監督:サトウトシキ
脚本:小林政広
出演:横浜ゆき 向井新悟 川瀬陽太 奈賀毬子 下元史朗 伊藤清美
実は原題を「はてしない欲望 もえさせて」という去年作られたピンク映画。「青空」と言うタイトルに改題されて今年の春先に中野でレイトショーされたらしいですね。先週地元静岡のピンク映画館でピンク映画3本立ての1本として上映されていたので観に行きました。しかしこれはピンク映画界では個性的な映画を撮ることで有名なサトウトシキ監督が撮った、ピンク映画としてはおそらく失格、かつ大不評であろう青春映画です。肝心の濡れ場は淡白で時間も短く、その上ほとんどすべてに主人公の男の独白がブツブツとかぶっているし、例えば職場の女の子がわざわざ部屋を訪ねてきても何にもしないで帰っていったりするし、どう考えても劇場(ピンク専門館)に足を運んでいるオヤジさんたちのニーズはぜんぜん満たしていない。実際かなりの数の客が退場しちゃったよ。(笑)
主人公の男が覚醒剤所持で警察に踏み込まれるが、危機一髪でその場を逃げる。逃亡生活を送る中で地道に働いてみたり殺人事件に巻き込まれたりしながら居所を変えるうち、同棲していた女と再び連絡を取り逢瀬を重ねるようになるが、女の親がそれを知ったことから事態は思わぬ方向に、と言うお話。
そもそもこの二人が知り合ったきっかけがレイプなのです。そのふたりが一緒に暮らし始めたことからしてよく分からない。全く覇気のない主人公が逃げながらなに考えて日々生活しているのかもよく分からないし、別に愛し合っているわけでもない二人がふたたび会うようになる心情の流れもいまいち分からない。ぼそぼそと繰り返される主人公の男のモノローグは鬱陶しいほど単調でかつ意味があるんだか無いんだかもよく分からないくらいだし、要するにこの映画で描かれている主人公たちの行動には分からないことが多く、共感などできるわけもない。男の最後の行動も突飛だし、まったく理解できない。
しかしこの映画ではそれらが悪い結果を生んでいるとは言い難いんですよね。その共感も理解もできない主人公の言動にはどことなく惹き込まれるものがある。僕らは将来を見据え、意味を求めて行動することが多いけど、彼はまったくそういうものを求めていない。ただそこにいるだけと言っていいでしょう。まさに本能のまま生きているだけ。だから最後に破滅の道に進んでも、それに大きな意味を感じることが無いようです。彼のように生きてみたい気も、ちょっとだけ、します。ちょっとだけ、ね。
ただ実際僕はこの映画を楽しめましたが、これがピンク映画であると言う前提のものとにあるからかもしれないですね。ピンク映画としては明らかに異色で、ニーズとシーズのずれがとても面白かったのでですが、これって最近の仮面ライダーやウルトラマンの新作が明らかに子供映画の枠内なのに大人でも(むしろ大人の方が)楽しめるようなものかな。違うか。(^^;)