初CDリリース、"ハイパー・トロンボーンズvol.1"発売にあたって。
<話し手:大内邦靖、山崎忠男、沼田司/聞き手:鷹松徹>
|
鷹松:大内さんにうかがいます。まずはハイパートロンボーンズがトリオで活動されているわけですが、このユニットについて簡単に教えてください。
大内:トロンボーントリオ…というより、ハイパートロンボーンズの魅力とか価値といったものについてお話しします。
ハイパートロンボーンズの魅力の一つは、3人それぞれの強い個性がせめぎあう、音楽上の駆け引きにあると思っています。トロンボーンカルテットというと、4人が皆同じ方向性をもって、一糸乱れぬシンクロ性を発揮する「ユニット」というイメージが強いと思いますが、トリオはそういった要素と同時に「ソリストX3」という存在の仕方があるように思います。ハイパーはこの要素が特に強く、音楽の場面場面で、主導権を持ったプレーヤーが音楽を積極的にリードし、次の音楽に引き継いでいく…裏に回ったプレーヤーは、その個性が最大限引き出されるようにサポートし盛り上げ、時には仕掛ける…そういった絶妙の「駆け引き」が聴きどころの一つではないでしょうか。
そういった意味では、大変個性的で、根っこも生える土壌も違う3人が、それぞれのジャンルで存分に活躍し、その成果を持ち寄ってくる事は、ハイパーらしさを維持する上で重要な事だと思っています。
(右へ)
|
反面、ユニットとしての機能が上手く働くためには、古典的アンサンブルのノウハウに沿って、共通のことばで話すことも大変重要です。特にトリオは、カルテットに比べ、数段体裁を整えるのが難しい。逃げ場がなく、ごまかしが効かない編成です。この難しさが、面白さでもあるわけですが、パーフェクトを目指して、一生かけて追究していかなくてはならない課題ですね。(左下へ)
|
鷹松:カルテットと違ったアプローチを感じますね。ではバストロンボーンの沼田さんに伺いたいのですが、トリオの中のバストロンボーンの面白さって何か? 教えてください。
沼田:演奏者が4人か、3人か、では随分変わってきます。単純に一人少ない事で一人一人の存在がグッとクローズアップされてきます。特にバストロンボーンの立場で言いますと、だいたいバストロはベースラインと言われるようないわゆる「根音」をならべて吹いてゆく事が多いものです。これはバストロ吹きには与えられている大切な仕事ですから経験上「慣れ」もあります。ところが3人「トリオ」になりますとそうばかりでは無くなってきます。3音や5音、はたまた7thであったりと色々です。そう言った意味では吹き慣れない環境の中で精神的にも体力的にもきつくなってきます。しかしこの経験は、例えばオーケストラ(3人編成が多い)の仕事の時などに大いに役立っているのも確かです。音楽を作り上げて行く際、自分に対してとてもシビアになってきた事はある意味ありがたい事ですね。
鷹松:確かに考えてみるとバストロの存在の意味がカルテット以上に色々な要求をされているのだなと改めて気付かされました。
ところで今回のCDの選曲の事など伺えたらと思いますが、山崎さんお願いします。
(右下へ)
|
|
 |
山崎:私達がトリオのためのオリジナル作品(楽譜)を作るたびに収録を重ねてきました。実はその集大成が今回のCDなんです。ですから収録時の奏者のコンディションはさることながら、収録場所による響きの違いもあるかと思います。
トロンボーンアンサンブルのCDというのは、一般的に「クラシック音楽」が収録されている、っていう先入観があるかと思います。今回の私達はそう言ったものと少々ベクトルが違うと思うんです。トロンボーン吹きがトロンボーン吹きに対して投げ掛けるような作品集では無く、もっと多くの音楽ファンにも聴いてもらいたいと思っています。肩ひじ張らずに聴いて頂ける選曲であり、内容だと思います。もしくはトロンボーンを始めたばかりの方に、トロンボーンってこんなに色々な事が出来るんだ! って思ってもらえるかもしれません。もちろん内容的には十分高度なものを私達が表現している訳ですが、なるべく解りやすく表現してきたつもりです。
いままでトリオの作品って世の中にあまり出回ってこなかったと思います。これを機に多くの方にトリオの楽しさを知って欲しいと思っています。
鷹松:ありがとうございました。3人でアンサンブルするって、仲間が都合を合わせて集まるにはちょうど良い人数ですよね。(笑) 4人だとなかなか都合が合わなかったり。でもトリオの魅力を是非多くの皆さんに知ってもらいたいと思うし、チャレンジして欲しいと思います。
例えばアマチュアのトロンボーンアンサンブル演奏会にゲストとして呼んでみては? って言うのはありですか?
大内:是非! ご一緒に演奏できる機会があるのであれば嬉しいですね。
|