞→通訳 唐土→もろこし 日本語と外国語の混ざった寝言
11050 17 -12
   古郷に世話の 残るうふ髪
   古郷→こきょう 産髪→うぶがみ 産毛☆国大 産まれた時すでに生えている髪の毛で生後七日目に剃る ???
11051 17 -12
   娘の顔に 極月はなし
   極月→十二月 娘は掛取の心配もせず親におねだり
11052 17 -12
   くり返す 三輪素麺も 杉の箸
   三輪素麺→みわぞうめん 三輪の特産 謡曲三輪に杉が出て来る
11053 17 -12
   ふみて釣れる 台のはまくり
   釣れる→つられる 台→遊里の仕出しの台の物の略☆江語辞 蛤→雛祭りに供える 釣って遊んだりもする 花魁の文につられて雛祭りの紋日に登楼?
11054 17 -12
   何宗旨とも 反の合ふ蓮
   何宗旨→なにしゅうし 反→そり 反が合う→気が合う どの宗旨でも蓮は共通
11055 17 -12
   奥歯にものゝ 十九二十五
   十九→女の厄年 二十五→男の厄年 何となくすっきりしない
11056 17 -13
   頬を撫〳〵  借リて来る刷毛
   持って来る間なんとなく
11057 17 -13
   消炭の 味をわすれて 聟撰
   消炭→薪の火を消して作った炭☆国大 聟撰→むこえらび 消炭は小児の疳の薬らしい☆ 雑俳語辞典 娘に育ち
11058 17 -13
   白魚ハ 水に目の有 のみの事
   鉢の中の白魚のさま
11059 17 -13
   薮入に やつた其夜の きり〳〵す
   奉公人が居らず独り寝 「きりぎりすなくや霜夜のさむしろに衣かたしきひとりかも寝む」☆百人一首
11060 17 -13
   物おもひ 啞をさる事 遠からす
   啞→唖 おし 阿弥陀仏ここを去ること遠からず☆観無量寿経 似ている
11061 17 -13
   ぬか味噌汁に 内のなり行
   内→自分の家の亭主や女房 ☆江語辞 家庭☆国大 糠味噌でみそ汁を作ってしまい大騒ぎ?
11062 17 -13
   一つかいつゝ つるむ駕かき
   つるむ→交尾する 二人連れだつ☆江語辞 駕篭舁きはいつも二人一組
11063 17 -13
   雪の飪を 両手にて持ツ
   飪→にばな 煮端 出花の茶 ☆雑俳語辞典 降り始めのきれいな雪を両手で掬う
11064 17 -13
   百姓の こまつたやうに かしこまり
   座るのが苦手? 検見の時の様子?
11065 17 -13
   寐並んて居て 田唄さらゆる
   田唄→田植え唄 田植えの合宿の夜
11066 17 -13
   師走の陰を まハる正直
   掛取に嘘をつけない者は逃げるしか
11067 17 -13
   やうやく解た 謎に大聲
   解けた!
11068 17 -13
   千早振 神の御前の 娵姑
   千早振→ちはやぶる 神にかかる枕詞 嫁も姑も千早を着た神子?
11069 17 -13
   から紙の 形に倦たる 肘まくら
   形→なり? 終日横になって唐紙を眺め
11070 17 -13
   入込の湯に うか〳〵と僧
   入込→いりごみ 男女混浴☆ 江語辞 混浴銭湯にうっかり
11071 17 -13
   癪の薬に 呵る小調市
   小調市→こでっち 丁稚に八つ当たり
11072 17 -13
   扇子箱 春の玄関の 筒井筒
   扇子箱→年礼で配る 高々と積み上がる?
11073 17 -13
   天人の 膝に仏師の かり枕
   仮枕→仮寝 うたたね☆国大 本堂で仕事中うたたねの夢で
11074 17 -14
   冨沢丁に 香にめてし果
   富沢町→古着屋の朝市 げにや色に染み香にめでし昔を☆謡曲東北 恋多き和泉式部の霊 色香に染まった生活の名残の古着
11075 17 -14
   野のあしらひに 女房を誉
   野→野良 田畑のこと☆国大 あるいは野でも山でも持つべきものは子☆諺から子の意? 子供の躾について女房を誉める?
11076 17 -14
   秋更て 独口利く かし本屋
   独→ひとり 口利く→くちきく 淋しい感じ
11077 17 -14
   鷹狩の野に かたまらぬ竈
   竈→くど かまど へっつい 移動するので? ☆武十六・25
11078 17 -14
   祝ひ日の 気を引立る 酢の匂ひ
   祝い日→一日と十五日と二十八日 小豆飯を炊き子供は服装を改め女は白粉☆江戸文学俗信辞典 単にめでたい日の料理? ☆武十六・25
11079 17 -14
   稲葉の雲を わけるほら貝
   稲葉の雲→田の一面に稲穂が垂れて風に揺れなびくさまを雲にみたてる☆国大 集団で稲刈りの合図
11080 17 -14
   思案の腮を 仕廻ふふところ
   腮→あご 食費を含む雑費生活費☆江語辞 なんとか食費が工面できて?
11081 17 -14
   洗ひ髪 干せはしのふの 雫程
   しのぶ→忍ぶ草の略☆国大 ☆そのまんまか
11082 17 -14
   立さまに 夫婦になれと 突倒し
   手荒な求婚
11083 17 -14
   辛子のきゐた やうな了簡
   きびしく異見されて豹変
11084 17 -14
   将棊斗ハ ゆるす伴頭
   将棊→しょうぎ 斗→ばかり 伴頭→ばんとう 番頭が将棋好きで
11085 17 -14
   大根ハ 坂東一の 香のもの
   坂東→ばんどう 関東の古称☆国大 香の物→漬物 大根漬☆国大 剛の者の洒落? 徒然草の大根武者を利かせる
11086 17 -14
   大口も 言人に依て 寄麗也
   言人→いいて 寄麗→奇麗 大言壮語もいう人による
11087 17 -14
   辞世の口て 粥に喰つく
   死にかかったが回復して
11088 17 -14
   拾人並の 男にはなし
   拾人並→じゅうにんなみ 容貌や技量などが普通であること☆国大 男は皆それぞれ取りえが
11089 17 -14
   石の降る夜ハ 皃に眼かふる
   婚礼の夜その家に石を投げる石打の祝い どんな嫁さんか注目
11090 17 -14
   銀河 硯のうへに さかり蜘
   銀河→あまのがわ さかり蜘→下がり蜘蛛 待人来る兆☆雑俳語辞典 七夕の短冊と牽牛織女の逢引
11091 17 -14
   追人ハ雲を つかむ相談
   追人→おって 駆落ちの捜索で手掛かりなし
11092 17 -15
   降出すと 仕廻の付ぬ 木曾の雪
   仕廻→しまい 物事が終わること☆大辞泉 もう降り止まぬ
11093 17 -15
   冬籠 鼻にめかねの 跡か付
   家で読書ばかりして
11094 17 -15
   待乳も親の 合点せぬ山
   待乳→まつち 待乳山聖天 歓喜天だし吉原に近いし
11095 17 -15
   憎いといふ字 舅から出る
   聟の芋田楽が発覚? ☆武十六・25
11096 17 -15
   蓮台を 下りて汗かく 九十川
   蓮台→れんだい 川を渡る客を乗せた台☆大辞泉 九十川→くじゅうがわ 大井川や天龍川等の異称 川越しの肩車の最高賃料九十文☆川柳辞彙
11097 17 -15
   口を利く 手代ハねふい 小紋着て
   口を利く→幅をきかせる☆江語辞 ねぶい→ねむい 眠たい→模様が細かい☆雑俳語辞典 小紋→小紋染☆国大 眠ったいには活気がない意も
11098 17 -15
   翌の仏を 日和から誉
   翌日の葬式は晴れそうだが生前の功徳だねえ
11099 17 -15
   掛人 手持ふさたな 火吹竹
   掛人→かかりうど 居候 ちょっと手伝っているだけ
11100 17 -15
   桜鯛 けふの廿日に かへり花
   返花→返り咲きする花 冬の季語 十月二十日は恵比寿講 宴会の肴に桜鯛が
11101 17 -15
   あしたに道を 聞て鰒汁
   鰒→ふぐ 明日に道を聞かば夕べに死すとも可なり☆論語 河豚で死んでも思い残すことなし
11102 17 -15
   関取の 行水しても 人たかり
   相撲取りの行水も見もの
11103 17 -15
   日のたけほとに 藤の物さし
   丈→高さ☆国大 日の高さで藤の陰の長さが
11104 17 -15
   若旦那 いつか内證ハ かんこ鳥
   内証→ないしょ 娼家の帳場 ☆江語辞 若旦那が惣花を打ちみんな座敷へ集合
11105 17 -15
   一ト活いきる 葉桜の下
   一ト活→ひといき 一息→一呼吸☆江語辞 人も居らず一寸休憩に良い?
11106 17 -15
   恋の道具に 近い加賀紋
   加賀紋→家紋のまわりに多色の草花文等を配したもの ???
11107 17 -15
   呉服屋ハ 鄽の内にも 松一木
   鄽→みせ 松一木→まつひとき 変らぬ色の松一木☆謡曲松風 狭い中庭があった☆川柳江戸名物図絵
11108 17 -15
   天窓もつゝむ 髪置の馬
   天窓→あたま 髪置の宮参り 三歳児が肩車の頭にしがみつく? 肩車の棟梁の鉢巻き?
11109 17 -15
   うたかひかゝる 夜の両替
   今時分から何所へ何しに行くのか
11110 17 -16
   三十ハ 落着としの はしめ也
   落着→おちつく 三十にして立つ☆論語
11111 17 -16
   女房の 癖を見出す 掛人
   掛人→かかりど 居候 暇なのでよく観察
11112 17 -16
   肝心の 所はそつと 言伝て
   言伝て→ことづてて 他人に見られるかもしれない手紙には肝心のことを書かず伝言で
11113 17 -16
   筆先へ いふ恨には 骨かなし
   手紙に書く恨みはまだ軽い
11114 17 -16
   花のもとにて はまくりも死ぬ
   「ねがはくは花のもとにて春死なむそのきさらぎの望月の頃」 ☆西行 雛祭りのご馳走の蛤
11115 17 -16
   十月の 苞に十ある 冨貴の薹
   苞→つと 冨貴の薹→ふきのとう 十月十日前後の雑司ヶ谷鬼子母神の御会式の関係か? 「ぞうしヶ谷時雨の下に蕗のとう」☆武十・2 ???
11116 17 -16
   逃る工夫も 打あかす神
   神→遊里の豪遊客のとりまき 幇間 居候☆江語辞 遣手の催促から逃れる手を幇間が入れ智恵?
11117 17 -16
   髭題目の 上に乙鳥
   髭題目→南無妙法蓮華経の字画の末を髭のように長く引いて書いたもの 東海道興津宿身延道分岐標の横にある石碑 乙鳥→つばくら
11118 17 -16
   女房の異見 寐転てきく
   寐転て→ねころんで 真面目に聞けるかい
11119 17 -16
   料理人 旦那の口を 磨すまし
   料理人→宴会のある個人宅へ出張して料理をする職人 磨すまし→とぎすまし だんだん口が奢ってくる?
11120 17 -16
   女のろくに いはぬ客僧
   客僧→旅僧☆国大 一食分仕度が増えるので
11121 17 -16
   寺は二月の やうな正月
   三が日は年礼も控える
11122 17 -16
   春にしまりを 付る帳緘
   締→決着 しめくくり☆国大 帳緘→ちょうじめ 決算☆国大 正月上旬と七月に在庫調査の店卸
11123 17 -16
   おりはの賭に 夫の顔見る
   おりは→折羽 双六の変種☆ 江語辞 夫→つま 正月の家庭内博打か
11124 17 -16
   死たやりてを 咄出す雪
   憎い遣手も故人となれば
11125 17 -16
   噂いふ 中へのろりと 掛人
   掛人→かかりうど 居候噂をすれば影
11126 17 -16
   大きな啌を かつく膏薬
   啌→うそ 荷物を重く見せる? ☆武十二・7
11127 17 -16
   欠乞の 壱分喰へて 筆を出し
   欠乞→かけこい 借金取り 支払って貰い帳面を消す
11128 17 -17
   盗に逢ふて 暦見て居る
   凶日だったか
11129 17 -17
   鑓屋は門を 正直に出る
   鑓屋→やりや 斜めではつっかえて出られない?
11130 17 -17
   本店は 小判のやうな 香の物
   本店→ほんだな 本店☆国大 呉服店で上得意客に食事を出す
11131 17 -17
   看病替る 医者の見通し
   美人のお内儀を看病につけていては治る病も治りません
11132 17 -17
   定て 妾に四度の 物着星
   定て→さだまって 物着星→ものきぼし 爪に白斑点が出ると衣類が新調できるという ???
11133 17 -17
   上客の 顔中うこく 生身玉
   生身玉→生御霊 いきみたま 七月十五日生きた両親に刺鯖を供す お年で歯が
11134 17 -17
   千枚の 上の沙汰なし 面の皮
   面の皮千枚張り→厚顔無恥☆俳説ことわざ辞典 千枚位が限度か
11135 17 -17
   琵琶のせて 見れは淋しき 膝頭
   三味線なら賑やかだが
11136 17 -17
   まん勝な 顔を並へて 大般若
   まん勝→まんがち 身勝手 われ勝ち☆江語辞 大般若→大般若経転読の法要 大般若経六百巻を複数の僧侶で転読する
11137 17 -17
   姑にはかり 新しい娵
   姑→しゅうと 娵→嫁 葉桜の嫁だが姑にとっては?
11138 17 -17
   座頭不思議に 本鬮を取
   本鬮→ほんくじ 何故かくじに当たり易い? お金に縁がある?
11139 17 -17
   覇王樹買ふて 戻る位牌屋
   覇王樹→さぼてん 位牌に似ているのが可笑しい
11140 17 -17
   家来の寺を 後の中宿
   中宿→遊所通い途中の休み場所☆川柳辞彙
11141 17 -17
   一夜契た 星もいたつら
   牽牛織女の逢い引き
11142 17 -17
   草市の 残ると捨る 物はかり
   盆前の草市 まこも、蓮の花 、瓜、茄子、桔梗などを売る 売れ残っても腐るものばかり
11143 17 -17
   暮せはくらす 六月の鍛冶
   さぞ暑かろうに
11144 17 -17
   繪のやうに 風に吹るゝ墨衣
   墨衣→僧衣 ???
11145 17 -17
   土弓場の 馴染の釘に 袈裟掛て
   土弓場常連の僧 袈裟を掛ける釘も決まって
11146 17 -18
   雛に日の目を 見せるなてしこ
   撫子→新暦の八九月頃咲く 土用干で雛人形が一日出る
11147 17 -18
   古戦場 虫の轡の 音はかり
   轡→くつわ 馬の轡の音でなく轡虫の音
11148 17 -18
   摺火打 旅の旨ミを わすれかね
   摺火打→すりびうつ 火打石と火打金で火を摺り出す☆江語辞 ???
11149 17 -18
   座頭の眼 見ゆる発明
   眼→まなこ 発明する→悟る☆江語辞 座頭の目が見えるようになったように
11150 17 -18
   葛城の 神かもしらす 屏風山
   葛城の神→一言主神で見目麗しくない 屏風山→ここは屏風の意か 新婚初夜で屏風を明けるまでどんな嫁さんかと
11151 17 -18
   つく〳〵と 見れは淋しき 牛の面
   気の毒な境遇だし鼻輪もあるし
11152 17 -18
   物の器用も 病身のたね
   器用→賢く要領が良い☆江語辞 病身→病気がちであること☆ 国大
11153 17 -18
   怖さうに 子の撫て見る 鴨の腹
   正月用に料理する鴨の腹を
11154 17 -18
   哥骨牌 乳母か無筆て 静也
   哥骨牌→うたがるた 百人一首は騒がしい乳母が参加できず
11155 17 -18
   刺鯖は ひよくの外の くされ縁
   刺鯖→さしさば 生身魂で両親に供する 鯖の背開きに塩をつけ干したもので二尾で一組☆江戸文学俗信辞典 連理比翼という訳でもないが
11156 17 -18
   なふらるゝ 八十八のとし忘
   米寿で忘年会に参加して
11157 17 -18
   鏡の中に 湯気のたつ顔
   風呂上がりの化粧
11158 17 -18
   薙刀も 言葉になれは 中直
   中直→なかなおり 薙刀まで持ち出したが
11159 17 -18
   ちいさい伊達と おもふ爪紅
   爪紅→つまべに 爪の先に紅をさす女の手の化粧☆江語辞
11160 17 -18
   看病の 夜寒に捜す 台所
   酒はないのか
11161 17 -18
   翌へ残らぬ 除夜の腹立
   翌→あす 除夜→大晦日の夜☆国大 掛取には腹が立ったが? ☆武十七・37
11162 17 -18
   鍋炭の 腕恥しく 脈見せて
   下女の妊娠?
11163 17 -18
   池鯉鮒は子細 らしい町の名
   池鯉鮒→ちりふ 東海道池鯉鮒宿 子細→しさいいかにも云われがありそうな地名
11164 17 -19
   惟光ハ 請状迄に 呼出され
   源氏物語 末摘花の世話?
11165 17 -19
   片〳〵は 律儀に居ハる 胸つくし
   片〳〵→片一方 居ハる→すわる 胸尽→むなづくし むなぐら ☆国大 胸ぐらを取る時?
11166 17 -19
   仕廻には 顔張なくす 傘屋
   傘の紙を張っていくと顔が見えなくなる
11167 17 -19
   逆に 着なら簑も もとの草
   逆に→さかさまに 簑→蓑 みの ☆そのまんま
11168 17 -19
   不断五両て 済す掛り人
   五両→間男の示談金 掛り人→かかりど 居候
11169 17 -19
   白粉ほとな 啌つきもなし
   白粉→おしろい 啌→うそ 厚化粧でごまかす
11170 17 -19
   幮釣て とふか我家も 二間三間
   幮→かや 二間三間→ふたまみま 一間の我が家も蚊屋を釣れば
11171 17 -19
   親に土産の まめて来る顔
   まめ→勤勉 息災 健康☆江語辞 薮入の一番の土産は元気な顔
11172 17 -19
   牡丹に聲の 高い口上
   自慢の牡丹を見せに来て
11173 17 -19
   鼻をハ捨て かえる古郷
   古郷→ふるさと 梅毒で鼻を失って江戸から帰郷
11174 17 -19
   牡丹の闇の 二十一日
   牡丹は廿日草という
11175 17 -19
   余所の娵入を 縫かけて見せ
   余所→よそ 娵入→よめり 嫁入り☆国大 依頼された花嫁衣装を自分用のようにみせる?
11176 17 -19
   盗まれた夜の 闇い寐所
   盗む→ひそかに連れ出して妻とする☆国大 闇い→くらい
11177 17 -19
   飛神に 飛はぬ佛も 群衆して
   飛神→とびがみ 他の土地から飛んで来てその土地に祭られる神☆江戸文学俗信辞典 群衆→くんじゅ 人が多くむらがり集まること☆国大
11178 17 -19
   能やうて わるい師走の 二ツまて
   能→よい 閏十二月があると支払いは後になるがその分増える?
11179 17 -19
   針たこを きたなかる手の 奇麗也
   針胼胝→針仕事でできる胼胝のことか? 針仕事など縁のないお嬢さま
11180 17 -19
   無沙汰した 門を経師の 刷毛序
   経師→きょうじ 経師屋 書画の幅や屏風襖などを表装する職人☆国大 刷毛序→はけついで 以前のお得意もついでに訪問  「刷毛ついでに行燈」とはついでにすること☆俳説ことわざ辞典
11181 17 -19
   水あたりとハ 京の冥聞
   水あたり→生水を飲んで腹をこわし下痢すること☆国大 冥聞→みょうもん名聞→世間での名声や評判☆ 国大
11182 17 -20
   十日とハ乾ぬ 囲ハれの薬鍋
   乾ぬ→ひぬ 囲ハれ→僧の妾 薬鍋→なべ? 僧が妾を薬喰いする
11183 17 -20
   着る事も ならぬ蚕に 骨を折
   蚕を飼う農民は絹を着られぬ
11184 17 -20
   瓜ひとつ もきれは夜の 蠅の聲
   もきれは→もぎれば 瓜の匂いを嗅ぎ付けて
11185 17 -20
   むかふから 間頼まるゝ 伏見町
   間→あい 二人で酒をのんでいる時もう一人加わって盃を受けること 伏見町→吉原五丁町の一つ 道が狭いので☆ 江戸文学地名辞典
11186 17 -20
   一生やり人 剃る心なし
   やり人→やりて 遣手 遣手婆に本当の信心なし?
11187 17 -20
   開山の 杖に芽の出る 春の雨
   弘法大師が土にさした杖から芽が出る類いの縁起
11188 17 -20
   元日ハ 全く死ナぬ 心なり
   さっき年をとったばかりで
11189 17 -20
   一生の 馬鹿を網戸に 〆直し
   土蔵に放蕩息子を閉じ込める ?
11190 17 -20
   貴布祢の道を 余所らしく聞く
   貴布祢→きぶね 貴船 余所→よそ 丑の刻参りが目的なので
11191 17 -20
   分別か 出来て我身の 置所
   納得したら自分が居づらく
11192 17 -20
   無理と無理 脊中合に 夜か明て
   脊中合→せなかあわせ こじれた夫婦喧嘩?
11193 17 -20
   追人の気転 表徳て呼ふ
   追人→おって 表徳→ひょうとく 雅号 あだ名☆国大 うっかり返事してしまう
11194 17 -20
   金杉も 箕輪も毒の 部に入て
   品川や吉原に近いので?
11195 17 -20
   鬼灯の 鳴唇の 皆薄し
   鬼灯→ほおずき 鳴→なる 唇が薄い→多弁☆江語辞 禿のことか
11196 17 -20
   大屋に書て 貰ふ離別状
   離別状→さりじょう 無筆で 大屋は間男の証人 ☆武十二・25
11197 17 -20
   二十五からは 竹になる年
   「男は二十五の暁まで丈がのびる」☆諺☆俳説ことわざ辞典 育つ筍から竹へ
11198 17 -20
   春程に 秋を覚る 鳴子引
   覚る→おぼえる 作物が実るので畑の春
11199 17 -20
   無筆さえ読む 天智天皇
   「秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣手は露にぬれつつ」 ☆天智天皇 百人一首の第一番なので有名
11200 17 -21
   脊中にあまる 帯の化もの
   帯解の祝いの子の姿?
11201 17 -21
   夕顔の 實は蔓に似す 花に似す
   蔓→つる ☆そのまんまか
11202 17 -21
   島台を 脊中に付た 釡はらひ
   島台→婚礼などの飾り台で松竹梅や鶴亀を配す 釡拂→月末に巫女が来て荒神様のお祓いをする 衣に鶴亀の模様ありと☆江戸文学俗信辞典
11203 17 -21
   けんくわの跡へ 水売か来る
   声が嗄れたところにあるいは相撲の水入り?
11204 17 -21
   踊の音頭 聲にくたひれ
   ☆そのまんまか
11205 17 -21
   順の峯 息の長いも 道具也
   順の峯→三月に熊野から吉野へ抜ける山伏修行 道具→仏道修行のための三衣一鉢などの必要品☆国大 持久力も修行に必須
11206 17 -21
   眼て人つかふ 旅籠屋の妻
   顔や目の動きで使用人を指図 そのお客様はあちらへご案内して
11207 17 -21
   請人の 印肉乾く 春の風
   請人→うけにん 奉公人の保証人☆江語辞 奉公人出替りは三月五日 春の風に請け状の印も乾く
11208 17 -21
   戒名も 宛字交りの 奉加帳
   宛字→当て字 音や訓をその字の意味と無関係に当てる 寺への寄進集め よく覚えていない
11209 17 -21
   無いものゝ 鼻につかへる 真の闇
   ☆そんな感じ
11210 17 -21
   拳・て人を 呵る立聞
   声を出すなと仕草で注意
11211 17 -21
   寺中なまめく 曠な霜月
   寺中→じちゅう 曠な→はれな 霜月→十一月 報恩講でお見合いの女性も参詣
11212 17 -21
   乞食から 身に入風の 吹はしめ
   入→いる 身に入る→身に染む ☆国大 着るものの少ない者から風が身にしみる
11213 17 -21
   村中の 智恵を集る 旱魃年
   旱魃年→ひでりどし ☆そのまんま
11214 17 -21
   元日は 待て居た程 用かなし
   案外退屈
11215 17 -21
   亭の給仕の 膳に袖笠
   亭→ちん 庭園のあずまや 袖笠→袖を笠がわりにする 風や砂を避けて膳部を運ぶ
11216 17 -21
   井戸端の 評判ものに 若旦那
   若旦那が長屋の女房連中の噂のネタに
11217 17 -21
   女衒か宿に 親しらす這ふ
   親不知→実の親を知らない知らせもしないことにする意☆ 江語辞 母親は遊廓に売られて?
11218 17 -22
   扇売 大事に跡を ふりかえり
   箱を肩に担っているので慎重に振り返る
11219 17 -22
   廿四孝は 人の雛かた
   雛形→手本☆国大
11220 17 -22
   似合ふたと いふハ淋しき 墨衣
   墨衣→僧衣 出家姿が似合うといわれても
11221 17 -22
   暦出る 日は重箱も 出る日也
   十一月朔日は暦発売と江戸三座顔見世狂言
11222 17 -22
   世の人の 裸もいはゝ 佛より
   灌仏会の頃から次第に暑くなる?
11223 17 -22
   顔かたち 座頭の妻の 片便宜
   片便宜→かたびんぎ こちらから便りをするが先方からは返事がないこと☆国大 妻が美人でも
11224 17 -22
   女斗て 済さうな八瀬
   斗→ばかり 八瀬→やせ黒木売りの大原女が有名
11225 17 -22
   歯のぬけた やうに出て行 雪の船
   積もった雪の中から
11226 17 -22
   夫の惚た 顔を見に行
   玉菊燈籠の吉原へ女房が見学に ☆武初・33
11227 17 -22
   吉原も 地獄のやうな 十二月
   この世の極楽も師走は金策で地獄
11228 17 -22
   かはつた灸を 居る若後家
   居る→すえる 避妊の灸点とか
11229 17 -22
   遠くていちる 親里の神
   いじる→ねだる☆江語辞 親里→おやざと 実家☆国大 嫁ぎ先や奉公先からも祈願を
11230 17 -22
   面白い 物は他人の 心なり
   ☆そのまんま
11231 17 -22
   我春を 二本は残す 小松売
   門松を抜いた跡に植える小松を自宅用に二本
11232 17 -22
   娘に付た 虫を怖かる
   付た→ついた 箱入り娘にとんだ虫が
11233 17 -22
   泣く子を抱て うこく唇
   顔を寄せて小声であやす 泣き声が大きくてあやす声は聞こえない
11234 17 -22
   梅にむかつて 歯を鳴らす妻
   悪阻 ☆武二・40
11235 17 -22
   人に極めを させる我像
   極め→決定☆江語辞 どれが似ているのか自分ではわからぬ
11236 17 -23
   畳んて見れは とんな不断着
   とんな→鈍な? まがぬけているさま☆国大 着ている間は思わなかったが
11237 17 -23
   垣越に 鍋を借合ふ 組屋敷
   組屋敷→御家人の集団住宅☆ 江語辞 長屋的な付き合い
11238 17 -23
   棟上の 上座して居る 甚五郎
   左甚五郎?
11239 17 -23
   入院の日 佛の道は なかりけり
   入院→じゅいん 僧が住職になってその寺院にはいること ☆国大 ???
11240 17 -23
   いはぬりんきを 大針に縫ふ
   嫉妬をこらえてつい縫い方が粗く
11241 17 -23
   附木に道を 書し飛神
   付木→木の薄片の端に硫黄を塗ったもので薪に火を移すのに使う☆江語辞 飛神→とびがみ 他の土地から飛んで来てその土地に祭られる神☆江戸文学俗信辞典
11242 17 -23
   呉服屋傘て 高安の里
   高安→業平が通った河内の女の里 越後屋の貸し傘で浮気?
11243 17 -23
   座頭の咄 道の真中
   道の真中で立ち話
11244 17 -23
   小聲に成て 牡丹餅の禮
   牡丹餅→四十九日忌に配る 死んだ姑の噂話も
11245 17 -23
   ゆつられた気て 留守の掛人
   掛人→かかりど 居候 留守番だが家を譲られた想像
11246 17 -23
   菊合 根分の頃の 風かふき
   菊合→きくあわせ 菊の品評会 根分け→菊の殖やし方の一つ 仲春の季語 秋だが春の風が吹いたような熱気?
11247 17 -23
   欠して 胸算用を 消してをく
   欠→あくび 今夜は花魁は来ないかもな
11248 17 -23
   上手といへと 曲もなき琵琶
   曲がない→面白味がない☆江語辞 三味線の方が
11249 17 -23
   継子の行義 名の高い母
   継子→ままこ 行義→行儀教育熱心で有名な継母?
11250 17 -23
   すひく礫に ほや〳〵の雪
   すびく→誘う 気を引く☆江語辞 礫→つぶて 軟らかい雪玉を投げてちょっかいを出す
11251 17 -23
   念佛て もろく吊ふ 小室焼
   もろく→はかなく☆国大 吊ふ→とぶらう とむらう 小室焼→御室焼 おむろやき 仁和寺門前で仁清がはじめた陶器 仁和寺は真言宗
11252 17 -23
   売聲は 皺の伸たる 干大根
   伸たる→のびたる 干大根売りの声は干大根と違って伸びている
11253 17 -23
   蒼朮は 女房の知た 薬也
   蒼朮→そうじゅつ 焚いて湿気を払う薬草 女房の知らぬ怪しい薬ではない
11254 17 -24
   江戸見物の 鮓に寐て居る
   鮓→すし 宿で寿司詰め?
11255 17 -24
   髪梳上て あまくたる下女
   梳上て→すきあげて ???
11256 17 -24
   桜草 子か寐て見れは わすれ草
   忘れ草→身につけると憂さを忘れるという萱草 憂さや心配を忘れさせるもの☆国大 慌ただしい一日を終えて鉢の桜草に思う
11257 17 -24
   生酔を 俵のやうに 取廻し
   生酔→まなえい 酔っぱらい 俵のように処理する
11258 17 -24
   見せに出る日は 顔も水物
   見せ→見世? 水物→運に左右されやすいもの☆国大 その日の気分で
11259 17 -24
   邯鄲の 夢の短い 妻の留守
   家で独り栄華を
11260 17 -24
   生酔は 畳たやうに かしこまり
   生酔→なまえい 酔っぱらい 畳た→たたんだ 畳んだようにしゃがみ込み
11261 17 -24
   蓼になり 茗荷に成て 掛人
   蓼→たで 茗荷→みょうが 掛人→かかりうど 居候 様々なご馳走の栄華の果てに勘当され
11262 17 -24
   雪の国から 縮屋か来る
   小千谷縮
11263 17 -24
   人こそしらね 甥に大名
   「わが袖は潮干に見えぬ沖の石の人こそ知らねかわくまもなし」☆二条院讃岐 百人一首 妹がお妾になり男子を産んで出世?
11264 17 -24
   煤掃に 汚れた男 誉られて
   煤掃→すすはき 十二月十三日の大掃除 汚れているのが働き者
11265 17 -24
   松魚に酔て 兼好を誉
   松魚→かつお 酔う→魚肉などに中毒する☆国大 兼好の少し前は鰹はまともな人間は食べなかったと☆徒然草第百十九段
11266 17 -24
   夫婦して あたる巨燵の うつの山
   巨燵→炬燵 うつの山→人に逢わぬ意☆雑俳語辞典 夫婦水入らず?
11267 17 -24
   側から減らす 妻の挨拶
   ???
11268 17 -24
   よせられて 啞の口利く 梓弓
   啞→唖 おし 梓弓→巫女の口寄せ 唖の故人の口寄せをして
11269 17 -24
   水浅黄 明後日といふ 色てなし
   水浅黄→みずあさぎ  囚人服☆江語辞 同じ青系の色だが紺とはえらい違いで
11270 17 -24
   初鰹から おろす俎いた
   俎いた→まないた ここは改まって
11271 17 -24
   百の旦那も 天照らす神
   百旦那→お布施に百文しか出さないようなケチな檀家 天照らす→天にあって照り輝いておられる☆国大 神→とりまき 幇間☆国大
11272 17 -25
   千畳敷に 瞽女のすり足
   千畳敷→畳千枚を敷くほどの大広間☆国大 障害物はないけれど
11273 17 -25
   挽物の ときれ〳〵を かしか啼く
   挽物→ひきもの ろくろがんな等で木等を挽いて作った器具や細工物☆国大 削る音の合間にかじかの鳴声が
11274 17 -25
   油手を 洗ふ女の 襟をすゑ
   油手→油まみれの手☆江語辞 ???
11275 17 -25
   江戸詰と あきらめて居る きり〳〵す
   江戸詰→参勤交代で大名や家臣の江戸藩邸勤務☆国大 きり〳〵す→独り寝の意か
11276 17 -25
   気の毒と 言つゝ直きる 拂物
   直きる→ねぎる 拂物→はらいもの 売り払うべき品物☆国大 ☆武七・22
11277 17 -25
   座頭に鰭を 付る光次
   鰭→ひれ 鰭が付く→貫禄が生じる☆江語辞 光次→みつつぐ 金座の後藤光次 家康等に仕え大判小判を鋳造☆川柳大辞典  座頭の金貸し
11278 17 -25
   蓋をしてをく 夏の不忍
   不忍→しのばず 不忍池の蓮のさま
11279 17 -25
   済かねる 口舌にたまる 上草履
   すめかねる→納得がいかぬ☆江語辞 口舌→くぜつ  痴話喧嘩☆江語辞 上草履→遊女が屋内で履く底の厚い草履
11280 17 -25
   うき世へ耳の 遠い名人
   本当の名人は世間の評価など意に介さぬ?
11281 17 -25
   たま〳〵の 留守の仕事に 日か足らす
   仕事→悪事を働いたりたくらんだりすること☆国大 間男とか?
11282 17 -25
   うたゝ寐の 腰より下は 女なり
   うたた寝していても裾は乱さず
11283 17 -25
   多田も秋葉も 船の息継
   息継→いきつぎ 多田薬師も秋葉道も隅田川の舟遊びの最終目的地ではない
11284 17 -25
   翦矢持せて 母の突袖
   翦矢→それや 流れ矢 浮気の意☆国大 突袖→つきそで 袖の中に手を入れて袂の先を 前方に突き出すこと ???
11285 17 -25
   才蔵の 上手て奥も 春の山
   才蔵のきわどい話芸が巧みで奥様まで笑う三河万歳 春の山は笑うの意か
11286 17 -25
   蟻ひとつ 貞女に帯を 解せけり
   アリが着物に入って大騒ぎ
11287 17 -25
   什物帳の 外にばけもの
   什物帳→じゅうもつちょう什物→日常用いる道具 代々伝わる宝☆国大 相続争い?
11288 17 -25
   女房に 啌つく桜 咲にけり
   啌→うそ 御殿山から品川行きとか
11289 17 -25
   然はと 書て肴の 数を聞
   然は→しかれば 話の冒頭の慣用句 さて☆国大 しからばならば別れの挨拶の慣用句 さらば☆国大 ???
11290 17 -26
   初物を 耳に喰せる 病上り
   初鰹賞味はまだ無理で時鳥の初音だけ
11291 17 -26
   さそふ水来て 乳母と咡く
   誘う水→小野小町の歌から誘惑の比喩☆雑俳語辞典 咡く→ささやく 乳母の色事
11292 17 -26
   口上を わすれて戻る 茗荷谷
   茗荷だけに物忘れ
11293 17 -26
   博奕始める 馬の看病
   博奕→ばくち 看病するのが馬方とかなので
11294 17 -26
   かき立る 灯に分別も かき立て
   一夜じっくり灯りの側で考えて
11295 17 -26
   胸の火に 一矢射て見る もみ大根
   揉大根→間引いた大根を塩で揉んで漬けたもの☆江語辞 間引きや堕胎の意☆雑俳語辞典 「胸の火に一箸せゝるもみ大根」☆武七・18
11296 17 -26
   豊年に しても案山子は 立の侭
   案山子→かかし 立の侭→たちのまま 着のみ着のまま 豊作になっても着物が良くなる訳でなし
11297 17 -26
   歯か能と 誉れは耳を 無念かり
   能→よい 年寄りの不満
11298 17 -26
   忘れたやうな 寺の元日
   僧の年礼は四日から
11299 17 -26
   世の秋に似る 宇治の三月
   茶摘みは春
11300 17 -26
   うしろへ捨る こねとりの咳
   こねとり→餅搗の時臼の中の餅をこね返す人☆江語辞  後ろを向いて咳
11301 17 -26
   唇なめて 戻る代脈
   代脈→代診☆江語辞 ???
11302 17 -26
   岩橋の 道を大工の たゝき付
   未完成な橋を大工が修繕?
11303 17 -26
   天のあたへの 綻を縫ふ
   綻→ほころび 好いた男に接近するチャンス
11304 17 -26
   水茶屋の 靨にたまる 古わらし
   靨→えくぼ 評判の美人娘に客が日参して
11305 17 -26
   言名付 とつち付すの 時宜をして
   言名付→いいなずけ 時宜→じぎ 辞儀 微妙な間柄
11306 17 -26
   連をはつして 毒の試
   連→つれ 試→こころみ 同伴者と切り離して吉原へ誘う
11307 17 -26
   腹のたつ日を 寐て仕廻ふ雨
   ☆そのまんま
11308 17 -27
   人ならハ 寐よけな所に 真桑瓜
   寐よけ→寝よげ? 涼しい所に転がっている
11309 17 -27
   馳走に呵 ちらす女房
   呵→しかり もっと気の利いた料理は出せんのかと客の手前
11310 17 -27
   喰せて見れは 小結てなし
   大関級の大食
11311 17 -27
   闇の夜を つかひ覚て 咳拂
   咳払いで人を使い慣れ
11312 17 -27
   隣から 隣しらすの 聟か来て
   隣知らず→隣近所に知れぬよう密かに行う簡略な婚礼 ☆大辞泉
11313 17 -27
   桃売の 来る頃雛の 土用干
   お雛様は春は節句で桃の花に夏は土用干で桃の実に出会う
11314 17 -27
   大きく成て きえる罔両
   罔両→かげぼし 部屋から去る時灯火に一旦近づき障子の影が大きく
11315 17 -27
   銀河 夜明て狂ふ 夫婦中
   銀河→あまのがわ 一夜の逢瀬が女房にばれて
11316 17 -27
   夫を尻に 敷しまの道
   敷島の道→和歌の道 ここでは尻に敷く意 和歌の教養のある女房が亭主を尻に敷く
11317 17 -27
   大判は 関取ほとの 取廻し
   取廻し→扱いぶり☆江語辞 大判は相撲取りのように珍しく扱われる
11318 17 -27
   廿五の 暁近く 丈くらへ
   丈くらへ→せいくらべ 「男は二十五の暁まで丈がのびる」☆諺☆俳説ことわざ辞典
11319 17 -27
   白魚の 火を入て行 火縄箱
   白魚漁のかがり火のために
11320 17 -27
   大佛は 本の噺の 啌らしき
   噺→はなし 啌→うそ 道中記に書いてあることは話半分 鼻の穴で傘持って踊れる類い
11321 17 -27
   妹より 姉の白歯も 逆の峯
   妹の方が先に嫁に行きお歯黒をつける 逆の峯→ここでは逆の意
11322 17 -27
   夕涼 浴衣の外に 姿なし
   みんな浴衣姿
11323 17 -27
   なふられなから 三火居る顔
   三火→みか 居る→すえる 避妊のための三カ所の灸☆江戸文学俗信辞典
11324 17 -27
   燈籠より ねふる禿を かき立て
   禿→かぶろ 行灯の火より禿を起す
11325 17 -27
   鉢たゝき 昼の身過も 雪の竹
   鉢たたき→年末に鉦や瓢箪を叩き勧進する空也僧 身過→みすぎ 暮らしを立てる手だて 身の境遇☆大辞泉  ???
11326 17 -28
   つかひたくなる 入相のかね
   入相→いりあい 日没の鐘 さあ吉原へいって散財
11327 17 -28
   新し扇 旨い舌うち
   扇を閉じる音?
11328 17 -28
   吉原へ 岡持通ふ 隠居寺
   岡持→おかもち 隠居した和尚の吉原通い 岡持の中には医者の服装が
11329 17 -28
   紅閨に 氷のやうな 按广取
   紅閨→婦人の寝室☆国大 按广取→あんまとり 按摩 ☆江語辞 座頭が集金に?
11330 17 -28
   あたら桜の ぬしは乞食
   乞食→こつじき 立派な桜だが乞食のショバで
11331 17 -28
   飯粒て 御機嫌直る 御跡取
   御跡取→おあととり 幼い若様の様子
11332 17 -28
   母の眼に 娘の乳の 恩返し
   眼にゴミが入った時母乳をさす民間療法
11333 17 -28
   百年忌 佛のしらぬ 顔斗
   斗→ばかり 知り合いは皆あの世へ
11334 17 -28
   木綿着るとハ 見えぬ伯了
   伯了→はくりょう 謡曲羽衣の漁師伯良 能のワキの漁夫の衣装は立派 あるいは単に伯了が羽衣を着た様子?
11335 17 -28
   心およはぬ 武具の綻
   綻→ほころび 景清は屋島の戦いで源氏方の三保谷四郎の錣を素手で引きちぎった
11336 17 -28
   元服の 一剃つゝに 母の口
   一剃→ひとそり 前髪を剃る度 ああ立派になったねえと
11337 17 -28
   才蔵は 江戸に馴たる 口を利
   三河万歳の才蔵は才蔵市で現地調達
11338 17 -28
   物着星 出来た当座の 果報やけ
   物着星→ものきぼし 爪に白斑点が出ると衣類が新調できるという 果報焼け→果報がよすぎてかえって災いを受けること 朋輩にたかられて
11339 17 -28
   嚏をしても 怖い庚申
   嚏→くさめ 三尸虫が悪口を言っているかと あるいは三尸虫が飛び出したかと
11340 17 -28
   是切と おもへは淋し 九十の賀
   是切→これきり さすがにこの次のお祝いは
11341 17 -28
   のるか反かに 浪人の恋
   反→そる ☆そのまんまか
11342 17 -28
   あはたかあれは 顔もからくり
   からくり→やりくり算段  計略 たくらみ 持参金がらみで
11343 17 -28
   借ても金は 面白いやつ
   ☆そのまんま
11344 17 -29
   昔より 異見は苦い ものゝ数
   異見は苦いものと決まっている
11345 17 -29
   惜さうに来る 遺言の扶持
   殿様が死んで御妾に捨扶持の御沙汰が
11346 17 -29
   仕合よしの 馬て去れ女
   仕合→しあわせ 仕合吉→しあわせよし 駄馬の腹当に染め抜いた語☆国大 去れ女→さられめ 離縁された女の乗る馬に
11347 17 -29
   出替の 何にか一ツ 突あたり
   出替→でがわり 奉公人の交替 腹の立ったことの一つ位は仕返しを
11348 17 -29
   初物の 内て淋しき 蕃椒
   蕃椒→とうがらし 茄子みたいには珍重されぬ
11349 17 -29
   反かえる 時突袖か 道具也
   反→そり 突袖→つきそで 袖の中に手を入れて袂の先を前方に突き出すこと 道具→芝居の大道具や小道具☆国大
11350 17 -29
   靨に苦み 付る本妻
   靨→えくぼ 苦み→不愉快な心持ち☆国大 妾が来ることになり顔では笑っているが
11351 17 -29
   空耳は 少し斗の 意恨なり
   空耳→そらみみ 聞いて聞かぬふりをすること☆江語辞 斗→ばかり意恨→いこん ☆そのまんま
11352 17 -29
   旨い所の 本も柏木
   柏木→光源氏の妻女三宮との密通で不義の子をもうける
11353 17 -29
   欠やすき 下駄もおもへは 桐一葉
   桐の葉が一枚落ちても大きく穴があくように桐の下駄も歯が欠けては
11354 17 -29
   涼しさの 枕は北と 気も付す
   北枕にすれば涼しい筈
11355 17 -29
   次第に痩る 旅のふところ
   ☆そのまんま
11356 17 -29
   回国の 頭巾を取れは 大たふさ
   回国→かいこく 回国巡礼 大髻→おおたぶさ たぶさはもとどり 本当の巡礼ではなさそう
11357 17 -29
   傾城の 根生持し 置巨燵
   根生→こんじょう 置巨燵→置炬燵 花魁のように座って動かない
11358 17 -29
   虫干の 側にふたれた やうに寐る
   暑いし疲れたし
11359 17 -29
   検校も 心おほえの 赤蛙
   赤蛙→疳の薬 「赤がいるごぜはかすかにあぢを知り」☆柳四・41 小児の目の病にも使用?
11360 17 -29
   座頭のひつむ 雪の傘
   杖もあるので重い傘を片手に
11361 17 -29
   なふり仕廻に かき立て行
   かきたてる→掻いて火の勢いを強くする 刺激を与えて心の奥の感情をわき上がらせる ☆国大 さあもう夜這するしかないな
11362 17 -30
   女房を いんきんにいふ 能のシテ
   いんぎん→慇懃
11363 17 -30
   人の尾を 狐の笑ふ 大晦
   大晦→おおみそか 年越しの四辻の褌落としか あるいは掛取をだます狸か
11364 17 -30
   呵られる 事にしてをく 店おろし
   店卸→在庫調査で正月上旬と七月に行った☆国大 たいてい少し帳尻が合わぬ
11365 17 -30
   瓜の花 是も少しは 啌をつき
   啌→うそ 冬瓜は結実しない徒花が多いのでうそつきの意 瓜も徒花あり? ☆武十三・9
11366 17 -30
   忘れた用の 小指から出る
   書き付けてあった? ☆武十三・25
11367 17 -30
   立た姿の 鰭にふり袖
   鰭→ひれ 貫禄 威厳☆江語辞
11368 17 -30
   家内に尖か 有て元服
   尖→とげ  ???
11369 17 -30
   牢人の 新しくなる 弥生来て
   牢人→浪人 ???
11370 17 -30
   八十七は 手をあてるとし
   手をあてる→気を遣う 来年は米寿 ☆武二・19
11371 17 -30
   僧正の 奇麗にしなび 給ひけり
   ☆そのまんまか
11372 17 -30
   たんすへ消る 八朔の雪
   吉原の八朔の白無垢は早速質入れ準備
11373 17 -30
   仲人の 舌はぬかるゝ 覚悟也
   先方は蔵が三戸前もあってとか いずれ閻魔様に
11374 17 -30
   静にするか 急用の勝
   勝→とくをすること☆国大 慌てないことが肝要
11375 17 -30
   鼻の先 妾の智恵の 置所
   「女の知恵は鼻の先」☆諺→目先の事しか考えないこと☆俳説ことわざ辞典 
11376 17 -30
   元利揃へて 高い物申
   物申→ものもう 正々堂々借金返しに
11377 17 -30
   目と腮に 釣合のある 聾同士
   腮→あご
11378 17 -30
   帯三筋 中て一筋 むつかしき
   三筋→みすじ ???
11379 17 -30
   嫌なものに 居ハる元日
   嫌→きらい 居ハる→すわる 下女や乳母が苦手な歌かるた ?
11380 17 -31
   だまさねは 忍ふ襖も 合点せす
   ☆東岳泰山二十点 襖→ふすま 夜這でそっと襖を明ける
11381 17 -31
   みんなましめに なると引導
   引導→いんどう 真面目になった頃寿命が あるいは葬式で皆落ち着いた頃に引導を
11382 17 -31
   灸嫌 紺屋のやうに 啌をつき
   灸嫌→きゅうぎらい 啌→うそ 明後日すえます
11383 17 -31
   大腹立と 見えるいんきん
   いんぎん→慇懃 馬鹿丁寧なのが却って怖い
11384 17 -31
   翌日に なるとつまらぬ 年忘
   年忘→忘年会 ☆そのまんま
11385 17 -31
   たまのあり家を 口はしる医者
   玉→貴重なもの 美しい女性駆け落ちした娘の居所
11386 17 -31
   婚礼ハ 六字七字に もめて居る
   門徒と法華の宗旨違い
11387 17 -31
   和尚の奢 果は傘
   奢→おごり 果は→はては 不祥事の挙げ句傘一本で寺を追われる
11388 17 -31
   足を洗て 聞は買水
   聞は→きけば 気軽に使ったら買い水と聞き恐縮
11389 17 -31
   うつくしく出て 歩行腹立
   歩行→ありく 女性の憂さ晴らしの外出? いつもより装って
11390 17 -31
   百姓の気を 呑て居る鶴
   禁猟の鶴が田畑を荒らすが鶴には手を出せない
11391 17 -31
   十九やはたちハ 二度欲はなし
   十九→つづ  ???
11392 17 -31
   貞女もつまる 所か厄介
   後家を通されても親類は困る
11393 17 -31
   返事ひらくも 毒のこゝろみ
   恋文の返事 よい返事か悪い返事か
11394 17 -31
   唐の美男の 拂子ほと髭
   拂子→ほっす 毛や麻を束ね柄をつけた法具 ☆そのまんま
11395 17 -31
   分別の ふたつにわれる 水鏡
   水鏡→水面に顔や姿を映して見ること 自分の顔を映して心が揺れる
11396 17 -32
   喰摘の 中に淋しき 神馬藻
   喰摘→くいつみ 年賀客に出す取り肴 神馬藻→ほんだわら 他の肴に比べると
11397 17 -32
   ふりさけ見れは 品川へ猪牙
   ふりさけ見れは→遥かに仰ぎ見れば 猪牙→通常は吉原行きの小舟 富士を眺めながら海路猪牙舟で品川遊廓へ
11398 17 -32
   千畳敷の うなる十念
   千畳敷→畳千枚を敷くほどの大広間☆国大 十念→南無阿弥陀仏を十遍唱えること 十一月の真宗本願寺報恩講か
11399 17 -32
   菜も豆に のかれぬ中欤 納豆汁
   中→仲? 欤→歟 か 納豆汁→なっとじる すり潰した納豆に味噌やだしを加え豆腐や葱等を実にした味噌汁
11400 17 -32
   活た枕の 透通る顔
   活た→いきた 美人の膝枕
11401 17 -32
   分といふ 字か蓋をして いわて山
   分→身の程 力量☆国大 岩手山→いはでにかかる枕詞 ☆国大 身の程を考えて言わなかった ☆武十四・10
11402 17 -32
   仕付を口に 四月朔日
   仕付→しつけ 仕付糸 四月朔日は衣更の日 仕付苧→しつけそ 新調の衣服の仕立が狂わぬように縁を粗く縫っておく麻糸☆江語辞
11403 17 -32
   田を見て戻る 年礼の果
   江戸の郊外まで年始の足を延ばし
11404 17 -32
   乳を尋る 智恵の始り
   乳房を捜す赤ん坊の仕草
11405 17 -32
   惚て報る 看病の恩
   惚て報る→ほれてむくいる 親身に看病してくれた娘に惚れ
11406 17 -32
   子に斗 いつをかきりの 秋の幮
   斗→ばかり 幮→かや 子供の蚊屋はなかなか仕舞えない
11407 17 -32
   起て出る 娵の姿の 大事也
   娵→嫁 来たばかりのお嫁さん 早起きして着替えて ☆武七・34
11408 17 -32
   見るより早い瞽 女の告口
   瞽女→ごぜ 告口→つげぐち
11409 17 -32
   夜か明て 我身にもとる 罔両
   罔両→かげぼうし 明るくなって灯でできた影が本体に戻るように消える
11410 17 -32
   出る度に 小言の交る 薬鍋
   また不摂生をするから
11411 17 -32
   死て見たいと 一生の啌
   啌→うそ 一世一代の嘘
11412 17 -32
   空を四角に 見せるうら店
   うら店→うらだな 裏通りにある家 路地の四角い空
11413 17 -32
   出替の 跡を濁さぬ 水一荷
   出替→奉公人の交替 最後のご奉公に水を汲んでおく 「立つ鳥跡を濁さず」☆諺 が出代わる奉公人の心得
11414 17 -33
   白雨に 扇喰へて 身こしらへ
   白雨→ゆうだち 喰へて→くわえて 尻っ端折りで駆け出す準備
11415 17 -33
   船の都に 遠い入相
   入相→いりあい 日没の鐘 ???
11416 17 -33
   かきたてる灯に かきたてる智恵
   夜遅くまで考えごと ☆武十六・33
11417 17 -33
   佛の出端も むらさきの雲
   出端→では 能で神などが登場する時の囃子 歌舞伎で主役などが登場する時の所作や下座音楽☆大辞泉 紫雲たなびいてご来迎
11418 17 -33
   遊ひにもめる 正月の智恵
   正月の遊びは沢山あって悩む
11419 17 -33
   遠くから 貰ふ近所の 菓子袋
   到来物は近所の菓子屋の品物 まわりまわって
11420 17 -33
   琴爪三ツ 鬼こもる町
   琴爪→ことづめ 謡曲黒塚の安達が原 陸奥の安達が原の黒塚に鬼籠もれりと
11421 17 -33
   入聟の 出ると降出す こぬか雨
   「小糠三合あるならば入婿すな」☆諺→苦労する婿養子などには行くものでない意 奉公人の出代りの時前垂かづきという雨が降るという 聟が追い出された時皮肉にも
11422 17 -33
   音頭の寐言 口笛をふく
   音頭取りの癖で
11423 17 -33
   羽たゝく音を 鶏の捨かね
   羽撃く→はたたく はばたく ☆大辞泉 捨鐘→時鐘ははじめに捨鐘を三つ撞く 鶏は羽ばたきしてからときを告げる
11424 17 -33
   遠い思案を 掛てをく熨斗
   熨斗→のし ???
11425 17 -33
   寺の冬 生姜茄子に こねかへし
   生姜茄子→しょうがなすび ???
11426 17 -33
   まくるといふは 起す奥の手
   夜着をまくるとおどかす
11427 17 -33
   鈴鹿の雨を 深川て射る
   千の矢先雨霰とふりかゝつて ☆謡曲田村 深川の楊弓場か?
11428 17 -33
   離別荷の通る 惜しい吉日
   離別荷→さりに 去り荷☆雑俳語辞典 離縁された妻の荷物か 皮肉にも吉日に離縁
11429 17 -33
   口は妹か 先へ生れる
   口は妹の方が達者 ☆武十二・12
11430 17 -33
   おもへは此鐘 うらめしの六
   六→むつ 思へば此鐘恨めしやとて☆謡曲道成寺 吉原の明け六ツ後朝の別れ ☆武十六・33
11431 17 -33
   二百十日に 尖る傘
   尖る→とがる 傘→からかさ 台風で傘をすぼめてさす
11432 17 -34
   泣く事に 惜しき日つかふ 涅槃像
   二月十五日は涅槃会で西行忌でもある 桜の頃の場合もあるので
11433 17 -34
   箸に好みの 出来る本復
   本復→ほんぷく 病気が全快すること☆国大 あれが食べたいとか好き嫌いが
11434 17 -34
   世界に骨の 出来る節季候
   世界→世の中☆国大? 節季候→せきぞろ 報恩講頃から年末に現れる物乞いの一種 竹を叩き囃しながら祝詞を唱えて門内に躍り込む ???
11435 17 -34
   田楽の 串て教る はやり神
   はやり神→流行神☆雑俳語辞典 流行の神様? 眞崎稲荷の田楽屋で隅田川の対岸の何処かを指す?
11436 17 -34
   棚の角 年中腹を 立せけり
   角→かど 頭をぶつけるので
11437 17 -34
   かり着して 笑ハれて居る 泊客
   借着→他人の着物を借りて着ること☆国大 だぶだぶかつんつるてんか
11438 17 -34
   真實に 見廻ふてはなし 狐つき
   お見舞いというより見物に
11439 17 -34
   三杵ほと 邪广をして行 薬取
   三杵→みきね 邪广→邪魔 農家の庭先の餅搗き? 目黒の粟餅屋?
11440 17 -34
   虫薬より 苦い伴頭
   虫薬→むしぐすり 小児の寄生虫による腹痛をなおす薬腹痛止めの薬☆国大 伴頭→ばんとう 番頭
11441 17 -34
   淋しさハ 節句にあたる 佛達
   佛→ここでは死者のこと 節句と命日が重なって法事がついおろそかに
11442 17 -34
   田守か竈に 七夕の竹
   田守→たもり 秋の田の番をする人☆大辞泉 竈→くど かまど へっつい
11443 17 -34
   いほ結を 男にたのむ 銀河
   いほ結→疣結 いぼゆい 結び方の一つ 竹垣など竹を組む時に使う 銀河→あまのがわ 七夕飾りの竹を立てる
11444 17 -34
   幮の目も もらぬ咄の 面白き
   幮→かや 蚊屋の中でする話
11445 17 -34
   隈取やうに うたゝ寐を掃く
   隈取→くまどる うたた寝している人のまわりを掃き掃除
11446 17 -34
   やりてか爪を 笑ふ七種
   やりて→遣手 七草爪 花魁と違って汚れていて?
11447 17 -34
   閏二月は 馬鹿な奉公
   三月五日が奉公人交替 二月が二回で損する
11448 17 -34
   呪ふ時に 痒い手のひら
   呪ふ→まじなう
11449 17 -34
   約束の 雨と日和を 加賀土産
   日和→ひより 菅笠は日雨両用で加賀名産 ☆守貞謾稿
11450 17 -35
   膝てさえ 十万石は 取にくし
   ???
11451 17 -35
   聞鐘も皆 先住の夢
   先住→せんじゅう 寺の先代の住職☆国大 立派な鐘を釣って大寺にしたいと? しかし諸行無常の響きありで入寂し
11452 17 -35
   高い敷居を 嚔して越す
   嚔→くさめ その拍子に思い切って朝帰り?
11453 17 -35
   鰹売り 生れも付ぬ不人相
   不人相→ぶにんそう 顔に愛敬のないこと☆大辞泉 急いで売り歩かねばならないので愛想も悪くなる
11454 17 -35
   梶の葉も 今四五日て 市の草
   梶の葉→七夕に詩歌を書く 七夕から数日後の十二日からは草市
11455 17 -35
   一所に 汐干戻の 足袋脱て
   一所→ひとところ 同じ所☆ 国大 汐干戻→しおひもどり 脱て→ぬいで 汐干狩から帰って
11456 17 -35
   有はある とて只も居ぬ 閏月
   閏月→うるうづき ???
11457 17 -35
   百足ほと 百万へんの 手かうこき
   百足→むかで 百万遍念仏の大数珠の輪を手繰る
11458 17 -35
   虫売の荷に 呼ふ聲はなし
   荷が売り声を出す
11459 17 -35
   今つみし 山の淋しき 大からん
   大がらん→大伽藍寺の大きな建物☆大辞泉 ???
11460 17 -35
   離別状読て 内へ突く息
   離別状→さりじょう 去り状 離縁状耐える
11461 17 -35
   支度に十日 かゝる二日路
   二日路→ふつかじ 日程二日の旅の支度に
11462 17 -35
   はつに夫の 呼やうかなし
   新婚で妻が夫をどう呼んだら
11463 17 -35
   薬鑵もみかく 新宅の欲
   何でも光らせたい
11464 17 -35
   さえた恨を よし町て聞く
   冴えた→気持ちが純粋な☆国大 よし町→よしちょう 陰間茶屋の本場☆川柳辞彙
11465 17 -35
   妾のりんき 手むかひの内
   りんき→悋気 手向かい→反抗☆国大
11466 17 -35
   鷹野の供の 帯に飯粒
   鷹野→鷹狩り 高野山の異称 ☆川柳辞彙 ???
11467 17 -35
   小粒四ツは 気にもかゝらす
   小粒→小粒金 一分金☆江語辞 一両は惜しいが一分ずつだといつの間にか使ってしまう?
11468 17 -36
   男めうりの 杉に人立
   めうり→冥利 みょうり 人立→ひとだち人だかり☆大辞泉 ???
11469 17 -36
   鷹から鳶へ 送る扶持方
   扶持方→ふちかた 切米支給 鳶が鷹を産んだといわれる親へ美人の御妾から仕送りが
11470 17 -36
   仕かた咄を 飛退て聞
   仕かた咄→しかたばなし 身ぶり手ぶりを交えてする話 ☆大辞泉 手がぶつかりそう
11471 17 -36
   不二と筑波の 道法を賭
   道法→みちのり 道程? 富士山と筑波山 江戸からどちらが遠いか
11472 17 -36
   座頭の思案 仰向て出る
   座頭の仕草の癖?
11473 17 -36
   啌まてつかひ 捨て勘当
   啌→うそ 捨て→捨てて 後先考えない嘘までついた挙げ句の果てに
11474 17 -36
   哥合にも 美しい意地
   哥合→うたあわせ 左右に分かれた歌人が歌を詠み優劣を競う遊戯 競いである以上は
11475 17 -36
   長い枕を 切詰る後家
   切詰る→きりつめる 二人寝用の長枕を半分に
11476 17 -36
   晴ると夢に 成し相傘
   相傘→あいがさ 相合傘  一本の傘を男女でさすこと☆江語辞
11477 17 -36
   どつかりと 四條の秋に 穴か明き
   「桐一葉跡にとつかり穴か明キ」 ☆武五・3  ???
11478 17 -36
   分別を 借せといはれて 眼をふさき
   考える仕草をしてみせる
11479 17 -36
   あの世から 此世をねらふ 奉加帳
   法事の金集めの奉加帳
11480 17 -36
   年始の縫て 歩行一町
   縫て→ぬうて 歩行→ありく 年礼の挨拶で縫うようにあちこちの家を訪問
11481 17 -36
   問はれて見れは 見残た京
   見残た→みのこした 名所は皆見物したと思ったが
11482 17 -36
   心中の 検使も誉る 芥子の花
   検使→けんし 赤い花のような血痕 検使と芥子の洒落?
11483 17 -36
   寒い形に 出来るこんにやく
   見るからに冷たそう
11484 17 -36
   唇の 尖るもみんな 夜の事
   夜に不平不満が表へ出る
11485 17 -36
   燈明消しに しなふ手か来る
   しなう→柔らかに曲がる 手をひらひらさせて消す
11486 17 -37
   紅毛の 眼の覚やすき 鐘の聲
   紅毛→阿蘭陀人の異称☆国大 覚やすき→さめやすき 石町の旅籠屋長崎屋に阿蘭陀人や唐人が泊った 石町には時の鐘あり
11487 17 -37
   結納の 昆布斗やる 伯父坊主
   昆布斗→こぶばかり 結納のお土産に姪にやるお前も早く嫁に行けと
11488 17 -37
   灸の跡なき 侍の腹
   切腹の時腹に灸の痕があっては格好悪い
11489 17 -37
   蚊遣の跡へ 居ハる姑
   居ハる→すわる 煙たいもの同士
11490 17 -37
   六十の賀に 見しらせる蛸
   ???
11491 17 -37
   しまり過たる 腹立の帯
   つい力が入って
11492 17 -37
   座頭の連の 片裄になる
   連→つれ 伴う人☆国大 片裄→かたゆき 着物の左右をずらしてだらしなく着ること 座頭を手引きして来て
11493 17 -37
   牛飼の 気の短いも 面白し
   牽牛は気が長い あるいは牛も気が長いので?
11494 17 -37
   淋しさの 伽にして居る 硯箱
   伽→とぎ 傍について看護や話相手をすること 徒然に筆をとり
11495 17 -37
   留守居を入て 留守更になし
   「留守居を呼て留守の日ハなし」 ☆武九・27  藩の外交官で茶屋の常連の御留守居は呼べばいつでも出て来る?
11496 17 -37
   貰ハれた 程穴の明く 蓮の池
   池の水面が見える
11497 17 -37
   瘧ふるひの 旭まて飲む
   瘧→おこり マラリア性の発熱 その震えで眠れぬ
11498 17 -37
   みかん籠から 這て出た紫衣
   蜜柑籠→捨子の意☆川柳辞彙 紫衣→しえ 高僧の衣 捨て子から高僧に
11499 17 -37
   一聲は 啼れぬものか 雉子の聲
   啼れぬ→なかれぬ 雉子→きじ 続けて啼いてうるさい
11500 17 -37
   薬鍋にて 夜遊ひを追ふ
   ???
11501 17 -37
   居ハると仕廻ふ 娵の看経
   居ハる→すわる  娵→嫁 看経→かんきん 仏壇の勤行 形だけですぐやめる
11502 17 -37
   翌へ残らぬ 除夜の腹立
   翌→あす 掛取との一悶着も新年になれば
11503 17 -37
   呵られる 度に案山子に たとへられ
   案山子→かかし 見かけ倒し?
11504 17 -38
   衣着なから 湯屋を出る所化
   所化→しょけ 修行中の僧 寺勤めの僧 慌ただしく衣を身に付けながら
11505 17 -38
   去状も 口ていふなら 三尋半
   去状→さりじょう 離縁状 三尋半→みひろはん 一尋は五尺 三下り半のように短くはすまない
11506 17 -38
   哥かるた 人といふ字に 手を重ね
   「哥かるた人と云ふ字に目かくらみ」☆武十一・36  百人一首で人で始まる下の句多し 九首ありお手つきしやすい
11507 17 -38
   静にたゝく 戸に徳はなし
   本当の用事はドンドン叩く
11508 17 -38
   他生の縁の 苦い丸薬
   ???
11509 17 -38
   檀林に 居ハると死を 松の風
   檀林→だんりん 僧の修行道場 居ハる→すわる 死→しぬ 松の風→ここでは待つの洒落 十八檀林廻るうちに年をとり
11510 17 -38
   産籠の 中て夫を こきつかひ
   産籠→さんかご ☆武初・37
11511 17 -38
   大根も またゆるされす 天河
   天河→あまのがわ  ???
11512 17 -38
   生て出る 夜は北へ行 無常門
   無常門→大名屋敷の葬礼にだけ用いる門 内緒で抜けて吉原へ
11513 17 -38
   大晦 首てもぬいて 来る気なり
   大晦→おおみそか 大晦日の掛取の意気
11514 17 -38
   はしめの異見 身を入て聞
   初めての異見はちゃんと聞くが二回目以降は
11515 17 -38
   嚔て誉る 六月の亭
   嚔→くさめ 亭→ちん 庭園のあずまや 寒いくらい涼しい
11516 17 -38
   先住の 作し罪は 松はかり
   先住→せんじゅう 寺の先代の住職☆国大 作し→つくりし
11517 17 -38
   気根くらへの つもる錦木
   気根→きこん 根気☆江語辞 気根競→根くらべ☆江語辞 錦木→男が女の家の門に立てる求愛の標で取り込むと受諾 根比べで錦木を立て続ける
11518 17 -38
   北に当て 毒の玉川
   当て→あたって 毒の玉川→六玉川のうち高野の玉川は毒水という  ???
11519 17 -38
   腮へ額の まハる光陰
   腮→あご 光陰→年月  ???
11520 17 -38
   鉦を持薬に 後家の看経
   持薬→じやく 平生用いる薬 ☆雑俳語辞典 看経→かんきん 仏壇の勤行 何かにつけ亡夫に相談?
11521 17 -38
   若衆の起請 一世にて済
   起請→きしょう 一世→いっせ 花魁なら夫婦の二世の縁を誓う?
11522 17 -39
   其中に わけて正月 矢のことし
   光陰矢の如しというが正月が速く過ぎ去る
11523 17 -39
   無間のかねも 相場極まる
   無間→むけん 無間の鐘→金谷と日坂の間から至る無間山観音寺の鐘で撞けば無量の財産を得るが無間地獄へ堕ちるという
11524 17 -39
   氷の取て 投る関取
   関取が氷の上ですべって
11525 17 -39
   屏風一重に わかる主従
   旅の宿では主従も同室 あるいは主従で遊廓の廻し部屋に
11526 17 -39
   瞽女も眼明きも 五分〳〵の闇
   闇の中では同じ条件
11527 17 -39
   男にわるい 京の水際
   祇園の鴨川べり
11528 17 -39
   衣に罪の 多い検校
   同じ紫衣でも僧正と違って検校の方は金貸しで
11529 17 -39
   咡の 仕廻にひとつ 音かある
   咡→ささやき 背中をポンと叩くとか?
11530 17 -39
   業平まかす 使は馬の首
   使→し 業平は右の馬の頭☆伊勢物語 右馬寮の長官
11531 17 -39
   半分つかふ 元日の空
   昼まで寝ていて半分は知らない
11532 17 -39
   居風呂も 嬉しい跡と いやな跡
   居風呂→すえふろ 風呂桶でわかす風呂 お嫁さんの後とかは色っぽいが
11533 17 -39
   遠くへ退て 居るもからくり
   退て→のいて からくり→計略 たくらみ
11534 17 -39
   太神楽 前足斗 拍子利
   太神楽→獅子舞や品玉などの大道芸人☆川柳辞彙 斗→ばかり 拍子利→ひょうしきき
11535 17 -39
   短い文に 長いはらたち
   文は短いが腹の立つ中身
11536 17 -39
   衣かへ 四月にもとる 桐一葉
   四月朔日は衣更
11537 17 -39
   隣へはねの かゝる腹立
   はね→飛び散った水や泥 とばっちりが
11538 17 -39
   物おもひ 片手は帯に 喰へさせ
   喰へ→くわえ 座って片手の指を帯に入れている女性の物思いの様子
11539 17 -39
   指先を 奇麗につかふ 紙細工
   紙細工→折紙☆雑俳語辞典  ☆そのまんまか
11540 17 -40
   異見のときれ ほうり出す金
   当座の金をやって勘当
11541 17 -40
   羽織に反を 打し突袖
   反→そり 反を打つ→そりかえらせる☆国大 突袖→つきそで 袖の中に手を入れて袂の先を前方に突き出すこと 自然に姿勢が
11542 17 -40
   水子をこほれ さうに抱く夫
   水子→みずご 生まれたばかりの赤子☆江語辞 夫→つま ☆そのまんま
11543 17 -40
   目に毒断の 呉服屋か来る
   毒断→どくだち どくだて 病気に毒となる飲食物を一切飲食しないこと☆江語辞 呉服屋は女房の目の毒
11544 17 -40
   盃はかり させてをく罪
   婚約だけさせておくのは酷
11545 17 -40
   若衆に利かぬ 鴛のくり言
   鴛→おし おしどり 繰言→同じことを繰り返して言うこと ぐち☆国大 鴛は雄のおしどり ???
11546 17 -40
   六人寄ると 智恵に罔両
   罔両→かげぼし 影法師 三人寄れば文殊の知恵の二倍
11547 17 -40
   継上下て 御相手の釣
   継上下→つぎがみしも 肩衣と袴を別の生地で仕立てた武士の略儀の公服☆国大 殿様の釣の供にも登城の格好で
11548 17 -40
   武運つたなき 七りんのあみ
   焦げ付くからか?
11549 17 -40
   たいなし浴る 鮟鱇の怪我
   台無し→めちゃくちゃに☆江語辞 吊るし切りで満身創痍
11550 17 -40
   浪打際の やうな極月
   極月→十二月 支払いに後がない ☆武十八・33
11551 17 -40
   姑に 辛子かけとハ 言にくし
   姑→しゅうとめ ☆武十八・31 初鰹の辛子味噌か辛子は意地悪い者が練ると辛みが利くという☆川柳辞彙
11552 17 -40
   棒ほとに 針医の手柄 觸歩行
   觸歩行→ふれありき ☆武十八・31  針小棒大に効果喧伝
11553 17 -40
   谷中の松魚 よく〳〵な空
   松魚→かつお 谷中まで鰹の鮮度が落ちないということは天気が悪い? ☆武十八・31
11554 17 -40
   常よりは 師走淋しき 馬喰町
   馬喰町→ばくろちょう 田舎の訴訟人が宿泊 年末はさすがに暇 ☆武十八・31
11555 17 -40
   角力か母の 十分一喰ふ
   角力→すもう 相撲取になる様な子は大食 ☆武十八・31
11556 17 -40
   呪ほとに つかふ甘草
   呪→まじない 少ししか処方しない 甘草は渡来品で貴重☆俚言集覧 「医者のしわみと見へる甘草」☆ 武七・24 ☆武十八・32
11557 17 -40
   晦日〳〵に 草臥る金
   晦日→みそか 草臥る→くたびれる 晦日決裁で金が動く
11558 17 -41
   是悲に五両と 旦那寺来る
   ☆西岳華山 是悲→是非 五両は間男の示談金 旦那寺に工面の相談
11559 17 -41
   山伏の 一つかみ・つゝ 稲葉雲
   稲葉の雲→田一面の稲穂が揺れるさま お布施の米?
11560 17 -41
   蝶鳥の 中を出て来る 初奉公
   初奉公→ういぼうこう 三月五日の出替に蝶々や鳥と同じに現れる
11561 17 -41
   とれか上手欤 しれぬ大津繪
   欤→歟 か どれも下手うま
11562 17 -41
   旅とおもはす 飛脚出て行
   旅が日常
11563 17 -41
   取しめて 拝人ハなし 大佛
   取しめて→? 総じての意か ? 拝人→おがみて 大仏は拝むというより見物
11564 17 -41
   炭明て 二足三足 飛ひさり
   炭俵から炭の粉が飛び散るので 「支度して口明ケに行炭俵」☆武七・9
11565 17 -41
   座頭の杖の 眼ほと働らく
   ☆そのまんま
11566 17 -41
   小判は口の 蓋になる形リ
   形リ→なり 口封じ
11567 17 -41
   おそろしき 夢を美濃から 起されて
   信長? 人生五十年 夢幻の如く
11568 17 -41
   鯛も赤子も 日本の色
   日の丸の色
11569 17 -41
   巨燵ほと 咄のしみぬ 涼台
   巨燵→こたつ 同じ季節物でも炬燵の方が親密に
11570 17 -41
   障子も顔も 穴の明く聟
   近所から聟の顔を見に来る
11571 17 -41
   ゆく〳〵は 勘当くさき 器用者
   口八丁で親をだまして遊んでいるがいずれは
11572 17 -41
   五十日 吉原を見る 墓まいり
   四十九日が明けて登楼
11573 17 -41
   夏は東へ 片荷釣る京
   片荷釣る→かたにづる 片荷滑る→かたにずる 一荷にした荷物の片方が重くてずれる☆江語辞 鴨川へ涼みに行く人が多く
11574 17 -42
   能い相談に 闇の夜の棒
   能い→よい 実力行使?
11575 17 -42
   女房に成て しみわたる秋
   亭主が帰らないと秋の夜の淋しさがひとしお
11576 17 -42
   冬を隣に 疝気めを出す
   疝気→男の下腹部の病 寒くなって疝気が芽を出す 「隣の疝気を頭痛に病む」☆諺をかける?
11577 17 -42
   人を呵て 跡の手まくら
   呵て→しかって
11578 17 -42
   座頭の工風 置所なし
   工風→くふう 置所なし→気持ちを落ち着けるところや方法がない☆国大 いつも気を使っている意か
11579 17 -42
   梅干に 成て家内の 毒を消し
   家内→家の者 家族や奉公人を含む☆江語辞 お嫁さんが妊娠して風当りが和らぐ
11580 17 -42
   年忘 あるものならハ 茗荷の子
   年忘→忘年会 茗荷の子→愚かな子☆雑俳語辞典 茗荷を食べると物忘れするという 忘年会なら忘れても大丈夫
11581 17 -42
   女かなくて 広い新宅
   男所帯では手が廻らぬ あるいは箪笥も少なく鏡台もなく?
11582 17 -42
   夜わたる 川にしてをく 芥川
   芥川→業平が二条の后を背負って渡る
11583 17 -42
   又ならぬ 京と一日 二日過き
   もう二度と来れないかもしれぬと思うと滞在を一日延ばしに
11584 17 -42
   鏡の科の やうにいふ顔
   科→とが 過失 罪☆国大 鏡の映りのせいに
11585 17 -42
   田植の中に 蓮といふ顔
   池の蓮の花のような美人の早乙女 泥中の蓮☆諺☆俳説ことわざ辞典
11586 17 -42
   絵に手の出る 春の居旅人
   居旅人→いたびと? 家で絵を眺めて旅の想像?
11587 17 -42
   面白さうな から紙の穴
   唐紙の向こうを覗きたくなる
11588 17 -42
   欠の尻を むすふ念佛
   欠→あくび 何につけても念仏
11589 17 -42
   平相国の 腎虚大きし
   平相国→へいしょうこく 平清盛☆雑俳語辞典 腎虚→房事過多による身体衰弱症☆江語辞 または陰茎硬直症☆川柳末摘花詳釋下 白拍子好きで
11590 17 -42
   衣〳〵の 大門まては 三輪の神
   衣〳〵→きぬぎぬ 遊廓の朝の別れ 大門まで見送り 謡曲三輪の妻訪い神話 苧環に針をつけ裳裾に綴じつけて夜来る男の正体を探る
11591 17 -42
   出家の恥の 人参を呑ム
   人参→強精剤 破戒坊主
11592 17 -43
   滝ほとに 水をあつかふ 洗ひ鯉
   ☆南岳衡山 鯉の洗いを作る
11593 17 -43
   立膝にする 脈のつり合
   左右の脈を比較しようと寝ている患者の両腕を医者が立膝になって取る?
11594 17 -43
   今は祭の 車あらそひ
   源氏の時代と違って祭りの山車同士が車あらそい
11595 17 -43
   理非か分て とほすてうちん
   分て→わかって とほす→点す てうちん→提灯 理解して眼前が明るくなって帰る
11596 17 -43
   聟を引出す 煤の雪隠
   煤掃恒例の胴上げから逃げようと隠れていたが
11597 17 -43
   祭の神に 乗うつる人
   祭の時は人が神様を動かす
11598 17 -43
   饅頭を 喰て律儀に 見せる也
   餡が沢山入ってますね あるいは聟が下戸を証明?
11599 17 -43
   芍薬伐て 送る身替り
   ☆北岳恒山 芍薬→美女の比喩☆雑俳語辞典 伐て→きって  牡丹たる花魁の代役に芍薬たる新造を出す
11600 17 -43
   箸をとらせて 異見始る
   食事を出しておいておもむろに説教
11601 17 -43
   つく〳〵我に 倦る膏薬
   倦る→あきる 自分が膏薬に飽きたように
11602 17 -43
   桶伏も かねに恨の 道成寺
   桶伏→おけぶせ 吉原で代金が足りない時のみせしめ 「思へば此鐘恨めしやとて」☆謡曲道成寺 金と鐘に恨み
11603 17 -43
   目出たい事に つかふ遺言
   ☆中岳嵩山 許嫁?
11604 17 -43
   唐人に おそれ入せる 八重さくら
   おそれ入せる→おそれいらせる 楊貴妃桜↓桜の一種で単弁と重弁あり☆川柳辞彙 現在も楊貴妃という八重桜の品種があるが?


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