VOL.06 2001.12.25 |
矢
多 羅 の マ サ ラ YATARA NO MASARA |
月光茶房 ■ |
原田正夫
Masao Harada
| VOL.06 | part 2 NEW ARRIVAL ▼ |
| part 1 | part 3 UNFOGETTABLE ! ▼ |
| SHELTER PEOPLE |
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| 001 | Fairport Convention 『Red & Cold』 (New Routes - LP) [Trad. / England] |
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HMV やタワレコでフェアポート・コンヴェンションのCDはロックのフロアに置いてある。スティーライ・スパンはトラッド(ケルト)のコーナーにあるのに何故? 共にアシュリー・ハッチングスがバンド結成に絡んでいるし、ロック・バンドの形態で英国のトラッドを取り入れていく、という基本コンセプトも同じなのに。フェアポートがスタート当初、アメリカのバーズ等のフォーク・ロックを目指していたのに対し、スティーライは最初から自国トラッドを強く意識した「ロック」を展開していたからだろうか。70年代においてはペンタングルを含め英国トラッドを追求する3大バンドとして共に「トラッド系」扱いだったのに面白い。フェアポートといえば69年から70年にかけての3作と後に発表されたライヴ・アルバムあたりで語られてしまうけど、80年代中ごろに再結成されてからのアルバム群も見逃せない。ハッチングスもトンプソンもスウォーブリックもいないが、マダックスのドラムスの「叩き方」のトラッド・チューンへの熟(こな)れ方が70年代初期より自然で、ワタシはフェアポートはこの時代も好き。88年の作品。 | ||
| 002 | De Danann 『De Danann』 (Polydor - LP) [Trad. / Ireland] |
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当時ブラック・ホークではアイルランドの人達のアルバムが紹介されることは少なかったように記憶している。ちなみに74年に作られたブラック・ホーク所有のレコード・リストを見てもアイルランドのトラッド系の人達のアルバムの記載はごくわずかだ。75年発表のデ・ダナンのこの 1st.アルバムはだからずっと後になって、80年頃に購入したもの。ブラック・ホークに通いつめていた頃はアイルランドにもイギリスと同じようなトラッドがあるなんて知らなかった。ケルトという言葉も美術史に出てくる単語であって、音楽用語(?)じゃなかった。買ったのは輸入盤だから、バンド名の読み方もわからない。購入時に店の人に教えてもらった事を憶えている。80年代以降アイルランドを代表するトラッド・バンド(チーフタンズを除いて)になっていく、このバンド(現在は De Dannan と表記)にはフェアポートやスティーライのようにドラムスやベーシストはいない。大型のタンバリンのような形(皮は片側のみに張られている)の伝統打楽器バウロンにブズーキやマンドリン、フィドルが絡むという編成そのものもトラッドなバンド。 | ||
| 003 | Steeleye Span 『Live At Last』 (Chrysalis - LP) [Trad. / England] |
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イギリスではフェアポートの方が人気があるみたいだが、ワタシはスティーライ・スパンでトラッドに開眼しました。最近もアルバムを出しているが、ワタシにとってスティーライとはマディ・プライア在籍時代を意味する。さらに自分にとってトラッド・シンギングの最高の歌姫は、シャーリー・コリンズでもサンディ・デニーでもない。ドロレスでもメアリーでもモイアでもカレンでもマレードでもない。「ブラック・ホーク時代」から現在に至るまで、このマディ・プライア嬢こそがその人。トラッド・シンガーのワタシの「世界基準」にもなっている。ところで、ケルト圏やイングランドのトラッド&フォークを紹介する個人のHPが増えてきて何よりだが、マディ・プライアの素晴らしさを知らない人が多いぞ。サンディ・デニーのソロ・アルバムはさかんに国内盤でもCD化されるのに、なぜかマディはされないし(スィリー・シスターズのCDは国内盤化)。マディの天空を駆け抜けるがごとくの歌声が聴けるこの78年のライヴ・アルバムでもって一度解散(80年に再結成)。B面の素晴らしさといったら。最近のマディも要チェック! | ||
| 004 | Jeanie Green 『Mary Called Jeanie Green』 (Elektra - LP) [Swamp / USA] |
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音楽之友社刊「シンガー・ソングライター名盤700」で山本智志氏がこのジーニー・グリーンの紹介の項で、ホワイト・ソウルの歌い手としては「ボニー・ブラムレットに一歩譲る」と記述されてるが、聴き手によって評価も様々だよなあとつくづく思う。ボニー・ブラムレットがどんなに力んで唄っても、ワタシは彼女にソウルを感じたことは一度もない。一方、ドン・ニックスのアラバマ・ステイト・トゥルッパーズでのジーニー・グリーンの歌声を初めて聴いた時は、感動のあまり居ても立ってもいられなくなった。「こっちの方がスゴいじゃん」……デラニー&ボニーの高い評価への当てつけではなく、純粋にこのジーニーのソウルフルな歌唱に感動したのだ。30年経ってもその想いは変らない。71年のこの初リーダー作のA面最後にアフリカのトラディショナルを取り上げている。1分たらずの短い曲なのだが、ここでのアレンジとジーニーの歌唱がとてもいい。この路線で1枚アルバム作ったら素晴らしいものができるのに……。この想いもまた当時と変らない。他の曲での黒人霊歌を模範・基盤にした彼女の歌唱も実にスワンプフル。 | ||
| 005 | The Pentangle 『Basket Of Light』 (Transatlantic - LP) [Trad. / England] |
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ジョン・ボーナム抜きにレッド・ツェッペリンの音が再現できないように、オリジナル・ペンタングルはオリジナルの5人が揃ってあの音楽が作れるんだという事を、再編ペンタングルや新生(マクシーズ)ペンタングルのアルバムを聴くたびに思う。そしてスティーライやフェアポートの70年代のアルバム群は今聴くとやはりリズム処理やエレキ・ギターの音に「時代」を感じてしまうが、オリジナル・ペンタングルのアルバムは現在でもまったく色褪せていない。フィドルや蛇腹が無くとも十二分にトラッドの香りがあるが、何よりもアレンジと演奏のクウォリティの高さはハンパじゃない。ジョン・レンボーンとバート・ヤンシュのギターの腕は言わずもがなだが、ジャズ畑出身のダニー・トンプソンとテリー・コックスのリズム・セクションのセンスが素晴らしく、実はペンタングルのキモはこの二人なのだ。トラッドを座標軸の中心に据えながらも、ブルースとジャズへの振幅を鮮やかにこなせたのはこの二人がいたからこそだ。21世紀に入って大傑作「バスケット・オブ・ライト」はますます輝きを増している。全6枚必聴です! | ||