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Album cover reproduced by courtesy of ECM Records, Munich
●ジャケット写真はECM Recordsの許諾のもと、掲載しております。(musicircus


February 10, 2012

今週の批評から

Reviews of the Week

 
 アンディ・シェパード Andy Sheppard の《トリオ・リベロ Trio Libero》への英国プレスの反応。

 

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 「アルバム冒頭の〈Libertino(リベルティーノ)〉は軽やかな足取りで進むシェパードならではの旋律をもつ曲なのだが、どうしたわけか、ここでは気の利いた慨嘆という思いつきに従った演奏になっている。テナー・サックスがほんのひと掴みの音で奏でる断片が、トムトムの音をアクセントに隠し味として振りかけられながら、静謐なスネア・ドラムの連打へと移り変わっていく。収録曲中、唯一のスタンダードである〈I'm Always Chasing Rainbows (虹を追って)〉では[訳註:ジェセフ・マッカーシー作詞、ハリー・キャロル作曲。ショパン作曲「幻想即興曲 嬰ハ短調 op.66」の中間部を基にアレンジして大ヒットした]、ヤン・ガルバレクを彷彿させる漂流者然としたソプラノ・サックスを聴かせて、ミシェル・ベニータ Michel Benita のベースから優しく突つかれたり引っ張られたりしている。長く引き延ばされた音とベースの弓弾き奏法が特徴的な〈Spacewalk(宇宙遊泳)〉のパート1とパート2は、清純な佇まいと震えるような美しさに満ちており、アルバム最後の曲〈When We Live On The Stars...〉は、ゆっくりとした格調高いポップ・ソングの質感を感じさせる。そして控え目ではあるが、人生の燃えるような輝きを内に宿している。」

ジョン・フォーダム John Fordham、ガーディアン誌 The Guardian

 
   「サックス奏者アンディ・シェパード Andy Sheppard の小鳥の囀りを思わせる特徴的なトーンと、その即興演奏に備わっている周囲を警戒させる特性は、彼の存在を長きに亙ってこの分野における巨匠の地位へと導いたが、しかし、今回ベース奏者ミシェル・ベニータ Michel Benita とドラマーのセバスチャン・ロッチフォード Sebastian Rochford ──その叩きはポール・モーシャン Paul Motian の音楽的流儀を強烈に意識させるものだ──と共に新しく組織した、三者が同等の立場で関与するトリオによって齎された音の成果は、シェパードの存在を全く新しい次元へと押し上げている。あらゆる局面が素材を提供し、至る所に美が偏在している〈I'm Always Chasing Rainbows (虹を追って)〉における原曲を歪曲したヴァージョンには瞠目させられるが、しかしアルバム全体を通して悠遠な探求者気質で覆われていることも確かで、三人が、今後はライヴ・パフォーマンスの現場でさらなる展開を請い願っていることが感じ取れる。」

フィル・ジョンソン Phil Johnson、英国インディペンデント・オン・サンデイ紙 Independent on Sunday

 
 
 
 ティム・バーン Tim Berne 《スネイクオイル Snakeoil》へのプレスの反応、続報。

 

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 「この30年間を振り返ってみて、ジャズ或いはその周辺の分野で、ティム・バーン Tim Berne に比肩し得るほどに独自の音楽語彙を発達させてきたミュージシャンは数えるほどしかいない。透き通った、だが逞しさも備えた音色をもち、即興演奏のための戦略をいくつも手の内に控えた──たとえば溢れるような音への食らいつきと跳躍、奇妙な構造、無骨な発音といったような──アルト・サックス奏者ティム・バーン氏は、どうにも散漫だが、しかし同時に直接的とも言える姿勢へと捩じ曲げられたその独特な作曲様式により、何を聴いても、容易に彼の音楽だと識別することのできる個性をもっている。その潜在的な主題と同様、揮発性を備えた、中枢神経系から生じるもの、もとよりそれが作品のすべてである。」

ネイト・チネン Nate Chinen、ニューヨーク・タイムズ New York Times

 
   「作曲と即興を混ぜ合わせることを試みた同時代の音楽家で、このアルト・サックス奏者ほどの成功を収めた者はほとんどいないのではあるまいか。事実、ティム・バーン Tim Berne は、作曲と即興という区分を時代遅れのものとしてしまっており、見かけの上では矛盾しているこの二つの音楽的実践を、まったく継ぎ目を感じさせないような仕方で統合しているのである。(中略) 《スネイクオイル Snakeoil》によって、バーンはこれまでの彼の音楽とは一線を劃した全く新しい局面に入り込んでいるという感じがする。そして、ティム・バーンがこの録音に先立つ二年間に亙って、楽器を手に実際の演奏を通じて共に試行を重ねてきたこのグループの面々は──クラリネットのオスカー・ノリエガ Oscar Noriega、ピアニストのマット・ミッチェル Matt Mitchell、ドラマーのチェス・スミス Ches Smith──、バーンがどこへ向かって進んでいるのかを的確に察知しているように思われる。」

コーマック・ラーキン Cormac Larkin、アイリッシュ・タイムズ Irish Times

 
   「このブルックリンを拠点に活動する名うてのサックス奏者は、もって生まれたその猛々しい本能を、しっかりとリハーサルで準備され、自由な流れを実践する、叙情的な室内楽的ジャズ・クァルテットの枠内へと抑え付けており、すなわち、このグループの音楽は、譜面上に堅固に作られた構造によって──そこから流砂のように気分を切り換えて展開を見せるのだが──即興演奏が齎す自由を和らげているのである。不規則な鼓動と爆発的な打音を響かせるドラム奏者チェス・スミス Ches Smith、そして雰囲気に富むマット・ミッチェル Matt Mitchell のアコースティック・ピアノ。ティム・バーンは力強い音色と有無を言わさぬ連接(アーティキュレーション)でメロディを急回転させ、その曲がりくねったテーマの上に、オスカー・ノリエガ Oscar Noriega の木の温もりを感じさせるクラリネットが、サックスの音色と対照をなすと同時にその引き立て役を演じるかたちで加わっている。」

マイク・ホバート Mike Hobart、英国フィナンシャル・タイムズ Financial Times

 
 
 
 ジョヴァンナ・ペッシ Giovanna Pessi とスサンナ・K・ヴァルムルー Susanna K. Wallumrød の《イフ・グリーフ・クッド・ウェイト If Grief Could Wait》へのコメント。

 

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 「スサンナ・K・ヴァルムルー Susanna K. Wallumrød の本作でのアプローチ──それは彼女の共同制作者であるバロック・ハープ奏者ジョヴァンナ・ペッシ Giovanna Pessi に対しても言えることだが──の目新しさは、その誠実な純真さにある。彼女たちは、ニック・ドレイク Nick Drake やレナード・コーエン Leonard Cohen のいくつかの歌を(パーセルの曲もそれらと同じスタイルで取り上げられているのだが)“クラシック音楽”に変形させようとしているわけではない。バロック・ハープ Baroque harp、ヴィオラ・ダ・ガンバ viola da gamba、ニッケルハルパ nyckelharpa (これはヴァイオリンと鍵盤楽器の中間のような外見をもつ、古風な仕掛けからなる民族楽器)という独特な楽器編成によって、かくも優しく演じられ、美しく録音されている。」

トム・ハイゼンガ Tom Huizenga、 ニュー・パブリック・ラジオ New Public Radio

 
 


(c) ECM Records, Munich. Used by permission.

 
  ※本記事は、ECM が発信する最新情報を ECM Records の許諾を得て翻訳掲載するものです。musicircus  

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