「高千穂神楽の夜は永く」 高千穂神楽拝観記

高千穂町岩戸「野方野神楽」

(石神神社)

拝観日 場所 備考
2002/12/14-15 野方野公民館 全日程拝観

2002年12月14日〜15日(「自然派宣言!/クマ探し日記」より抜粋)

 晴れて寒い朝。でも2週連続雨の週末、そして夜神楽取材だったので嬉しい。昼過ぎに神楽宿へ。

 今回の取材先は岩戸地域の3地区目で、これで現在夜神楽が開催されている岩戸神楽は制覇だ。例年民家を使っていたようだが、今年は試験的に公民館での開催。新規に制作したという「岩戸」をイメージした「セット(舞台背景)」はかなり手が込んでおり、驚いた。宮司さんも驚いていた。まぁ、確かにこれは民家開催では不可能だ。

 舞は岩戸地区の中でも足の運び方に独自の特徴があると聞いていたが、それは僕には判別できなかった。他は概ね他の岩戸地区と同様の行事進行。

 明け方は冷えこんで、僕も持参した防寒具を総動員。今年最初の夜神楽(11中旬)で足先が冷えた反省から手に入れた「テントシューズ」(靴下状のダウンジャケットみたいなもの)は初出動だった。が、暖かくなると…今度は眠くなる。怒涛の睡魔と戦いながらの撮影で、大人し目のフィルム14本で撮影完了。

 実は、この夜神楽明けの15日、ある地区の日神楽(略式の神楽)で関係者の許しを得て少女が本番の神楽を舞う、との情報が入っていた。これは取材しなくては!と思いつつも、その前に一時間だけ仮眠を…と自宅に戻ったのが良くなかった。目覚めたのは夕方。が〜ん!「女舞」を見損ねた。

角のある「牛神さま」の面(「杉登」の舞)

神棚側には「岩戸」をイメージした手の込んだ舞台背景が用意された(「戸取」の舞)


  番付表   実際の順番
太殿(たいどの) 太殿(18:50頃開始)
神降(かみおろし) 神降
鎮守(ちんじゅ) 鎮守
杉登(すぎのぼり) 杉登(前半)
      入鬼神
      杉登り(後半)
地固(ぢがため) 地固
幣かざし(ひかざし) 幣かんぜ
弓正護(ゆみしょうご) 弓正護
住吉(すみよし) 住吉
岩くぐり(いわくぐり) 岩くぐり
      直会(夜食)
10 袖花(そでばな) 10 袖花
11 柴のり(しばのり)    
12 地割(ぢわり)    
13 本花(ほんばな) 11 本花
14 五穀(ごこく) 12 五穀
15 七奇神(しちきじん) 13 七貴神
16 御神体(ごしんたい) 14 御神体
17 蛇切(じゃきり) 15 蛇切
18 八鉢(やつばち) 16 八鉢
19 武智(ぶち) 17 武智
20 四人鎮守(よにんちんじゅ) 18 四人鎮守
21 火の前(ひのまえ)    
22 太刀かざし(たちかざし) 19 太刀かんぜ
23 置絵(おきえ) 20 沖逢
24 大神(だいじん)    
25 山森(やまもり) 21 山森
      直会(朝食)・休憩
26 柴引(しばひき) 22 柴引
27 伊勢(いせ) 23 伊勢
28 手力(たちから) 24 前の手力男命舞
29 鈿女(うずめ) 25 鈿女命舞
30 戸取(ととり) 26 戸取の舞
31 舞開(まいひらき) 27 舞開
32 繰下(くりおろし) 28 繰下
33 雲下(くもおろし) 29 雲下(9:40頃終了)

 配布された番付表は天岩戸神社が製作した岩戸地域広域向けのもの。「柴のり」「地割」「火の前」「大神」が省略された。これは舞人の都合(ベテランが一人病欠?)によるもののようだ。その他は予定表に従って進行した。

 本文にある「独特の足の運び」とは「つま先舞」と呼ばれるもので、この地区の「師匠」のこだわりらしいが、違いが良くわからなかった。舞の内容は一見すると他の岩戸各地区(上永之内、五ヶ村)とそれほど違っているようには見えなかったが、岩戸地域で活躍するベテラン舞人たち(舞人の補充のため加勢に来ていた)が手順を確認しながらぎこちなく舞っていたところから見ると、細部にはかなり違いがあるようだ。

 「石神神社」の氏神を現す神面には一対の角がある。これは高千穂の神楽面としては珍しい。同神社が別名「牛神大明神」として牛の神様であることに関係しているらしく、「牛神さま」と呼ばれているようだ。(写真)

 飾り付けで目立った特徴は、略式の「雲」。四角い「雲」は吊らず、天井にご幣やお供え物が固定されていた。天井の低い家の多いこの地区では、かなり以前からこの様式を取っているとのこと。また、8畳分の「神庭」の中央には2畳分のムシロが敷かれていた。これは、省略された四角い「雲」を補う意味があるという。

 今回初めての公民館開催ということもあってか、通常は神庭・内注連と向かい合わせに建てられる外注連が横向きに建てられ、「みどりの糸」は屋内で直角に曲げられる、という変則的なセッティングになっていた。

 本文にある手の込んだ岩戸の「舞台背景」(写真)は、他にはないもの。賛否があるかもしれない。だが、神楽宿を本来の民家から公民館に変更したことを何らかの形で補いたいとする、関係者の思いとして前向きに受けとめたい。また、今回の公民館開催は試験的なもので、来年以降再び民家開催に戻す可能性もあるとのこと。この試行錯誤の姿勢も、個人的には前向きに評価したいと思う。


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