監督:北村龍平
脚本:水島力也 桐山 勲
出演:上戸 彩 原田芳雄 成宮寛貴 小橋賢児 金子貴俊 石垣佑磨 北村一輝 オダギリジョー 岡本 綾
これは凄かったです。圧倒的な迫力と展開、魅力あふれる登場人物像もあり、最初から最後まで画面にくぎづけです。短い映画ではありませんが、全く時間を感じませんでした。
刺客として生きていくことの意味を最初は分からない少年少女。必要とあれば仲間をも殺し、その反面使命とは関係なくばどんな悪い奴らにも剣を向けることはない。仲間は使命の中次々と命を落としていく。なぜ自分は生きて、憎くもない相手を斬らなくてはならないのか。その答えは、はっきりとした形ではきっと見つかることはないでしょう。ただひとつ、刺客は刺客として、使命のために相手をただ斬らなくてはならないのです。その理不尽な身を自覚するのはとても難しいことです。その運命の中、ゆれる少年少女達の心情がよく出ていると思いました。使命のため、仲間の足を引っ張らぬよう自害する少年もいれば、恋した少女のために禁じられたはずの剣を抜く少年もいる。またクールに刺客になりきっていたはずなのに、結局愛する仲間のためにその命を危険にさらす少年もいる。みな感情のない「刺客」と感情のある「人間」の間で悩んでしまうのです。その彼らの姿に、僕はいっぱい泣かされてしまいました。
殺陣。あずみを始めとした使い手たちの動きのキレがいい。ふわっと浮き上がるようなあずみの身のこなしぶりは本当に素晴らしい。そしてそれを最大限にスピィーディに魅せるカメラワークの素晴らしさ。細かいカット割、しかもアップ多用でごまかす映画も多い中、そんな小手騙しはほとんど使わない。360℃縦回転の映像には鳥肌が立ったよ。どうやって撮ったのかと思ったらパンフに種明かしが書いてあった。なるほど。技術(設備)は進んでいるんだなあ。
あずみの上戸彩さんはルックスとしてはまあ可愛いかなというところでさほど好きな感じでもなかったのですが、上にも書いた身のこなしも、思い悩む表情も、少女っぽい無邪気な笑顔も、そして決意を胸にした鋭い目も、どれもみな魅力的で素晴らしかった。おそらくこの映画で多くの新人賞を取るでしょうね。
そのほかはやはり美女丸のオダギリジョーさん。あの狂気に満ちた美形の殺し屋を今までにないイメージで演じていたのが凄い。他にもあずみの仲間達を演じた9人や旅芸人の岡本綾さんもよかったし、原田芳雄さん、竹中直人さん、伊武雅刀さんらのベテランも皆素晴らしかった。改心の一撃です。