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by はる
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「明日の記憶」☆☆☆☆☆

監督:堤幸彦
脚本:砂本量 三浦有為
出演:渡辺謙 樋口可南子 吹石一恵 坂口憲二 田辺誠一 袴田吉彦 水川あさみ 及川光博 香川照之 木梨憲武 大滝秀治

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 まずは観た人に問題です。主人公の佐伯が病院で診察の際に覚えさせられた3つの言葉を言ってください。
 思い出しましたか? そう、「桜坂、電車男、猫目小僧」でしたね。あとでまた聞きますので、まだ観てない人もこれは覚えておいてください。

 まもなく50歳を迎える広告会社の部長・佐伯は大きな仕事も決まり、また娘の結婚も迫るなど順風な人生を送っていた。しかし会議時間を忘れたり人の名前が出てこなかったりすることが多くなってきた。何度も同じものを買ってくる夫に不安を覚えた妻に連れられ病院で検査すると、若年性のアルツハイマーを患っている疑いがあるということが分かる。

 怖いです。半端でなく怖いです。ヘタなホラーなんかよりもよっぽど怖いです。特に前半、どんどん病気が進んでいく姿の描写はとにかく恐ろしいです。これは呪怨やら貞子やらの超常的なものや、迫り来る殺人者やら陰謀やらといった現実性の低いものが引き起こすものに比べて、はるかに現実的に身の側に起こりうるものだからでしょう。ましてや記憶の衰えに関しては、この年齢になれば誰だって少なからず身に覚えがありますからね! えっ僕だけ?! こわ〜。(^^;)

 それはさておき。素晴らしい映画でした。

 先に書いた迫りくる恐怖は本人だけではありません。家族、特に共に住む奥さんの苦しみは計り知れません。愛情と絆から夫のすべてを受け入れようと思いつつも、時折その状況や過去の問題に想いを止められない奥さんの姿にはとても共感しました。
 またやむなく退職していく主人公に部下たちが自分らを忘れないようにと見送るシーンの感涙度は最高レベルでしょう。他にも何回か泣かされちったよ。
 そして奥さんがいなくなった夫を探し出しその自ら愛情の深さを指し示せたと思った次の瞬間に、最大の衝撃が待っていたのには呆然とさせられました。きれい事ではない事実を突きつける迫力ある展開に驚かされ、改めてこの映画の力強さと完成度の高さを見ました。文句なしに傑作です。

 渡辺謙さん、樋口可南子さんは一世一代と言ってもいい大熱演で最高の演技を見せてくれました。共に大絶賛。及川ミッチー、大滝秀治さんも深い印象を残してくれました。堤監督はこういうストレートな題材でも十分感動させてくれるのだから凄いです。

 さあ、さっきの3つの言葉を覚えていますか? 忘れた? 危ないですよ。じゃあ正解を。「桜餅、でんでんむし、猫ひろし」です。ではさようなら〜。

2006.6.1


 

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