前作「雨あがる」もそうでしたが、この映画も何気ない映像をじっくりと見せることで気持ちを惹きこませる映画でした。小泉監督は画面の広がりと奥行きにこだわりを持っているように思います。素晴らしい監督です。
生きることと死ぬことを深く考えさせられる映画でした。人間死んだら全ておしまいと言う考え方もありますが、その人の存在は死んだときに無くなってしまうわけではなく、いかに生きていたかと言うことがその人の死にも大きな意味を持たせると思います。生きていること自体とその生きかた自体が、死んだときにその死んだということの意味を決定づけるのです。
でも生きていることの意味なんてものは千差万別でひとそれぞれ。自分が自分にとって意味のある生き方をすればいいのよね。他人に迷惑をかけない範囲で、自分が好きなことを十分にやって、そんな中でいくらかでも他人にも役立っていくことがちょっとでもあれば、まあ、それはそれでいいかなと。みんな、好きに生きましょう。
阿弥陀堂に暮らすお梅ばあさんを演じる北林谷栄さんの素晴らしいこと。適切な言葉は見つかりませんが、北林さんを見るだけでもこの映画には価値が高い。また病気を抱えながらも前向きに生きる奥さん役の樋口可南子さんも良かった。この二人はいくつか賞を受けるんではないかな。
時折はさまれる”阿弥陀堂だより”のナレーションも素晴らしいし、四季の移り変わりの映像も綺麗。物語全体を優しい感動が包んでいる、今年を代表する日本映画の一つでしょう。