監督:飯田譲治
脚本:NAKA 雅 MURA 斎藤ひろし 飯田譲治
出演:妻夫木聡 SAYAKA 藤木直人 山田孝之 根津甚八 嶋田久作
原作つきの映画、特にマンガを原作にした映画って、本当に難しいですよね。どうしたって原作のイメージに縛られてしまう。もちろん作り手も、そして観る側もです。もうマンガを読んじゃうとその映画そのものの評価をするのは本当に難しくなってしまう。
僕はこの映画の原作を全巻買って読んでいます。(全て読んだあと処分しちゃったけど) 原作は10巻にも及ぶ大作なので、その話をどう抽出し組み替えてみせるのか、単なる全くストーリーを知らずに観る映画とは明らかに姿勢が変わってしまう。
ネットなどで感想を見るに、この映画の評価は完全に賛否両論。でも否定的な感想を読むとその多くが原作のイメージに縛られた不満に思えてしまいます。原作の無い映画だったら、この評価はどうなっていたのか、興味ありますね。もちろんそんなことはありえず、いま世間に蔓延している評価がこの映画の絶対的な評価なのですが。
ということで、僕が製作者だったらマンガを原作にした映画は多分撮りません(笑)。それでももし撮るとしたら、もっともっと脚色して、例えばこの映画なら序盤の新幹線のシーンをすっぱり切ってしまうくらいの改編を加えた上で作るくらいの気概が必要になるでしょう。でもそれはそれでまた文句を言われる。(^^;)
だって、原作と比べると、その新幹線のシーンがやはり短いのです。原作と比べると、ノブオの狂気があまりにも唐突に見えてしまう。原作と比べると、トンネルの中はもっと暗くなければならない。原作と比べると、脱出劇もそこそこ簡単に思えちゃう。原作と比べると、あのシーンはどうしても説明不足&表現不足です。
でもそれって、どうしても「原作と比べると」なのです。原作がなければ、ノブオが最初から少しおかしくったって、トンネルに多少の光があったって、排気孔が手の届くところにあったって、別に充分納得できる展開で、しかも充分手に汗握る恐怖の展開に感じていられると思います。やっぱ、原作マンガつき映画は損してますよ。
でもさあ、僕はこの映画結構面白かったと思うよ。徹底して悲観的な展開には圧倒されるし、映像的な迫力も凄い。出演者達もみな素晴らしく(特にSAYAKA、いいじゃん)、この映画を責めることは僕にはできないかな。ちょっと主人公がアンブレイカブル過ぎるのは気にはなるけれど、それもこの展開の中では致し方なし。次から次へと起こる悲劇的展開に僕はのめり込みながら観ることができました。結局、僕って、容赦なく人がたくさん死ぬ映画って好きなのよね。(^^;)
あの環境であの二人の意志はとても凄いし、しかしそんな二人でも生きて行ける保証なんて無い。ラストに太陽は輝くけど、彼らの未来が輝くわけではない。絶望だけが残っている状況だと思うに、あの太陽によって彼らの悲劇性が更に浮き彫りになっていると思う。
ところであのドラゴンヘッドの子供達。僕としては彼らの存在に対する違和感が原作を読んだときからあったのだけど、これは映画になってもあまり変わりませんでした。この物語の無情感を象徴する存在になっているとは思います。自然の中で無力な人間の、生きぬくためのひとつの方法ではあるでしょう。でもそれが天変地異の原因につながっているとかならまだ分かるけど、ただそこにいた、という感覚だと、この終末論的物語にどうにもしっくりこないのです。
それにしても僕はあんな状況になったら生きていられる自信は無いし、生き続ける意志を固められるとは思わない。それにあんな状況ならさっさとあれを食べるでしょうね。つうか、最初の新幹線で死んでるな。(^^;)