無人カメラとは…センサー等で自動的にシャッターが切れるように細工をしたカメラで、特殊条件下での撮影で使われるものです。私の場合、夜行性の動物や警戒心が強い動物を至近距離から無人で撮影する目的で使用していますが、この分野の第一人者といえば著名な動物・自然写真家である宮崎学氏(長野県在住)で、「けもの道の四季」(平凡社、1984)などの優れた作品があります。
宮崎氏は当時「ロボットカメラ」と呼んでいましたし、私も1999年の写真展「ロボットカメラが見たアフリカの野性」くらいまではこれに倣っていました。しかし、現在は人間が入れないようは環境に遠隔操作で潜入して行くような運動能力を持った「ロボットカメラ」さえ実用化されている時代ですから、単に無人でシャッターが切れるというだけでは「ロボット」と呼ぶには相応しくないかもしれません。最近は単に「無人カメラ」とか「無人撮影装置」と呼ぶようにしています。
さて、無人カメラの構造ですが、簡単に言えば各種のセンサーがカメラのシャッタースイッチにつながっている、と思ってください。自動ドアや防犯アラームと基本的な仕組みは同じです。「無人カメラ」として市販されているカメラというのもないことはないのですが、現在までのところ市販品を元にカメラマンが自作したり、メーカーに特注するのが一般的です。私自身、アフリカ時代に初めて使用した1台を除けば、全て自分で考案から改造までを行っています。その装置の詳細は各自の独創と研究の結晶ですから、企業秘密の塊であることは言うまでもありません。
私が現在使用しているシステムはカメラ部とセンサー部が完全に独立しているので、自由に組み合わせを変更できます。大きく分けてカメラ部は1:コンパクトカメラを改造したもの、2:一眼レフカメラをベースにしたもの、の2タイプを、センサー部は1:体温に反応するもの、2:動きに反応するもの、の2タイプを使っていますが、機種はもっと多様ですし、一つ一つの現場に合わせて新しいものを製作することも珍しくはありません。
「無人撮影」というと、その場にいなくても良いのですから、「随分楽な仕事だなぁ…」と思われるかもしれませんが、さにあらず。まず動物の行動を読み取り、条件のよい設置場所を見つけ出し、必要な機材を考案・製作し、設置後は機材の点検・整備・改良を重ねつつ、動物たちが写ってくれるのをひたすら待ちつづけます。どちらかというと一般的な撮影より効率がわるいと思います。ただ、野生動物を相手に撮影をしているとどうしてもこの「無人撮影」に頼らざる得ない場面があり、「苦肉の策」と言えるかもしれません。
アフリカ時代の無人撮影(「ロボットカメラが見たアフリカの野性」)に使用した機材については別項を用意していますので、そちらをご覧下さい。
アフリカ時代に使用していた無人カメラの一例。白い四角の部分がセンサーの感受部、その右側に小型のカメラがあります。
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