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ECM New Series

Album cover reproduced by courtesy of ECM Records, Munich
●ジャケット写真はECM Recordsの許諾のもと、掲載しております。(musicircus


Jean-Luc Godard
Histoire(s) du Cinéma

Jean-Luc Godard

ECM New Series 1706

toutes les histoires
une histoire seule
seul le cinéma
fatale beauté
la monnaie de l'absolu
une vague nouvelle
le contrôle de l'univers
les signes parmi nous

Recorded 1988-1997

ECM New Series 1706 (5-CD Set)

国内盤未発売
 
 
「神の道化師」あるいは「裸の声」

 ――ジャン=リュック・ゴダール『映画史』サウンドトラックを聴く

 
 
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   「かすかな声 おだやかな、か細い声で 大それた 重大な、驚くべきこと 深く、そして正しいことが 語られる おだやかな、か細い声で 駒鳥の声のなかの フルートの音の妙なる細部と 澄んだ響きの繊細さのなかの 雷鳴の威嚇 絶対の現前 …」

(『映画史』4a冒頭、女性の声により朗読される、ポール・ヴァレリーの詩「ある声の聖歌」〈堀口大学訳〉より。
以下、『映画史』のテクストは、『ゴダール 映画史 テクスト』の採録〈堀潤之ほか訳・構成、愛育社〉を多く参照したが、既訳の引用以外は拙訳によった)


 
   声のマチエール。つぶやきやささやき、朗誦、歌、叫び、喘ぎ、悲鳴、笑い。男と女の声、罅割れた老人の声、異国の子どもの声。力強い声、甘美な声、峻厳な声、くぐもった声、言い争う声。饒舌、ためらい、吐息。ときに露わに炸裂する、喜びや悲しみ、怒りや恐怖、憎しみ、欲望。あるいは淡々とした、無表情な声の、つややかすれ、微細な皺や襞、震え、息遣い。生者の、あるいは死者たちの声。ゴダール自身の、独特の抑揚のある、ひしゃげたような声。映画作家の声、俳優たちの声、詩人や作家の声、歌手たちの声、哲学者の声、政治家の声、アドルフ・ヒトラーの声。フランス語の響き。英語の、ドイツ語の、スペイン語の、イタリア語の響き。ことばの響き。物質のざわめき。タイプライターや紙の音、リズミカルなプリンターの金属音、ヴィデオ編集機の回転音、唸り、軋み、雑音。雨音や雷鳴、風。椋鳥、鴉、黒つぐみ、ひばり、鳩、かもめ、鳥たちのさまざまな啼き声。叩かれる扉の音、水の撥ねる音、近づきあるいは遠ざかる靴音、鈴を鳴らす音、自動車や列車の音、飛行機のプロペラの音、そして機関銃やピストル、暗黒街の銃声や戦場の爆音。近くで、または遠くで。音楽のかけらたち。軽やかに重々しく、麗しくも激しく、割れた鏡のように反射し合って、気高く典雅に、ときに卑俗に。ときには激しく叩きつけるように、ときには優しく慰撫するように、絵具みたいに混ぜあわされたり、あざやかな単色に分離したり。あちこちにちいさな渦や淀みをつくったかと思えば、なめらかな澄んだ流れや恐ろしい濁流、切り立つ滝のしぶきをつくってみせもする。さらにはまた、しばしば差し挟まれる、嵐のなかの静寂にも似た、裂け目のような、沈黙。


 
 
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福田光一
Kouichi Fukuda

 

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