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ECM New Series

Album cover reproduced by courtesy of ECM Records, Munich
●ジャケット写真はECM Recordsの許諾のもと、掲載しております。(musicircus


Chants, Hymns and Dances

Anja Lechner cello
Vassilis Tsabropoulos
piano

ECM New Series 1888

George I. Gurdjieff
Chant from a Holy Book
Bayaty
Prayer
Duduki
Interlude I

Vassilis Tsabropoulos
Trois Morceaux après des hymnes byzantins
Dance
Chant

George I. Gurdjieff
Interlude II
Assyrian Women Mourners
Armenian Song
No. 11
Woman's Prayer
Chant from a Holy Book, var. 1

Recorded December 2003
Festeburgkirche, Frankfult am Main
Produced by Manfred Eicher

ECM New Series 1888

聖歌、讃歌、舞踊
ヴァシリス・ツァブロプーロス(ピアノ)、アニヤ・レヒナー(チェロ)
国内盤発売:
20041229/ UCCE-2038 / (税込) 2,800
 
   ロザムンデ・クヮルテットのチェロ奏者アニヤ・レヒナーと、近年アーリル・アンデセン[アリルド・アンデルセン]・トリオでも活躍するギリシア出身のユニークなピアニスト、ヴァシリス・ツァブロプロスのデュオによる、聴き手の精神を日常を超えた奥深い場所へと連れ去っていく瞑想的な音楽。グルジェフ/ハルトマンの音楽をチェロとピアノに編曲するのはこれが初めての試み。併せて、ギリシア〜ビザンチン音楽にもとづくツァブロプロスの自作を収録。
 
   稀有な神秘主義者・賢者として知られるグルジェフの耳がとらえた、アルメニア、コーカサス、東方世界から立ち昇る霊的なハーモニーと音階。それらが、無数の生命体のように繁殖してざわめき、しかし感情を超越して、深い瞑想と叡智の在り処を示唆して響く。ゆらめく内面の翳りのように震えるチェロ。整然と分節された舞踊の動きを彷彿させるピアノ。両者はスコアと即興とのはざまをスポンティニアスに行き交う。精神の根底に働きかける、特別な力をもった音楽である。
 
   以下のリンク先で、20041018日、米ワシントンDC、ケネディ・センター内ミレニアム・ステージで行なわれたレヒナーとツァブロプロスのデュオ公演の模様が約1時間にわたって視聴できる。
 
   ブックレットには、これらの音楽が成立した背景およびグルジェフやハルトマンに関して、当時のエピソードを交えつつスティーヴ・レイクが長文の解説“Facing East”を寄せている。(国内盤には翻訳が掲載されているのだろうか?)
 
 レイクの解説でも触れられているが、ECMとグルジェフ財団との間には浅からぬ縁がある。

 初めは、1980年にキース・ジャレットが、当時一般には非公開扱いとされていたグルジェフ/ハルトマン作品のスコアを、ロンドンのグルジェフ協会から借り受けて、《祈り〜グルジェフの世界 Sacred Hymns of G. I. Gurdjieff》(ECM 1174)をピアノ・ソロで録音したことだった。

 じつはこの録音は、NYのグルジェフ財団の許可なく行なわれたため、後に、グルジェフ財団はキースを本部まで呼び出して、録音に至る真意を確認するなどしているが、そこで無事に理解が得られて、この件は訴訟にはならなかった。(参考=イアン・カー著『キース・ジャレット 人と音楽』)

 
 ところで、アニヤ・レヒナーはこのキースの録音を聴いて感銘を受け、グルジェフ/ハルトマンの音楽への関心を深めた経緯があるという。さらに、近年彼女が演奏に取り組んできた現代作曲家が、コミタスの研究家でもあるアルメニアのティグラン・マンスリアンと、ウクライナのヴァレンティン・シルヴェストロフという、いずれもグルジェフ/ハルトマンとも関わりをもつ土地の響きを秘めた存在だったことも、今回のプロジェクトを前進させる隠れた原動力となっていた。

 レヒナーはクラシックだけでなく、インプロヴィゼーションの活動も並行して行なっており、ミシャ・アルペリン《Night》(ECM 1769)──1998年のノルウェー、ヴォッサ・ジャズ・スェスティヴァルでのライヴ録音──では、静謐な凍てついたロマンの極致を響かせている。

 

Triangle 1001-4

Manufactured by ECM Records GmbH for Triangle Editions, Inc.

 話が前後するが、ニューヨークのグルジェフ財団は、しばらくして再度キースに連絡を取り、ある相談をもちかける。それは、グルジェフの没後にハルトマン自身がこれらの音楽をピアノで演奏した録音テープを──始めから記録を目的とした録音ではなく、ときには録音されていることをハルトマン自身気付かないで演奏していた場合もあったという──、きちんとしたかたちで残すために修復してもらえないかというものだった。これらの音源は1960年代初頭に78回転のレコードとして制作されたのを皮切りに、70年代に至るまでごく私的なかたちで時折レコード化が繰り返され(公には発売されていない)、キース・ジャレット自身もよく聴いていたものだった。キースはこの仕事を任せられる相手としてECMを推薦する。

 この貴重な音の資料を、マンフレート・アイヒャーはエンジニアのマルティン・ヴィーラントと協力して丹念に取り扱い(作業にはキース・ジャレットも加わった)、1985年に4枚組のレコード・セットとして完成させる。発売元は Triangle Records で、制作がECMという珍しいケースである。

 このレコード・セットは、数年前までECMを通じて購入できたが、2006年に入って在庫がなくなっている模様。ただし、3枚組CDと4巻組カセットは、Triangle Editions Recordings のサイトから購入可能。

 また以下のサイトでは、Triangle Editions のものを含め、グルジェフの音楽の各種CDが、購入・試聴できる。

 
   グルジェフ/ハルトマン作品をオリジナルのピアノ以外の編成に編曲し、しかも、インプロヴィゼーションを交えて演奏するというかつてない意欲的な企画が実現できた背景として、もちろん二人の優れた音楽家、ツァブロプロスとレヒナーの豊かな想像力/創造力の存在が不可欠であったことを認めた上で、ECM(アイヒャー)とグルジェフ財団の信頼関係が果たした役割についても留意しておきたいと思う。音楽とは、生者と死者を交えた複数の存在者の意識の綾取りそのものでもあるのだから──。
 
  〈参考〉

グルジェフ・ハルトマン音楽について/ユージン・E・フォスター
Georges Ivanovitch Gurdjieff / Thomas de Hartmann - Music for the Piano / Vol.1:Asian Songs and Rhythms, Vol.2:Music of the Sayyids and the Dervishes [wergo] ライナーノーツからの翻訳

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  Gurdjieff International Review
The Gurdjieff / de Hartmann Music

[Gurdjieff International Review; top page ]


グルジェフ 創造と進化の図絵

 
Gurdjieff - Harmonic Development: Complete Harmonium Recordings 1948-49

 オランダのフリーランスの編集者 Gert-Jan Blom がグルジェフ本人のハーモニウム演奏の録音記録を復元し、当時の関係者の回想と未公開写真とともに2004年に出版したCDブック。グルジェフが1949年に録音した全19時間に及ぶ演奏をMP3でディスク1枚に収録し、さらに194849年にニューヨークで録音された音源を2枚のCDに収録している。

 
 

堀内宏公
Hiromasa Horiuchi

 

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