「新しい風 若き日の依田勉三」


監督:松島哲也
脚本:松山善三 松島哲也
出演:北村一輝 富田靖子 風間トオル 岩崎ひろみ 曽根英樹 峰岸 徹 阿藤 快 きたろう 安藤 希 三浦友和 古谷一行
 明治の世、地元静岡の地を離れて北海道に渡り、その生涯を農地開拓にかけたワンマン男とその言動に振りまわされつづけた社員農民達の果て無き戦いを描いた実録伝記映画。主人公はけっしてカリスマ性でみなを引っ張るのではなく、ただ金銭面で優位なためについたそのリーダーという立場にいるというだけでみなを動かし、妻を含めてもほとんど理解者はいない。ただただ他人のことなど考えずに我の道を行くばかり。そんな彼に感情移入するのは極めて難しいのです。
 そもそもこの人、開拓の種をまいた人として偉人化されているのだけど、種をまいただけで実を結んだわけではないのです。だから映画の中でも大きな達成感はなく、最後までその地は開拓されもしない。だからこの映画はひたすらその作業のつらさを伝えようとしているのかもしれません。

 しかあし。きっとものすごく大変で困難の連続であったであろうその道のりが、妙にあっさりしていたりするのが残念。静岡から北海道までの道のりにしてもどの程度の時間がかかったのかよく分からない。道中に一人病気になって静養したと言うけど、ナレーションによる説明だけで直接的な描写はなく、その後追いついてきたときにどれだけ大変だったのかまったく伝わらないのです。
 また開拓した畑に初めて芽が出てみなで喜ぶシーンがあるけど、そこに至るまでにどれだけ農地を耕し、どれだけ芽が出ない落胆を味わったのかを映さないから観客はまったく登場人物にここでも同化できないのです。
 結局全体的にそんな描写の連続だし、主人公にも魅力が無いため、まったくこの映画にのめりこむことはできませんでした。

 それにしても北村一輝さんがこんな優等生的で毒のない映画に主演するとはビックリです。富田さんは年取ったね。岡安由美子さんを久々に見たよ。アイヌ姿の安藤希さんが可愛い。



2004.6