【底本】
岩波文庫 誹諧武玉川(一) 山澤英雄校訂 岩波書店 1984
【凡例】
通し番号 篇-丁
(本文)
(解説)
【注意】
字・は字が底本通りでないことを示す
☆はコメントや引用
1549 3-1
牡丹を入れて かしこまる駕籠
☆冬嶺之部 自慢の牡丹を抱えて行く? 花魁が身請けされて?
1550 3-1
浮沓を 馬鹿にして居る 都鳥
浮沓→うきぐつ 浮袋の類 似てはいる
1551 3-1
女の智恵の 青い庚申
青い→未熟な 庚申→庚申待で青面金剛を祀る 庚申の夜に子供ができると盗人になるというが
1552 3-1
鼓打 女の肘は 乳へ付
わきをしめて
1553 3-1
夫の盆へ 残すさかつき
妻は自分では全部呑まず夫に
1554 3-1
さられた足て 早乙女に出る
出戻った足ですぐ田植えに
1555 3-1
おもひ出したる 井戸掘の聲
穴の底から時々声がする
1556 3-1
耳も歯も 浮世はなれて 知恩院
知恩院→浄土宗の本山 目はよくて左甚五郎が忘れた知恩院の軒の傘が見える?
1557 3-1
直切た鐘の 恥しい聲
安かろう悪かろう
1558 3-1
役の行者の 行当る市
吉野山麓の上市下市 修行途中で山から出ると
1559 3-1
遠くから 楽しみにする 立すかた
おっ彼女ー
1560 3-1
よしのゝ山を かちる小座頭
小座頭→若い座頭 三味線唄の初歩 「吉野の山を雪かと見れば」
1561 3-1
鳶を見て居る 桶伏の穴
桶伏→吉原で代金が足りない時の私刑
1562 3-1
寺の名の立 夜の大名
大名が寺に投宿して何かやらかした?
1563 3-1
みんな寐た 夢の上行 面白さ
夜這か吉原行きか
1564 3-1
新地の障子 菜の上て張る
新地→新開地 もと畑でまだ一部畑
1565 3-1
柱こよみ 寐て見る程に 春近き
柱こよみ→柱にはって使う暦 十一月や十二月は下の方
1566 3-2
胴につかれて 帰る舟宿
胴→筒 舟博打で疲れて帰る
1567 3-2
古河の番所の 管簾なる
古河→こが 管簾→くだすだれ 竹のれん 日光街道古河の御馳走番所? 通る大名の使者を接待
1568 3-2
雪隠を 借リた所て ほとゝきす
時鳥の初音を厠にて聞けば禍ありという
1569 3-2
帆かけ船 何もない日の 取さかな
取肴→酒の肴? 帆かけ舟を肴に一杯
1570 3-2
夜ハ鼠の かゝる天秤
天秤→両替など貴重品用 鼠は大黒様のお使い
1571 3-2
惚くすり 吝いなからも 都にて
京の人は吝嗇だがこの道は
1572 3-2
京の異見の 届くはつ春
江戸の支店に京の本店から?
1573 3-2
売つはな 水を二日の 仮枕
つばな→茅花 ちがやの花 仮枕→仮寝 旅枕 二日間水に入れて保存?
1574 3-2
新造の 二人前付く 奉加帳
奉加帳が廓に廻ってきて 花魁が新造の分も
1575 3-2
間合を見ては 笑ふ連弾
連弾→つれびき 琴や三味線の合奏
1576 3-2
雲の峯 碇の綱に 湯気か立
雲の峯→入道雲 碇→いかり 猛暑の港
1577 3-2
尻もちハ きのふと見へる 大根引
大根引→だいこひき 畑の穴がまだ新しい
1578 3-2
手代を付て 初の勘当
最初の勘当は親も甘い
1579 3-2
むつ言に 問いかけて見る 爪の星
爪の星→爪に白斑点が出ると衣類が新調できるという 着物をおねだり
1580 3-2
砂に育て 貰ふ大磯
育て→そだてて 大磯の子供は浜で育つ?
1581 3-2
吹るゝたけハ 螺貝へ銭
螺貝→ほらがい 山伏や願人坊主の山伏祭文?
1582 3-2
我ものと 思へハ遠き 三世相
三世相→民間占い本 自分の運勢が待ちどおしい?
1583 3-2
出家にしても 末の松山
末の松山→契り変らぬ意 椀久も鉢叩きにはなるが?
1584 3-3
傘を廻して 通る念仏
うまい陀仏の飴買という商売 墨染めが傘を廻して飴を売る
1585 3-3
物おもひ 葵咲日を 見抜けり
見抜けり→みぬきけり
1586 3-3
大三十日 いらぬ所に 灯かとほる
大晦日雪隠に終夜燈明をともす習俗あり
1587 3-3
掌へ 貰ふたやうに 星か飛
流星? 蛍?
1588 3-3
汐汲の 男をなふる 肩の上
肩で担ぐことでは男勝り
1589 3-3
いき過る 比丘尼の顔に 腹か立
会釈くらいしてくれても
1590 3-3
青物の 中に玉子の 突出され
精進あけに卵の差し入れ?
1591 3-3
死そこなふて 辞世仕直す
辞世の句をまた推敲
1592 3-3
藤の使は 立て請取
長い藤の房を贈り物
1593 3-3
あかつきかけて 寒い廻状
廻状→代官などから村々などへ回覧する文書
1594 3-3
ころぶ子の 稲妻ハ目へ 這入也
泣きっ面に蜂
1595 3-3
塩かまに 赤い天窓の 姉いもと
天窓→あたま 須磨の松風村雨姉妹 汐汲で茶髪に?
1596 3-3
長刀の 師匠と聞て 寄付す
長刀→なぎなた 寄付す→ よりつかず 越してきたのが長唄の師匠ならよかった
1597 3-3
物音へ 心〳〵に 名を付て
心〳〵に→それぞれ別の心で
1598 3-3
雪掻の はしめハ片手 懐手
はじめは億劫だんだん真剣
1599 3-3
師走にあハぬ 御師の顔付
御師→おし 伊勢の御師 年末にお札の交換に来る のんびりして師走に合わない
1600 3-3
剃刀に 羽子の程の 息を懸ケ
羽子→はごこ
1601 3-3
されはこそ 様子有へき 普門品
普門品→ふもんぼん 観音経 主馬判官盛久普門品の功徳で処刑を免れる
1602 3-4
樽拾ひ あやうい恋の 邪广をする
樽拾ひ→酒屋の丁稚 路地や物置に入ったら
1603 3-4
約束の 記念も後家の もみかへし
記念→かたみ もみかへし→意見を変える?
1604 3-4
遠くから 娘の逃る 焚火陰
焚火陰→たきびかげ 若者の焚き火
1605 3-4
引舟に 連立て行 烏打
☆そのまんま
1606 3-4
馴染か付と かハる取親
取親→仮親 身請けに備えて判人の仮親から尤もらしい養い親に変える
1607 3-4
眼の下の 物を見くひる 崖作リ
崖作リ→水上に建物を張り出して作る 下の家を
1608 3-4
飛鳥の 先にたゝんと 木葉ちる
☆そのまんま
1609 3-4
取あけ婆〻を もとす引汐
陣痛が遠のいた
1610 3-4
両袖に 秋風つゝむ 寺小性
☆そのまんま
1611 3-4
小荷駄の首の 正直に行
小荷駄→荷物を運ぶ馬 重いので道草しない
1612 3-4
見送て行 蟬の小便
☆そのまんま
1613 3-4
御幸の牛の 物喰ひもよし
牛車の牛で行儀も良い
1614 3-4
いく度たまして 畳むちりめん
いろいろ工夫して
1615 3-4
田渋汲 たらいハ妻の きぬさらき
田渋汲→たしぶくむ 田の水あかを汲む きぬさらき→きさらぎ 二月
1616 3-4
巻紙の 二重心ハ 跡へまき
二重心→陰日向のある心? 手紙を書いた後に巻き戻して 少し書き足す
1617 3-4
猿の戻リの みゆる高橋
猿が高い橋から見える?
1618 3-4
石切の 火か飛んてから 猶寒し
石切→石を切り出す人
1619 3-4
正平紋に 侘る大兵
正平紋→しょうへいもん 型染めし切り付けた紋 大兵→だいひょう 大男 衣の紋が見苦しくてわびしい
1620 3-5
もしほ焼 伊達ハなけれと 瓦かま
もしほ焼→海藻に塩水をかけ焼く製塩 瓦かま→瓦を焼く窯 源融ほど優雅ではないが 今戸辺りの光景
1621 3-5
臍へりきみの 廻る堪忍
☆そのまんま
1622 3-5
庄屋の産に ほらの貝ふく
庄屋さまの出来事を村人に法螺貝で知らせる習慣
1623 3-5
足軽の 鞘鳴リかして 電リ
電リ→いなびかり 鞘鳴リ→刀身が鞘に合わずガタつくこと 慌てて走る
1624 3-5
気のもめる 時ハつき出す 置巨達
置巨達→おきごたつ 落ち着いて座っておられぬ
1625 3-5
百万遍に ゆれる蓬生
ぼろ家に大勢で百万遍念仏
1626 3-5
灯籠に 手間を入ても あちきなし
盆灯籠
1627 3-5
朝夕の 間も大工の 遅さくら
遅さくら→遅咲きの桜 日が長くなり仕事仕舞も遅い
1628 3-5
母の心へ ひとつ合鎰
合鎰→あいかぎ 何か弱点が
1629 3-5
臍の緒ハ 松坂に有リ 若たんな
松坂の本店の若旦那が江戸の支店で修行中
1630 3-5
気違を 淋しく通す 京の町
江戸と違って騒がない?
1631 3-5
桜川 西瓜の皮も 流れけり
桜川→愛宕下の桜川 桜も咲くが芥も流れる 謡曲桜川?
1632 3-5
うき秋を 焚て紛る 八王寺
八王子は炭の産地 憂い秋を炭を焼いて紛らわす
1633 3-5
女か勝て 捨たる光陰
世も末だ
1634 3-5
内侍といへは 聞惚かする
内侍→女官 勾当の内侍とか 名を聞いただけでも惚れる
1635 3-5
箔代の 雨の舎りも 手向艸
箔代→はくしろ 仏像の箔の寄進を募る僧 舎り→やどり 手向艸→手向けの品
1636 3-5
帯した妾 明るみへ出る
帯→岩田帯か 妊娠したお妾が出世
1637 3-5
ゆるさぬ路次の 夏に破られ
路次→路次口の木戸 通行止めの木戸が夕立等で通り抜けられ
1638 3-6
もたれた壁の ほめく立聞
ほめく→熱くなる 身体が熱くなるような内容
1639 3-6
根津のやき物 今にすめかね
根津→根津遊郭 当時は場末 やき物→焼魚 すめかね→納得がいかない 食べた魚が今もって正体不明
1640 3-6
背中て蠅の 遊ふ腰ぬけ
☆そのまんま
1641 3-6
旅を哀に したる順礼
☆そのまんま
1642 3-6
聞出して 無理に買せる 惚くすり
あいつに気があるんだろー?
1643 3-6
基佐を取 残す大原
基佐→もとすけ 桜井基佐 大原三吟の連歌師だが宗祇は新撰莬玖波集で句を採用せず
1644 3-6
百度参の 跡を掃出す
百数えるのに竹ぐしや銭さしを使ったので境内の掃除が要る
1645 3-6
郭公 思ひ〳〵に 漕出させ
郭公→ほととぎす それぞれの気分で舟を出す
1646 3-6
初午の 裏ハかけ菜に 気か腐リ
稲荷社の表は賑やかだが 裏に菜が干してあったりして気が滅入る
1647 3-6
娘か逃て 追人なくなる
追人→おって 追人も逃げた?
1648 3-6
過去帳に 惜しい男を とめて遣る
☆そのまんま
1649 3-6
落馬を恥に 立ぬ意地張
無念じゃ ここで死ぬ
1650 3-6
追人の腰の 抜るはし詰
追人→おって 身投げした後だった
1651 3-6
六ツと六ツとか 鐘のおもいれ
明けの鐘と暮れの鐘 人の思いは様々 廓の出入り?
1652 3-6
蚊はしらの 顔へ崩れる半太夫
半太夫→半太夫節 義太夫の類い 縁台でひとうなり?
1653 3-6
とし忘 夫婦で仕廻ふ 八重むくら
仕廻ふ→すます 八重むくら→草庵 夫婦でささやかに忘年会
1654 3-6
牛盗人の 棒て仕かける
仕かける→喧嘩をしかける?
1655 3-6
浅艸に 舅か出来て 歩行かね
歩行→ありき 観音様の裏手へ行けない
1656 3-7
鍔の鳴る 刀の売れる 八王寺
鍔→つば 鍔の鳴る刀→安い刀? 八王子千人同心という半士半農の武士が八王子に住み国境や東照宮の警備をした
1657 3-7
命ある ものを残して 汐干かた
引き潮で小魚とかが取り残され
1658 3-7
苦いきせるを ほふる鹿聞
鹿聞→しかきき 鹿を聞こうと一夜煙管をくわえていたが
1659 3-7
鶯か 能けれは籠に 欲か出来
能けれは→よければ もっと良い籠が欲しくなる
1660 3-7
また捨切らぬ 神へ言伝
神→大神 大尽 対して 取巻きの幇間を末社という 言伝→ことづて 遊女からお見限りの旦那に
1661 3-7
鵜遣ひの 流につれて 身のひねり
☆そのまんま
1662 3-7
鰒といふ 奴か出てより 面白き
鰒→ふぐ ☆そのまんま
1663 3-7
幡に隠るゝ 衣屋の娵
幡→はた 衣屋→僧の法衣を商う 娵→よめ
1664 3-7
篠懸を這ふ ほんほちの虫
篠懸→すずかけ 山伏の衣 ほんほち→ぼんぼち 貯蔵し変色した米 お布施に貰った米に虫が
1665 3-7
物思ひ 蝕の盥へ 寄つかす
蝕→しょく 日食 盥に映す 興味なし
1666 3-7
面打の 振向方に かゝみ立
かゝみ立→鏡台 自分の顔を参考に面を彫る
1667 3-7
娘の意地を 立る負公事
娘の→娘が? 公事→訴訟 婚姻関係または離婚訴訟か 負けた男の方を贔屓する?
1668 3-7
気のなかい 遣手へ猫の 行当り
立ち聞きをする遣手婆に猫が行き当たる
1669 3-7
能なし猿を 居へる摂待
能なし猿→能のない人の意? 居へる→すえる 摂待→せったい 無料の門茶 ぼーっとしている人が係 能なし猿とか芸なし猿とかいう言葉は俚言集覧にある
1670 3-7
仮名を書せて なぶる金剛
金剛→役者の下僕 客が字を書かせてみる?
1671 3-7
かき立る 手も真青に 石燈籠
燈籠の灯をかきたてる手に苔の色が映る
1672 3-7
たいこか顔に すり付る伽羅
伽羅→きゃら 吉原隠語で金 幇間がふざけて鼻で嗅いでみる
1673 3-7
本陣の はるか奥より 針の銭
広い本陣の奥から針治療の代金が
1674 3-8
うまい息子の あそぶ朔日
うまい→巧みな? 朔日→ついたち 紋日の八朔 遊女は白無垢を着る
1675 3-8
天の川 淋しい幮に 若旦那
幮→かや 七夕の座敷牢 吉原の紋日なのに
1676 3-8
抱付て 明るく成リし 恋の闇
抱付て→だきついて あたってくだけろで大成功
1677 3-8
裄丈の 揃ハぬ内か 誠なり
裄丈→ゆきたけ 和服の裄と 丈 裄の長さ 背中の縫い目から袖口までの長さ 物事の程度 物事の程度が揃わぬうちが?
1678 3-8
引出の 走リ過たる 噂言ひ
引出→ひきだし 引き出しが走り出るように 尾ひれが付いて
1679 3-8
いつ見た侭か けいせいの夢
故郷の夢を見る隙も
1680 3-8
うき世絵書へ 隣から膳
長屋の独り身の絵描き 隣のおかみさんが世話を
1681 3-8
めくるゐんくハの はやい銭箱
出入りが早い 「因果は皿のふち」☆諺☆俳説ことわざ辞典 因果のまわることの早いたとえ
1682 3-8
妾の親の 見飽く人参
なにかにつけ旦那から人参が
1683 3-8
開帳に 下る仏を 小笹はら
小笹はら→おざさはら 笹が生い茂っている原 都から出開帳の仏様が休憩
1684 3-8
鰹の罪は 酔て顕れ
腐った鰹を喰うと酔う?
1685 3-8
泣く子をは 乳母に預けて 立すかた
若奥様の外出?
1686 3-8
とうらくて 痒い所へ 手か届き
とうらくて→道楽で 酸いも甘いも噛み分けた人
1687 3-8
うき秋を たき付て行く 黒木うり
黒木売りは焚付けてもくれた
1688 3-8
鰯ある日の 空に知らるゝ
鰯雲は鰯大漁の前兆
1689 3-8
声を立ると いふか奥の手
大声をたてますよ
1690 3-8
蓬生に 左まへなる 風の神
蓬生→草深い荒れた地の家 田舎では人がまばらなので 風邪が流行らない ☆武三・23
1691 3-8
昼皃も 溜息をつく 小名木沢
昼皃→昼顔 小名木沢→おなぎざわ 深川の小名木川 隅田川と中川を結ぶ運河☆江戸文学地名辞典 川通りで日陰なし
1692 3-9
双六に 片手のきかぬ 五月雨
外出できないので片肘ついて双六?
1693 3-9
生なから 何にあハれて 常念仏
生なから→いきながら あハれて→? 常念仏→じょうねぶつ 絶え間なく念仏を唱えること
1694 3-9
燈籠の 火を細〳〵と 梅寒し
☆そんまんま
1695 3-9
青いもの着る かるい疱瘡
疱瘡治癒祈願の赤いものを着るほど重症でない
1696 3-9
新造の わつかな願を かけなかし
新造→若い女郎 かけなかし→その場限り 願の掛けっばなしでお礼参りせず 若い新造の信心なので
1697 3-9
強飯の 訳も知らすに 目出度日
強飯→ここでは小豆飯 目出度→めでたい 母と娘が知る 男の兄弟は知らない
1698 3-9
かい敷の 笹に手を引 稲ひかり
かい敷→食器の下に敷く葉 稲光で手を引く?
1699 3-9
入智恵に 口の揃ハぬ 恋衣
口の揃ハぬ→口裏を合わせることに失敗する? 恋衣→心から離れない恋 入れ知恵が恋路の邪魔に?
1700 3-9
念者に似合ふ 大つゝみ打
念者→男色の兄分 大つゝみ→大鼓
1701 3-9
文盲な 駕は寐て行 かゝみ山
かゝみ山→近江の歌枕 興味無し
1702 3-9
須广とあかしは 曠な知行所
曠な→はれな 知行所→旗本の領地 名所を所領
1703 3-9
野守の鷹の 水底を飛ふ
謡曲野守鏡 木の下の鷹が水に映る
1704 3-9
晦日ほと 人の心に あかれけり
晦日→みそか 借金取りが来て嫌
1705 3-9
行脚の夢の 顔へふろしき
行脚→徒歩で諸国を旅する人 蚊帳のかわりに
1706 3-9
口留を して出す庵の 小さかつき
般若湯?
1707 3-9
夕顔咲て 汁か喰れる
夕顔の若い果実は食用で干瓢にしたりする
1708 3-9
身の代もつて 這入る蓬生
身の代→蓑代衣 蓑代わりの粗末な衣 蓬生→草深い荒れた地の家 雨漏り
1709 3-9
寺にさへ ふせう〳〵な 午まつり
ふせう〳〵→不承不承 午まつり→初午 寺の境内の稲荷社も
1710 3-10
明後日と かるく請合ふ 水浅黄
水浅黄→薄い浅葱色 紺屋の明後日というが これは薄いのですぐ染め上がる
1711 3-10
赤蛙 国主の腹へ 這入けり
赤蛙→疳の薬 国主→大名 若殿の疳の虫に
1712 3-10
大黒の 吝い所を ゑひす講
大黒は財を貯めるので吝い ゑひす講は大盤振る舞い
1713 3-10
寄ツてかゝつて 憎む六波羅
六波羅→平家
1714 3-10
座頭の口て 止る売居ヘ
売居ヘ→うりすえ 造作付き売家 金貸しの座頭から借金できて 家を売らないで済んだ
1715 3-10
能い顔を さかしに出たる 朝かすみ
遊び友達を探す?
1716 3-10
死ンて願いの 叶ふ書置
心中
1717 3-10
及の笑ひの うまけれは降
及→ぎゅう 妓夫 遊郭の呼び込み 首尾が良ければ明朝は雨も降って居続けですよと
1718 3-10
帯といふ ものは日本の 後ろつき
後ろつき→後ろ姿
1719 3-10
色〳〵に 𧝒を着て見る 翌る晩
𧝒→夜着 掛け布団にする着物のようなもの 昨夜を思い起こして
1720 3-10
分別さかり 北面の武士
北面の武士→上皇の親衛隊 西行?
1721 3-10
物干へ 鳶の蹴落す 蟬の聲
☆そのまんま?
1722 3-10
下戸の差出を 責る盃
差出→さしで 出しゃばり 酒も呑めぬ奴にわかるかなどと酒飲みが
1723 3-10
紅帋燭 夫から先は 御意次第
紅帋燭→べにしそく 疱瘡の子の看病 赤は疱瘡平癒祈願の色 病児の我儘をきいてあげる
1724 3-10
涅槃像 あらゆる泪 こほしけり
老若男女動物 猫以外
1725 3-10
踊子の名と 同し若党
若党→若侍 偶然
1726 3-10
蕣に 狐を馬の 草履とり
蕣→あさがお 狐を馬に乗せたよう→つじつまがあわない☆江語辞 旦那の朝帰りの苦しい言訳ををするお供の草履取り
1727 3-10
一盛リ 二人の親を 淋しかり
一盛リ→若い遊びざかり 淋しかり→物足りなく思う
1728 3-11
蘇生の隠居 人に見らるゝ
生き返ったのが有名になって
1729 3-11
枕の数を 持たぬ獨リ寐
独身男
1730 3-11
そといふ文字を 嬉しかる婆〻
其文字? ???
1731 3-11
喰摘に ことしの物ハ なかりけり
喰摘→くいつみ 年賀客に 出す取り肴 去年用意したものばかり
1732 3-11
水に寄る わか黒髪も 二ツ折
二ツ折→髪を二つに折った形に結った髷 筒井筒の後日?
1733 3-11
瀧の調子の 狂ふ荒行
滝に打たれる修行者が動くと
1734 3-11
酒にする気て ぬるい雩
雩→あまごい 雨乞いの後酒を呑もうというような
1735 3-11
言たてに 一ツもならぬ 恋の闇
言たて→いいたて 理由
1736 3-11
漸〳〵と 臍の緒落る 雛の主
漸〳〵→ようようと やっとのことで☆江語辞 雛まつり直前に産まれた子
1737 3-11
奇麗な京に 高い小便
京では大根とかと交換できた あるいは京の女の?
1738 3-11
退イた狐の 急に餲へる
退イた→のいた 餲へる→かつえる 狐憑きが落ちて急に空腹に
1739 3-11
礫のやうな 法の返答
禅問答
1740 3-11
小性の棹て 水門を出る
殿様の舟遊び?
1741 3-11
暖な 咄して行 鉢たゝき
鉢たゝき→年末に瓢を叩いて勧進する空也僧 梅とか春近い話題を
1742 3-11
芦分舟の いたいめをする
芦分舟→あしわけぶね 芦の間を漕ぎ行く小舟 差障りの多いたとえ
1743 3-11
嵐の巻て 通る小むしろ
嵐が小さい筵を吹き巻く
1744 3-11
佛より 先に言るゝ 毘首羯磨
毘首羯磨→びしゅかつま 印度の伝説的仏師 このお像はあの毘首羯磨作の
1745 3-11
かはやきの 煙の中に 善の綱
善の綱→御開帳の時参詣人に引かせる綱 門前の殺生の煙がありがたい綱に
1746 3-12
三味せんハ 乞食の膝へ 作り付け
看板代わり?
1747 3-12
角力取 髭人参に 助られ
髭人参→漢方薬の一つ 薬用人参の細根? 疲労回復や虚弱体質の改善に 大きな相撲取りが
1748 3-12
きしむ戸を 踏放されて 雲の峯
雲の峯→入道雲 動きの悪い戸を蹴り開けられたら家の外は夏景色
1749 3-12
残らす紅ミの わたる看病
紅ミ→もみ 紅色に染めた絹布 疱瘡の看病 看病人の着物を疱瘡平癒祈願の赤い色で揃えて
1750 3-12
破軍の下を 歩行傾城
破軍→破軍星 万事に凶の星 歩行→ありく 花魁の運命
1751 3-12
三条へ出て 元トの気違ひ
元ト→もと? 田舎で静養して治っていたが三条大橋の雑踏に出たら再発
1752 3-12
勘当された 一周忌来る
勘当されてちょうど一年
1753 3-12
合口の 友に成るなら 御納戸茶
合口→あいくち 話が合う 御納戸茶→おなんどちゃ 緑がかった浅葱色 宝暦頃からの流行色☆江語辞
1754 3-12
棒を習ツて 憎ひ口聞く
棒術に入門して自慢
1755 3-12
翌京と 言ふ近江路の 心持
翌→あす 東海道中 やっと着いた
1756 3-12
茅の輪を抜ける 不拍子な顔
不拍子→間が悪い 茅の輪くぐり
1757 3-12
髪際に無理の 残る墨染
髪際→けぎわ にわか出家の剃り残し
1758 3-12
おもひ錆付く お物師の針
お物師→武家に仕える裁縫女 小さな錆もおおごと? 恋の涙で錆び付く?
1759 3-12
むかしの事を 思ひ切る親
勘当 良い子だったのに
1760 3-12
去年のけふ 逢ふたまゝなる 紋所
去年→こぞ お見合いの場でもある報恩講で 去年と同じ紋の着物を着ている娘の縁遠さ
1761 3-12
初嵐 広い通りを 横に行
初嵐→立秋後初めて吹く強風
1762 3-12
三十に 成ると女の 世かすたる
当時は
1763 3-12
また針指の 出来る囲れ
針指→はりさし 針たて 囲れ→僧侶の妾 長屋住まいのお妾が内職に心得のある針仕事をする?
1764 3-13
両方の 目のいそかしき 中の町
中の町→吉原の大通り 道の両側の見世をひやかし
1765 3-13
誓文を 立る若衆の 聲高く
誓文→せいもん 起請文を書く男色の弟分
1766 3-13
遊行の札を さかす綻ひ
遊行の札→遊行上人が回国で配る名号札 綻ひ→ほころび 着物が破れる位の奪い合いでお札がどこかへ
1767 3-13
かハらの煙リ 白髭へ行く
かハら→本所小梅の瓦窯あるいは今戸か? 白髭→向島の白髭神社 隅田川近辺の風景
1768 3-13
木馬の側に かゝみ見て居る
木馬→乗馬の稽古用 かゝみ見て居る→かがんで見て居る 木馬に乗る若様を見守る家来
1769 3-13
土器師 ともに鶉を 誉て居
土器師→かわらけし 素焼きの職人 京の深草は土器と鶉が有名
1770 3-13
にハたつみ 夜も鳴鳥の 水かゝみ
にハたつみ→水たまり 夜営業する夜鷹が鏡にする
1771 3-13
百日法花 また杖をつく
百日法花→ひゃくにちぼっけ 平癒祈願のため一時日蓮宗に 治りかけでまだ杖をつく
1772 3-13
寒聲の 仲間はつれは 物おもひ
寒聲→冬の夜外でする音曲の練習
1773 3-13
太鼓へあたり 曠な散銭
曠→はれ 晴れがましい? 散銭→さんせん 賽銭 派手な音が
1774 3-13
灌仏の 湯気に隠れて 一二町
浅草寺から吉原行き
1775 3-13
たかれて来たる 鶏の身振ひ
鶏→とり ☆そのまんま
1776 3-13
大屋も知らす 玉のこし来る
いつの間にやら お殿様の目に止まり
1777 3-13
御物語に 低い手まくら
御物語→お話 語り合い ???
1778 3-13
凩に 向て奴の 反かへり
凩→こがらし 奴→やっこ 大名行列 あるいは凧か?
1779 3-13
梓にかゝる 若衆さひしき
死んだ念者を口寄せ
1780 3-13
うき時の 丁子頭に 唱へ事
丁子頭→ちょうじがしら 灯心の燃えさしの塊 吉兆 「丁子丁子吉丁子」と唱える
1781 3-13
風巾を貰ひに 吉ハらの屋根
風巾→たこ 凧が切れ飛んで吉原へ
1782 3-14
薬いしりの うへる桑の木
桑枝は解熱などの煎じ薬 葉皮根実にもそれぞれ薬効
1783 3-14
結納に あたりのわるい 若手代
婿は俺だと思ったのに
1784 3-14
寐入られぬ 心につかふ 有ツたけ
想像の世界で大散財? 眠れずただ悩む?
1785 3-14
枕かや見て 吹かぬ山ふし
枕かや→枕蚊帳 子供が寝ているので法螺貝を吹くのを遠慮
1786 3-14
洗ツた馬の かハく松かせ
☆そのまんま
1787 3-14
小僧か智恵ハ 飛なから出る
半分逃げながら言訳を?
1788 3-14
何所やら匂ふ 新御所の雨
雨の日には新しい木の香りが きわだって
1789 3-14
関守に 時宜をして行 傀儡師
時宜→辞儀? 傀儡師→かいらいし 芸人は職業が証明できればバス
1790 3-14
明暮に 糸ゆふを汲 油うり
糸ゆふ→陽炎 油膜の模様?
1791 3-14
家守の耳を 鳴つぶす蟬
家守→やもり 大家さん 蟬がうるさい
1792 3-14
物くるひ 関の清水に 聞惚て
逢坂の関の清水?
1793 3-14
幮を振ツて 枕見出され
幮→かや ☆そのまんま
1794 3-14
本阿弥に 星をさゝれて 跡しさり
本阿弥→刀剣鑑定の家 星をさされて→図星 おそれいりました
1795 3-14
乞食寐て居る 売居への門
売居へ→うりすえ 造作つきの売家 空屋なので追っ払われない
1796 3-14
焚火に塩の 落る腰簔・
漁師の蓑から海の水が
1797 3-14
雨乞に 力を添へる 尾長鳥
尾長鳥は雨を呼ぶという
1798 3-14
こせ〳〵と 何ンそ言たい 念者の気・
こせ〳〵→小さい事に拘る様 あれこれ言いたい衆道の兄貴分
1799 3-14
二日つゝいて 買かつく夢
買かつく→かいかつぐ かいかぶる 続けて同じ吉夢をみて こりゃあ本当に大吉だと
1800 3-15
通れと声の 尖る関もり
関所で 通れ!
1801 3-15
小さい手から うまい小つゝみ
小つゝみ→小鼓 大男には似合わない
1802 3-15
はらを立 とき黒髪ハ 殖て見へ
怒髪天を衝くの類
1803 3-15
孕器用も 尻知らすなり
孕器用→はらみきよう 妊娠しやすいことか? 尻知らす→しりしらず 戸を開けて閉めない者
1804 3-15
夜ハほの〳〵と 古市の文
古市→伊勢参宮途中の遊郭街 翌日宿へ遊女から文が来たという
1805 3-15
雨の祈の 光る山ふし
ありがたい山伏の雨乞い
1806 3-15
大造に 可愛かられて 長恨哥
大造に→たいそうに 長恨哥→ちょうごんか 玄宗と楊貴妃
1807 3-15
呼屋の婆〻の うか〳〵と老
呼屋→よびや 上方で女郎を呼ぶ小楼 茶屋より格式が低い
1808 3-15
先達の 棒を集めて 宿を取
富士登山の宿取 金剛杖の数で人数を
1809 3-15
どつかりと寄る 牢人のとし
浪人して急に老けた
1810 3-15
道具鄽 ほと頃日の 髪かたち
鄽→みせ 頃日→このごろ 売るくらい沢山簪や髪飾りを髪に
1811 3-15
寡のおもひ 念佛て消す
寡→やもめ 雑念を紛らわす
1812 3-15
らうそくに 力くらへの 緋縮緬
長い張見世?
1813 3-15
焙烙・売の だます村雨
焙烙売→ほうろくうり 村雨→降ったり止んだりするにわか雨 焙烙屋が来ると雨が降る☆諺☆俳説ことわざ辞典
1814 3-15
病人か 看病人を 連れて逃け
本復したら手に手をとって
1815 3-15
石の様なる 名ぬし派か利く
頑固な名主
1816 3-15
借筆に 言訳くらき 恋の山
借筆→かりふで 筆を借りて?
1817 3-15
子宝に 喰立られて 哥まくら
旅に出る余裕もないが「歌人は居ながら名所を知る」☆諺☆俳説ことわざ辞典 ということか?
1818 3-16
烏の子 一ト雨つゝに 羽の光り
烏の濡羽色に羽が生え揃う
1819 3-16
暮六ツまへに 大またな武士
大名屋敷の武士は門限厳守
1820 3-16
乳母乗て 動かぬ池の 捨小ふね
捨小ふね→廃舟 大柄な乳母
1821 3-16
七曜へ吐く 船頭の息
七曜→北斗七星 夜空へ白い息がかかる
1822 3-16
針箱へ 額か付と かんこ鳥
針仕事の途中でうたた寝 あたりはひっそり
1823 3-16
常念仏 声か替れは 近くなり
常念仏→じょうねぶつ 声が弱くなるとお迎えが近い
1824 3-16
隠す事 なくて女房の 老にけり
今更お互いに隠し事もなく
1825 3-16
物悦ひの よこれもの着す
物悦ひ→ものよろこび すぐ喜ぶこと ???
1826 3-16
妾の尼の 言しらけ也
言しらけ→いいじらけ 言い争った後座がしらける
1827 3-16
灸のすへ人を 持たぬ墨染
独り住まいの出家 背中に灸をすえるのに困る
1828 3-16
吉ハらの 恥もおもへハ 一周忌
勘当されて一周年? 葬式の後で行って恥かいた?
1829 3-16
縄代に 夕部ころんた 下駄か浮
縄代→なわしろ 夕部→ゆうべ 昨夜暗い畦道で転んで下駄をなくした
1830 3-16
幾度か聞く 何かしの寺
「あの何とかという寺」とまた聞く 寺の名は覚えにくい
1831 3-16
上戸のぶんハ 残る子の刻
子の刻→午前零時頃 酒飲みは吉原へ遅く来る? 遅くまで酔いつぶれない?
1832 3-16
糸細工 人の気を置 当广寺
当广寺→たいまでら 糸細工 蓮の曼荼羅あり 気を置→気持ちを気遣う
1833 3-16
春の野や 飯粒をふむ 山かつら
山かつら→やまかずら 早朝 昨日の行楽の人の残り飯を踏んだ?
1834 3-16
恋風の 横からあたる 涼ふね
恋風→恋の風のような切なさ 涼ふね→すずみぶね 並んだ屋形船の間での恋?
1835 3-16
座頭の噺 飛〳〵に行
療治しながら取りとめもない話しを
1836 3-17
清瀧迄は かつく挑灯
清瀧→京都愛宕山参詣の途中の地名 暗いうちから出発して
1837 3-17
湯とうふの 有ゆへ人の 二日酔
二日酔いには湯豆腐で迎え酒
1838 3-17
子にハ噺の あわぬふりつけ
子供にとっては振り付けが何でそうなのか納得いかない ?
1839 3-17
鳴聲ハ 葎の宿の ふとり牛
葎の宿→荒れた家 家は貧相だが牛は太っている
1840 3-17
鉢たゝき たゝき仕廻へハ 鉦の音
鉢たゝき→年末瓢を叩いて 勧進する空也僧 瓢のあと鉦を打つ
1841 3-17
曲たいこ 若い姿の かげぼうし
曲たいこ→きょくだいこ 曲芸のように打つ太鼓
1842 3-17
目の覚た 縞を着て居る 名代乳母
名代→有名な 評判の 派手な縞柄
1843 3-17
呑たい折に 見へぬ丸薬
服用したい時に見当たらぬ
1844 3-17
子にふろしきを かける日蝕
日食の日は毒が降ると?
1845 3-17
つけ口は 鳥に成ツても 憎かられ
鳥であっても?
1846 3-17
うれしさの 袖も涙の 大あくら
大の男の嬉し涙? ???
1847 3-17
みのわの言葉 問ふに及ハす
箕輪→吉原の西で娼家の寮や妓夫の家があり 吉原の遊女が妊娠すると蟄居 日常語使用
1848 3-17
隣の反吐に あわす鶏
鶏が他の鶏の鳴声と間違って
1849 3-17
涙の雨は 殿をかろしめ
かろしめる→かろんずる 軽視する お妾の涙でお家傾く
1850 3-17
旦那寺 春の道具に 遣ハれて
花見に使われる
1851 3-17
笙の師へ ちらり〳〵と 御扶持方
御扶持方→おふちかた 扶持またはそれを司る職 たまに扶持米が来る?
1852 3-17
若衆の肘の 袖笠に出る
袖笠→袖を笠にする 若衆は成長が速いのが残念
1853 3-17
一本松の ぬれてとし寄
唐崎の一ツ松に唐崎の夜雨
1854 3-18
紙雛の 物にかまハぬ 立すかた
紙雛→紙を折って作る一対の立ち姿の内裏雛 素朴なありのままの姿
1855 3-18
片折戸 立ても内ハ 生さかな
片折戸→蝶番で折り畳める片開きの扉 閑居しても精進せず
1856 3-18
目かねても 今ハ暦に 歯か立す
目かね→めがね 老眼
1857 3-18
三輪の山 夜の女に ふりかへり
謡曲三輪関係か
1858 3-18
側て口舌も 知らぬ夢助
側て→そばで 口舌→くぜつ 恋人の焼き餅の言い争い 夢助→眠りこけている人
1859 3-18
くろもしに 足軽の手も 香はしき
くろもし→黒文字という木で作った楊枝 芳香がある 足軽の内職?
1860 3-18
色には出さぬ 京の貧乏
表に出さないのが都人の誇り
1861 3-18
十日ほと 覗かぬ様に とうからし
毒断 病気の時身体に害がありそうなものを避ける 見てもいけない?
1862 3-18
浪人の 門田を植る やりはなし
門田→家の前の田 植えてはみても後は出来ない
1863 3-18
京を相手に きつい事いふ
江戸っ子が京言葉の人に 荒っぼい言葉使いをする? 方広寺の鐘の銘文の一件?
1864 3-18
緋の衣 眠たい朝の 仕事也
緋の衣→高位の僧衣 高僧になっても朝のお勤めはつらい?
1865 3-18
谷ツ七郷の 魚ひかる也
谷ツ七郷→やつしちごう 鎌倉の意 初鰹
1866 3-18
隙な日ハ 系図見て居る ゑほし折
ゑほし折→烏帽子職人 家系によって形が違うので 系図も勉強
1867 3-18
未来の種も 捨ものゝうち
未来→あの世☆江語辞 功徳を積んでもあてには
1868 3-18
呼子とり 青い皃から 先へ出る
呼子とり→かっこう 鳴声が呼ぶように聞こえる 青い→未熟な
1869 3-18
悟り尽して 元の羽二重
羽二重→黒羽二重の略 通人が好んだ着物 いろいろ凝ってみたが
1870 3-18
可愛からるゝ 種の三味せん
三味線をネタに
1871 3-18
取揚婆〻の おとる乗もの
乗物→引き戸付きの駕篭 急ぐ駕篭の中で揺られて
1872 3-19
意見せぬ 遊ひははやく 倦か付
倦→あき? 異見される遊びはなかなか飽きない
1873 3-19
畳の上の 蝶ハふり袖
☆そのまんま
1874 3-19
家督あぶなく 器用過たり
遊びも商売も両立させようとして
1875 3-19
稀に吉田の 二階から顔
「吉田通れば二階から招く」というが 引っ張り込むことのほうが多い
1876 3-19
桟留を 着るもさかりの 艸履取
桟留→さんとめ サントメ縞の綿織物 今日は自分がお客で
1877 3-19
山伏の火の 艸へ来て消へ
麓へ出て松明を消す
1878 3-19
美しい気を 捨る三十
当時の三十は
1879 3-19
よく似た顔に 遠いさゝやき
そっとつぶやいてみる? 役者の噂話?
1880 3-19
光陰の 中にも八日 十二日
八日→十二月八日の事始 十二日→七月十二日の草市
1881 3-19
費な顔の 見へる九重
費→ついえ お金がかかる 九重→宮中 お姫様とか?
1882 3-19
鼓も下手に 狸老けり
腹鼓も張りがなく
1883 3-19
此日さかりに 昼かほの淡
此→この 日さかり→日盛 炎天下 淡→あわ あっさりしている
1884 3-19
茶碗ては あたりの濡る 硯はこ
茶碗で硯に水を入れようとして失敗
1885 3-19
夢に見る つもりて昼も 文まくら
恋文を枕の下に敷いて昼寝
1886 3-19
灯に向ふ 女の顔へ 夏の虫
白い女の顔 女の心にも?
1887 3-19
涙をかつく 供の乗もの
乗もの→引き戸のついた駕篭 高貴な人の葬列?
1888 3-19
人形遣いの 惚ところなき
顔が見えん
1889 3-19
貰ふたを 扇て分る かきつはた
扇て→おうぎで 扇に載せて?
1890 3-20
はたかな人に よける清水
清水に裸参りする人を参詣人が避ける?
1891 3-20
春の夜を 少し買はや 宝ふね
買はや→かわばや 宝船の絵を買って良い初夢を
1892 3-20
巡礼の 棒をひくのも 気の転し
気の転し→きのまわし? 親切?
1893 3-20
腹立ツて着る 裄か揃ハす
裄→ゆき 着物の背中の中心の縫い目から袖口までの長さ 変な着かたに
1894 3-20
まだ寐ぬ伏見 つゞく売物
三十石船の発着場で遅くまで賑わう
1895 3-20
世のまこと 忽くろむ 善の綱
忽→たちまち くろむ→汚れて黒くなる 善の綱→御開帳で仏様から参詣人に引く綱 人々の罪業で?
1896 3-20
銀閣寺 斗見残す 出養生
斗→ばかり 出養生→でようじょう 転地療養 銀閣寺は洛東で行きにくい
1897 3-20
松風ともに 質に取る山
松林の山を松風ごと質に取る
1898 3-20
遠くへ知恵を 廻す餞別
思案して旅先で役立つものを渡す
1899 3-20
仲人を 二階の上て はつて居る
仲人の結果が待ち遠しい
1900 3-20
中間一人 たよりない恋
腰元も付ければ良かった? 恋の仲立ち
1901 3-20
振袖に 稲妻よけて やり過し
振袖を持ち上げて顔に当てる
1902 3-20
瘭疽を病ンて 起請こハかる
瘭疽→指先の皮下の化膿 起請文を書く時は血判をつくために指を傷をつけるので
1903 3-20
打れる瀧を にらむ剛力
剛力→山伏の下僕 山伏よりはためらいが
1904 3-20
仲人か 来れハ娘ハ 針を取
娘ごころで素知らぬ顔
1905 3-20
宝引縄の 表奉公
宝引→ほうびき 正月の福引遊び 表奉公→侍奉公 侍奉公は当たり外れがある?
1906 3-20
大門て 車一輛 しかられる
吉原の混雑時に大八車を入れようとした?
1907 3-20
旅衣 工夫を頼む 同イ年
旅の経験のある友人に相談?
1908 3-21
有たけの 姿を作る 願ほとき
願ほとき→お礼参り 願いが叶って盛装して
1909 3-21
気・の付ぬ 林の煙を むら時雨
煙→けむ? むら時雨→ひとしきり降っては止む時雨 ???
1910 3-21
稲妻這入 窓に念佛
☆そのまんま
1911 3-21
一ツ穴から わひ言か出る
一つ穴の狢のお仲間から 若旦那と番頭?
1912 3-21
よそ目から 案して貰ふ 懸リ舟
懸リ舟→停泊中の舟 おんぼろ船?
1913 3-21
鰐口の 惣名代に お乳の人
鰐口→神前の鳴物 惣名代→総代 お乳の人→おちのひと 乳母 若様ご成育祈願で乳母が代表して鰐口を
1914 3-21
鳴子引 よその宝を 守りつめ
鳴子引→鳴子を引く人 他人の畑の番をする
1915 3-21
雨まて誉て 戻る仲人
なんでも誉めまくる 婚礼の日の雨は吉兆
1916 3-21
顔上て 空を伺ふ 出かし口
でかし→得意な 天気をあてて得意顔?
1917 3-21
酢かあれハ 生て喰れる 春の海
春の海がところてんみたいに美味しそう? 白魚の踊り喰い?
1918 3-21
子共か持て 遊ふ錦木
錦木→門前に立て女が取り込めば求婚受諾になる一尺の木 取り込まれず子供の玩具に
1919 3-21
なまりふし 若葉の中に 哀也
なまりふし→乾燥前の鰹節 目に青葉で初鰹になるべきものを
1920 3-21
近付の名の かハる浜萩
近付→知人 浜萩→「難波の蘆は伊勢の浜荻」 所かわれば名や習慣が違う意 知り合いになると呼び名も変わる
1921 3-21
仲人の 器量か能て 片たより
能て→よくて 男前の仲人に娘が惚れて? 縁談が進まない
1922 3-21
鰹の恥の 多い日暮里
鰹の恥→安い古くなった初鰹を喰って食あたり 日暮里は河岸から遠い
1923 3-21
袖留てから よく夢を見る
袖を留める→結婚や成人して振袖をやめて袖丈を短くする 娘時代の夢を?
1924 3-21
辛味大根を くばる小原女
黒木売りのおまけ?
1925 3-21
鍋ふたて 蚊やり押へる 八重葎
八重葎→生い茂った雑草 草庵 蚊遣り火を鍋ぶたで押さえてくすべる
1926 3-22
住吉ハ 草へはね出す 膳の露
住吉→佃島住吉明神社 お供えの膳の魚が跳ねて?
1927 3-22
娘の唄の 篳篥に合ふ
篳篥→ひちりき 雅楽の管楽器 調子が高い
1928 3-22
先徒士の 通りに曲る 潦
先徒士→さきがち 大名行列の先頭役 潦→にわたずみ 水たまり 先頭のとおり行列が水溜まりをよけていく
1929 3-22
昼寐して 居ても床しき 葭簾
葭簾→よしすだれ ☆そのまんま
1930 3-22
あほふ遣ひに 代〻の森
放蕩息子が先祖伝来の山を売る?
1931 3-22
前うしろ 陽炎もゆる 四十七
泉岳寺の赤穂浪士の墓の前後で線香の煙が立ちのぼる
1932 3-22
執行者に 薪の行衛 打抜れ
執行者→しゅぎょうしゃ 薪の行衛→たきぎのゆくえ 下男が薪をくすねて売ったのを言い当てられた?
1933 3-22
売喰の 裏に淋しき 捨徳利
売喰→零落し財産を売って食いつなぐ 酒で身を滅ぼした?
1934 3-22
去られた妻の 去リ跡へ行
離縁されて今度は後添に
1935 3-22
慈悲有る母を うらむうは玉
うは玉→ぬばたま 「ぬばたまの」は黒などの枕詞 夜?夢?恋の闇路? 母を逆恨み?
1936 3-22
丸山て 琴三味せんに 合ぬ唄
丸山→長崎の遊郭 異人が登楼して外国の歌を
1937 3-22
大きく這入 昼の忍ひ路
日中こそこそしては却って人目に付く
1938 3-22
薄紅葉 人形を塗る 九老僧
九老僧→くろうそう 日蓮の直弟子日朗の弟子九人 ???
1939 3-22
あぶない義理の 出来る男色
仇討の助太刀とか
1940 3-22
一人づゝ 鏡借リ合ふ 枩か岡
枩か岡→まつがおか 駆込寺 尼寺なのに髪のある尼も多いので鏡が足りない
1941 3-22
盃に 追廻さるゝ 大おとこ
下戸の偉丈夫が酒を無理強いされて
1942 3-22
日蓮の世も 僅十月
僅→わずか 世は神無月だが法華は御命講があって十月は盛ん
1943 3-22
汗かきの 命めてたき 今朝の秋
やっと涼しくなった
1944 3-23
一夜鮓 宮と桑名の 人こゝろ
一夜鮓→いちやずし 一夜押しの早鮨だが一夜待つ 七里の渡しで早く岸へ着きたい気分をたとえて あるいは狭い舟に押し込まれて?
1945 3-23
忍へは内も 盗人の分
分→身分 身の程 自分の家でも忍び込めば盗人の気分 下女に夜這?
1946 3-23
大宮人も 蚤を取る顔
大宮人→殿上人 そういうこともあろう
1947 3-23
蓬生へ 左リ前なる 風の神
蓬生→草深い荒れた地の家 田舎は人が少なくて風邪もはやらない
1948 3-23
取リさへて 肌入るのを 見て帰る
取リさへる→仲裁する 肌を入れる→肌脱ぎを戻す 喧嘩が収まって
1949 3-23
市の有る日は 遠い入相
入相→いりあい 日没の鐘 市の喧噪で鐘が遠く聞こえる
1950 3-23
豊のあかりに 拝人か来る
豊のあかり→とよのあかり 大嘗会の宴 拝人→はいにん 拝観人?
1951 3-23
水入レて 麩も朝顔も 遣ひ物
遣い物→進物 どちらも水に入れて贈った?
1952 3-23
こゞとの口て 燈明を消す
燈明は口で消してはいけないのに 小言のついでに
1953 3-23
二度迄ハ たてかけて見る 銅盥
銅盥→かなだらい 三度目はもう放っておく
1954 3-23
生玉子 いで呑といふ 時の事
いで→いざ 精力剤?
1955 3-23
経師屋の 刷毛ハ塗師屋の 影を行
経師屋→きょうじや 表具師 塗師屋→ぬしや 漆器の漆塗職人 物の裏と表を塗る違い
1956 3-23
一重ほと おとつたやうに ならの京
「いにしへの奈良の都の...」 九重は京の宮中 奈良は八重桜
1957 3-23
植かへの 内ハ早苗の 男業
田植えは女の仕事だが
1958 3-23
蕣に 足跡の有る 物かたり
蕣→あさがお 昨夜盗人が入った
1959 3-23
女か減らす 八瀬の松風
小原女が黒木を売るので 松が減る
1960 3-23
夕すゝみ つまる所ハ 丸はたか
究極の夕涼み
1961 3-23
惚てから 遥後也 恋の闇
遥後也→はるかあとなり ☆そのまんま
1962 3-24
鉋はかりか 仕廻れる音
鉋→かんな 大工道具の中で鉋だけは叩いてから仕舞う
1963 3-24
役者の駕に しくれ見送る
十一月の顔見世興行に十月旅立つ
1964 3-24
うき別 臂に畳の 筋を引
別→わかれ 臂→ひじ 肘枕で涙
1965 3-24
只縫ふて居て 額にて見る
言いかけられたが手も休めず 上目遣いでじろりと
1966 3-24
傘かりて 絵馬の郭巨の 長咄
境内で傘に入れて貰ったら 二十四孝の話を延々とされ
1967 3-24
放し鳥行く 黙礼の間
放し鳥→放生会で追善に鳥を放す
1968 3-24
事ふれの 鼻かむ袖を 鈴の音
事ふれ→鹿島の事触れ 門付けの一種 鼻をかむため袖に鈴を入れた
1969 3-24
四季ともに 松虫のある 長局
長局→大奥の奥女中の部屋 鈴虫という源氏名?
1970 3-24
子の生い立も さくい吉原
生い立→おいたて? 養育 さくい→あっさりしている
1971 3-24
軒から棒の 下る夜あらし
夜あらし→夜吹く嵐 豪雨? つらら? 夜盗?
1972 3-24
寒念仏 呼込内も 鉦の音
内でも念仏外でも念仏
1973 3-24
此やうな 顔してといふ 顔ハ似す
顔まねはたいてい似てない
1974 3-24
奥へ召のか 武士のおとろへ
奥→夫人や奥女中の居る場所 召→めす ご任命になる 老いた家臣を奥向きに
1975 3-24
草履へ飛んて 下る棚経
棚経→たなぎょう 盂蘭盆に精霊棚の前で僧が読経 飛ぶように檀家まわり
1976 3-24
解けは妾の 気に障るなぞ
解かれなければ大丈夫
1977 3-24
局の部屋へ 狐なくなる
狐がおちた?
1978 3-24
房まても むやつく室の 長枕
房→部屋? むやつく→? 室→室津? 家? 長枕→二人寝用の長い枕
1979 3-24
あきらめて居る 口へ人参
重病人に人参を
1980 3-25
追詰て見て また後家てなし
問いつめてみるとまだ浮世に未練あり
1981 3-25
棒突ハ 欠ひの顔を 水かゝみ
棒突→辻番所などの番人 欠ひ→あくび 退屈で桶の水に顔を
1982 3-25
三味せんの 隣をうらむ 山さくら
同じ花見でも 騒ぐ連中と 苦吟する連中と
1983 3-25
はたけハ匂ふ 宇治のさむしろ
さむしろ→むしろ 筵 茶葉を乾かすのに使ったので茶の香りが
1984 3-25
心程 行かれぬ年の 茶碗うり
年→年末☆国大 割れものなので急げない
1985 3-25
見立違て 夜を長く寐る
見立違て→判断を誤って 心配で眠れぬ
1986 3-25
蚊かたかる 取あけ婆〻の 足のうら
膝をついて分娩介助?
1987 3-25
舟引の 筋違ふ形リに 雨か降
筋違ふ形リ→すじかうなり 斜めに交差する形で 身体を斜めにして舟を引く
1988 3-25
母ハ半に 戻る軽業
半→なかば? 途中で 軽業の子が哀れで? 気が弱くて?
1989 3-25
蕣の さきて結れる みたれ髪
蕣→あさがお さきて→前で 結れる→ゆわれる 早朝寝乱れ髪を縁側で結う あるいは蔓の様子か
1990 3-25
一口の 湯も養生の はしとなり
白湯も栄養のはじまり?
1991 3-25
世捨人 むかしの気にて 夏を待
昔の癖で世が活気づく夏を待つ心地
1992 3-25
蘭の香に 出入心も うつくしき
出入心→でいるこころ 親友の交際の美しさを蘭の香に例えて蘭交という
1993 3-25
掃出せは 廻ツて這入 蝸牛
蝸牛→かたつぶり いつの間にやら
1994 3-25
むかしのさらぬ 人形の皃
皃→かお 雛人形に昔風の面影が
1995 3-25
池上参り 珠数のふり合
池上→池上本門寺 珠数→数珠 法華の数珠は長い
1996 3-25
ゆさばりに 小僧を乗せて あやまらせ
ゆさばり→ブランコ 小僧をブランコで折檻
1997 3-25
人みせに せぬ孝行ハ 人か知る
隠徳を積むと
1998 3-26
可愛かられて 今に牢人
☆望楼之部 花魁に可愛がられて?
1999 3-26
犬追ふ物も 仕立屋か付ク
然るべき装束もある
2000 3-26
連の出る内 雞を抱く
連→仲間 雞→鶏 遊び仲間がこっそり出て行く時に鶏が鳴かないように?
2001 3-26
むかしの㡡の 余る隠れ家
㡡→かや 大きな家から小さな家に引っ越した
2002 3-26
いつの間に 刀をさして 夷講
商人が功あって名字帯刀を許されても夷講は昔のように無礼講
2003 3-26
待わひの むしられ物に 桜艸
待ちくたびれてそのへんの桜草をむしる
2004 3-26
波風の 相応に立 男ふり
色恋沙汰もありそうな
2005 3-26
見事に濡て 母へ傘
母に傘をさしかけ自分は濡れる親孝行の鑑
2006 3-26
向ふの軒の 近い正月
長屋で門松とか正月の飾りをすると路地がいよいよ狭くなって
2007 3-26
屋根板の飛ふ 冬の白川
白川→京都白川の比叡颪? 陸奥白川の関の凩?
2008 3-26
若葉に成て 御鬮隠るゝ
御鬮→みくじ 神社の木々が繁り結んだお神籤が隠れる
2009 3-26
見もせぬ文て げぢ〳〵を追ふ
それで叩いてもかまわぬ
2010 3-26
人知れすこそ 面白い科
科→とが 罪 主ある女性に夜這とか
2011 3-26
俗て拍子の ぬける柴の戸
柴の戸→粗末なすみか 風流な家に俗な人が
2012 3-26
たゝかれる 人も扇も 其日切
殿様に扇で叩かれて浪人 扇もこわれた
2013 3-26
わかめの波へ 投ふる松明
投ふる→ほうる 門司若布刈神社の若布刈神事 大晦日松明持って若布を採る
2014 3-26
あぶなく乗て 通る馬医者
馬の医者が乗馬が得意とは限らない? 病の馬に乗って連れて帰る?
2015 3-27
松風に気の 付カぬ剛力
剛力→山伏の下僕 そんな風流はなし
2016 3-27
殖すに仕廻ふ 母上の金
殖すに仕廻ふ→ふえずにしまう 持参して来た母のへそくり 我が子の事で目減りして結局ふえず
2017 3-27
聞よりはやく 母は呪
呪→まじない 子供の病気に効くまじない 聞いたらすぐ試してみる
2018 3-27
萩の上から やせる蚊の聲
秋風吹く季節に蚊も弱る
2019 3-27
百夜を越して 傘か干る
干る→ひる 雨天決行の百夜通いが終わり
2020 3-27
椽へならへる 蛍見の膳
椽→えん 庭に面した縁側にお膳を並べ蛍見物
2021 3-27
けふからハ 帯の短い 菊の花
厚着になって帯が短く感じる ?
2022 3-27
江戸のぬかりハ 夜のあみ笠
ぬかり→手落ち 吉原に夜行くのに不要な編み笠を被る
2023 3-27
山伏の 一間置に 低く吹
一間置に→一軒おきに 軒ごとに立ち止まって法螺貝を高く低く吹く
2024 3-27
鼬に棒を 投る大門
鼬→いたち 道を横切ると凶 吉原大門四郎兵衛番所の番人が鼬に棒を投げる
2025 3-27
手を引た 女別れる にハたつみ
にハたつみ→水たまり 娘二人が手を繋いで歩く 水たまりを避けて手を放しまた繋ぐ
2026 3-27
西日の町に 捨て有る人
辻番の姿?
2027 3-27
よし原て 翌の仏の 凄く成
翌→あす 葬式帰りの吉原行き 仏の方は明日はお骨に
2028 3-27
鶏のなみたの かゝる俎板
鶏→とり 俎板→まないた 料理される鶏哀れ
2029 3-27
仲人か来て 笑ふ神主
奇麗な巫女さんに縁談?
2030 3-27
恋にひかれて 若いかんきん
かんきん→看経 お経をよむ 後家目当ての男が殊勝らしくみせようと仏壇に
2031 3-27
奈良に三日ハ 一生の損
せっかくの上方の旅なのに奈良の木辻遊郭で日を費やす
2032 3-27
傾城の 住ふ所に 夜ハなし
吉原は不夜城
2033 3-28
旅ても茶屋ハ 生た物いゝ
街道の茶屋は客引きも世辞もあり賑やか
2034 3-28
純子ハ繻子の 若い兄分
純子→どんす 繻子→しゅす 繻子の表裏の組織をそれぞれ地または紋に用いたのが緞子
2035 3-28
鼠の痩に 這入新ン蔵
新ン蔵→しんぐら 蔵の中が空なので鼠は痩せる
2036 3-28
大晦日も うばはうきもの
大晦日→おおつもごり 忙しい大晦日 煤掃と同じように乳母は子守り専門で手持ち無沙汰
2037 3-28
志賀のむかしを 近く言なす
志賀のむかし→天智天皇の志賀の都大津京の時代 和歌ではよく詠まれる
2038 3-28
今度も女 伯母ひとり誉
女の子ばかり生まれて 伯母さんの思いやり
2039 3-28
平鬠の うこくうたゝ寐
平鬠→ひらもとゆい 和紙を細くして平らにたたんだ元結 女の前髪結び
2040 3-28
河風を 串にさゝはや 御祓川
御祓川→みそぎがわ 下賀茂神社六月祓 糺川に五十串の御幣を立て取り合う
2041 3-28
懐の 子をゆり起す 願解
願解→がんほどき お礼参り 子供に関する願掛けだった お前もお礼しなさい
2042 3-28
樹の上て 追人の者の 小言聞
追人→おって 逃げる者は木の上に隠れて
2043 3-28
警固の杖の 黄ハむ六月
炎天下 棒も焼ける
2044 3-28
強力を 先へ押出す 丸木はし
強力→剛力? 山伏の下僕 先にお前渡ってみろ
2045 3-28
古郷ハ 木綿の強い 斗也
斗→ばかり ほかに名物とてなく 和泉とか河内とか?
2046 3-28
桜艸にて 過る中陰
中陰→四十九日まで 喪中で花見も行かず 鉢植えの桜草が慰め
2047 3-28
馬を呵るに 馬士の一声
呵る→しかる 馬士→まご 餅は餅屋
2048 3-28
関守の手を 洗ふ黒髪
髪の中に密書でも?と調べる 女の関所役人の人見女が行う
2049 3-28
傘提る ひより見の伊達
ひより見→空模様を見る役 日和見が得意な人? 今日は降りますよ絶対
2050 3-28
空也寺 ひやうたんのなる 垣を結
空也寺→京の空也上人縁りの寺 鉢叩きに使う瓢箪の準備
2051 3-29
糠屋へ来るハ 聟の本望
「粉糠三合あったら聟に行くな」☆諺→苦労する婿養子には行くものでない意☆俳説ことわざ辞典 というが
2052 3-29
女に垣の ゆるい九重
宮中は女の出入りに甘い? 業平の芥川とか
2053 3-29
金剛杖を 倒す松風
道中休憩の時風が吹いて?
2054 3-29
干鮭の目も こからしの道
干鮭→ほしざけ 干鮭を提げて 木枯らし吹く道を行く
2055 3-29
哀ハ上へ 知れぬよし原
上へ→表面には 苦界
2056 3-29
尼に成ツても 乳の張る寺
駆け込み寺の東慶寺 子を置いてまでの余程の事情
2057 3-29
問屋の向ひ 鸚鵡つたなし
問屋→問屋場 宿場で人馬や荷物の引き継ぎをする場所 鸚鵡が人足の粗暴な言葉を
2058 3-29
六十四州 眠ル元日
六十四州→日本全国
2059 3-29
鳥居か立ツて 夜明新らし
新しい鳥居から日が昇る 気分も一新
2060 3-29
家内か立ツて 見たる鮟鱇
吊るした鮟鱇を家の者が見に出る
2061 3-29
陽炎の 中に乞食の 物狂ひ
☆そのまんま
2062 3-29
盛上られて 動くこんにやく
山盛りコンニャクが振動
2063 3-29
雷に 落つく後家を あてこすり
雷が鳴っても縋り付いてくれないので嫌味を言う
2064 3-29
むかし咄に 庵の戸か明
その話しなら儂に聞かんか
2065 3-29
此ころの 銭座つふれて 松の風
銭座→銭の鋳造役所 民間請負だったが十八世紀中頃金座銀座に組み込まれた
2066 3-29
色に出て 其行末ハ 青あらし
青嵐→青葉の頃吹く強い風 恋心が表に出て結果は
2067 3-29
死ンた女郎を 誉る初雪
初雪に登楼した客 なんとなくしんみりとして
2068 3-29
都鳥 若衆の舟ハ 漕をくれ
隅田川舟遊山 何で漕ぎ遅れたのか
2069 3-30
六月の ひなたにぬかる 長まくら
六月のひなた→土用干 ぬかる→油断して失敗する 長枕→二人用の長いくくり枕 うっかり人目に
2070 3-30
酔ぬ鰹を 艸の戸の曠
酔ぬ→当たらない 曠→はれ 家はみすぼらしくても新鮮で高い初鰹を買った
2071 3-30
本卦かえりも 同し魂・
本卦かえり→還暦の翌年干支が一周すること 三つ子の魂
2072 3-30
かたみの髪の 見る度に減
かたみ→片身 互い? 旧友同士会う度に髪が薄く? あるいは形見か?
2073 3-30
鹿を夢見て 奈良に落着
☆そのまんまか?
2074 3-30
新地に道の 殖る優婆塞
新地→新開地 優婆塞→在家の男の仏教修行者 廻る所が増えた?
2075 3-30
栗の花 ほうけて簔・も 艸の音
ほうけて→ほつれ乱れで ???
2076 3-30
京には肌を ぬいた佛閣
寺社仏閣は京都の心意気
2077 3-30
万歳馴し 婆〻の挨拶
三河万歳の応対は嫁には重荷 猥雑なことを言い 若い女には特にあてこすりを言う
2078 3-30
開帳の 江戸に着日は 初松魚
出開帳は初鰹の頃が多かった ?
2079 3-30
役の行者の 松明に酔ふ
酔ふ→圧倒されて気持が悪くなる? 揺られて気持が悪くなる?
2080 3-30
かまくらて寄る 勘当の年
勘当息子が鎌倉で年を越す
2081 3-30
けいせい買の 内のなりふり
内では倹約?
2082 3-30
双六の 賭に夫の 顔を見る
賭双六?
2083 3-30
黒焼でした 恋も生死
いもりの黒焼は惚れ薬 生き死には別?
2084 3-30
鉋屑ふく 若い入相
入相→いりあい 日没の鐘 仕事仕舞の前に早くも鐘が?
2085 3-30
柄杓のそこを さらす蓬生
蓬生→草深い荒れた地の家 柄杓も使わず手で水を掬う?
2086 3-30
いゝ訳済むと 元の大聲
朝帰りの旦那
2087 3-31
腹たつ顔の 坤見る
坤→ひつじさる 西南 上を北とすると右下 吉原細見の遣手の記載位置か
2088 3-31
さゝ波や 古あみ笠の 流れ行
☆そのまんま
2089 3-31
四十八夜ハ 後家の光陰
光陰→月日 明日はもう四十九日 そろそろ次の亭主探しに
2090 3-31
臑から灯す 今の万灯
臑→すね 脛から火が出る→極貧の意☆江語辞 万灯→まんどう 万灯供養 貧乏人から身を起こして成功
2091 3-31
木挽の臍の 燃る昼かほ
昼頃には木挽きの腹は擦れて真っ赤に?
2092 3-31
高尾か願ひ 道哲を見る
道哲→土手の道哲 西方寺の俗称 三浦屋高尾の墓や遊女の石碑あり
2093 3-31
黄檗ハ 障ツても鳴る 物斗
黄檗→禅宗の一つで鳴り物で勤行
2094 3-31
ひそ〳〵そゝる 伶人の顔
そそる→ひやかして歩く? 伶人→雅楽の楽人 見物人が?
2095 3-31
大工の知恵の 凄い唐門
☆そのまんま
2096 3-31
賃仕事 たまる所に 艸の露
賃仕事→手内職☆国大 貧乏長屋
2097 3-31
犬追ふ物に 急な元服
参加するために元服を
2098 3-31
日数経た 肴を誉る はまちとり
荒天の浜の宿?
2099 3-31
今戸の旭 煙から出る
瓦窯の煙
2100 3-31
倦はしの 手斧はしめハ 面白き
倦はし→うむはし ??? 手斧はしめ→ちょうなはじめ 大工の仕事始め
2101 3-31
鳥甲着た 人の百つら
鳥甲→とりかぶと 舞楽のかぶりものの一つ 百つら→いろんな顔?
2102 3-31
分別もない 夏のふところ
高い初鰹を買った
2103 3-31
箱御祓に 少し物音
箱御祓→はこおはらい 御祓箱→伊勢の御師が配ったお札入りの箱 ひじきとかも入っているので?
2104 3-31
宵に寐た 所の違ふ うき寐鳥
うき寐鳥→水に浮いたまま首を翼に入れて眠る水鳥 寝たまま流れていく
2105 3-32
紗綾ちりめんの 中に盃
紗綾ちりめん→さやちりめん 卍をくずした模様の縮緬 豪華な酒宴?
2106 3-32
おつかなそうに 踏ならす胞衣
胞衣→えな 胎盤など後産 産後土中に埋める 最初に上を跨いだ者は嫌われるという
2107 3-32
ひやうたんを 扇に乗せて 世を観し
???
2108 3-32
妙やくハ 母の覚へて 初かつを
覚へて→わかって? 恋煩いの息子を励まそうと
2109 3-32
ひしり窓をは 振ぬ錫杖
ひしり窓→聖窓 局店の出格子☆雑俳語辞典 縁のある名だが勧進聖は素通り
2110 3-32
高野ひしりを 留る大聲
高野ひしり→高野山の勧進僧 または乞食僧 ???
2111 3-32
世に出る乞食 瀧にうたれる
乞食のような名僧
2112 3-32
横日淋しく 後家の縫物
☆そのまんま
2113 3-32
琴のうしろを ふせく母親
姉の琴を弟が邪魔せぬように
2114 3-32
露の身の 浮世へ出ると 雨か降
露の如き身が浮世でも苦労
2115 3-32
三代先を 婆〻の大口
三代先→三代前 大口→大言壮語 ほら 先祖の自慢
2116 3-32
艸分の 思案のもとる 祭リ前
艸分→くさわけ 開墾して村や町の基を作った者 創始者の苦労を偲んで
2117 3-32
あぶない茶屋へ 蓮の実か飛ふ
不忍池畔の出合茶屋 密通に使われた 「蓮の実の飛び出たよう」とは若者の無分別・軽卒の意☆俳説ことわざ辞典
2118 3-32
百稲荷すむ 小野の古道
百稲荷→彼岸中に稲荷を百社巡拝する すむ→済む 小野→野原 百社目は田舎に
2119 3-32
連添ふた 元の起ハ 書はしめ
元の起→もとのおこり 書はしめ→ふみはじめ 公家などで幼少読書始の儀式?
2120 3-32
中間の 綻を縫ふ 衣かへ
中間→ちゅうげん 武家の下僕 独り者は自分で裁縫
2121 3-32
双六も 灯の来る内の 仮まくら
双六→盤双六か 仮まくら→旅寝 暗くなるまでの暇潰し
2122 3-32
真木も家老も 御国から着ク
真木→まき 杉や檜等 大名の国元からいろいろ到着
2123 3-32
思案極て 辻駕を呼ふ
極て→きわめて いざ吉原
2124 3-33
罾に憎い ものはふり袖
罾→よつで 四つ手駕 振袖の踊り子を駕篭に乗せる 長い袖が邪魔
「おどり子の袖を手伝ふかごの者」(柳3-33)
2125 3-33
付木遣ひの あらい勘当
付木→つけぎ 燐寸の先祖 無駄使い癖?
2126 3-33
ふいこ祭りに 消へる鍛冶の火
ふいこ祭り→陰暦十一月八日 鍛冶や鋳物師がふいごを清めお供えをして仕事を休む
2127 3-33
琵琶の聞人を 持たぬ四阿
聞人→ききて 四阿→あずまや 耳無し芳一のもと話はすでに成立はしているが?
2128 3-33
ひつんた家を 誉る筑しま
筑しま→つきじま? 埋め立てて作った島? 埋立新開地 新築の家を誉めねばならぬが 地盤が悪くもう歪んで
2129 3-33
恥しめられて 寐入ものゝけ
祈祷で物怪憑きが落ちて
2130 3-33
剃る気て打は 夜半の柴の戸
出家を決意して僧庵を尋ねる
2131 3-33
赤穂へ送る 狂哥案しる
赤穂浪士の誰かが? 俳句はありそうだが
2132 3-33
床へ居ハつて 直す寐みたれ
居ハつて→すわって ☆そのまんま
2133 3-33
勘当させた 人も勘当
親子二代で勘当? 放蕩息子と手引きの番頭が一緒に親子主従の縁切り?
2134 3-33
楊弓射も 爪はつれもの
爪はつれもの→つまはずれもの 身のこなしが要る
2135 3-33
夜の葎を たゝく借り金
急な借金か借金取りか 借り金は雁がねの洒落?
2136 3-33
禁酒〳〵も 気の知れた人
気の知れた→底の浅い どうせ守れぬ禁酒宣言
2137 3-33
むすんた形リて 捨たる水引
形リ→なり 捨たる→すたる 捨てられる 解かないし再利用もしないし
2138 3-33
やつこと言ふも むかし吉原
武家で不義のあった婦人を吉原に勤めに出したことを「やっこ」という
2139 3-33
高野聖に うそのない年
「高野六十那智八十」 高野山などでは老年でも男色が盛んという 年は正直?
2140 3-33
面白く せんへいを喰ふ ゑほし折
ゑほし折→烏帽子職人 ???
2141 3-34
うつくしい 後家を怖かる 節句前
間違いを恐れる?
2142 3-34
戸の〆る 音に崩るゝ 辻すまふ
〆る→しまる 辻すまふ→ 辻相撲 民間興行か素人相撲 崩るゝ→見物人が散る? 夕暮れになって?
2143 3-34
つゝみかね 小間物売を はつせ山
つゝみかね→心の中を隠せず はつせ山→初瀬山 歌枕 万葉集から求婚の意? 小間物売を恋の橋渡しに?
2144 3-34
八重むくら 臼ぬすまれて 広く成
八重むくら→草深い家 ☆そのまんま
2145 3-34
取巻て聞 聟の白状
吉原へ行って家中に責められる
2146 3-34
帆かけ舟 半分ハまだ 夜か明す
水平線の舟 帆にだけ朝日が
2147 3-34
つゝまれて 浮人形の うき沈ミ
浮人形→花火や樟脳をつけて水上を走る人形☆嬉遊笑覧 紙包みで売られ行く先の変転
2148 3-34
昼つる蚊屋に 出来た岩倉
岩倉→石造りの倉庫 夏の昼寝のために作った?
2149 3-34
四十二の子の 美しい袈裟
父が四十二才の時二才になる男児は親を喰うという 寺に預けて立派になった?
2150 3-34
高い手代の 九重を出る
勅使が宮中を出て江戸へ下向する?
2151 3-34
薮蚊追出す 夕かほのやと
夕かほのやと→源氏物語から粗末な宿の意 蚊屋もない
2152 3-34
灯を掻立に 這入六月
外で夕涼みしていたら火が小さくなったので
2153 3-34
よく似た顔を ふところへ入
親子
2154 3-34
一ツ咄の 届く難波津
一ツ咄→老人などのきまって話す話☆江語辞 ここでは同じ舟中の同一の話題の意か 難波津→ここでは大坂の意
2155 3-34
弟出来て 譲る朔日
朔日→ついたち 朔日の参拝?
2156 3-34
隅田のかすみを 親子して漕
隅田→すだ 春の渡し舟?
2157 3-34
順見送る 跡の大聲
順見→巡検 検見役人 いったぞー
2158 3-34
川柳 流れしたいに 戸を洗ふ
川柳→川のほとりの柳 ☆そのまんま
2159 3-35
脈のうしろを 仰くお局
仰く→扇ぐ? 脈診中の御典医を後から扇ぐ
2160 3-35
近く行 姿ハもたぬ 帆かけ舟
岸近くでは帆はあげない 遠目の方がさまになる
2161 3-35
赤子拾ふて 邪广な物知リ
邪广→邪魔 物知り→博識家☆国大 届けが要るとか?
2162 3-35
あみ笠ハ 今の世にての 隠れ笠
隠れ笠→かぶると姿が見えなくなる想像上の笠 編み笠で世を忍ぶ
2163 3-35
犬追ふ物に もたぬ近つき
???
2164 3-35
夫婦おろかに 同し事泣
尤もではある
2165 3-35
宇津の谷ハ 喰れぬ物に 銭の音
東海道宇津谷峠 名物十団子は堅くて喰えん
2166 3-35
愛染ハ ゑくほを守る 形てなし
愛染明王は愛情を司るが 憤怒の形相
2167 3-35
年季か明と 重い着物
着物→きるもの 暖簾分けで着物も立派に?
2168 3-35
土産にならぬ けふの詫宣
詫宣→託宣 村を代表してお伺いに来たが 凶と出ては
2169 3-35
鬼門に当る 枝の我まゝ
鬼門に魔除けとして木を植えたが剪定しないので茂り放題 柊とか
2170 3-35
柴の戸を あなつる鶴の 下リ所
柴の戸→粗末な家 鶴に人家と思われず
2171 3-35
土蔵を建て 家の息継
蔵も建ってとりあえず完成
2172 3-35
精進に うそもつかれす 暮遅き
暮遅し→暮が遅い 春の季語 一日の過ぎるのが長い 江戸庶民の命日などの精進落ちは暮六ツ☆江戸文学俗信辞典
「しやうじん日肴が来ると時を聞」(柳3-14)
2173 3-35
ふるい日の 心かゝりハ 合歓の花
昔の恋を思い出して
2174 3-35
母ハ命を ほめる凱陣
手柄より生きて帰ってよかった
2175 3-35
夏山の 汁の枝折ハ とうからし
枝折→しおり 山道などで枝を折って道しるべにすること 夏は唐辛子の具の汁が?
2176 3-35
数珠きるあした さんこしゆを買
さんこしゆ→珊瑚珠 簪の玉 数珠を切る→後家が貞操を破る意
2177 3-36
味噲汁に 御意の下たる 若たはこ
下たる→おりたる 若たはこ→今年とれた煙草 味噌汁が毒消しに良い? 殿様の太鼓判
2178 3-36
薺のつらを ふんて行春
薺→なずな 早春の野の薺摘みのあとは人も春も踏んで過ぎ去る
2179 3-36
笋に 一夏もめる 神宮寺
笋→たけのこ 神宮寺→神仏習合の寺 神社と寺がよく領地争い 竹の子が生えて一悶着
2180 3-36
捨舟に 木食一人 雲の峯
木食→もくじき 五穀断ちの 修行僧 雲の峯→入道雲 ☆そのまんま
2181 3-36
起請の灰も さゆのいきおひ
さゆ→白湯 起請文を焼いた灰をのむ 誓いに嘘があれば血を吐いて死ぬという 勢いで飲んじゃった
2182 3-36
暑き日を 追廻したる 夕河原
河原の夕涼みで暑い日を駆逐する? 暑い河原で一日仕事?
2183 3-36
こらへ兼ては 清水へ行
願掛けに清水の舞台から飛び降りる 恋の願い?
2184 3-36
男ひてりの 中に長刀
奥女中の中に長刀使い? 長刀の師匠が縁遠い?
2185 3-36
鶏買ふて 夜も見に行
なんか心配で鳥小屋へ
2186 3-36
剃刀の刃へ ひける光陰
引く→刻む☆国大 光陰→年月 長年使って刃こぼれ
2187 3-36
尾花かもとへ 通ふ仲人
すすきのはえる草深い家へ仲人に?
2188 3-36
降る雪の 明リ程なる とうからし
貧弱な灯を唐辛子程という? 雪中干した唐辛子が目立つ?
2189 3-36
秤に軽き 水の本望
茶の湯用の高価な名水
2190 3-36
口留をする 精進も有リ
前の女房の命日とか
2191 3-36
まだ夜ハ 縞を羽折て 桑門
桑門→よすてびと 俗世の縞の羽織を着る
2192 3-36
狐にほれる 若艸の中
野原に美人が居るが狐?
2193 3-36
寐かして置て いなのさゝ原
いなのさゝ原→猪名の笹原 伊丹有馬山の旧蹟 猪名と否を掛けて寝こかし
2194 3-36
罾引 大きな慾ハ なかりけり
罾引→よつでひき 四手網を引く漁師 その日を暮らせれば
2195 3-37
初て雨に ぬれるつり鐘
☆不騫不崩之部 新調の鐘が初めて雨にぬれた
2196 3-37
麻上下の 世話も寒だけ
麻上下→あさがみしも 武士庶民の通常礼服 年始の時しか使わない
2197 3-37
側のもの見る 手枕の夢
側→そば うたた寝したら現実的な夢を
2198 3-37
七小町 気楽な時も なかりけり
七小町→ななこまち 謡曲 通小町だの卒塔婆小町だの
2199 3-37
並んて飛へは 憎い人魂・
心中が成功してアべック人魂
2200 3-37
帆をかけて来る 京の分別
京の人は分別が早い? 京都の本店から急ぎの指示?
2201 3-37
喰ふ雪の降る 蒸籠の上
蒸籠→せいろう 何かのつまみ食い?
2202 3-37
座当つくねて 仕廻ふ横雲
つくねる→丸める 横雲→明け方の東の空にたなびく雲 宴会の夜明けに座頭が眠る
2203 3-37
細工か出来て 唇を噛む
職人の熱中?
2204 3-37
牛馬に 喰立らるゝ 八庄司
八庄司→はちしょうじ 太平記に出る熊野八庄司という部族 牛馬の食費が大変
2205 3-37
兜巾押へて 舟へ飛込
兜巾→ときん 山伏が額につける頭巾 山伏が渡し船に飛び乗る
2206 3-37
一晩ハ 扇のしめる 音頭とり
夜通しで夜露に濡れる?
2207 3-37
高座へ立た 女見たかる
高座→説教や講談で登る席 ???
2208 3-37
よい事ハ させぬ西日の ひかし山
夕暮れて東山の下の祇園へ
2209 3-37
文か届いて かわる夕くれ
恋する人から文が届いて夕暮れの不安な気持ちが明るく? あるいは 遊女からの文で気もそぞろに?
2210 3-37
男に持ツて 見れは皆夢
所帯を持つと豹変
2211 3-37
夜食の喰人 殖る宵鳴
宵鳴→よいなき 鶏が夜鳴くと不吉? 起きて物を喰う奴が増える?
2212 3-38
役の行者の 立て居て喰ふ
修行の連続 食事も立って
2213 3-38
つれない心 羽二重に倦
倦→あく 羽二重→平織りの絹織物 黒羽二重の伊達にも飽きた
2214 3-38
内から帯の 〆るかんにん
臍下に力を入れてならぬ堪忍をすると帯も締まる心地
2215 3-38
愛宕から見る 祝言の家
愛宕山から振られた相手の家の灯を独り眺める
2216 3-38
ぢろりと見てハ 通る桶伏
桶伏→吉原で代金が足りない時の仕置き 通行人が見ていく
2217 3-38
宵の気て 胞衣を埋れハ 山かつら
胞衣→えな 胎盤 山かつら→明け方山の端にかかる雲 お産が長引き胎盤を埋める頃は夜明けに
2218 3-38
腹立ふりを 恋のはたらき
皆の前ではお芝居
2219 3-38
牢人の 心に着せる 蓑と笠
心の中は雨が降る
2220 3-38
娘のほとく 生鯛の糸
生鯛→いきだい 結納の鯛 頭から尾へ糸を張って形を整えてある
2221 3-38
迎揃て 下戸のぬき足
二次会は勘弁?
2222 3-38
口のはしこい 方か村雨
須磨の松風村雨姉妹 妹の方が口が達者
2223 3-38
雨か止んても くらい中宿
中宿→出合茶屋 今のラブホテル
2224 3-38
翌日ハ 気のぬけて居る ぬくめ鳥
ぬくめ鳥→鷹が小鳥を炬燵がわりにしてから生かして放すという 小鳥はストレスで放心
2225 3-38
律儀に持ツて くらい松明
いいかげんに振り回したりした方が明るい
2226 3-38
下女の奢も 荒神の荒レ
下女に若旦那のお手がついて 仕事が疎かに
2227 3-38
三ツに成と 枕はかなし
枕二ツだと色っぼいが? 三歳になると髪をのばし始める?
2228 3-38
真し目に成るか 人の衰へ
真し目→まじめ 落ち着いたといえば聞こえは良いが年取ったということ
2229 3-38
跡から消へる 後家の分別
初めは堅いが
2230 3-39
見合て 向ふの家も 毒に成
見合て→みあわせて 若い男女がお向かいに住み?
2231 3-39
文を逆さに ふるふ瓜網
???
2232 3-39
気違も 春のものとハ 也にけり
物狂は春多しと
2233 3-39
子の声も 鼻にかゝつて 紀三井寺
紀三井寺→西国三十三か所の二番目札所 巡礼のご詠歌?
2234 3-39
思ひかけなく 比丘尼有る町
比丘尼→尼に似た形をした私娼の一種 浅草田原町大川端? 神田多町?
2235 3-39
稲妻の 大きく這入 金閣寺
金箔が光って?
2236 3-39
高い物買ふ 娵の相談
持参金なしの嫁取りの相談?
2237 3-39
二代目からハ 常の人間
もう凋落の兆しが
2238 3-39
恨にも 要はたつた 一所
要→かなめ たくさん難癖をつけるが 本当の原因は一つ
2239 3-39
若後家の 二言迄ハ 聞ぬふり
三言目なら
2240 3-39
鳥居から はたしに成ツて 願解
願解→がんほどき お礼参り 願掛けの時も裸足
2241 3-39
あぶなく見ゆる 名人の年
☆そのまんまか
2242 3-39
江戸の言葉て 借リ座敷出る
借リ座敷→貸し座敷? 上方で?
2243 3-39
無仏世界の 行先に寐る
無仏世界→釈迦入滅後弥勒 菩薩が降臨する迄つまり現在 行った先で寝てしまう?
2244 3-39
乞食生るゝ 松風の中
乞食の自然発生
2245 3-39
新地の夢の 覚る引汐
新地→新開地 深川新地? 覚る→さめる 深川新地での遊びに飽きた
2246 3-39
旦那に成ツて 見たる晴天
長年の奉公の後ついに店の主人に