十八篇


誹諧武玉川私考ホームへ

【底本】 
  岩波文庫  誹諧武玉川(四) 山澤英雄校訂 岩波書店 1985

【凡例】
  通し番号 篇-丁
  (本文)
  (解説)

【注意】
  字・は字が底本通りでないことを示す
  ☆はコメントや引用
  江語辞→江戸語の辞典  国大→国語大辞典(小学館)

11605 18 -4
   ある夜豆腐を ねだる桶伏
   ☆雪片大如鷺桶伏→吉原で代金が足りない時の仕置き 効力のない例えの「豆腐に鎹」☆ 諺 をきかす?
11606 18 -4
   唐土船に 似たる織殿
   唐土船→もろこしぶね 中国の船☆国大 織殿→おりどの 機織の仕事場☆雑俳語辞典 ☆そのまんまか
11607 18 -4
   胡葱に 尻のすハらぬ かけむかひ
   胡葱→あさつき かけむかい→さしむかい 二人きり☆江語辞 仕舞う前のお内裏様とお雛様 胡葱なますを供えて仕舞う
11608 18 -4
   鯷裂く 妻はうみ苧の 指つかひ
   鯷→ひしこ 片口鰯☆国大 うみ苧→うみお うみそ 麻を細く裂いて糸としてよりあわせたもの☆国大
11609 18 -4
   京町の 裏から蝶の しこなして
   しこなす→なれなれしくする 吉原の京町は水道尻側で田圃や鉄漿溝に近い 田圃から吉原へ蝶が迷い込む
11610 18 -4
   山門に のほれはかゆき 足のうら
   増上寺などでは斎日などに山門の楼上に登れた 高くて足がこそばゆい
11611 18 -4
   春の日の 縫上をする ひかし山
   縫上→ぬいあげ 縫い上げる →縫って完全に仕上げる☆国大 東山の桜で春の眺めの仕上げ
11612 18 -4
   洗ひ髪干す 所へ仲人
   ☆そのまんまか?
11613 18 -4
   両方へ酔ふ 追分の酒
   追分→道の二つにわかれる所 ☆国大 茶店の酔っぱらいも別の道へ別れて行く
11614 18 -4
   侍てふく 山王の湯屋
   侍て→さぶらいて 山王の湯屋というものがあったらしいが? ☆「山王の湯屋に衣をかける竿」ケイ続・20
11615 18 -4
   重年と 聞て内儀の 火焚鳥
   重年→ちょうねん 奉公人が三月に交替せず更に勤めること☆江語辞 火焚鳥→ひたきどり 背や翅が赤い小禽 旦那が手をつけた下女が奉公を継続すると聞いて嫉妬の炎が
11616 18 -4
   日高の瞽女の 何か聞出す
   日高→ひだか 太陽のまだ高いうち☆江語辞 「瞽女の日高」☆諺→遅れると思ったのが意外に早く着くたとえ☆俳説ことわざ辞典 宴会が始まる前に注意人物を聞いておく
11617 18 -4
   ふしぎにやりて 中日に死
   因業な遣手が彼岸の中日に死ぬとは
11618 18 -4
   毒断の まつ親指に うしろ帯
   毒断→どくだて 病気に毒となる飲食物を一切飲食しないこと☆江語辞 親指→第一に ? うしろ帯→素人女 まず玄人女から控える
11619 18 -4
   洗ふても 繪踏の足の 気にかゝり
   繪踏→えぶみ 踏絵 長崎などで正月四日から八日安政まで毎年おこなわれた☆国大 隠れキリシタン
11620 18 -4
   餅喰て 見せては母に 安堵させ
   酒はやめましたよ
11621 18 -5
   姑の おとけは深き 飛鳥川
   姑→しゅうとめ 飛鳥川→心変わりの象徴 姑がおどけるのは裏が
11622 18 -5
   今やわかれの 酒に火か入る
   酒の火入れ→清酒の腐敗を防ぐため熱を加えること☆国大 別れを確実にする? あるいは遊廓でもう火番が廻る時刻に?
11623 18 -5
   蛍逃して 手の内は闇
   逃して→にがして ☆そのまんま
11624 18 -5
   口車 しはすの坂を 越かねて
   口車だけでは年末の掛取に対処できず
11625 18 -5
   奢つくして 薬鍋もる
   腎虚になり薬鍋を頻用して
11626 18 -5
   御妾の あたる巨燵に 封か付
   炬燵で悪さをしないように
11627 18 -5
   煮売屋の 精進するも あはれ也
   煮売屋→屋台などで飯と惣菜用の野菜や魚などの煮物を売る人☆国大 自分の精進日でも商売は
11628 18 -5
   けふは無事 翌は大事に 神詣
   翌→あす 神詣→かみもうで 願いごとばっかり
11629 18 -5
   人間を さかさに見せる 田植笠
   早乙女の姿勢
11630 18 -5
   一大事 神にねかふて 泣寐入
   泣寐入→なきねいり 神様も無保証
11631 18 -5
   胡葱に いとまとる根を 聞ほして
   胡葱→あさつき 三月四日の雛を仕舞う時供える 奉公人の最終日でもある 根→原因☆国大 奉公を辞める理由を根掘り葉掘り聞く
11632 18 -5
   秤にかゝる 馬鹿と結構
   結構→結構人の意か 結構人→お人よし☆江語辞 馬鹿な人もお人よしも紙一重
11633 18 -5
   抱人かよさに 子の口を吸ふ
   抱人→だきて 抱いている人に愛想するため ?
11634 18 -5
   奢気を いつか旅寐に 置わすれ
   奢気→おごりき 贅沢心? 旅で苦労して質素に
11635 18 -5
   持参金 娘の顔に きれかあり
   切→きれ 小判の瑕☆江語辞 痘痕
11636 18 -5
   傾城は 女の中の 聳もの
   聳もの→そびきもの 霧や煙など空中に細く立ってたなびくもの 俳諧語☆国大 目立つがはかなくつかみどころがない
11637 18 -5
   惚た方から 横にさす傘
   好きな相手に傘を差し掛ける
11638 18 -5
   我罔両を なめる御異見
   罔両→かげぼし 影法師 自分の影を舐めるほど平伏して
11639 18 -6
   店替た 後は筋替ふ 天の川
   替た→かえた 店替→引越☆江語辞 筋替ふ→すじかう 引っ越すと夜空も違い今度は天の川が斜めに ☆武九・9
11640 18 -6
   木辻の下駄も 紅葉ふみ分
   木辻→奈良の遊廓 奈良は鹿が名物 「奥山に紅葉ふみわけなく鹿の声きくときぞ秋はかなしき」☆ 猿丸大夫
11641 18 -6
   稲葉雲 啌つきに行 道か殖へ
   稲葉の雲→田一面の稲穂が揺れるさま 啌→うそ 行→ゆく 仲人が縁談をもっていくのに有利になる?
11642 18 -6
   塵も付すに ものゝふの啌
   付す→つかず 塵も付かず→ 非難されるようなわずかな欠点もないさま☆国大 啌→うそ 立派な堂々たる嘘?
11643 18 -6
   おとこの色と 見えぬむらさき
   紫は江戸の粋とはいうが鰯の女房言葉だし
11644 18 -6
   爪先に 貧乏者の 物着星
   爪先→爪の先端の部分 足や履物の先端☆国大 同じ物着星でも出方がしょぼい?
11645 18 -6
   梅若忌 律儀に傘を かつき詰
   涙雨が降るかと
11646 18 -6
   墨壷の 中より出る 大伽藍
   墨壷→線を引く大工道具☆国大 大伽藍→建物の大きな寺 ☆国大 材木に墨で線を引き工事
11647 18 -6
   平家の意地の 横に這ふ礒
   礒→いそ 平家蟹
11648 18 -6
   胡葱に ことしも解ぬ 帯〆て
   胡葱→あさつき 解ぬ→とかぬ 〆て→しめて 三月四日胡葱なますを供え雛人形を仕舞う
11649 18 -6
   かゝり人 かさゝきの夜に 踏はつし
   かゝり人→かかりうど 掛人 居候 鵲の夜→七夕 夜這に失敗して鵲の橋を踏みはずす? ???
11650 18 -6
   正直になる 上下の顔
   上下→かみしも 正装すると気もひきしまる
11651 18 -6
   小笹に高き 鷹匠の肘
   小笹→こざさ 丈の低い笹 ☆国大 鷹匠→たかじょう 腕に据えた鷹をいつもより高く持ち上げる
11652 18 -6
   別荘の 耳につめたき 車井戸
   車井戸→滑車に釣瓶をつけた井戸☆国大 井戸の音を聞くだけで冷たく感じる
11653 18 -6
   娵の尻 千両ほとの 重みにて
   娵→嫁 ☆そのまんまか
11654 18 -6
   穴蔵の 階子を引て あやまらせ
   階子→はしご 謝れば梯子を戻してやるよ
11655 18 -6
   金銀の 奢はしめは 産着より
   奢はしめ→おごりはじめ 華美な産着が贅沢のはじまり
11656 18 -6
   蕎麦の客 働てから 座に直り
   直る→座るべき場所に着座する☆国大 手伝わされて
11657 18 -7
   つかつた金か 女房になる
   吉原の花魁を身請け
11658 18 -7
   ひとつ家に おほつかなくも 猿轡
   ひとつ家→孤屋☆雑俳語辞典 一軒家で強盗に入られた? ???
11659 18 -7
   人形と 三人口の 傀儡師
   傀儡師→かいらいし 自分と人形二体の食い扶持を稼ぐ
11660 18 -7
   寄妙に米の 減らぬ大寺
   寄妙→奇妙 托鉢に行くので? ???
11661 18 -7
   かはつた事の 好な聖天
   聖天→しょうでん 待乳山聖天で浴油といって聖天像に熱した香油をかけ供養
11662 18 -7
   持あそひ とれも毛かぬけ 鼻かかけ
   持あそひ→もてあそび おもちゃ 人形が瘡毒みたいだ
11663 18 -7
   井筒より 巨燵の智恵の 手短し
   筒井筒の幼馴染みが仲良くなるのには時間がかかるが炬燵の中の色事は手っ取り早い
11664 18 -7
   約束の 暁消る 物着星
   物着星→爪に白斑点が出ると衣類が新調できるという 着物を買って貰うはかない約束をしたが
11665 18 -7
   頼まれた 言伝に尾か 付て来る
   言伝→ことづて 付て→ついて 話に尾ひれが付いて
11666 18 -7
   薬の利も 牡丹散る頃
   利→きき 牡丹は二十日草という 薬が効くのに二十日かかる? ???
11667 18 -7
   楊弓を おかしや鼻か 手伝ふて
   矢を射る時親指を右の鼻の穴へ入れ定規とする☆川柳江戸の遊び 「親指を鼻へ入レなと土弓いひ」 ☆柳十・3
11668 18 -7
   四阿は 鬼門も向も いらぬ也
   四阿→あずまや 向→むき 壁もないので
11669 18 -7
   分別は 恥しからぬ 木綿もの
   質素倹約
11670 18 -7
   襟からそつと 秋の綻ひ
   綻ひ→ほころび 襟もとから寒く感じる あるいは落葉が山の高い所から始まる?
11671 18 -7
   節季候か 来ると蘿蔔に 年か寄
   節季候→せきぞろ 年末に来る騒がしい門付け 蘿蔔→だいこ 年の暮れには干大根に皺が入って来る?
11672 18 -7
   せつかく春か 来ても棺屋
   棺屋→ひつぎや 新年をあまり目出たがっても変
11673 18 -7
   厂の聲 聞と茄子も 口をあき
   厂→かり 雁茄子→なすび 「目にハさやかに見へねども茄子がわれ」☆柳三九・34 「茄子あくび稲ハうつむく秋の末」☆新三二・19 秋に茄子が割れる?
11674 18 -7
   唐はいかにと 儒者の匍匐
   匍匐→はらばい 日本には畳があるが
11675 18 -8
   立習ふ 子に這習ふ 言名付
   言名付→いいなずけ 立ったばかりの子の許嫁に這ったばかりの子が
11676 18 -8
   腹のたつ 時履替る 上草履
   履替る→はきかわる 上草履→遊女が屋内で履く底の厚い草履 客を振って他の部屋へ
11677 18 -8
   帰には 箸まて焚て 雪見船
   帰→かえり 焚て→たいて 不要なものは燃やして暖をとる足しに
11678 18 -8
   袖を大事に おもふ狩衣
   狩衣→かりぎぬ 公家の略服武家の礼服 袖が広くくくり緒がついている 何かと袖が邪魔で慎重に
11679 18 -8
   惚あふ中に 川か二筋
   男女の仲を邪魔する人が二人 父母?
11680 18 -8
   四谷の瞽女の 馬をしこなす
   しこなす→馴れ馴れしく自由に扱う 四谷は駄馬の通行多し 慣れているので
11681 18 -8
   あそひに髪を いちる囲ハれ
   囲ハれ→かこわれ 僧の妾 暇なので髪結いでも習おうかなと?
11682 18 -8
   商売しみた 辛崎の雨
   近江八景唐崎の夜雨でわざとらしい
11683 18 -8
   事はしめ 着替るほとの 日てもなし
   十二月八日事始 事納のように笊を竿につけてたてる 「事納着かへる程の日てハなし」☆武二・14
11684 18 -8
   山伏の 刀りゝしき 春の空
   三月二十一日山伏の順の峯入
11685 18 -8
   河豚喰ふた夜に 蝶の夢見る
   荘周の胡蝶の夢→蝶になったのは夢かうつつか 夢ともうつつともつかぬ状態に
11686 18 -8
   遊ふにも 奥歯にものゝ 言名付
   言名付→いいなずけ 何となく気を使う
11687 18 -8
   うち身のおこる 春雨の陣
   打身→挫傷☆雑俳語辞典 おこる→また痛む意か? 冷えて昔の打身が痛む 「平治の打身をこる春雨」☆ケイ続・11 「古の打身の起る墨衣」☆橘中初・41
11688 18 -8
   膝のしまりの わるい立聞
   中腰で聞き耳?
11689 18 -8
   隣から ねたり出たる 春の雨
   ねだる→強いて乞い求める 退屈で碁の誘い?
11690 18 -8
   取揚婆〻の 何か落着
   取揚婆〻→とりあげばば 皆が慌てている中で独り落ち着いている
11691 18 -8
   堺の出刃に 鉄炮の銘
   出刃→でば 戦国時代の堺は鉄砲の産地 堺のたばこ包丁は堺極印を附して幕府に専売されたという
11692 18 -8
   京談を 交て喧嘩・を 和らかせ
   京談→京言葉 交て→まぜて 和らかせ→やわらがせ 物言いに京言葉が入るとなんとなく
11693 18 -9
   取ちらす 座敷の内も うつの山
   うつの山→東海道宇津山 人に逢わぬ意☆雑俳語辞典 ここでは窮屈・道が狭い意か 「せまひ廊下ハうつの山越へ」☆ケイ一三・69,
11694 18 -9
   みとり子の名て 悋気封る
   みどり子→三歳頃迄の子供☆ 国大 封る→ふうじる 子の話題を出して浮気の話をうやむやに
11695 18 -9
   歯の呪に 尖る小刀
   呪→まじない 抜けた上の歯は床下へ下の歯は屋根へ投げ上げると次の歯がすぐ生えてくるという☆江戸文学俗信辞典 床下へやるため?
11696 18 -9
   兼言の 芝居の跡も 芝居也
   兼言→かねごと 前もって言うこと 約束の言葉 未来を予想して言う言葉☆国大 芝居じみた事を言った結果芝居する羽目に?
11697 18 -9
   筆にも罪の 深いけいせい
   客への催促の文で嘘を
11698 18 -9
   大伽藍 昼寐涼しき 風を請
   大伽藍→寺の大きな建物☆大辞泉 請→うけ 本堂で涼しい昼寝
11699 18 -9
   言切て 帰る揚屋を ふり返り
   揚屋→あげや 遊里で高級遊女を呼んで遊興する店 気に入らぬことがあって出て来たが粋でなかったかなと
11700 18 -9
   胡葱喰ふて 直に前帯
   胡葱→あさつき 雛を仕舞う時供えるが奉公人の交替の日でもある 直→すぐ 前帯→ 遊女か老女 奉公人から遊女に転職?
11701 18 -9
   ふつ〳〵と いへは小言も 法の内
   法→のり 仏の教え 佛々と言えば
11702 18 -9
   分別の つまり〳〵に 咳はらひ
   分別→物事の道理や善悪損得などを考えること☆国大 考えながら話し言葉に詰まると
11703 18 -9
   女房の ひとり見て居る 物着星
   物着星→爪に白斑点が出ると衣類が新調できるという あまり期待できないけど
11704 18 -9
   清水の 飛ふ傘に 散る桜
   傘→からかさ 清水の舞台から傘持って飛びおりる 寛永寺清水堂の花見もきかす?
11705 18 -9
   呼井戸の 濁続て 桐の花
   呼井戸→よびいど 木樋水道で引いた水をためる井戸? ???
11706 18 -9
   乗物て寐て 身にならぬ医者
   乗物→引き戸付きの駕篭 身になる→栄養になる☆江語辞 忙しくて往診の駕篭の中で仮眠
11707 18 -9
   榊はかりは 町の下闇
   下闇→したやみ 木陰 祭りの行列の榊か? ???
11708 18 -9
   帷幕の内に 入聟の智恵
   帷幕→いばく 垂れ幕と引き幕 はかりごと☆大辞泉 陣幕のことらしいが腰巻の意もある 「緋の帷幕突て入らんと浅黄待」☆嘉五差柳24
11709 18 -9
   親船は 女房のない はかりなり
   親船→小船を従えた大船☆国大 子供は大勢?
11710 18 -9
   神代の智恵も 曲る釣針
   山幸彦と海幸彦? 納得のいかない話ではある あるいは大昔から釣り針は曲がっていた?
11711 18 -10
   伊香保へたつも 不和のはしまり
   伊香保→いかほ 伊香保温泉は子宝の湯という 「妹さへ二人産たと伊香保の湯」☆ケイ三・34
11712 18 -10
   木からし寒く ふくれたつ鷹
   木がらし→木枯 ☆そのまんまか
11713 18 -10
   墨染の おかしくおもふ 物着星
   墨染→僧 物着星→爪に白斑点が出ると衣類が新調できるという 僧の身の上では何が
11714 18 -10
   水のことくに 草はしる蛇
   ☆そのまんま
11715 18 -10
   入口て 要のはしる 梶か宿
   要→かなめ 「夏近く扇集る梶か宿」☆ケイ一三・73 ???
11716 18 -10
   是を着たかと 虫干の𧝒
   𧝒→よぎ 夜着 明るい所で見ると予想以上に汚れていて
11717 18 -10
   繪に画て 見せて教る 所附
   画て→かいて 所附→ところづけ 所書☆雑俳語辞典 所書→書きつけた住所☆国大 図示して説明
11718 18 -10
   惣身の塵の たえぬ綿つみ
   惣身→そうみ 綿摘み→塗桶という福禄寿の頭のような台を使って綿を延ばし綿帽子などを作る仕事 売色する場合も 綿埃が
11719 18 -10
   包て仕廻ふ 金に言伝
   言伝→ことづて この金は本当に困った時に使うべしと書いてあるとか?  願いを込める?
11720 18 -10
   言葉に角の 生る極月
   生る→はえる 極月→十二月 掛取も借りている方も言葉が荒くなる
11721 18 -10
   ほの〳〵と 明石ちゝみの 小傾城
   「ほのぼのと明石の浦の朝霧に」云々は人麻呂の早起きの呪の歌 明石縮→薄織物 小傾城 →こげいせい 遊女になったばかりの少女 朝の遊女
11722 18 -10
   名所の袖に あたる松しま
   袖→物のわきについているもの 富籤の当りの前後の番号 ☆国大 ???
11723 18 -10
   つまる所 酒屋か為の 桜咲
   所→とこ 花見といっても酒屋が儲かるばかり
11724 18 -10
   辛子あへ 旦那の機嫌 こち直し
   辛子あえ→辛子を酢味噌などに混ぜ他の材料をあえた料理 ☆国大 こち直し→こじなおし こじなおす→矯正する☆ 国大 辛子ぬたで機嫌を取る
11725 18 -10
   金て済とハ 安い生霊・
   生霊・→生きた人の怨霊 命まではとられない? ???
11726 18 -10
   皆よし原へ つかふ祝ひ日
   祝い日→一日と十五日と二十八日で職人休み 休日毎に吉原へ
11727 18 -10
   遠く遊はす 内は騒動
   遊はす→あそばず 「父母在せば遠く遊ばず」☆論語 堅い息子が病気になってかえって騒動
11728 18 -10
   世の中を 秋て置たき 物好み
   物好み→えり好みをするさま ☆国大 物ねだり☆雑俳語辞典 一年中秋なら情緒があると
11729 18 -11
   きり〳〵す 年明前を いやからせ
   年明→ねんあけ 遊女勤めの年季終り 二十七才ころ きりぎりすは「ひとりかも寝む」でお茶引き女郎の意あり☆雑俳語辞典 全盛も過ぎて
11730 18 -11
   桜の科と 庵の置去り
   科→とが 罪 庵→僧や世捨て人や風流人の閑居する小屋☆国大 花見に行って留守に?
11731 18 -11
   冷やりと 禿の足に 秋の来て
   冷やりと→ひいやりと 禿→かぶろ 禿の素足が冷たい季節
11732 18 -11
   おとこたくなの 恋の黒焼
   だくな→無駄になること 役に立たないもの☆国大 黒焼→いもりの惚薬☆雑俳語辞典 そんなもの使っては男が無駄になる 「男たくなとなぶられる八瀬の聟」☆新一五・10
11733 18 -11
   ひつくりさせて 仕廻ふましなひ
   驚かせてから片付ける呪い?
11734 18 -11
   這ふ子か立と 座頭手を出す
   気配がとらえやすくなって
11735 18 -11
   人しらぬ 丁子頭は 高燈籠
   丁子頭→ちょうじがしら 灯心の燃えさしの塊 儲かる吉兆 高燈籠→たかどうろ 盂蘭盆に竿頭高く吊る燈籠☆ 川柳辞彙 誰にも見えない
11736 18 -11
   翌しらぬ 兵ともの 大はくち
   翌→あす 兵→つわもの 明日は死ぬかもしれぬので大きい博打を打つ
11737 18 -11
   卯腹辰股 とらまへてすへ
   卯腹辰股→うはらたつもも 卯腹辰股寅背中→灸を据えるのを忌む日と場所 卯の日は腹に灸を据えるのを避ける等 ☆国大 子供を捕らまえて灸
11738 18 -11
   つく〳〵鷹を 荷ふ雲助
   荷ふ→になう? 鳶が生んだ鷹で美人の娘が女衒に駕篭で連れていかれる?
11739 18 -11
   鳥なき里に 御夢想の灸
   鳥なき里の蝙蝠→すぐれた者のいない所ではつまらない者が幅をきかすたとえ☆国大 元三大師や弘法大師の御夢想灸か? 地方の行事を江戸者が揶揄?
11740 18 -11
   遠くの針を 見出す労痎
   労痎→ろうがい 労咳→肺結核の旧称☆江語辞 病臥していて部屋の隅に紛失した針が落ちているを見つける
11741 18 -11
   手元へも 見えるりんきの 糸車
   糸車を廻す女房の手に悋気が
11742 18 -11
   言名付 蔵へ仕廻はぬ 斗也
   言名付→いいなずけ 斗→ばかり 手は出せず
11743 18 -11
   罔両を 誉て坐頭に 旨からせ
   罔両→かげぼし 影法師 うまい→情欲をそそられる☆ 江語辞 影法師の色っぽい様を話して
11744 18 -11
   丸腰て 出しも命の 親となり
   出しも→でしも 命の親→危い命を助けてくれた大恩人☆江語辞 取りなしか金策か
11745 18 -11
   狐火の 折〳〵野路を 綻し
   野路→のじ 野の中の道☆国大 綻し→ほころばし 狐火で遠くの野道が途切れてみえる?
11746 18 -11
   踊子の 仇名を聞て 興かさめ
   仇名→あだな 他人のつけた呼び名☆江語辞 すぐ転ぶとかいうような
11747 18 -12
   妹か口も 身中の虫
   おしゃべりな妹が獅子身中の虫
11748 18 -12
   胸に日和の しれる鐘つき
   鐘の音が天気で異なる? ???
11749 18 -12
   移香に気を つかふ断物
   移香→うつりが 断物→たちもの 神仏へ願をかけ食わぬことに決めた物☆ 江語辞 食べたと思われては心外
11750 18 -12
   干からひて居る けいせいの墓
   死んだ当座は手向ける者もあろうが月日が経てば
11751 18 -12
   大きな損は 鳩と化す鷹
   七十二候の一つ鷹化為鳩 確かに損だ 遊女の格下げとも?☆俳説ことわざ辞典
11752 18 -12
   禿も寄れは 一騎当千
   禿→かぶろ 不義理な客を新造とともに大門待ち伏せで捕らえる
11753 18 -12
   けつく名高き 井戸は捨物
   けつく→結句 かえって☆江語辞 捨物→役に立たぬとして路上などに捨ててある物☆江語辞 「朝顔に釣瓶取られて貰い水」?
11754 18 -12
   三人寄て 三歩減る智恵
   一人一分で吉原行きの相談 「三人寄れは三分入る智恵」☆武十一・16 武 十四・7
11755 18 -12
   取かさる 肴の義理も 笹の露
   取かさる→とりかざる はかない見栄のご馳走?
11756 18 -12
   四條にも まけぬ三井か 夕まくれ
   夕間暮→夕暮れ☆国大 夕方の越後屋は京の四条のように賑やか 四条河原の夕涼みと比較?
11757 18 -12
   鶴の舞ふ 日に売きれる 放し龜
   龜→亀 放生会の放し亀は四文と安い
11758 18 -12
   やふれた戸にも 言訳の錠
   一応付けておけば防犯効果
11759 18 -12
   町のひまゆく 駒形の猪牙
   駒形→雷門の南の隅田川と奥州街道にはさまれた細長い町 通りを歩くと家並の間に隅田川の猪牙舟が見える
11760 18 -12
   千箇寺さして 母の通し矢
   千箇寺→せんがじ 千の寺院多くの寺院☆国大 千の寺院を巡礼するのが母にとって三十三間堂の通し矢のような目標
11761 18 -12
   眼に付たほと 鼻につく顔
   付たほと→ついたほど 目立った顔立ちの女を女房にしたら今度はそれが
11762 18 -12
   獣みせに すはる大兵
   獣みせ→けだものみせ 獣屋は獣肉を売る店だが? 大兵→だいひょう 身体の大きい人☆国大 肉食を好むという薩摩武士とか
11763 18 -12
   提帯に いとゝ局の 憎い尻
   提帯→さげおび 御殿女中が帷子を着る時にもちいた帯☆国大 局→つぼね 御殿女中 長局☆川柳辞彙 両方へ二尺ほど角のように突っ張っているその後ろ姿☆国文学解釈と観賞昭和50年2月臨時増刊号 間で尻が目立つ 「提帯ハ尻の不形も隠されす」☆一一四・19
11764 18 -12
   目出たく反を 打し束帯
   反→そり 打し→うちし 反を打つ→そりかえらせる☆国大 束帯→律令制以降男子の朝服☆国大 ☆そのまんまか
11765 18 -13
   強くたゝくか わに口の欲
   たゝくか→叩くが わに口→鰐口 神前の鳴物 神様によく聞こえるように
11766 18 -13
   寒念佛 通ひ詰たる 廿九夜
   寒念仏→かんねぶつ 寒中三十日間夜中に念仏を唱えて歩く行 百夜通いみたいにあと一夜
11767 18 -13
   むつましき 中とハ見えぬ 仁王門
   阿吽の二体 喧嘩腰に見える
11768 18 -13
   娘の願ひ 公家を見たかる
   雛人形を見てあこがれ
11769 18 -13
   了簡の 出所にをく 置巨燵
   炬燵で良い考えが
11770 18 -13
   夏の帯 行水からか 生返り
   帯をきちんと〆ていると暑くて
11771 18 -13
   飯を煮て居る 木曾の看病
   飯→米麦などの穀物を炊いて主食とするもの☆国大 日頃は米は喰えず
11772 18 -13
   産所の夫 いふなりになる
   産後で動けぬ女房に口で使われる
11773 18 -13
   釣たれて 小さき罪を つくりけり
   これも殺生
11774 18 -13
   はな紙を めつたにつかふ 物忌ひ
   滅多→むやみ☆江語辞 物忌ひ→ものいまい 縁起をかつぐ人☆江語辞 例えば唾液を吐かないとか?
11775 18 -13
   世を半分に 暮す聾
   聾→つんぼう 不自由なことがあり
11776 18 -13
   かゆい所へ 手の届く金
   金は万病の薬
11777 18 -13
   うつくしく 舌ほと凄い 物ハなし
   凄い→気味が悪い 女の舌は色っぽくかつ恐ろしい
11778 18 -13
   孝行に いつ見た侭の 鏡山
   鏡山→近江国の歌枕 鏡の意 孝行で化粧の暇もなし?
11779 18 -13
   鏡にふたを すると夕皃
   夕顔→源氏物語の夕顔 飯盛の比喩☆雑俳語辞典 これから出女の客引きか遊女の張見世か
11780 18 -13
   腹立の 跡に残らぬ 哥かるた
   哥かるた→百人一首 白熱してもその時限り
11781 18 -13
   二度崩さねは 丸い大判
   小判に崩してもまだ丸い もう一度崩すと四角くなる
11782 18 -13
   売切て 跡の淋しき 階子売
   階子売→はしごうり 背負った物が無くなる
11783 18 -14
   二人にならぬ 内は主従
   義仲と巴御前
11784 18 -14
   桜か咲て 行ぬける寺
   行ぬける→ゆきぬける 桜の時は通り抜け自由の寺
11785 18 -14
   惣檀林の うこく一葉
   惣檀林→そうだんりん 惣→全部をまとめる☆大辞泉 檀林→寺の異称☆国大 惣寺→僧侶たちによる合議体制 ???
11786 18 -14
   刈迄は 波といはれし 炭俵
   刈迄→かるまで 藁ももとは稲穂の波
11787 18 -14
   ひよくの鳥の 篭に釣かや
   釣→つる? 蚊屋は比翼の鳥の仲睦まじい夫婦の鳥籠
11788 18 -14
   薬ほり くすりは持ぬ 男也
   薬掘→山野で薬草の根を取る 持ぬ→もたぬ 薬無用の屈強な人が行く
11789 18 -14
   鳥の番 一日皃を ふくらして
   鶏の番で鶏を追い立てて
11790 18 -14
   心中の 身の狐火を こハかりて
   これから死にに行くのに 曾根崎心中?
11791 18 -14
   よに悪まれの 横にさす傘
   悪まれ→にくまれ 女にさしかける傘は人迷惑
11792 18 -14
   落した借馬 帰り淋しき
   借馬→しゃくば 借馬屋の馬料金を取って貸す馬☆江語辞 落馬させたか荷物を落として交替させられた
11793 18 -14
   並んた膝の うこく吸もの
   宴会で吸い物が出て一斉に
11794 18 -14
   かきけすやうに 蕎麦二三はい
   ☆そのまんま
11795 18 -14
   分別の 四十に遠き 三十九
   四十にして惑わずの境地にはまだほど遠い
11796 18 -14
   世はいつれ 油くさゝの 狐罠
   油→お世辞☆江語辞 狐罠→きつねわな うまいこと言う人の世も罠だらけ
11797 18 -14
   憎まれものゝ 目へぬける智恵
   目から鼻へ抜ける→利口ではしこいさま☆俳説ことわざ辞典 頭が切れるが憎まれっ子で抜け方が逆
11798 18 -14
   脊まて伸たと 思ふ居風呂
   伸た→のびた 居風呂→すえふろ 風呂桶でわかす風呂 入浴でさっぱりして
11799 18 -14
   水無月を 浅くなかるゝ 天の河
   旧暦六月暑くて水量も少なかろう
11800 18 -14
   ものさしに しても鯨の 目の細キ
   鯨尺→和裁用の物差しでもとは鯨のひげで作った 曲尺の一尺二寸五分が一尺 大工の物差しよりは目盛りが細かい?
11801 18 -15
   白鷺の 田を汚かる あしつかひ
   汚かる→きたながる 鷺の歩き方が泥を嫌がるよう
11802 18 -15
   相談は もとへ戻りて 雛の聲
   雛祭後の奉公人の出替でもめる? 出替りしないことに?
11803 18 -15
   蟻のひく 物を見て居る もの思ひ
   所在なく蟻が何か曵いていくのを眺めている
11804 18 -15
   佛間の鼠 母をあなとる
   看経に熱中の母を尻目に鼠が出る
11805 18 -15
   大法會 頓写の施主の ゐつくまり
   大法會→だいほうえ 頓写→ とんしゃ 追善供養に大勢で法華経などを一日で書写すること☆国大 ゐつくまり→うずくまる? しゃがんで礼を
11806 18 -15
   啌つく様に 葛きりをのむ
   啌→うそ 嘘のようにぺろりと
11807 18 -15
   馬上に座頭 気の晴たかほ
   足元を気にしないで良いので
11808 18 -15
   笈の佛の 反リかへる時宜
   笈→おい 時宜→じぎ 辞儀 お辞儀をすると背負われた仏様は反り返ることに
11809 18 -15
   杖も気を 補ハこそ 薬種みせ
   補気→元気を補う意 補ハ→おぎなえば 杖も薬屋で売っていた?
11810 18 -15
   おとこのやうに 居るはらたち
   居る→すわる 腹を立てた女が荒っぽく座る
11811 18 -15
   牙婆見たかる 燈篭と猪牙
   牙婆→すあい 物品売買の仲介業 吉原の玉菊燈籠と吉原行きの猪牙舟を見たがる? 客の話しで興味を持ち?
11812 18 -15
   しからるゝ 所迄行 京の寺
   旅の恥はかき捨て 境内の奥まで無断で
11813 18 -15
   羽二重に なると蚕の おとなしき
   絹になってしまえば桑を食べる音もしない
11814 18 -15
   若衆の袖の とこか淋しき
   若衆→男色の弟分 とこか→何処か 女性の振袖でもなし
11815 18 -15
   能く売れは 売ほと淋し 切樒
   能く→よく 切樒→きりしきみ 仏に供える木なので売れて景気が良いというものではない
11816 18 -15
   二度出ると 最う見知るゝ 黄八丈
   最う→もう 見知るゝ→みしらるる 黄八丈→八丈島産の絹織物で江戸中期女性に愛好された 目立つので二回着て出ると
11817 18 -15
   前わたり 奇麗過たる はんし物
   前渡り→前を通っていくこと 廓のひやかし☆江語辞 判物→謎☆雑俳語辞典 ???
11818 18 -15
   馬の歯に 辛き命の きり〳〵す
   馬に喰われかけたが足が歯に挟まり?
11819 18 -16
   我皺は しらておとろく 人の皺
   自分も老けたことは気付かず
11820 18 -16
   くやみいふ 形リは小さき 出入医者
   形リ→なり いつもは横柄なのに患者が死んで
11821 18 -16
   不機嫌の 朝は家内か 眼を廻し
   家内→家の者 家族や奉公人を含む☆江語辞 口やかましく使われて
11822 18 -16
   抱つくと 云ふは叶ハぬ 時のこと
   口説いてだめなら実力行使 ☆武五・7
11823 18 -16
   座頭の坊 何そと云ふと 云葉質
   座頭の坊→ざとのぼう 云葉質→ことばじち 人の言ったことを後の証拠にとらえておくこと☆江語辞 金貸し座頭の追求
11824 18 -16
   前帯に なれハ女房に 反かつき
   反→そり 反る様子☆国大 性格☆雑俳語辞典 前帯は玄人女や老女 もと花魁の女房なのでつい反り返る? 年をとると地が出る?
11825 18 -16
   夜噺の 亦うしろから 二ツ玉
   夜噺→よばなし 夜談話すること☆国大 二ツ玉→火縄銃に弾丸を二つこめて撃つこと☆国大 また一人加わって長話になり夜が更ける
11826 18 -16
   覚悟して 踊の尻の あさたらけ
   大勢の男に求愛に尻を抓られる
11827 18 -16
   日和に合羽 きるもからくり
   からくり→計略 たくらみ 服装を隠して遊びに行く
11828 18 -16
   宰領の しひれをきらす 米俵
   宰領→さいりょう 荷物を運送する馬や人夫をひきつれ指揮監督等する役☆国大 積むのに時間がかかる
11829 18 -16
   敷居の高い 元服のかほ
   いつもと違うよそいきの顔 あるいは顔が長く見える?
11830 18 -16
   今引ク風の 跡にあくたい
   風→風邪☆国大 悪態→悪口☆江語辞 くしゃみをすると魂が抜け出るといい糞をくらえと唱えると避けられる☆江戸文学俗信辞典
11831 18 -16
   傘へ 投る二かいの いとまこひ
   暇乞→別れの挨拶☆国大 二階から往来の傘をさした人へ声をかける
11832 18 -16
   せめられて来る 見セ馬も義理
   見せ馬→別の馬を売りつけるために見せる替え玉の馬 馬も好きで来ている訳でない
11833 18 -16
   目印に 座頭を残す 汐干舟
   汐干狩の舟から皆汐干へ降りて もとの船がわかるように留守番を頼む
11834 18 -16
   光いんの 早くも下駄の 踏勝手
   光陰→年月 下駄の歯の減りが一番早い
11835 18 -16
   つまむほとなる 関取の袖
   袖が小さく見える
11836 18 -16
   鼻か落ても 万物の霊・
   万物の霊・→万物の霊長 人間☆国大 瘡毒で鼻が落ちても
11837 18 -17
   作リ樹の 形に浴衣の 干上リて
   造木→つくりぎ 盆栽や庭木の枝を曲げたわめること☆国大 形→なり 浴衣が変な格好に乾いて
11838 18 -17
   鐘もおもへハ 一日の坂
   坂→物事の区切り☆国大 入相の鐘とか明六ツの鐘とか
11839 18 -17
   恋の礫に かるいかみ屑
   礫→つぶて 婚礼の家に村の若者が礫を投げる石打の習俗みたいにやっかみ半分に あるいは気を引くため?
11840 18 -17
   哥かるた 不二の高根を 手て押
   哥かるた→百人一首 押→おさえ 「田子の浦にうち出でて見れば白妙の富士の高嶺に雪はふりつつ」☆山部赤人 かるた札なので
11841 18 -17
   火打箱 女房の留主の 道具也
   火打箱→火打道具を入れておく箱 狭く小さい家の意も☆ 国大 留主→るす 亭主が自分で火をおこさねばならぬので 「去た夜の枕に並ふ火打箱」☆ケイ安・12
11842 18 -17
   小さくなつて 庵に大名
   お大名も茶室では小さくなり
11843 18 -17
   つく〳〵と 思へハ強き 足のうら
   ☆そのまんま
11844 18 -17
   ひやりと居る 四月朔日
   居る→すわる 更衣で肌寒い感じも
11845 18 -17
   亦かさねてと 絵師の逃口
   かさねて→この次 そのうち ☆国大 気乗りのしない仕事で
11846 18 -17
   後家になると 上戸になるか 一度にて
   亭主に先立たれ酒量が増えた? もともと酒好き?
11847 18 -17
   娵のかほ 生れて二度の 人見知
   娵→嫁 人見知→ひとみしり 見慣れない人を嫌うこと☆国大 子供の頃と新婚と
11848 18 -17
   江戸の水道は 水のからくり
   水道→すいど からくり→やりくり あやつりじかけ☆国大 水の大仕掛け
11849 18 -17
   巨燵の𥶡の はねる火か来る
   𥶡→たが 男共があたっている炬燵に美人が
11850 18 -17
   氏神に 男仕上て 願ほとき
   仕上げる→立身する☆国大 一人前になってお礼参り?
11851 18 -17
   憎いとハ いはれやうにて 面白し
   本当に憎いのか惚れているのか
11852 18 -17
   戸へたてつける 下女の腹立
   たてつける→戸をぴったりとしめる はさみこむ☆国大 腹を立てて戸をぴしゃりと
11853 18 -17
   かならす僧に 武士のかた意地
   何かといへば出家
11854 18 -17
   きれいに舌を 遣ふ身揚り
   身揚→みあがり 芸娼妓が自分の揚代を払って勤めを休むこと☆江語辞 舌→物言い 小判☆江語辞 嘘をつかないですむ?
11855 18 -18
   転寐の 夢には長し 五十年
   転寐→うたたね 五十年→人間五十年☆敦盛から人間の定命 盧生の夢 自分の人生もひょっとしたら 
11856 18 -18
   異見状 ちひり〳〵と 金も来て
   放蕩息子の甘い親
11857 18 -18
   懸乞に 聾の留主ゐ 面白し
   懸乞→かけこい 借金取り 聾→つんぼ 留主ゐ→留守居 留守番☆雑俳語辞典 ☆そのまんま
11858 18 -18
   目見する 妾は律儀に かしこまり
   目見→めみえ 目見得→ 奉公人が雇い主の家で一日から数日試みに勤めること☆江語辞 ここでは妾奉公の面接か
11859 18 -18
   とし忘れ わすれしたけに 穴か明
   年忘→忘年会 穴が明く→不足を生じる☆江語辞 羽目を外して金が不足
11860 18 -18
   子の行水の 跡に捨ふね
   笹の捨小舟が
11861 18 -18
   沙汰なしに 骨迄濡る こぬか雨
   沙汰なしに→黙って 内密に ☆江語辞 気付かない内に降って濡れる
11862 18 -18
   伴頭は 飛鳥の場所を 桜艸
   伴頭→ばんとう 番頭 飛鳥山の桜の意か? ???
11863 18 -18
   世に捨られの 多き墨そめ
   墨染→僧 瘡毒が悪化して出家させられるとか 世を捨てたというよりは
11864 18 -18
   腰からしもの 凄い罔両
   凄い→気味が悪い 罔両→かげぼし 影法師 何かが大きいとか?
11865 18 -18
   終に見落す 母の素壱分
   終→つい 素壱分→すいちぶ 母のささやかな呉服屋通い 息子が一分だけ持って吉原に行くように
11866 18 -18
   正直につく 検校のつえ
   手引きの人も居るので杖のつき方は単純
11867 18 -18
   新造も 口の剣の 歯をそめて
   口の剣→毒をいう口☆俳説ことわざ辞典 毒舌の新造もお歯黒をして花魁に
11868 18 -18
   ほれやうに ことのかけたる 道成寺
   事を欠く→他に適当なことがあるのによりによってそんなことをすることに非難をこめて言う☆国大 他の惚れ方もあろうに
11869 18 -18
   清水は 其後蝶の 飛はかり
   飛はかり→とぶばかり 清水の舞台から飛ぶ人はおらず
11870 18 -18
   文珠の智恵に 廿一癖
   文珠→文殊 無くて七癖☆諺☆俳説ことわざ辞典 三人寄れば文殊の智恵の七癖で二十一癖
11871 18 -18
   きり〳〵す 跡一聲の りちき也
   寒くなっても途切れ途切れに
11872 18 -18
   はつ〳〵の 夏を彩・色 御祓川
   はつはつ→辛うじてぎりぎり 彩・色→いろどる 御祓川→みそぎがわ 六月晦日の夏越の祓 明日から秋
11873 18 -19
   四も五もくはぬ 葛城の神
   四も五も→なにもかも☆国大 食う→だまされる☆国大 葛城の神→一言主の神で見目麗しくない 見目麗しくない女房の意? 煮ても焼いても食えぬ古女房
11874 18 -19
   和睦のはしに 遣て見る瞽女
   はし→いとぐち☆江語辞 瞽女を使いにやって仲直りのとっかかりを掴む
11875 18 -19
   直な人を 汚す供銭
   直→すなお 供銭→神などに供える銭? つい出来心が?
11876 18 -19
   牡丹餅に なつても母の 人つかひ
   亡くなって四十九日の牡丹餅になっても餅配りに人を使う
11877 18 -19
   雨性の 妾も作の 面ほど
   雨性→あめしょう 外出するとよく雨に降られる人☆国大 作の面→さくのおもて 作→古い時代の名作☆江語辞 出すと雨が降る能面があるのか? 「雨乞の御能はしまる作の面」☆橘中初・25 「降止と一度に仕舞ふ作の面」☆橘中初・27
11878 18 -19
   春の気さしの 本ふくの門
   気さし→きざし 本復→ほんぷく 病気が全快すること☆国大 病気が本復して春の兆し
11879 18 -19
   注文とをり からさきの雨
   近江八景唐崎の夜雨 お約束通り雨が降る
11880 18 -19
   朝起を 合点して来る 奈良の聟
   奈良は早起が常識
11881 18 -19
   淋しさの 頬撫てゐる はね箒
   箒→ほうき 羽箒→鳥の羽で作った小箒 茶道などで使う 所在なし 「羽箒淋しい顔をなてゝ居」☆武五・15
11882 18 -19
   鳥に念佛も 母の庖丁
   念佛→ねぶつ 信心深い母は鳥を料理する時にも念仏
11883 18 -19
   裏屋たうとく 玉の輿出る
   裏屋→うらや 裏長屋☆雑俳語辞典 裏長屋の娘が御大名にみそめられて
11884 18 -19
   箒の先を ふさく労咳
   箒→ほうき 塞ぐ→押さえとどめる 防ぐ ☆国大 寝ていて周囲を掃かれて
11885 18 -19
   とても濁るを 飲ハ玉川
   とても→どうせ☆江語辞 武蔵の玉川の水?
11886 18 -19
   僧正に 鏡を見せる 染か出来
   紫衣が染め上がって試着してみる
11887 18 -19
   肥ても 痩ても聟ハ なふられて
   肥ても→ふとっても 太れば仲が良い 痩せれば房事過多と
11888 18 -19
   さま〳〵に 音をなく中の 屁ひり虫
   音→ね 屁放虫→みいでらごみむしの俗称 敵に襲われると肛門から音と悪臭を放つ☆江語辞 色んな虫の音があるが
11889 18 -19
   あつはれ傾城 星の哥よむ
   あつはれ→あっぱれ 七夕の紋日にまともな和歌を
11890 18 -19
   中悪い 同士のたかひに 雉子の聲
   同士→どし? 雉子→きじ 雉子の声はけんけんほろろ☆ 江語辞 けんけんするはつっけんどんなさま☆江語辞
11891 18 -20
   分別も有 さうな尺八
   もとは放蕩息子だが虚無僧の格好になれば 「尺八て来る親族の屑」☆武十・ 18
11892 18 -20
   九十九は 嘘を冬瓜の 咲て見せ
   冬瓜→とうが 冬瓜は結実しない徒花が多い 「冬瓜の花の百一」☆俳説ことわざ辞典
11893 18 -20
   尻餅ついて にける笋
   笋→たけのこ 筍盗人
11894 18 -20
   狐か落て 横柄な皃
   もとの人格が現れ
11895 18 -20
   忍ふ拍子に 直る臆病
   直る→なおる 夜這するうちに臆病が治った
11896 18 -20
   空耳は せめていはれぬ 意趣返し
   空耳→そらみみ 聞いて聞かぬふりをすること☆江語辞 「空耳は少し斗の意恨なり」☆武十七・29
11897 18 -20
   押詰し 空に根のなき 松の風
   押詰し→おしつめし 押し詰める→年末になる☆国大 松風→琴の音の意 忙しい年末に浮世ばなれした琴の音が
11898 18 -20
   片眼ふさいて 的を射ル医者
   診察の様子か? ???
11899 18 -20
   はさみ将棊に 眼の動く瞽女
   将棊→しょうぎ 見えなくても動きを推測
11900 18 -20
   御短慮の お袖にすかる 美さ
   美さ→うつくしさ 殿様と御妾の喧嘩
11901 18 -20
   代脈は また尺八の 指つかひ
   代脈→代診☆江語辞 脈をとる指がもたつく
11902 18 -20
   中直リ 忘れたやうな 笑ひ皃
   夫婦喧嘩の仲直りのあと
11903 18 -20
   一むれの しまりに尼の 衣きて
   一群→むらがっているひとかたまり☆国大 ここでは群衆か? 締→しまり 監督 統御☆国大 参詣人が大勢来たので衣を着てあらたまる?
11904 18 -20
   頭痛かゝへて 碁の側に妻
   仲が良過ぎ房事過多で頭痛?
11905 18 -20
   畳の上へ 世をすてる蜑
   蜑→あま 海女 畳の上が海女の余生
11906 18 -20
   二人か闇を 八卦あかるき
   今は苦労しているが占いでは
11907 18 -20
   さしむかひには 凄き木像
   凄い→気味悪い 閻魔様とか
11908 18 -20
   座頭とらへて 口をわる酒
   酒を飲ませて情報を
11909 18 -21
   四月八日に とんな葬礼
   四月八日は灌仏会 鈍→あいにく 残念☆江語辞
11910 18 -21
   狐つき 病の中の はつみもの
   弾む→活気がある☆国大 病気の中では元気な
11911 18 -21
   ちとりにも 鹿にもうとき 瓦屋根
   千鳥聞きも鹿聞きも藁屋根の風流
11912 18 -21
   裘の こゝろて振ふ 雪の簑
   裘→けごろも 獣の体をおおっている毛皮☆国大 簑→みの 犬が身を振るわせるように
11913 18 -21
   めくらの居所 きハまつている
   居所→いどこ 周囲を把握しやすい場所に 壁際とか?
11914 18 -21
   清水の 晴たる傘に 人の口
   晴れた日に清水へ傘を持って来るとはさては飛び降りる気かと?
11915 18 -21
   日本の錠と おもふ御関所
   錠→じょう ☆そのまんま
11916 18 -21
   根つけを持て 眼をかりに来る
   根付→腰下げの緒留め 目が悪く紐を通しにくいとか? ???
11917 18 -21
   大伽藍 相撲小さく 手を合セ
   大伽藍→寺の大きな建物☆大辞泉 回向院の相撲興行 大きな建物の前では大きな相撲取りも小さく見える
11918 18 -21
   飼猿に はるかおとりし 知行者
   知行者→? 知行取→俸禄を受ける人☆国大 宮仕えは飼われ猿以下?
11919 18 -21
   浪人の 心ゆかしに 名をかへて
   心ゆかし→気晴らし☆国大 名をかえれば士官の口も
11920 18 -21
   後架神 祈るにしても 帋燭たけ
   後架神→こうかがみ 後架→便所☆国大 帋燭→紙燭 しそく 紙縒製の照明具 御燈明まではあげない?
11921 18 -21
   雛より若き 二代めのつま
   二代目の息子の政略結婚の幼い許嫁
11922 18 -21
   横柄に売 寺の妙薬
   売→うる 奈良西大寺の豊心丹とか
11923 18 -21
   乗捨た 鞍に鳥居の 朝日影
   朝日将軍木曾義仲の埴生八幡参詣とか? ???
11924 18 -21
   豆腐をすくと 云ふも述懐
   述懐→愚痴 泣き言 豆腐が好きというのも歯が
11925 18 -21
   薮入の 来る迄餅は 鉄漿くさし
   鉄漿→かね おはぐろ ???
11926 18 -21
   三度所を かへる分別
   孟母三遷
11927 18 -22
   云名付 桐は木挽か 手にかゝり
   云名付→いいなずけ 木挽→ こびき 木材を鋸でひいて用材を作る人 桐は女子が産まれると植え婚礼の箪笥にする 許嫁に結婚前に手を出した?
11928 18 -22
   真直に出る 惣領の智恵
   真直→まっすぐ 正直すぎて役に立たぬ智恵
11929 18 -22
   天窓の浪を 打し十念
   天窓→あたま 十念→南無阿弥陀仏を十遍唱えること 十一月の真宗本願寺報恩講の光景か 「千畳敷のうなる十念」 ☆武十七・32
11930 18 -22
   検校の 妻は目も利 口もきゝ
   検校→盲人の組織である当道座の最高官位 利→きき 口を利く→しゃべる 幅をきかせる☆江語辞 強い発言力を持つ
11931 18 -22
   蚊を焼て さへ殺生は 面白き
   蚊屋の中の蚊を紙燭で焼く ☆武十一・34
11932 18 -22
   女房の 髪も世帯の  〆ところ
   世帯→せたい 〆ところ→しめどころ だらしなくならぬようにする要点?
11933 18 -22
   くさめも人の 秋をしる音
   虫の音とかでなくとも
11934 18 -22
   いくつにも 流れ茶に合ふ 水の味
   流れた先で水がそれぞれ茶と出会う
11935 18 -22
   惜まれて そめる白歯も 罪の内
   結納してお歯黒をつける小町娘 残念がる男多数
11936 18 -22
   筋違ふて 淋し木母寺 弘福寺
   筋違ふて→すじこうて 斜めに向かい合う☆国大 木母寺→もくぼじ 向島で真崎稲荷の対岸 弘福寺→向島で三囲のすぐ上流 対岸は吉原
11937 18 -22
   折靍を ふく時あたら 皃替り
   折靍→おりづる あたら→惜しいことにも☆国大 頬をふくらませ美人が台無し
11938 18 -22
   舞台を飛へと 御誓ひの無理
   舞台→清水の舞台☆雑俳語辞典 誓ひ→衆生を救おうとする神仏の誓願☆国大 清水の舞台から傘を持って飛び降りると恋が叶う観音様の難題
11939 18 -22
   先〆てゐる 帯はそら錠
   先→まず 〆て→しめて 空錠→見かけだけで役にたたない錠 かけたように見せかけた錠☆国大 堅い帯はみせかけ?
11940 18 -22
   鱠迄 髭のやうなる 九十の賀
   鱠→なます 魚の刺身を細かく切ったもの 老人が食べよいように
11941 18 -22
   囲炉裏から飛ふ 栗も活もの
   活もの→いきもの 生生として活気のあるもの変化するもの☆国大 栗がはぜて
11942 18 -22
   遺言に 妻も思へは 枇杷の花
   枇杷の花は冬に咲き白く小さく地味 冬のような苦労をかけた質素な妻に感謝
11943 18 -22
   小姑二人 見るめかくはな
   見る目嗅ぐ鼻→閻魔の庁の人頭幢で亡者の善悪を判断する☆国大 お嫁さんを監視する
11944 18 -22
   事ふれか 来て女房を こハからせ
   事触→鹿島の事触の略☆江語辞 鹿島神宮の偽神官の物乞が地震等の予言をしてお守り符を売る 「事触れが来ては今年もいやがらせ」☆柳拾遺
11945 18 -23
   鑓先の 昔を今に ちとり啼
   鑓先→やりさき 槍の先端☆国大 千鳥→多くの鳥☆国大 大名行列 昔の戦の音にかわり今は鳥の声が
11946 18 -23
   胡葱に 当こすり程 酢か利て
   胡葱→あさつき 当こすり→かこつけて云う悪口や皮肉☆江語辞 利て→きいて 出替り前日の胡葱なますの味
11947 18 -23
   石の降 夜は面白き 従弟中
   従弟中→いとこなか 従兄弟同士の間 婚礼の家に村の若者が礫を投げる石打の習俗 従兄弟同士の結婚
11948 18 -23
   四角に酔て 歩行年禮
   歩行→ありく 年礼→年始回り☆江語辞 正装しているが千鳥足
11949 18 -23
   取〆も なく駈歩行 長つほね
   取〆→とりしめ 言行の慎み ☆江語辞 駈歩行→かけありく 長局→御殿女中 代参で外出したついでに遊ぶ
11950 18 -23
   見所に 指折なくす 京の春
   春の京都は名所だらけで十指に余る
11951 18 -23
   鮟鱇の 図法師残る 春の茶屋
   鮟鱇→あんこう 図法師→ずぼうし 医療用の図解付人形☆雑俳語辞典 吊るし切りで解剖人形のように
11952 18 -23
   二十四孝の ほかに堪忍
   四十七士? 「二十四の孝より四十七の忠」☆ 柳三三・33 ???
11953 18 -23
   腰もとの 口上ひねる 指の先
   口上→改まって申し述べること☆江語辞 指をそわそわさせながら 「口上を下女は尻からゆすり出し」☆柳二・7
11954 18 -23
   百万へんの 游く唇
   游く→およぐ 泳ぐ 百万遍念仏で念仏が口もとに漂っているよう?
11955 18 -23
   腑分の戻り 傾城をかふ
   腑分→ふわけ 死体解剖☆江語辞 人間生きているうちに
11956 18 -23
   剃た日の また枕には 気も付す
   枕に俗気が残っている 「剃た夜ハきのふのまくらきたなくて」☆武十五・5
11957 18 -23
   無理も半分 たまる聖天
   待乳山聖天まで来て吉原へ行けぬとは
11958 18 -23
   言伏て 見れは女房も 面白き
   言伏て→いいふせて すねた様子が?
11959 18 -23
   手を孕なと 笑ふ旅立
   孕な→はらむな 手孕村→夫が旅行中その妻を友が守ろうと腹に手を置いていたら手を産んだ伝説☆江戸文学俗信辞典
11960 18 -23
   像になつても 白眼師の坊
   白眼→にらむ 師の頂相に叱咤される
11961 18 -23
   船着の 折〳〵狂ふ 銭相場
   船着→ふなつき 船着場☆国大 銭相場→銭貨と金銀との交換割合☆国大 相場変動で船賃が変動?
11962 18 -23
   梓弓 仕廻の付ぬ うらみ也
   梓弓→巫女の口寄せ 仕廻→しまい 付ぬ→つかぬ とんでもない言葉が出て収拾がつかなくなった
11963 18 -24
   かり筆は 恨も怖く 言にくし
   かりふで→借筆 代筆のことか? ??? 「かり筆にかゆい處をかき残し」☆トウモ収寛政1111上
11964 18 -24
   大事なりけり 九十九の人
   あと一年で長生き大記録 あるいは深草の少将の百夜通いであと一夜?
11965 18 -24
   渡しの船の 人肌に乗る
   前の客の尻の温みが残る
11966 18 -24
   ふつ〳〵と 本の女房の 十二月
   本の→本当の? 本当の女房なればこそ金の工面の心配を
11967 18 -24
   くさめ三つ四つ 野ゝ宮を出る
   野ゝ宮→ののみや 野宮 伊勢の斎王の潔斎所野宮神社 源氏と六条御息所の別れの場 ???
11968 18 -24
   一聲の 雉子の嵐に 芥子坊主
   芥子坊主→けしぼうず 芥子の実 中央を残した子供髪☆ 雑俳語辞典 子供がけんけん声で叱られる様子?
11969 18 -24
   おとこへし 哥さへなくて 猶淋し
   「名に愛でて折れるばかりぞ女郎花我落ちにきとひとにかたるな」☆遍昭 男郎花ではぱっとしない
11970 18 -24
   植た桜に 入相はなし
  入相→いりあい 日没の鐘 上野の花見は入相でおひらきだが吉原仲の町の桜は夜が見所
11971 18 -24
   玉川は世に かハる若水
   若水→元旦に初めてくむ水 玉川上水は世間に代わって江戸の若水を汲む?
11972 18 -24
   御夢想の 覚束なくも ひとつ灸
   覚束ない→心もとない 元三大師や弘法大師の御夢想灸の行事? たったひとつ灸で効果は?
11973 18 -24
   憎まれ座頭 食傷もせす
   食傷→食中毒 食べ過ぎていやになること 変なもの食べさせられたが あるいは無理食いさせられたが
11974 18 -24
   悋気の翦矢 かり筆て来る
   翦矢→それや 流れ矢 浮気の比喩☆雑俳語辞典 かり筆→借筆 代筆か? ???
11975 18 -24
   節句前 ひらかぬ菊の 不筈もの
   不筈もの→ふはずもの 約束を守らぬ者の意か? 筈→予定 約束☆国大 重陽の節句前に菊が咲かぬ
11976 18 -24
   黄金やふる 検校の夢
   検校になるには千両必要 ???
11977 18 -24
   疱瘡皃に 年の寄へき 所なし
   疱瘡皃→いもがお 寄へき→よるべき すべすべした所が少ない
11978 18 -24
   二度に出す 暇に家の 美しき
   暇→いとま うつくしい→いざこざのないさま☆江語辞 不祥事のあった二人の奉公人や家人を分けて暇を出す 同時に辞めさせぬ配慮
11979 18 -24
   琴の弦 きれて一二羽 帰る厂
   弦→いと 厂→雁 琴の十三弦の一本が切れてお開き
11980 18 -24
   夢になくなる 傾城の銭
   夢の中では一文でも捜す
11981 18 -25
   鴨の毛の 能鎮りて 雪となり
   能→よく 鎮りて→しずまりて 正月用の鴨を料理しようとして あたりの湿気で?
11982 18 -25
   しかられて 枕へ戻る 病あかり
   病あかり→やみあがり まだ房事は早いと女房にたしなめられて
11983 18 -25
   牽頭か舌の 荒れる昼顔
   牽頭→たいこ 幇間 昼に起き出してゆうべの旦那はひどい奴だったねと
11984 18 -25
   罪になるとハ しらぬ寐すかた
   女性のしどけない寝姿が男を誘惑
11985 18 -25
   姑の 気に入さうな 秋の空
   息子の嫁への心変わりを期待?
11986 18 -25
   芝居振廻ふ 恋の罪人
   振廻ふ→ふるまう 芝居見物を餌に誘惑
11987 18 -25
   惟光の場へ 遣ふ光次
   惟光→これみつ 光源氏の乳母の子で夜歩きのお供 光次→みつつぐ 金座の後藤光次 末摘花の世話のようなことに小判を使う
11988 18 -25
   女房と銅壺 ひかりかゝやく
   銅壺→銅壷 どうこ どちらもすり磨いて
11989 18 -25
   寐そひれし 枕を肘に 取かへて
   眠れぬので肘を枕にしてみる
11990 18 -25
   屋根から落て 賑にしぬ
   賑→にぎやか ☆そのまんま
11991 18 -25
   中直り 二人に二人 きの字形
   きの字形→きのじなり 腰を折り座った形の横からの見立☆雑俳語辞典 互いに寄りかかって 「き娘のあちらへ向もきの字形リ」☆苔應明四925
11992 18 -25
   暁を おほへる寺の 懸人
   懸人→かかりうど 居候春眠暁を覚えずというが寺の居候は早起き 鐘の音で起こされる?
11993 18 -25
   橋大工 落すもの皆 暇こひ
   暇→いとま 道具を川へ落とせばお別れ
11994 18 -25
   白歯も 見せぬ極月に 梅笑ふ
   白歯→しろいは 極月→しわす 笑う→花のつぼみが開く 誰もが支払いで渋い顔の十二月に梅はほころぶ
11995 18 -25
   転寐に 夢の浮橋 取ちらし
   転寐→うたたね 夢の浮橋→夢の中のあやうい通い路 はかないもののこと 源氏物語の最終帖 短い夢を沢山みる? 紫式部が源氏を書き終えて?
11996 18 -25
   目出度さを さつとして置 小豆飯
   娘の初花をさりげなく祝う
11997 18 -25
   小田原町は 気散しなまち
   小田原町→日本橋北の魚市場 気散し→きさんじ のんき気楽☆江語辞 いつも繁盛して?
11998 18 -25
   氷室ふさくに 閏六月
   六月朔日は本郷加賀邸の氷室開き・氷献上 氷室は塞いだのにもう一度六月朔日が来る
11999 18 -26
   汲鮎の 側に寐て居る 杉丸太
   汲鮎→くみあゆ のぼる鮎を網に追い入れ柄杓などですくう☆国大 嵯峨の漁場の様子? 近くに切り出された材木が 「妾もはたし嵯峨の汲鮎」☆ケイ六・45
12000 18 -26
   淋しさは 苧をうむ妻の 無口にて
   苧→お 苧を績む→苧の繊維をより合わせて糸にすること 貧乏で無口で
12001 18 -26
   つく〳〵と 恋にはうとき くたしゆはん
   くたしゆはん→管襦袢 短く切った篠竹や葦に糸を通して編んだ肌襦袢 汗が着物につかない 色っぽいものではない
12002 18 -26
   鼠のかちる ほとは弾妻
   弾→ひく 琴をほんのちょっとたしなむ
12003 18 -26
   出替りの 跡に何をか 申ふん
   出替り→奉公人の交替 申ふん→もうしぶん 申分 不満を言うべき点 妊娠☆江語辞 下女が妊娠していて口入屋から抗議が
12004 18 -26
   急度戻れは いたい傘
   急度→きっと 確かに きちんと 痛い→出費となるのでつらい ☆江語辞 越後屋の貸し傘を返す時お礼に何か買う?
12005 18 -26
   二日来ぬ 大工の箱に 蝸牛
   蝸牛→かたつぶり 普請が長雨で中断 大工の道具箱に蝸牛が
12006 18 -26
   妾も眉毛 とれは星入
   星入→ほしいり 吉原細見の符牒の入山形に星 上妓の異称☆川柳辞彙 妊娠すれば本妻あつかい?
12007 18 -26
   切底に 塩ものゝ来る 歳の暮
   切底→? 食器の類いか 塩物→塩漬けにした食品 とくに魚☆国大 塩引鮭のおすそわけ?
12008 18 -26
   関守の 眼を入かへる 膝かハり
   膝変わり→? 寄席でトリの前に出る色物のこと? 芸人は芸を披露すれば関を通れたという 芸人で気分転換?
12009 18 -26
   畜生足の 果も膏薬
   畜生足→ちくしょうあし ? 人間離れした健脚でも膏薬の世話に?
12010 18 -26
   其中に 正五九月は 年の骨
   骨→最も重要な所 中心☆江語辞 「正五九月は祟り月」☆諺→正月・五月・九月は諸事謹慎すべき月で神仏参詣する風あり☆俳説ことわざ辞典 それらの月の縁日はとくに盛大 目黒不動とか
12011 18 -26
   蜩の 身をも昼をも 啼ちゝめ
   蜩→ひぐらし 啼ちゝめ→なきちぢめ 啼いておのが命も昼の長さも縮める
12012 18 -26
   他人に成て 真中の智恵
   他人のつもりになって身内に公正な意見を
12013 18 -26
   義理といふ字は 銭を喰ふ文字
   付き合いには何かと銭が要る
12014 18 -26
   六條の 車も恋の 重荷なり
   源氏物語 六条御息所と葵の上の賀茂祭での車争い 車と荷の縁をきかす?
12015 18 -26
   傾城の 泣ほとつゝに 屋根かもり
   泣ほとつゝ→なくほどずつ 花魁の嘘泣きほどに少しずつ雨が漏る 花魁に入れあげる度に家運が傾く?
12016 18 -26
   指九本 もとの身にして 恥しき
   客への心中立てに指を切ったが堅気の身に戻れば
12017 18 -27
   恋くさや 続く夜伽に 根か残り
   恋草→恋心のつのることのたとえ☆国大 看病されて恋草の根が残ったと?
12018 18 -27
   われさうな 中へ異見の 𥶡をかけ
   𥶡→たが 夫婦別れしそうな仲に異見
12019 18 -27
   小言のたしに 付かぬる鉄漿
   たし→おぎない たすけ☆江語辞 付かぬる→つきかぬる 鉄漿→かね お歯黒 ???
12020 18 -27
   木に竹の たましゐ入て かしかたな
   木に竹ついだよう→前後不釣り合いのたとえ☆俳説ことわざ辞典 貸刀→足軽が領主から借りた刀? 草履取りの武士の魂の竹光か
12021 18 -27
   おもひくさ 根を掘る乳母を うるさかり
   思種→おもいぐさ 物思いのもと☆国大 お嬢さんの恋の悩みを乳母が根掘り葉掘り訊くので
12022 18 -27
   跡から来ても 老の分別
   若い者よりゆっくり到着しても
12023 18 -27
   卯の花に 妻の異見の 釘か利
   卯の花は陰暦四月 初鰹の季節が近いので 「桜にハ鯛卯の花にはつ鰹」☆ケイ二十・43 「魚と鳥待垣や卯の花」☆ケイ二十・91
12024 18 -27
   出女の つゐ取逃す 丸合羽
   出女→宿場遊女 丸合羽→袖のない合羽☆江語辞 引っ張る袖がなくて
12025 18 -27
   裏屋にあまる 不二山の夢
   裏屋→裏長屋☆雑俳語辞典 長屋住まいには過ぎた夢
12026 18 -27
   朝皃の しほみはくれし 雨蛙
   蛙が乗っていてしぼめない
12027 18 -27
   静さハ 蚕の響く まくら紙
   枕紙→木枕の上の小枕を覆う紙 枕もとに置く紙☆国大 紙に這う虫の音が聞こえる? ???
12028 18 -27
   垣間見の かこつけくさに 茗荷の子
   垣間見→かいまみ 隙間からこっそり見ること☆国大 かこつけくさ→託種 口実にする材料☆国大 茗荷の子→愚かな子☆雑俳語辞典 この子が覗こうというもんだからね
12029 18 -27
   痳疹には 神さへなくて むつかしき
   痳疹→はしか 疱瘡神なら赤い物を揃えるという手もあるが
12030 18 -27
   通辞夫婦の やまともろこし
   通辞→通訳☆国大 夫婦間の会話も日本語中国語チャンポン
12031 18 -27
   分別に手を つけぬきぬ〳〵
   きぬぎぬ→遊廓の朝の別れ ここまではまだ遊びのうち
12032 18 -27
   鼻から先へ 聟の評判
   「鼻大なれば陰大なり」☆俗言 ☆俳説ことわざ辞典
12033 18 -27
   瓢単の 心てくらす 掛人
   瓢単→ひょうたん 掛人→かかりうど 居候 「水に流るる瓢箪のごとくなる これを浮世と名づくるなり」 ☆仮名草子浮世物語
12034 18 -27
   物にかゝりの 石塔に哥
   物にかゝり→物好き 石塔→墓石☆雑俳語辞典 墓に歌を彫るのは物好き
12035 18 -28
   頬杖は 足らぬ思案の 引くゝり
   ひっくくる→手荒にしばる 力を入れて強くしばる
12036 18 -28
   痒い所を 跨く空錠
   痒い→物足りない☆江語辞 空錠→そらじょう 鍵がかけてあるように見えながら実はかけてない錠☆江語辞 何となく物足らぬ場所のアクセサリーに
12037 18 -28
   川竹の 身も方円の 器もの
   川竹の流れの身→遊女のこと 方円→ほうえん 器もの→うつわもの 「水は方円の器にしたがう」☆諺 遊女の身の上は旦那の廻りあわせ次第
12038 18 -28
   行逢て 味にねちれる 言名付
   味に→色っぽく 言名付→いいなずけ 許嫁の危うい仕草
12039 18 -28
   御壺着日を 宇治の元日
   御壺→おつぼ 着日→つくひ 御茶壺道中 将軍家伝来の茶壷に宇治茶を詰めて戻る
12040 18 -28
   両方へ蚊を 入るあつかひ
   入る→いれる あつかい→調停 仲裁☆江語辞 どっちの蚊屋へも蚊を入れるような喧嘩両成敗?
12041 18 -28
   長閑さハ 留守の昼寐に 頼まれて
   長閑さ→のどかさ 寝ていればよい気楽な留守番
12042 18 -28
   分別を 極た恋の 弥生来て
   極た→きわめた 真剣な恋も三月の桜ざめ?
12043 18 -28
   鶉は腹を たつやうに啼
   鶉→うずら グワックルルルと大きな声で啼くという
12044 18 -28
   むつかしき 川にしてをく 天の川
   むづかしい→面倒だ ややこしい☆江語辞 ???
12045 18 -28
   恥から先へ 噺す相談
   噺す→はなす まず問題を先に打ち明けて ☆武七・9
12046 18 -28
   律義にて 男の能いは 費也
   男→男ぶり 男まえ☆江語辞 費→ついえ 無駄な失費☆江語辞 律儀で男前では出費がかさむ
12047 18 -28
   ものゝふの 飯喰ふまても 矢継早
   矢継早→やつぎばや 矢を続けて射る技の早いこと☆国大 侍は飯も早い
12048 18 -28
   腹から他人 さられ来て産む
   さられ→離婚され 里へ戻って腹の子は他人
12049 18 -28
   呵られし 礼に辛子の 小気味よし
   呵られし→しかられし 初鰹を買って叱られた意趣返し? ???
12050 18 -28
   わひ言も 秋海棠の すかたなり
   秋海棠→しゅうかいどう 小さな花が下をさして咲く
12051 18 -28
   堪忍の 相場の外を 旦那寺
   間男示談金五両以上要求されたので相談に あるいは息子の法外な放蕩を相談?
12052 18 -28
   あさつてと 鸚鵡かへしの 水浅黄
   水浅黄→みずあさぎ 薄い浅葱色 紺屋の明後日というがこれは薄いのでそのとうり染め上がりそう 「明後日とかるく請合う水浅黄」☆武三・10
12053 18 -29
   雷に まけぬ気て啼く 蟬の聲
   ☆筑嶽層雲二十ヽ ☆そのまんま
12054 18 -29
   去状を 書て瘧を 落しけり
   去状→さりじょう 離縁状瘧→おこり マラリア性の間歇熱 瘧を落とす→瘧を癒す意 おどかすと瘧が落ちると考えられたらしい
12055 18 -29
   手代へ落る 聟の入札
   入札→いれふだ 入札☆江語辞 親類相談の結果お嬢様の聟は忠義の手代に決定
12056 18 -29
   眉毛ぬらして 帰る見送り
   狐狸にばかされそうになった時唾で眉毛を濡らすと正気づくという☆江戸文学俗信辞典 旅送りで品川遊廓から朝帰り?
12057 18 -29
   空に一聲 佛生るゝ
   灌仏会 「天上天下唯我独尊」
12058 18 -29
   手に当る 物を大工の 枕して
   大工が現場で昼寝
12059 18 -29
   吉次か下リて 湯気のたつ馬
   吉次→金売吉次 京都三條の両替商 金が重くて? 「吉次か荷物汗てゆく馬」☆ケイ二五下94
12060 18 -29
   逆井しんと 船に鷹匠
   逆井→さかさい 中川の逆井の渡し 亀井戸村と西小松川村を結ぶ 鷹匠→たかじょう 将軍家鷹狩りの御成り☆江戸文学地名辞典 船に鷹が乗り
12061 18 -29
   ゆり起す 風さへなくて 合歓の花
   ねむの花ということで
12062 18 -29
   手代の化の 皮をあつかる
   遊所通い途中の休み場所の中宿に遊び用の着物を預けてある
12063 18 -29
   投入の手を 怖そうに引
   投入→なげいれ 投入花の略 定型化した立花に対して風情を重んじ自由に生ける生け方 ☆国大 微妙なバランス
12064 18 -29
   枕から出る 智恵の湧きもの
   湧きもの→自然にわき出るもの☆国大 寝ながら思いつく
12065 18 -29
   風の直段を わける扇屋
   直段→ねだん 高い扇でも安い扇でも風は同じだが
12066 18 -29
   罔両は 水ものなから 惚やすき
   罔両→かげぼし? 影法師 水物→成否が相手次第で左右され一定しない物事☆江語辞 影だと美人に見えやすい
12067 18 -29
   一生の眼を 遣ふ松しま
   生涯一度の名所見物で
12068 18 -29
   暦を出して たけのこを買
   竹節虫を生ずるので半夏生を境に竹の子を食べない☆俳諧歳時記(享和三年)☆季刊古川柳121 「竹の子ハこよみ見て喰ふやさいなり」☆天八10・25 竹の子盗人も減るという
12069 18 -30
   挽臼藝の 足らぬ勘定
   挽臼藝→ひきうすげい 諸芸を心得ているが秀でた芸は一つもないたとえ☆江語辞 器用貧乏
12070 18 -30
   人は切らすに 譲る正宗
   天下泰平 村正だとそうはいかない
12071 18 -30
   禿に惚れて 戻る女房
   禿→かぶろ 玉菊燈籠の時に吉原を見物して まあ可愛いい
12072 18 -30
   奈良漬喰て 笑ふ舟頭
   舟頭→せんどう 本当の酒が呑みてえよ
12073 18 -30
   餅屋にしては 投ぬ棟あけ
   餅屋新築の棟上げの餅撒き
12074 18 -30
   あかるい思案 くらやみを出る
   良い思案が出て眼前が明るく
12075 18 -30
   按广の稽古 一間ふさかる
   按广→あんま 無料の療治を期待して
12076 18 -30
   灸の覺悟も 子心の勇
   子供にとって灸を据えさせるのは大変な勇気
12077 18 -30
   薬休て 祇園清水
   休て→やすんで 療養中の気晴らし?
12078 18 -30
   蟬折の 主は淋しく 蚊に喰れ
   蟬折→せみおれ はけ先を蟬形にした男髷☆雑俳語辞典 高倉宮秘蔵の笛の銘☆川柳辞彙 頼政を待って?
12079 18 -30
   命ひろひの 人に人立
   人立→ひとだち 人だかり☆ 大辞泉 溺れたのを助けられとか
12080 18 -30
   物好の 外に奇麗な 畳かへ
   外見を気にして?
12081 18 -30
   端折て戻る 旅の綻
   端折て→はしょって 綻→ほころび 家へ帰ってから繕う
12082 18 -30
   猪牙の戻りに 木母寺の僧
   猪牙→吉原通いの小型高速舟 木母寺は隅田川東岸 向島木母寺に戻る僧を乗せる
12083 18 -30
   三日めて 戻る袂に 馬の糞
   狐に化かされて
12084 18 -30
   子を抱て 居るも姿の 余情也
   娘時代の姿の名残
12085 18 -30
   昼顔と 共に化粧の 出来上り
   花魁の昼見世前の身支度 あるいは御妾の長い化粧
12086 18 -30
   書ハひとひろ ほとの伝言
   書ハ→かけば 一尋は五尺 言葉だと短くても文にすると案外長い
12087 18 -31
   欠の影の 切れさうな口
   欠→あくび ☆そのまんま
12088 18 -31
   庖丁て 松魚節かく 新世帯
   松魚節→かつおぶし 新世帯→あらせたい  借家に住むような新婚夫婦 道具が揃っていないので
12089 18 -31
   来る秋に 弓師つれたつ 八幡山
   八幡山→石清水八幡宮の鎮座する山 石清水八幡は謡曲弓八幡の関係もあって射芸の守護神? 何故秋? ???
12090 18 -31
   一家うこく 風のとほし火
   一家→ひとつや 一軒家 同じ家☆国大 灯火のゆらめきで家が揺らいでいるように思える
12091 18 -31
   孫を突出す 親のはら立
   そんなことでお前はこの子に親として恥ずかしくないのか
12092 18 -31
   軽い恨の 耳たふを引
   よく聞きなさいよ 憎いわよっ
12093 18 -31
   貸手形 肴にはさむ 九十の賀
   手形→証文☆江語辞 ???
12094 18 -31
   肘をまくらに 寐入る堪忍
   ☆そのまんま
12095 18 -31
   作り付たる 持髪の襟
   持髪→もちがみ 毎日結うのではなく何日も結ったままにする髪? 襟→首筋☆江語辞 首も髪型の一部?
12096 18 -31
   去状の 中にも紙虫の 子か殖て
   去状→さりじょう 離縁状 紙虫→しみ 月日が経って?
12097 18 -31
   姑に 辛子かけとハ 言にくし
   姑→しゅうとめ 初鰹の辛子味噌か 辛子は意地悪い者が練ると辛みが利くという☆川柳辞彙 ☆武十七・40
12098 18 -31
   棒ほとに 針医の手から 觸歩行
   手から→手柄 觸歩行→ふれありき 針小棒大に効果喧伝 ☆武十七・40
12099 18 -31
   出替りに 兼ての啌の 逃廻り
   出替り→奉公人の交替 啌→うそ 責任とってよ
12100 18 -31
   鷹匠の 気も紫に 経上りて
   経上りて→へあがりて 経上がる→立身する なりあがる☆国大 将軍鷹狩りで鶴を捕らえた鷹は朱房から紫房に変る 鶴を捕らえた鷹の房の色は紫 ☆川柳大辞典
12101 18 -31
   谷中の松魚 よく〳〵な空
   谷中まで鰹の鮮度が落ちないということは天気が悪い? ☆武十七・40
12102 18 -31
   口留に 知た噺しの 歯かゆくて
   誰かに喋りたい
12103 18 -31
   常よりは 師走淋しき 馬喰丁
   馬喰丁→田舎の訴訟人が宿泊 年末はさすがに暇 ☆武十七・40
12104 18 -31
   角力か母の 十分一喰ふ
   角力→すもう 相撲取になる様な子は大食 ☆武十七・40
12105 18 -32
   呪ほとに つかふ甘草
   呪→まじない 少ししか処方しない 甘草は渡来品で貴重 ☆俚言集覧 ☆武十七・40
12106 18 -32
   蟋蟀 たゝんて仕廻ふ 肴篭
   蟋蟀→きりぎりす 肴篭→魚篭 贈物用☆雑俳語辞典 ???
12107 18 -32
   工夫の胸に 掌の蓋
   胸に手を当てて考える
12108 18 -32
   遣手か欲の 佐渡を聞干
   金が掘れるというので詳しく聞く
12109 18 -32
   碁に見物の 移る入王
   入王→いりおう 将棋で王将が敵地の三段目に入り込むこと 攻めにくく勝負が長引く☆江語辞 夕涼みの縁台将棋 将棋見物が碁見物へ移動
12110 18 -32
   白魚の 眼も加賀骨の 〆ほと
   加賀骨→加賀骨扇?☆江戸商売図絵 〆→しまり ゆるみがないこと☆国大 扇の要みたい? 「加賀骨へ風の替ツた舞扇」☆新一八・20
12111 18 -32
   艸履取 猪牙に始て かしこまり
   艸履取→ぞうりとり 武家などで主人の草履を持ち供をする下僕 猪牙→吉原通いの小型高速舟 慣れないのでしゃがみ込む
12112 18 -32
   よく〳〵無藝 猪牙の念佛
   猪牙→吉原通いの小型高速舟 謡でも野暮だが
12113 18 -32
   寺のうしろに 物たらぬ町
   上野山下啓運寺の墓地の一部が町家となり仏店といった 私娼けころで有名 それ以外の寺の裏は淋しい? あるいは寺の前は門前町で賑やかだが裏側は淋しい?
12114 18 -32
   団子の盆を 丁寧にもる
   十五夜のお団子を崩さぬよう積む
12115 18 -32
   しれ兼る字に 筆をくわへる
   書こうとして字が思い出せぬ
12116 18 -32
   夜か更て 遣へは舌も きり〳〵す
   更て→ふけて 舌うち? 「合の手に舌打をするきり〳〵す」☆柳一一七・13
12117 18 -32
   翌やなと 秋とハ見へぬ 御祓川
   翌やなと→あすやなど など→何故に? 御祓川→みそぎがわ 夏越の祓いは六月晦日 翌日からは秋だがまだ暑い
12118 18 -32
   傾城の 冬瓜の花に 咲あたり
   冬瓜→とうが 冬瓜は結実しない徒花が多い 花が咲いても結実しないことが多いのにたまたま妊娠?
12119 18 -32
   側てあふなき 傾城の智恵
   花魁の策略は危なっかしい 側にいるととばっちりが
12120 18 -32
   少くて 若衆の盛り おもしろし
   若衆→わかしゅ 男色の弟分 若衆の盛りの時期は短い 陰間は十八才迄が限り☆川柳江戸歌舞伎
12121 18 -32
   四月もたけて 男作る田
   たける→その季節の終りに近づく☆国大 五月になれば早乙女が田植え
12122 18 -32
   座頭まし〳〵 癖を齅出す
   まじまじ→じっと真面目な顔をしているさま 知らん顔しているさま☆江語辞 齅出す→かぎだす その人の癖を把握
12123 18 -33
   旦那寺 馳走の上は 唯てなし
   ところで本堂の屋根を修理したいと思いましてな
12124 18 -33
   腹立の 女房は雉子の 返辞して
   けんもほろろ→雉子の鳴声 ととげとげしいさまのけんけんするをかけた語☆江語辞
12125 18 -33
   後の住持に ゑとる天人
   住持→住職☆国大 絵取る→彩色を施す 敷き写しする なぞる☆国大 彩る☆雑俳語辞典 本堂の天人の絵が剥げたのを修理? ???
12126 18 -33
   貧乏神の 逃る元日
   貧乏神→人を貧乏にさせるという神☆江戸文学俗信辞典 掛取は元日の早朝まで
12127 18 -33
   井戸はたも いはゝ噂・の 大社
   いはゝ→言わば 大社→おおやしろ 出雲の神 ☆雑俳語辞典 出雲の神々の如く女房連が井戸端に集まり噂話を
12128 18 -33
   亦分別の 立もとる臍
   「臍店替を為す」☆諺→おかしくてたまらぬ意☆江語辞 「臍が西国する」も同じ意☆雑俳語辞典 ひとしきり笑ってまた冷静に?
12129 18 -33
   鵺の啼 ころもたかへす 蕎麦の声
   夜蕎麦売りは毎夜?
12130 18 -33
   白き歯の 黒く成たる 日の鼠
   初めてお歯黒をつけた日 鼠も見ている気がする? 白と黒で鼠色?
12131 18 -33
   後添の 夢を梓の こねかへし
   後添→のちぞい 梓弓の口寄せで後妻の陰謀に異議が
12132 18 -33
   波打きわの やうな極月
   極月→十二月 支払いに後がない ☆武十七・40
12133 18 -33
   貰た水は 飲ぬ牢人
   牢人→ろうにん 扶持を頂かぬ限りは
12134 18 -33
   極楽に 少しはたよる 渡し守
   極楽→吉原の比喩☆江語辞 吉原行きの客の多寡で売上が ?
12135 18 -33
   権柄に 腮て問屋を 突廻し
   権柄→けんぺい 横柄☆江語辞 腮→あご 問屋→問屋場の略☆江語辞 宿駅で伝馬荷馬人夫などを集めて旅人や荷物の運送を取扱う事務所 ???
12136 18 -33
   躍子も 絹いとほとの とり廻し
   躍子→おどりこ 芸妓 取廻し→とりまわし 扱いぶり 振舞☆江語辞 ???
12137 18 -33
   買人の出来ぬ 鸚鵡聞過
   買人→かいて 聞過→利き過ぎか? 「売れぬあふむの口か利過」☆武八・36
12138 18 -33
   春の骨 榎に残る ⺇巾
   骨→中心 最も重要な所 ⺇巾→いかのぼり 凧 春に揚げた凧の骨がひっかかって残っている?
12139 18 -33
   名代寒く 夜のはゝきゝ
   名代→みょうだい 客の重なった花魁が新造を代理に出す はゝきゝ→帚木 ははきぎ 近づいても逢ってくれない人のたとえ 名代にも手は出せない決まり
12140 18 -33
   神体蛇と しらて申子
   申子→もうしご 神仏に祈って授かった子☆江語辞 蛇性の子が授かった?
12141 18 -34
   雪隠の戸を 咳ておさえる
   入ってます ☆武九・20
12142 18 -34
   禿の啌も 五分の魂
   啌→うそ 「一寸の虫にも五分魂」☆諺☆俳説ことわざ辞典 禿なりの生きる智恵
12143 18 -34
   挽臼の 休む隙なき うつの山
   東海道宇津谷峠名物十団子
12144 18 -34
   蛇を見て居る 妾の高ふり
   バレか?
12145 18 -34
   眼のふる中を かける袖笠
   袖笠→袖を笠のかわりに頭上にかざすこと☆江語辞 雨のかわりに視線が降る中を顔を隠して
12146 18 -34
   人に直段の 出来る三月
   直段→ねだん 三月五日は奉公人の出替り 給金の高い人も安い人も
12147 18 -34
   蛇の出る日に お妾も出る
   春の彼岸に 妾と蛇は川柳で関連多し?
12148 18 -34
   盲馬 座頭の誉る 乗こゝろ
   慎重に歩くので揺れない?
12149 18 -34
   噺しに寂を 付る炉開き
   寂→さび 一種枯れた趣☆江語辞 炉開→十月初めの亥の日 亥の子 ☆そのまんまか?
12150 18 -34
   春の日を 腕に覚る 渡し守
   櫓をこぐ腕にさす日が暖かい
12151 18 -34
   蓼喰ふ虫に かつかるゝ瞽女
   かつぐ→誘拐する☆江語辞
12152 18 -34
   よく〳〵見れハ 狐火に紋
   箱提灯みたい
12153 18 -34
   硝子に 金魚の命 すき通り
   硝子→ビードロ ガラス鉢の金魚
12154 18 -34
   芍薬も 十四五日は ふみこたへ
   牡丹は二十日草だが
12155 18 -34
   つましさを 暑さに捨る 四條河
   四条河原の夕涼みは六月七日十八日まで 吝嗇な京の人も青楼の涼み床で散財
12156 18 -34
   つめたい飯を 誤て喰ふ
   誤て→謝て あやまって 朝帰りで説教されながら
12157 18 -34
   忍ふ夜に 氷つく戸も かこち草
   かこち草→託種 恨んだり嘆いたりするもと☆国大 夜這で戸が凍りついて開かぬ
12158 18 -35
   温石さめて 人しらぬ邪广
   温石→おんじゃく 焼き石を布に包んだ懐炉 邪广→邪魔 冷めれば重いだけ
12159 18 -35
   何所そてたゝる 新造の袖
   何所そ→どこぞ 新造の袖留の仕廻いをさせられる客が居る筈
12160 18 -35
   はしめて喰ふて 寒い鰒汁
   鰒汁→ふぐじる 暖まる筈が怖くて
12161 18 -35
   口も利口に あはたほときく
   口を利く→幅を利かせる☆江語辞 口も立つ持参嫁?
12162 18 -35
   薮入の 気に入過て ほとゝきす
   ???
12163 18 -35
   妾二人 刃もののやうに 美しき
   お互いを切りそう
12164 18 -35
   帆かけ舟 引戻したる 遠眼鏡
   近づいて見える
12165 18 -35
   袂から 青首一羽 覗かせて
   青首→真鴨の雄☆江語辞 鴨の捕獲は許可が必要なのでヤミの品物? ☆武玉川を楽しむ
12166 18 -35
   たまさかに 書ハ硯も 皆の川
   たまさか→偶然 まれに☆国大 書ハ→かけば 皆の川→みなの川 男女関係の比喩☆雑俳語辞典 ここでは墨を皆使った意か? 「蔵の銀恋ぞつもりてみなの川」☆へらず・30ウ
12167 18 -35
   また投られし 夢のくたひれ
   投げる→肘鉄砲を食わす 振る☆江語辞 夢の中でまた振られて
12168 18 -35
   追着て から惚やうの うら表
   追着て→おいついて 後ろ姿に惚れたが 「後から惚て前から止に成り」☆雨落葉・7
12169 18 -35
   物申に 顔半分の 下女か出る
   物申→ものもう 男子が戸口で案内を請う語 ごめんください☆国大 化粧の途中で
12170 18 -35
   嬉しき中の 腹もよくたつ
   仲良し喧嘩
12171 18 -35
   思案きわめた 上の両かへ
   作戦を考えて両替し遊廓へ
12172 18 -35
   草庵も 菊の序に ため直し
   序→ついで ためる→矯正する☆国大 菊作りのついでに庵の修理
12173 18 -35
   欠出すやうに 蓮の白雨
   欠出す→かけだす 白雨→ゆうだち 蓮の葉の雨音がバラバラと
12174 18 -35
   順礼の脊に 宿からの蠅
   ☆そのまんまか
12175 18 -35
   鼻に氷柱の 下る終とし
   氷柱→つらら 終とし→おおとし 掛取が来るので家へ帰れぬ?
12176 18 -36
   男撰みの いつか葉さくら
   男撰み→おとこえらみ 葉桜→盛り過ぎの年増の意☆ 雑俳語辞典 男のえり好みをしているうちに
12177 18 -36
   汲ほとの 水のきたなき 春の川
   雪が解けて川が濁ることを雪濁りという
12178 18 -36
   銚子ハ物を いはぬ媒
   媒→なかだち 仲人 お酒が取り持つ仲
12179 18 -36
   我庵は 路銀と化して 鹿嶌立
   鹿嶌立→かしまだち 旅立ち ☆国大 家を売って旅立つ
12180 18 -36
   痛入らせて 傾城に葱
   痛入らせて→いたみいらせて 恐縮させて 遊廓で鍋物をあつらえた時匂いを気にして葱を食べないという花魁に食べさせる 「身揚をする傾城ハ葱も喰イ」☆東月宝11春5 「傾城に葱を喰せる一器量」☆ケイ四・71
12181 18 -36
   餅に一日 母の棟梁
   一日がかりの餅搗きの指揮
12182 18 -36
   さし鯖も ひとつ蓮に 包まれて
   刺鯖→七月十五日生御霊に両親に供す ひとつ蓮→ひとつはちす 両親ともに長生き
12183 18 -36
   白雨の やうに遣り手の 笑出し
   白雨→ゆうだち いきなり客にお追従笑い 三会目で壱分貰ったとか
12184 18 -36
   云訳の くらひ皃とて 火かとほり
   くらい→筋が通らない とほり→とぼり ともり 暗くなっても説教が続く? ☆武六・11
12185 18 -36
   瘧のやうな 恋をとりもつ
   瘧→おこり マラリア性の熱 熱病のような恋の仲立ち
12186 18 -36
   ちゝむ師走に 延る云訳
   延る→のびる 師走も残り少なく掛取への言訳はいよいよ長く
12187 18 -36
   米の守も 廻文の文字
   米の守→よねのまもり 米寿の祝いに搗き米と書いて人に贈る丸餅☆江語辞 米一字で回文みたいな
12188 18 -36
   きり〳〵す 吉原に実の 入時分
   実の入→みのいる 身が入る 熱中する☆国大 時分→じぶん 夜が更けて吉原も佳境に
12189 18 -36
   気つよきと 気の長いとか 九十九夜
   小町と若草少将百夜通い
12190 18 -36
   狐はしらぬ 朝皃かさく
   狐→女郎の意☆江語辞 仕事が終って寝ているので
12191 18 -36
   春雨に 一句解たる 座禅堂
   解たる→とけたる 座禅の公案が解けた?
12192 18 -36
   氷になれハ 水に明く穴
   ☆そのまんま
12193 18 -36
   異見きかねは 耳も臍役
   臍役→へそやく 耳の穴も臍の穴と同じ
12194 18 -37
   制札か 有て枯野の 取しまり
   制札→せいさつ 禁札 取締り→言行を慎むこと☆江語辞 ないとどこまでも枯野見に
12195 18 -37
   櫛になつても つなかるゝ象
   銭湯にぶら下げてある共用の象牙の櫛
12196 18 -37
   青い天窓の 低き相談
   天窓→あたま 事情があるにわか出家
12197 18 -37
   とふ〳〵腮を はつす新造
   腮→あご 新造は若いのですぐ笑う
12198 18 -37
   鷹に似た眼て 歩行鷹匠
   歩行→ありく 鷹匠→たかじょう ☆そのまんま
12199 18 -37
   袖笠は ときれ〳〵を しのふ山
   袖笠→袖を笠代わりにする 信夫山→歌枕 忍ぶ意か 夜這? 時々顔をかくして夜這
12200 18 -37
   雪打の やうに投込 神楽堂
   雪打→ゆきうち 雪合戦 おひねりを神楽神子に投げる
12201 18 -37
   新蕎麦の 客に閏か 二三人
   追加のお客が
12202 18 -37
   正五九月に 惚らるゝ藝
   正五九月→目黒不動の縁日がいつもの月より盛ん 品川へ流れる遊客関係?
12203 18 -37
   水門に 船の入日は しんの闇
   お大名のお屋敷の水門から月のない晦日にお忍びで吉原へ出入り
12204 18 -37
   小判をなめる 江戸のみとり子
   みとり子→三才位迄の子供☆ 国大 小判形の迷子札
12205 18 -37
   面白き 時うきときの 智恵はなし
   うきとき→憂き時 順調な時は思慮が足りなくなる
12206 18 -37
   後から子の 笑ふかんきん
   看経→かんきん 仏壇の勤行 年寄の後ろで並んでクスクス
12207 18 -37
   なま中に 片眼持たる 按广とり
   按摩取→按摩☆江語辞 かえって按摩業に身が入らない?
12208 18 -37
   寐そひれる 浄土法華の 軒並
   軒並→のきならび 隣りどうしである家☆国大 念仏と題目が競って夜更かし
12209 18 -37
   朔日の 六は寐かさぬ 鐘の聲
   朔日→ついたち 六→むつ 明け六ツは午前六時ころ 式日で早朝から登城?
12210 18 -37
   唐も鵜て居る 顔の筮竹
   鵜で居る→熟知している 筮竹→ぜいちく 易経は唐土の五経の一つ
12211 18 -37
   神佛に 手まへ勝手を 申上
   ☆そのまんま
12212 18 -38
   横へ眼の ひよつと流れて 皆の川
   みなの川→男女関係の比喩☆雑俳語辞典 横に美人が
12213 18 -38
   下からは 水の底見る 天の河
   ☆そのまんま
12214 18 -38
   光陰の矢の 桐を射落す
   光陰矢の如し☆諺 豊臣家の早い没落? 娘が生まれた時に植えた桐の木がもう嫁入りのために伐られる?
12215 18 -38
   妾を出して 蛇を気にする
   恨みで鱗形になって来ぬかと ☆武十三・32
12216 18 -38
   情のうらを かへす鉄槌
   裏を返す→同じ女郎を再度買う☆江語辞 鉄槌→かなづち 丑の刻参りか?
12217 18 -38
   口三弦て わたる船はし
   口三弦→くちざみせん 三味線の旋律を口で唄うこと☆江語辞 船橋→船を並べて繋ぎ上に板を渡して橋としたもの 危ない橋を気楽に渡る意か
12218 18 -38
   麦は刈迄 唄しらぬ草
   刈迄→かるまで 米なら田植え唄を知っているが
12219 18 -38
   いたつらに 懸て不気味な 狐罠
   懸て→かけて 掛かったら祟りが怖い
12220 18 -38
   地頭まて 握こふしの もめ上り
   地頭→じとう 地方代官☆雑俳語辞典 握こふし→にぎりこぶし 「百姓の強訴地頭の門破」☆元禄 8昼礫☆雑俳語辞典 一揆?
12221 18 -38
   二度のよし野ゝ 開く六月
   屋形船吉野丸? ???
12222 18 -38
   土弓場の 矢取の尻も かけんもの
   矢取→矢取女の略 矢拾いをつとめる女☆江語辞 加減物→程度のむつかしい物☆雑俳語辞典 目立っても気が散るとか?
12223 18 -38
   根問して あくみ果たる 梓弓
   根問→ねどい 根掘り葉掘り問いただすこと☆江語辞 あぐむ→もてあます☆江語辞 果たる→はてたる 梓弓→巫女の口寄せ
12224 18 -38
   鷺と烏の 晦日朔日
   鷺を烏→白を黒といいくるめる 非を理に強弁する☆俳説ことわざ辞典 晦日朔日→みそかついたち 掛取を言いくるめて新年?
12225 18 -38
   琴柱はつせは 音なしの瀧
   琴柱→ことじ 琴の琴柱をはずせば音なし 大原三千院近くの音無の滝を利かす?
12226 18 -38
   乞食の夢を 追立る雨
   追立る→おいたてる 道端で眠っていて
12227 18 -38
   不人相なる 後家の安全
   不人相→ぶにんそう 無愛想な顔つき☆江語辞 誘惑されにくい
12228 18 -38
   こん屋の瓶の すこき元日
   瓶→かめ 凄い→気味が悪い 紺屋が休みで深い淵のよう?
12229 18 -38
   馬鹿に三日は 壬三月
   壬→うるう ???
12230 18 -39
   枕を口に あてゝ白状
   ☆富峯積雪二十五ヽ 寝物語で? ???
12231 18 -39
   夏誉た場の 寒い品川
   品川の名所は夏は涼しいが
12232 18 -39
   元日に 咲は律義な 梅の花
   咲は→さくは 麹屋の室で早咲きさせた梅?
12233 18 -39
   祭の馬の 強飯を喰ふ
   強飯→こわめし 小豆飯 馬もお相伴
12234 18 -39
   石川嶌へ 大汐の娵
   石川島→佃島の北の島で旗本石川氏の所領☆江戸文学地名辞典 臨月の嫁が島に?
12235 18 -39
   丈は伸ても 廿五の夢
   人は二十五の暁まで背が伸びるという☆川柳辞彙 「男は二十五の暁まで丈がのびる」☆諺☆俳説ことわざ辞典 まだ子供っぽいところが?
12236 18 -39
   鼠の地獄 落から死
   地獄落→じごくおとし 鼠が餌に食いつくと重い板が落ちる仕掛けの鼠取り☆国大 死んでから落ちるのではなく
12237 18 -39
   錦木を ほふり捨〳〵 廿四五
   男をえり好みして婚期を逃す 「二十五ハ娘の年てなかりけり」 ☆武八・16
12238 18 -39
   冷飯喰ふて 戻る太刀持
   太刀持→太刀を持つ小姓 急いで持ち場に戻る?
12239 18 -39
   八朔の 雪誂る するか町
   誂る→あつらえる 吉原八朔の白無垢は越後屋で誂える 日本橋駿河町は全部越後屋
12240 18 -39
   よつひいた なりて案山子の 倒者
   よつひいた→よっぴいた 弓を十分にひきしぼった☆国大 倒者→たおれもの 往来などに倒れて死ぬ者☆江語辞 弓を引いたまま倒れている
12241 18 -39
   惣仕廻 見せは墨繪と 成にけり
   惣仕廻→妓楼一軒貸し切り 見せ→見世 墨絵→質朴な形☆雑俳語辞典 一つの座敷以外は真っ暗
12242 18 -39
   つまり〳〵は 寒い茶の花
   つまり→ゆきどまり 結局☆国大 茶の花→初冬咲く 寒い→みずぼらしい☆国大 ずっと後に地味に咲く? 「源氏の繪つまり〳〵ハ雲でにけ」☆拾五・7
12243 18 -39
   六月の 一夜淋しき 高燈篭
   高燈篭→たかどうろ 盂蘭盆に竿頭高く吊る燈籠 ☆川柳辞彙 盂蘭盆は旧暦七月 ???
12244 18 -39
   松明も 一本はしる 初枩魚
   初枩魚→はつがつお まだ暗いうちに河岸に揚がりすぐ売りに
12245 18 -39
   外法あたまを 誉る元服
   外法→げほう 福禄寿☆江語辞 剃ったばかりで長頭に見える あるいは外法頭は大頭の意味(☆江戸文学俗信辞典)なので大頭の頼朝様にあやかって?
12246 18 -40
   一文出して 諸願成就
   少ない賽銭で願いは沢山
12247 18 -40
   ふたつひとつの 魚を喰ふ雪
   ふたつひとつ→二つに一つ 一か八か☆江語辞 死ぬか生きるか河豚汁を喰う
12248 18 -40
   乳母に言葉の 多い旅立
   子供の世話をよろしく
12249 18 -40
   羽織着て撞 元日の鐘
   撞→つく 毎日撞く鐘だが改まって
12250 18 -40
   栗梅は 分別らしき 小紋也
   栗梅→くりうめ 濃い栗色で紫がかったもの☆国大 小紋→布帛の地に細かい模様を一面に染め出したもの☆国大 ☆そのまんまか
12251 18 -40
   やくに立たを きかぬふり袖
   袂が長くても利点はない ☆武初・12
12252 18 -40
   離別さへ怖き 妻の大力
   離別→さる 怖くて離縁できぬ
12253 18 -40
   つめつて見たき 琴爪の先
   痛そう
12254 18 -40
   きうに出兼る 人魂の哥
   人魂を詠んだ歌を言えといわれ?
12255 18 -40
   舟ては近き 女房のさと
   吉原の花魁を身請して?
12256 18 -40
   𠮟り人も なくて神馬の 直也
   𠮟り人→しかりて 神馬→じんめ 神社に奉納した馬☆国大 直→すなお 誰も叱らないが大人しい
12257 18 -40
   異見を聞に くらやみへ行
   ちょっとこっち来い?
12258 18 -40
   梓弓 佛も口を きゝ過て
   梓弓→巫女の口寄せ 故人が余計なことを というか巫女が
12259 18 -40
   朔日の 空をさつきに そやされて
   さつき→さつきつつじ 陰暦五月に咲く☆国大 そやす→おだてる 煽動する そそのかす☆江語辞 五月になってすぐ五月雨が?
12260 18 -40
   夫婦のやうな 不二とみつうみ
   琵琶湖は富士山と共に一夜でできたという
12261 18 -40
   箸帋の 夫婦別有る 薬喰
   箸帋→箸紙 薬喰→病人が獣肉を薬として喰う事☆川柳辞彙 女房は肉食を嫌う 「君臣有義 夫婦有別」☆孟子
12262 18 -40
   旅籠屋は 拝む所の 定まらす
   旅籠屋→はたごや 家にいれば拝む所が決まっているが
12263 18 -40
   春秋も 不二はたしかな 姿なり
   夏や冬でなくても季節に応じた立派な山容
12264 18 -41
   江戸へ出る ものとは見へぬ 秋の風
   景気が良くない?
12265 18 -41
   鉢の子へ もの云ぬ手の 美しき
   鉢の子→托鉢の器☆国大 云ぬ→いわぬ 喜捨する手の美しさ
12266 18 -41
   ゆかめて見せる 口も挨拶
   ☆群玉青藹三十ヽ 青藹→せいあい 声を出せない時口の形で挨拶 堅苦しい式の最中とか
12267 18 -41
   日本の意地を 見せる心中
   ☆そのまんまか
12268 18 -41
   頬杖は 淋しき時の 力瘤
   力瘤→熱心に力を尽くすこと ☆国大 気を盛り立てようと?
12269 18 -41
   後の世を 片手業なる 善の綱
   片手業→かたてわざ 片手間にする仕事☆国大 善の綱→御開帳の時参詣人に引かせる綱 片手間で後世を願う
12270 18 -41
   戸かひつみ 柱かひつみ きり〳〵す
   蓬生の宿に似合う?
12271 18 -41
   正直に 蚫を扣く 生身魂
   蚫→あわび 扣く→たたく 生身魂→いきみたま 七月十五日生存している両親の寿を祝う式 刺鯖と蓮飯を供する 「大根て蚫を扣く生身魂」☆ケイ六・37 大根で蚫を叩くと柔らかになる?
12272 18 -41
   盃に 這懸る子も 瓜の蔓
   這懸る→はいかかる 蔓→つる 「瓜の蔓に茄子はならぬ」☆諺 子は親に似る意 親が酒好きなら子も
12273 18 -41
   吉原中の 蕎麦を喰ふ𧝒
   ☆蓬萊五雲四十ヽ 𧝒→よぎ 夜着? 三蒲団の夜具敷初めで青楼一同に蕎麦をふるまう☆江戸吉原図聚
12274 18 -41
   春の田に 鉄漿ほとの 渋浮て
   鉄漿→おはぐろ 渋→水あか お歯黒壺の中味の様子に似る
12275 18 -41
   片足に 成て秋たつ きり〳〵す
   きりぎりすも秋になる頃には足がもげたりして
12276 18 -41
   俯向は 言訳よりも 美しき
   俯向は→うつむくは 叱られた娘 言訳せずただ俯いている方が
12277 18 -42
   あれほとの 中に季を持 星二ツ
   ☆巫山雲雨五十ヽ 巫山雲雨→ふざんのうんう 男女のこまやかな交会の意☆俳説ことわざ辞典 季→四季の風物? 持→もつ 星二ツ→上妓昼三を示す入山形に星二ツの略か ???
12278 18 -42
   七布費る 身揚の床
   七布→ななふ 「みちのくの十符の菅菰七符には君をねさせて」云々 費る→ついえる 身揚→みあがり 遊女も自前の休暇で寝る時は手足伸ばして


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