「突入せよ!「あさま山荘」事件」


監督:原田眞人
脚本:原田眞人
出演:役所広司 宇崎竜童 天海祐希 椎名桔平 矢島健一 街田しおん 豊原功補 藤田まこと


 僕はこの事件はリアルタイムでは全く記憶になく(生まれてはいたが子供だった)、その後の人生でもほとんど興味を持つことなく生きてきました。ときおりTVで映される有名な鉄球のシーンなどは観てはいましたが、生で見てきた他の多くの事件と比べて大きな事件としてはあまり認識していませんでした。
 しかし去年の終わりに「光の雨」を観て、また今年の頭にNHK「プロジェクトX」で放送された「あさま山荘事件」の特集を観ました。どちらもとても面白く、興味深く観る事が出来、この事件をある意味初めて知ることが出来ました。そしてこの映画も大きな興味を持って観る事になりました。

 とは言え、先のプロジェクトXを観ていたのはこの映画の鑑賞に大きな影響がありましたね。ただでさえ事実の映画化というものは最後にどうなるのかがほぼ分かっていることが多いのですが、こういう事件ものだと最後が分かっていると言うのは多少緊張感に欠けてしまいますよね。それに加えてプロジェクトXで警察側や村の人々の苦労がディテールまで紹介されていたため、そこで出てきた重要なエピソード(警察の食事を近所の人達が作ったとか、土嚢を徹夜で村の人が協力して作ったとか)が無かったりするとそれも残念に思ってしまったりもして。
 またプロジェクトXでは調べれば情報として知り得る警察側のエピソードに焦点が絞られていたので、この映画にはそうではない犯人側の描写が僕は欲しかった。せっかく劇映画にしているんだから、創作だっていいじゃない。犯人が何を考え、どう行動していたのかを見たかったです。TVと映画、ドキュメンタリーとドラマと言う差こそあれ、どちらも同じ視点の向きだったため、僕にとってこの映画はタイミングが悪く、NHKの二番煎じ的になってしまいました。これは僕側の問題によるところが大きいですが、この点は多少残念でした。
 そういったバックグラウンドの問題を抜けば、映画としてはまあまあ面白かった方だと思います。警視庁と長野県警のかみ合わなさに代表される警察内のドタバタはなかなか面白かったし、山荘に突入するクライマックスは迫力がある。分かっていても人質が最後に救出されるのはちょっとジ〜ンとしてしまう。←これって普通の映画だとネタバレで書けないんだけど、この映画だとネタバレにならないよね。公然のネタバレ映画なのよ。やっぱそれって残念です。あぁ、やっぱりだからこそ山荘の中で何があったのかを見たい!(実際に何があったのかを知りたい! ではないんですが)

 結局、僕の過剰な(間違った?)期待には応えてもらえない映画でした。

 そう言えば「光の雨」で犯人側だった池内万作さんが今回は警察側にいた。改心が早いなあ。(笑)