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【川柳によく出る代金】
一文 薺売りの薺一束
きらず
土器投げ
二文 橋銭(永代橋など 渡し賃も同じ)
子供の湯銭
(参考)二文四文 湯銭 小賭博
三文 花束
土弓の矢銭十本
辛子
四文(一突きという場合あり)
質の一ヶ月の利息百文で四文 (百で四文)
大人の湯銭
艾百個
大小暦
(柱暦はもう少し高いかも)
団子一串
冷水売りの安い冷水(高いのは八文・十二文)
放し亀
五文 正月の「はぜ」
幾世餅(両国橋たもと 茶が色だけ)
六文 芝居番付
八文
安酒一合
銭湯代金(十文の場合も)
三の糸の代金
十文 六郷の渡しの渡し賃(子供は半額?)
十二文
神楽の投げ銭
賽銭
料理屋のお銚子一本
除夜の獅子の投銭
放し鳥の鳩
角兵衛獅子の見物料
十六文
蕎麦
草鞋
十九文 安下駄
二十四文 夜鷹の料金
二十八文 髪結床
五十文
谷中などの切見世
五十ぞうという娼婦の枕代
五十茶という安茶一斤
九十六文 六突きといって百文に通用させる場合あり
百文(一筋=銭一緡)
向桟敷の追い込み(聾桟敷・百桟敷)の代金
百旦那のお布施(玉蜀黍のように紙に包んである)
吉原の切見世(鉄砲見世)の一切りの代金
朔日丸の一月分
百三十二文
芝居の平土間(切落し)の入場料
二百文
上野山下の私娼窟けころ揚代(一切り)
東海道飯盛女の枕金
薮入りの丁稚の小遣い
年礼の臨時雇いのお供の給金
一朱 大工の一日の手間賃
三百文 追分飯盛女枕代(軽井沢も?)
四百文 根津遊廓の夜の揚代(谷中のいろは茶屋も)(四六見世)
六百文 根津遊廓の昼の揚代(谷中のいろは茶屋も)
十匁 品川女郎(飯盛)玉代
一分
吉原の最低揚げ代
小見世の新造や部屋持ちの代金
馴染みの時の遣り手へのチップ
台の物の料金
紙花(小菊)一枚の価値
雪の日の吉原行きの駕篭の酒手
踊り子の花代
仲条流の薬代
一分二百文 里扶持(乳母の里子の養育費 月額)
一分二朱 昼三(昼夜で三分の高級女郎)の片仕舞(半分だけ)
二分 踊り子が転ぶ時の枕代
三十五匁 最上等二階桟敷一間(見合い用二間で一両十匁)
三分 高級女郎の揚げ代(昼三)
九十匁 昔の吉原の太夫の揚代
一両二分 下女の給金
三両 武家屋敷中間の一人扶持は日に五合の玄米+年三両
五両 間男の示談金(三百匁)(もとは七両二分だった)
七両二分 山伏憑き物除
五十両 三ツ蒲団
百両 持参嫁の持参金(九十両は仲人の礼金十両を引いた)
五百両 勾当になるために京都久我家に納める金
千両 検校になるために京都久我家に納める金
紀伊国屋文左衛門の吉原貸し切りの代金(伝説)
【江戸時代のお金の概要】
江戸では金と銭、上方では銀と銭が主に用いられました。
【金】 1両=4分=16朱
(金1両=現在の6万円〜10万円)
【銀】 1貫目=1000匁=10000分
(金1両=銀50匁〜90匁以上)
【銭】 1貫=1000文
(金1両=銭4000文〜10000文)
【参考】 浪銭=4文
天保銭=100文
1疋=10文
金1両=銀60匁=銭4800文=96000円と仮定すると、銭1文=20円、銀1匁=1600円=銭80文、金1分=24000円、金1朱=6000円等ときりの良い数字となり、イメージしやすいと思います。
【江戸時代のお金についての覚え書】
江戸時代には金貨、銀貨、銅貨(銭)が流通していましたが、江戸では金貨と銅貨、上方では銀貨と銅貨が一般的だったようです。
金貨は計数貨幣で、その単位は両、分、朱(1両=4分=16朱)でした。1両の小判のほか二分金、一分金、二朱金、一朱金がありました。
銀貨はもとは丁銀、豆板銀のような秤量貨幣で、その単位は重量である匁(約3.75グラム)でした。1000匁を1貫(貫目、貫匁)、1匁の10分の1を1分、そのまた10分の1を1厘といいました。また、銀貨でも一分銀(4枚で1両)二朱銀(8枚で1両)一朱銀(16枚で1両)のような金貨の単位をもつ計数貨幣もあり、後には銀貨の大半がこのような計数貨幣となったようです。
銅貨(銭)は少額の計数貨幣で、その単位は文であり、1000文を1貫(貫文)といいました。もとは4000文で1両に相当しましたが後に価値が下がり、慶応年間には7000文、明治元年には10000文で1両相当となりました。また、1枚で4文の浪銭、1枚で100文の天保銭というのもありました。なお、疋という単位もあり、銭10文に相当しました。
金貨・銀貨・銅貨の交換比率は金1両=銀60匁=銭4000文が公定レートでしたが、実際の交換比率は相場で変動しました。(金1両=銀50匁〜90匁以上=銭4000文〜10000文)
ものやサービスの価値が変化しているため、江戸時代の1両が現代の何円に相当するのか明示することは困難ですが、一般的には6万円〜10万円程度と考えられているようです。(時代や基準とするものによって数千円から40万円という説までかなりひらきがあります。立ち食いそばが16文、風呂代が8文、下男の給金が年3両、職人の日当が約400文、1両で米が80升〜150升買えた、等から推測するしかないようです。)
思いつくままに、お金の出てくる(川柳でなく)落語を前述の仮定レート(金1両=銀60匁=銭4800文=96000円)で検討してみますと...。
★時そば
そば1杯16文(=320円)。まあ、立ち食いそばとしては妥当なお値段。
★富久
幇間の久さんがなけなしのお金をはたいて買ったのが「一分で千両」の富くじ。1分(=2万4000円)だから、長屋暮らしの久さんの買い物としては結構高い。でも突き止めの千両があたれば9600万円。(実際は手数料とか引かれて700両余りしか受け取れなかったそうですが。)
★火焔太鼓
道具屋の甚兵衛さんが1分(=2万4000円)で仕入れたきたない太鼓。偶然に目利きのお大名に売れて、もうかったお金が300両(=2880万円)。確かに腰も抜けますわな。
★黄金餅
死んだ西念さんが呑み込んだままのお金をねらう金山寺売りの金兵衛さん。麻布絶口釜無村の木蓮寺の破戒和尚にとむらいの百ヵ日仕切で要求されたのが天保銭6枚(=600文=12000円)。うーん、高いような、安いような。
★品川心中
白木屋の花魁お染が紋日にお金の工面ができず、やけくそで貸本屋の金さんと心中することを思い立った、そのお金が40両(=384万円)。「巻紙もやせる苦界の紋日前」。
★穴どろ
大晦日に3両(=28万8000円)の金が工面できず、家へ帰れない男。金持ちの家へあがりこんで、酔っぱらったあげくに穴蔵に落っこちる。一日でこれだけ工面するのはさすがに大変そう。
★文七元結
本所達磨横町の左官の長兵衛は腕はいいがばくち好きで仕事をしない。年の暮れに娘のお久が吉原の佐野槌にかけ込んで、借りたお金が50両(=480万円)。これを来年の大晦日までにかえさなくてはいけない。しかし、職人の日当が約400文(=8000円)とすると、腕のいい長兵衛の給金がもっと高かったとしても、1年でそんなに返せるものであろうか?(噺の中では結局返す必要がなくなるのではあるが。)ちなみに「柳田格之進」で格之進が盗んだと疑われたのも50両。「もう半分」の八百屋のおじいさんの娘が吉原に身を売ってこしらえたのも50両。(落語で借金関係は50両が多いようで。)
★大工調べ
大工の与太郎が家賃を滞納して、大家に道具箱をカタにとられ、仕事に出られない。その家賃が4ヶ月分で1両と800文(=9万6000円+1万6000円)。1両は棟梁が立て替えてくれるが、大家は800文足りないことにこだわって話がこじれる。長屋だとすると、4畳半に土間・台所つき、井戸・トイレは共同、風呂なしといったところで、1ヶ月の家賃2万8000円は、安いか高いか。
★化け物使い
人使いが荒いご主人によく辛抱した下男の給金がまる3年で12両2分(=120万円)。ご主人が化け物屋敷に引っ越すことになって辞める時に餞別に2分足して貰って計13両(=124万8000円)。下男の給金は年3両が相場だったらしいから、ここのご主人は人使いが荒い分、給金は良かったみたい。
★ねずみ穴
田舎から江戸へ出てきた竹次郎に商人の兄さんが商売の元手にと貸してくれたのがたった3文(=60円)。奮起してこれを元手に2年半で10両(=96万円)の金をため、10年たって蔵の三戸前もある立派な店の主人になり、兄さんに3文と、その利子として2両(=19万2000円)をかえす。
★芝浜
棒手振り魚屋の勝五郎、腕はよいのに酒好きで貧乏暮らし。芝の浜で拾った革財布に入っていたのが2分金で42両(=403万2000円)。これだけの大金をネコババするのはやっぱりまずいかも。
★千両みかん
いかに大切な息子のためとはいえ、みかん1個が1000両(=9600万円)とはこりゃあんまりな。