「赤目四十八瀧心中未遂」


監督:荒戸源次郎
脚本:鈴木棟也
出演:大西滝次郎 寺島しのぶ 大楠道代 内田裕也 新井浩文 麿赤兒 赤井英和 渡辺謙作 大森南朋

 2時間39分とかなり長い映画ですが、そこまでの長さを感じないのは、描写の面白さでしょうか。

 主人公の過去を始めとして、ヒロインや他の登場人物達の画面に映らない出来事がとても多くて、どこで何が起こっているのかすべてを把握することはできないのですが、それが単なる説明不足にはなってないのがすごい。必要な部分だけを的確に描写し、必要無いものはどんどん削ぎ落としていっている。それでいてこの上映時間。かなりの密度です。

 タイトルの通り、兵庫の尼崎で知り合った男女が岐阜県の赤目四十八瀧に心中するために向かうが、結局死ぬことなく舞い戻る。しかしこの映画のほとんどで費やされるのはその心中行ではなく、二人が知り合い、心中に出かけるまで。尼崎の裏街道で生きる人々の基にふらりと現れた過去のある青年が、その生活の中で感じ、生きていくうちにその女と知り合い、成り行きで赤目へと同行する。登場人物達はみな一癖も二癖もある者ばかり。何を考え、何のために行動しているのかよく分からないところが多い。その生活の描写の生々しさがこの映画の魅力でしょう。画面に切り取られた登場人物達の姿のなんて魅力的なこと。
 お話自体は特に好みではないので正直言って疲れも残りましたが、観る価値はあると思います。