Photographs of wild animals in Malawi managed in 'robot camaras' or unmaned photography system.
1999年の1月までの約3年間、青年海外協力隊員であった僕は東アフリカの小国・マラウィに暮しながら、野生生物の調査などの仕事に従事していました。
マラウィ国内で絶滅したクロサイが、つがいで2頭輸入され、僕が配属されたリウォンデ国立公園の特別保護区の中に放されていました。観察を試みたものの、森林で見通しの効かない現地の環境、神出鬼没かつ神経質なクロサイの習性などがネックとなり、健康状態さえまともに確認できない状況が続いていたのです。
そんなある日、使われないまま埃をかぶった改造カメラが公園の備品の中から出てきました。現地スタッフには使い方すら分からず放置されていたそれが、ロボットカメラ(無人撮影装置)だったのです。かくして、ロボットカメラでクロサイの姿を記録に止める試みが始まりました。
動物の行動範囲と獣道の読み取り、フィルムの入手難、自家現像の習得、装置の自作、高温や直射日光によるセンサーの誤動作への対策…。約1年間の試行錯誤の後、本来の目的であったクロサイの記録にも一応の成果を残すことが出来ました。しかし、その画像の中に見る動物たちの姿は単なる調査上の記録を超えた魅力をも持っていたのです。
動物たち(インパラ、セーブル、イボイノシシ、ゾウなどなど)は、ほとんどの場合こちらに一切の警戒を示さず、ただいつものようにそこで水を飲み、あるいはそこをただ通りすぎようとしてます。人の存在をまったく気にしない完全にリラックスした動物たちが見せる表情が、通常撮影の時に超望遠レンズを通して見えるそれと、これほどまでに違うとは!!
そう、ロボットカメラだけが目撃しえた野生動物たちの日常の姿が、そこにはあったのです。
使用機材(ロボットカメラ)について Robot Camera
ここで言う「ロボットカメラ」とは、カメラマン不在でも自動的に写真を撮影する機能を持った「無人撮影装置」のこと(詳しくは別項を参照)。野生動物写真の撮影技術としては、専門家を中心にある程度普及しています。ただし、アフリカの野生動物をこの無人撮影法で撮影した例はほとんどなく、今回の一連の撮影は極めて貴重。まとまった作品群としては世界初の成果ではないかと思われます。
野生動物の無人撮影では、いわゆる動物カメラマンは防水対策を施した一眼レフカメラと大型のストロボを併用した高価なシステムを使うのが普通です。しかし、この私の撮影では安価な市販のコンパクトカメラを改造し、センサーに接続。ストロボは本体内蔵のものだけとし、光量不足を超高感度フィルムで補いました。つまり、シンプル、軽量、かつ低コスト(一式4万円ほど)の無人撮影装置です。盗難、破損、焼失などの危険が大きく、点検すらままならないアフリカのフィールドでこの仕事を遂行するには、万が一トラブルが発生してもあきらめがつく低コストのシステムであることは必須でした。
フィルムは当初はネガカラーでしたが、現像するのに1〜2日かけて都市の写真店まで行かなければならない状況だったことと、最高気温40度に達する炎天下のフィールドに最長1ヶ月間も放置しなくてはならず、カラーだと変色の問題がありました。幸いこの仕事を開始して間もなく一時帰国する機会があったため、大量の高感度モノクロフィルムとモノクロ現像器具、薬剤一式を購入して持ちこみ、職場内の自宅(電気はありませんでしたが、水道は使えました)で自家現像することにしました。おかげで上記の問題も解決し、効率が改善しました。
「安価なロボットカメラ」と「モノクロフィルム」の組み合わせだったからこそできた仕事だと、僕は思っています。
ロボットカメラを点検する作者
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