VOL.05 2001.10.29 |
矢
多 羅 の マ サ ラ YATARA NO MASARA |
月光茶房 ■ |
原田正夫
Masao Harada
| 4号からだいぶ間が空いてしまいました。だいたい1ケ月と1週間ほどで出す心づもりなのですが、今回は眼の炎症を患ってしまいPC謹慎2週間というのが響きました。さて今年も残すところ2ケ月ちょっとですが、秋も深まると自宅で頻繁に
CDP のトレーに乗るCDはジャズよりUKやアイルランドのトラッド、UKやUSの
SSW ばかりです。ニュー・アライヴァルで紹介しているケイト・ラスビーのCDは本当に素晴らしいアルバム。ビョークの新譜より音楽的に高く評価しております。 |
| VOL.05 | part 2 NEW ARRIVAL ▼ |
| part 1 | part 3 UNFOGETTABLE ! / PSYCHO VANILLA ▼ |
| 150 DISKS OF JAZZ |
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021 |
Bob Brookmeyer (vtb.), Zoot Sims (ts.), Others 『Stretching Out』 (Liberty) |
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上の文章の最後で「その第1回」と書いたのは管のアンサンブルを楽しむジャズ・アルバムをピックアップしだしたらキリが無いぐらいたくさんあるからだ。3回分ぐらい割り当てようかと考えてるけど……。本アルバムはズート以下ベテランによるオクテット編成で、1959年リリース。アレンジはバルブ・トロンボーンのボブ・ブルックマイヤーと ts. と bs. 担当のアル・コーン、そしてビル・ポッツ。オリジナル盤の裏ジャケのライナーをブルックマイヤー自身が書いているので、実質のアルバム・リーダーは彼だろう。彼はトロンボーン奏者として優れているだけでなく、作曲や編曲にも情熱を持っていた人。モダン・ジャズの人だがジャズの持つスイングする快感を大事にする彼は、このセッションではカウント・ベイシー楽団のスイングの要、リズム・ギターのフレディー・グリーンを参加させた。そしてこれがこのアルバムの魅力の大事なポイント。グリーン以下リズム・セクションが刻む軽快なリズムが、tp. のハリー・スウィーツ・エディソンを始め各人のソロとアンサンブルに永遠に尽きることのない生命を吹き込んだのだ。 | ||
022 |
マニー・アルバム (comp.arr.) 『ジャズ・グレーツ・オブ・アワ・タイム Vol.2』 (ビクター) |
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サックスの中でバリトン・サックスは管のアンサンブルの中で低音を受け持つだけでなく、そのゴリッとした音色は演奏に厚みを持たせたり、アクセントになったり編曲者にとって重要な切り札の一枚だ。いきおい bs. 奏者は作・編曲に興味を抱く人が多い。1950年代から80年代にかけてビッグバンドに曲やアレンジを提供したり、TVや映画音楽の分野で活躍した Manny Albam も元は bs. 奏者だった。1957年録音の本アルバムは、当時の精鋭・名手を集めて作られたもので、Vol.1 は東海岸のミュージシャンで作られ、この Vol.2 の方は西海岸のミュージシャンで作られたもの。コンテ・カンドリ、リッチー・カミューカ、チャーリー・マリアーノ、レッド・ミッチェル、シェリー・マン以下、錚々たる顔ぶれの12人編成で繰り広げられる演奏は各人のソロもふんだんに配されており、当時のウエスト・コースター達の見事なショーケースになっている。マニーは当然意図したことだろう。アンサンブルと各人の即興の対比でジャズを聴かせる当時のウエスト・コースト・ジャズの魅力を、この1枚のアルバムは楽しく味あわせてくれ。 | ||
023 |
タッド・ダメロン (arr. comp. cond.) 『ザ・マジック・タッチ』 (ビクター・エンタテインメント) |
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ヨーロッパで編曲者が評価されるのはやはりクラシックの伝統からだろう。アメリカではどうなのだろうか。ピアニストでもあったタッド・ダメロンは作・編曲に優れ、多くの作品を生んだが、彼の一生はその才能に見合ったものとはいえなかった。一因は麻薬にあるが、彼の美意識や誇りが不遇さの不条理とバランスをとるのに麻薬が必要だったのだろう。そのダメロンが麻薬禍から復帰して作り上げたのが1962年の本アルバムだ。この3年後に癌でこの世を去ったことを思うと、30年近くの彼のキャリアの集大成ともいえるのがこの『ザ・マジック・タッチ』だ。2曲目の「フォンテーヌブロー」は彼の作曲だが、この曲には演奏者の即興のソロはまったく無く、ダメロンの作・編曲に対する自負がよく現れている。彼の編曲は知的でスマートな手触りがあるが、木管やトロンボーン、フルートの柔らかさを効果的に使うそのアレンジに、ジャズの枠組みの中で終生、響きの美しさにこだわった彼の音楽観が透けて見える。本アルバムは昨年やっと国内盤CD化(初!)されました。コーティング紙ジャケ仕様の別テイク3曲入り。 | ||
024 |
ジョージ・コールマン (ts.) 『ビッグ・ジョージ』 (ファンハウス) |
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現在このアルバムはM&Iから「グリーン・ドルフィン・ストリート」のタイトルで国内盤CDが出ている(ジャケもおシャレになってます)。オリジナル・タイトルは『ビッグ・ジョージ』で、かつてファンハウスからこのオリジナル・ジャケで国内盤CDが出ていた。さて、1963年のマイルス・デイヴィス・グループへの参加、そしてハービー・ハンコックの歴史的名盤『メイデン・ヴォーヤージ(処女航海)』への参加で有名なジョージ・コールマン、しかしメンフィス育ちの彼の音楽的バックグラウンドは当然メンフィス・ブルースやR&B。彼の胸に秘めるメンフィス・スタイルのアーシーでブルージーなR&Bの鯔背さがモダン・ジャズの衣をまとったのがこのアルバム。70年代のフュージョン全盛時代にオクテット編成のマッチョでゴリゴリの直球勝負のジャズを発表したコールマンの心意気が全編に漲っており、おまけに as. と tp. にコールマンとジュニア・クックの2テナーにバリトン・サックスという布陣が重心の低いアンサンブルを生み出す。ピアノはエリック・アレキサンダーの「父親」ハロルド・メイバーン。言うことなしです。 | ||
025 |
ジョニー・グリフィン (ts.) 『ザ・リトル・ジャイアント』 (ビクター・エンタテインメント) |
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1950年代から60年代にかけてハードバップと言われるスタイルのジャズが流行る。管楽器が1〜3管に3リズム・セクションがつくコンボ編成が多く、アップテンポではノリがよく、スローテンポの曲はブルース・フィーリングに溢れていて、モダン・ジャズの大きな潮流になる。現在もネオ・ハードバップなる言葉が必要なほど、ハードバップ・スタイルのジャズはミュージシャンとリスナー、共に魅了するジャズ・スタイルだ。特に tp. ts.(as.) tb. の3管を配したコンボは音に厚みもあり、管楽器のアレンジも楽しめて、「3管ハードバップ」なる表現もあるくらい特定のファンがいる。ジョニー・グリフィンのこのアルバムは50年代「3管ハードバップ」の代表的な1枚。当時のグリフィンのテナーの音色はバリトン・サックスのようなザラッとした感触があり、本アルバムでのブルー・ミッチェルの tp. とジュリアン・プリースターの tb. と音が重なった時の迫力はビッグバンド級だ。タイトルはグリフィンの体躯の小ささと彼のソロの豪快さに由来する。編曲はノーマン・シモンズが関わってるのでアーシー、一生ものの1枚になるはず。 | ||