「カタルシス」


監督:坂口香津美
脚本:坂口香津美
出演:尾上寛之 山口美也子 真那胡敬二 東 孝 斉藤麻衣 大高力也 谷口 舞 川上麻衣子


 連続少女殺人事件を起こした少年。逮捕され矯正施設に入れられるが3年後に退所。離れ離れになっていた家族は再び集まり、母親の故郷の島の古小屋でともに暮らし始める。家族は再生できるのか。
 事件以降、家族はそれぞれに病んでいて、父親には覇気はまったくなく、母親は発作的に息子の首を絞め、妹は口がきけず、弟は突然嘔吐したりする。少年に対して本気でぶつかろうとするものはなく、少年自身も自分の置かれた環境や状況に苦しむばかり。明るい未来を予見させる描写は一切見せず、ただただ苦しむ家族の姿が映し出されるばかり。事件を起こすと言うことは、周りの人々にどれだけのつらい影響を与えつづけるのか。最初から分かっていることだけど、改めてこうして見せつけられるとやはりつらく、深く考えさせられてしまう。

 ところで冒頭、死体周りの調査をしていると思われる警察の動きを野次馬している2、30人の集団の真中に、身動きひとつしない少女が映っているんだけど、あれは主人公の少年の妹だったのでしょうか。その姿は印象深いのだけど、特にアップなどで強調されなかったので映画の中では確認できず。HPの解説を読んだら「兄の殺人現場を目撃し、、、」などとの記載。でもあれは殺人現場ではないしね。
 これに象徴されるように、分かり難いんだ、これが。思わせぶりなカットが結構あるんだけど、えっいまのどういう意味?的な描写も多く、その意味を考えているとまた次の思わせぶりな描写、みたいな展開が多少苦痛でした。分かり易い映画=よい映画だなんてカケラも思ってませんけど、もう少し観客の側にも立ってもらいたいとは思いました。全体的に画面は暗くて何しているのか分かり難かったり、必要以上に長すぎる長回しカットの多用などもあまり好きではないし。

 だから僕に伝わったテーマは、「事件を起こすと家族にも深い傷が残る」。これくらいです。

 ラスト。そういう結末を選んだか。うーん、微妙だ。分からんでもないけどね。



2004.5