通称「観光神楽」
それぞれの集落で真冬に夜を徹して舞われる高千穂神楽を参観しようと思えば、それなりの覚悟がいる。日程の都合もあるだろうし、高千穂観光のついでにちょっと観て見よう、というわけにはいかない。「気軽に高千穂神楽を楽しみたい」という観光客の要望にこたえるために始まったのが、毎夜の定時公演である!冬の本番神楽を拝観する予定があるのならともかく、再び高千穂に来る機会が当分ないであろう人は、ゼッタイ観ておいてほしい。
夏休みなどは拝観客で一杯になる。(2002年8月10日)
○シーズン・曜日を問わず年中毎日公演!夜8時からの約1時間…宿の夕食後から出かけるのにちょうど良い。連休のときや観光シーズン中は込み合うので、早めに行って前に座ろう。交通手段がない人は、あらかじめ宿に相談を。
○場所は高千穂神社本殿の右横にある「神楽保存館」…拝観料500円/ひとり。季節によってはちょっと寒いので上着を(でも、本物の神楽宿よりはマシだ)。
○内容は、本番の全三十三番の中から一般ウケする四番をピックアップし、さらに計1時間に縮めたダイジェスト版。「岩戸隠れ」の神話をモチーフにした『手力雄』『鈿女』『戸取り』の三番と、男女の夫婦神(イザナギ&イザナミ)が登場するちょっとエッチな『御神体』。でも、舞っているのは「本物」の「ほしゃ」たちで、短く編集されている点以外は本番と同じ。『御神体』で神様たちが舞台から出て来て見物人に迫る「かまけわざ」は、一見観光客向けの特別サービスのようにも見えるが、実はこれも本番で行われている。
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このほか「高千穂神楽」が気軽に楽しめるイベント
お問い合わせは高千穂町役場商工観光課へ
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「観光神楽」で勘違いしないために
確かに一般観光客にはオススメのこの「観光神楽」。でもこれを観ただけで高千穂神楽全体のイメージを決められると、ちょっと困る。これはあくまで「観光客ウケ」を主眼に置いた「見世物神楽」で、上演される内容も偏ってる。原料は本物でもインスタントはインスタント。くれぐれも勘違いをなさらぬよう。
- ここで上演される四番は、すべて神面(しんめん)をつけて舞われる「神面舞」。しかし、本番の神楽舞のうち、神面が登場するのは半分くらいで、それ以外は素顔(すめん)で舞う「素面舞」。本来「高千穂神楽」=「神面舞」ではない。(「神面の謎」参照)
- この四番が神楽舞の「代表格」と思ったら、大間違い。中でも『御神体』は本番では「余興」の意味が強い。「岩戸隠れ」の3番は、本番では「岩戸五番」と呼ばれる神楽終盤の山場の一部だ。しかし、略式の神楽など(日神楽)でも必ず舞われる「最も重要な番付」とされるのは「式三番」とか「よど七番」と呼ばれる序盤の部分である。(「番付表の謎」参照)
- この四番は比較的ストーリー性が強いため、(古事記・日本書紀に代表される)「日本神話」をモチーフにした「舞劇」のような印象を受ける。しかし本番の神楽で「岩戸隠れ」の部分以外に「日本神話」の物語を見出すのはほとんど不可能。他の番付のほとんどは単調な舞の動きを反復するものが多く、そこにストーリー性はない。(「高千穂神楽と日本神話の謎」参照)
- 観光客へのサービスとして行われているこの定時公演は、その目的からして「見世物」であるが、本来神楽は「見世物」ではない。あくまで「神に舞を奉納する」儀式・神事である。(「高千穂神楽拝観心得之条」参照)
本番の高千穂夜神楽では、素面(すめん)での一見単調な動きがたびたび繰り返される。初めての人はちょっと退屈するだろう。夜通しの拝観となれば、さらに寒さと睡魔が襲う。だが、ほしゃどんたちの紅潮した顔、流れる汗、白い息…。空腹にしみる雑炊や煮しめの味。凍えた体を暖めてくれるカッポ酒。そのすべてが「本物の味」。「観光神楽」を見た人も、見たことがない人も、ぜひ一度本番の夜神楽を体験してほしい。
ほ〜ら、あなたも本番の夜神楽が観たくなってきた〜!
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