【底本】
岩波文庫 誹諧武玉川(一) 山澤英雄校訂 岩波書店 1984
【凡例】
通し番号 篇-丁
(本文)
(解説)
【注意】
字・は字が底本通りでないことを示す
☆はコメントや引用
718 2-2
あんはいのよい 朔日の空
☆冬嶺之篇 朔日→ついたち よい天気
719 2-2
陽炎や とかく何そに 倦た時
陽炎→かげろう 長閑な春 ふと外へ目をむけると
720 2-2
口洗ふ 馬のくハへる かきつはた
馬が流れに咲くかきつばたを
721 2-2
紙漉の たま〳〵よめて かこち艸
かこち艸→かこち種 恨みや嘆きを引き起こすもと 古紙から紙を漉く職人が 反故をたまたま読んで 浅草紙の紙漉と花魁の文?
722 2-2
雑司谷 篭から顔か 二ツ三ツ
雑司谷→ぞうしがや 鬼子母神 子育ての神様 鬼子母神へ子連れで参詣
723 2-2
親父か見てハ 済ぬからかさ
茶屋の屋号がついた傘
724 2-2
去られても さられても未タ 美しき
去られても→離婚されても 未タ→まだ 何度離縁されてもなお美しい 欠点も美貌も大きい
725 2-2
鰒の師匠の 駒下駄て来
鰒→ふぐ 駒下駄→日常のよそいきでない時使う 河豚喰いの先輩が気軽にお誘いに
726 2-2
四十から 老曾の森へ 飛んて行
四十から→四十雀 老曾の森→おいその森 安土町の時鳥の名所 四十からは老いが速い
727 2-2
さし上て見る 縫紋の出来
縫紋→刺繍で作った紋 立体的なので差し上げて出来栄えを確かめる
728 2-2
眼薬を さして大事に 起あかり
抽出薬なので閉眼しながら そっと起き上がる
729 2-2
病上り 工夫して居 遊ひ所
工夫↓あれこれ思いめぐらす 遊ひ所→あそびどこ 遊び人の病上り 遊び所にご無沙汰しているので心配 ☆柳二十五
730 2-2
年忘 何そ降のを 待て居
年忘→忘年会 雪でも降れば年忘れくずれで吉原へ
731 2-2
隅田の渡しの 夕暮を骨
隅田→すだ 骨→困難 労力が要る 隅田川の竹屋の渡しあたり? 吉原行きで忙しくなるので
732 2-2
物買て 背筋のゆかむ 小侍
小侍→こざむらい 武家に奉公する少年侍 重い荷物を片手に提げて
733 2-2
河竹の 本ンのこゝろハ 女也
河竹→川竹の流れの身 遊女のこと 手練手管もあるが心の底には優しい情がある
734 2-2
赤子ハ膳て 見えぬ正月
赤子も皆と居並んでいるが お膳の陰になって姿が見えない
735 2-3
井戸掘の 心覚えに 蛙啼
たしか蛙の啼いているとこが掘る場所だったな
736 2-3
壱分くわへて 内へ引く息
博徒が口中にとっておきの小粒銀や一分金を含みながら博打を打つ様?
737 2-3
九ツハ 禿の消える 鐘の聲
九ツ→午前零時 吉原の閉店時刻 引け四つともいう 禿は退散して眠る
738 2-3
朝皃を 粉にして歩行 男の子
朝皃→朝顔 歩行→ありく 男の子の悪戯
739 2-3
春寒く 廻り人のない 法輪寺
廻り人→まわりて 嵯峨の法輪寺 三月十三日の虚空蔵菩薩のご縁日に十三歳が参る十三詣は賑やかだが
740 2-3
子を持妾 観音を引
引→ひく 贔屓にする 子がなければ大黒様を
741 2-3
奥に娘の 光るかさり屋
かさり屋→簪等装飾品の職人 奥に看板娘
742 2-3
やもめからすに 張のない風
やもめがらす→やもめの戯称☆雑俳語辞典 張のない風→淋しい風? 男やもめに風が吹く
743 2-3
切賃ハ 金のなくなる 始なり
切賃→きりちん 小判を小額貨幣に両替する手数料 使う前にもう減った
744 2-3
足て鼠を おとす万歳
おとす→おどす? 鼠を足拍子で追い払う三河万歳
745 2-3
籔入の 田の近道を うち忘れ
久しぶりの故郷の田舎で道を忘れた
746 2-3
うまい事 言ふた師走に 助ケ舟
花魁の無心の暮の文が効果?
747 2-3
一葉つゝ きたなひれすに 散る柳
きたなひれる→きたなびれる 品性や行動が著しく劣る 柳の散るさま
748 2-3
似ぬ顔を 産んて我か身も うたかわれ
自分でも変に思う
749 2-3
掟か有て 同し黒髪
規則で同じ髪型に? 奥女中とか
750 2-3
隣の皃も 飽るくすり湯
皃→顔 連日同じ顔ぶれ
751 2-3
はね馬に 逃込皃の 久しふり
はね馬→飛び跳ねる馬 皃→顔 逃げ込んだ所に偶然知り合いがいて思わず挨拶
752 2-3
札配リ 遠くも来ぬる 角田川
札配リ→神社の守り札などを配り歩く人 角田川→すみだがわ 伊勢物語の文句取り 伊勢の御師か
753 2-4
日向て灸を すへる四阿
日向→ひなた 四阿→あずまや ☆そのまんま
754 2-4
あふない義理の 届く吉原
ヤバい事をして工面した金が花魁のもとに
755 2-4
冨士を見て 田植の髪を ゆり直し
田植え中の早乙女の動作
756 2-4
更るほと 気の若くなる とし忘
更る→ふける とし忘→忘年会 夜が更けるほど年をとるほど酔っばらって
757 2-4
辛子か利て 時過た声
時過た→さだすぎた 時機を失した☆国大 初鰹の辛子味噌 辛くて間があいて声が
758 2-4
物くさひ 瞽女に引るゝ 糸さくら
物くさひ→不精な 瞽女→ごぜ 糸さくら→しだれ桜 手で花を味わう
759 2-4
鹿聞の 淋しい足を うち違
鹿聞→しかきき 晩秋牡鹿が妻問う鳴声を鑑賞する うち違→うちちがえ 淋しい鹿聞で足を組み替える
760 2-4
犬死の 側て妾に 成リあふせ
側て→そばで 家来が三度諌めて切腹したが その甲斐もなく悪女が側室に
761 2-4
鳥屋の前て おりる遠乗
野山を見て鳥を買い求める気分に?
762 2-4
榊来て 鱠の山ハ 低く成
鱠→なます 刺身 店先に金屏風など立て祭見物 祭礼の行列の大榊が通るころにはもう随分呑んで食べて
763 2-4
投れハ切る 枚方の銭
淀川の三十石船に物売りに来るくらわんか舟は枚方名物 言動が粗暴で有名
764 2-4
東路ハ 仕廻仕事に 風の神
東路→あずまじ 東海道など 仕廻仕事→しまいしごと 風の神→風邪の疫病神 流行病は最後に江戸に入る?
765 2-4
袷着て 新地ハ寒い 赤蜻蛉
袷→あわせ 単衣と綿入れの間の時期に着る 新地→新開地 埋立地など 寒い新開地の光景
766 2-4
婆〻か死んて 中垣かとれ
中垣→隣との隔ての垣根 姑が死んで夫婦間の垣根が取れた
767 2-4
節句前 文も五尺の あやめ艸
遊女の紋日前の無心の長い文 あやめも五尺 文も五尺 「ほとときす啼くや五尺のあやめ草」☆芭蕉
768 2-4
あふひの上の 袖に護广の香
あふひの上→葵の上 護广→ごま 源氏物語 六条御息所の衣服だけではなく
769 2-4
身のうちに 帯かふへると 芥川
帯→岩田帯 妊婦の腹帯 芥川→伊勢物語の駆落ち 妊娠して駆落ち
770 2-4
入相に 向ふ姿の 膝をたて
入相→日没の鐘 なんとなく淋しい
771 2-5
田楽か みちかく成と 冬籠
冬籠→冬に家や巣にこもって過ごすこと 味噌田楽を身近く思うようになってくると冬が近い?
772 2-5
かんこ鳥 江戸の暑さハ しらぬ也
かんこ鳥→かっこう 涼しい山麓に住む
773 2-5
若菜に揃ふ 桶川の君
若菜→七草? 桶川→中山道の宿場 君→遊女?
774 2-5
角万字屋て 折れる稲妻
角万字屋→かどまんじや 吉原の妓楼の一つ 稲妻と卍の見立てか?
775 2-5
出代の 門四五間ハ かけて行
出代→でがわり 奉公人の交替 乳母の交替?去りがたく涙を見せまいと
776 2-5
しかられた日の 分て夕くれ
丁稚奉公のつらさ
777 2-5
宵闇の夜の しまる行燈
しまる→ひきしまる ☆そんな感じ
778 2-5
尖に毛抜も ありかたき物
尖→とげ 刺は毛抜き 釘は釘抜き
779 2-5
うそかかうして 上下て来る
上下→かみしも 仕掛け十分で大嘘をつく
780 2-5
蕣に あつひきせるの 打違
蕣→あさがお 朝顔を見に来た人たちが煙管の火を付け合う?
781 2-5
おとりを押て はいる蓬生
おとり→囮? 蓬生→よもぎう 草むら お前先に行けよ
782 2-5
たいこの年の 星をさゝれる
星をさす→図星 旦那おみごとっ
783 2-5
聞捨に してハおかれぬ 梓弓
梓弓→梓で作った弓 巫女が神霊を呼ぶのに使う 口寄せで聞き捨てならぬことを
784 2-5
おとこのほしい 勢田の真中
左右の袖に瀬田の唐橋を染めた振袖を着た娘?
785 2-5
蜘の巣きりて 戻る売居
売居→うりすえ 造作付きで売られる家屋 見せて貰いましたがこりゃあちょっと
786 2-5
ふすまを覗く 太郎国経
太郎国経→伊勢物語 芥川 業平が連れて逃げた二条の后をみつけて取り返す
787 2-5
我たつ杣の しらぬ年号
我たつ杣→自分の住む山 あるいは比叡山 きこり暮らしに年号は無縁 あるいは比叡山の僧に年号は無縁?
788 2-5
曳たひ袖の みへる罔両
曳たひ→ひきたい 罔両→かげぼし 恋しく思う人の影法師
789 2-6
行燈に また気のつかぬ 暇乞
暗くなっても話が尽きぬ
790 2-6
浪人の羽の ぬける元日
大晦日の支払いで尾羽うち枯らし
791 2-6
妾の智恵も 河竹の風
河竹の風→枕草子 あはれなるもの あるいは歌舞伎風?
792 2-6
虫の命の 燃るあさちふ
あさちふ→あさぢふ 浅茅生 荒れた草地 蛍の生涯 節気芒種の腐草為蛍をきかす?
793 2-6
他人の足に 負る鳥辺野
鳥辺野→墓地 他人でなければつい足が鈍る
794 2-6
雲の行衛の 住吉て散ル
行衛→ゆくえ 住吉→佃島の住吉神社? 住吉の松林の松風で雲が散る
795 2-6
嵯峨より深き あみ笠の奥
嵯峨→京都の山奥 放浪の編笠にも深い事情が
796 2-6
雉子鳴て 震か〳〵と 撥を留
震か→ゆるか 揺れるか 地震の時に雉子が鳴くという 三味線をひいていて
797 2-6
鏡にせひて かゝる庭鳥
せいてかかる→急いで掛かる? 鶏が鏡に映った自分に飛びかかる
798 2-6
けふ九重を 裸にて立
けふ九重→「いにしへの奈良の都の八重ざくら今日九重に匂ひぬるかな」☆伊勢大輔 九重→宮中 ここでは京? 上方見物で文無しになって江戸へ出立
799 2-6
入墨を 消す気に成れハ 夜か明
誰々命の入れ墨を消す決心に一晩悩んで
800 2-6
紅裏の ないも笑止な 土用干
紅裏→もみうら 紅色に染めた絹製の裏地 財産に高い着物がない あるいは女っ気なし? みな質に置いた?
801 2-6
心ある 酒とハしらぬ 従弟間
心ある→下心のある 従弟間→いとこなか 従弟妹同士の恋?
802 2-6
三人傘に うたかひハなし
雨をよけているだけ 色っぼいことではない
803 2-6
様と云ふ 名て来る時ハ 忍ふ艸
忍ぶ艸→ここは偲ぶより忍ぶの意味か 様のついた名でくる時はお忍び?
804 2-6
神風に 吹消れたる もみちの火
林間暖酒焚紅葉 ☆白楽天 能の白楽天で住吉明神が神風で白楽天を追い返す
805 2-6
吾妻くたりの 青いからかさ
青傘は京の公家常用のものという 元文(享保の次)の頃青紙日傘が流行したことがある 業平のように京から下った?
806 2-6
不沙汰の顔に 合面かなし
合面か→あうつらが 不義理をしていてあわす顔がない
807 2-7
つまみ洗ひの 手を振て置
指先だけがぬれているので
808 2-7
あり甲斐なしの 笙吹の鼻
鼻が笙でいつも隠れる
809 2-7
陰間の声の 二筋にたつ
男客相手の場合と女客相手の場合があった
810 2-7
四十二の子の 親か沢山
四十二の子は親を喰うというので四十一で仮親に預ける
811 2-7
ほとゝきす 皆出来合の 葉也けり
出来合↓にわか作り☆江語辞 時鳥が出る頃は青葉ばかり
812 2-7
三味線の 跡を因果と 引かふり
踊子と深い仲になってもめ事に
813 2-7
朝みれハ 御油赤坂の 家斗
御油→ごゆ 斗→ばかり 御油宿も赤坂宿も遊女屋多し 明けてみれば昨夜とは別世界ただの家ばかり
814 2-7
宵のうらみの 二段目か出る
恨み言の第二幕
815 2-7
女房も 只取るやうに 通り者
只取る→ただもうかる 通り者→博徒
816 2-7
夏野に家の つまむほと出
夏草が茂って屋根の先だけが見える
817 2-7
降ものゝ おのれを諷ふ 板庇
諷ふ→うたう 板庇→いたびさし 雨やら霰やら
818 2-7
酔狂の 翌ハ浮世に 突あたり
翌→あす 翌日 現実に戻る
819 2-7
明かたの戸を たゝく高声
酔っばらいが大声で朝帰り
820 2-7
情しらすの 笑ひ大きし
情しらす→不粋なこと 不粋な奴の大笑い?
821 2-7
看病に 薬のやうな 顔一つ
女房は薬か毒か
822 2-7
座頭はなせは 文のうへ行
客商売で話題が豊富 書いたものより面白い
823 2-7
鰒買て 余所の流しへ 持て行
鰒→ふぐ 家人に咎められないように 他人の家で料理する
824 2-7
夫婦喧嘩の 外て小便
長屋の路地で聞耳をたてる
825 2-8
たおれ序而に 住よしの市
たおれ→破産?損失? 序而に→ついでに 住よしの市→大坂住吉大社の宝の市 御田植神事で縁のある乳守遊郭で遊んで住吉へ
826 2-8
松風の 裾わけをする 萩の上
裾わけ→おすそわけ 松風が萩をそっと揺らす
827 2-8
帆かけ舟 先か直て たはいなし
直て→すなおで 舳先が正しければ操船も容易
828 2-8
隠居の小判 うこくあつかい
あつかい→争いの間に入ってとりなすこと 奥の手の隠居の金で問題解決
829 2-8
子の口吸ふて 音頭分れる
音頭→盆踊の音頭取り? 分れる→別れていく? ???
830 2-8
立なから見て 帰る金元
金元→かねもと 出資者 出資した芝居の入りを見に
831 2-8
紙燭の反りを 土器て摺
紙燭→紙縒製の照明具 土器→かわらけ 紙燭に火を付けるついでに燈明皿で反りを直す
832 2-8
海馬もらへハ 背中たゝかれ
海馬→タツノオトシゴ 安産のお守り? 精力剤?
833 2-8
生酔の 次第〳〵に 丸く寐
生酔→酔っばらい ☆そのまんま
834 2-8
瑞軒を見た 杣の長命
瑞軒→河村瑞軒 材木商 明暦の大火の時木曽の木材を買い占めた 杣→そま きこり
835 2-8
利そうに 思ふハ銀の くすり鍋
くすり鍋→薬を煎じるのに用いる鍋 医者の銀の匙のようで?
836 2-8
鯲の中へ はかるうの花
鯲→どじょう 升で買う はかる→量る うの花→卯の花?おから?
837 2-8
めくろの犬も 冬かれに成
冬枯れ→冬に客が減って不景気になること 目黒不動境内には使わしめの犬が養われていた☆川柳江戸名物 犬に食べさせる御福の餅あり☆川柳江戸砂子 冬は客が減り犬も不景気
838 2-8
検使にこ〳〵 下帯に金
検使→変死者などの検分役人 変死者の下帯に金が
839 2-8
旦那へさして 逃るさかつき
主人にお酌したもののきまりが悪く返杯を受けずに逃げる奉公人の女?
840 2-8
向ふ木挽の 揃ふ鼻息
木挽→こびき 木材を鋸でひいて用材を作る人 材木の前後で二人が呼吸をあわせて大鋸を引く
841 2-8
浅艸も 上野もなりて 郭公
なりて→鳴りて 郭公→ほととぎす 浅草と上野の鐘と時鳥の聲
842 2-8
三疋て はねれハ馬も 詠あり
詠あり→ながめあり 美しい 暴れ馬も揃うと
843 2-9
早乙女の 笠ハ裏から 日かあたり
田植えで腰を曲げた早乙女の笠
844 2-9
醫者に二度まて 積らるゝ皃
積らるゝ→見積もられる 余命を見積もられる 皃→顔 女房の顔? 女房が美人で房事過多で
845 2-9
二ツ重なる ささやき・の傘
ささやき・→ささやき 傘を重ねてそっと耳打ち
846 2-9
後家のやうなる 牛若の影
稚児髷と後家のおばこ結が似ている?
847 2-9
くやしい声て 横皃へ向
皃→顔 横を向いている男に繰り言
848 2-9
下戸ふたり 起して廻る 司召
司召→つかさめし 除目 上戸は酔いつぶれているので
849 2-9
通りの傘へ あたる豆蒔
二階で豆まき 鬼は外
850 2-9
物思ふ 相手かなさに 幮を釣
幮→かや 独り早く寝る
851 2-9
うしろ姿ハ しれぬ関守
いつも正面向で頑張っているので
852 2-9
狩衣ハ 茶を呑たひに 腕まくり
狩衣→公家の略服 武家の礼服 袖が広くくくり緒がついている
853 2-9
肩へかけると 活る手ぬくい
活る→いきる 江戸っ子が豆絞りの手ぬぐいを
854 2-9
むた書をして 梶の葉をかむ
七夕に梶の葉に歌などを書いて供える 恋の成就もこっそり書いてみる
855 2-9
雨たれ越に かるひ相談
露地を挟んだ長屋のお向かい同士で
856 2-9
朝日のあたる 盗まれた窓
盗人の入った窓から朝日がさす
857 2-9
掌を 死所にする きり〳〵す
死所→しにどこ 飼っていた虫が弱って そっと手に取ってみる
858 2-9
鳥辺山 送り出して 耳か鳴
鳥辺山→京の火葬場 墓地 葬列の鐃鉢とかがうるさくて?
859 2-9
工夫して きのふへ返る 紺屋形
紺屋形→こんやかた 紺屋の染め模様の見本帳 選びあぐねて結局もとに 流行もまた繰り返す?
860 2-9
美しい 顔て咄か 長く成
化粧した久々の来訪で
861 2-10
誘ひに来ると 見えて割膝
割膝→わりひざ 膝頭を離してすわる男子の礼儀正しい座り方 着替えて心待ちの外出
862 2-10
へん〳〵と 扣く御寺の 大工小屋
べんべんと→だらだらと時間がかかるさま 扣く→たたく なかなか進捗しない寺普請
863 2-10
母の自慢ハ 錦木の数
錦木→男が女の家の門に立てる求愛の標で取り込むと受諾 娘への求婚者の数を自慢
864 2-10
なからへて 新地にすたる 真桑瓜
新地→新開地 瓜畑が新開地に? 納涼に売る瓜が売れ残って新地に捨てられた?
865 2-10
向ふへ鑓の しつむ長橋
鑓→やり 大名行列が反橋を渡る
866 2-10
いつ逃て 樒に光る 飼蛍
樒→しきみ 枝葉を仏前に供える木 樒に蛍という淋しい光景
867 2-10
弟に 余ツた乳の 水くさき
弟が飲み足りたあとの乳を兄が飲むが別に美味くない
868 2-10
鐘の音斗 黒き雨乞
斗→ばかり 黒雲はわかない
869 2-10
銀のちろりの 通ふ紅閨
ちろり→お酒の燗をする道具 紅閨→こうけい 婦人の寝室 通う千鳥をきかす
870 2-10
京町の やりての声て 猫の真似
「京町の猫通ひけり揚屋町」 ☆宝井其角 の文句取り
871 2-10
土埃 うしろへ請て 梅の花
土埃→つちぼこり 田舎道を探梅しで
872 2-10
長い祈に 割れる勝山
勝山→勝山髷 婦人の髪型の一つ 何度も伏し拝んで髪が乱れる
873 2-10
両陳を すくひ仕廻て 勧化帳
両陳→両陣 勧化帳→かんげちょう 勧進帳 義経主従と富樫?
874 2-10
取楫ハ 畳のうへて 成仕事
取楫→とりかじ 亭主を操舵?
875 2-10
巻のも手間の とれる国状
巻→まく 国状→くにじょう 故郷からの文 長い文を巻き取りながら読むのももどかしく
876 2-10
泊客 主の口か 辛く也
長逗留で嫌がられる?
877 2-10
金に勝のハ 只ならぬ皃
皃→顔 なんですか この金は
878 2-10
売家を 隣に持て 淋しかり
なにか不安
879 2-11
雪やくそくハ 雨性の伊達
雨性→雨男 私が参る以上はきっと初雪が降って吉原でもてます
880 2-11
直のなつた 跡の祭に はつせ山
直→ね 値のなった→売約済 初瀬山→歌枕 長谷寺の山 長谷寺は恋の祈願の寺 後の祭→手遅れ☆俳説ことわざ辞典 恋の祈りも手遅れ
881 2-11
鶯ハ 谷へ戻して かたみ分
形見分けの時故人の愛した鶯は供養で逃がしてやって
882 2-11
夜ハ老そめる 九つの鐘
老→ふけ 老けと更け 九つ→午前零時
883 2-11
人のくすりに 燈す峰の火
くすり→精神的にためになる あんなところにも住めば住めるのだなあと
884 2-11
書置に 引くらへたり あつさ弓
書置→遺言状 あつさ弓→巫女の口寄せ
885 2-11
蚊屋一重 向ふに人を あやまらせ
蚊帳の中から人を説教 親父と道楽息子? 堅い後家と夜這男?
886 2-11
言訳の くらい男へ 飛ふ蛍
くらい→筋がとおらない 恋の闇に蛍
887 2-11
傾城と 見たハひか目か 竹の奥
夜目遠目笠の内
888 2-11
おとり子下地 しほり出す声
下地→見習い 芸事の寒聲修行?
889 2-11
腹たちの 手元へ見える 鳴子引
鳴子引→なるこひき 虫の居所が悪く乱暴に鳴らす 村出合でも見つけた?
890 2-11
水を女の 怖そうに掃く
跳ねるのを怖がる?
891 2-11
我物に 師走ハ戻る 借し座鋪
借し座鋪→貸座敷かしざしき 逢引きや博打のために席料を取って貸す座敷 年末は借り手なし
892 2-11
精進落に 大判を見る
精進落→しょうじんおち 四十九日を過ぎて遺産の大判を取り出して
893 2-11
さし合を 抜けハ聞へぬ 願書
さし合→あたりさわり 聞へぬ→意味がわからぬ 願書→ねがいがき 許可を得るために役所に出す書類
894 2-11
ゆく〳〵ハ 蛍にならん 艸の菴
菴→いお 腐草為蛍→二十四節気をさらに三つに分けた七十二候の一つで 二十四節気の忙種の次候 腐った草が蒸れ蛍になる
895 2-11
痞の毒を 知りてかむふみ
痞→つかえ 病気や精神的悩みで胸が苦しいこと かむふみ→噛む文
896 2-11
鏡から 崩れそめたる おさな皃
皃→顔 化粧するようになって生来の良さが
897 2-12
畳んた物の 見へぬ独身
独身→ひとりみ 脱げば脱ぎっばなし
898 2-12
人形に 惚れて禿ハ しハられる
吉原の禿が人形にかまけて仕事を怠り折檻される
899 2-12
後藤か馬の 帰る夕陽
後藤又兵衛は午前中に戦死 あるいは金座の金後藤?
900 2-12
雨あられ 雪と替りて 日かつふれ
結局外出できず
901 2-12
楼船と聞て そつとする冬
楼船→やかた 屋形船 そつと→ぞっと 酔狂な冬の舟遊びにお呼びがかかり
902 2-12
針仕事 手かるく成て 夏近し
袷から単衣に
903 2-12
勘定つくの 馬てよめ入
持参金嫁
904 2-12
塩気の抜る 蜑のおとろへ
蜑→あま 海に入らなくなるので
905 2-12
ふつた所か けいせいの禅
禅→仏道修行 ふられて悟る?
906 2-12
我身ひとりの やうな神詑
神詑→神託 他にも似たような神託を授かった人もあろうに
907 2-12
ういた浪とや むかし人乗
「浮いた波とよ山谷の小船こがれこがれて通わんせ」☆文政三年清元玉兎 猪牙舟のことか 昔人→業平?☆HP「武玉川を歩む」
908 2-12
山科や 集るうちに よいおとこ
忠臣蔵 山科閑居なら力弥か? 勘平は来ていないのでは?
909 2-12
奢かへして おこる逗留
奢→おごり おごりおごられで長逗留
910 2-12
夕顔咲て 井戸掘の帯
夕方井戸掘りが仕事を終えて着物を着る
911 2-12
飯入て 少賤しき あま小舟
入て→いれて あま小舟→あまおぶね 海人の乗る小舟 枕詞 所帯じみて興醒め
912 2-12
初老の また竪縞を はなれ兼
初老→はつおい 四十才 竪縞→手代の着物 まだ番頭になれない
913 2-12
夜に飽 初ハ奥の 紙きぬた
飽→あく 初ハ→はじめは 奥→奥州 紙きぬた→こうぞを槌で打つ
914 2-12
凩も 生れのまゝの 材木屋
凩→こがらし 枝も皮も剥がれて寒かろう
915 2-13
五人に問へハ 五色な墓
墓の好みも十人十色
916 2-13
哀れさハ 千両箱に 鰹ふし
零落して千両箱だけはあるが 入れるものが
917 2-13
六はらに しくしりそうな 顔斗
六はら→六波羅 平家一門の邸宅があった
918 2-13
帆を揚てから 咄なくなる
沖に出てしまうと船中はなんとなく静かに
919 2-13
ちきれ〳〵に 石燈篭つく
石燈籠が分解された状態で運搬される
920 2-13
草履打 片〳〵足を 洗ひけり
草履打→歌舞伎で草履で相手を打つ仕草 片〳〵→片方 後で片足洗ったろう
921 2-13
汐曇 はれて主なき 桶二ツ
汐曇→しおぐもり 潮がさして海上が曇る 松風村雨の汐汲?
922 2-13
青物や 玉子の色の 目にかハき
精進で青物ばかり食べていると玉子が欲しくなる?
923 2-13
こよりと聞て 起る狸寐
くすぐられてはたまらん
924 2-13
伐られぬ卯木 九日にさく
卯木→うつぎ 四月八日卯の花を仏前に挿す
925 2-13
唐扇の 自慢をしたる 通り雨
唐扇→とうせん 紙が両面に貼ってあったりで雨に強かったのか?
926 2-13
橋守の 煙の高き わかれ霜
わかれ霜→八十八夜のわかれ霜 霜の降る最後の時期
927 2-13
かる焼の 忍ひ心ハ しめり合
かる焼→煎餅 忍ぶ思いで湿気る?
928 2-13
帆におそハつて 傘ハ売行
風向きで天気を予想
929 2-13
烏帽子斗て 生て居る顔
かぶると活き活き
930 2-13
惚られた 事を思へハ 気か抜て
昔の恋の栄華を思いおこせば
931 2-13
地紙うり 笠着る時ハ 物詣
地紙うり→扇の地紙売 地紙形の箱を肩に担ぐ 商売の時は笠はかぶらぬ
932 2-13
さま〳〵に世ハ かはる呑喰
食は世につれ
933 2-14
咄しにも 千人切ハ 多過て
話し半分でも信用できぬ
934 2-14
病人の 手へしつとりと 秋袷
秋袷→あきあわせ 秋になって着る袷 単衣の時期も病んで過ぎた
935 2-14
大江の岸を 浮て行下駄
大江の岸→難波の歌枕 三十石船の船着場?
936 2-14
新地の間夫に 蚊柱かたつ
新地→新開地 間夫→まぶ 情夫や間男 客のある間外で待っていて
937 2-14
元服に 又改て 言かわし
親の決めた許嫁だったが 自分たちもまんざらでなく
938 2-14
おつほねの名に 近い子卸
子卸→こおろし 中条流 看板には上品な名前が
939 2-14
ゆるひ黒木に 笋をさす
黒木→蒸焼きにした薪 小原女が頭に載せ売り歩く 笋→たけのこ 売れて黒木がゆるんだので
940 2-14
栄花な腹を 医者ハ怖かり
不摂生の太鼓腹? 御妾の妊娠?
941 2-14
呼声を 母のにくかる 李売
李売→すももうり 子供が下痢したので
942 2-14
うそのない 旭を戻る 小枩原
小枩原→こまつばら ???
943 2-14
死ハ煙て はいるよしハら
死ハ→しねば 近くの焼き場の煙が吉原に 死んだ後でも吉原通い
944 2-14
誰植て 人に淋しき 峯の枩
枩→まつ 峯の松を眺める淋しさ
945 2-14
けいせいの 親に逢日ハ 雪か降
傾城の親が炭売り?
946 2-14
糸遊の たんこに早き うつの山
糸遊→いとゆう 陽炎? 空飛ぶ蜘蛛の糸? たんこ→だんご 宇津谷名物の十団子 糸を通してある
947 2-14
寐姿か よくて哀な すまふ取
寝相が悪い方が強そう あるいは寝た姿が良いとはゲンが悪い
948 2-14
放し鳥 とまれと思ふ 木を過て
放し鳥→追善に放す鳥 挨拶くらいしていけよ
949 2-14
事納 着かへる程の 日てハなし
事納→ことおさめ 二月八日 笊を竹の先につけて屋上にたてる魔除けの行事 ☆武十八・8
950 2-14
朝皃に 追立らるゝ さしむかい
朝皃→朝顔 さしむかい→人が向かい合っていること 男女の朝の別れ
951 2-15
背中へしれる 猫の腹立
フー 背と腹
952 2-15
雪の日ハ ころけた侭の 樒桶
樒桶→しきみおけ 墓地
953 2-15
闇のときれる うとん屋の前
昔は夜は真の闇だった
954 2-15
須广寺に 夜着きて寐そ 怖き
須广寺→すまでら 寐そ→ねるぞ 怖き→おそろしき 敦盛の首塚もある
955 2-15
角力とりめと 撫る子の尻
☆そのまんま
956 2-15
母も哀と 思ふほと惚
恋煩い
957 2-15
夜かくらや つめつた前へ 廻りけり
つめつた→つねった 前の人をつねってそのすきに人垣の前へ?
958 2-15
洛外へ 出して目にたつ 拂物
お公家さんの売り払い物
959 2-15
若党を たいなしにする 初蛍
若党→若侍 泥まみれ
960 2-15
死た和尚を 誉るとうふ屋
前の和尚は精進して豆腐をよく買ってくれたのに 今の和尚は生臭で
961 2-15
机てはたく 梶の葉の虫
梶の葉→七夕に詩歌を書く
962 2-15
直切ころして 歩行巡礼
直切→ねぎり 歩行→ありく 巡礼は貧乏
963 2-15
葉桜に 成つて気の減る 銭の音
気の減る→心細くなる 花見で散財した後
964 2-15
指櫛か 纚に懸つて 人たかり
指櫛→さしぐし 髪飾用挿櫛 纚→さで すくい網 女の土左衛門
965 2-15
馳走に竿を 添る柹の木
柹→柿 ご自由にお取りください
966 2-15
夜着の日陰に 臼の目を切
臼の目を切→ひき臼の目を刻むこと 夜着を干してある日陰で?
967 2-15
いらたかを 投れハしハし 湯気か立
いらたか→山伏の念珠 押しもみすり念珠をするので湯気が立つ
968 2-15
段〻に 音のなくなる とろゝ汁
すり鉢で摺るさま
969 2-16
みとり子に 膳をとられて 茶漬くふ
みとり子→三才位以下の子 幼児が膳の上を悪戯するのでお椀を持ち上げて
970 2-16
竹植る日を 主の聞捨
竹植る日→陰暦五月十三日 竹を植えると必ず根付く日という そんなもの植えたらあとで屋敷が痛むわ
971 2-16
脇の下から 寒い羽この子
羽この子→はごのこ 寒い日袂から羽子の子を出す
972 2-16
送り火ハ 他人の手にて 燃上リ
送り火→出棺の時門でたく火 肉親はそれどころでない
973 2-16
初奉公の こりるくらやみ
昔の夜は暗かった
974 2-16
よいおとこ にも二通り 大つゝみ
俳優とミュージシャン?
975 2-16
買人の 手てつまゝせる 薺草
薺草→なずなぐさ 安いので客に取らせる
976 2-16
凩に 買物使 あわれなり
買物使→かいものつかい 買物をする奉公人
977 2-16
恋しい時ハ 猫を抱上
乙女心
978 2-16
つむし風 格子の前て 二ツ巻
☆そんまんまか
979 2-16
疱瘡に うとんの桶も 出して見せ
疱瘡神は赤色を好むというので赤いうどん桶まで出す
980 2-16
郷侍の 名を付る神
郷侍→ごうざむらい 地侍 村の神社に有力者の名を
981 2-16
あみ笠の 鼻につかへる むかふ風
編笠が吹かれて鼻にひっつく
982 2-16
座頭か出ると こほす居風呂
居風呂→すえふろ 仕舞風呂に入った
983 2-16
娘から 手代の間ハ 紙一重
間→あい 主従を越えて深い仲
984 2-16
よい日和 子守をなふる 松の影
遊ぶ子守に松の影がさす
985 2-16
従弟夫婦の 両方に伯父
夫にも妻にも伯父にあたる
986 2-16
町のはつれて 仕廻錫杖
仕廻→しまう もう見る人もないので町の外で山伏が錫杖をしまう
987 2-17
吉次か供の したい事する
☆望楼之篇 吉次→金売吉次 まあお金はあったろうから あるいは牛若丸が?
988 2-17
狼の 命拾ひハ 寒のうち
冬は狩人に出会いにくい?
989 2-17
今かよいとハ 言ぬ後添
気遣い? 未練?
990 2-17
燃る間を 柄杓て扣く 八重葎
扣く→たたく 八重葎→ やえむぐら 雑草が生い茂った草庵 草庵の廻りの枯れ草を焼こうとして延焼しそうに
991 2-17
給仕の顔の 遠い住吉
住吉→大坂の住吉大社か佃島の住吉社か? ???
992 2-17
辛崎ハ 狐火まても 朧にて
「辛崎の松は花より朧にて」 ☆芭蕉 を踏む
993 2-17
人の物着て 夜の岩倉
京都北山岩倉神社の祭 新婦の尻を木の枝で打つ みつからないよう変装
994 2-17
そむけて糸を 結ふ綻ひ
着たまま繕ってあげた
995 2-17
酒買時に 灯のうつる川
夕刻の川端の風景?
996 2-17
阿部川て 人と思ハぬ ふとり肉
ふとり肉→ふとりじし 太った人が川越人足に荷物あつかいされる
997 2-17
高野聖も 金の明るみ
高野聖→勧進僧 乞食僧 ???
998 2-17
遊ひ尽した 人を後見
放蕩息子の後見人に若い頃放蕩し尽くした人をあてる 餅は餅屋
999 2-17
伽藍の雨戸 昼過にくり
くり→繰り明ける? 繰る→手管にかける? 寺の雨戸を昼過ぎに明けたというのだが?
1000 2-17
朝皃くらく 馬の髪結ふ
朝皃→朝顔 朝まだ暗いうちから馬の世話をする
1001 2-17
噛む爪も 極て居る 物思ひ
極て→きわまって 同じ決まった爪を噛む癖
1002 2-17
庵の主 聞へる方の 耳を出し
☆そのまんま
1003 2-17
我家へ漏を あてゝ雨乞
先に雨乞が効いた時の対策を
1004 2-18
寺の余情に 匂ハせる蓮
余情→余勢 よせい 余裕 寺の伊達で蓮を匂わせる
1005 2-18
烏帽子の跡の 伏見まて見え
京都宝泉院の血天井 伏見城で自害した人達の手や烏帽子の跡が残るという
1006 2-18
門口へ 野分の届く 住居也
野分→のわき 台風 住居→すまい 野中の一軒家で風がもろに
1007 2-18
初雪の つまみ心も なくてよし
つまんでみることもできないくらい少ないのがまたよし
1008 2-18
撫子に 火の出る鍬の 夕河原
河原撫子を採る時に鍬が石に当たって火花が飛ぶ
1009 2-18
我智恵て 逃た心の 放し鳥
放し鳥→追善で鳥を放つ 鳥は自分で逃げた気
1010 2-18
質に直のせぬ 寶久しき
直→ね 家宝だが他人から見れば価値がないので結局代々家にある
1011 2-18
石をおろせは ゆれる四阿
四阿→あずまや 庭石を据えた時あずまやが揺れた
1012 2-18
礫を拾ふ うちに小舅
礫→つぶて 婚礼の家に村の若者が礫を投げる石打の習俗 本当なら小舅は追い払う役のはずだが何故か投げる方に
1013 2-18
重着の 数をあらそふ 冬篭
重着→かさねぎ 綿入は着るわどてらは着るわ
1014 2-18
放下遣ひの 来ると見渡す
放下遣ひ→ほうかつかい 手品や曲芸をする芸人 さてお立ち会い まずお客の数はと
1015 2-18
合羽の下の 痒い志賀越
志賀は花の名所 桜の咲く頃衣の表に這い出る花見虱が出る
1016 2-18
妻の小袖の 尽る七種
七種→ななくさ 松の内が過ぎ小袖の替えも尽きて普段着に
1017 2-18
面白そふに 振廻す幣
幣→へい 神主が幣を振る
1018 2-18
赤子の顔の 似ても水物
育つにつれて変わる
1019 2-18
夕皃か 宿取人の 眼にとまり
夕顔→源氏物語の夕顔のささやかな住まいを連想 宿取人→先に行って宿をとる人
1020 2-18
遠い思案に 蚊屋を出て居
ふと起きて考え事をする
1021 2-18
笈摺を縫ふ 母の野心
笈摺→おいずり 巡礼が上に着る袖なし 野心→のごころ 山野へ遊びにいきたい気持 母も旅にあこがれ
1022 2-19
憎い女を 誉る薙刀
武家の奥様がお妾に薙刀指南?
1023 2-19
道成寺 人のかけ出す 雲か出る
長唄の道成寺をうたうと雨が降るという 町入能で道成寺を演ずると雨が降るとも
1024 2-19
拵すます 殿のあけほの
拵→こしらえ 身支度 お殿様の朝帰り?
1025 2-19
下前に さゝ浪よせる 志賀の浦
下前→着物を合わせた内側 志賀の浦→琵琶湖岸の一部 片裾を持ち上げて散策
1026 2-19
きり〳〵す 踊の足を 間違せ
踊りの足下に
1027 2-19
手数か入て 返る羽衣
謡曲羽衣 羽衣を返すかわりに天人の舞をみせろと交渉
1028 2-19
参宮と おもひ立にも 身を忍ひ
小僧の抜け参り
1029 2-19
こんにやく桶を こほす吊
吊→とむらい 大きい葬式の混雑 葬式で出す強飯に蒟蒻の煮染を付ける
1030 2-19
八十七ハ 手をあてる年
手をあてる→気を遣う 来年は米寿 ☆武十七・30
1031 2-19
外を見なから 這入乗もの
乗もの→引き戸のついた駕篭 都合の悪い場所から人目を憚って駕篭に乗り込む
1032 2-19
市迄ハ 桶屋の夫婦 身をちゝめ
出荷前の桶だらけで家が狭い
1033 2-19
葉せうかも 笹の雫の 振心
葉せうか→はしょうが 葉のついた生姜 新生姜 洗われて笹の雫のよう
1034 2-19
惣領ハ 土蔵へ向て ものおもひ
財産の使い道を思案
1035 2-19
直キに妹と 見える人代
直キに→じきに すぐに 人代→にんだい 奉公人に何かあった時請人が出す雇人の代理 後から雇われた下女が妹だとすぐわかる?
1036 2-19
律義に宿へ 帰る節分
浅草寺節分会の帰りに吉原へ 聟だけはつきあえず帰宅
1037 2-19
船の喧嘩・の 棒か流るゝ
棹を手放して掴み合い
1038 2-19
一ツはちすの もめる後添
極楽で蓮の上に三人
1039 2-19
ぐみかくはつて 目鼻ちゝまる
ぐみ→茱萸? くはつて→火にくべられて? ???
1040 2-20
むくらの宿へ 夜〳〵の客
むくら→八重葎 百人一首の 「八重葎 しげれるやどの・・」 繁った雑草の宿に夜毎客が バレ句か
1041 2-20
山茶花を 折て左官ハ しらぬ振
山茶花→さざんか 冬に咲く 急ぎの普請?
1042 2-20
起〳〵ハ 女の顔か 大事也
寝起きの顔を見せないのが女のたしなみ?
1043 2-20
損もなく 遊んて歩行 屋形舟
歩行→ありく お大尽の取り巻きもご相伴?
1044 2-20
行水こほす 先を皆飛ふ
行水の水を捨ててできた水溜まりを通行人が飛び越えていく
1045 2-20
何そ鳴らして 見たい護广壇
護广壇→ごまだん 金鉢様のものが並んでいる
1046 2-20
虫干に 仕廻残して 借し小袖
借し小袖→七夕に着物を飾る 七夕様に着物をお貸しすると衣装持ちになるといわれた
1047 2-20
広けた所 怖しい夜着
夜着→掛け布団にする着物様のもの 何か出たのか?
1048 2-20
柏の虫の 台所這ふ
柏餅を作るのに柏の葉を取ってきた
1049 2-20
短い袖に 娘出兼
出兼→いでかね 貧乏で振袖がない?
1050 2-20
棒の中行 外科の挑灯
挑灯→ちょうちん 役人の中を怪我人の治療に
1051 2-20
新尼の ことはのはしに 借しなくし
新尼→にいあま 新しい尼 借しなくし→返して貰えない 尼さんだから大丈夫と思って貸したらそのまま
1052 2-20
鵜舟の掃除 子か付て来
鵜匠の家族で力を合わせて
1053 2-20
蜑も恵方へ 潜る身祝
蜑→あま 恵方→その年の干支による 良い方角 身祝→その人の一身上の祝い 海女の恵方参り
1054 2-20
先媒の なひく吉日
先→まず 媒→なかだち 仲人 吉日で乗り気
1055 2-20
風車 外山の松の 吹あまり
風車→雑司ヶ谷鬼子母神名物 外山→とやま 麓の方の山
1056 2-20
隣へ行も 鶴の粧ひ
粧ひ→よそおい お妾が隣へ行くにもお化粧?
1057 2-20
疱瘡の 後に仲人の 寄付す
寄付す→よりつかず 見目定め
1058 2-21
娘にあてゝ 誉る水仙
水仙にかこつけて娘を誉める
1059 2-21
山伏の なふられて越す 日高川
日高川→道成寺で美形の僧安珍を追って清姫変じた大蛇が飛び込む 渡し舟の客にひやかされる
1060 2-21
広〳〵と 物を思へと 留守に置
独りでよく考えてみろ
1061 2-21
坐頭の下駄の 知れぬ皐雨
皐雨→さみだれ 座頭以外も下駄を履いて来るので
1062 2-21
大釜へ 投込む薪の うハの空
釜焚きがそんな感じに見える
1063 2-21
軒をはなれて 杖の商
家の前でついてみせる杖屋
1064 2-21
江戸の起請を 見せる嶋原
嶋原→島原 京の遊郭 京に来てまで吉原の起請文を自慢げに
1065 2-21
小声にて 暇をさはく 草り取
暇→いとま 空いた時間 さはく→騒ぐ 草り取→ぞうりとり 主人を待つ間雑談を
1066 2-21
関取の 巾着に行 若旦那
巾着→腰巾着 若旦那が関取を連れているのだがそうは見えない
1067 2-21
一日を きれいに歩行 藁艸履
歩行→ありく 新しい草履を汚さずに清浄な場所へ
1068 2-21
鹿聞の 都へ出ても 耳か痩
鹿聞→しかきき 耳が痩→耳が肥えるの反対?
1069 2-21
江戸見物の 怖そふに寐
江戸は生き馬の目を抜くというので
1070 2-21
河かつふれて 亭の捨うり
亭→ちん 庭園のあずまや 趣がなくなって売り払う
1071 2-21
黙礼の 中を流るゝ 割下水
割下水→本所南割下水 本所の掘割 津軽屋敷あり 掘割の向こうの人に黙礼
1072 2-21
三味線の 次第に憎き 年と成
娘の頃はあこがれたが 女房となっては踊り子が仇敵に?
1073 2-21
姉の礫の 届く蓬生
礫→つぶて 蓬生→よもぎう 草深い荒れた地の家 妹の結婚の石打?
1074 2-21
音のつめたい 夜神楽の銭
おひねりを投げる
1075 2-21
くらい心に 智恵ハ借し損
天は自ら助くる者を助く
1076 2-22
せきれいの尾の うこく筆癖
せきれい→尾羽を上下に振りながら歩く 筆の尻がそんな風に
1077 2-22
子心にさへ 嫌ふ半襟
半襟→はんえり 襦袢の襟に重ねて掛ける襟 汚れ防止のため毎回縫付ける
1078 2-22
鏡売日に 成て女気
売→うる 貧乏して愛用の鏡まで売る時になって思い出したように鏡を覗き込み
1079 2-22
衣〳〵に 木辻の鹿を 追廻し
衣〳〵→きぬぎぬ 遊里の朝の別れ 木辻→奈良の遊郭 邪魔する名物の鹿を?
1080 2-22
揚屋てつらの にくい伽羅利
伽羅利→きゃらきき 香の通? 伽羅→香木 金銭 お世辞
1081 2-22
鶯や 我罔両に 啼ならひ
罔両→かげぼし 障子にうつる自分の影と鳴き交わす
1082 2-22
舞子の親の 橋へ来て居
京の舞妓の親が娘の姿を四条の橋から見る
1083 2-22
椀へなみたの かゝる松山
大坂の豪商椀屋久右衛門は遊女松山にいれあげて座敷牢に入れられる
1084 2-22
鳴なから 身を振ほとく 朝烏
朝烏→あさがらす 烏が木から飛立つ様子?
1085 2-22
南湖の銭の 一両ハなし
南湖→何個 なんこ 一文銭を手に握って数を当てさせる博打 大した額にはならない
1086 2-22
むすめに智恵を 付る雷
キャー 怖いー と抱きつく
1087 2-22
金剛杖て ありく闇の夜
峰入の山伏
1088 2-22
ひたるひ猿の 桃色に成
ひたるひ→ひもじい 人間なら青くなるが
1089 2-22
隣の蔵か 涼風を蹴る
隣家の蔵のせいで風が入らん
1090 2-22
闇のうち 曾我へ片身ハ 届けり
届けり→とどきけり 曾我兄弟は夜討の前に家人鬼王と団三郎に故郷の母宛の形見を託す☆謡曲夜討曾我 兄弟が死んだ後に届く
1091 2-22
なふつた舟の 一所へ着く
途中で悪口をあびせた舟が気まずくも同じ所に到着
1092 2-22
請られてから 産て見たかる
遊女が身請けされて子供を欲しがる
1093 2-22
鎌倉て 嫌らいに成し 夕間暮
夕間暮→夕暮れ 淋しい? 松ヶ岡関係?
1094 2-23
我膝を見て 笑ふ病人
痩せたなあ
1095 2-23
乗掛へ 伸上る茶ハ いとま乞
乗掛→馬の両側に明荷を渡し布団を敷いて乗る 茶屋の女が背伸びして出発する旅人に茶を差し出す
1096 2-23
ひやうきんな 人の仕当る 汐干狩
仕当る→しあてる 思い通りになる 真剣な人よりも遊び半分の人が豊漁
1097 2-23
元結の 入らぬ女と なりにけり
元結→もとゆい 髪の根元を束ねる紙や糸 入らぬ→要らぬ 尼になったので
1098 2-23
身をさま〳〵に ひねる霜解
霜解→しもどけ 霜が朝とけること ぬかるみを避けて歩く
1099 2-23
度紋の皃の 矢に付て行
度紋→どもん 楊弓矢取り女 皃→顔 飛んで行く矢を目で追う
1100 2-23
泉水を 挑灯て見る いとま乞
遅くなってから庭を見せて貰って帰る
1101 2-23
手代まて 蚊を疵にして 内に寐す
疵にして→難点として 理由をつけて外泊する? 「夏の月蚊を疵にして五百両」☆其角 をきかす
1102 2-23
来た先を 聞ハあわれな 拂物
零落した家から出た品物
1103 2-23
そとは小町も 言懸りなり
卒塔婆小町→老いた小野小町が朽ちた卒塔婆に腰掛けて僧に咎められる能 小町が僧の言に難癖をつける
1104 2-23
検校の 咄の下卑る 年忘
検校→盲人の組織である当道座の最高官位 酒が入って遊廓の咄とか
1105 2-23
橋を限りに 帰る抱守
抱守→だきもり 子守り ここまでがテリトリー?
1106 2-23
出る恋に 内へ来ル恋 摺違い
摺違い→すれちがい 恋の行き違い?
1107 2-23
ついへな顔の 多い正月
ついへな→経費がかかる 正月気分で気が大きくなる
1108 2-23
つまむほと寐て 明るはつ春
つまむほと→ほんの少しだけ 大晦日は夜更かしして
1109 2-23
気のつかぬうち 通ルのり物
のり物→引き戸のある駕篭 武士や限られた町人が乗る 庶民の四つ手駕篭は騒がしい
1110 2-23
鏡研 顔に飽れハ 日かくれる
鏡研→かがみとぎ 終日鏡に映る自分の顔をみながら仕事
1111 2-23
日本の金の うこく晴天
相撲興行?
1112 2-24
妾のふりに こまるふり付
素養がない妾に踊り指南
1113 2-24
なふり次而に 聟の弟
次而→ついで 次はお前さんの番だよ ☆武十・11
1114 2-24
洗粉の 身を逆様に 摺みかき
洗粉→あらいこ 入浴に使う化粧用の粉 鶯の糞も混ぜる 「鶯の身を逆さまに初音かな」 ☆其角 入念な入浴の様子
1115 2-24
夜泣の屋根を 見廻て寐
鳥が夜鳴をするので気味が悪い
1116 2-24
鮎くへと さそひ人もなく 鶉鳴
さそひ人→さそいて 鶉鳴→うずらなく 鮎の季節も過ぎ鶉は秋に鳴く
1117 2-24
出舟へ見廻 住吉の祢宜
大坂の住吉神社は海の守り神 出張してお祓い?
1118 2-24
枇杷の花 千畳敷ハ ねかし物
枇杷の花→冬に咲く小さい花 千畳敷→大広間 ねかし物→使わないで置いてあるもの 大小の対比?
1119 2-24
又降る雪に 鮟鱇を吹く
外に吊るしてある鮟鱇に雪が吹きつける
1120 2-24
天秤棒に 遣ふ手ハなし
棒術の棒と違って天秤棒は一通りの使い方しかない
1121 2-24
蛍か好キて 気の抜た昼
夜にならないと話にならぬ
1122 2-24
所化うき〳〵と 九十台射
所化→しょけ 修行僧 九十台射→くじゅうだいいる 楊弓で二百中百九十台命中?
1123 2-24
むらさきに合ふ 江戸の根性
江戸紫は江戸を象徴する色
1124 2-24
下女ハ男を ほめる小つゝみ
小鼓の音ではなく 男っぶりを誉める
1125 2-24
握りこふしハ 母の奥の手
放蕩息子によくよくの事
1126 2-24
二親有て 夢を忘るゝ
両親が健在で苦労なし 夢もみない
1127 2-24
三味線引に 山下の埃
埃→ちり 上野山下の見せ物小屋?
1128 2-24
飛脚の膳ハ 目の前て盛
早飯で出立
1129 2-24
呑めと斗ハ 主の和らき
斗→ばかり 和らぎ→やわらいだ状態 商家の宴会 ゑびす講か
1130 2-25
立のまゝにて 遠ひ約そく
立のまゝ→たちのまま 着のみ着のまま 支度なしの婚約?
1131 2-25
庭のたき火も 知て居ル皃
庭のたき火→大晦日に吉原で 焚くたき火 皃→顔 顔見知りの者が集まる? 常連中の常連?
1132 2-25
嗅・て退く 人を見限る 肴売
嗅・て退く→かいでのく 古い魚を嫌うおかみさんを避ける魚屋
1133 2-25
かゝり舟 鴎・の中に 銭の音
鴎・→かもめ 舟中の賭博
1134 2-25
紬から 上のすくなき 奈良の京
紬→つむぎ 平織の絹布 奈良晒という麻布が有名
1135 2-25
峠の家の 尾も鰭もなし
鰭→ひれ 母屋だけの一軒家
1136 2-25
首途の わらち履せて うち詠
首途→かどいで 門出 詠→ながめ 子の旅立ち
1137 2-25
供を呵て 這入検校
呵て→しかって 検校は最高位
1138 2-25
日蓮記よむ 聟ハ入智恵
法華の入聟
1139 2-25
船ハ捨るに 乗物の恥
乗物→引き戸のある駕篭 船を避けたのに駕篭で酔う?
1140 2-25
又一度 十六七て 人見知
現在の十五六才 思春期
1141 2-25
逆おもたかゝ 質の始り
逆おもだかの鎧は曾我の家宝だが質草になる
1142 2-25
有馬筆 鰒と言ふ字に 顔を出
有馬筆→有馬名産の筆 鰒→ふぐ 有馬人形筆は字をかくと人形が顔を出す 河豚と聞いたら顔を
1143 2-25
しやほんの玉の 門を出て行
☆そのまんま
1144 2-25
乞食の壁も あたり狂言
乞食の壁→筵の意味か? 壁が筵の小屋掛け芝居でも当たり狂言はある
1145 2-25
よい中ハ 人形よりも 静也
恋人どうし
1146 2-25
めつたにはねる 五奉行の馬
めつたに→やたらに 秀吉の五奉行の権勢?
1147 2-25
神鬮にあたる 聟ハ不器量
神鬮→みくじ 不器量→器量がわるい 聟えらびにお神鬮を引く
1148 2-26
聞干た 跡のつまらぬ ひのへ午
聞干た→ききほした さんざん聞いたら丙午で縁遠かっただけ?
1149 2-26
雪さへふれハ 女房ぬからす
雪見名目で吉原へ行かれては
1150 2-26
冬のすかたへ 戻る人の日
人の日→人日の節句 一月七日 松の内も終わって普段の冬に
1151 2-26
彼岸さくらを 後家の喰物
彼岸さくら→春の彼岸ころ花が咲く桜 お彼岸の寺参りどころか
1152 2-26
先見た物の 帰る引汐
さっき打ち寄せられたものも また沖へ引いて行く
1153 2-26
軽業へ 残リすくなく 日かあたり
日暮れの軽業小屋 客も差し込む日も少なくなり
1154 2-26
九十九両ハ 駕舁の損
駕舁→かごかき 落とし物のお礼に一両?
1155 2-26
生洲の魚の 耳か聞へる
生洲→いけす 魚をすくう人が近寄れば潜る
1156 2-26
俄分限の 我顔に倦く
俄分限→成金 顔ばかりはどうにもならぬ
1157 2-26
身のうちつれて 後家の足早
身内を連れて早足でいく 人目につきたくない
1158 2-26
船頭の 闇をつかんて 蚊遣り艸
蚊遣り艸→蚊遣火に使う草 松葉や蓬など 暗い岸の草を摘む仕草が
1159 2-26
身請の顔を 村の眼さまし
村のお大尽が花魁を身請け みんなびっくり
1160 2-26
我内て 評判に合 肘まくら
「曲肱而枕之 楽亦在其中矣」
1161 2-26
匂ふ物 皆追詰て 菊の花
様々な花の最後に菊が咲く
1162 2-26
二度子おろしに 逢ふてハなし
てハなし→ではなし 中条流の女医に二度と会うことはない
1163 2-26
別霜 人の奉公の 跡を行
別霜→わかれじも 最後の霜 八十八夜ころ 三月五日の出代わりより後?
1164 2-26
梅咲て 手心かろき 鉢たたき
鉢たたき→年末に鉦や瓢箪を 叩き勧進する空也僧 春めいて心軽く
1165 2-26
また惚た気て 追善の歌
死んだ歌舞伎役者の死絵の浮世絵を見てまた惚れる?
1166 2-27
瘧のうへに 乗て居る母
瘧→おこり マラリア 悪寒で寒がるので? 震えを抑える?
1167 2-27
雛形に 最う手の切る 枯野原
雛形→小形の標本 手本☆国大 最う→もう ???
1168 2-27
娘ハ尾羽の かれぬ皃付
皃→顔 浪人は尾羽打枯らしてもその娘は美しい
1169 2-27
ゑひす講から 娵のしこなし
娵→よめ しこなし→振舞い 恵比寿講で嫁デビュー
1170 2-27
六人の子の うちに玉川
六玉川でも様々?
1171 2-27
金の減たも しらて本服
本服→ほんぶく 本復 病気は治ったが知らぬ間に身上が傾いた
1172 2-27
夜ハしらしら・と 生残る下戸
上戸は全滅
1173 2-27
小僧の仕落 舌をちらりと
仕落→しおち 手落ち ☆そのまんま
1174 2-27
眉毛から 算え覚る 若狐
狐は人を化かす時人の眉毛を数えるという
1175 2-27
投出す財布 うそにない音
財布ごと持っていきやがれ あれば
1176 2-27
柔取 此度の店も 追出され
柔取→やわらとり 柔術家 店→たな 貸家 ドタンバタンとうるさい 家が痛む
1177 2-27
誉ちきられた 笛て歯かなし
笛の修練で歯を痛める
1178 2-27
後家若々・と きりきり・す飼
すぐ死ぬものを飼うところがまだ若い
1179 2-27
煉供養 笑ひそうなを 跡に立
煉供養→菩薩姿の行列 自分で笑い出しそうな奴は後回しに
1180 2-27
瀬戸物店・に 余念なき尼
店・→みせ ☆そのまんま
1181 2-27
雨やみを行 聟のだいなし
せっかく雨をよけて来たのに水祝いでびしょぬれに
1182 2-27
あはら屋の とうとう・松に 寄懸り
だんだん傾いて傍らの松に
1183 2-27
笠から先ハ しらぬ生霊・
生霊・→いきりょう 生霊 ???
1184 2-28
玉の緒の くるくる・巻に 五十両
忠臣蔵 五段目の五十両が勘平の玉の緒を切ることに
1185 2-28
曳舟の 引ぬ時にも 萩の風
曳舟→人力等で曳航される舟 捨小舟?
1186 2-28
三念仏へ 引ける銭さし
千本大念仏 壬生大念仏 嵯峨大念仏 ???
1187 2-28
日陰日陰・と すいかつら売
すいかつら→吸葛 五月ころ水に浸け売り歩く 美髪水を作る
1188 2-28
膝抱て うらみの泪 あつく也
自分の膝を抱いて泣く? あるいは男の膝に?
1189 2-28
伊達を残して 戻る奉公
女中の宿下がり? ???
1190 2-28
弁慶ふたり 貰ふ五月雨
弁慶→五月人形?
1191 2-28
田ハ寒く 夫婦烏の 口を明
夫婦烏→めおとがらす ☆そのまんま
1192 2-28
三嶋のもくさ 夜斗うれ
斗→ばかり 東海道中 宿で三里に灸を 明日は箱根越え
1193 2-28
我恋の 人の恋まて 眼に懸リ
恋すると他人の恋も気に懸る
1194 2-28
最う似た顔の 出来ル元服
急に親父に似て来る
1195 2-28
汁粉の使 戸も明ぬ家
上戸の家?
1196 2-28
同しはちすの 夜着を踏さく
夜着の同衾
1197 2-28
紙燭の反リの 出来合て済
出来合→できあい
1198 2-28
厂金の 棹の先にハ 鈴鹿山
厂金→かりがね 雁 棹→長く一列に飛行するさま
1199 2-28
女房に くれぬ戸板へ 夜入道
夜入道→よにゅうどう 結婚を許してくれない家にヘマムシヨ入道の落書きを
1200 2-28
看病へ 突出して遣る 忍冬酒
忍冬酒→にんどうしゅ 浜松名産の滋養強壮薬 看病する人にも一杯
1201 2-28
春に似た 日も十日ほど 八手咲
八手→やつで 初冬に咲く 小春日和が続いて
1202 2-29
言せて置けハ 傾城ハなし
俺に云わせりゃあ今の吉原にはほんとの傾城はいないんだよ
1203 2-29
くほく見られて つふぬれて行
くほく見る→見下げる 悪口を云われて雨宿りから出て行く
1204 2-29
よいおとこ 悪い男に 逃かくれ
間男と夫
1205 2-29
手代へ錠を おろす高聲
手代を叱る
1206 2-29
反橋を 先へ渡て 口を利
子供が先に渡って振り返る
1207 2-29
三味線免す 親のあやまり
免す→ゆるす 息子の道楽の始まり
1208 2-29
母も内證ハ 知て寐る金
内證→内幕 寐る金→死蔵する金
1209 2-29
質屋の口を とめる束帯
公家が束帯を質入れ
1210 2-29
門跡へ向く 大舟の尻
門跡→築地の西本願寺 舟が仏様に尻を
1211 2-29
生れた事ハ 誉ぬ晴天
晴れた日に死んだのと違って 晴れた日に生まれても別に誉められない
1212 2-29
二親も 背中へハ手の 届かね
届かね→とどきかね どんなに注意して育てても目の届かぬことが
1213 2-29
衣着て見る 孫のよめ入
出家したご隠居
1214 2-29
朝皃の かき廻さるゝ 奈良の町
朝皃→朝顔 奈良といえば早起き あるいは鹿?
1215 2-29
妻のゑくほの 段々・に減
所帯疲れで笑うことが減る
1216 2-29
居つたたけの 低い口よせ
居つた→すわった 口よせは小柄
1217 2-29
若衆の髱を 辷る雨たれ
髱→たぼ 日本髪の後ろへ張り出した部分 辷る→すべる 若衆髷か
1218 2-29
二三畳 雀目の闇ハ 日か残り
雀目→とりめ 家の奥の方は見えないが 手前の方はまだ見える
1219 2-29
湯治から ひよつと気のつく 内普請
内普請→家の内部の改造 他の場所で思いつく
1220 2-30
法印の 早合点て 闇になり
法印→山伏 早合点→はやがってん ???
1221 2-30
引摺おとす 御油の近付
近付→ちかづく 御油宿の客引女に馬から引きずり下ろされる
1222 2-30
只有躰に 瞽女の手まくら
☆そのまんま
1223 2-30
住持代リの 味に若やく
住持代リ→住職代理 味に→ 色っぼく 若やく→若々しく 振る舞う 大黒に気あり?
1224 2-30
地頭の智恵の 出ると夜か明
地頭→知行地の支配官
1225 2-30
初午に むす子の供の 口か過
吉原黒助稲荷の初午祭 太鼓持ちの口が過ぎ
1226 2-30
翌と言ふ 紺屋の女房 美しき
翌→あす 普通は紺屋のあさってというが
1227 2-30
心ほと 言かねて居る 袖たゝみ
心ほと→ほんの心持だけ 袖たゝみ→着物の略式のたたみ方 昨夜はどこに?
1228 2-30
もとの京から 通ふ棚経
もとの京→奈良 棚経→盂蘭盆に菩提寺の僧が精霊棚の前で読経すること
1229 2-30
寺に寐たのも 吉原のうち
寺に寝たなどと云うが 本当は
1230 2-30
新しくなる 九日の釈迦
灌仏会に甘茶で洗われて
1231 2-30
堪忍ハ くらい所へ 連て行
まあ 泣くなよ
1232 2-30
また塗箸に 逢ぬ正月
新年は白木の太箸
1233 2-30
聟ハ大事の うハ言をいふ
日頃は我慢しているので
1234 2-30
うつくしい 意趣を柱に 寄かゝり
意趣→遺恨
1235 2-30
機嫌直しの 夜着に三人
親子川の字
1236 2-30
夜中ふまれて 大坂へ着く
淀川の三十石夜船
1237 2-30
胸の火ハ 拵へ物の 奉公人
胸の火→恋や嫉妬の思い 拵へ物→にせ物
1238 2-31
音羽の瀧に ぬれる乗もの
乗もの→引き戸のある駕篭 清水の音羽の滝
1239 2-31
三味線を弾く 斎日の娵
斎日→さいにち 娵→よめ 商家の嫁 薮入りで小僧もおらず
1240 2-31
日本の伊達に 筑た耳塚
筑た→ついた 築いた 文禄慶長の役
1241 2-31
野郎に成て 帰る浜萩
野郎→一人前の男 浜萩→ はまおぎ 「難波の蘆は伊勢の浜荻」で伊勢者の意か
1242 2-31
男自慢の 誉ぬはつ雪
男自慢→男が自分の腕前や容貌を自慢すること 初雪がどうとか言うのは軟派
1243 2-31
ほんに泣時 地女のこゑ
地女→素人女 遊女が本当に泣く時
1244 2-31
辷た時に 悪心ハなし
足がすべった瞬間には悪事は考えていない
1245 2-31
裸て歩行 海士の貰乳
歩行→ありく 海士→あま 貰乳→もらいじ
1246 2-31
遣唐使 青海原に 口を明キ
見てびっくり
1247 2-31
泣止ぬ子に 蔵の戸か明く
親の根負け
1248 2-31
先も女て 恥る借り物
女が女に借りて恥ずかしい物 ?
1249 2-31
寐せる心て 我も手枕
子供を寝かすつもりで 自分も寝てしまう
1250 2-31
祝日の 持料ほとハ 美しき
祝日→いわいび 一日と十五日と二十八日 小豆飯を炊き子供は服装を改め女は白粉☆江戸文学俗信辞典 持料→もちりょう 身に備わった性質 持ち前
1251 2-31
来ると鸚鵡の 日本物言
物言→ものいい 生まれは異国だが
1252 2-31
精進を 落て目出度 人に也
喪が明けて家督相続
1253 2-31
戸へとりつくと 地震ゆり止
☆そのまんま
1254 2-31
吉原見せて 伯母を立せる
江戸見物
1255 2-31
衣にたすき 蕎麦奇妙なり
奇妙→不思議 道光庵は寺だが蕎麦で有名
1256 2-32
初て青し 十月の猪口
猪口→ちょこ 紅葉で?
1257 2-32
きのふけふ 翌ハ見捨る 小松原
小松原→松原 東海道で松原が続く
1258 2-32
寄合て解く 牛若の帯
矢作の浄瑠璃姫との一夜?
1259 2-32
傘を外れて 歩行若殿
歩行→ありく やんちゃな若様 乳母の日傘から
1260 2-32
ふるへハ塩の 落る行平
行平→在原行平 汐汲松風村雨姉妹と恋仲
1261 2-32
やはきハ橋の うちて大名
三河の矢作橋 二百八間で東海道で一番長い
1262 2-32
鎌倉の代に 喰ぬ鰹ふし
鰹ふし→かつぶし 徒然草
1263 2-32
菅笠の 加賀を通れハ 田うへ笠
菅笠→旅行用の笠で加賀金沢のものが良いとされた
1264 2-32
互に笑ふ そもそも・の文
交際しはじめた頃の恋文
1265 2-32
寒い所の 多い義経記
平泉とか
1266 2-32
沈んてハうく 質の行末
人生の浮き沈みのように
1267 2-32
雨風に かき廻されて 十二月
一年振り返れば
1268 2-32
合歓の葉の 涼しい夜を 握詰
握詰→握りっばなし 合歓の葉は夜閉じる
1269 2-32
大名戻リ さひしかる箸
吉原の馴染みの大名が帰国?
1270 2-32
子の口を ふさいた窓へ 顔二ツ
子供が窓から何か言ったので 親が慌てて
1271 2-32
通すと眉の 下る関守
詮議中は怖い顔
1272 2-32
家督の祝義 仰向に寐
祝義→祝儀 祝いの儀式 家督を相続して
1273 2-33
鯨のうそを 七村かつく
「鯨をつきあつれば七郷浮ぶ」 儲けを隠す?
1274 2-33
黒小袖 とちらへ出ても 口か合
黒小袖→吉原通いの通人が着る 助六もこれを着ている 口か合→話が通じあう
1275 2-33
銭提て 大津を帰る 山法師
山法師→延暦寺の僧兵 大津へ両替に?
1276 2-33
親孝行の 蓑を着て泣く
二十四孝でありがちな場面
1277 2-33
有し世の 一ツ残リし 釘隠し
有し世→栄華の昔 釘隠し→柱と長押が交差する部分の釘の頭を隠す化粧金具
1278 2-33
面白い 人と言れて 草の庵
世捨て人
1279 2-33
筵帆の 恥を思ハす 岸を行
筵帆→むしろぼ 室町以前に使われた 江戸時代普通は木綿の帆
1280 2-33
駕に乗たハ 弔のまゝ
弔いのあと駕篭で吉原へ
1281 2-33
友達の ひやひや・おもふ 誉詞
誉詞→ほめことば 歌舞伎で観客が立ち上がり役者を誉る 音羽屋ア
1282 2-33
冬からの うそか溜て 鯛を買
???
1283 2-33
林間の 今焼付と 又しくれ
焼付→たきつく 「林間に酒を煖めて紅葉を焼く」 ☆白居易 火がつくと雨が
1284 2-33
猟師の妻の 虹に見とれる
夫の留守やっと雨が上がって
1285 2-33
四も五もくハぬ 下戸の関守
四も五もくハぬ→煮ても焼いても食えぬ 賄賂の酒が効かない?
1286 2-33
佃の休ミ 貝て髭ぬく
佃島は漁師の村 佃煮の発祥でもある
1287 2-33
いつの間に喰ふ 神子の弁当
神子→みこ 出ずっばりだが飯は喰う筈
1288 2-33
せちからい 都て歌を よみ習い
せちからい→計算高い よくぞせちがらい京都で浮き世離れした歌などを
1289 2-33
尻も結す 神無月降
結す→むすばず 降→ふる 尻を結ぶ→後始末をつける 神無月は時雨月 時雨が
1290 2-33
書たい事の 多い去リ状
三下り半では書ききれず
1291 2-34
都の雪の なます・ほと降
なます・→なます なます・ほと→ほんの少し?
1292 2-34
落すかいやて 廻る雪の戸
雪が軒に美しく積もったので
1293 2-34
石の地蔵の 清い唇
☆そのまんま
1294 2-34
瞳すハらぬ 四辻の顔
どっちへ行けばよいのかキョロキョロする あるいは年越しの褌落としか
1295 2-34
親に奢て 見せる籔入
籔入→薮入 初めての給金
1296 2-34
恋風も 思へハ四季に 替て吹
恋風→恋の切なさが身にしみわたるのを風にたとえた語☆国大 四季折々の恋心
1297 2-34
物縫の 誉られはしめ 衣かへ
物縫→お針
1298 2-34
腕つくの 女房見に行 交肴
腕つくの→腕ずくで貰った 交肴→まぜざかな 祝い事に贈る数種類の魚
1299 2-34
人を呼 鉦に我子を 膝へ上ケ
迷子探しの鉦を聞いて思わず我が子を膝へ抱き上げる
1300 2-34
泊客 言訳過て うたかわれ
泊客のことを言訳しすぎて 今度来る嫁さんかなと
1301 2-34
題目おとり 皃も手も筋
京都湧泉寺など 七月十六日 お題目に節をつけ踊る 年寄りが力んで踊る
1302 2-34
度々・壁を 拝む門前
???
1303 2-34
酔て戻た 妻を見上る
亭主は先にふて寝
1304 2-34
天下に知れた 愚痴な吉原
愚痴な→ばかばかしい
1305 2-34
誠皆 うそに消さるゝ 落し文
落し文→落書らくしょ 風評の方が勝ってしまう
1306 2-34
うたれた滝の 末に膏薬
膏薬が剥がれて流れていく
1307 2-34
つまくつて 帰る昔の しのひ道
つまくつて→爪繰って 昔逢瀬で辿った道を数珠をつまぐるようにまた辿ってみる
1308 2-34
酸いもの並ふ 小梅梅若
隅田川沿い向島近くの地名
1309 2-35
年明の 心にしつむ 灯篭の火
年明→ねんあき 遊女勤めの年季終り 二十七才ころ
1310 2-35
抜身を軽く 思ふ高縄
大山参り 奉納する木刀をしょっていく まだ行程の初めのほうなので
1311 2-35
草の中にも 傘ハ三本
草庵の妓王妓女と仏御前?
1312 2-35
朝皃か 咲と蛍ハ 馬鹿に成
朝皃→朝顔 明るくなると蛍はばっとせぬ
1313 2-35
もはや男に 成寄し後家
堅い後家 男に近くなってきた
1314 2-35
風呂敷の 度々・主を 取違ひ
他人の風呂敷と取り違える
1315 2-35
膏薬の 二重心ハ 穴を明ケ
二重心→裏表のある心? ???
1316 2-35
干鰯の仕切 見ても眼か覚
干鰯の仕切→ほしかのしきり 肥料の取引 貧弱な服装の形容☆江語辞 銚子の勘当息子が
1317 2-35
記念の琴に なみたかき交
記念→かたみ かき交→かきまぜ 弦楽器で他の楽器の音に混じらせる
1318 2-35
五月雨に 肴の顔を 見忘れる
雨で魚屋が来ない
1319 2-35
六畳敷へ 無理な藝呼
狭い座敷でできない芸を 太神楽とか?
1320 2-35
蒸薬 息を吹のか 癖に成
蒸薬→むしぐすり 薬湯を浸した布で患部を蒸す 熱いので吹く
1321 2-35
口のうちて 言う念佛か ほんの事
思わず称える心からの
1322 2-35
客夜着に 土蔵の鎰を のせて出
鎰→かぎ 土蔵にしまってある客用の夜着を抱えて出て来る
1323 2-35
十月の 霞のかゝる 本願寺
十月は日蓮宗の元気が良い? 十一月は本願寺が御講で賑わうが
1324 2-35
古い屋敷て 椶梠の葉を買
椶梠→しゅろ 箒でも作る?
1325 2-35
黒雲かゝる 焚出しの食
食→めし 桶狭間?
1326 2-35
ぬれすに戻る 傘にうたかい
相合傘をした? どこかにしけこんでいた?
1327 2-36
看病の 一間隔て ころもかへ
長患い
1328 2-36
小判へも 鏡の息の あいしらへ
あいしらへ→応対する 鏡に息をかけるように小判にも
1329 2-36
旅たちの 跡の坐敷へ 日か当リ
朝の宿屋の光景? 家人が旅に出た後の淋しさ?
1330 2-36
塩鳥の およいた形に 堅く成
塩漬けの鳥? 堅いらしい
1331 2-36
たまつて瞽女を すへる明りみ
器量を見ようと?
1332 2-36
燕より 一月はやき つはめ口
つはめ口→急須の注ぎ口? 正月の外が黒内が赤の椀など 燕は歳時記上二月?
1333 2-36
珍らしく見る 旅のからかさ
普通旅は菅笠と合羽
1334 2-36
こらへこらへ・て 鐃鉢に泣
鐃鉢→にょうはち 葬儀に使うシンバルのような鳴り物 がまんしきれず号泣
1335 2-36
藤の花 最う此うへハ 日も延す
延す→のびず 藤の花は晩春
1336 2-36
見附の屏風 盃を見す
見附→江戸城外門の監視所 同じ屏風でも婚礼やお祭りの金屏風ではないので
1337 2-36
蜊鳫木に 汐の見合
蜊鳫木→あさりがんぎ 浅蜊を集める道具 見合→みあわせ
1338 2-36
縮緬も 繻子も仏の 道しるへ
縮緬→ちりめん 繻子→しゅす 亡き娘の着物を天蓋にして寺に寄進
1339 2-36
昼寐の顔へ 掃かけて見
掃除の邪魔
1340 2-36
木馬に似たり うとん屋の音
☆そのまんま
1341 2-36
寒念仏 鳥屋の門も 野辺の数
野辺→野辺送り とむらい☆国大 鳥屋でもとむらいをするよう
1342 2-36
手の届く たけハたをして 松囃子
松囃子→正月の謡初☆川柳辞彙 借金を借り倒して
1343 2-36
わさひおろしに 日の残る留守
わさひおろし→ 足軽や中間あるいはその袴 中間の留守居?
1344 2-36
挑灯か 消ると直に 突あたり
真っ暗闇
1345 2-37
脇から見へる 公事の近道
公事→訴訟 岡目八目あるいは袖の下?
1346 2-37
吉原近く 尖るからたち
からたちの生け垣 奇麗なものには刺が
1347 2-37
松風や 関の障子の 喰違い
関所の光景?
1348 2-37
格子から 禿の髪へ あやめ指
指→さす 端午の節句 張見世の格子越しに禿の髪に菖蒲の花を挿す
1349 2-37
碁うちの見出す 宵の明星
縁台に腰掛け碁仇が長考中
1350 2-37
かつかれて 初会へ上る 枝紅葉
初会→一回目の登楼 紅葉見物と悪友に騙されて
1351 2-37
気の勝て居る 品河の猪牙
遊郭通いの猪牙舟 吉原なら隅田川だが 品川では大胆に海を行く
1352 2-37
伴頭の 異見に下る 春の空
春に浮かれた若旦那が古参の番頭に説教されてうなだれる
1353 2-37
浄るりて 殺した声を 鉢扣キ
浄るり→義太夫 殺した→悩殺した 鉢扣キ→空也僧が瓢を叩き念仏唱えて勧進 義太夫で鍛えた喉で念仏
1354 2-37
桑の杖 おもへハ遠き はかりこと
転ばぬ先の杖 桑の箸は中風を防ぐという
1355 2-37
水かゝみ見る 舟の退屈
舟遊びの退屈に水面に映る自分の顔を見る
1356 2-37
焼塩を 削る女房の 膝せまき
焼塩→素焼の壷で蒸焼にした固形の塩で削って使う 膝ではさんで削る?
1357 2-37
地紙売 我物好も 言ふて見
放蕩のあげく扇の地紙売になった自分の身の上も話してみる
1358 2-37
蚊屋越に ゆり起されて 早合点
夜這かと
1359 2-37
他人の目から しれる一生
自分ではわからない
1360 2-37
逗留の 二晩めから 能寐入
能→よく ☆そのまんま
1361 2-37
抱つくまてか 恋の道行
道行→旅
1362 2-37
大工の智恵を 寐ころんて見
天井をつくづく見る うまくできてるなーと
1363 2-38
猪牙のふとんを 撫る椎の実
大川沿い松浦邸の椎の木
1364 2-38
真皃に成て 武士の付さし
皃→顔 野暮な浅葱裏が花魁の煙管を
1365 2-38
さくらを浴る 馬の横面
横面→よこつら
1366 2-38
大根馬 ふせうふせう・に 引廻し
大根馬→だいこうま ただでさえ重いのに
1367 2-38
気の軽ひ 母ハ見て居 水浴セ
気の軽ひ→気さくな? 水浴セ→みずあびせ 水祝い 新婚の正月に若者達が婿に水を浴びせて祝う
1368 2-38
淋しさハ 巨燵やくらの ゆるく成
昔は色っぼいこともあった火燵も今は昔
1369 2-38
まからぬ心 瞽女の手を引
まからぬ心→真心で
1370 2-38
母ハ箸にも 楊枝にも栗
栗の箸で長寿?
1371 2-38
沈んて乳を 隠す居風呂
居風呂→すえふろ 風呂桶でわかす風呂 嫁の入浴
1372 2-38
鳥屋の見せの くらい年越
???
1373 2-38
畑の鶴を みせに遣る雪
???
1374 2-38
須广の浦 雛も柄杓に 汲込れ
柄杓→ひしゃく 源氏物語の須磨の人形が汐汲の柄杓に
1375 2-38
明星か くるりとふれて 淀へ着く
淀→淀川の河港 三十石船が方向を変えて着岸
1376 2-38
恥かしの 火燵の出来る 煤拂
火燵→こたつ 煤払で奥の炬燵が目立つ所へ
1377 2-38
半夏生 隣も合ぬ 井戸の蓋
半夏生→はんげしょう 夏至から十一日目 天から毒が降るので井戸に蓋をする 蓋は日頃使っていないので?
1378 2-38
むかしの通り 念仏て起
親がしていたように
1379 2-38
四ツ谷の埃に 伊達染か行
四ツ谷→街道筋 埃→ちり 伊達染→流行の模様に染めた着物 新宿の岡場所へ?
1380 2-38
負た子の 目はたきをする 葭簀編
葭簀編→よしずあみ バタバタ音がする
1381 2-39
生男も 琴柱に落る 中の町
生男→きおとこ 無骨な男 琴柱→ことじ 遊女に落ちる
1382 2-39
髪かたち 笠もかたちの 内に入
髪型も帽子もファッション
1383 2-39
鬼と言るゝ 後家の革足袋
革足袋→律儀倹約の象徴か 高いが丈夫
1384 2-39
冨士の夢見て まめに成母
吉夢をみて
1385 2-39
女こゝろに 見たい竜宮
吉原?
1386 2-39
かんこ鳥啼 庵に鳶口
鳶口→木遣や火消しの遣う引っかき棒 ???
1387 2-39
ひとりて食の にへるかみなり
食→めし 女房は七輪をおいて逃げる
1388 2-39
二百十日に あちなよめ入
あちな→色っぽい 吉原の八朔の白無垢みたい
1389 2-39
石の井筒を 母の念願
木の井筒より高級
1390 2-39
手品きれいに 紙燭よる妻
手品→てじな 手つき
1391 2-39
袂て銭を 遣ふ墨そめ
墨そめ→僧侶 袂から小銭を
1392 2-39
鏑木を 内から立て 縁遠き
自作自演
1393 2-39
松明を結ふ 村の葬礼
結ふ→ゆう 縄でくくる 大きい葬式
1394 2-39
俤の 夜の障子や たはこ店・
俤→おもかげ 店・→店 煙草店の障子
1395 2-39
小つゝみに 恋を仕まける 大つゝみ
小鼓のほうが優しそう
1396 2-39
糊立のせぬ 衛士の顔付
糊立→のりたち 糊が利く ビンとしない
1397 2-39
清書ハ 障子に残り たゝき鉦
清書→きよがき 習字の手本 たゝき鉦→念仏にあわせてたたく鉦 子が亡くなって?
1398 2-39
五ヶ村すくふ 主の有池
灌漑
1399 2-40
降ぬ日の 勅使を誉る 角田川
勅使下向は三月 三月十五日の梅若忌の梅若の涙雨が降らぬ
1400 2-40
人礫うつ 浪人の梦
人礫→ひとつぶて 人を小石のように軽々と投げる 梦→ゆめ
1401 2-40
立聞に やり手ハ鎰を 握リ詰
鎰→かぎ 鍵束が音を立てないように
1402 2-40
大僧正も 材木を問
直々に寺普請の交渉
1403 2-40
棹ぬく跡に きりきり・とうづ
☆そのまんま
1404 2-40
懸乞帰る 向ふから春
懸乞→かけごい 掛け売りの集金人 大晦日
1405 2-40
なみたぬくふて 袖の片裄
片裄→かたゆき 着物の左右にずらしてだらしなく着ること
1406 2-40
子の扱いの 下手な連哥師
まあ連歌師なので
1407 2-40
五条の橋て 安い主従
安い→手軽い 義経と弁慶 たしかに
1408 2-40
久しい先の 奉加帳出る
先→昔 奉加帳→寺社の寄付金帳簿 大昔の奉加帳が出て面白い
1409 2-40
水仙の 舟ハ入日を 漕流し
水仙の咲く冬は日が短い
1410 2-40
田の中を 蝶々・も飛 文も飛
吉原田圃に花魁の文が
1411 2-40
名もしらて 何かうれしき 生肴
贈答の鮮魚
1412 2-40
横平に 念者の手紙 むつましき
横平→おうへい 横柄 横柄な男色の文ほど睦まじい
1413 2-40
始から はつす合点の としわすれ
無礼講
1414 2-40
篠をつく 降に戸板の 年か知
年か知→としがしれ 戸板の音で古さが知れる
1415 2-40
梅に向て 歯を鳴らす妻
悪阻?
1416 2-40
侘言に 若衆の母も 手を合
侘言→わびごと 若衆→若者 息子の詫びに母も出て来る
1417 2-41
娘か逃て 髪結ぬはゝ
心配で
1418 2-41
二羽鳴厂も 極月の聲
厂→かり 極月→ごくげつ 十二月
1419 2-41
与力町 一人か二人 よいおとこ
与力→奉行などに付属し上官を補佐し同心を指揮する
1420 2-41
くらい所て 笑ふあやつり
あやつり人形使いは天井の暗いところで台詞を
1421 2-41
一逃にけて 口を吸せる
娘の手管
1422 2-41
袖の梅 きかぬハ妻の 心也
袖の梅→吉原で売った酔覚ましの丸薬 女房の怨念で効かない
1423 2-41
泣子の口へ したむさかつき
したむ→しずくをたらす
1424 2-41
浅い新地に 朽るがつそう
がつそう→合総 総髪 新開地で浪人がくすぶる
1425 2-41
行合せねハ しれぬ達广忌
達广忌→だるまき 旧十月五日禅宗の法会 開山忌と一緒にすること多し
1426 2-41
山帰来 かならす城の 落る時
山帰来→さんきらい 梅毒の薬という 傾城のおかげで
1427 2-41
たからの市て 聟ハたおれる
たからの市→住吉大社の旧九月十三日の枡市 皆で呑んでも聟は遊郭迄は付き合えず
1428 2-41
草履とりまて 息杖の息
息杖→いきづえ 草履取りも駕篭と一緒に走る
1429 2-41
明地か出来て 新らしい棒
明地→あきち 柵とか杭とか
1430 2-41
合点の上て 遠い寐所
夜が更けたら別の所で
1431 2-41
宇治にちらはう 殿の紋所
ちらはう→? 宇治川に藤の花が散る?
1432 2-41
夜更て人を 遣ふいんきん
他家へ泊まって何か頼む時は慇懃に
1433 2-41
そは切ハ 投込ほとか 馳走也
わんこそばみたいに
1434 2-41
たゝらの中へ 薬鍋なけ
無病息災を祈って鐘を鋳造する時に混ぜる?
1435 2-42
相人か瞽女て 恥をかゝせる
相人→あいて 美男子でも肘鉄喰らう?
1436 2-42
小野か曇て ほとゝきす降
小野→野原 降→降るほど多く啼く
1437 2-42
下戸の鼻にハ うまい木犀
うまい→快い? 木犀→キンモクセイなど 上戸には酒の香のほうが
1438 2-42
二代とハ 続ぬ下戸の 蔵を買
蔵を買っても子孫の上戸が売り払う 「酒屋三代女郎屋一代」☆諺 長くは続かぬ商売の意 「下戸の建てた蔵もなし」☆諺 をきかす☆俳説ことわざ辞典
1439 2-42
めくらむす子の 乳を長く呑ミ
☆そのまんま
1440 2-42
仙台へ歯の 立ぬ稲虫
稲虫→いなむし 稲の害虫 仙台は米どころで多少の虫害はなんでもない
1441 2-42
気の強い 女の落る あまの川
七夕に口説き落とす
1442 2-42
飼ねつみ来る よし町の屋根
陰間が鼠を飼う?
1443 2-42
むつくり起た 醫者の横平
横平→おうへい 横柄 夜中に呼ばれ 今行きます
1444 2-42
名代の狐 白い食喰ふ
食→めし 有名なお稲荷様で白いご飯をお供え
1445 2-42
向ふの顔を ふさく芦刈
芦刈→あしかり 長い芦を刈るので周囲の人の顔が見えない
1446 2-42
葉ほと世間を しらぬ茶の花
茶の葉は誰でも目にするが
1447 2-42
夜ハほのほの・と 通り者散る
通人の朝帰り? 博徒のお開き?
1448 2-42
染風呂敷の 美しい供
☆そのまんま
1449 2-42
かほちやを抱て 下るさし茅
さし茅→さしがや 屋根を茅で葺いたり足したりすること 屋根に南瓜が出来ていた
1450 2-42
無念なりけり 山伏の餅
喰いっくら?
1451 2-42
是切の 布子着て買 はつ鰹
是切→これぎり 布子→ぬのこ 木綿の綿入れ 着物も売って
1452 2-42
昼を大事に 遣ふ十月
日が短く
1453 2-43
裏なきハ 神のこゝろそ 夏衣
☆法楽 裏なき→いつわりない 裏→衣の裏地? 単衣も裏地がない
1454 2-43
鶯の 聲かけて割る 氷かな
鶯の真似をして氷を割る?
1455 2-43
我か年を かそへて寒し 冬籠
☆そのまんま
1456 2-43
名月や 茗荷の鶴・も 生のこり
鶴・→つる 茗荷の鶴・→茗荷で作った鶴? 水肴または台の物の飾り☆嬉遊笑覧
1457 2-43
あくる日に 家の床しき 碪哉
床しき→見てみたい 碪→きぬた 木槌で布を打って柔らかくする 昨夜の砧はどの家か
1458 2-43
樹に寐ると おもへハやすし 渡鳥
☆しハし旅たつとて やすし→安心 渡り鳥は宿屋の心配がない
1459 2-43
二夜啼 一夜ハさむし きりきり・す
三日目は寒くて鳴き止む?
1460 2-43
菜の花や 庵のうらに 曾我の母
曾我→貧乏?
1461 2-43
はつ雪や 牡丹のことく 手の如く
ぼたん雪が舞落ちる
1462 2-43
朝皃に 着せる物なし 菊の花
☆重九 朝皃→朝顔 朝顔が寒そう? 重陽だが菊と違ってきせわたがない?
1463 2-43
稲つまや 椽まて来てハ 帰る波
椽→縁 えん 風雨が波状に吹き込む
1464 2-43
顔みせや 狐もひとつ 人の中
顔みせ→歌舞伎の顔見世興行 群衆の中のお面が
1465 2-43
初厂や 結んて投る 雲の袖
初厂→はつかり 雲の袖に投げ込むように?
1466 2-43
夏行て 誉たる所 皆寒し
川とか
1467 2-44
樽買の 二十日めに来る 牡丹哉
樽買→たるかい 酒や醤油の空樽を買い歩く業者 牡丹を二十日草ともいう
1468 2-44
降そうな 三十日をふらて 時雨かな
三十日→みそか その名の通り十月すなわち時雨月になって降った
1469 2-44
袴着や うしろにおやま 二良三郎
袴着→五歳男児の七五三の祝儀 おやま→美女? 二良三郎→じろさぶろ
1470 2-44
鼠追ふ 夫婦の声も 夜寒哉
☆そのまんま
1471 2-44
木からしや 眼につけて吹く 柳原
柳原→神田川南岸の土手 筋違見附から浅草橋まで 昼は古物商夜は夜鷹が出る 仮掛けの古着屋をいじめる風
1472 2-44
あたゝかに 猫を寐せるや 寒牡丹
眠り猫? 猫と牡丹は付き物? しかし藁苞で猫が寝るとは思えないが
1473 2-44
酔ぬとハ 言れぬ雛の あくらかな
☆上巳 雛人形の三人上戸があぐらをかいている
1474 2-44
鹿の恋 猶焚つける もみち哉
☆そのまんま
1475 2-44
正直の 種を植るや 杉の苗
☆神明法楽 杉の苗→晩春の季語 真っ直ぐ?
1476 2-44
初午に 狐を乗せる 遊ひかな
遊ひ→行楽 酒宴 狐をおだてる?
1477 2-44
根を付て 提れハいやし 菊の花
☆そのまんま
1478 2-44
海老網の 引明さむき もみち哉
引明→ひきあけ 明け方
1479 2-44
五月雨や 焚ぬ煙の 小枩はら
小枩はら→こまつばら 雨に煙る
1480 2-44
からたちも 手の出し安き 若葉哉
とげがやわらかい?
1481 2-44
二日から 月も匂ふや 梅のはな
二日→月は細い
1482 2-44
ゆかしさよ 娵菜揃へる 暖簾下
娵菜→よめな 若芽を浸し物や飯に炊き込む
1483 2-45
むら雀 躍らハ着せん 梅の笠
むら雀→群れをなしている雀
1484 2-45
大空に 無事と書字や 春の厂
☆餞別 書字→かくじ 厂→かり 雁 無事に帰ります
1485 2-45
雲雪ハ 跡ての事よ 花さかり
雲雪→雲行ぎ 天気が怪しいが先ず花見
1486 2-45
眼に白き 物のくすりや 山さくら
☆眼をなやめる比上野にて 白内障?
1487 2-45
麦食に とろゝと啼や きしの聲
麦食→むぎめし 麦とろ 「麦飯にとろろ」→取り合わせがよくて美味☆俳説ことわざ辞典
1488 2-45
袖笠の かへりもかろし 衣かへ
☆更衣 袖笠→袖を笠にする 単衣だと袖笠のひるがえりも軽い?
1489 2-45
しら鷺の 眼にハあふなし 郭公
郭公→ほととぎす
1490 2-45
夕くれや さくらに沈む 人の聲
満開の花見の宴
1491 2-45
時花眼の 闇のあかりや 仏生會
☆はるかにてらせ山のはの月 時花眼→はやりめ 仏生會→ぶっしょうえ 灌仏会のこと
1492 2-45
銭の事 わるく言れぬ ほたんかな
金を使う価値がある?
1493 2-45
さわらひや 煙をつかむ 雨の中
早蕨は握りこぶしの形 山焼きの煙のあとで?
1494 2-45
鵜遣ひの 躍見て居る 月夜哉
躍→おどり 鵜飼の綱さばぎ
1495 2-45
紫に 身を投出すや 萩の露
萩の花の紫色を映した露が飛ぶ
1496 2-45
宵の雨 抜るほとゝハ 雲見艸
雲見艸→くもみぐさ せんだん草
1497 2-46
松虫の 松もときにも 茄子かな
松もとき→茄子料理の一つ 茄子→なすび
1498 2-46
五の字にも 油断ハならす 五月雨
☆五歳に成愛子を失へる人に
1499 2-46
ほたほた・と 桃の花さく 垣根哉
ほたほた・と→ぼたぼたと?
1500 2-46
笛吹て 唖・も遊ふや 花すゝき
花すゝき→穂の出たすすき 人を招く袖にたとえられる
1501 2-46
魂や 鐘に勝つ夜の きりきり・す
鐘よりも心に響く
1502 2-46
はゝ木ゝや 入日の中の いかのほり
はゝ木→帚木 遠くからは箒を立てたように目立つが近寄るとどの木かわからなくなる伝説の木 いかのほり→凧
1503 2-46
八朔や 機嫌の直る 風の神
八朔→旧暦八月一日 風害のないことを祈願する風日待や風祭りがあった
1504 2-46
利口にハ 波のしいれる 千鳥哉
しいれる→しつける 上手に波乗り
1505 2-46
同し根ハ 寄り添やすし 雪の竹
☆再会 親戚どうし助け合い
1506 2-46
まあとあるを しほに戻るや 川ちとり
☆留別 まあ→まあ しほ→よい機会 川ちとり→川にいる千鳥
1507 2-46
大黒の 身をうき艸や ゑひす講
大黒は憂い?
1508 2-46
雛の前 かしこまりたる 雨夜哉
???
1509 2-46
町中に 医者の桜の 咲にけり
???
1510 2-46
聞てから 寐られぬ夜半や 寒念仏
☆他国の人をいたみて 夜半→よわ
1511 2-47
初雪や つまむて付る 垣のはな
???
1512 2-47
屋根板を 鳶のくハへる 野分哉
台風で壊れた
1513 2-47
つふぬれて 芙蓉を出る 兎かな
芙蓉で雨宿り?
1514 2-47
蓑と笠 竹植る日の 旅出かな
☆五月十三日首途 竹植る日→陰暦五月十三日 竹を植えると必ず根付くという日
1515 2-47
しのハすハ ことしも 花の鏡かな
☆上野にて 不忍池の蓮
1516 2-47
あたりなから 梅に梅田の 工夫哉
☆鉢の木の讃 謡曲鉢の木 梅をくべたから加賀の梅田の庄を与えようかなと
1517 2-47
炭はねて 言残したる うらみかな
☆煙の中に女の顕れし画讃 幽霊の絵を見ていたら炭がはねてびっくり?
1518 2-47
吸ふてたに 鶴・の千とせや 菊の露
鶴・→つる 菊の露→菊に宿る露 飲むと長寿
1519 2-47
聟に成 人うつくしき 師走哉
うつくしき→いさぎよい 持参嫁?
1520 2-47
飛ふ中に ありく蛍や みをつくし
みをつくし→身を尽くし 力尽きで
1521 2-47
二度めにハ 戸の明てある 水鶏哉
☆再会 水鶏→くいな 鳴声が戸を叩く音に似ている
1522 2-47
子を抱て 鶏の丸寐や 霜の声
☆あはれなる物 丸寐→着物を着たまま寝る
1523 2-48
立並ひ 小褄のかへる 幟かな
☆丹五 端午の節句 小褄→こづま 着物のつま 幟→のぼり
1524 2-48
火の下に 生姜の匂ふ 霜夜哉
☆看病 生姜灸か生姜湯か
1525 2-48
鳥黒し 硯洗ひの 橋はしら
硯洗ひ→七夕前夜子供が手習いの上達を祈って硯を洗う 橋はしら→橋脚 鳥が墨で
1526 2-48
朝皃を 朝食にする 胡蝶かな
胡蝶→蝶
1527 2-48
その上に 三十足さん 百千鳥
☆七十賀 百千鳥→ももちどり 千鳥 数多くの小鳥
1528 2-48
名月や うき世の隅に 念仏講
念仏講→念仏信者が集まって念仏を行う講 葬式代の頼母子でもあった
1529 2-48
白瓜に 思ひかけなき 手綱かな
☆悼壮士 盂蘭盆のお供え 白瓜を馬にみたてる
1530 2-48
名月や それ程もなき 雲の帯
雲の帯→山などに雲が帯のようにたなびいているさま
1531 2-48
よい陰へ 放しうなきや 蓮の花
放しうなき→彼岸に売られた 放生の鰻
1532 2-48
鉢たゝき 同し所の 夜明哉
鉢たゝき→年末瓢を叩いて勧進する空也僧
1533 2-48
吹度に 佛の肉の 落葉哉
☆出山の像を拝して お釈迦様が苦行の後成道して雪山を下りる
1534 2-48
かんこ鳥 見る気ハないか 上屋敷
☆別荘にて 上屋敷が気になる?
1535 2-49
薮入の うき世に飽た 顔もなし
もっと遊びたい
1536 2-49
起々・の 筆にちからや 大根引
☆起出て又何事をいとなまむ 大根引→だいこひき
1537 2-49
玉霰 鼠の娵を 呼ふ夜かな
???
1538 2-49
山茶花や 障子のうちに 尼の聲
山茶花→さざんか 冬の尼寺?
1539 2-49
鳥さしの 振かへりたる やなきかな
鳥さし→竿につけたとりもち で小鳥を捕える人 吉原の見返り柳?
1540 2-49
椀久か 蒔て花さく 菜種かな
椀久→椀屋久右衛門 廓で一分金の豆まきをした 菜の花畑の様子が
1541 2-49
年と日の かゝりむす子や 太郎月
かゝりむす子→老後の頼りと する息子 太郎月→正月
1542 2-49
田作リの 鱠ハ寒し 梅の花
田作リ→ごまめ
1543 2-49
万歳や 今ハむかしの 縣召
縣召→あがためし 除目 三河万歳の烏帽子を見て
1544 2-49
一日の 口に余るを 蚊やりかな
☆神農 神農像は草をくわえている 試した薬草の余りは蚊遣りに
1545 2-49
はつ霜や 湯屋よりあまる 水煙
☆そのまんま
1546 2-49
風はなや ねふかに落て 入性根
風はな→かざばな 小雪のふりはじめ 入性根→いりしょうね 付け智恵☆雑俳語辞典 葱に気合を入れる?
1547 2-49
秋まてハ 我を張通す かゝし哉
取り入れ迄頑張る案山子
1548 2-49
鬼灯や 人ハ口から 年か寄り
☆述懐 鬼灯→ほおずき 口が不器用に?