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「父と暮せば」☆☆☆☆

監督:黒木和雄
脚本:黒木和雄 池田眞也
出演:宮沢りえ 原田芳雄 浅野忠信

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 被爆しながらも生き残ってしまったことを重荷に生きている女が、ある日出逢った青年に恋をするが、幸せになることに抵抗を覚える彼女は自分の気持ちに正直になれない。被爆によって命を落とした父親の幽霊がその彼女の前に現れ、彼女の恋の応援団長を買ってでる。

 これはなかなかよかったです。出演者を絞っていることもあって主人公の女が何をどう悩み、どうしたいのかなどといったこともよく分かるし、少し笑わせておいてそのあとでどどっと感情の嵐を押し付けるのもうまい。まあ若干つらさを押し付け過ぎの感もありますが、主演の二人も本当に素晴らしいし、なかなか感動的でした。
 ただこれは広島の原爆を題材にしているんだけど、内容的には別に原爆でなくてもいいように思います。例えば地震でも津波でもこの話はできる気がします。多くの人が死んだ大災害の中、奇跡的に生き残った人にはこの主人公の女の考え方が分かるという人がいるんではないでしょうか。なぜならここには原爆を人災とは捕らえていない感じがするからです。この映画は戦争の恐ろしさ、原爆のようなものを生み出した人間と言う生き物の恐ろしさを描いたものにはなっていません。災害後に生き残った人のトラウマを描いたものになっていると思います。
 セリフのある出演者がわずかに3人。画面に映った人もその他数人。本当に極限まで出演者を絞っているし、描かれるシーンもほとんどが自宅とわずかに図書館のみ。演劇っぽさがかなり強い映画でした。

 戦後も被爆後も50年以上過ぎ去りました。そろそろ身をもってその恐ろしさを体感し、それを後世に伝えようとする映画監督は少なくなって来ています。日本では戦争を体験した人が戦争を描いた映画を作ることができるのはあとせいぜい20年くらいでしょう。20年過ぎてからでは遅いこともありえます。深作監督もいなくなりました。いまのうちに黒木監督や吉田喜重監督(「鏡の女たち」)のような人たちはどんどん戦争映画を撮っておくべきかも知れません。山田洋次さんとかも撮っておきませんかね?

 しかしあの「ぶっとび〜!」だの「だいじょうV!」だの叫んでいた宮沢りえさんが、あの「ドリームラッシュ」を歌っていた宮沢りえさんが、あの貴花田関とうにゃむにゃむにゃした宮沢りえさんが、こんな演技派の女優になるとはたぶん誰も予想しなかったでしょうなあ。(^^;)

2005.1


 

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