「解夏」


監督:磯村一路
脚本:磯村一路
出演:大沢たかお 石田ゆり子 富司純子 田辺誠一 渡辺えり子 柄本 明 林 隆三 松村達雄

 だんだん目が見えなくなる病気にかかった元小学校教師が母親の住む故郷に戻るが、負担になるまいと別れを決意していた恋人が訪れる。

 少しだけ不満があるとしたら、一瞬だけ二人の絆を揺るがせようとしたところ。あれは余計です。あの展開が無ければ、もしくはもう少しあの部分を深く掘り下げれば、この映画は傑作になったろうに。まあそれでもかなりの佳作であることは間違いない。素直に感動しました。

 目が見えなくなると言うことはかなりの恐怖でしょう。人間の感覚の6〜7割は視覚に頼っているものらしい。それを失うということは、人生の6割を失う可能性があるでしょう。その失った部分をどう補うのか、それ以前に、補うことができるのか。その事実をどう受け入れればいいのか。これはその事実に立ち向かったことの無い、僕らには到底分からないものでしょう。
 例えばこの映画を観ることすらできないのだ。本当は目の見えなくなった人にこそ、観てもらいたい映画である。これはもどかしい。一番共感できる可能性がある人達にこの映画を観てもらえないのだ。最近はTVの福音声などで盲目の方用の解説が入るものがある。映画館では難しくても、DVDなどではぜひそういった形で世に送り出して欲しいものです。

 話はずれたけど、要するに僕などがこの映画に心から共感することはできていないかもしれないということ。心から相手を愛し、支え、支えられて生きていく二人の姿は美しく、そして元気付けられる。負担になる。負担になるから愛する人からは離れなくては、と言う気持ちも分かる。その姿は感動的だけど、ある意味同情にも似た、うわべだけの感情なのかもしれない。少し不安です。

 白状すると、さだまさしの歌って結構好きなのよね。母親が好きなこともあって中学のころから聞いてます。小説は読んでなかったけど、世界観はやはり歌の世界と似ている気がします。そういえば去年の紅白で歌っていた曲がこの映画のエンディングテーマでした。いい曲です。