「フィラメント」


監督:辻 仁成
脚本:辻 仁成
出演:大沢たかお 井川 遥  森村泰昌 村上 淳 不二子 銀粉蝶 松重 豊


 キレやすいからフィラメント、というあだ名はたしかに気が利いていて洒落ている。しかし彼の周りにはそんなハイソな(?)あだ名をつけそうな人はいないなあ。登場人物はみな、本能のまま生きているような感性的な人ばかり。真面目に生きようとしつつも我を通すあまりすぐに周りと衝突してしまう主人公を筆頭に、女装が趣味で経営する写真店のギャラリーに自らの姿を陳列する父親、若い男と逃げて家を離れていたが10年ぶりにふらりと帰ってくる母親、離婚暦があり夢遊病癖のある妹、深く考えずに人を勢いで殺してしまう友人とその彼女、その筋に生きる妹の前夫とその仲間。みんな刹那的で未来など感じられない人達ばかり。個々に共感できるような登場人物は皆無で、ほとんど違う世界の出来事のよう。これはある意味ファンタジーなのかも。
 そのためかどうも物語に現実味が感じられず、物語に入っていくことは出来ませんでした。僕は辻仁成さんの映画は「ほとけ」に続いて2本目なのですが、あれも現実性の希薄な映画でした。好きな人もいるでしょうが、僕には向いていないのかも。

 父親役の森村泰昌さんは実際に女装家で様々な姿を写真に残してきた方らしいですね。劇中で用いられた写真のほとんどはこの映画のために撮られたものではないようです。綺麗でもあり、多少気持ち悪くもある(^^;)んですが、世の中いろんな分野で活躍される方がいるものです。たしかにあれは凄い完成度だと思いますよ。
 井川遥さんは綺麗だし、スタイルもいいし、僕もなかなか好きです。演技も自然だったようだし、今後も期待したいと思います。