Holy Wood [2000]

アルバム評価:88点

実は、Marylin Mansonをまともに聴いたのは、今回が初めてで、 このアーチストのことはあまり詳しくありません。 もっと言うと、インダストリアル系 の音自体なじみ深くないのです。まあ、初心者みたいなものですね。 なので、前作との比較はできません。 また、今回購入したアルバムは、輸入盤 なので歌詞も英詞を何とか自分なりに 解釈したに過ぎないので、間違いがあれば笑ってやってください。

さてこのアルバム、とにかく曲が多い。 なんと19曲もある。これだけ曲があると、当然捨て曲があっておかしくないんだけど、 思った以上にそういう楽曲が少ないのが驚き。 ただ、私だけかもしれないけど、 これだけの楽曲を全て通して聴くのは少々ツライ。。 というのは、どの楽曲も、シンセやドラムループを駆使して いろんな音のしかけが満載されており、しっかり聴こうとすると 相当な労力を要するし、やっぱりというかマンソンの絶叫と 轟音演奏を聴いていると疲れて来るんだよなぁ。 (こんな私は、リスナー失格かも。。。) 特に、後半にカッコイイチューンが多く含まれているので、 10曲目あたりから、前半・後半にわけて聴くのが良いかも。

しかしこのアルバムには、本当にいろんな音色の楽器や 効果音が含まれている。一体どうやって作ってるんだろうか? メンバー以外に、Bon Harrisという人が シンセサイザーやそのプログラミングを担当している んだけど、彼がその辺をやっているのだろう。 また、曲間に歌の内容に関連するSE、ケネディ死亡を報道する アナウンスや、赤ん坊の泣き声、蝿の羽音、ピストルの音など を取り入れ、視覚的にも訴えかける出来である。 悲しいかな、歌詞がわからんけど…

このアルバムのキラーチューンは、 グラムっぽくキャッチーな3.Fight Song、 シングルカットされたマンソン節が聴ける4.Disposable Teens、 エレクトリック・ハープが印象的な10.The Nobodies、 ダンスビートがカッコイイ11.The Death Song、13.Born Again 偏執的高速インダストリアルサウンドの14.Burning Flag など。他にも、 パワフルで、破壊的なサビを持つ2.Love Song、 うねるベース・どたばたドラム・子悪魔コーラスが秀逸な6.President Dead、 邪悪なサウンドの16.Valentines's Day、 リリカルなイントロとアジテーションから成る17.The Fall of Adam、 狂気の行進曲18.King Kill 33、 ドゥームで壮大な8.Cruci-Fiction in Space、 絶望的だがリリカルで美しい、7,12,15などがあり盛りだくさん。

1.
Godeatgod
(Marilyn Manson) - 2:34 ?点
よくわからないSEにつづいて、陰鬱 なメロディを奏でるベースによるイントロが始まり、 多重録音されたマンソンの低音ヴォイスによる呪文が聞こえてくる。 うぁあー不気味。
その後、神経を逆なでする不気味 なシンセサイザーとインダストリアルな効果音 をバックに、マンソンのつぶやきが。。。バックでは、ギターによる 不気味なコードの響きが聞こえる。 うーむ意味がわからん歌詞だなぁ。
2.
Love Song
(L:M.Manson、M:Ramirez/5 ) - 3:16 87点
淡々としたAメロと破壊的 なサビの対比が美しくも激しい楽曲。 このアルバム発表に伴うツアーGuns,God And Govermaent Tourという名称は、 この歌詞から取られている。 「ピストル好きか?神は、政府は …糞食らえ」
ドラムループと生ドラムによるイントロに、轟音ベースが からまり、Aメロがはじまる。冷徹な声のマンソンのヴォーカル と、ユニゾンで歌われる女声のコーラスが 気色悪い。おならのようなインダストリアルノイズ が理解不能である。
淡々と進行するAメロから突如、絶叫ボーカルにかわり、 超ヘビーなディストーションギターがのたうつサビへと移行する。 まるで、この世の終わりを表現するか のようなマンソンの絶叫は凄まじく、バックコーラスとの掛け合い 形式のこのサビは、文句なくカッコイイ。 エンディングは、このサビのを絶叫したまま終了する。
3.
Fight Song
(L:M.Manson M:5) - 2:55 90点
キャッチーなサビをもつグラムっぽい曲。 それにしても、いろんな要素の感じられるごった煮的な楽曲。
メカニカルな音色の渋いギターフレーズから一転、 ディストーション&ラウドなギターリフによるイントロではじまる。 Aメロは、ドラムループ?と前出のギターリフをバックに、 単語をたたきつける かのようなMansonのヴォーカルが堪能できる。 Aメロ後半部分から、Mansonの怒りのヴォルテージがあがり、 音の壁のようなラウドなギターリフと生ドラムをバックに、 Mansonの「神などいない」と言い放つ絶叫ヴォーカル がはじけるBメロへ。
グラムっぽいサビは、とてもキャッチ-。ボーカルメロディと同じメロディを 奏でる、コーラスなのかギターなのか分からない音が効果的。 メロディアスなコード展開と8分刻むだけのバッキングは、 メロコアのような感じ。
ファイッ・ファイッ・ファイッ(この掛け声なんか AC/DCなどの雄メタル的)
2コーラス目は、Aメロやっていきなりサビ〜Bメロに。その後の展開部分は これはパンクですね。 Mansonの歌い方もピストルズのジョニー・ロットンみたいです。 その後Bメロで、喉から血が出そうな絶叫ヴォーカルを執拗に繰り返し、
ファイッ・ファイッ・ファイッでフィニッシュ。
4.
Disposable Teens
(L:M.Manson、M:5/Ramirez ) - 3:01 95点
Manson節とも言える、 ラウドで引きずる ようなギターリフとタムを多用 した(僕には解読不能な)シャッフルリズムのドラミングからなる楽曲。 この曲が1stシングルらしい。 文句なくカッコイイ曲ですねェ。
叫び声のようなインダストリアルノイズにつづいて、 ラウドなギターリフと弾けるようなドラムビートによる縦ノリのイントロが始まる。 この単純だけどのたくる ようなギターリフが、タムを多用した弾けるビートに見事に乗っかっている。 これぞMarilyn Mansonなイントロ。
つづいて、ばたばたいってるドラムとノイジーな響きの ベースをバックに、ちょっとキーが外れてる ようなAメロに突入する。 ここでは、リズムに乗せただけの、歯切れのよいマンソンの 低音ボイスがきける。
イントロのリフをバックに Yeah!Yeah!Yeah!を連呼したのち、またAメロ。 再びイントロリフをバックにMansonの絶叫ヴォーカル のBメロへ突入。 エ〜ヴォーリュージョ〜ン。レ〜ヴォーリュージョ〜ン。進化だあぁ、革命だぁあ。 強烈にリズムを意識した、歯切れのよいギターのブラッシングが 最高。このあたりから、アドレナリンが激増する。
サビは、Aメロと同じバッキングをバックにタイトルを連呼する。 やる気のなさそうな"teen"の合いの手がいい。 再びイントロリフをバックにBメロへ。 その後ディストーションとMansonの呻き声でごちゃごちゃのヴァース、 男声のコーラス+ギターノイズ満載のドラムループを挟んで、 また、ばたばたドラム絶叫ヴォーカル が帰ってきて、唐突に楽曲が終わる。
それにしても、このドラムがとにかくカッコイイ。 メインのドラムパターンは言うに及ばず、おかずやバズーカ のようなスネアの音など 全てひっくるめて痺れるカッコよさだ。
5.
Target Audience
(L:M.Manson、M:5/Ramirez ) - 4:18 80点
陰鬱で 気が滅入ってくるような歌。 金属を打ちつけるような効果音をバックに鳴る、 アルペジオギターが絶望的 な気持ちにさせてくれる。
イントロの金属音 は、キリストの貼り付け風景をあらわしているのか? このAメロでは、アルペジオとインダストリアルな効果音をバックに、 自暴自棄になったマンソンが呻き声を漏らす。
Bメロでは一転し、のしかかってくる ようなギターリフと、 若者へのメッセンジャーとしての使命感(そんなのあるのか?) にかられた、マンソンの絶叫を聴くことが出来る。 ジャキジャキいう金属的な響きのギター が絶望感をあおってくれる。
2コーラス繰り返した後、 変拍子を使ったスローテンポのヴァースへ移行する。 このヴァースでは、ドゥームな雰囲気のギターフレーズと子悪魔コーラス に彩られ、マンソンの呪文のようなうめき声 が奈落の底へと誘ってくれる。「死の谷では我々は自由なのだ」。
その後Bメロへ戻って終了。ぁあー気分が滅入る。M.Mの思う壷だ。(笑)
6.
President Dead
(L:M.Manson、M:5/Ramirez/Gacy ) - 3:13 86点
気持ちの悪い声のコーラスをフィーチャーした うねりの激しいミドルテンポの楽曲。 ドラムのビートはとてもグルービーだ。
「大統領が死んだ」というナレーションの後、 息の詰まりそうな、閉塞間の漂うギターリフと、 子悪魔の囁き のような気持ちの悪いコーラスで始まる。 このコーラスは、巷に溢れる強暴な映像は視聴者が求めるから ますますエスカレートするということをいいたいのだろう。
Aメロでは、うねるベース をバックに射殺されたケネディが 視聴者の生贄となり、それによって永遠のヒーローとなった ということを単語をたたきつけるようにして歌い綴る。 2コーラス目のブラッシングノイズを多用した ギターバッキングが秀逸。
ギターのカッティングノイズと共に、グランジっぽい キャッチーなBメロへ。 マンソンはここで、「苦しみと不平不満の渦巻く世界 で永遠に生きるなんてまっぴらだ」と表明する。
子悪魔コーラスをフィーチャーした後、ギターソロへ。 本アルバムでは、ギターソロのある曲は、これが初めてじゃないかな。 全くテクニカルではないが、機械的 だが官能的な音色で、無機質人工的な リックを披露している。
7.
In the Shadow of the Valley of Death
(L:M.Manson、M:5/Ramirez ) - 4:09 84点
赤ん坊の泣き声 をフィーチャーした不気味なSEと アコースティックギター の演奏をバックに、 いきなり、「おれたちに未来はない」という歌詞で始まる、 バラード調の曲。 それにしても歌詞が凄い。 MMは恐らくこう言いたいのだろう。
「来世が天国と地獄に分かれるのであれば、俺達は 人々が天国と信じている世界には行きたくない。地獄の方がまだましだ。」
「なぜなら、天国へ行きたいと信じている人々が暮らす 現実の世界こそ無意味で絶望的で、死に溢れた世界 であり、天国へ行った彼らが作り出す世界こそ地獄 だから。。」
アコースティックギターの演奏をバックに、 マンソンが静かに、だが確信に満ち溢れた声で、 淡々と歌い上げる。その様はまるで殉教者が 教えを説くかのようである。
2コーラス繰り返したのち、ドラムとディストーションギター が合流し、ドラマチックに展開する。 ここからエンディングに向かって、裏声コーラスを効果的に使用することで、 憐れさ漂う歌唱を聴かせてくれる。
8.
Cruci-Fiction in Space
(L:M.Manson、M:5/Ramirez/Gacy )- 4:56 88点
全編インダストリアル風味溢れるアレンジで、 展開を予測させる単調なパートと、 壮大なサビを持つ起伏に富んだ楽曲。 曲のテンポはかなり遅く、今にも止まりそうである。
ドラムマシンのハイハットと、ギターとベースによる 単調な4分音符の刻みが特徴的なイントロではじまる。
所々に、宇宙っぽい音色 のインダストリアルノイズを挟みながら延々と続く この単調な演奏をバックに、マンソンが 進化論(猿→人→銃へと進化するらしい)を切々と説く。 なるほど、マンソンの歌声には、高貴な響きが感じられる。
この心拍音に似た無機質なビートが、 不思議と効果的なんだなぁ。 人間の体というのも、感情にかかわる部分を除けば そこにあるのは、インダストリアルなので、 抵抗なく受け入れられるということなのだろうか?
2:05あたりから、だ だ だ だ だ だ-と壮大な盛り上がりへ 突入する。その後、裏声コーラスによるパートを挟み、 低音ヴォイスとともに、地の底へ落下するようなリフレインへ突入する。 どよーん。 それにしても、邪悪な進化の過程を巧みに表現している。
9.
A Place in the Dirt
(L:M.Manson、M:5/Ramirez/Gacy )- 3:37 77点
この曲も、前半の静かなパートと、後半の全てを飲みこむかの ようなうねりをもつ壮大なパートから成る楽曲。8曲目 と同じような雰囲気の曲であるにもかかわらず、ここにこの曲があるのはちょっと いただけない。
Aメロは、”ぼんぼん”というシンセビート、ドラムループと様々な虫の鳴き声のような効果音、 クリアトーンのギターなどの演奏をバックに、 「輝く太陽の元に生まれてきた、その場所こそが、堕落した世界である」 と、静かに歌う。
その後、ドラムとディストーションギターの鳴り響く、 壮大な演奏をバックに、「天使の所有する針で目を突き破られ、 盲目となったまま、死にかけた神と共に、死のパレードに参加する」と 確信に満ちた声で世界を描写する。 これといって特徴のない曲だといえる。
10.
The Nobodies
(L:M.Manson、M:5/Manson )- 3:35 92点
エレクトリック・ハープシコードの 音色が印象深い、絶望感の 漂うマイナー調の楽曲。 歌メロはキャッチ-だし、曲構成も単純で聴きやすい 楽曲となっている。 この曲あたり、2ndシングル候補ではないかな?
楽曲は、静かなドラムループではじまり、そこに高尚な響きがなおさら絶望感を喚起 する エレクトリック・ハープシコードによる演奏がかぶさってくる。 マンソンは、この静かな演奏をバックに、 愛される存在に生まれ変わりたいというかなわぬ望みを、 淡々と告白する。
このゴシックな響きの楽器を、 非常に効果的に使用しているあたり、 さすがM.Mといったところ。 ハープシコードによるこのリフレインが、 楽曲のメインテーマとなっており、 音色を変えて何度も登場する。
16小節から成るAメロの後転調し、生ドラムと ディストーションギターによるハードな演奏 をバックに同じ歌メロからなるBメロへ移行する。 音の壁の奥から響いてくる、ぼんやりとした音色 のギター(キーボード?)による テーマメロディのリフレインが、楽曲に漂う絶望感をさらに高めてくれる。 ここでのバッキングのコード進行は、
Aメロ、Bメロをもう1コーラス繰り返したのち、 病的な現代社会を キリストにたたきつけるかのように描写する、 マンソンの絶叫ヴォーカルが冴えるヴァースへ移行する。 その後、Aメロに戻り、マンソンによる、リリカルな”な・な・な” を経て余韻を残しつつエンディングへと向かう。
11.
The Death Song
(L:M.Manson、M:5/Manson ) - 3:29 94点
シンセ・ベース によるビートを導入したダンサブルな曲。 これまたカッコ良いぃ。弾む楽曲をバックに、 マンソンの絶叫ヴォーカルから吐き出される単語が、 見事にリズムに乗っている
不気味にエフェクト処理されたシンセベース によるイントロで始まる。 イントロのバックで響くトワイライトゾーンのような音色のシンセサイザーや、 サビに行く前の何かを削るような効果音 など、気持ちの悪い効果音 が盛りだくさん。
その後、生ドラムによるビートをバックに、エフェクト処理されたマンソンの 呻き声ヴォーカルが、 欺瞞と暴力に満ち溢れた社会と、神を盲信する 憐れな人々を描写する。
サビでは、デジタルっぽく作りこまれた ディストーションギターをバックに、 「希望のない世界のために、死に逝く子供達の歌を歌う。 俺達がキリストになるのだ。」 とアンチキリスト の象徴としてのステートメントを絶叫ボーカルで歌い上げる。
2コーラス目のサビからヴァースへ移行するダンサブルな コード進行にセンスが感じられ、とてもカッコイイ。 Death Song Kidsを繰り返すバースの後、ビックなサウンドのドラム のみのパートをへて、Aメロから1コーラス繰り返し、エンディングとなる。
マンソンの単語をリズムに乗せた歌い方は、とてもカッコ良いし、 絶叫ヴォーカルキャッチーなメロディを歌い上げるというこの バランスがなんとも絶妙である。
12.
Lamb of God
(L:M.Manson、M:Ramirez ) - 4:39 87点
アコースティックギターと憐れキャッチーなサビの組み合わせが 秀逸な楽曲。インダストリアルだがエモーショナルな感覚の 感じられる不思議な楽曲。これもシングル候補か?
イントロは、スウェーデンあたりのおしゃれな女性ヴォーカルものを 思わせるドラムループとアコースティックギターによるおしゃれなもの。 その雰囲気のまま、多重録音されたマンソンの、 けだるく粘りつくようなだみ声ヴォーカルが割り込んでくる。
このAメロでの、ちょっと音程が外れたような強引な ヴォーカルが印象的。Aメロのバックでは、飛行機の飛び立つような 効果音や、震えるような音色のピアノ、奇妙な電子音など が取り入れられている。 8小節目からは生ドラムがかぶさり、同じメロディを繰り返す。 バックで響く単調なギターフレーズが憐れみを誘う。
その後、「何物も世界を変えることは出来ない」という溜息混じりの サビへ。2コーラス目以降のサビでは、 アコースティックギターと轟音ベースのコンビネーション が見事な演奏をバックに、マンソンが絶望的な絶叫を聴かせる。 絶叫ヴォーカルなんだけど、非常に分かりやすくキャッチ-な サビであるところがとってもグーです。
13.
Born Again
(L:M.Manson、M:5/Ramirez ) - 3:20 96点
これまた、独特なリズムを持った楽曲で、インダストリアルな効果音に溢れた 素晴らしい出来の楽曲。サビのところは、ダンスビートっぽいのりで とてもカッコ良い。個人的には、このアルバムのベストチューンだと思う。 ところで、マンソンはディスコが嫌いなのか?確かに、 マンソンがディスコで踊ってる姿は、想像できないなぁ。
イントロやヴァース部分に、観客の歓声が入っているが、これは1997年2月に 録音されたと書かれている。 なお、この曲自体がライブ録音されたものなのか、歓声のみ録音されたのかは良く分からない。
この曲は、楽器の特定が不可能です。とにかくいろんな音が重ねられており、 それだけでも楽しめますね。 イントロは、歓声をバックに掘削機のようなベース音と、 象の鳴き声のようなギター?で始まる。 Aメロでは、この象の鳴き声が延々登場する。掘削機の音にまとわりつく、 シンセノイズなど芸が細かいですね。 ドラムのフィルインはドラムループ、そこから生ドラムかなぁ。ドスの効いたバスドラム が楽曲に力強さを与えている。ここでのマンソンは、エフェクトのない ナチュラルな声で歌っているが、ボーカルと同調してきこえる低音ノイズが不気味である。
その後、ダンサブルなベースと蜂の羽音のようなディストーションギター をフィーチャーしたBメロに移行する。 ここでもマンソンは、キャッチーなメロディーを歌っている。 次第にテンションがあがり、絶叫のサビへ。 サビでのバッキングは、なぎ倒すような生ドラムによるビートと、 16ビートを刻むドラムマシンの複合技で、とてもリズミカルである。 ギターは相変わらず蜂のようなディストーションで、 マンソンの絶叫ボーカルとの絶妙の相性を実現している。
ライブでの演奏を意識した、 歓声と、ドラムビートだけになるヴァースのアレンジもいい。 ここでの、ギターフレーズはさりげないが、ライブではインタラクティブな 効果をもたらしてくれるだろう。
14.
Burning Flag
(L:M.Manson、M:5/Ramirez ) - 3:21 97点
打ちこみドラムをバックに、繰り出される マシンのような高速メカニカルリフ をフィーチャーしたイントロが秀逸な とてもクールなナンバー。 このアルバムの楽曲の中で、もっともインダストリアル 的なナンバーではないだろうか。
心拍音のような打ちこみドラムをバックに、 熱にやられた男の喘ぎ声がきこえるイントロは、 否応無しに緊張感をもたらす。 飛び交う打ちこみドラムをバックに、 等間隔に配置された、不愉快なコード進行のギターリフが ゆっくりと病気のように脳みそを侵食していく。
CDが壊れてしまったのかと錯覚する、正確無比な”じゃかじゃか”というメカニックな ギター?ノイズがぶち込まれ、ついに生ドラムのフィルインから 轟音ドラム・ベース・ディストーションギターが三位一体となり楽曲が走り出す。 各音色が合わさるタイミングが絶妙な、なんと素晴らしく構築されたイントロであろうか。
Aメロは、うねるベースと几帳面なドラムビートをバックに、 エフェクトによりひずみまくったマンソンのヴォーカルががなりたてる。 ギターのカッティングノイズとマンソンの歌唱が攻撃的なBメロ、 ビックなドラムビートと蜂の羽音のような音色のディストーションによる、 呪術的なリフからなる、畳み掛けるようなサビへと移行する。 マンソンはこの曲で、星条旗で象徴されるアメリカで生きる 人々とそれを取り巻く状況をシニカルに告白している。
15.
Coma Black
(L:M.Manson、M:a)Manson/5/Ramirez,b)Manson ) - 5:56 83点
静かなドラムループをバックに寂しげなギターアルペジオで始まる、 これまた絶望感の漂う楽曲だが、なんともいえない悲しさと美しさが 同居している。
楽曲は、罪のりんごをかじったイブの視点による告白という形式で、マンソンの けだるい歌唱から始まる。 Bメロから生ドラムがからみ、ディストーションギターによる ハードなバッキングのサビへと移行する。
このサビでのマンソンの歌唱は、絶望的だが美しいメロディをなぞることで、 罪の意識にさいなまれた、彼女が思いつめた様子が良く表現されている。 バックで薄っすらと鳴り響くシンセサイザーの音色が、美しさを助長する。
エンディングでは、リリカルな演奏と膨張した音色のベースをバックに、 「傷ついた彼女の心を癒すことは出来ない」とつぶやく。
16.
Valentines's Day
(L:M.Manson、M:Ramirez/Manson ) - 3:31 89点
不協な響きをもった邪悪な ギターフレーズ、気持ちの悪いヴォーカルエフェクトなど、 リスナーを不安定な気持ちにさせる曲だが、 この不気味さがなんともいえずカッコ良い。
きびきびしたハイハットが印象的なドラムと、 カエル!?の鳴き声のようなノイズによるイントロに、 前出の邪悪なギターフレーズがまとわりついてくる。 このギターフレーズは、重苦しく息苦しい。
呪術的なメロディをうたうマンソンの声には、 扇風機の前で歌を歌っているような 不快なエフェクトがかかっている。 規則正しい響きで、楽曲を引っ張るちょっとシンセがかかった ベースの音色も印象的。
不快なエフェクトのない、浮揚感のあるBメロをから、 ベースとギターがダイナミックにうねる陰鬱なサビへ。 「In The Shadow Of Valley Of Death」という歌詞が 呪文のようにリフレインされ、 妙な気分になってくる。 このサビで、ぴょんぴょんいってるのはメロトロンか?後半のサビには、いろんな音色の効果音がちりばめられている。
17.
The Fall of Adam
(L:M.Manson、M:Ramirez/5 ) - 2:34 86点
雷鳴をバックに、静かなアコースティックギターのコードストローク が響く。ここでマンソンは、静かにアダムの堕落・没落を説く。
その後一転し、重く響くようなローテンポのギターリフをバックに、 マンソンによるアジテーションと賛同の声をあげる聴衆との やり取りが繰り返される。とてもテンションが高い。 マンソンには演説家としての才能もあるかも。
旧体制の打倒と、新体制の構築を表現しているのだろうが、 具体的な意味がわからない。
18.
King Kill 33
(L:M.Manson、M:Ramirez ) - 2:16 88点
インダストリアルノイズと後ノリのでかいドラムビート で埋め尽くされた音空間に、ヴォーカルエフェクトをかけた マンソンの呻き声と怒りの絶叫が響き渡る。 まるで、狂気の行進曲。
”ぶぶびび”という不気味な音色を奏でる飲みこまれそうな シンセギターのリフや、神経を逆なでする音色のキーボードが なぜか心地よい。
マンソンのヴォーカルは、歌というよりも 囁いたり、叫んだりして社会への怒りや、恨みを ぶつけているという感じ。 King Kill 33の意味は不明。
19.
Count to 6 and Die
(L:M.Manson、M:5 ) - 3:25 82点
リボルバーの弾倉をくるくる回す効果音と柱時計の時刻を知らせる鐘を 模倣したピアノの音色で幕を明ける陰鬱な楽曲。
少女が自殺しようとする様子を描写しているのだろうか? マンソンは、この気分の滅入るどうしようもない現実を包み隠さず、 絶望に溢れた声で冷徹にうたっている。 マンソンのささやき声の後ろで響く、 美しいピアノの音色がかえって絶望感をあおる。 カウントダウンの声がおぞましい。
エンディングのSEでは、 ピストルの引き金を引く様子が描写されており、 タイトルどおり、6回目の引き金を引く直前でエンディングとなる。