「高千穂神楽の夜は永く」 高千穂神楽拝観記

高千穂町上野「黒口神楽」

(黒口神社)

拝観日 場所 備考
2002/11/24-25 黒口公民館 全日程拝観

2002年11月24日〜25日日(「自然派宣言!/クマ探し日記」より抜粋)

 春を思わせるポカポカ陽気。今夜も夜神楽取材だ。「徹夜で夜神楽取材バージョン」の服を着込むと汗が出た。昼過ぎに神楽宿に向かう。

 今回の夜神楽は、地区の公民館で開催される。昨年までは伝統的に地区の民家で行われていたというが、それも限界、ということなのだろう。僕は、古い家でも改築などで天井が低くなったり間取りが狭くなったりした家での夜神楽では、しばしば舞が小さくなってしまっている、との印象を持っている。神楽宿の問題を決めるのはもちろん地区の住民だが、民家開催にこだわり過ぎる必要はないのでは、と僕個人は思う。

 僕が到着したとき、まだ神楽宿は準備中。その後到着したO氏とともに、いつものようにベストポジションを確保。ところが、夜神楽が始まる夕方になっても、人があまり増えない。この日は日曜日。翌日は平日。この週末は連休で観光客も多かったが、前日・前々日にも夜神楽の開催が続いたので、わざわざこの日を選んで来る観光客は少ないようだ。結局、舞が始まった時点では、まだカメラを持っていろいろなポジションから写真が撮れるほど空いていた。

 夜8時ごろから11時ごろまではさすがに混み合ったが、深夜には再び閑散となった。舞人たちもリラックスした感じ。ときどき舞の途中で「あ、○○忘れとった!」とか「ここはどげんすっとかね?」とか段取や舞の所作を確認しつつ事が進む。もちろん、こういうのを「準備不足、練習不足」と批判する事はできるのだろうが、見物人に披露する事を主眼としてはいない以上、「これも有り」でよいのではないかと思う。すくなくとも、僕はそういうアットホームな感じが「村祭」らしくて好きだ。最後は、舞人たちと、わずかに残った見物人とが、一緒になって夜神楽を成就させた気分にさせてくれた。

(後略)

 

「五穀」の舞。素襖の代わりにきらびやかな「狩衣」を着て、さらにその上から千早を着ているので、とても派手な印象。


  番付表   予定表   実際の順番
彦舞 彦舞 彦舞(19:50頃開始)
          御小屋
太殿 太殿 太殿
神降 神降 神降
鎮守 鎮守 鎮守
杉登 杉登 杉登(前半)
          入貴神
          杉登(後半)
          直会(御神酒)
地固 地固 地固
幣神添 幣神添 幣神添(前半)
          道化荒神
          幣神添(後半)
武智 五穀 五穀
太刀神添 沖逢 沖逢
10 弓正護 10 七貴神 10 七貴神
11 沖逢 11 袖花 11 御神体
12 岩潜 12 御神体 12 袖花
13 地割 13 住吉 13 八鉢
14 山森 14 岩潜 14 住吉
15 袖花 15 日の前 15 岩潜
16 本花 16 八つ鉢 16 山森
17 五穀 17 弓正護 17 鞭神添(=武智)
18 七貴神 18 太刀神添 18 火の舞(=日の前)
19 八つ鉢 19 山森 19 大刀神添(=太刀神添)
20 御神体 20 武智 20 地割
21 住吉 21 本花 21 本花
22 伊勢神楽 22 地割 22 弓正護
23 柴引 23 大神 23 大神
24 手力雄       神事
25 鈿女 24 伊勢 24 伊勢
26 戸取 25 柴引 25 柴引
27 舞開 26 手力 26 手力
28 日の前 27 鈿女 27 鈿女
29 大神 28 戸取 28 戸取
30 御柴 29 舞開 29 舞開
31 注連口 30 注連引 30 注連口
32 繰下し 31 注連口 31 繰下し
33 雲下し 32 雲下し 32 雲下し(7:10頃終了)

 現地で配布された番付表(上表左欄)は、高千穂町作成の三田井地区向けのもの。舞人の楽屋には、これとは別に関係者用の予定表があった(上表中欄)。上表右欄は、実際の舞の際に表示されたもので、演目の表記にはかなり違いがみられる。中盤の順番はかなり変更されているが、元々予定にない「御柴」の舞以外には省略はなかった。「御小屋」(「御神屋ほめ」)は一般には「彦舞」の前に行われるが、「彦舞」の後、「太殿」と融合する形式で行われた。

 「幣神添」に「道化荒神」が入る形式はこの付近の地区には多いが、「御神体」のように客席の見物客に絡む「かまけわざ」が見られた。

 「七貴神」では順次神庭に入ってくるはずの子神のうち、ユーモラスな動きをする女神(それ自体は押方五ヶ村でも見た)だけが最初から神庭に控えていたのは変則的なものか?舞い終わった子神が神庭の左手に控えることが多いが、ここでは戸口の外に控えたことと関係するのかも。

 一般に一人舞である「八つ鉢」は、小学生の子供と大人の二人舞で、ここでも子神による「かまけわざ」がみられた。その後半は大人一人舞の一般的な動きだが、ばく転の大技あり。

 衣装では、一般的な「素襖」も多数使われていたが、その代用とも思われる「狩衣(かりぎぬ・神官の正装)」が何度も登場した。一部で使われた「帆立烏帽子」は初めて見た。


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